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2019年7月10日 (水)

イラン 核濃縮を再開

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イランが核濃縮を再開しました。

「イランは7日、2015年の核合意の上限を超えて、ウラン濃縮度を引き上げると発表した。
核合意は、イランの核開発を制限する目的で、同国と欧米、中国、ロシアの間で結ばれた。しかし、アメリカは昨年5月、一方的に離脱し、イランへの経済制裁を再開。同国の経済は打撃を受けている。
離脱からちょうど1年後の今年5月、イランは残る中国、フランス、ドイツ、ロシア、イギリスの各国に、アメリカへの制裁解除の働きかけを要求。60日後をリミットとしていた。
その60日目に当たるこの日、イラン外務省のアッバス・アラグチ次官は記者会見で、数時間以内にウラン濃縮度を核合意で定められた3.67%を超すレベルまで引き上げると発表した。
また、今後も同国の要求が満たされなければ、再び60日後に、核合意のさらなる履行停止に踏み切る考えを明らかにした」(BBC7月8日)
https://www.bbc.com/japanese/48904345

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BBC前掲

私はこれをただの政治的チキンゲームとは見ません。
残念ですが、イランは核兵器を持つつもりのようです。

まず7月1日に、イランは核合意で定められた低濃縮ウランの貯蔵上限300キロを超えたことを公表しました。
これでルビコン河を渡ると宣言したことになります。
さらに続いて7日には3.67%以下と合意で決めらた濃縮濃度を超過させると発表しました。

少し説明しておきます。
よく日本も核武装がすぐにできるという人が右にもヒダリにもいますが間違いです。
核分裂物質のウラン235(U235) は自然界ではわずか0・7%しか含まれていません。
天然ウランは核分裂を起こすウラン235が0.7%、核分裂を起こさない役立たずのウラン238が99.3%で成り立っています。
だから天然ウランのままでは、核分裂を起こすのにまったく不足しているために、ウラン235の比率を遠心分離機にかけて長い時間かけて濃縮します。
その濃縮度が90%になって、やっと核兵器となるわけです。

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NHK7月8日

「天然ウランを、20%の濃縮度まで高めるには長時間を要する一方、20%のウランを90%まで高めるには比較的短時間で済むとされています」(NHK7月8日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190708/amp/k10011986401000.html

ウランは、商用原子炉用としてはたった濃縮度5%で済みます。
強いてこれを超過する平和目的の濃縮度は、医療用アイソトープの濃縮度20%くらいですが、医療用ウランをそんなに沢山持ってどうするのということにになります。
ですから5%を超えて濃縮を続けるなら、専門家は原爆一個を作るのに低濃縮ウラン1200キロが必要で、1日1キロほどを濃縮していくと数年先には出来るということです。

イランは、核兵器製造に必要な施設やウラン鉱山までワンセット保有しています。

Map

ロイター7月5日 https://jp.reuters.com/article/iran-uran-graphics-idJPKCN1U403P

上図から確認できるだけで、ギャチーン、アルダカーン、ヤズド、他一カ所にウラン鉱山を持ています。
ナタンズとフォルドには核濃縮施設もあります。
この二つのプラントは、イラン核合意によって査察対象となって制限がかかっていましたが、今はフリーです。

「10年間、「IR-1」と呼ばれる第1世代の遠心分離機しか使えず、数少ない高度な遠心分離機は濃縮ウランを貯蔵しない研究にのみ使用が許可されている。
イランは2015年時点で1万5000基の遠心分離機を保有していた。核合意を受け、ナタンズ核施設では5060基、フォルドでは1044基を使用することで合意した。いずれも効率性の低い旧式の遠心分離機だ」(ロイター前掲)

この核施設で濃縮ウランを製造しますが、これは複数の遠心分離機を連結して濃度を高めていきます。
ひとつのシリンダーが高速で回転することで、より重いウラン238(U238)がU235と分離し、このプロセスを数百回繰り返します。
大変な電力喰いだそうです。

ちなみに北朝鮮もまたこのウラン濃縮型に転換しており、分散して相当数の濃縮プラントを地下深く建設していると言われています。
このような代替施設があるから寧辺(ヨンビョン)のような古い核施設は交渉の対象にしていい、と正恩は考えているわけです。
もちろん米国はそんな見え透いた手には乗りませんでしたが。 

06

https://atomica.jaea.go.jp/data/detail/dat_detail_...

日本にはこの濃縮プラントが存在しません。
そりゃ北朝鮮が持っているくらいですから、作る気になればそう難しくはありませんが、既存の原発さえ再稼働できない国が、兵器級ウラン濃縮フラントを建設するなんてただの夢想にすきません。
ま、統一朝鮮が核武装して、東京を火の海にしてやるなんて言い出すと、話は別ですがね。

この遠心分離機は昨日書いたワッセナーアレンジメント協定の規制品目ですが、イランは国内生産できませんのでどこの国が売ったのかですが、状況的には東アジアのあの国とこの国が怪しいとされています(あえて名を秘す)。
もし発覚すれば、米国からテロ支援国家の称号を頂戴し、エライ目にあうことになります。

イランの低濃縮ウランの保有量ですが、2019年5月時点で174トンと十分な量が積み上がっています。
あとは、出来た核兵器を弾頭に詰めて発射する投射手段ですが、これはイラン核合意の対象外でしたので、各種保有していることは知られています。
Category:イランの弾道ミサイル - Wikipedia

たとえば、射程射程は2000km~2500kmで、 イランの主敵であるイスラエルを射程に収める中距離弾道ミサイル・アーシューラー、なんと欧州・米国まで射程に入れた長距離弾道ミサイル・シャハブ6まで既に保有しているとされています。

これらは北朝鮮との密約によって共同で開発したものです。

「中東での北朝鮮の武器売却に詳しい米テキサス州立アンジェロ大学のブルース・E・ベクトル教授(政治学)によると、北朝鮮は、遅くとも1980年代初め以降、イランに通常兵器および弾道ミサイルを輸出してきたという。 また、ワシントンに拠点を置くケイトー研究所の国防アナリスト、エリック・ゴメス氏は、イランの中距離弾道ミサイル「シャハブ3」と多弾頭弾道ミサイル「ホラムシャハル」(それぞれ北朝鮮のノドンとムスダンに似ている)は、数十年間に及ぶ武器開発協力の証拠だと指摘している」
(ウォールストリートジャーナル2018年7月9日)
https://jp.wsj.com/articles/SB11756459905445293977504584335630594152484

このまま推移すれば、イラン核合意が想定した時間内である1年以内に、イランは欧米と中東全域を射程に入れた核兵器保有国になることがあり得ることになりました。

この結果は、ただ単にイランに核開発再開の道を開くだけではなく、イランの宿敵であるサウジラビアの核開発に飛び火し、いわゆる「核の連鎖」を引き起こします。

また、米国や直接脅威にさらされるイスラエルもまた手をこまねいているはずがなく、何らかのアクションを起こすことでしょう。
そのことによってペルシャ湾のタンカー航行が阻害されるという事態もでてきました。



 

 

 

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コメント

ひょうのみかたはただしいのですか?低濃度よりも高濃度の方が濃縮が迅速に進むって、ちょっと信じられませんが。

核合意自体に欠陥があって、いずれイランは核兵器保有国を目指すわけですが、
アメリカの振舞いは論外で、英仏独はとりあえず核合意枠組みまで戻せと。

で、ここで不気味なのはロシアですね。プーチンは何を考えてるやら・・・

あと、ネタニヤフが再選したイスラエルが、かつてイラクや近年のシリアで仕掛けたように突如の奇襲攻撃に出る可能性もあります。

あと、80%以上の濃縮しないと「核爆弾」は作れませんが、現在仄めかしている20%レベルでもミサイルに詰めて大量に撃ち込めば、それこそ「ダーティー・ボム」には出来ます。狭いイスラエルなんか全土汚染されるくらいには。
福島の原発事故で大騒ぎしてた方々、なんでそれこそイラン大使館前に何万人も集まってデモやらないんですかね?

イチロウさん、ご指摘ありがとう。、ロイターの図は作業量と濃度との関係でしたので、NHKの図に差し替えました。

山形さん
それは簡単で興味がないからですね。ではなぜ興味がないかと言うと、日本からは離れていて日本本土への直接的な脅威にならないからですね。

欧米にとって北朝鮮は遠いアジアのことでイランやリビアのような注視する場所ではないのと一緒です。

北のキムさん家が艱難辛苦して核武装したら、アメさんがキムさん
家に手をこまねくようになってしまって、そんなの見せられたらペル
シャ帝国も「バビロニアのフセインみたいにイチャモンつけられて攻
められたらかなわん」と、核武装を急ぎますわ。もう核は絶対兵器
なもんで、人道の善悪の彼岸です、持ったモン勝ちですわ。

北が核武装した当時、アメさんは屁っぴり腰になってしまい、「あん
時ゃあ、対応を誤ったぜ、韓国の泣き言を聞いたばっかりにヘマっ
たわ、次回以降は何がナンでも先制攻撃だー、たとえ核ならずとも
大量破壊兵器となれば、ホントに存在しようがしなかろうが関係ね
ー、躊躇なくやったるでー」と、それが現在のアメさんの行動原理で
すわ。第二の北など許すハズがありません。

とすれば、米国は「オラオラ、マジやったろかい?」と目いっぱいの
威嚇をするし、イラクはのらりくらりと「どうしようかなー、放棄しよう
かなー、作っちまおうかなー」と、北朝鮮直伝の瀬戸際戦法でタン
カーを船質に取ったりすると思います。親ビンの「テメエのケツは
テメエで拭けや」は、彼の正直な親切心だと思いますわ。ホルムズ
の波高し時に、日本の自衛隊は動けるのでしょうか?

イラク側がタンカー攻めて来たら、甲板上で酒を酌み交わして友情
を育むのでしょうか?ムスリムは酒を飲まないのにどうするというの
でしょうか?


日本にも青森県六ケ所村に日本原燃(株)のウラン濃縮プラント(遠心分離型)があります。原子力発電所の原子燃料を作るためのプラントなので原子爆弾レベルまでの濃縮能力があるかは不明ですが。ご参考までに

https://www.jnfl.co.jp/ja/business/about/uran/summary/

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