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2019年7月15日 (月)

米国が傍観している本音とは

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韓国の保守系紙朝鮮日報(7月12日)が、やっと事態の本質の端っこにたどり着いたようです。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/07/12/2019071280138_3.html

「輸出優遇除外:識者が朝鮮日報に提言「韓日基本条約に対する政府の立場を問いただせ
輸出優遇除外:韓国政府、韓日関係改善に向け首脳会談を推進」、「日本は安保友邦、ワシントンを利用して政治的解決を」(7月8日付A4面、日本語版未掲載)は日本による経済報復問題を解決するため、「韓日首脳会談」と「米国の仲裁」を提案した。
どちらも説得力がありそうだが、実際はそうではない。主要20カ国・地域(G20)首脳会議でできなかった首脳会談を改めて行うには、韓国側が何らかの解決策を新たに提示しなければならない。
韓国が問題解決に向けた肯定的かつ善の循環的な動きをまず示すべきだが、それがなければ日本と話は通じない。
米国は両国でまず協議を行うことを望んでいる。しかし韓国は日本が主張する「第三国仲裁委員会」や国際司法裁判所(ICJ)での問題解決には応じない。このような状況でワシントンを利用するのは難しい」

はい、そのとおりです。朝鮮日報は現状ではいくら日韓首脳会談をしようと、米国に仲介を要請しても無駄だと言い切っています。
韓国が「何らかの解決策を新たに提示せねばならない」のです。やっと気がつきましたか。
そのためには、なにを置いても信頼関係の再構築をせねばならないのです。
信頼回復といっても、日本の主張を丸飲みしろなんて言っていません。
日本が言ってきているのは、それ以前のことです。

朝鮮日報は慰安婦財団を解体したことについてムン政権を批判した後に、識者の言葉を借りてですが「徴用工」判決についてこう述べています。

「尹徳敏(ユン・ドクミン)元国立外交院院長の言葉だ。尹氏は「国家間で締結された条約を覆す判決に果たして何の意味があるのか。国際法上の司法自制原則が守られなかったことは遺憾」と指摘した。
司法自制原則とは、外交を巡る裁判においては行政府の判断を尊重するという国際法における原則だ。韓国政府が国際法を無視したという側面を明確にすれば、問題解決のきっかけをつかむことができる」
(朝鮮日報前掲)

仰せのとおりです。こういう意見ばかりなら、今回のようなことは起きなかったのですよ。
日本がムン政権を信用できないのは、国際法を逸脱して平然としていることです。
ムン政権は司法判断に従うと言っていますが、それは「外交を巡る裁判においては行政府の判断を尊重するという国際法における原則を無視」(朝鮮日報)したことです。

そもそもこのような条約を否定するような訴訟は、「条約についての司法判断は統治行為になじまない」として門前払いされるべき性格でした。
ただの司法判断にすぎない一判例が一国の条約廃棄の根拠となって、二国間の条約関係をブチ壊してしまう、近代国家としてあってはならないことです。

これは判決が正しい、間違っているという以前の問題なのです。
ムンは一見、三権分立などと聞いたようなことを言っていますが、韓国社会に色濃く残る朱子学的名分論そのものです。
大義名分の道徳的スローガンの前では、条約や外交関係係などのすべての現実的関係が捨象されてしまい、「日帝残滓払拭」が絶対善とされてしまいます。
国と国との約束ごとまでもが「正義」の前では超越できてしまうのですら、まるで中世以前の国家です。、

とまれ韓国内から、やっとこのような反省が生まれたことはいいことです。
こういう意見ばかりだと、日韓で立場は違ってもまともな議論のテーブルができるんですがね。
といってもこんな朝鮮日報のような意見は、極小意見なのが悲しいですが。

 

ところで現実のわが韓国政府はうろたえたあげく、無内容な3通りの反応しかできないでいます。

①日本への報復措置
②WTO提訴
③米国の仲介

②が日本の思う壺だということは既に何回か書きました。

①の日本への報復措置ですが、韓国の半導体企業が潰れたら国際市場価格が暴騰するぞ、そうすれば日本企業も困るだろう、という理屈です。
では、この間国際市場価格は上がったのでしょうか。
実は上がっていないのです。その理由の一つは、サムスンがDRAMの在庫を積み上げているからです。

「今、半導体は不況の真っ最中。一年前と比べ、メモリーの価格は半値になっていました。市場にあふれているので、日本が輸出管理を強化しようが、ユーザーは焦って手当てしようとはしません。だから市況が安定しているのです。
サムスン電子のバランス・シートを見ると、2019年3月末時点の在庫資産は31兆4560億ウォン。1年前と比べ8・8%増です。相当部分が売れ残ったDRAMと見られています。」
(7月12日 デイリー新潮 鈴置高史『北朝鮮への「横流し疑惑」で、韓国半導体産業の終わりの始まり』)http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/07/12/2019071280138_3.html

半導体市場は飽和状態です。仮にサムスンが日本の輸出規制強化で減産に追い込まれたとしても、そもそも供給過剰によるダブつきが問題となっているために半導体価格はいささかも上がらないのです。

2番目の原因は、サムスンが潰れても代替品が多数あることです。

「DRAMを作るのは韓国企業だけではありません。確かにサムスン電子が46%、SKハイニックスが26%と高い世界シェアを誇っています。
ただ、3位の米マイクロン・テクノロジー(Micron Technology)も21%のシェアを持っています。主力の広島工場(広島県東広島市)の生産能力の増強に動いています。
6月11日に新工場棟の完成式典を開いて「サムスンを追い掛ける」と宣言しました。日経の「マイクロン、広島工場を1割拡張 次世代DRAM量産」(6月11日)が詳しく報じています。
もう1種類のメモリー、NAND型に関しても東芝メモリ・ホールディングスが2020年の稼働を目指し、岩手県北上市に新工場を建設中です」
(鈴置前掲)

米国マイクロンやインテルは設備投資して規模拡大を狙っています。日本の東芝メモリも規模拡大に入るようです。
サムスンが売らなければ、マイクロンやインテルの営業マンが吹っ飛んで来ます。
いや、もう既に来て、「御社はこんなリスキーなサムスンにDRANを使っていてだいじょうぶですか。代替品ならぜひわが社をご検討下さい。性能は同等以上、それに今ならお安くしまっせ」と揺さぶりをかけていることでしょう。
そんな時に韓国が対日輸出を停止なんぞしたら、まさに自爆です。

③の米国の仲介ですが、まったく無反応です。これだけの時間がたっていても米国政府当局者はなにひとつ態度を鮮明にしていません。
ハリス駐韓大使は介入する気はない、と明言したそうです。

「ところが野党「自由韓国党」所属の尹相ヒョン(ユン・サンヒョン)国会外交統一委員長は12日、「ハリー・ハリス駐韓米大使が『今は米国が出る時ではない』と言及した」と伝えた。この日、ソウル市内でハリス大使と非公開会談を行った場で出た内容だと説明しながらだ。次は尹委員長が伝えたハリス大使の発言。」(中央日報7月13日)
https://japanese.joins.com/article/496/255496.html

これは、昨日も述べた米国外交原則の同盟国間の紛争には介入せず、ということもありますが、もうひとつの思惑もあります。
米国はくちばしをつっこまないから、日本よとんどんやれ、という意味です。

というのは米国にとって輸出規制措置を、米国企業が主導権をサムスンから奪い返す絶好の機会だとみているからです。
サムスンなどは一回潰して解体してしまい、欲しい分野だけインテルなどが傘下に収めればいいとトランプは考えているのかもしれません。

それは米国がこの重要な戦略産業分野におけるリーダーシップを韓国からもぎ取るということであり、そしていま一つは米国の 安全保障上の理由です。
半導体がなければ、小は装甲車や対空ミサイルから、大は戦闘機、ICBM、イージスシステムにいたるまで動きません。
まさに現代戦にとって必要不可欠な戦略部品が半導体なのです。
これを作る韓国企業が、中国の属国となったらと考えただけで、米国は慄然としたことでしょう。

「DRAMの約72%、NAND型の約44%を韓国の2社で作っています。これを米国が許してきたのも、韓国が忠実な同盟国だったからです。
ところが今、米韓関係の雲行きが相当に怪しくなっている。文在寅(ムン・ジェイン)政権は国際社会がこぞって経済制裁を科している北朝鮮に堂々と援助を始めました。
妙な自信を持った韓国は日本にはもちろんのこと、米国に対しても「何するモノぞ」とばかりに高飛車に出ているのです」(鈴置く前掲)

ムン政権が米国の制止に耳を貸さずに、北朝鮮への支援を始めた時、米国は韓国がもはや既に忠実な同盟国ではないと判断しました。
既にムン政権は同盟の裏切りを働いています。それがTHAAD配備でした。
THAADミサイル - Wikipedia

韓国に配備されたTHAADのXバンドレーダーレーダーの覆域は、主に朝鮮半島と中国東北地区の一部だといわれています。

Thaad20range     http://www.businessinsider.com/thaad-missile-defen...

するとこのTHAADは、北朝鮮の弾道ミサイル防衛であると同時に、中国の弾道ミサイルに対する抑止のためのものなのです。 
THAADはその名の通り高高度迎撃ミサイルです。 
THAADは韓国や日本に向けた北朝鮮のミサイルを迎撃するのではなく、日本列島を飛び越して米国領に向かうものを迎撃する性格のものです。 
つまり、韓国に配備したTHAADによって米国は、自国に向けたICBMを含めた弾道ミサイルを無効化することが可能になったのです。 

ムンは中国の要求を丸呑みして中韓合意を結びます。その内容は「3不」と呼ばれています。

①米国の弾道ミサイル防衛システムに参加しない。
②日米韓の安全保障協力を軍事同盟に発展させない。
③THAADの追加配備はしない。

つまりムンは、米国のミサイル防衛なんぞ知ったことかいわんばかりに、中国にシッポを振って見せたわけです。
この内容をもう一歩進めると、有事統制権の韓国軍への移譲、在韓米軍の撤去という中国の大目標に到達します。

そして冬季五輪を舞台とした北朝鮮への目を覆うばかりの入れ込みぶりを見て、米国は韓国が、いつ中国・北朝鮮圏内に吸い込まれてもおかしくはない、と決めたようです。

ムン閣下がこの五輪で発信したかったメッセージのひとつは、「米国さえ邪魔しなければ、南北は統一できる」ということです。

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南北は同じ民族、それを阻むのは悪い米国。かつての朝鮮戦争だって、米国というこの悪の帝国が南北を戦わせたんだ、冷戦の谷間に咲く白百合の花一輪、いまもなお続く悲哀の民族・・・、そうムンは言いたいようです。

「文大統領は、2つのコリアを1つにし、北朝鮮のミサイル・核プログラムを巡る緊張の高まりを緩和させるのに役立つとして、平昌冬季五輪を「平和五輪」と称している」(ロイター2月22日
http://toyokeizai.net/articles/-/209673

一方トランプは、北とシンガポール会談で「朝鮮半島の非核化」を合意しました。
これが「北朝鮮の非核化」ではなく、「朝鮮半島の非核化」だということの意味は明瞭で、米国は韓国に核を持ち込まないし、そのための施設も持たないということです。
これが「在韓
米軍の撤収、あるいは米韓同盟の廃棄までも取引材料とする」と鈴置氏は解釈します。
この部分に関しては私は異論がありますが、交渉材料としてはありえるが、そこまで踏み切るとは到底思えないと言っておくにとどめます。

ただし、前国防長官のマティスが「同盟」の役割を重視した伝統的米国外交を守ったのに対して、「頭が堅い」と彼を解任同然で閣外に放り出したのがトランプだということは頭に置いておいたほうがいいでしょう。
かれならやりかねないのです。

在韓米軍が撤収しようとすまいと、いずれにせよ結論は一緒です。 

「同盟は維持しても在韓米軍が撤収する、あるいは削減するだけで、朝鮮半島は不安定化します。そんな国の企業に、米国が戦略物資の半分を作らせるでしょうか。
麗澤大学の西岡力・客員教授は米国の安全保障の専門家から「我々がこの半島から撤収する時は、焦土化して引き上げる」と聞かされたそうです。
焦土化とは物理的に燃やしてしまう、ということではなく経済的な資産を破壊する、との意味です。同盟を廃棄した後、つまり中立化した韓国は中国の衛星国となる可能性が極めて高い」(鈴置前掲)

このように経済的思惑と安全保障上の理が絡んで、米国は日本の輸出規制に対して沈黙を守っていることに、韓国は思いをいたすべきです。
こんな米国に、今まで裏切りの限りを尽くしてきたことも忘れて、猫なで声でイガンジルする韓国、哀れ。

 

 

 

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コメント

先の電撃的に見えた米朝会談での刈り上げ坊ちゃんは、心の底からの笑顔に見えました。
多くの民を飢えさせても全てのリソースを軍事に注いで自分の足で立とうとした、だからアメリカに認められたのだ、もう仲介は要らぬ、と本人が感じているように私には思えました。
日本もアメリカも、韓国の、よりマトモな方の人々が頭のおかしな現政権を倒してでも国のあるべき状態を回復することをまず望み、それが出来ずに韓国が崩壊し、「ひたすら頭のおかしい方」ではなく「考え・手口は危険だが頭はあそこまでおかしくない方」である2つの国が相手となることは想定しているような気が。
ま、中華思想にしろ、主体思想にしろ(体制に対峙したいのに主体思想を支持する日本人も含めて)大なり小なりイカれてますけれど。
現下の韓国を見るにつけ、安全保障環境の変化というものは、我々が好む好まないにはお構い無しなんだなぁと。

民主党でなくてよかった

日本

ずっと拝見させていただいておりますが、
agoraの宇佐美典也氏の記事が出る前に、
中国との関連性を指摘している内容で、
素晴らしい洞察力に感服しました。

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