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2019年7月18日 (木)

GSOMIAを弄ぶな

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8月18日に迫っているGSOMIA(ジーソミア・日韓軍事情報包括保護協定)について、日本政府は自動延長の方針を固めたようです。

「河野太郎外相は17日までに、8月に更新期限を迎える日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について「両国関係は非常に難しい状況に置かれているが、北朝鮮問題をはじめ協力すべき課題は引き続き韓国と協力する」と述べ、更新すべきだとの考えを示した」(産経7月17日)

な~んだと言わないこと。安全保障上の条約は交渉カードにしてはいけないのです。
なぜなら安全保障は国の最も深い部分にある基層で、いわば最重要の公共インフラのようなものだからです。
ここが揺らぐと経済は一気に不安定化し、それに連れて社会も大揺れしていきます。

たとえばそうですね、かつてわが国の政府中枢が異星人に乗っ取られていた時期がありましたが、その時になにが起きたでしょうか。
国のコクピットに座ったエイリアンたちがやったことは、米軍基地に関する日米合意を廃棄することでした。

米国も移転なんかしたくないのに、申し出た日本側がそれを勝手に変更するなんて、あってはならない背信行為です。
いくら「トラスト・ミー」なんて寝言を言っても、米国の日本への不信感はマックスになりました。

ですから、この時期米国は尖閣がらみで中国において大規模な反日デモが起きようと、へーなるほどと言うかんじでで冷やかにながめていたものです。
背信行為をするような奴には、こちらの情報も手渡さないし、ましてやいざという時に手助けしてやるのも止めよう、ということです。
ですから、この異星人支配の期間、防衛省は米国からの重要な軍師情報を干されていたそうです。

また、日米関係だけではなく、副産物として沖縄の政治状況は一気に流動化し、本土政府と県の間に深い溝を作ってしまいました。
この溝はいまだ修復されず、固定化される気配すらあります。

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日韓GSOMIA締結式  出典不明

それが分かっていない約1国います。
たとえばこんな風に韓国は考えているそうで、毎度のことながら呆れます。

「青瓦台(チョンワデ、大統領府)の雰囲気はGSOMIAを今すぐではないにしろ「検討可能な」対日カードとして見ている。一応のところ、GSOMIAが韓国の安保必要性というよりは日米の必要のために締結されたという認識が根底にある。
与党高位関係者は「対日交渉カードかどうかというのは、現時点で敏感な問題なので簡単に話はできないが、締結過程で我々の必要よりは日米の必要のほうが大きかった点は念頭に置いておくに値する」と話した。
匿名を求めた青瓦台関係者も「『GSOMIAを揺さぶらないでほしい』という米国の反応は通常のものであり、特別な意味が置いたものではない」とし「ただし、交渉戦略は見えないところにある時こそ価値が大きい。目前の交渉カードではない」と話した。GSOMIAを米国を動かすテコとして見る向きもある。与党のある要人は「GSOMIAの核心は韓米日の三角情報共有だ。GSOMIAへの言及が多くなるほど米国が神経を尖らせることになる」と話した」(中央日報7月16日)
ttps://japanese.joins.com/article/554/255554.html

 これは韓国政府が米国政府要人と会談した時に、こう言われたからのようです。

「米国政府が、経済葛藤によって韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)が揺らいではいけないと、事実上、韓日両国に警告した。
15日、韓国外交部高位当局者によると、日本の経済報復措置対応のために先週米国を訪問した外交部代表団に、米政府関係者は「GSOMIAが揺らぐようなことがないようにしてほしい」と明らかにした。関係者は「経済分野の葛藤によって、いかなる場合にも安保分野が交差汚染(クロスコンタミネーション、cross contamination)になってはいけない」と話したと、この当局者は伝えた」(中央日報前掲)

ホント分かりやすい国だなぁ(苦笑)。
ご承知のように、米韓国は日本が余りにプリンシパルな対応を開始したので、困った時の米国頼みとばかりに泣きついたのですが、要人からはことごとく仲介に入る意志はないと断られました。
そりゃそうで、米国は同盟国間の紛争には中立を取りますし、更に腹の中では米国の国益を棄損するサムスンなんか潰してしまって欲しい部門だけインテルが吸収してしまえばいいのだ、くらいに考えているからです。

その中で米国が韓国政府に釘を刺したのが、この「GSOMIA を弄ぶな」という一言だったようです。

少し説明しておきます。
日韓は、米国をかすがいにしてかろうじて協力し合う格好になっています。
今、まがいなりとも犬猿の仲の日韓が協力しあえるのは、共通の脅威である北朝鮮が、驚くほど急な核武装化をなしとげたからです。

その最大の理由は、弾道ミサイルという日米韓国共通の脅威が誕生したからです。
北の主力の中距離弾道ミサイルであるノドン・ムスダンの射程範囲には、韓国はもちろん日本全域、グアムまでが射程に入っています。

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出典不明

韓国は「GSOMIAが韓国の安保必要性というよりは日米の必要のために締結された」という被害妄想があるようですが、とんでもないひがみです。
韓国が北に侵攻されようと日本はお気の毒様ていどのことは言うでしょうが、それ以上は在日米軍に協力するていどのことしかできません。(ほんとうにキレたら、在日米軍基地を朝鮮有事に使用させないことも可能ですが)
一方韓国にとっても、日本に工作船が侵入しようテロを実行しようと、ぶっちゃけどうでもいいことです。
しかしこと弾道ミサイルに関しては、どちらの頭の上にも等しく降ってくるさとが、決定的に今までと違ったのです。
だから、日韓は共通の脅威として認識し、それについては情報を共有しようとしたわけです。これがGSOMIAです。

具体的に見てみましょう。
下図(出典・オブィエクト)は
2012年12月12日の日米韓のイージス艦の配置図です。
http://obiekt.seesaa.net/article/354712832.html

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北との海上の境界線ぎりぎりにまで韓国海軍イージス艦がへばりついています。
この位置には、米海軍ですら侵入することは戦争の口実を与えることになりかねないという政治的理由でできませんし、日本の海自はもっとダメです。
したがって、米海軍や海自のイージスより、いち早く弾道ミサイルを補足できるといいます。
実際に、2012年4月に北朝鮮西岸から弾道ミサイルが発射され、打ち上げ後に空中分解した事件がありましたが、この時、韓国のイージス艦は黄海に展開しており、発射された弾道ミサイルの発射を探知しました。
しかし海自イージス艦は日本海と沖縄周辺海域に待機していたため探知できず、弾道ミサイル発射情報に関して日本政府の発表が数時間遅れることになったのです。
この時点で、海自イージスと韓国イージスがデーターリンクで結ばれ、リアルタイムで情報を共有できていれば、そのようなことにはならなかったでしょう。

もちろん、その時その時で日米韓三国のイージス艦野配置は違いますが、韓国がもっとも朝鮮半島に近辺の位置にポジションをとっていることは同じである以上、韓国イージスの探知情報は、日本にとっても重要な情報ソースなのです。

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http://japanese.joins.com/article/477/219477.html 

では、韓国にとってどうかといえば、韓国海軍のイージス艦にはそもそも弾道ミサイル迎撃能力がありません。
いわば「見る」ことはできても「落とす」ことができないのです。
また、イージス艦のリソースに欠けます。
保有するイージスの数が少ない上に、能力的にも日米のイージスよりそうとうに格落ちだと言われています。
ですから、韓国は仮に北からの弾道ミサイル攻撃を受けた場合、米国のMD(ミサイルディフェンス)に頼むしかないわけです。
そこで、この参加国で共通の情報をやりとりしようということで出来たのが、このGSOMIAでした。

いままで北朝鮮の核・ミサイルについては、互いに米国経由で共有していた軍事情報を日韓両国が直接やりとりすることを可能にしようとする協定です。
北の弾道ミサイルについて、日米韓の間の情報パイプの通りをよくしたわけです。

しかし、このパイプから秘密情報がだだ漏れしては大変です。
そこでGSOMIA協定は、国家間の軍事機密の共有のために守るべき原則を定めています。
それがわが国で成立を急いだあの特定秘密法でした。

特定秘密法は、成立当時ヒダリの人たちが言い散らしていたような「憲兵政治がやってくるぅ」「市民生活を監視するためのものだぁ」「モノ言えぬ時代が来るぅ」なんてものではゼンゼンありません。(あたりまえだつうの)
政府が交換した映像、文書、技術などの「秘密軍事情報」を、第三国や個人に提供したり、目的外使用したりすることを禁止し、双方に守秘義務を貸そうとするものでした。日本はこの法律の施行で、やっと米国、インド、オーストラリア、NATO、そして韓国など33カ国とGSOMIAを結ぶことが可能となりました。

米国にとっては、北朝鮮が潜水艦発射弾道ミサイルの実験を成功させたことを受けて、これ以上朝鮮半島付近の海域で北の潜水艦をのさばらしておけないという事情もありました。
ところが、このブロックを期待されている韓国海軍の対潜水艦能力は、2010年3月に哨戒艇「天安」が北朝鮮の潜水艦が発射した魚雷(機雷説あり)によってあえなく撃沈されてしまうといった世界有数の低レベルでした。
なにせ有名な逸話ですが、韓国海軍の駆逐艦の装備する対潜ソナーは、漁船の魚群探知器と変わらないといった笑い話があるほどです。

乗員の練度も、レーダー照射事件で明らかにされたように悲惨なもののようで、米国はなんとかして底上げせねばと考えてはいたようです。
そこで米国としては、海自の世界有数の優れた対潜水艦情報や技術を、ひとつコリアに教えてやってくれや、というおっせっかいな意図もあったようです。

ですから、日本側の持ち出しのほうが韓国のひがみとは違って圧倒的に多く、供与した技術や情報を北や中国に流出させるのではないかというリスクもはらんでいました。
特にムン政権の極端な対北融和は、このリスクが現実化する危険を持っていました。
ただし、こちらからそれを理由に切るのは馬鹿げています。
日本にとって、北朝鮮の脅威が変わらないかぎりGSOMIAを結んでおかねばなりません。
ただし運用にあたっては、注意深くする必要があるということです。

また米国の立場はさらにシンプルで、韓国がしっかりと軍事同盟を守って余計なことをしなければ、現状維持でいいというだけのことです。
仮に在韓米軍撤退などという大変動が起きるなら、その前段で打ち切られることでしょう。
米国はそのていどにプラグマチックな国なのです。
だから、あたりまえですが、韓国が「交渉カードになる」なんて言っているのは、ちょっとそのアレ入っていせんか、という類のことにすぎません。

 

 

 

 

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コメント

先に自動延長の方針を発表したのは、クレバーなやり方だと思います。どうせ本来的な中身はありませんが、韓国軍の動きをチェックできる位置にいた方が良いとも言えます。

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