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2019年8月

2019年8月31日 (土)

「戦略的痴呆症」と米国に言われたムン閣下

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一つの政権が一気にガラガラと崩れるプロセスに突き進む時に往々にしてあることですが、ありえない発言がポロポロでてきます。
これは政権に統制力がなくなったことを現しています。
内部すらピシっと締められないんですよね。

頭を冷やして後から考えれば、トンデモ発言だと分かることでも、政府要人が軽々と口にしてしまうんですから、あんたもうちょっと考えてモノ言えよ、とひとごとながら心配になっちゃいます。
たとえば昨日取り上げたムン様の「一度合意したので過去として過ぎ去ったとして終えられるものではない 」なんて一国のトップが言ってしまったら、もうどの国もこんな国とは条約・合意なんか結びませんよね。
オレの国と何を取り決めても後からひっくり返すからな、覚悟しておけ、といっているのも同然だからです。

ボスからしてこのように軽快にかっ飛ばしていますから、配下もこんなことを口走っています。

GSOMIA終了は国益に沿った決定 米との同盟より優先=韓国大統領府
【ソウル聯合ニュース】韓国政府が日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)終了を決定したことに対し、米高官らが相次いで懸念を表明するなど、韓米同盟への影響を危惧する声が上がっていることについて、青瓦台(大統領府)の関係者は29日、米国は米国の立場と見方により事案をみているが、韓国も同様であり、各国は自国の利益のために最善を尽くす」とし、「(重要な)同盟関係であっても、韓国の国益のためには、何も優先することはできない」との見解を示した」(聯合8月29日)
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20190829004000882

「大統領府の関係者」というくらいですから、政権中枢でしょうが、大丈夫ですか、意味分かってしゃべっていますか、これ直訳すると米韓同盟なんか廃棄してもかまわないという意味ですよ。
だって韓国はGSOMIAを既に「国益に沿って」廃棄してしまいましたが、そっちのほうが米韓同盟より重いっていうんですから、米韓安保なんかもっと気楽に廃棄できよう、ってなもんです。
「国益」とは笑わせます。たたがか「国民感情」でしょう、そんなもん。
それを大仰に「国益」なんて言い出すからおかしくなるのです。

つまりは近々に米韓同盟もGSOMIAと同じ運命を辿りますぜ、ということを青瓦台が言ったとして解釈されるでしょう。
誰に?
もちろん米国に、です。

これを聞いただけで、韓国がどうしていとも簡単にGSOMIAを廃棄できたのか分かろうというものです。
要するに、意味が分かっていないのです。
彼らの認識では、たかだか日本との間の軍事情報のやりとりだろ、いいよこんもんってなもんだったようですが、どっこいこれを一番必要としていたのは、他ならぬ日米韓連携のハブである米国だったのですよ、お立ち会い。

ここでいい機会ですから、アジアの安全保障体制についておさらいをしておきましょう。
アジア地域の安全保障体制は、欧州における北大西洋条約機構(NATO)のような多国間の集団安全保障体制を持ちません。
ヨーロッパでは、強大な軍事力を持つソ連(ロシア)に対して、団子になって防衛せねばならなかったために集団安保体制が築かれました。
一国に対する侵略はすべての国に対する侵略として受け止めて、参加しているすべての国が防衛に参加する、という仕組みです。
議長国は交替制で、米国もNATOに加盟して半分軸足を入れていますが、この盟主というわけでは必ずしもありません。

一方アジアでは、冷戦のあり方が違ったために、米国を軸(ハブ)とした2国間同盟の集合体となっています。
たとえば、日本と米国の日米安全保障条約、米国と韓国の米韓相互防衛条約、米国とフィリピンの米比相互防衛条約、米国と豪州の太平洋安全保障条約、台湾に対する防衛義務を定めた米国の台湾関係法などがそれです。

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こういう安全保障体制のことを、自転車の車輪になぞらえて「ハブ・アンド・スポークス体制」と呼びます。
日本が位置する東アジアでは、日米安保が基盤にあっていわば岩盤の役目を努めています。
この日米岩盤の上に、
米韓安保が乗っていているわけで、米国がハブであることには変わりありません。
そして東アジア有事においては、日本を策源地として対処するという構想です。
おっと、「策源地」は聞き慣れない言葉ですが、軍隊の出撃拠点・兵站拠点・情報集約拠点ていどの意味です。
日本でいえば大どころは、米海軍は横須賀に第7艦隊、米空軍は横田に第5空軍、そして前方展開基地として沖縄には第3海兵
遠征軍が駐留しています。
米軍における海外最大の策源地は日本にあるのです。

さて、ハブを担っている米国には、それぞれの2国間安全保障条約に基づいて情報が上がってくるわけですが、いままでは一度全情報を米国が仲介していたわけです。
これでは緊急時に緊密な連携に支障が出かねません。
たとえば緊迫した有事に、日米韓の司令部同士が会議ひとつするにしても、「えー日本さん、ここからは米韓GSOMIAに基づいて米国にもたらされた韓国情報ですから聞かないことにしてくださいね」なんてやっちゃいられません。
共同で役割を果たす以上、緊密な情報インフラが前提として不可欠で、むしろないほうが不自然だったのです。
そこで日米韓三カ国連係体制をとるために、米国が肝入りで作ったのが2016年の日韓GSOMIA締結でした。

それをあろうことか、反日に燃えるムン政権が、米国になんの事前に米国からあれだけ絶対に廃棄するなと言われたにもかかわらず、通告ひとつ出さずに廃棄してしまったのですから、そりゃ怒るよ。
ですから、よく馬鹿な日本メディアは「日韓関係いっそう深刻に」なんてしたり顔で言っていますが、ほんとうに深刻になったのは、日韓は元々仲がいいときのほうが珍しいわけですから、世界に及ぼす影響の大きさからいえば、米韓同盟の瓦解の危機のほうがよほど重大なのです。

それを手厳しく批判した米国政府高官に対して、GSOMIAの意味がまだ分かっていないムン様は、協定破棄の原因は日本にあるんだぁ、一回謝っても許してやらないぞォなんて、どっち向いて大砲撃ってるのということを口走ったわけです。
いつものことで、全部日本が悪いんだと言えば済むと思ってんでしょうね、哀れ。
そしてこの逆上ぶりは止まるところをしらず、とうとうその狼狽の矛先を米国そのものに向けてしまったのですから、まさに絵に描いたような逆ギレ。

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http://japan.hani.co.kr/arti/politics/34218.html

先日は、とうとう在韓米国大使を呼びつけて「オレの国を批判すんな」と文句まで垂れる始末です。

「外交部の趙世暎(チョ・セヨン)第1次官は前日、ハリス駐韓米大使を同部に呼び、韓日GSOMIAの終了と関連し、米政府が失望と懸念を繰り返し表明するのは韓米関係を強化する上で役立たないと指摘し、自制するよう要請した」(聯合前掲)

しかもご念のいったことには、ハリス大使を待ち構えていたのは、なんとまぁ大勢の韓国メディアのカメラの砲列だったんですから、さらし者にされたハリスさんの心中、いかばかりだったか。
さらには会談内容まで韓国側が暴露するなんて外交的非常識をするのですから、もはやコレ米国にケンカ売ってんのかしら。
協議や会談内容をペラペラしゃべる被害を日本は受け続けていますが、誰かこいつらに外交常識を教えてやってくれよ、思いますね。

「駐韓米国大使館は28日、ハリス大使が韓国外交部(省に相当)に呼ばれ、異例とも言える抗議を受けたことに戸惑いを隠せない様子だったという。米国大使館はこの日、問題の面会について「非公開の内容に関する言及は差し控える」と原則を述べるにとどめた。しかし大使館内部では、韓国政府が米国に「韓日軍事情報保護協定(GSOMIA)破棄や独島訓練を批判するな」と警告した背景の把握に全力を挙げているようだ」(中央8月29日)

「把握に全力を上げている」って、ナニ言っているんだか。そんなことはとっくに米国は分析済みでしょうに。
確かに日本も含めて外国大使を外務省に呼びつけたりはします。
それは外交プロトコルとしては強い抗議の意思表示ですが、あんたねぇ、抗議したいのは米国のほうだよ、いちおう同盟国だからそれでも「懸念」ていどで済ましてやっているんだよ。
それを大使呼びつけて叱り飛ばしてどうすんの、頭大丈夫?

もちろん米国はこれで、はい、すいません韓国様、批判は控えさせていただきます、なんていうタマではもちろんなく、以後も米国政府高官がズバズバと「失望」と言いまくっています。
公式には外交的配慮でオブラートにくるんでいますが(くるまないのはトランプ親分だけですが)内部ではもうさんざんです。
その一部を高濱賛氏が『米国、米韓同盟破棄を真剣に検討か韓国はもはや味方にあらず、日米豪印同盟に舵切る米政権』の記事の中で紹介しています。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/57446

トランプ政権高官
「文在寅という男は本当に阿呆(Fool)。どうしようもない」

駐韓国大使館で高位の外交官だった人物
「文在寅は戦略的痴呆症(Strategic stupidity)と言い切っても過言ではない」

とうとう「戦略的痴呆症」なんていわれちゃったよ、、ムン閣下。

呼び出されてくだらないことをダラダラと言われたハリス大使は、以後、韓国の在郷軍人会の講演をキャンセルして、ハンバーガーチェーンに行ってしまったりすることで、不快感を外交表現しています。

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東アジア有事を担当する太平洋軍司令官としてGSOMIA締結に走り回ったのが、他ならぬこのハリス大使でしたから、当然ではあります。
ハリス氏は温厚な人物として有名ですが、
腹の中は煮えくりかえっていたことでありましょう。

というわけで、もう米韓も修復不能のポイント・オブ・ノーリターンを超えてしまったようです。
それは、ムン閣下の脳味噌がポイント・オブ・ノータリンだったからですが。

 

2019年8月30日 (金)

韓国は「戦略的放置」すればいいだけのことです


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香港に治安軍車両が入ったという情報も流れていますが、詳細はわかりません。情報があれば随時流します。

さてどうやら、ムン政権には日韓紛争を解決する意志はないとみえます。
ムン・ジェインは昨日になってこんなことを言い出しました。

「文在寅(ムン・ジェイン)大統領は29日、「アジアの複数の国の不幸な過去があり、加害者が日本というのは動かない歴史的事実」と述べ、河野太郎外相の発言を強い語調で批判した。
  文大統領はこの日午前、青瓦台(チョンワデ、大統領府)で開かれた国務会議の冒頭発言で「日本が過去に向き合う態度が正直でない」とし、このように述べた。「韓国が歴史を書き換えようとする」という河野外相の28日の発言を文大統領が批判したのだ。 (略)
続いて「過去を記憶して省察することには終わりがない。一度反省をしたので反省が終わったとか、一度合意したので過去として過ぎ去ったとして終えられるものではない」とし「(反省と省察を通じて)ドイツが隣国の欧州国家と和解し、国際社会で信頼を受ける国になったということを日本は深く銘記する必要がある」と話した(中央日報8月29日)
https://japanese.joins.com/article/082/257082.html

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ーあムン様、とうとう言っちゃったね、というところです。
一度反省してもダメなら、しないほうまし。合意しようが条約結ぼうが終わらないなら、「完全かつ不可逆的に」蒸し返されるのですから、以後スッパリと止めましょう。
それを分かって言っているなら、一国の大統領がじぶんの国と条約結んでも無駄ですからという韓国番外地宣言を出してしまったわけで、まことにもって歴史に刻まれるべき仰天スピーチとなりました。

それにしても、ムン閣下はせっかく今まで最高裁に責任なすりつけてきたのに、とうとう本音を全開しちゃいましたね。
こんなこと言ったら決定的に日本が対話の扉を閉じるのはわかりきっていますからね。
側近逮捕間近とみえて、よほど追い詰められているんですね。

このムン様の発言は河野外相の「条約を守れ」という発言に対して浴びせられたものですから、韓国の回答は「守る気なんかない」と言った事になります。

そういえば、ムンが牢獄に叩き込んだパククネ前大統領もそっくり同じことを言っていましたっけね。

「朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は1日、第94周年3・1記念日の演説を通じて、「加害者と被害者という歴史的立場は千年の歴史が流れても変わらない」とし、日本の前向きな変化と責任ある行動を求めた。朴大統領は、「日本が韓国のパートナーになるには、歴史を直視する姿勢を持たなければならず、そうする時に初めて両国の信頼と和解、協力も可能だ」と言及した」(東亜日報2013年3月9日)
http://www.donga.com/jp/article/all/20130302/420607/1/社説-「加害者と被害者の立場は千年経っても変わらない」

このふたりの韓国大統領はまったく同じことを言っています。
日韓紛争は日本が正しい歴史認識を持たないが故に起きるのであって、日本は韓国に永久に謝罪しつづけねばならない、ということです。

この論法は耳にタコができるくらい聞かされて来ましたっけね。
だいたいこの歴史カードを持ちだされると日本は戦わずしてイチコロで負けてきたのです。
ときおり保守派議員が勇気を振り絞って常識的見解を持ち出すと、100%野党とメディアによって「暴言」として辞任に追い込まれてきた歴史があります。

ところが今回のムン発言は、同じ歴史カードを扱いながら今までにない苛立ちが含まれています。
なぜでしょうか。
それは今回、日本が韓国の歴史カードを「相手にしない」態度で臨んでいるからです。

今回の「第2河野談話」(私の勝手な命名) は、今までの近隣国配慮から、一件一件是々非々でリアルに対応していく現実主義的外交路線に切り替わっていく象徴的発言として記録されることになるはずです。

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https://courrier.jp/news/archives/113625/

「河野太郎外相は27日の記者会見で、1965年の日韓請求権協定に関し、「韓国が歴史を書き換えたいと考えているならば、そんなことはできないと知る必要がある」と韓国側を批判した。外国人記者からの「韓国政府が『日本は歴史問題への理解が足りない』と指摘していることにどう答えるか」との質問に答えた。質疑は英語で行われた。」(毎日8月28日)
https://mainichi.jp/articles/20190827/k00/00m/030/109000c

「(韓国が)歴史を書き換えたいと思っても、そんなことはできないと知れ」ですか、よくぞ仰せられた。まったくそのとおりです。
朝日・韓国合作の慰安婦フェークをろくすっぽ調べもしないで謝罪談話をしてしまい禍根を残しまくったパパ河野による「第1次河野談話」を、息子がみごとに
リカバリーしました。パチパチ。
ついでにパパの談話も廃棄してくれれば嬉しいのですが、韓国じゃないからダメか、残念。

もちろんこの「第2河野談話」は、日本統治がすべったのころんだのということについて言ったわけではなく、かといっていわゆる保守的歴史観を対置するのでもなく、むしろそのような歴史問題を現実の外交局面から切り離そうとしています。
私はこれこそが、韓国の「千年謝罪論」に対する
最良の対応だと思います。

かつての自民党保守派のように、「日本は韓国統治でいいこともした」などと言えば、待ってましたとばかりに韓国からは「正しい歴史を知らない妄言」「極右」とお約束のようにように決めつけられ、同盟国であるはずの米国からさえも「歴史修正主義」とそしられるはめになるのは目に見えています。

逆に外務省的韓国応接マニュアルどおり、「日本は既に多くの謝罪してきており、カネも支払ってきています」なんてしおらしく答えようものなら、「心がこもっていない。首相くらいじゃだめだ。天皇を寄こせ。ひざまずかして謝らせろ」ということまで言い募ります。
ではほんとうに韓国か望むように、天皇陛下を訪韓させて土下座させて許しを乞うたとしても、今回のムン発言のように「一回謝ったくらいではダメだ」、また天皇を来させて今度は韓国大統領様の靴をなめろ、くらい言いかねません。

もちろん日本はそんな馬鹿げた要求には応じられるわけはありませんから、一蹴したらしたで昨日のメビウスの輪ではありませんが、また初めに戻って「歴史認識が間違っている。謝罪しろ」とリピートされるだけのことです
どこまでいっても堂々巡り。永遠のワンパターン。
アホくさ。つきあいきれんわ。

つまりはなにをしようと、なにを言おうと、韓国は永遠に満足するわきゃないのです。
ならば韓国がなにを言おうと言うまいと、千年恨もうとどうしようと数万年憎もうと、常に日本は戦略的放置をキープして、リアルな局面についてだけ対応すればよいのです。
降りかかった火の粉は払う、それだけのことで、それ以上踏み込まないことです。

今回の場合は河野外相が言ったように、韓国は日韓基本条約をどうするのか、廃棄したいのかしたくないのか、するならそれ相応のおもてなしをすると宣告すればよいのです。
つまるところ、では日本統治時代の私的・公的資産を耳を揃えて清算してもらいましょうか、ということに発展していかざるをえないのです。
あんたの国が言っていることは論理的にはそういうことですぜ、と言ってやることです。

とりあえず今回の輸出管理規制の変更は、歴史認識とは関係ないからね、よく経済産業省からもらったペーパーを読みなさい、と相手がイヤになるまで繰り返し言い続けることです。
つまり日本は韓国がどう思っているかなどを忖度する必要は一切ないのです。

旭日旗をナチス旗のような戦犯旗と言おうと(朝日にもいうんだね)、オリンピックメダルのデザインがキョクジツキーだぁと騒ごうと(が、はは)日本製品を不買しようと(いかに依存していたか分かった)、日本を放射能汚染国と言おうどうしようと(計ってからいいな)、はいどうぞご勝手に。

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http://vox.hatenablog.com/entry/2019/07/13/173612

具体的に淡々と事実だけを言えばいいだけのことです。
そう、あの輸出管理規制時の経済産業省のお役人を手本にすればいいんじゃないでしょうか。
当該官庁が、感情を交えずに淡々と回答する、それでオシマイです。
こういう対応が一番韓国の困ることで、言えば言う
ほど、自分のコリア小児病ぶりが暴露されてしまいます。

ムンは今や正恩からは「便を漏らした裏切り者」(ほんとにほんとにこう言った)としてして扱われ、中国にすがろうにも冷たくあしらわれ、本来ならば最大の後ろ楯のはずの米国からもGSOMIA裏切りで見事パーにしてしまいました。
もうどこの国も手を差し伸べません。

そのうえ、最側近の逮捕間近でとうとう足元にも火が回り始めました。
こんな奴は使い物にならないと、韓国の真のオーナーである民主労総が決断すれば、遠からず第2ろうそくデモも始まるしょう。
ムンとして残された一手が、この歴史認識ガソリンに火を着けることなのですから、おかしな対応をしてムンを喜ばせることはありません。

日本は米国と歩調を合わせながら、静観していましょう。
実は
いままでもそうだったのですが、遅まきながらやっと日本はそれに気がついたようです。

2019年8月29日 (木)

ハーグ密使事件 100年間変わらない韓国


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太極旗というものがあります。
このデザインは遠目には日章旗にちょっと見が似ているので困ったもんですが、日本が押しつけたわけでもなんでももなく、日本統治時代の前から存在します。
元来、14世紀に制定された李氏朝鮮の国王の旗で、陰陽思想が元だそうです。

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日章旗がいままさに天空に駆け上がろうとする太陽を現しているのに対して、太極旗は青と赤の巴文様が永遠に続くグルグル回る様を現しています。
赤い陽が栄えれて滅びれば、青い陰が勃興し、そしてそれもまた滅びる、という永遠の繰り返しです。
ですから、陽が栄えている時も、実はその影で陰が育っているわけで、常に善と悪、虚と実が入り組んでいるわけです。
国旗というのがその国柄の象徴だとすれば、まことに韓国をよく現している旗ではあります。

当人にはその自覚がないかもしれませんが、ハタから見れば、表道りを歩いているように見えるがいつのまにか裏通りを歩いており、昼かと思えばまた夜、本当だというから信じれば実は嘘だったりするわけで、彼らにとって二枚舌は罪ではないようです。
一種のメビウスの輪のようなもので、始まりもなければ終わりもない、嘘は口から出放題ですので、「竹を割ったような」というのが美徳なわが民族には理解を超えます。

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メビウスの輪

政治学者の倉西雅子氏が「韓国の‘メビウスの輪戦略’」(百家争鳴)という論考で、韓国は徴用工裁判でこのメビウス戦略を取っているのではないかという興味深い指摘をされていました。
http://www.ceac.jp/cgi/m-bbs/index.php?no=3727

倉西氏はムン政権の仕掛けて来る日本攻撃について触れられていましたが、韓国という国自体がこのメビウスの輪を一定の周期で繰り返しているようにも見えます。
たとえば、韓国は日本の輸出管理規制の変更に対して、米国に泣きついたり、WTOに提訴してやると息巻いていますが、これなどは日韓紛争の原点ともいえるハーグ密使事件とそっくりです。
そう言えば、韓国は常に日本統治を違法とし、軍事的脅迫を受けた占領だと主張していますが、これは朝鮮王がハーグに密使を送って反対の意志をしめしていたからだ、というのが論拠の一つになっています。

では、このハーグ密使事件とはどのようなものだったのでしょうか。
この事件は112年前の1907年(明治40年)6月に、滅びようとする李王朝がオランダのハーグで開かれていた第二回万国平和会議に、日本によって外交権が奪われたとしてその回復を訴えるために3名の密使を送った事件です。

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密使たち。 李ジュン、李サンソン、李ウィジョンの3名

結果からいえば、門前払いでした。
なぜなら、ハーグ平和会議はそもそもこんなことを議題にする場ではなかったからで、この密書の宛て先に指名されたロシア皇帝ニコライ2世からすらも日本の天皇宛ての会議招聘状がないような書状は受け取れないとあしらわれてしまいました。
すると密使たちは、今度はホスト国のオランダ外務大臣に懇願したのですが、これも日本公使の紹介がなければ引見できないとして、面会すら拒否されるありさまでした。
いやまったく、百年前から何やってんだ。
先だってのWTOジュネーブ総会やRCEP北京会議の顛末に似すぎていてコワイくらいです。

一方ハーグ事件を受けて日本は、伊藤博文がこの行為は日韓協約違反であり、日本に対しての公然たる悪意だとしました。
というのは第2次日韓協約に、日本政府は「統監を京城(ソウル)に駐在させ、外交ニ関スル事項ヲ管理スル」と定めた条項を結んでいるからで、これに合意しておきながら、相手国に対して協議はおろか通告もなく国際会議に密使を送るという非常識にあきれ返ったからです。
仮にこの条項が気に食わないなら、まずは二国間協議の場を設けて粘り強く主張し改定にこぎつけるのが国際的外交常識であって、そのプロセスを全部吹っ飛ばしていきなり相手国の頭越しにイガンジルするという行為自体が非常識極まれりなのです。
密使を送った韓国もさることながら、それに呆れ果てた当時の日本の受け取り方も、今回と酷似しています。

ちなみに明治日本は幕末に結んだ各種の不平等条約に苦吟しており、それを前政権の幕府がやったことだ「積弊払拭」だとせずに、延々と半世紀かけて改定にこぎつけた歴史を持っていました。
それを骨身に染みて知っている伊藤たちかつての志士たちが、この韓国の耐えられない軽さに何を感じたか、想像に難くません。

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高宗

さらにこのハーグ密使事件にはおまけまでついていて、これが苦笑させられます。
この当時の日本政府の怒りに接して李王朝は震え上がり、なんと国王・高宗はこの事件については「朕の与(あずか)り知るところに非ず」という密使を突き放す無責任な発言で逃げようしたのです。
もちろん密使は国王の意志で派遣され、密使に王の委任状を所持させているにもかかわらず、トップがそれを偽書と言ってしまうというあたりの神経がたまりません。
またもや出ました、トップが責任をとらずまっ先かけて逃げ出してしまうというセウォール号症候群です。

これなどは日韓基本条約否定という重大違約をするのに、姑息にも自らの手を汚さずに韓国最高裁判決を使うというムン閣下の手法そのものです。
そんなにやりたいなら、大統領が直接手を下し、全部の責任を引き受ければよいだけのこと、そう思ってしまう「島国根性」の私たちが単純すぎるのでしょうか。

この韓国王のトカゲのしっぽ切りを見た伊藤の言った言葉が残されています。

「もはや虚言を弄して取消すべきにあらず、ハーグに於て陛下の派遺委員は委任状を所持することを公言し、かつ新聞紙上に日本の対韓関係を誹謗したる以上は、彼等の陛下より派遺せられたることは世界の熟知する所である」

すぐにバレる嘘をつくな、国際社会をだまそうと思うな、という伊藤の警告です。
この伊藤の怒りは、100年離れて今の安倍首相の「韓国は約束を守らない」という言葉と重なります。

ちなみにこの伊藤の厳しい態度に驚愕した韓国宮廷は周章狼狽し、李王の退位を画策してみたりしましたが、あえなく失敗。
窮した挙げく、なんと伊
藤になんとか王を説得してもらえないか、という恥ずかしさの極みのような要請すら行います。
おいおい、どこに自分の国王に外国人から辞めるように言ってくれ、と頼む国があるんでしょうかね。

重い腰を上げた伊藤は、やむなく国王に会い、「かかることは韓国皇室の決すべきことで国王の臣下ならざる自分がその是非を云々する立場にはない」とひとこと言うとさっさと帰ってしまったそうです。
結局、高宗
はあえなく退位を承諾し、皇太子・純宗に王位を譲りました。
この純宗が最後の朝鮮王となります。

条約の重みを知らない、平気で条約を破る、破っておいて日本が怒って対応をとると今度は国際社会に密使を送りつける、そして当然国際社会から門前払いされる。
そしてそのためにいっそう状況を悪化させると、今度はうろたえて「自分は知らない」と責任逃れを試みる。
それが無駄に終わると寄ってたかってトップの首を切る、挙げく国は四分五裂となって滅びるが、末代まで日本が全部悪いと逆恨みする、というわけです。
あー、めんどくさい国・・・!

このように韓国は、いつもこのメビウスの輪の上で、発火→暴走→国際的孤立→敗北→トップのすげ替え→亡国というサイクルを辿っているようです。
だとすれば、現時点は発火・暴走・国際的孤立・敗北のフェーズが既に終了し、トップのすげ替え段階に達したようです。

そろそろかなと思っていたら、案の定。ムンの最側近であるチョ・グクが娘の縁故入学などの容疑で家宅捜索を受けたというニュースが飛び込んでいました。
もうムン政権は年内持たないかも知れません。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190828-00000014-cnippou-kr

しかしそれでもなお100年間なにひとつ変わろうとしなかった韓国は、ムンなき後もまた同じように懲りもせずにメビウスの輪の上をころがっていくのかもしれません。

勝手にやって下さい。

 

 

 

2019年8月28日 (水)

共産党長老から習への「10の質問」とは

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全人代常務委員会が終わったはずですが、香港に対して「暴乱」規定をしたか、気になっているのですが、報道が入ってきません。
逃げた韓国人容疑者のゆくえなんかをダラダラやっている始末で、そんな暇ネタは後にしろよと舌打ちしたくなります。
まったく日本のメディアときたら、なんの役にも立たないい。

私がこれに注目するのは、香港基本法第18条に、全人代常務委が「制御不能の動乱」と判断し「香港の緊急事態入り」を決定すれば、「中央政府が全国の法律を実施できる」と規定されているからです。
香港に隣接する広東省深セン市への集結が伝えられる人民武装警察(武警)を香港に投入する場合、この規定を根拠にしなければならないからです。
武装警察といっても、中国共産党中央軍事委員会の指揮下にある準軍隊で、国際的にはれっきとした軍隊として認知されていますから、これを投入すれば結果はわかりきっています。

ところで香港の先日25日のデモで、とうとう実弾が発射されました。

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ロイター https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48980490V20C1...

ただし威嚇射撃なので、負傷者が出なかったのは幸いでした。
ロイターが配信した写真を見ると、バニくった警官の個人的発砲ではなく、指揮官が命令して複数の拳銃発射をしていますから、上からの指令に基づくものだったようです。

「警官による発砲は、中国本土に近い香港・新界地区で行われたデモの現場付近で発生した。香港紙、明報(電子版)によると警察側は同日、発砲があったことを認めた。香港では逃亡犯条例改正案の撤回などを求めるデモが6月から激化しているが、警察による発砲は初めてとみられる」(産経8月25日)

この警官隊の発砲によって死者や負傷者がでなかったのは不幸中の幸いでしたが、もしそれが生じた場合、一挙に香港は修羅の巷となったかもしれません。
いずれにしても、この発砲事件は香港警察の能力が限界点を超えたことを物語っています。

一方デモ隊側も、一部が火炎瓶を投げるという愚かな跳ね上がりを行為しています。
いまこの時期にそんなことをすれば、合法集会の開催さえ不許可になるのはわかりきった話で、合法集会を阻止する目的でやったとしかおもえません。
緊迫したこの時期にこういうことをすれば得をするのは中国共産党だけであり、おそらくはその息のかかった者でしょう。

それはさておき中国政府がどこまで実力介入する意志があるのかは、今の時点では読めませんが、やるやるとは宣言しています。

「中国国営新華社通信は25日の論説で「香港で暴動が起きた場合、介入するのは中国中央政府の権限だけでなく、責任でもある」とし、こうした状況で中国政府の行動が必要だと説いた元最高指導者、鄧小平氏の発言を想起させる見解を示した」(ブルームバーク8月26日)

ただし、やってしまったら、世界有数の金融センターという金を生むガチョウを絞め殺すことになるうえに、米中交渉に致命的な打撃を与えることなどはわかりきった話です。
それに止まらず、国連安保理の非難決議の対象となるでしょう。中露は反対するでしょうが、賛成多数なはずです。

いま、香港の民主化デモは、逃亡犯条例反対といった初期の要求を超えて、中国がもっとも嫌がる自由選挙実現、中国政府打倒、香港独立を叫ぶまでになってきました。
これらの要求
は中国大陸において初めて公然と掲げられた「カラー革命」の旗でした。

この事態を引き起こしたのは、ひとえに中国政府の初期対応のまずさのためでした。
200万人デモが勃発した時点で、中国はどうせ持続できやしない、香港警察でひねり潰してやる、という甘い観測を持っていたはずですが、そうは問屋がおろさなかったわけで、持続的に100万単位のデモが香港行政府を着実に締め上げてていきます。

火が燃え盛り、参加者は若者だけではなく中高年、公務員にまで拡がっていき、たぶんこのままこのエネルギーを維持できれば、後は民主化運動派がゼネストという最終切り札を抜くか、中国政府が治安軍を投入するかという切所に来ています。

福島香織氏によれば、共産党政府の中にも強硬論は存在するようで、その主唱者は王滬寧 (ワン・ フーニン) のようです。
下の写真の右側の男で、まだ60代で共産党トップとしては異例の若さです。

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王滬寧 - Wikipedia

ワンは、王岐山がチャイナ7(共産党常務委員7人)から外れて以降、唯一の習近平の側近です。
この人物は、党の理論面を担当してきました。
つまり毛沢東主義の教条を、いかにいまの共産党資本主義とマッチングさせるのかが仕事だったわけです。
ワンは習の看板である「中国の夢」の名付け親です

2017年10月の党大会初日の習の3時間にも及ぶ政治報告の起草はこのワンが行っています。

「まさに彼が手掛けた。最大のポイントは、建国100年を迎える今世紀半ば(2049年)、中国をアメリカと肩を並べる「トップレベルの総合力と国際的影響力」を持つ強国になる目標を定めた部分である」(岡田充ビジネスインサイダー11月1日)
https://www.businessinsider.jp/post-106611

また習のトップブレーンであるだけではなく、江沢民、胡錦涛の前元総書記の側近として、中国共産党の政策理論を15年にわたって支えてきました。
薄煕来・元重慶党委書記など多くのトップリーダーが失脚する中で、この男だけは三代にわたる指導者に仕え、中国では「不倒翁」(起き上がり小法師)と呼ばれているそうです

「王滬寧は1980年代にはすでに「半月談」(新華社発行)など時事雑誌の表紙を飾る青年学者として有名であり、中国の発展には「強人」(ストロングマン)による開発独裁的な権威主義体制が必要と主張する「新権威主義」と呼ばれる一派の論客として活躍し、中国共産党上海市委員会宣伝部の注目を得て、第13回全国代表大会以降、党の重要理論の起草に関わってきた。」(ウィキ前掲)

共産国家のイデオローグの常として、現行の権力者の政策をカッコよく理屈づけするのが仕事です。
ワンの場合、グローバル化の波に乗って巨大化した中国が、なぜ共産党の一党支配という反市場主義、かつ反自由主義的体制をとるのかについて、あれこれと理屈づけをしてきたわけです。
ムンはシンガポールのリー・クァンユウをモデルにした、いわゆる「開発独裁」が中国経済発展のためには必須だとする考え方をとりました。
シンガポールの開発独裁は経済発展と共にゆるやかに解消され、民主主義体制に移行していきます。
一方、外形的には似ていなくもないのですが、中国がシンガポールと異なるのは、共産党独裁を絶対に譲れない価値だと考えている点です。
ですから、米国の歴代政権が期待したような、経済成長するにしたがって分厚い中間層が生まれ、彼らによって民主的国家へとゆるやかに移行していくということはありませんでした。
リー・クアンユー - Wikipedia

ワンは去年失脚しかけたのですが、ここも巧みにサバイバルし、今や対米最強硬派として妥協路線を選ぶ他の常務委員の尻を蹴り飛ばしていると伝えられます。
ちなみに今年一回まとまった米中合意を一瞬でひっくり返した「
50ページ削除事件」は、この男の仕業です。

このようなワンが香港について何を習に進言しているのかは、想像するに難くありません。
たぶん、「いまの中国の経済力・軍事力はかつての天安門事件時とは比較にならないが故に、国際的包囲など怖くはない、香港を一時封鎖してでも徹底鎮圧し、後顧の憂いを取り除け。それが共産党の権威を保つ唯一の手段だ」、といったところで間違っていないはずです。

ところでこれも福島氏によりますが、北戴河会議で、ある長老が習に対して「10の質問」をしたそうです。ちょっとご紹介しておきます。

① 香港問題は最終的にどういう決着をつけるのか?
② 中国経済はこのまま下降していくのか。中国共産党は来年もあるのか?
③ 高圧的な統治のやり方で、中国社会を、中国共産党は来年も支えることができるのか?
④ 米中関係がこのままで、中国共産党は来年まで乗り切れるのか?
⑤ もし、新疆やチベットの少数民族の人民が、突然全員でデモを起こしたら、中共は再度、鎮圧できるのか?どのように解決するつもりか?全員捕まえるつもりか?
⑥ 中国共産党内部の人々は誰もが自分の身の危険を感じている。党内でネガティブな意見を引き起こし、海外勢力の影響もうけたとき、中国でもし、内部性の動乱や暴乱が起きたらどのように解決するのか?
⑦ 中国共産党はこのままインターネットやソーシャルメディアをコントロールできるのか?
⑧ 中国の財政赤字と外債が、もしダブルではじけたら、どういう結果になるのか?
⑨ 米国をリーダーとした西側社会が、もし中国に対して海外に所有する国家資産を違法資産と見なして、封鎖したら、どう対応すべきなのか?
⑩  中国共産党の現在の国家安全委員会制度が、実質、政治局や政治局常務委員を排除するものだとしたら、このモデル(集団指導体制)は継続していくのか?

大変にリアルな疑問で、共産党長老たちから見ても「来年まで共産党があるのか?」という恐怖に捕らわれているわけです。
その理由は、香港の「カラー革命」がチベット・ウィグルに飛び火したらもう手に負えないという、心の底からの恐怖があるからです。

福島氏はこう見ています。

「長老と現役幹部たちが、「来年はまだ共産党体制は続いているのか?来年、北戴河会議でまた我々は会えるのか?」と習近平に詰め寄っていたとしても、不思議ではない。
そのくらい、今の中国は厳しい状況に直面している。ただ、いくら詰め寄られても、今の習近平に選択肢は残っていない。もし、香港デモに対して譲歩すれば、弱腰、“投降派”と国内でやじられてしまい、その権力の求心力がゆらいでしまう」(『福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO,29 2019年8月19日』 )

習は中国史上最弱の皇帝です。
成長期には親の下放で辺境に追いやられて毛沢東主義を注入され、親が復権すればコネで清華大学に裏口入学し、強固な出身派閥を持たず、政治手腕も未熟のままで、ただひたすら政敵を粛清するだけのことしかできない、そんな男です。
とうてい14億人の指導者には器量不足です。

が故に、このような追い詰められた局面で、そのひ弱さがどうでるのでしょうか。
ワンの言うことに従って武力弾圧に走るのか、それともなんらかの妥協の道を模索するのか、いずれも決断しそこねて中国共産党ごと地獄に落ちるのか、いま、その岐路に立たされています。

 

※改題しました。すいません。

 

2019年8月27日 (火)

韓国を東アジアのブラックホールにするムン政権

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米国が「ムン政権」相手ではラチがあかないと見たのか、韓国政府の頭越しに国務省がツイートを始めています。

「米国国務省が韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)終了について改めて公に批判的な立場を発表した。今回は米軍への脅威にまで言及した。
  モーガン・オータガス米国務省報道官は25日午後5時15分(現地時間)、報道官の公式ツイッターのアカウントで「韓国政府のGSOMIA終了決定に深く失望し懸念しており、これは韓国を守ることをさらに複雑にし(more complicated)米軍の脅威(risk)を増加させる可能性がある」と述べた」(中央日報8月26日)
https://japanese.joins.com/article/946/256946.html

モーガン・オーガスタ(女性)国務省報道官のツイート原文です。

We are deeply disappointed and concerned that the ROK’s government terminated the General Security of Military Information Agreement . This will make defending more complicated and increase risk to U.S. forces.
私たちは、韓国政府が軍事情報の一般安全保障協定#GSOMIAを終了したことを深く失望し、懸念しています。 これにより、韓国の防衛がより複雑になり、米軍のリスクが高まります。

この国務省のツイートに「韓国の防衛がいっそう困難になり、米軍のリスクが高まる」とあることにご注意下さい。
GSOMIAを廃棄したことでリスクを被るのはお前ら韓国軍じゃないよ、韓国そのものとそれを守っている我々米軍だからね、勘違いすんなよ、と言っているのです。
一般国民が英語だと読まないかも知れないと思ったのか、ご丁寧にも、在韓米大使館がコリア語訳でリツイートしています。

米国は、韓国民よ、外交的配慮で奥歯にものの挟まった言い方しかできないが、米国はカンカンだからな、勘違いしているムン政権のいうことを鵜呑みすんじゃねぇぞ、、ということを直接韓国民に伝えたのです。
これも外交的には非常識で、外交関係が正常なら受け入れ国を頭越しに批判することは控えます。
いわば「ムン政権」相手にせず、ということのようです。

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外交的配慮を優先する国務省報道官がこの調子ですから、歯に衣を着せないトランプに至ってはこの調子です。

G7サミットで、アメリカのトランプ大統領が、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領を「信用できない」などと、2日にわたって痛烈に批判していたことが、FNNの取材でわかった。
トランプ氏が文大統領を批判したのは、フランスで開かれているG7(主要7カ国)首脳会議の初日の夜で、首脳らが外交安全保障に関する議論をしている最中に、「文在寅という人は信用できない」などと切り出したという。
政府関係者によると、トランプ氏はさらに、「金正恩は、『文大統領はウソをつく人だ』と俺に言ったんだ」と重ねて批判したという。
そして、トランプ氏は、2日目の夜に行われた夕食会でも、文大統領について、「なんで、あんな人が大統領になったんだろうか」と疑問を投げかけ、同席した首脳らが、驚いた表情をする場面もあったという。
一連の発言に対して、安倍首相が反応することはなかった」(FNN8月26日)
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20190826-00423006-fnn-pol

そりゃ安倍さんが「反応」するわきゃないですよ。
「なんであんな奴が大統領になっちまったんだ」ってトランプに言われて、そうそうオレもアイシンクソー思うなんて言ったら韓国は米国にではなく日本に噛みついてきますからね。
おまけにトランプは、正恩が米朝会談で言った「ムンはうそつきだから信用できない」と言ったことまで暴露してしまいました(笑)。
どうやら日米北朝鮮といったムン政権と関わった国は打ち揃ってムン・ライヤーと思っていた、という奇妙な連帯感が生まれたようです。
私がムン閣下なら舌噛んで死ぬね。

では、少し視点を広げてみましょう。
周辺国は遠からずムン政権が倒れるに止まらず、韓国と言う国家が南ベトナム化するのは時間の問題だとみているようです。
それが中露同盟の強化となって現れてきています。

中露同盟は今まで呉越同舟の見本のような関係で、互いに全く相手を信用していません。
なんせ互いに相手に届く核ミサイルを保有し、4千キロの陸上国境を接していますから、こんな地勢的環境の二国が仲がいいはずがありません。
現に小規模ですが戦争をしたこともありますが、いまは奇妙な蜜月を迎えています。
それは米国という共通の敵が生まれたからです。
蜜月といっても今までは国連安保理で米国案に反対票を一緒に投じるていどのことだったのですが、とうとう共同作戦行動までレベルを上げてしまいました。

たとえば7月23日に北東アジア地域で中露空軍の爆撃機と早期警戒管制機が編隊を組んで、初めて中露共同の戦略パトロールをしました。
これは記事でも取り上げましたが、悪い意味で画期的なことです。
関連記事 http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2019/07/post-0373da.html

お忘れかもしれないので、もう一回事実関係を押えておきます。
7月23日、竹島上空でロシア空軍のA-50早期警戒機が「領空侵犯」し、中国軍機も接近しました。

これに対して韓国軍は虎の子のF15を出して警告射撃をしました。
韓国軍は練度の低さをよくいわれますが、スクランブル発進が可能な空軍は世界でもわずかです。
それはさておき、舞台がわが国領土の竹島(韓国のいう独島)領空域だったことが問題です。
ここへ中露は2回侵犯していますから、偶然ではなく確信犯です。
竹島という日韓の係争地上空に二国が共同で領空侵犯させるという行為自体が、強い政治的意味を持っているからです。

それは中露空軍の陣容のエグさを見ればわかります。
・中国空軍H-6爆撃機×2機
・ロシア空軍Tu-95爆撃機×2機
・ロシア空軍A-50早期警戒機×1機

これが単機の戦闘機の侵犯ならいざ知らず、核爆弾搭載可能な戦略爆撃機が4機、それに早期警戒機まで随伴させているという豪華絢爛の陣立てですから、韓国もなめられきったものです。
もはやこれはただの示威ではなく、実戦を想定した訓練だったことになります。

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聯合 https://jp.yna.co.kr/view/GYH20190723001700882

それは両空軍が違った方向から空中集合をかけていることからもわかります。
中国空軍H-6爆撃機2機は東シナ海から対馬に向かって飛行し、方やロシア空軍Tu-95ベア爆撃機2機は沖縄上空から北上して、これを空中集合させるという高度なことをやってみせています。

中国国防部はその目的を今年の「国防白書」の中で、ロシアとの軍事協力のさらなる強化が達成されたとし、それは米国の軍事的脅威が世界の安定を損ねているからだと名指しで批判しています。
つまり、米国が中露共通の軍事的脅威だから、オレらは日本海でも肩を組んで米国と張り合って行くんだということです。

一方ロシアも「モスクワと北京は軍事協力協定を刷新する」(ベドモスチ紙23日)として、中露軍事協力協定を強化する方針をメドベージェフ首相が承認したそうです。

この中露軍事協定は、1993年に締結され、技術協力、軍事情報共有、人材育成協力などが盛り込まれていますが、実効性に乏しいとされてきました。
なぜならその協定には、共同訓練などの具体行動が記されていなかったからです。
つまり軍事同盟としてはなはだ未熟というか、やる気のないものだったわけです。

軍事同盟は、米韓合同軍事演習や日米共同訓練を見ればわかるように日常的な両軍のすり合わせの積み重ねがあって成り立つもので、署名すれば終わりではありません。
ですから、トランプが今回のG7で、「オレは米韓合同演習なんか100パーセント不要だと参謀に言ってやった」と述べたのは、まさにずばり米韓同盟なんかいらない、と言ったことに等しいわけです。

それはさておき、ではなぜ中露軍事協定に今まで共同訓練が入らなかったのかといえば、相互に相手を信用していなかったからに尽きます。
この風向きが変化し始めたのは、2018年
9月のシベリアで行われた大規模演習「ボストーク2018」に中国軍が招かれたあたりからでした。

そして今回の竹島上空への共同軍事演習へと進化していきます。
これは中露が
アジア太平洋地域と日本海において軍事プレゼンスを米国から奪う目的だと考えられます。
ワシントンのグローバル台湾研究センターの研究員、マイケル・コールはこのように述べているそうです。
「今回の中露連合巡航演習が示すのは、両国の協力がさらに一歩成熟し、インド太平洋同盟関係における米国への直接的な挑戦だ」(BBC)
つまり、日米印、そしてオセアニアが参加するインド太平洋ダイヤモンド構想に対して、中露軍事同盟で対抗するという見取り図です。

ではこの中で、韓国はどのような位置を占めるのでしょうか。
元来は韓国は自由主義諸国連合であるインド太平洋ダイヤモンド構想に参加し、その一角の日米韓三カ国連携を堅持すべきでした。
しかしダイヤモンド構想参加を拒否し、さらにはGSOMIA廃棄で三カ国連携からも勝手に離脱してしまいました。
昨日使った表現を使えば、自由主義諸国陣営からのクレグジットです。

おそらく今後、このままムン政権が継続されれば、必然的に米国が愛想尽かしして在韓米軍撤収・米韓同盟終了という結末を迎えることでしょう。
それは韓国が中国圏に吸引されて行くことでもあります。
ただ、韓国は国民向けに「米国が同盟をやめる言い出した」と言い訳したいわけです。
これは今回、「GSOMIAが日本のために廃棄された」と説明しているのと同じで、「やられた」メンタリティが強い国だからです。

ムン政権は、三カ国連携から中露同盟に乗り換えたいという下心を持って動いていると考えられます。
そのために必要なのはこの「日米からやられた」という口実です。
「日本からやられた」という理由ほど韓国で錦の御旗になるものは他に見あたらないからです。
そして日本を叩けば、自動的に強力な日米同盟を有する米国まで引き出すことが可能だと思っています。

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ですから、今後韓国は日本から「やられた」状況をひんぱんに作りにくるでしょう。
従来は慰安婦問題や徴用工などの政治的なものでしたが、GSOMIA廃棄以降はタガがはずれたように軍事的挑発も含むものに変化していくことでしょう。
たとえば、先日実施した竹島海域での軍事演習がそうです。

「【ソウル=桜井紀雄】韓国海軍は25日、韓国が不法占拠する竹島(島根県隠岐の島町)の防衛を想定した合同訓練を25日に始めたと明らかにした。26日まで実施する。韓国が日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決定して間もないだけに、安全保障に絡んだ日本とのさらなる確執は避けられない。 規模が例年のほぼ倍に拡大された上、名称も「独島(トクト=竹島の韓国名)防衛訓練」から日本海の韓国名を冠した「東海(トンヘ)領土守護訓練」に変更された。日本の輸出管理厳格化に対する事実上の報復の側面は拭えない」(産経8月26日)
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/190826/for1908260007-n1.html

中露が想定している近未来は、韓国なき状態です。
すなわち、韓国が米国を追い出してしまった結果生じる「力の真空」を、中露軍事同盟で埋めようということです。
その場合、日本海の出口に当たるチョークポイント対馬周辺海域・空域が、日米同盟との力のせめぎ合う焦点となります。
ですから今回の竹島侵犯事件は、竹島そのものが問題ではなく(もちろん日韓分断ていどの意味はあるでしょうが)、対馬まで敷衍して見ねばなりません。

具体的には、対馬海峡が日米によって封鎖され場合、露海軍は日本海から出られなくなります。
一方中国海軍も日本海へ侵入し、露海軍との合流が阻止されてしまいます。
共同作戦をとるには、対馬海峡を封鎖している日米海軍を破らねばならないのです。
そのためにどう空軍力を共同使用するのかを演習していたと思われます。

このように、周辺国は既にムン政権なき後、いや韓国なき後ポッカリ開いた東アジアの政治的真空を見据えています。
憂鬱なことですが、韓国は東アジアのブラックホールと化して周辺国を引きこんでいくことでしょう。
というか、既にそうなりかかっているのですが、気がつかないのは当人だけのようです。

まるで李王朝末期のように、朝鮮半島を舞台にして各国勢力が権力者を取り込んで抗争を続けたあげくは国を滅ぼしたように、です。
滅びるならひとり勝手にやってくれと思いますが、それを安易にさせてもらえないのが、韓国の因果なところです。
 

 

2019年8月26日 (月)

米国の警告 韓国はクレグジットする気か

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まずは、北朝鮮の「飛翔体」についてです。
GSOMIA廃棄についての韓国の言い訳と一緒で、またかいという気分にさせられますが、簡単に押えておきます。

「8月24日早朝、北朝鮮が東部の咸鏡南道から日本海に向けて2発の飛翔体を発射しました。韓国軍の観測では水平距離380km、最大高度97km、最大速度マッハ6.5で、これは通常軌道で発射されたことになります。そして翌25日、北朝鮮は24日の発射が大型ロケット弾だったと発表しました。ロケット弾としては世界に類を見ない非常に大きなもので、北朝鮮は国産の超大型放射砲(放射砲とは多連装ロケットの意味)と宣伝しています」(JSF) https://news.yahoo.co.jp/byline/obiekt/20190825-00139781/

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指導者同志におかれましたは、揺るぎなき確信というか、トランプが手放しで認めてしまっているために腹を突き出してブイブイいっておられるようです。
米国がこの調子なのは、北朝鮮の弾道ミサイルの矛先が韓国にだけ向けられているためです。
極端にいえば、米国は朝鮮半島の仕切りを今や北朝鮮の手に渡してしまった観さえあります。
いつ裏切ってもおかしくはない味方より、頼りになる敵というわけです。

「超大型ロケット弾の弾頭重量は短距離弾道ミサイルよりは少なく、核弾頭の搭載は考えられていないでしょう。通常弾頭で韓国軍や在韓米軍の後方拠点を遠距離から撃破することを狙った新型装備だと考えられます」(JSF前掲)

今まで、短距離弾道ミサイル発射にはひとつのパターンがあって、ムン閣下が「南北統一すりゃ日本に勝てる」とうそぶけばその翌日にチュドーンと撃ってきました。
一種の漫才のボケとツッコミみたいなもので、ムン閣下がこう言えば「偉大な指導者同志」はこう撃ち返すというわけです。
前回の発射は、米韓合同演習をやっておきながら何が南北融和だ、笑わせやがる、ということですが、一理あります。
まぁ、合同演習における動員体制はそのまま本番に移行できるので、そう思われてもいたしかたがありません。
今回の発射もその伝で、ムン閣下が
GSOMIA廃棄でボケたとたん正恩のツッコミが文字どおり飛んできました。
やるならキチンとやれや、グラグラするんじゃねぇぞ、という温かい「励まし」のお言葉です。
まぁ、気をつけて見ていて下さい。北がミサイルやロケット弾を撃つのは、必ずムンが口先で調子のいい南北融和を口にした後ですから。

ちなみに日本のほうが10分早かったからどうのという論調がネット界にありますが、現時点ではGSOMIAは11月22日失効まで生きていますからただ日韓の公表システムが遅いか早いかの差にすぎません。
たぶん朝鮮半島から離れた日本海の遠くに撃った場合、いまの韓国の実力では探知できないとは思いますが。

あえていえば、今回岩谷大臣の対応が早かったので、ひょっとしたら日米の情報衛星によって発射の兆候が伝えられていた可能性はありますが、そんなことは公表されるはずがないのでわかりません。

さて、 韓国が判断を毎回のように誤ってダッチロールするのは、物事を日韓の二国間関係の中でしか見られないためです。
今回、GSOMIA廃棄で典型的にその悪癖が出ました。
GSOMIA廃棄してこんなに米国が檄オコするとは予想外だったようで、調子よく「GSOMIA終了の決定を米国が理解している」なんて言ってしまった直後に、それを米国側から完全否定されるみっともなさでした。

すぐにバレる嘘を平気で言う韓国の習癖は私たち日本人は骨身に染みてよく分かっていますが、米国もここまでケロリとして嘘をつかれると、さすがにムッとなったとみえて、いままではROK(大韓民国)と呼んでいたのに、今回は「ムン政権」(administration) という表現に代わっています。
これは韓国にとって、けっこう危険な兆候です。

もちろん外交的に穏当な表現ではなく、たとえばわが国に対して「日本」と呼ばずに「アベ政権」と呼ぶようなもので、韓国政府の正統性について米国は懐疑し始めているぞという外交的シグナルです。
このようなことを「アグレマン拒否」と呼びます。
アグレマン(仏語)は外交用語で「承認」「承諾」という意味ですが、米国はムン「政権」に対してアグレマン拒否一歩手前だということを現しています。

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https://president.jp/articles/-/29713

ところで韓国がGSOMIAを破棄する理由の一つに、8月15日の第74周年光復節(解放記念日)記念式典で演説に日本が呼応しなかったことを上げています。
ちみなみに
、朝日新聞も英語版でこの韓国の弁解に追随しています。

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H.S. Kim @xcvbnm67890 8月24日


そりゃそうでしょう。日米韓三カ国で均等にGSOMIAが重いわけではないのです。
日本にとって朝鮮半島有事で出来ることは限られています。
後方において米軍の兵站や出撃拠点を提供するていどでの役割しかなく、基本は頑張ってくださいね、米軍さんといったところです。
韓国軍は本来自分の所の話ですからもっとどうにかせにゃならんのですが、なにぶん彼らの主敵はわが国なようですし、北朝鮮が攻撃するわけないとタカをくくっていますから、初めから「同胞」とやる気なんてないわけです。
というわけで、米国にとってこそGSOMIA は重要だったのです。

だからこそ米国は水面下で、積極的に積極的に協定廃棄にストップをかけようと動き回っていました。
もっとも動いたのは担当のハリー・ハリス駐韓大使でした。

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【「ソウル聯合ニュース】ハリス駐韓米大使は20日、ソウル市内で韓国主要企業の最高経営者(CEO)らと朝食を兼ねた懇談会を開き、日本との関係回復で役割を果たすよう要請した。懇談会は非公開で行われた。
ハリス氏は日本の対韓輸出規制に関する米国側の立場を説明したという。懇談会の出席者は「韓日の貿易問題が早期に解決することが両国の経済やグローバル供給網の次元からも重要だが、米国にとっても韓米日の安保同盟の面で重要であることを強調した」と伝えた。
 また、両国の関係回復は米国のインド・太平洋戦略にも重要なため、日本企業との接触を増やし、事態の解決に寄与するよう働きかけたという」(聯合8月20日 写真も同じ)
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20190820001200882?section=politics/index

ハリス米大使は、大使としてギリギリの線を超えたラインで日本の経団連に当たる人たちに直接しゃべっていますから、いかに状況が切迫しているかお分かりいただけると思います。
通常、大使は受け入れ政府の頭越しにその国の外交方針を批判することは控えます。
接受国に内政干渉とねじ込まれる可能性があるからです。
その禁を犯してまで米国大使が韓国経営者たちに対して警告したのは、協定廃棄がもたらすのがただの日韓関係の破綻などというかわいらしい次元に止まらず、ムン政権は自由主義陣営からKOREXIT(クレグジット・渡邉哲也氏命名)する気らしいが、経済界はそれを容認するのか、と問うたようです。

ムン政権の「積弊払拭」政策によってサムスン副会長には年内には有罪判決が出る予定ですし、戦略物資の供給は不安定化するので、米国への移転も視野に入っているようです。
サムスンが移動すれば他の大企業も続々と国外逃避を回避することでしょう。

また少し前に訪韓したボルトンは韓国野党と最初に面会するという非礼をあえて行ってみせ、さらにムン政権に対して駐留経費5倍という法外な要求を吹っ掛けましたが、これも米国が韓国に対してどこまで同盟堅持の意志があるのか測定するためのストレステストだったようです。

いずれにしても、米国の懐にはムン政権へのアグレマン拒否のカードが入っていると見て間違いないと思われます。

 

 

2019年8月25日 (日)

日曜写真館 向日葵の朝

044

太陽が昇る前なのでうなだれています


057
哲学しているみたいですか


056

朝日が昇り始めました

005 太陽の光で力がみなぎってきます

059
見渡す限り向日葵です

2019年8月24日 (土)

韓国GSOMIA廃棄に米国激怒す


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韓国がしたGSOMIAの廃棄について米国の反応がでてきています。
(産経8月23日 以下同じ)https://www.sankei.com/world/news/190823/wor1908230041-n1.html

エスパー米国防長官 「懸念と失望」を伝えた」
・ポンペオ国務長官 「失望している」((disappointed)
・米国務省報道官 「米政権は文政権に対し、協定を破棄すれば米国および同盟諸国の国益に悪影響を及ぼすと繰り返し明確にしてきた。文政権が北東アジアで私たちが直面する深刻な懸案を正しく理解していないことの表れだ」
・トランプ政権高官 「フランスで開幕する先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)で(GSOMIA問題)も取り上げられる可能性」

まぁ、たぶん韓国が甘く考えていた以上に、米国はストレートに激怒しているようです。
外交にはプロトコルというものがあって、北朝鮮のように「火の海にしてやる」とか「便を漏らした」などという言葉はまずゼッタイに使われません(あたりまえだ)。
これは数百年の歴史から生み出された知恵で、ひとつの言葉にカチンときて外交交渉が終了して、いきなり戦争になったなどということがたびたびあったからです。
ですから外交的ワードは、決まった表現で国家としての喜怒哀楽を表現します。
これには通常こういう度合いがあると言われています。

■外交プロトコルによる非難の表現
断固として非難する
非難する
極めて遺憾
遺憾
深く憂慮する
憂慮する
強く懸念する
懸念する

「強く」か「非常に」か、「遺憾」か「非難」かでも強弱の違いがあるのがわかりますが、これは実は敵対国へのプロトコルであって、軍事同盟を締結する国に対するものとなると「懸念する」が入るということ自体が異常です。
同盟国に対して「懸念する」と言ってしまうことは、対する陣営に対して我々の同盟はみてくれだけですよ、と言っているに等しいからです。
今回の場合、同盟ホスト国の外務報道官から、「お前は正しく我々の懸念を理解していない」などと言われてしまうということは、「お前、何回も来ておいて、いったいなにを聞いていたんだと」いうことで、廃棄したら承知しないぞていどは言われていたと思われます。

ところが韓国には妙な楽観があったようです。
これは今回のGSOMIA廃棄を主導したと見られる金鉉宗(キム・ヒョンジョン)国家安保室第2次長がこう言っていることからもわかります。

「GSOMIA終了の決定過程で行われた米国との協議に関して、金次長は「政府は各レベルで米国と緊密に意思疎通・協議し、われわれの立場を説明した」とし、「両国のNSC(国家安全保障会議)間で、この問題について7~8月だけで計9回電話による協議が行われた」と説明した。
また「米ホワイトハウスのNSCとほぼ毎日意思疎通し、先月24日にホワイトハウスの高官がソウルを訪問した際にもこの問題を協議した」と述べた。
 金次長は「われわれは米国と十分に意思疎通・協議し、米国はこれに対して希望通り延長されなかったことに失望したと考えている」としながら、「だが重要なのは、この機会が韓米同盟関係をさらに一段階アップグレードできるきっかけになることだ」と述べた」(韓国聯合ニュース8月23日)
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20190823003200882

失望されたが、米韓同盟はアップグレードされたって?
何言ってるの、こいつ。頭がグルグルします。
お前は馬鹿だと言われたが、これでいっそういい関係になった、といっているようなもんです。
ここまで米国を怒らせておいて、「アップグレードした」というのすから、お薬貰って安静にしておいたほうがいいでしょう。
もちろん米国政府は理解なんかしていないと韓国に抗議し、さきほど見たように間違えようがないほどはっきりと不快感を表明しています。

「米国政府消息筋は、GSOMIA終了の決定を米国が理解しているとする前日の青瓦台関係者の説明を否定し、これに関して韓国に抗議したと明らかにした」(聯合前掲)

たぶんキム次長が言うようになんどか廃棄を打診したというのはほんとうでしょうが、その都度米国政府からは「自制しろ」と強く言われてきたようです。

「トランプ政権は、日本による対韓輸出管理の厳格化を契機とした日韓の対立激化に関し、双方に対話解決を求め、いずれかの国に肩入れするのは避けてきた。 ただ、韓国が日本への対抗措置としてGSOMIA破棄に踏み込む姿勢を示してきたことに対しては、北朝鮮や中国、ロシアをにらんだ北東アジアでの日米韓の連携を揺るがす事態となるだけに、ポンペオ氏やエスパー国防長官が文政権に重ねて自制を促していた」(産経前掲)

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会見する金鉉宗・青瓦台国家安保室第2次長=23日、ソウル(聯合ニュース)

ここで廃棄の記者会見を行ったキム・ヒョンジョン次長は月刊文春の牧野愛博(朝日ソウル支局長)『文在寅「ひきこもり大統領」の危ない戦略』に「影の実力者」としてキイパーソン格で登場する人物です。
韓国はムン政権になってから、今まで政権の外交・安全保障分野の中心にいた知日・知米派を一挙に放逐し、同時に外交部の職業外交官も閑職に飛ばして、これに代わって登用したのがこのキム次長やカン・ギョンファ外相の二人でした。

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カン外相はおなじみですね。あのシルバーヘアがステキな、ムンの親類筋の顔つきの女性外相です。
上の写真はまだ髪が黒かった頃、金大中(キムテジュン)の通訳をしていた時のものですが、通訳としてはどうか知りませんが、力量は「英語は抜群だが、なにをはなしたいのかよくわからない」と米政府関係者に言われるレベルです。

存在感はなきに等しく、日韓外相会談に出てきてもアノ顔で自由にしゃべる(ちなみに英語力は通訳以上)太郎外相に対して、「大統領府のメッセンジャーとしての役割にとどまっている」(牧野前掲)といいます。
ですから、逆にいわずもがなのことを口走ってしまいます。
6月末に日韓外相が立ち話をしたときに、よせばいいのにカンは日韓請求権協定を維持しろと要請する太郎外相に反発して、こんなことを言ってしまったそうです。

そもそも不法な植民地支配という記述がない(日韓請求権)協定に問題がある」(牧野前掲)

つまり、カンは日韓請求権協定自体が植民地支配を反省していないからやり直したいと言ってしまった事になります。
もちろんそうはダイレクトに言っていませんが、徴用工やレーダー照射事件で緊迫している状況下でいえば、そうとられてもおかしくはない発言でした。
手練
の外交官なら決して口にしなかったことでしょう。

これを聞いた日本側はとうぜんのこととして、ムン政権が狙う本丸が日韓請求権協定の廃棄にあると見ました。
日本政府はやはりそうであったのか、ムン政権はこのまま行くと必ず日韓基本条約を廃棄し
日本統治時代のすべての賠償をやり直せと言い出し、巨額の賠償金を要求してくるだろうと考えました。
ならば、
今までの対韓外交の基本にあった「大人の対応」路線を根本的に見直さねばならない。
というわけで、それまで準備こそしていたものの発動を手控えていた輸出管理規制強化方針が現実のものとなったのです。

韓国にとって大きなダメージですね。
外相は国益守ることと、外国と紛争におよばないことがお仕事です。
自ら火を着けてどうするの。

こんな不用意な言葉を緊張している日韓関係で言ってしまった挙げ句、その結果、更に強い日本側対応引き出してしまったわけですから、カン・ギョンファの外相不適格は明らかです。

さてもうひとりの「影の実力者」と牧野氏に言わせたキム・ヒョンジョン次長ですが、この人物も米国でやり手弁護士だったというのが売り物で、英語はペラペラ、部下に英語のメモ書きを渡すそうです。
彼の自室の(昼でも薄暗くしているそうですが)壁には「人生は厳しい。バカな奴にはもっと厳しい」という弱肉強食の座右の英文の銘がかかっているとか。
たぶん強烈なナルシスト、たぶんハンパないエリート趣味、ギンギンの上昇志向の持ち主。自分以外はみな馬鹿者。
決して上司にもちたくないタイプですなぁ。

この人物は今や韓国外交の事実上のトップに君臨し、ヒッキーのムンに代わってなにかというと米国に飛んではワシントンに陳情するのだそうです。
今回も記者会見で「9回協議した」と回数を誇っていますが、7月に日本の半導体材料の輸出管理強化画出てからも米国に即座に行っています。

「金氏はワシントン出発前に記者団と会い、「仲裁という表現は記者が使ったもので、私が米政府や議会でその表現を使ったことはない」とし「日本の不当な措置が韓米日共助に助けにならないと強調した。3国共助が重要だと考えるなら米国は自ら考えて行動するだろうし、それについて私が何を仲裁してどうこうという話はしていない」とした。金氏は「(我々の論理に)米国がやや強く共感した」とも述べた」(中央7月15日)
https://japanese.joins.com/article/514/255514.html

しかし、韓国紙も認めるように成果はゼロですが、なぜか米国からは「強い共感」を得た」そうです(苦笑)。
ここでもキムは米国は「仲介しないが共感した」という虫がいい願望を口にしています。
牧野氏に言わせれば、キムという人物は、おれは誰より米国を知っていると思っているそうですから、似た幻想を持っていた松岡洋右外相のように国を滅ぼすのかもしれません。
その幻想が現実と食い違い始めると、こういう矛盾したことを平気でしゃべるようになるのでしょうか。

このようにただの外交のシロートが願望と妄想で操縦桿を握っているのが、現在の韓国外交中枢です。
彼らは揃ってリアルな外交局面を体験してきていませんから、自分の脳味噌で考えて機敏な判断をすることができません。
結局、無意識に頼りにしているのは、いままでの経験則です。
どのような経験則かといえば、それは米国はことのほか韓国を重要に考えているので、慰安婦合意の時のように日韓がもめた場合、必ず韓国側に立ってくれるはず、というような甘いシロモノです。

これは元来、長幼の序列をつけないと気持が悪い韓民族特有の発想からきているもので、米国の長男は韓国で、日本は目下なのです。
この長幼の序列の発想は、かつて中国帝国時代の華夷秩序の中で形成されたものですが、ほんとうは
日本はその埒外(アウト・オブ・オーダー)なんですがね。
ですから、「韓国の言うことを米国パパはなんでも聞いてくれて、いつもバカな日本を叱りつけてくるんだーい、そうだワンシントンに告げ口しに行こうっと」、ということになります。
朝鮮民族はこういうメンタリティになりやすい民族だとみえて、あの正恩もあと10年も今の関係を米国とやっていると、似たような事になりますよ(笑)。

かつて靖国参拝をした安倍氏が、米国国務省やケネディ大使から「失望した」と言われたことからもわかるように、韓国や中国が抗議すれば、米国も日本を叱った時代があったのです。
先日も触れましたが慰安婦問題でも、米国は韓国の肩を持って、日本に頭を下げさせることでGSOMIA締結に持ち込みました。
これが韓国にとって強烈な成功体験となっているようで、今回のGSOMIAもまた同じように米国は韓国の味方だくらいに思っていた節があります。
ところが気の毒にも、こんな時代はとっくに終わっていたのです(ため息)。

このような韓国に配慮する米国の外交方針は、パククネが仕出かした「三不の誓い」以降、完全に反転し、今や韓国は米国のお荷物、早く処分したい不良債権と化しています。
特に「三不の誓い」の中で、中国に対して米国が構想した太平洋・インド洋ダイアモンド構想に参加しないと誓ってしまったのが致命傷でした。
これは元来、安倍氏が構想し米国を巻き込んだという日本外交のエポックだったのですが、韓国はこの意味すら分からなかったのですから、処置なしです。

このように旧態依然たる日韓関係を維持することに米国が諸手を上げて賛成してくれるだろうと思うこと自体が、いまや韓国の哀しい思いでとなりつつあります。

 

 

2019年8月23日 (金)

韓国 GSOMIAを廃棄する

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とうとうやっちゃいましたね。最後に一滴くらい理性が残っているだろうと思っていたのですが。
いまさら驚きはしませんが、国家の自殺というめったにみられないものを初めてこの眼で見ました。

「韓国政府は22日、日本と結んでいる軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄することを決めた。日本の対韓輸出規制強化を元徴用工問題での報復ととらえ、対抗措置として決めた。 日韓の対立は、通商分野から安保協力に拡大した。北朝鮮が短距離弾道ミサイルなどの発射を繰り返す中、日本と韓国が軍事分野の協力を後退させる事態が現実になり、日米韓3カ国による対北朝鮮対応での連携にほころびが生じた。日本と米国は韓国に協定の継続を求めていた。
 協定は2016年11月、韓国の朴槿恵前政権時代に締結され、1年ごとに更新されてきた。文在寅政権は22日午後に関係閣僚らによる国家安全保障会議(NSC)を開き破棄を決めた。
 協定破棄により、日韓間の機密情報の共有には困難が生じるが、日韓双方が情報の一体化を進めている米国を介した情報共有は進められる。韓国の協定破棄は象徴的な意味合いが強いとの指摘もある。」(産経8月22日)
https://www.sankei.com/world/news/190822/wor1908220029-n1.html

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キム・ユグン国家安保室第1次長

今日は色々な情報が錯綜するとおもいますので、ひとつひとつ押えて行くことにします。

まず、GSOMIA (ジーソミアGeneral Security of Military Information Agreement」)は、「日韓軍事情報包括保護協定」という名のとおり秘密情報をやりとりする場合のルールブックです。
ここには許可なく第三国に教えないこと、情報の保管方法、アクセス権限者などが明記されています。

詳しくは以下です。

受領国は提供国の承認なしに、提供される秘密軍事情報を第三国に提供しない。
・受領国は提供された情報に対して、提供国と同等の保護措置をとる。
受領国は提供国の承認なしに、提供された情報を本来の目的以外に使用しない。
・受領国は提供された情報に含まれる特許権、著作権、企業秘密等の私権を尊重する。
提供される情報には、文書、口頭で伝達される情報、映像等あらゆるものが含まれる。
秘密情報の伝達は政府間のチャンネルで行う。
契約企業とその施設も、秘密軍事情報取扱資格(セキュリティクリアランス)を取得しなければならない。
提供国は受領国の秘密保護措置を査察するため、受領国の施設を定期的に訪問できる
(福好昌治 『軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の比較分析』)
https://www.ndl.go.jp/jp/diet/publication/refer/200711_682/068207.pdf

このような他国との軍事秘密情報保護体制を持つために、特定秘密法が作られたのです。
ここでよく誤解となっているのはGSOMIAが「日韓軍事情報」と名乗っているために、日本が韓国に対してなんでもかんでも秘密情報を教えてしまうと勘違いされますが、そういうわけではありません。

そんなアブナイものを、常に北朝鮮への情報漏洩疑惑がつきまとっている韓国に教えるわけはありません。
教えていいこと悪いことは提供国が選択できます。
教えたらそのセキュリティをしっかりしなさいね、ということにすぎませんから、ご安心を。

ところでGSOMIAの正式名称に日韓が被っていないのでわかるように、特に日韓だけで締結したのではなく、同様のものを日本は米英仏やNATOと結んでいます。
これにより、日本は外国からの大量破壊兵器情報やテロ情報を得ることが可能になりました。
特定秘密法以前には、外国は情報漏れを起こす日本とGSOMIAを結びませんでした。
そりゃそうでしょう。守秘義務がないような国に対して誰が秘密情報を渡しますか。
ですから 唯一の情報ルートは米国に限られていましたが、それすら米国もこのGSOMIAに制限されて、ごく一部しか分け与えてもらえませんでした。

かくしてわが国は世界有数の情報過疎地だったわけで、大量破壊兵器やテロリスト情報のごく一部しか知らされてこなかったわけです。
防衛関係者が特定秘密法ができて、情報がどっと入ってきたと述懐していますが、それは各国とGSOMIAを結べるようになったからだったのです。

さて日韓GSOMIAに話を戻します。
日韓は北朝鮮の弾道ミサイルという共通の軍事的脅威に直面しながらも、GSOMIAをつくれませんでした。
それは日本の法整備が進んでいなかったこともありますが、日韓関係の最大の障害に慰安婦問題があったからで、これを解決しないことには韓国がうんと言わなかったからからです。

困ったのは、米国でした。
同じように北朝鮮の脅威に対峙しているにかかわらず、日本が得た情報は韓国に渡せないし、韓国が得た情報も同じように日本に渡せないからです。
つまり正常な情報パイプが詰まってしまっていた状態、というよりそもそもパイプがなかったのです。

これでは困る、米韓日の三カ国で円滑に脅威に対応するためには情報インフラが必要だと考えた米国は、日本に対してどうか慰安婦問題で頭を下げて合意してもらえないかと言ってきたのです。
この米国の要請に応じてされたのが、2015年12月の慰安婦合意でした。


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慰安婦問題は朝日が捏造したフェークニュースから始まっていますから、それを知る多くの国民の強い抵抗に合いました。
しかし、それを押して合意に至った舞台裏には、北朝鮮弾道ミサイルの脅威に対処するためには、GSOMIAを日韓で作って、日米韓の情報プールを作る緊急性があったのです。
このように今回、韓国が壊したのはこの日米韓三カ国で作ってきた北朝鮮に対する情報インフラなのです。

したがって、今回の韓国のGSOMIA廃棄でもっとも損害を被るのは、これを取り持った米国です。
それはたんに日韓間の協定の廃棄にとどまらず、米国を巻き込んだ日米韓3ヵ国連携そのものを、韓国が破壊することだからです。

今回のGSOMIA廃棄によって日米韓国三カ国の擬似的対北朝鮮同盟は分断されましたが、短期的には大きな変化はみられないでしょう。
現実にはかつての締結時には、僕境界線近くに接近可能な韓国イージスからの情報は有益でしたが、今や日本だけで情報衛星を7基上げていて、朝鮮半島を監視しています。
ですから、今や日本海に着弾する北朝鮮の弾道ミサイルの着地点の解析は、日本から韓国に提供しています。
先日も韓国側発表の着弾点を、日本側情報によって修正したばかりです。
彼らは北朝鮮からの弾道ミサイルの解析ひとつ満足にできないのです。

一方日本としては、当初は韓国内の脱北者からのヒューミント情報に期待を寄せていたのですが、これもムン政権が対北情報セクションを解体してしまった上に、脱北者への冷遇政策が祟ってまったく情報は来なくなったようです。
今やこの北朝鮮のヒューミントは米国が受け継いで朝鮮系米国人が行っているために、米国から入ってくるので問題ありません。
 

このように現実には、韓国とのGSOMIAは日本の出超が続いていたので、いつ止めても実害はなかったのですが、日本は米韓日の三国連携を誠実に履行するために継続を意思表示したのです。
それをなにを勘違いしたのか、交渉カードに使えると思っていたようで、呆れてモノが言えません。
安全保障インフラを交渉カードにするような国は、もう国の形をしていませんやね。

かくて、いまや韓国に対する米国の不信感は決壊寸前です。
米国からすれば、あれだけ継続しろと口酸っぱく言ったろう、ということです。
この先5年間をかんがえると、韓国の自浄作用がないかぎり、米韓同盟は必然的に消滅の道を歩みだしたといえるでしょう。

かねてから戦時統制権を米国は手放したがっていますし、北朝鮮の望む「朝鮮半島非核化」のためには、在韓米軍を撤退させるという取引もないわけではないからです。
さもなくば、いかに米韓同盟が揺らごうと、在韓米軍を置くことによって、中国圏に引き込まれる形での南北統一を阻もうとするかもしれません。
しかしこれもトランプがどう考えるかはまったくわかりません。

いずれにしても三カ国連携が倒壊したことを、もっともそれを喜ぶのは北朝鮮と中国です。
その意味で、ムンは愚かな利敵行為を働いたことになります。

しかしこれも考えようで、ムンとい男が初めから韓国という国家を潰す目的のために大統領となったとしたら、予定どおりの行動だったともいえなくもありません。
ムンは徴用工裁判で日韓基本条約を破壊し、日貨排斥を叫び、さらにはGSOMIAまで廃棄することによって米韓同盟本体まで破壊しようとしているのは、北朝鮮のための奉仕だと考えているのかもしれません。

だとするならムンは、着々と理想に向かって前進する「偉大なリーダー」ということになります。

 

 

2019年8月22日 (木)

韓国は国をあげての福島憎悪を止めろ

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オリンピック絡みならなんでも言えると思っているらしく、韓国が国として「汚染水」について申し入れてきました。
果てしなく続く嫌がらせですが、こと被災地福島に関しては黙っているわけにはいきません。

「福島原発の汚染水の海洋放流への懸念と関連し、韓国政府の動きが具体化している。 政府は13日の国務会議で、福島原発の汚染水問題に積極的に対応する方針を決め、キム・インチョル外交部報道官は同日、「韓国国民の健康と安全を最優先に考え、日本に具体的な立場の表明や情報公開を要請する計画」だと発表した。さらに、19日には日本大使館関係者を外交部に呼び、福島汚染水を海に放出する計画などと関連した日本政府の公式回答を要求した。」(中央8月20日)http://japan.hani.co.kr/arti/politics/34140.html

この中央日報の記事のリードにも「日本の経済報復に対する“対抗カード”」という言葉が踊ります。
どうやら「ホワイト国」脱落の意趣返しに、安全保障問題のGSOMIAや「汚染水」について、もう手近にあるネタを手当たり次第投げ散らかしているみたいですね。

GSOMIA は日韓と条約名にあるから誤解されていますが、実際は対米関係の問題なのです。
米国は日韓双方から情報を得ているのですが、ないとなると韓国からの情報は日本に渡せず、日本からのものは韓国に渡せない、これでは困るわけです。
だから三国を連携させて北の弾道ミサイルに対処しようとしている米国が困るのです。

その意味で、韓国がGSOMIAを一方的に廃棄すれば、米国はそうとうにイヤな顔をするでしょうな。
というか、いまでもじゅうぶんにイヤな顔はしていますけど、これで決定的になりますね。
だからGSOMIA は対日関係というより対米関係の問題なのです。

それにしてもやればやるほど国際的に孤立し、墓穴を掘るのはわかりきっていますが、降りかかった火の粉は払わにゃなりません。

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上は韓国のポスターですが、「放射能五輪ボイコット」だそうです。
やれやれ。言うに事欠いて「放射能五輪」ですか。こんなことまで反日ネタにつかうのですから、呆れてものが言えません。
そもそも「情報を公開することを要請する」もなにも、日本は秘匿しているわけでもなんでもなく、情報はすべてオープンになっています。
それをいやしくも国家と名がつくところが公開情報をろくに読みもしないで絡んでくるとは、根性がねじ曲がっているといわれても仕方がありません。

韓国はボイコットが武器になると勘違いしているようですが、どうぞどうぞ気持よく来られないなら来なくてけっこうと思う日本人は今や半数を超えているでしょう。
日本憎悪をまき散らすためにオリンピックに来るなら、来ないほうがましです。

今の韓国だと、入場式で「独島は我らのもの」とか「「日本は経済侵略を謝罪しろ」とかいった揃いのTシャッツを着て、シュプレッヒコールのひとつも叫びそうですもんね。
まぁじっさいに
来ても、「食事は別途用意しろ」と要求しているそうで、なごやかに各国選手たちと交流しながら一緒に食べたくないということのようです。

大韓体育会は、福島農産物に対しては選手村の近くに支援施設を設け、別途の食べ物を供給するように全力を尽くす計画だ。
大韓体育会のキム・ボヨン広報室長は「別途の調理師と選手支援団を準備している。選手支援関連場所の下見がすべて終わった」とし、「別途設けるコリアハウスは記者会見場をはじめ韓国スポーツの広報場所であり、選手保護問題としても支援場所としては適切ではない。選手村から近い所に別途、設けられる」と明らかにした。
キム室長は「ただ韓国産の米を持っていくなど具体的なプランは(選手団の輪郭が出る)来年準備をする」と説明した」
(スポーツソウル7月31日)
https://sportsseoulweb.jp/sports_topic/id=5425

これもオリンピック規約にどうあるか知りませんが、どうぞどうぞ。
韓国から食材を大量輸入して、韓国人に作ってもらい、ひっそりと密室で韓国人だけで籠もって食べるといい。
さぞかし浮き上がるでしょうが、それが今のこの国の姿そのままです

こうなったらいっそのこと、どうせ空気も土もコワイのでしょうから、タイベックス防護服着て酸素マスクつけて競技したらいかがでしょうか。
ろくな記録はでないでしょうが、皆んな「日本が悪い」と言い訳できますもんね(苦笑)。

そもそも例によって例の如しですが、この「(放射能)汚染水」という表現自体からして、日本のメディアのバイアスがかかった表現が発信源です。
「汚染水」と聞くと、なにかスゴイ放射能が混ざった汚れた排水という恐怖に捕らわれますが、なんのことはないただの水と言って悪ければ三重水素、つまりはトリチウムのことです。

というわけで、2016年3月19日の記事を再録します。
この記事を書いた3年前は、トリチウム=放射性汚染水=コワイ、という非科学的な言い方が跋扈していました。
トリチウムは放射性物質といえば仰々しい響きがありますが、実は国際法による希釈をすれば無害化できる存在であり、世界各国はそうしていることが認知されてきました。                                               

                                                        ~~~~~~~

福島第1原発の現状について、どこをもって「事故を収束」とするか、ということですが、最長で廃炉まで40年です。 
一生の半分ほどの時間がかかりますが、、それまで多くの問題があります。
解体された部品、機材などの処分もさることながら福島第1において特に問題となっているのは
のは、いわゆる「汚染水」です。

NHK(2016年3月16日)が整理してくれています。
東電の最新の現状報告書「福島第原子力発電所の最近の状況」(2015年12月11日)と共に見ていきます。 

「1号機から3号機では溶け落ちた核燃料を冷やすため原子炉に水を注ぐ必要があり、これが高濃度の汚染水となって建屋の地下にたまっています。
さらに地下水が建屋に流れ込んでいるため、当初、建屋内の汚染水は毎日400トンずつ増え続け、東京電力はこの汚染水をくみ上げて1000基に上るタンクで保管しています。」(NHK前掲)
 

この福島第1が立つ場所は、そもそも阿武隈山系の湧水を集めて、大変に地下水が豊富な地点なのです。 
もちろん、建屋の下にたまっている汚染水もありますが、どちらかといえばこの毎日400トンも流入するハンパでない量の地下水に手を焼いています。 

Img_3781図 東電前掲 クリックすると大きくなります

施設を上図の左手から、崖を掘って作ってしまったために地下水に悩まされているわけですが、事故後に崖の上に地下水を汲むポンプ(青い太線)を設置しました。 
それでもなお、崖下に流れる地下水は、3カ所の「くみ上げ」と書いてある井戸からくみ上げていきます。 
とくに重要なのが崖下の井戸で、ここで止めないと、原子炉に流入して「汚染水」となってしまいます。ですから、ここでくみ上げて、なおその先に凍土壁を作っています。

「東京電力はこれまで、建屋への地下水の流入を抑える対策に取り組んできました。おととしには建屋の上流側で地下水をくみ上げて海に流す「地下水バイパス」と呼ばれる対策を始めたほか、去年9月からは「サブドレン」と呼ばれる建屋周辺の井戸で地下水をくみ上げ、浄化したうえで海に放出する対策も始めました。東京電力の試算では、こうした対策によって建屋に流れ込む地下水の量は1日およそ200トンまで減ったとしています。」(NHK前掲)
ところが、やはり問題は起きています。
ひとつは、東電は原子炉に接触しないようにした上で、浄水装置にかけて放射性物質を除去して海に放出するつもりだったのですが、せき止めた地下水の濃度が想定を上回ったため、放出が見送られたことです。

Img_3785図 東電前掲
また、事故時の緊急対策として設置したタンク群の劣化も進んでいます。
福島民友新聞(2016年3月3日)によれば

「現在の汚染水発生量は1日当たり約500トン。内訳は地下水流入分が約150トン、護岸から移送した地下水分が約350トンとなっている。
 また2月25日現在、1~4号機などの建屋内には計約8万1000トンの高濃度汚染水がたまっている。」
NHKによれば、トリチウム問題が足かせになって、1日に新たに500トンの汚染水が発生し、60万トンもの「汚染水」がたまったままになっています。

「 東京電力福島第一原発では、1日におよそ500トンの汚染水が発生し、浄化設備で放射性物質を取り除いて いますが、トリチウムという放射性物質は取り除くことができないため、およそ60万トンが敷地内のタンクにためられたままになっています。 」(NHK前掲)

こうして、足止めを食っているうちに、「汚染水」は日に日に増加して、溢れんばかりになっています。
もはや、福島第1の復旧作業は、タンクのお守りではないかという自嘲すら生まれている昨今です。
Photo写真 朝日新聞2013年8月1日

そして貯めているタンクや、ホース、ポンプの劣化も進んでいます。
「東電は4年前の事故時に急増したフランジ型の貯蔵タンクが耐用年数を迎えて相次いで劣化しつつあることから、貯蔵汚染水の入れ替え作業を進めているが、設備の劣化はタンクだけではなく、今回のホースやポンプなど多くの応急的に投入された部材の劣化が随所で顕在化しつつあることがうかがえる。」F(inance GreenWatch 2015年5月19日 )

つまり、貯めておくという方法は、あくまで事故直後の浄水装置もなく、遮蔽壁もない状態でやむを得ず取った緊急措置だったにもかかわらず、事故後5年たってその限界を迎えつつあるということです。

「 こうした汚染水の処理方法について、東京電力福島第一廃炉推進カンパニーの増田尚宏代表はNHKの取材に対し、 「国の議論では希釈しての排水や、濃縮しての管理など、いろいろ案が出ている。4月以降、地元の方々と話し合い、  どういった形がいいのか決めていきたい」と話し、薄めて海に排水することを含め、どのように処理を進めるべきか、 来月以降、福島県など地元と議論を進めていく考えを明らかにしました。
トリチウムを含む汚染水の処理については、国の専門家チームで検討が進められ、薄めて海に排水する案や 地下に注入する案などが候補とされていて、地元の理解を得ながら、どのように汚染水の処理を進めるかが大きな課題となっています。 」(NHK前掲)

ここで上げられている地下注入などは、別の地下水脈に流入してしまい汚染を拡大しかねない下策です。
これ以上貯めておけない、そしてトリチウムだけに問題が絞られてきて、しかもトリチウムはそもそも非力なエネルギーしかもたない放射性物質である上に、検出量も微量です(下図参照)

ならば解決法は、世界にひとつしか存在しません。海に放出することです。これ以外にありえません。

Img_3788図 東電前掲

下図は、世界の原子力施設で液体廃棄物として海に放出した、トリチウム量のグラフです。

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 図 海産生物と放射性物質(海洋生物環境研究所)

この論文はトリチウムと海洋との関係で教示されるものをたくさん含んでいますので、必読です。

上図のトリチウムは、原子炉の運転・整備、核燃料再処理時などで発生して、施設外に排出されたものが大気圏や海洋へ残留したものです。
英国が最大放出国で、実に2500兆(2.5×1015)Bq/年程度、日本は6分の1の400兆(4×1014)Bq/年程度です。
このグラフには再処理施設からの放出量は含まれていないために、英仏はさらに多くなります。 

このように現在でも各国の原子力施設からは、日常的に海にトリチウムが放出されています。 

●各国のトリチウム海洋放出量
・英国(セラフィールド再処理施設)・・・年間1390兆ベクレル(2010年値)
・フランス(ラ・アーグ再処理施設) ・・・年間9950兆(2010年値)
・カナダ(ブルース原発)       ・・・年間1180兆(2012年値)

 これはロンドン条約で認められた、唯一のトリチウム解決法です。ロンドン条約を押さえておきます

「ロンドン条約 1972年は、海洋の汚染を防止することを目的として、陸上発生廃棄物海洋投棄や、洋上での焼却処分などを規制するための国際条約。」
ロンドン条約 (1972年) - Wikipedia

なお、放射性物質の放出は同条約で禁止されているという反原発派の説がありますが、正確ではありません。(欄外参照)
ロンドン条約は、船舶からの海洋へ処分する行為等を禁じていますが、原発施設からの放射性排水の海洋への計画放出は対象に なっていません。

ロンドン条約で許されたトリチウム濃度は6万ベクレル/ℓで、これ以下ならば放出することが国際的に認められいます。
よくある勘違いに、福島第1で事故処理に失敗したから漏れだしているのだろうという誤解がありますが、まったく違います。 
他の国内原発でも、以下の放出がなされています。 

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図 各原発からのトリチウム海洋放出の年平均値(2002年度~2011年度)平成23年度  原子力施設における放射性廃棄物の管理状況(2012年8月) 

加圧水型の最大放出施設は、大飯です。全原発の合計では年間で380兆(3.8×1014)Bq/年で、世界では少ない方に属します。  
放射線の専門家である海洋生物環境研究所の御園生淳氏、富山大学水素同位体科学研究センター長松山政夫教授の意見を紹介しておきます。

①水として摂取しても10日くらいで半量が排泄されてしまうので内部被曝の可能性は低い。
②トリチウムの出す放射線量のエネルギーが低いので、外部被曝はありえない。
③毎日100ベクレル/㎏のトリチウムを含む食物を1年間食べた場合の摂取量は、0.0015ミリシーベルトで、,セシウム137の約千分の1ていどで比較にならない。
④トリチウムは何かに濃縮することがないために生物濃縮は考えられない。

もし、今後、福島第1から、トリチウムを含んだ「汚染水」を放出するなると、以下のルールに則って行われことになります。
原子力施設のトリチウムを告示濃度限界の6万ベクレルまで希釈してから、海に計画放出し、拡散させます。  
これは先の述べたロンドン条約の国際ルールに則っていますから、文句を言ってくる国は韓国以外にないでしょう。

いや韓国も重水炉を持っているために、アジア最大のトリチウム放出国でしたっけ(笑)。 
漁業関係者は風評被害に痛めつけられて来ましたから、粘り強い説明が必要でしょう。  

外国の専門家は、このわが国の汚染水対策に同意しています。  
訪日したスリーマイル島事故を経験したNRC元専門家も、「直ちに海へ放出すべきだ」と助言しています。  

いずれにせよ、完全廃炉になり、使用済み燃料棒の処分が終了する時まで、冷却水は止められませんから汚染水は出続けます。
私はかねがね常に言ってきたことですが、事故処理に原発賛成も反対もまったく関係ありません。

もはや反原発はイデオロギーになってしまったようですが、願わくばイデオロギーの眼鏡で事故処理を見てほしくはありません。
広く世界でどのようなトリチウムの処理がなされているのかを知ってから判断すべきなのに、原発反対だから汚染水処理を止めろと言っているようにすら聞こえます。

というか、実際そう言っています。 近視眼も極まれりです。
どうも、彼らの声を聞いていると、凍土壁が失敗しそうだと手を打って喜び 、タンクが漏れると万才を叫んでいるようにすら見えます。 破滅願望なのでしょうか。 
反原発主義者にしても、このままタンクが溜まるだけ溜まって処理不能になり、炉の冷却水の循環もできなくなることが望みではないと思うのですが。

                                             ~~~~~~

福島第一原子力発電所における汚染水の放出措置をめぐる国際法(西本健太郎 東大特任講師)
「海洋と放出とロンドン条約ロンドン条約は1975年に発効し、高レベル放射性廃棄物の海洋投棄が禁止された。以後この条約の下で実施されていたが、1982年の第6回の会議で、海洋投棄に関する科学技術問題を再調査し、その結論が出るまで投棄を一時停止するという提案が行われたことから海洋投棄は一時中止することになり、この年以降は実施されていない。その後、1993年の第16回会議で、放射性廃棄物の【船からの】海洋投棄は全面的に禁止となり、1996年には海洋投棄規制を強化するための議定書(1996年の議定書)が採択され、2006年3月に発効、日本は2007年10月に批准している。」

※参考文献 
ポストさんてん日記 トリチウムとは?危険性は?海洋放出量の基準値は?
海産生物と放射性物質(海洋生物環境研究所
トリチウム流出の影響  福島第一の地下水(安井至教授の市民のための環境学ガイド2013/8/10)
・原子力資料室http://www.cnic.jp/knowledge/2116?cat_id=1
・医療での自然放射線安全にお答えしますhttp://trustrad.sixcore.jp/tritium-2.html

 

 

 

 

 

 

2019年8月21日 (水)

中国政府の罠を読み切った香港民主化デモ


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読みやすいというお言葉をいただきましたので、気をよくしてもうしばらく12ptのフォントでやっていきましょう。

さてネット界を見ると、韓国花盛り。
気分はわからないでもないんですが、あまりすぎると単なる国民的ウップン晴らしになってしまいますからご注意。
私から見れば、韓国なんてハンチクな国とは、今後つきあおうとつきあうまいと、どーでもいいていどの経済的外交的重みしかないのです。
ただ日本としてはこれ以上仮想敵国を増やしたくないので、韓国が「敵国もどき」にならないように(そうとうになりかかっていますが)すればよいだけです。
なんせ中北露、そして韓国、よくもまぁ世界の問題国家を一同に集めたもんだよ、という位置に日本はいますからね。
これ以上増やすことはない。

日本が真の脅威として据えるべきは、中国以外にありません。
韓国に対しては原則を守った対応を積み重ねていけばいいだけのことですが、中国にはもっと大きな視野に立って見ねばなりません。


というわけで、私は香港にこだわります。
香港という小さな巨人は、中華帝国の弱い脇腹を鋭くえぐり、習皇帝をのたうちまわらせています。
香港問題は中国のみならず、台湾、アジア全域にまで及ぶ大きな地殻変動を起こす予兆となっています。

香港の民主派は大変にクレバーにことを進めています。
少し前に私がしつこいくらいに民主派に忠告したのは、中国は軍事介入の口実を喉から手がでるほど欲しがっていることを知って欲しいということでした。

https://www.afpbb.com/articles/-/3237217

私はデモ隊の中の一部ハネ上がりが中国の出先機関を襲撃したり、中国国章にペンキをかけたりすることを、軍事介入を招き寄せる利敵行為として強く批判しました。

案の定、8月12日、中国国務院香港マカオ事務弁公室のスポークスマン楊光は記者会見でこう述べています。

「ここのところ、香港の過激派デモ隊は非常に危険な道具で警察官を繰り返し攻撃している。
これは既に深刻な暴力犯罪を構成しており、テロの兆しを見せ始めている。これは香港の法治や社会秩序を著しく乱す違法行為であり、市民の生命安全に対する深刻な脅威であり、香港の繁栄と安定を脅かす深刻な挑戦である」(8月14日、「環球視野」原文は中国語 遠藤誉氏による)

この中国政府の代理人の口から「テロ」という言い方が出た時に、私は背筋がゾッとしました。
この代理人は続けて、欧米の「テロ」の定義を持ち出して、香港の「テロ」を鎮圧するのは国際的にも合法だと主張しています。
さらに
中国が定めた「反テロ法」を持ち出して、西側諸国から来るであろう非難を、「お前らと一緒のことやっているのに、なんでオレだけ批判されなければならないんだ」とかわす予防線としています。

では、ここで中国政府が持ち出した「反テロ法」とはどのようなものでしょうか。
これは2015年12月27日の第12回全人代常任委員会で成立した「中華人民共和国の反テロ法」のことですが、この中で「テロ」の定義として、以下を上げています。

①暴力的な手段の行使
②不特定の民間人が攻撃の標的となる
③社会的経済的発展に著しい弊害をもたらす

これらの条件が満たされれば、この「反テロ法」を使って合法的に「テロ指定」ができるということになります。
ですから、中国当局はこの時期の前後から、「テロの条件」を満たすべくさまざまな手段を使い始めました。

たとえば、そうとう初期から香港警察には、中国政府からの助っ人部隊を大量に導入し、彼らには香港警察がやりたがらないダーティな仕事を請け負わせていたようです。

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ウォールストリートジャーナル https://jp.wsj.com/articles/SB11603766541179533862904585476162556674830

「発表によると、デモが始まった6月以降、香港警察は600人近くを逮捕したほか、催涙ガスを1800回以上、 ゴム弾を160発以上それぞれ発射した。
先月には、香港市内の地下鉄駅で、棒を持った数十人の男らが、妊婦を含むデモ参加者に襲いかかり、およそ45人を負傷させる事件が発生。香港警察が現場に到着したのが通報から30分後だったことから、デモ参加者への襲撃を容認するために警察が初動を遅らせたとの批判が上がり、反発が広がった。
警察は事件の数日後に複数の男を逮捕し、一部は地元の犯罪組織「三合会(トライアド)」と関連があると明らかにした」(ウォールストリートジャーナル8月9日 写真と同じ)

このように、警察は私服警官がデモ隊に紛れ込んで情報収集に当たるという常識的なラインを超えて、北京政府にカネで雇われた香港マフィアに襲撃させて乱闘事件を引き起こしたりしました。
そしてかならず私がやるだろうと思っていたのは、デモ隊に扮した何者かが、中国政府の出先機関を襲撃することでした。

これらの謀略は、ウィグルなどの「密室」では有効だったでしょうが、言論が保障され、SNS が発達し、しかも西側メディア監視の下では馬脚を現します。
SNSはすぐにこの中国が仕掛けた幼稚な謀略を見破ります。
窮地に立たされた
香港警察は8月12日、とうとう「デモ参加者を装った警察官を動員した」と初めて公式に認めおとり逮捕をしていることを認めてしまいました。

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https://www.epochtimes.jp/p/2019/08/46027.html

次に登場した謀略は「民間人の被害者作り」でした。
8月13日、中国共産党準機関紙・環球時報記者と称する付国豪が、デモ参加者に取り囲まれ殴打を受けた、と中国大陸のメディアが報じました。
この時の写真が上ですが、この時この人物はこう叫んだそうです。
「私は香港警察を支持する。さあ、私を殴ってもいいよ!」
この中国語の「可以打我了!」「了」という文字が語尾につくと、「さあ、殴ってもいい準備ができたよ」(「準備OKだよ」)という意味になるそうです。

そしてこの男には数々の不信な点が確認されています。

「報道によると、付記者の身分証に記されている北京市海淀区万寿路の住所は、中国国家安全部(省)の職員寮だという。国家安全部は中国の情報機関だ。
また、付記者は、2つの違う名前の銀行口座を持っているという。付記者は環球時報のほか、北京市にあるコンサルティング会社、世華万向資訊公司にも勤めていることが分かった。同社は、海外に進出する中国語メディアに対して知識や情報を提供している」(大紀元8月16日)

このようにこの中国記者暴行事件は、なんのことはない香港警察と中国政府による仕込み型謀略であることが暴露されてしまいました。

そして香港民主派は、これらに学んで北京の仕掛けた罠にははまらないことを決意しました。
先日18日の170万人デモにおいては、デモ主催者は、市街地の許可が警察から出なかったことを受けて、許可が得られたビクトリア・パークでの集会に切り換え、押し寄せる参加者の多くが周辺に溢れると声を枯らして「警察の支持に従え」と呼びかけていました。


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https://withnews.jp/article/f0170701002qq000000000...

しかも悪いことには雨が降り出すという悪条件をもろともせずに、むしろそれを力にかえて平穏にデモ行進を続けました。
この雨傘デモの美しかったこと!
私のようなすれっからしが久しぶりにデモを見て感動してまったほどでした。
夕刻の香港の街明かり映えた色とりどりの無数の(170万!)雨傘の見事さは、あいちナンジャラに出展された「美術品」などよりよほど芸術としての見事さを持っていました。

力関係は大きく変化してきています。
追い詰められているのは、
習近平皇帝です。

 

 

 

2019年8月20日 (火)

温家宝「私たちは言うべきことを言った。あとはどうなってもあなたが責任をとれ」と捨て台詞


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今週、香港民主化運動は大きな山場を迎えます。
それは事実上の中国政府の香港に対する最終的意思決定がなされるからです。
8月22日から26日まで全人代の常務委会議が開催され、おそらくは26日の最終日には結論が下されることでしょう。

「北戴河会議 に出席していたとみられる共産党序列3位の栗戦書・全国人民代表大会(全人代)常務委員長の主宰する委員長会議が15日、北京で開かれ、22〜26日に常務委の第12回会議を開催することを決めた。国営新華社通信が伝えた」(時事8月15日)

香港の運命は、現在の香港の状況を「緊急事態」と規定するか否かにかかっています。
「緊急事態」
と認められなければ、中国は治安軍を投入する法的根拠を失います。
逆にそう全人代が規定したとすれば、一帯一路国際会議が開かれる1カ月前に当たる今月末には軍が香港に入ります。

「香港基本法第18条は、全人代常務委が「制御不能の動乱」と判断し「香港の緊急事態入り」を決定すれば、「中央政府が全国の法律を実施できる」と規定。香港に隣接する広東省深セン市への集結が伝えられる人民武装警察(武警)を香港に投入する場合、この規定を根拠にすることが想定され、全人代常務委の今後の動向が注目される」(時事前掲)

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https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/06

ではそれを占う前段の北戴河会議はどのような内容だったのでしょうか。
『福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO,29 2019年8月19日』を参考に整理していきます。

福島氏の強みは現地での足を使った地道な取材をすることですが、さすがに北戴河会議 という共産党奥の院の情報をとることは難しかったようです。
結論だけいえば、「らしい」ということまで分かっても、伝聞の域を抜けないと福島氏自らも言っています。
こういう正直さが彼女の持ち味で、自分のつかんだ情報を知ったかぶりで書き散らすK氏とかT氏とは違う点です。

ただはっきりしていることは、いわゆる江沢民政権時代の要人は、老齢化もあって年々姿を消すなかで、この3名だけは出席し、おそらくは習近平と激論を交わしたと見られることです。
その3名とは、先日の記事にも書いた李鵬の葬儀を意図的に欠席したと見られる3名の朱鎔基、胡錦濤、温家宝 です。
彼らが、軍事介入慎重派であることは間違いありません。

彼らは第2次天安門事件のトラウマを肌で知る世代だからで、仮に暴力的鎮圧などすれば、中国の国際的地位が絶望的になることくらいを予測できるていどには老成しているからです。

一方習の意志についても分裂した情報が入ってきています。
ひとつは石平氏も触れた習の李鵬への弔辞にある「反革命暴乱を鎮圧し、国内政治を安定させた」とする文言だけではなく、こういう傍証も上がっています。

「国務院香港マカオ事務弁公室が香港政財界500人を深センに集めて行った会議で、張暁明主任が「鄧小平が今の香港をみたら、北京が介入すべきだと判断したはずだ」とかいったらしい」(福島前掲)

国務院マカオ事務弁公室 が政権中枢の意志とは無関係に発言するわけがないので、これはストレートに鎮圧を意味します。

しかし一方、それを打ち消す情報もあるようで、悩ましいかぎりです。

「とはいうものの、北戴河会議で、習近平は「部隊(軍隊および武装警察)を動かす必要はない」と発言したという情報も入ってきて、それが本当なら、とりあえず、天安門事件再び、という状況には今のところ可能性は極めて薄い、という判断材料になりそうだ」(福島前掲)

これは香港の独立系新聞の蘋果日報(ひんか) が12日に伝えたものです。

「中国本土消息筋からの話として、習近平は香港デモについて、「部隊を動かす必要はないが、厳格な刑罰と峻厳な法令によってできるだけ早く乱を平定し、寸土も譲らず」と指示したという。つまり現行の香港の法律枠内で、中聯弁がコントロールした香港警察部隊によってできるだけ多く逮捕し、暴動罪という重い判決でもって処罰する、ということらしい」(福島前掲)

とはいえ習が軍を投入しないからといって民主化要求に対して融和的になったわけでもなんでもなく、一切の妥協を拒み、暴乱罪をもって警察力で押しつぶすという意味です。

「現行の香港の法律枠内で、中聯弁がコントロールした香港警察部隊によってできるだけ多く逮捕し、暴動罪という重い判決でもって処罰する、ということらしい。香
港デモが要求する五点(逃亡犯条例改正案の撤回、香港政府のデモ隊に対する暴徒発言の撤回、デモ参加者に対する検閲コントロール停止、警察の暴力・元朗白シャツ襲撃に対する独立委員会による徹底調査、普通選挙実施要求・キャリーラム辞任)に対しては継続して回答せず、譲歩もしないという」(福島前掲)

このあたりは常識的にはありえそうな観測です。
この蘋果日報の報道を受けて、現状では治安軍投入はない、という線にメディアの観測は落ち着きつつあるようです。

ところで習には三つの選択肢があります。

①治安軍を投入し実力制圧
警察と軍は決定的に違います。く軍隊は対外的な脅威に対する実力装置であって、国内に向けるべきものではないからです。
これをした場合、深刻な国際的制裁を受け、
6割もの資本が香港から流入すると言われている香港金融世界を直撃し、中国経済に甚大な影響が与えることは避けられません。

②警察部隊による鎮圧
現在おこなっている弾圧方法をもっと強化することです。
しかし、
ただし習が真剣に警察力だけで鎮圧できると考えているとしたら、甘いとしかいいようがありません。
2百万人規模の巨大集会が連続するまでに拡大し、青年層のみならず、あらゆる階層にまで拡がり続ける香港民主化デモを警察力だけで鎮静化できると思うほうがどうにかしています。

③政治的妥協による鎮静化
本来これがベストです。手練の政治家なら躊躇なくこの方法を選ぶでしょう。
ただし現時点では遅すぎます。ここまで民主化勢力が強力になってしまった以上、これを政治的に収拾しようとすれば、民主化要求のせめても一つ二つくらいは呑まねば収拾不可能なことくらいわかりきった話です。
しかしそれは習体制はいうに及ばず、中国共産党体制への大きな打撃となります。

つまるところここで政治的に未熟な独裁者である習は、①と②の折衷案を選んでしまったのかもしれません。
つまり実力で鎮圧するが、軍は使わない。政治的妥協はしないで突っ走る。

すると警察部隊を軍並に強化するしかありません。
習は弱みは見せられないとばかりに、香港警察で名うての凶暴な人物を警備責任者に任じました。
それが定年退職したはずの元警察副総監のアラン・ラウです。この男こそがかつての雨傘革命を鎮圧した張本人です。

「8月9日づけで、アラン・ラウ(劉業成)元警察副総監が現場責任者として復帰している。雨傘運動(2014年秋)や旺角の魚蛋革命(旺角騒乱事件、2016年春節)を強硬な姿勢で鎮圧してきた警察最タカ派のアラン・ラウは昨年11月に早期退職で定年前に引退していたが、今回の香港デモへの対応のためによびもどされたという。
彼は2017年7月の香港返還20周年の習近平の香港訪問の際の、現場最高責任者で、習近平からも信頼されていたというので、香港警察としては、習近平のお気に入りに現場を任せれば、万が一に下手をうっても北京からのかぜ当たりが弱まるという計算かもしれない」(福島前掲)

アラン・ラウが復帰したとたん、11日のデモに対する警察の暴力がエスカレートしたことは、すでに報道されているとおりです。

「太古駅の狭い構内で催涙ガスをぶっ放すはエスカレーターからデモ隊を引きずり下ろしてぼこぼこに制圧するわ、銅鑼湾のデモで女性の顔に至近距離からビーンバック弾をぶっぱなして失明させるわ、黒シャツを着た私服警官をデモ隊に潜伏させてデモ隊を内側から混乱させたり揺動させたり、あるいは背後からいきなり襲撃して逮捕するわ、(一部では潜伏した私服警官が空港でわざと搭乗客とトラブルを起こしたり、過激派を演じて、デモ隊に暴力のぬれぎぬを着せているといった情報も)、とにかくデモ鎮圧のためなら手段を選ばなくていいといった、雰囲気になってきている」(福島前掲) 

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警官隊は催涙弾を乱射しています。http://wedge.ismedia.jp/articles/-/16497

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警官隊の催涙弾射撃で失明した女性 https://ameblo.jp/syoukanobifuu/entry-12505532049....

本気で習が鎮静化させたいのであれば、たとえばキャリー・ラム行政長官の辞任、逃亡犯条例の一部改正、警察暴力の第三者機関による調査ていどは呑まねばなりません。
多少まともな政治的センスを持っている政治家なら妥協可能なことをなにひとつ譲ることなく、暴力団に襲撃させたり、本土からの警察部隊に催涙弾を乱射させるなどしているうちは、収拾は絶望的です。

習という人物は、たぶん政治的に生硬、もっとはっきりと言ってやれば幼稚ではないかと思えてきました。
習に思いつくことは、中華世界の中でだけ通用する暴力的弾圧と謀略ていどのことなのです。
それは西側メディアから隔絶された辺境の地であるウィグルやチベットでは通用しました。
いかに100万人単位のウィグル人を収容所に放り込もうとも、西側に知られなければいいのですから。

習にできるのはこのような「密室の虐殺」だけです。
彼は民主社会のほんとうの怖さを知らない。
ひとりひとりの市民が開かれた情報を共有し、それを封殺しようとする独裁者と共に立ち上がる怖さを知らないのです。

ですからこのような凶暴な手口は、中国大陸における西側自由主義社会のショーウインドウである香港においては通用しないどころか、かえって運動を拡げてしまう、このような民主主義のルールをこの習近平という男は理解できないのです。

「中国はその後35年間安定を保ってきた。その間ほぼずっと中国は経済改革を進め、政治的な統制さえも緩めた。だがここ10年間、特に習体制が始まってからは、共産党は国内政治や国民の私生活の大部分に容赦ない支配を強めてきた。
 共産党指導部は新疆ウイグル自治区で100万人に上るウイグル族を再教育施設に収容し、反体制派を擁護する弁護士を逮捕し、地下教会のキリスト教徒への嫌がらせを続ける。また来年までに顔認識監視技術を利用し、行動の善悪に基づく市民の「社会信用」スコアをつけ始める予定だ。
自由な香港を徐々に窒息させることはこの潮流の一環であり、習体制が国際社会に対する誓約を放棄するつもりだということが分かる 」
(ウォールストリートジャーナル社説6月14日)
https://jp.wsj.com/articles/SB11082206419117534460204585364423241571214

さて北戴河会議に戻ります。
情報は錯綜しており、お互いに立場が異なる者たちが偽情報をだして世論誘導を計っているということが大いにありえるということを念頭に置いて下さい。
その上で、胡錦濤がこのような発言したという情報があがってきています。

蘋果日報(8月9日)付けによれば、北戴河会議では、香港問題が重要な討論テーマになっていたという。そこで長老代表で、胡錦濤が現役指導部たちに対して、「絶対に香港に“むごい役割”をさせるな」と発言したしたとか。
香港デモに対してどういう対応をすべきかという議論の中で、軍(武装警察)を動かすかどうかという話になったとき、国際社会が天安門事件の再来になるのではないかと懸念を報じていることに触れての胡錦濤の発言だったという。胡錦濤は天安門事件については、共青団の一員として、共産党の深い傷ととらえているようではある。

そして民主活動家の文筆家陳破空は、結局習の意志を覆せなかったと伝えています。

ニューヨーク在住の政治評論家の陳破空は体制内知識人からの情報として、「中共ハイレベル政治は長老勢と、習近平・王滬寧ペアの間での対立が大きく、長老はおおむね香港の武力鎮圧には反対、習近平の香港への対応方針(警察を使っての徹底鎮圧)についても賛成しなかったが、習近平の決定を覆すことはできなかった」という。
香港問題への対応で結局、意見の一致を見られなかった中で、最後に温家宝が「私たちは言うべきことを言った。あとはどうなってもあなたが責任をとれ」と捨て台詞を吐いたとかはかなかったとか」(福島前掲)

これらの情報が正しければ、習は治安軍を投入することに逡巡しているようです。
軍を入れれば中国経済が大打撃を受けるという恐怖に身がすくんで、警察部隊だけで乗り切れると考えているようです。
やるにせよ、やらないにせよ、この男が修羅場を潜ったこと期ある長老たちならとうに決断しているべきことを未だこの時期で決断しきれていません。

追い詰められているのは習です。
あと1週間。
鎮静化できねば、100万を超える津波のような市民のデモが彼を香港で打ち砕く事になります。

 

 

※今日はフォントをひとつ大きくしてあります。どうですか?

 

 

2019年8月19日 (月)

韓国、踏まれても蹴られても ついていきます下駄の雪

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韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮は2019年8月16日朝、江原道・通川付近から朝鮮半島東の東海上に飛翔体を2回発射しました。
まめなことです。
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20190816002400882
「飛翔体」(フライング・オブジェクト)と言っていますが、もちろん弾道ミサイルです。なんかすごく米韓を忖度した政治的表現ですね。

一部にこれがATACMという米軍が使っている短距離弾道ミサイルに恰好が似ているというので、すわ、「北朝鮮に韓国がATACMS (エイタクムス)を横流しした」なんてガセ情報が流れましたが、デタラメです。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/57307
MGM-140 ATACMS - Wikipedia
JSF氏らの分析によれば、似ているのはずんぐりむっくりの恰好だけで、そもそも大きさが全く違う上に尾部の形状や操舵翼も全く異なるそうですので、この情報を拡散するのは止めて下さい。

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https://twitter.com/rockfish31

こういう微妙な時期ですから、怪情報には気をつけましょう。

この「飛翔体」の高度は約30キロ、飛行距離は約230キロで、最大速度はマッハ6.1以上、という。
発射地点は、南北境界線(MDL)から約50キロの通川で、北朝鮮がこれほど韓国ギリギリの境界線から発射するのは初めてです。

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この発射地点を見ただけで、この「飛翔体」が何を目標にしているのか想像がつくでしょう。
はい、もちろん、韓国です。
日本海方向に発射したのは、そちらしか方向がないからにすぎませんし、(西に撃てば中国を刺激しますしね)このキムATACMは短距離弾道ミサイルです。

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なかなか興味深いのは、この短距離弾道ミサイル発射時の、北朝鮮の談話です。
祖国平和統一委員会名で出していますが、この組織は他ならぬ韓国との交流窓口ですから、誰に向けているのかはわかりすぎるほど分かりきっています。
内容的にも、ここまで言うかというような内容です。

「北朝鮮の対韓国窓口機関・祖国平和統一委員会はこの日に出した報道官談話で、前日に文在寅(ムン・ジェイン)大統領が行った光復節(日本による植民地支配からの解放記念日)の式典での演説を非難し、「われわれは南朝鮮(韓国)当局者とこれ以上話すことはなく、二度と向き合う考えもない」と表明。韓国当局は現在実施している韓米合同軍事演習が終われば自然と北朝鮮との対話局面になると「妄想」し、「朝米(米朝)対話で漁夫の利」を狙っていると批判した」(中央日報8月16日)
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20190816002600882?section=nk/index

「これ以上話すことも、会うこともない。米韓軍事演習が終わっても対話してもらえるなんて妄想すんなよ」だそうです(爆笑)。
まぁ、常識的にはここまで言ったら国交断絶を意味しますが、おっと、いまでもただの休戦関係だったっけね。
そして、大の北朝鮮愛好家のムン閣下個人に対しても、豊穣にして多彩な伝統的朝鮮流罵倒語の嵐を進呈しています。
これがまたスゴイ。驚異的な語彙の豊富さ。

「まれに見る図々しい人物」
「(ムンが強調した南北平和経済ついては)ゆでた牛の頭も仰天大笑(空をあおいで大笑い)するようなもの」
「(ムンは)下の人間が書いてくれたものをそのままさらさら読み下す、笑わせる人物」
「北で猟の銃声がしただけでも便を漏らすくせに」

ムンさん、あなた茹でた牛の頭に笑われて、便漏らしているってよ(笑笑)。
仮に日本がこんな下卑たことを言ったら(言うわきゃありませんが)、今頃は日本大使館とユニクロは火に包まれていることでしょうね。

「韓国政府は談話が発表されてから約4時間後に公式の立場を出した。これは談話を重く受け止めていることを意味する。韓国統一部の金銀漢(キム・ウンハン)副報道官は談話について、「南北首脳間で合意した(昨年4月の)板門店宣言や(同9月の)平壌共同宣言の精神に合致しないだけでなく、南北関係の発展にも全く役立たない」と強調した」(中央前掲)

はいはい、「板門店宣言と平壌宣言の精神に役立たない」ですか。役立たないのではなく、そんなものはとっくに北朝鮮はゴミ箱に放り捨てたのですが、未練たらたらです。
北朝鮮にとって、ムンと蜜月を見せたのは、あくまでも雪解けムードを作って米国を直接会談におびき寄せるための仕掛けにすぎませんでした。
米国も米国で、圧力を継続しつつ直接対話で時間を稼ぐ方針に切り替わっていたために、その誘いにホイホイと乗ってみせて、新たな次元に転換しました。
この米朝直接対話というフェーズになって、もっとも始末に困るのは南北統一を勝手に夢見るムンの存在でした。
しかもうるさい、身勝手、空気が読めないの三拍子。

この人物だけはマイペースで、あいもかわらず北にラブコールを送り続け、つい先日も「日本に負けないためには南北統一すれば勝てるさ」なんて爆笑ものの演説をしたばかりです。
何をトチ狂っているのか、つきあっちゃいられん、今やこれが米朝の共通した認識です。

言ってもわからないようだから、正恩は親切になんども韓国をターゲットにした短距離弾道ミサイルを撃ってやり、今回などは幻想を抱きようがないくらいに丁寧に罵倒してあげて絶交を宣言したわけです。
しかし韓国にはこの北朝鮮の悪意はまったく通じていないみたいですね(笑)。

結局、この時期、韓国の関心は北にではなく日本に対して向けられていたようで、国民揃ってこの件にスルーのご様子です。
お前の国を攻撃してやる、このクソめ、と叫んでいる国には無関心で、たかだか輸出管理規定を変更しただけのわが国には戦争をしかけてきた、とばかりに大騒ぎするのですから、まことに三半規管が狂った国です。

ここで都々逸をひとうなり。
踏まれても蹴られても ついていきます下駄の雪

 

※改題しました。

 

 

2019年8月18日 (日)

日曜写真館 むくげが終わってしまいました

 

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暑い日差しを避けて午睡です

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紫の仲間もいますが、白のドレスのほうが似合います

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お隣の国では国花だとか。朴槿恵さんの槿はむくげのことです

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透き通った日差しが似合うでしょう

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ちょっとアカバナーに似ているかも

 

 

 

2019年8月17日 (土)

習近平の香港鎮圧の意図を阻むものとは

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香港情勢が煮詰まってきました。
おそらく1週間以内にキャリー・ラム(林鄭月娥)行政長官は、9月に予定されている一帯一路サミットの治安維持の条件が整わないとして、中国政府に軍事介入を要請するはずです。
それは通常、このような大型の国際会議においては1カ月前に警備計画が確立していなければならないためです。
この機を逃してしまうと、中国治安軍(武装警察)が介入する機会を逸します。

「大和証券キャピタル・マーケッツ香港の頼志文(ケビン・ライ)エコノミストは、人民解放軍動員以外の「最悪のシナリオ」には香港での戒厳令発令や非常事態宣言が含まれると、7月25日の顧客向けリポートで予測した」(ブルームバーク8月2日)https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-08-02/PVL3TB6TTDS001

この予測を裏付けるように、中国治安軍は演習を口実に、香港まで10分ほどの距離にある深圳湾体育中心(センター)に終結を完了しています。

中国深センの香港との境界に近い競技場では15日、中国人民武装警察(武警)が演習を実施しているのが確認された。香港で続いている抗議活動に対するけん制とみられる。
 深センの競技場からは、迷彩服姿の男性らが声を挙げたり、警笛の音が聞こえた。競技場の駐車場は100台以上の武警関係車両で埋め尽くされ、ホールローダーが少なくとも3台、放水砲を搭載した車が2台あった。
 中国共産党機関紙の人民日報は、ソーシャルメディアの微博(ウェイボー)に、武警は騒乱やテロリスト攻撃に対応すると投稿。中国の劉暁明駐英大使は、香港の抗議活動の一部参加者にテロの兆候がうかがえるとし「香港情勢がさらに悪化すれば、中央政府は座して傍観していない」と警告した」(ロイター8月15日)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190815-00000074-reut-cn

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https://news.goo.ne.jp/article/mainichi/world/mainichi-20190815k0000m030200000c.html

上の衛星写真を見ると、スタジアムを覆いつくさんばかりの数百両の軍事車両がひしめきあっているのが確認できます。
台湾からの未確認情報では、11個師団・11万人の軍隊が動員されているというものもあります。

もはや政治的威嚇でも恫喝でもありません。
その時期は終わりました。
いま、待機しているのは、キャリー・ラムからの支援要請を待っているだけのことです。

もちろん、中国が軍事力を行使することのリスクは、習がよほど頭に血が登っていないかぎりわかりきったことです。
その最大の理由は、香港というカネのなる木を切り倒してしまう可能性か高いからです。

「最大の懸念は「天安門事件」が繰り返されることだ。1989年6月、北京の天安門広場に集まった民主化を求める学生らを武力弾圧したのが人民解放軍だ。同様の状況となれば、米国が香港に付与する貿易上の特権を撤回する可能性もある」(ブルームバーク8月2日)

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ブルームバーク前掲

しかし驚くべきことに、これについて奇妙な楽観論が中国政府にはあるようです。

同時に、中国の民主化運動が武力弾圧された1989年の天安門事件にも言及し、香港で天安門事件が繰り返されることはないと強調。「米国は30年前の混乱を材料に中国を威嚇することはできなくなるだろう。中国ははるかに強力で成熟しており、複雑な状況をコントロールする能力は大きく向上した」と主張した。 」(ロイター前掲)

怖いほどの中国の自信ですが、この自らが天安門事件時よりはるかに強大になったという言葉は、もう少し慎重に使ったほうがよい。

米国務省は、香港の自治に対する侵害が続けば、米国法の下で享受している経済上の優先的地位が危険にさらされると指摘。
またボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、香港が英国の元植民地であり信頼できる司法制度があるからこそ、中国本土に対する投資の約6割が香港を通じて行われているとし「中国政府の誤った判断により香港の評価が失われれば、中国に多大な経済的影響が生じる」と警告した」(ロイター前掲)

ここでボルトンは、中国が香港に武装鎮圧に走った場合、 米国は香港に対しても「優先的地位」を剥奪すると述べています。
おそらくこれだけに止まらず、米国議会はいま進行中の中国に対する経済制裁の妥協を拒否し、いっそうの強化を要望するはずです。

香港は中国本土とは切り離した特別区であり、貿易上特別な地位として扱われてきました。

「香港特別行政区政府は2017 年11 月、香港・ASEAN 自由貿易協定(AHKFTA)およびASEAN・香港投資協定に調印しました。両協定には、物品貿易、サービス貿易、投資、経済・技術協力、紛争処理解決メカニズムに関する内容が盛り込まれています。このうちAHKFTA については、調印後、ASEAN10 カ国のうち4 カ国が国内手続きを完了した時点で発効に向けた手続きが開始されることとなっており、最短で2019 年1 月での発効が見込まれています。
これまで香港は長期にわたり「中国へのゲートウェイ」として役割を担ってきましたが、両協定の発効後は、香港からASEAN へのビジネスアクセスの向上とともに、香港の「ASEANへのゲートウェイ」としての役割発揮に期待が寄せられています。
加えてASEAN は、中国政府が推進する「一帯一路」戦略における重要な地域として位置付けられており、香港政府は、同戦略に積極的に参画する姿勢を強めています。両協定の発効に伴い、ASEAN における香港のプレゼンス向上につながることも期待されています」
(ジェトロ『香港・ASEAN FTA にかかる調査報告書』)

このように香港は、単独の経済拠点であるばかりではなく、一帯一路政策におけるアジアに向けた「ゲートウェイ」の役割を果たしてきました。
これが可能となるのは、あくまでも香港に自由な経済、自由な人権が保障されていてこそであり、中国共産党支配下の大陸とは異なると認識されているからです。
中国軍が征服し、米国から優遇政策を断ち切られた香港などは、自由であり繁栄した都市の死骸でしかありません。

そしてもうひとつ習の鎮圧路線を阻む内部的要因があります。
中国政府報道官の強気の発言とは裏腹に、共産党内部で逡巡が生じた可能性があります。
その一つの兆候は、昨日触れた8月9日の李鵬元首相の葬儀で現れました。
胡錦濤元国家首席、朱鎔基元首相、温家宝元首相が揃って欠席したのです。

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産経 習近平総書記(中央)。右は江沢民元総書記、左は胡錦濤前総書記

これは極めて異常な事態だと石平氏は見ます。

「この2人(※ふたりの朱元首相)の健在は今年になってからも確認されている。告別式の不参加は、さまざまな臆測を呼ぶような意外な行動であった。 つまり、江沢民氏を除いた政権内の長老格である胡錦濤・朱鎔基・温家宝の3氏がそろって告別式に参加しなかったのは、事前のすり合わせによる「ボイコット」である可能性が十分に考えられる」【石平のChina Watch】異変うかがわせた「李鵬告別式」 8月15日)
https://www.sankei.com/column/news/190815/clm1908150002-n1.html

石平氏は、この長老たちのボイコット行動が習の進めようとしている香港に対する武力鎮圧方針に反対したものではないか、と見ます。

「しかしそれだけでは、党内のしきたりや慣例に反して告別式の参加を拒否した2人の行動を解釈できない。現在でも一定の政治的影響力を持つ長老の胡・朱・温氏の3人がそろって李鵬告別式をボイコットしたのであれば、そこには必ず、何かの政治的意図があるはずだ。
 一つの可能性として考えられるのは、習近平政権が李鵬氏の訃告(ふこく)において天安門民主化運動の鎮圧に当たった李鵬氏の「功績」を高く評価したことに対し、上述の3人の長老が告別式の不参加をもって「不満と反対」を表明しようとしたことだ。
そして、中国の政治文化において、このような不満と反対の表明はそのまま現実の政治にも向けられる。つまり胡錦濤氏ら長老たちはこのような形で、鎮圧も辞さないという、香港デモに対する習近平政権の強硬姿勢を暗に批判し、反対の立場を鮮明にしたのである 」(石平前掲)

長老世代は第2次天安門事件の経験者です。
あの虐殺事件の後のおそろしいばかりの国際的孤立と、それに続く経済制裁も身に沁みて知っています。
ちなみに助け船を出して、窮地に陥った中国を助けたのは日本です。まったく馬鹿なことをしたものです。
とまれ、習には第2次天安門事件の経験がありません。
あの男は文革にしても第2次天安門事件にしても、妙に観念的なのです。

この共産党長老たちの集団ボイコットが起きたの時期に注目下さい。それは長老たちが現政権に対して意見を言う場である北戴河(ほくたいが)会議の前日だったことです。
常に北戴河は、権力ゾンビである長老たちと、元執行部との抗争の舞台でした。

「このような動きが、毎年8月に開かれる「北戴河会議」の前にあったことも意味深長だ。長老たちも参加するこの非公式会議が、香港問題や米中貿易戦争への対処において失策と失敗を重ねた習政権への「批判会議」となる可能性もあるからだ」(石平前掲)

この北戴河会議は今月の上旬から始まり15日に終了しました。

「北戴河会議では、米国との貿易戦争に加え、抗議活動が続く香港への対応も大きな焦点になったとみられる。
 香港基本法第18条は、全人代常務委が「制御不能の動乱」と判断し「香港の緊急事態入り」を決定すれば、「中央政府が全国の法律を実施できる」と規定。
香港に隣接する広東省深セン市への集結が伝えられる人民武装警察(武警)を香港に投入する場合、この規定を根拠にすることが想定され、全人代常務委の今後の動向が注目される」(時事8月15日)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019081501065&g=int

ここでなにが議論されたのかは公表されていませんが、習の対米政策の失敗、そして香港政策の失敗がやり玉に上がったことはまちがいないところです。
このように、習の香港鎮圧方針は、内外で強い抵抗に合っています。

 

 

2019年8月16日 (金)

習近平の香港鎮圧宣言

引き続いて香港について書きます。

先日7月22日、李鵬元首相が死亡しました。
この人物がいま改めて注目されているのは、この人物こそ1989年6月に起きた天安門事件で、当時、中国共産党の実権を握っていた鄧小平氏の下で、民主化運動への武力弾圧の指揮を執ったからです。

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晩年の李鵬元首相 出典不明

李は天安門事件の前年に首相となり、以後10年間の長期政権を務め、以後は全国人民代表大会委員長などを歴任しました。
彼は元来、電力関連のテクノクラートで、世界最大にして最悪の環境汚染を招いた三峡ダムの建設は彼の仕事です。
また、いわゆる「太子党」の頭目株で、自らの息子娘も電力関連の国有企業の幹部や大臣に押し込むみ、政財界で特権的地位を占めるマフィアを作り上げました。典型的な縁故資本主義です。
おそらく不正蓄財は数兆円規模に登り、その大部分は外国の金融機関に預けられていると言われています。

さて、今回の李の葬儀は厳戒体制の下に行われました。いかに不人気なのか分かります。

「【北京=比嘉清太】今月22日に死去した中国の李鵬リーポン・元首相の葬儀が29日、北京市郊外の八宝山革命公墓で行われた。1989年6月の天安門事件で民主化運動への武力弾圧に関与した李氏に対する民衆の抗議行動が起きないように、当局は厳戒態勢を敷いた。(略)
公墓周辺では多数の警察官が配置され、通行人に身分証を提示させるなど警戒にあたった。付近のガソリンスタンドは当局の指示で営業が一時中止となった」(読売7月29日)
https://www.yomiuri.co.jp/world/20190729-OYT1T50225/

そして葬儀において習はこう述べたとされています。

「中国国営の新華社通信は、追悼記事において「断固とした措置で動乱を止め、反革命暴乱を鎮めた」と李氏の「功績」をたたえている。中国共産党は天安門事件を国民の記憶から消し去ろうとしており、新華社の記事にも「反革命的暴乱」について具体的には書かれていないが、当時を知る人が読めば天安門事件のことを指していることは明らかだ」(広岡延隆 日経ビジネス)
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/072500565/ 

ではこの李の最大の「功績」とはいったいなんでしょうか。
それは中国本土において民主化運動の息の根を止め、代わって右肩上りの経済成長によって不満を押さえ込んだことです。
李自身は、開放改革路線に懐疑的な「保守派」でしたが、結果として共産党が主導する資本主義路線の道を作ってしまったことになります。
その意味で、李こそ「ブルジョワ的自由主義」を鎮圧し、共産党独裁下の国家資本主義を作った「功労者」ということになります。

石平氏は葬儀における習近平の発言に注目してこのように述べています。

「それが故に、李氏は現役の時でも引退してからも、国民の間では大変不人気であって争議の多い人物である。その彼が死去に際し、習近平政権から上述のような高い評価を受けたことは実に意外に思われるが、それは、習政権と習近平主席自身の政治的スタンスを表している。つまり習主席はこれで、自分自身がトウ氏や胡耀邦氏らの党内改革派・開明派よりも、李鵬氏のような保守・強硬派勢力の政治路線の後継者であることを内外に宣言したのである。
(石平のChina Watch】訃告に込めた「鎮圧宣言」)
https://www.sankei.com/column/news/190801/clm1908010005-n1.html

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香港民主化デモ 出典不明

本来は李と激しい党派闘争を繰り広げてきた関係の習が、この時期に李を顕彰する理由はいうまでもなく、香港で天安門事件に継ぐ第2の民主化デモが起きたからです。
7月21日には、香港全人口700万人のうち実に200万人が参加したといわれる規模の集会が開かれ、毎週数十万人規模の集会が絶えることなく続きました。
彼らの掲げた「五大訴求」には、当初の逃亡犯条例改正案の撤回や林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官の退任などに加えて、最も中国政府が嫌がる「真の普通選挙の実施」が加わりました。

これは香港民主派のかねてからの要求で 香港においては大陸政府の指名する立候補者しか事実上立候補できず、親中派だけが政権を独占する仕組みが存在したからです。
中国共産党は香港民主派の要求に、この自由選挙要求に加わったことで逃亡犯条例の撤回だけでは済まず、これが第2民主化運動まで突き進む性格だと悟ったようです。

改めて李の葬儀における習の発言をみてみましょう。

「1989年春から初夏までの政治風波(騒動)に当たり、李鵬同志は旗幟(きし)鮮明にして、政治局大多数のメンバーとともに果敢なる措置を講じて動乱を制止し反革命暴動を鎮め、国内情勢を安定化させた」
石平のChina Watch】訃告に込めた「鎮圧宣言」
https://www.sankei.com/column/news/190801/clm1908010005-n2.html

これは今までの天安門事件を記憶の彼方に追いやり、口にすることすら許さなかった中国共産党の姿勢とは大きく異なっています。
石平氏によれば、この天安門事件の命令を下した鄧小平の死去に際してすら、「政治風波」という柔らかな表現にくるんで「反革命暴乱静めた」などというそのものズバリの表現を避けてきました。

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今回、習が改めて「反革命暴動乱を鎮圧」すると発言したことは、とりもなおさず第2民主化運動の様相を帯びた香港デモに対する鎮圧の意志を示したことになります。

「習近平政権はもはや、天安門の血の鎮圧を隠そうとはしない。習主席はまさに李鵬氏らの強硬路線の後継者として、共産党の一党独裁体制を守るためには今後、天安門の血の鎮圧と同様の「果敢なる措置」も辞さないことを堂々と宣言したのである。 そして、この「鎮圧宣言」が訃告の形で出されたのと同じ日、中国国防省報道官は、香港での抗議活動に対処するため中国軍が出動する可能性について初めて言及した」(石平前掲)

では、これを止められる可能性はあるのでしょうか。
それについては長くなりましたので、次回に続けます。

 

2019年8月15日 (木)

香港に武力介入の兆し現る

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きわめて危険な兆候が中国政府に現れています。それは香港の民主派に対して、軍事制圧の意図を隠さなくなったことです。

「中国国営中央テレビ(CCTV)が伝えた。中国政府が香港の抗議活動を「テロの兆候」になぞらえて非難するのは初めてとみられる。過激になる抗議活動を抑え込む姿勢を強調した。
報道官は「暴力犯罪は情け容赦なく打ち負かさなければならない」と話した。香港の状況は「重要なヤマ場を迎えた」と指摘し「秩序の回復が最も差し迫った任務だ」とも強調した。
中国メディアは12日、中国で治安維持を担当する人民武装警察部隊(武警)が大規模訓練のため、香港に隣接する広東省深圳市に集結していると伝えた。武警は習近平(シー・ジンピン)国家主席が率いる中央軍事委員会の直接指揮下にある」(日経8月12日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48489670S9A810C1000000/

いまや中国政府は明確に「テロの兆候」と呼んでいます。
5日前までは中国が民主派デモに対して使っている言葉は「中央政府の巨大な力を過小評価すべきでない。火遊びする人々は火によって滅びる」(  AFP8月6日)でした。
先週の時点までは政治的恫喝の域を出ませんでしたが、香港国際空港占拠事件を経て、暴力的制圧の準備は完了したと言っているに等しいことになります。

石平氏は李鵬の葬儀における習の発言のこの部分に注目しています。

「訃告でもう一つ、注目すべき点は、1989年の天安門事件における李鵬氏の役割をことさらに取り上げて高く評価したことだ。このくだりの原文(邦訳)はこうである。 「1989年春から初夏までの政治風波(騒動)に当たり、李鵬同志は旗幟(きし)鮮明にして、政治局大多数のメンバーとともに果敢なる措置を講じて動乱を制止し反革命暴動を鎮め、国内情勢を安定化させた」(石平チャイナウォッチ)https://www.sankei.com/column/news/190801/clm1908010005-n2.html

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香港国際空港占拠事件 ニッポン放送

ここて習ははっきりと李鵬への告別の辞にかこつけて、 「(香港の)反革命暴動を鎮圧し国内政治を安定させる」と宣言したと石平氏はみています。
私はこの指摘は正鵠をえていると考えます。
中国がデモ参加者を「テロリスト」呼ばわりする時は、「デモが一線を超えてテロとなった、武装対処するがいいな」、という信号を国際社会に向けて出している時だからです。

同時にテレビ映像で、香港と接する深圳に終結する治安軍隊の模様を、中国中央電子台が公然と流しています。 スタジアムを埋めつくした軍事車両の映像も公開されています。

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これは日程的にデッドエンドが近づいているからです。
一帯一路サミットが香港で9月末に開かれ、習近平が訪問する予定です。
習が香港訪問すれば大規模デモで熱烈歓迎を受けることは間違いありません。

中華皇帝・習にとってそのような事態はありえないことです。
これを認めてしまえば、習の、いや中国共産党の権威そのものが瓦解します。
それはいまだ屈せざるウィグル民族を鼓舞し、チベット民族に光明を与えることでしょう。
これは中国共産党の晩鐘として、全土に鳴り響くはずです。
それ故、絶対に中国共産党は香港民主派を許しません。

また10月には建国70周年を控えており、もはや時間的余裕はなくなったと中国が考えてもなんの不思議もありません。
早ければ、今週にでも軍隊が投入され、「第2天安門事件」が起きる可能性が高まってきました。

下の地図でおわかりのように、香港は軍事的に制圧することが簡単にできる地形です。
香港島から本土に架かる海上橋は港珠澳大橋などわずか2本。ここを軍隊が封鎖することだけで、香港は袋のねずみとなってしいまいます。

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ここを封鎖した中国治安軍(武装警察)は、続いて金融街や通信施設、放送局なども制圧し、要所要所にチェックポイントを設置します。
そして戒厳令を発令します。
夜間はいうに及ばず、昼間さえ1週間以上の外出禁止令が強制されます。

通信・ネットはブラックアウトとなり、 外国メディアは一カ所に集められるか、ホテルに厳重に閉じ込められることとなります。
抗議デモは頻発するでしょうが、治安軍はゴム弾はおろか、実弾発砲も辞さないはずです。

一方、公安も大量に投入され、あらかじめリストアップされていた民主派デモの首謀者を全員拘束し、直ちにその身柄を本土に移送します。
直ちにというのは言葉の綾ではなく、戒厳令がいきているうちに「うるさい奴ら」を始末しないと、時期を失するからです。
その数は数百名から千人を超える単位だろうと思われます。

彼らには正式な逮捕令状の交付もなく、文字通りどこに行ったのか行方不明となります。
彼らの多くは、二度と香港の地を踏むことはできないかもしれません。
その中には再教育センター(労働改造所)で多数臓器を抜かれる者もでることでしょう。
これか中国共産党のいつものやり方です。

一方、米国の反応です。

「政府への抗議活動で緊迫化する香港情勢について、トランプ米大統領は13日、「我々の情報機関の情報によれば、中国政府は香港の境界へと軍隊を移動させている」とツイートした。詳細は明らかにしていない。
 トランプ氏はツイートに先立ち、訪問先のニュージャージー州で記者団に対し、香港について「極めて大変な情勢だ」と懸念を示し、「中国を含めてどの関係者のためにもことがうまく運び、死傷者が出ないで欲しい」とも語った。
 米国務省は13日、ポンペオ米国務長官と中国外交トップの楊潔篪(ヤンチエチー)・共産党政治局員がニューヨークで会談したと発表した。「両氏は米中関係について広範に意見交換した」という報道官声明が発表されたが、会談の開催は事前に発表されておらず、香港情勢について協議した可能性がある。
 一方、米CNNは13日、中国政府が米海軍の輸送揚陸艦グリーン・ベイとミサイル巡洋艦レイク・エリーの香港への寄港要請を拒否したと伝えた。香港情勢が影響している可能性が高いとみられる」(朝日 )

このポンペオの動きやトランプのツイッターから伺えるのは、米国は中国の軍事介入を察知しており、裏面で強い圧力をかけていることです。
楊潔篪(ようけっち)はかつて駐米大使、外交部長をしていた人物ですが、どこまで実権を持っているかわかりませんが、米国の警告は中国共産党中央に伝えているとは思われます。
米国はミサイル巡洋艦を香港に寄港させることで、民主派の国際的支援としたい意図だったと思われますが、拒否されました。

現在、デモ隊が要求しているのは以下の項目です。

①逃亡犯条例の公式な完全撤回
②行政長官の辞任
③デモ隊への警察の暴力的攻撃に関する独立調査委員会の設置
④普通選挙の民主的実施

どれもあたりまえすぎて哀しくなるような民主派の要求ですが、中国は当然のように一切の妥協を拒否する硬直ぶりを見せています。
200万人デモを前にすれば、西側社会ならばせめて無能長官のキャリー・ラムを更迭し、多少融通のきく者を据えるとか、香港警察で今実験を握ったと言われる強硬派を更迭してみせるくらいの妥協の姿勢は見せるでしょう。

要は、彼ら中国共産党からすれば、多少修正してでも逃亡反条例を通してしまうことが最大命題なのに、まったく譲らないでは話になりません。
習という人物がいかに柔軟性を欠く人物か、今や余裕を失って一杯一杯なのか、これを見ただけで分かります。
このように政治的緩急に乏しい男が追い詰められた以上、武装制圧しか残るカードはなくなります。
愚かというのは残酷なことなのです。

ただし仮に中国が軍事介入に踏み切った場合、中国が払う代償は巨大なものとなります。
日米欧などの多くの自由主義諸国の企業は、本土にすべての拠点を移動したわけではありません。
本土に移動すると多くの規制がかかり、資本の自由が効かなくなるからで、いまだ香港に金融、決済、データセンターなどの指令センターを置いています。
ですから中国向け輸出は、香港を中継点とする三角貿易が行われてきました。

このパイプが切断されるわけですから、中国に進出する自由主義諸国の企業にとって後背地を失う結果となります。
これはそれでなくても米中経済戦争の余波で、中国離れが進んでいる状況を急速に進めることになります。

そしていうまでもなく民主主義と人権は、自由主義諸国の譲れない大原則ですから、香港の民主主義要求を暴力で制圧した報いは、中国の深刻な国際的孤立につながっていくはずです。

この1週間が山です。香港を注視しましょう。

 

 

 

2019年8月14日 (水)

高校野球の原点を忘れた高野連と朝日新聞

058今日も去年の2018年8月22日の記事を再掲します。

                                                            ~~~~~~

金足農、力及ばずでした。大阪桐蔭、素晴らしい勝利でした。歴史に名を刻みました。おめでとうございます。 
私は奇跡なんかあるわきゃないと思いつつ応援していましたが、5回で吉田が大量得点をもらった時には天を仰ぎました。
終了時にあたかも選手たちの健闘をたたえるように、虹がかかったのが心に残りました。

Photoひのえ様のツイッターより引用いたしました。ありがとうございます。https://twitter.com/hinoe2

あんなに悪い吉田は初めてみました。連日の投げすぎによる疲労困憊の極にあったのでしょう。 
6試合で881球!その上に地方大会もひとりで投げきりました。
プロなら絶対にそんなキチガイじみたハードスケジュールで投手を使いません。故障しないほうが奇跡だからです。

吉田も4回から下半身がおかしいと訴えていましたし、股関節の異常も漏らしていました。
彼の明るい笑顔と裏腹に、吉田は既にいうことをきかなくなっている足、肘、指をなだめながら投げていたのです。
高校野球大会で肩を潰した選手は多いですから、後障害が残らないか心配です。

田はすでに数回目からフォームがもう体を成していませんでした。
エースをここまで酷使しておきながら、なにが「高校野球のお手本」(八田会長)ですか。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180822-00000002-wordleafs-base
そんな吉田に連日100球越えで投げさせる、非常識の極みです。

高野連、そして主催者である朝日新聞の非人道的、非教育的、いやそれ以前に常識さえ持ち合わせていないことに驚きます。 
そしてそれを、「感動」「共感」を安売りするメディアの浅はかさがたまりません。 

20180821s00001002176000p_thumhttps://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2018/08/2... 

そもそもこの両校の対戦は、平等性が担保されていないのです。 
いやしくもスポーツ大会で平等のルール、平等のレギュレーションがなければ、それはスポーツ大会とは言いません。 
レギュレーションとは規則、規約のことですが、、あまりにも実情に合っていません。 

高野連が出場資格をあたえている高校の定義は、「日本学生野球憲章」にこうあります。 

「第3条(定義)
2イ高等学校野球連盟に加盟できる学校は、原則として、学校教育法で定める高等学校とし、日本高等学校野球連盟は、日本学生野球協会の承認を得て、高等学校野球連盟に加盟する資格および基準を定める」

http://www.jhbf.or.jp/rule/charter/index.html 

ここにはただ「学校教育法で定める高等学校」とあるだけです。 これでは何も決めていないに等しいではありませんか。
この学生野球憲章ができたのは昭和21年12月ですから、まだ日本が焼け跡だらけの頃です。 
このような日本が立ち直れるかどうかさえわからなかった時代に、高校野球を通じて復興を担う青年たちに夢を与えようと立ち上がった高校野球関係者に脱帽します。 

しかし、それから一体何年たっているのでしょうか。軽く半世紀を超えて、実に77年です。 
その間、「学校教育法で定める高等学校」がどれだけ変質を重ねてきたのか、です。 
こう言ってはなんですが、金足農はただの地方の県立農業高校です。地方の農家の子弟を中心にした地域農業の次世代を育てる学校です。 

 

Tp2882金足農高HP
http://www.kanano-h.akita-pref.ed.jp/H28topics.html 

吉田の実家も梨農家だと聞きました。ナインの家は皆、なにかしらの形で農業を営む家庭です。 
選手の中核である投手は、大会最後の最後の6回で三塁手と替わるまで吉田ひとりで投げ抜きました。
一方、大阪桐蔭は質が変わらない柿木、横川、根尾の3名の体制で臨みました。

天才投手がひとりで肩が抜けそうになるまで投げるのか、3名で交代で投げるシステム野球が有利か、どちらが勝利するかは考えないでもわかります。
これで大都市に所在する大阪桐蔭のような私立校と戦え、というほうが本来無理なのです。 

大阪桐蔭は、体育コースを別に設けて、全国から生徒を募っています。スカウトで入学した者も多いといいます。 
Ⅰ類東大・京大コース、Ⅱ類一般進学コース、Ⅲ類体育と、入学試験から別途に教育をしている大阪桐蔭のような私立高と、「ただの県立高」が対戦しろというほうがどだい無理です。 

なにより私立高校には学区の制限がありません。
金足農は秋田県、しかも遠方ではなく、金足近辺の子弟に限られています。
 
それに対して、大阪桐蔭などの私立強豪校は全国区です。 
いわば市会議員選と全国区の議員選を、ゴッチャ混ぜにして実施しているようなものなのです。 
こんなメチャクチャなレギュレーションのスポーツ大会があるでしょうか。 

実際、大阪桐蔭の今回登録メンバー18名中、大阪府内出身はわずか5名でした。4番藤原が府内なのが救いです。
http://apapnews.com/famousmember/290/ 
投手の柿木は佐賀、キャッチャーの小泉は和歌山といった具合で、大阪出身が少数派な「大阪代表高」なのです。 
大会前に大阪桐蔭の春夏連覇を阻むと予想されていた智弁和歌山、龍谷大平安、横浜、木更津総合、創成館などは、みな大同小異の「全国区」の高校でした。 

こういう「全国区」も「地方区」もゴッチャにして戦わせる形式は、もはや平等とはいえません。
今後も高校野球を「教育」という名でやるなら、構造を変えていかねばならない時期にきています。
「教育」と高野連が謳う以上、星の数ほどある高校に等しくチャンスを与えねばおかしいからです。

プロを目指す少年が全国から強豪校に集まるのは、プロ野球が高校野球を草刈り場としている以上避けられない資本の原理です。
県外選手が多数を占めるのも同じで、もはや致し方ないでしょう。
ですから、そのような高校はひとつのカテゴリーを作って、その中で対戦するのが自然なのです。
初めからプロを目指して高校に進学し、一般生徒とは別枠で鍛え上げられる私立高校は「全国区」へ。
公立高校などは「地方区」同士の全国大会へと、別に全国大会を持つべきです。
そしてその上で「全国区」の勝者と、「地方区」の勝者が日本一を戦えばいいでしょう。今回のように、そうそう簡単に地方公立高は負けませんよ。

もうひとつ。長くなるので駆け足で書きますが、今回、夏の炎暑の下でやることは殺人的だと分かりました。
足がつる選手が続出したのは、熱中症の兆候です。

そもそも春大会が毎日新聞、夏大会が朝日新聞と二回に分けて開催するからおかしくなるのです。
新聞社やNHKの商業主義に、高野連が相乗りしているからこうなります。
これでは選手に一年中大会を目指して野球をやっていろというようなもので、これが「教育」でしょうか。

春夏を合併させて゛、一年に一回気候のいい5月にでもしたらいいのです。
高校野球を嫌いだという日本人は少ないはずです。私もこのシーズンを待ちわびるひとりです。
だからあえて全国高校野球大会は、原点に戻ってくれと思います。 

このような選手無視の高野連の姿勢は、表彰式終了後1時間もどーでもいいエライさんのスピーチで疲労の極にいる選手たちを立たせたままでいたことにも現れています。
八田会長いわく。「阪神甲子園球場を訪れたお客さんの数は、史上初めて100万人を突破をして最多の101万5000人にのぼりました」ですと。
そりゃあんたらの商売でしょう。商売うまくいきました、と1時間もぐだぐだやっているな。
表彰式後、直ちに彼ら選手をケアしようとどうして思わないのか。そのほうがよほど不思議です。
高野連は教育者失格です。

彼らは朝日、毎日、NHKといった巨大マスコミと癒着することで、焼け跡の中から高校野球大会を復興した初発の原点を忘れてしまったのです。
いいかげんにしろ、大会はあんたら利権にしがみつく大人のためにあるのではないのです。

 

 

 

2019年8月13日 (火)

高野連と朝日新聞は、「運動絶対禁止」、ないしは「厳重警戒」下に多くの高校球児と観客をさらしています

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去年7月21日の記事を再度掲載します。状況はまったく改善されていません。
この大会でも、足がつる選手が続出しています。
原因はわかりきっています。熱中症です。

しかも腹が立つことに苦しむ選手を美談に祭り上げてしまっています。
彼らの熱戦と、大会運営のあり方による事故は全く別次元なのに、です。
事故、そうです、あれはあきらかなスポーツを原因とする事故そのものです。

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https://www.daily.co.jp/baseball/2018/08/07/001152...

事故ならば、原因があり、対策があるはずですが、何の対策もたてられないまま毎年行われています。
プロではあたりまえの投球制限や、登板日の間隔はおろか、投手の肩アイシングといった簡単な対処すらしていません。
なによりも異常な密度での試合! 

高野連は、高校生という身体ができていない子供を壊してしまうつもりでしょうか。
それを仮に「教育」というなら根本的に学生スポーツをはき違えています。

なんの改善もせずに、水を飲ませる程度でお茶をにごしている利権集団と化した高野連、そして商業主義にとりつかれた朝日新聞には既に解決能力がありません。

                                                ~~~~~~~

朝日のこんな偽善的な記事(7月14日)を読むと胸糞が悪くなります。
https://www.asahi.com/articles/ASL7G5H4GL7GUTQP03W.html 

「毎年、熱中症でみなさんと同年代の部員が亡くなったり、意識不明になったりしています。
今年も事故が起きました。12日に、
大津市の中学校で、男子ソフトテニス部の2年生が、熱中症で救急搬送されました。(略)
日本スポーツ協会はこのWBGTが25~28度になると「積極的に水分、塩分を補給する」、28~31度だと「激しい運動や持久走は中止」という指標を出しています。そうした状況では練習には細心の注意が必要なのですが、正しい知識を持たず、認識が甘い先生がいるのが事実です。
これからの時期、給水が少なかったり、過度な持久走が課されたり、そうしたことについての意見が言えない雰囲気があるなら、それは先生の間違いです。
「それは無理」と感じた時、「もうダメだ」と体に異変を感じた時、仲間の様子がおかしい時、自分や仲間を守るために、声を上げましょう。とても勇気がいることです。でも、みなさんの方が正しい場合がきっとあります」

 ここで朝日の編集委員が言っているWBGT評価というのは、下図の日本体育協会が定めた「熱中症予防のための運動指針」というものです。 

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 朝日さん、おいおいです。あなたの会社は主催者です。「声をあげることが勇気がいる」状況を作ったのは、他ならぬあなた方なのです。

朝日に言われないまでも、甲子園がある大阪では8月に入って、連日「運動は絶対禁止」の35度を連日超えており、30度を割った日は1日もありません。
https://weather.goo.ne.jp/past/772/20170800/ 

つまり、こんな時期にやるなということです。
結果、主催者の高野連と朝日新聞は、「運動絶対禁止」、ないしは「厳重警戒」下に、多くの高校球児と観客をさらしています。
それを「教育の一環」という美名で放置し続けてきました。

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忘れかかっているらしいので、朝日と高野連のために高野連規約をみておきます。

「第2条 学生野球は、教育の一環であり、平和で民主的な人類社会の形成者として必要な資質を備えた人間の育成を目的とする」

「教育の一環」というなら、生徒の身体を少しは心配したらどうですか。
こんな過酷極まる気象条件で競わせた上に、エース級投手はほとんどの高校がひとりしかいません。
しかも完投が強いられます。準決勝、決勝ともなれば、連日連投を強いられるというプロなら絶対にありえないスケジュールが組まれています。
プロがしないのは、こんな無謀な連投をやったら、投手が二度と野球ができない肩になるからです。

せめてもの改善は2013年からの準々決勝と準決勝の間に休養日を入れたことくらいですから、「教育の一環」という規約が泣きます。
これでいかに多くの高校球児が、一生使い物にならない肩になったのか、野球ができない身体になってしまったのか、高野連と朝日は調査してみるといいと思います。

全国高校野球大会を止めろなどという気は毛頭ありません。長く残すべき、日本の誇るべきスポーツ競技大会です。
だからこそ、なぜ真夏の炎天下、年間最も暑い8月にするのかを問うています。秋にできない理由でもあるのでしょうか。

日本が一番暑い時によりによってやることはありません。8こう書くと、年配者の人には、オレたちだって歯をくいしばって真夏にやったんだという人もいるでしょうが、あなたの若い頃とは気象条件が違うのです。
中には所沢市長のように、「教室にクーラーをいれないのが教育だ」なんてバカ言っている人もいるようです。
下は大阪7、8月の気温の推移グラフです。

夏の甲子園で優勝した元報徳学園のエース金村義明さんは、「僕が投げている時よりはるかに暑い。今だと僕死んでますよ」と断言した」(スポーツ報知7月20日)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180720-00000270-sph-ent

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あるいはドームならまだしも、屋根もない甲子園球場で、未成年者の生徒に競わせるのが非常識だと言っているのです。
現に、2011年には出場選手が次々に熱中症で倒れ、没収試合となるケースが発生しています。

しかも球児だけではありません、勝ち進めば進むほどバスを連ねて応援に来る応援団の生徒たちも膨大な数に登ります。
それが全国各地で甲子園を目指して、連日繰り広げられているのです。

いかに多くの子供たちの身体が危機にさらされているか、思いを致して下さい。

 

 

 

 

2019年8月12日 (月)

北朝鮮 新しい弾道ミサイル実験

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北朝鮮が新しい弾道ミサイル実験を行いました。

「【ソウル=恩地洋介】北朝鮮の朝鮮中央通信は11日、金正恩(キム・ジョンウン)委員長が10日に「新兵器」の試射を視察したと伝えた。同日朝に東部の咸興(ハムフン)付近から発射した短距離弾道ミサイルと推定される飛翔(ひしょう)体を指すとみられる。報道は武器の詳細には触れていないが、金正恩氏は「党で構想していたもう一つの新たな兵器が登場した」と述べた。
韓国軍によると北朝鮮が10日午前5時半すぎに発射した2発の飛翔体は、日本海に向けて約400キロメートル飛行。新型の短距離弾道ミサイルの可能性が高いと判断していた。朝鮮労働党機関紙「労働新聞」のウェブサイトが11日に公開した写真には、移動式発射台からミサイルを発射する様子が写っている5(日経8月11日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48481040R10C19A8000000/

Png4

朝鮮中央通信=共同

6月10日、北朝鮮の「党で構想していたもう一つの新たな兵器」の試射を視察した正恩は、新しいおもちャをもらった子供のようににこやかです。

「(北の)談話はトランプ米大統領が短距離弾道ミサイルの発射を容認しているとも指摘。「米国大統領は我々の通常兵器の開発実験を『どの国でも行う小さなミサイル実験』とし、主権国家としての我々の自衛権を認めている」などと強調した」(日経前掲)

ここにあるように北朝鮮は、「米国大統領は我々の通常兵器の開発実験を『どの国でも行う小さなミサイル実験』とし、主権国家としての我々の自衛権を認めている」と、 米国が許容しているとまで公言しています。

この甘やかし期間内を天与のものとすべく、今までの宿題を一挙にやっつけてしまいたいようです。

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10日の飛翔体発射に関連して北朝鮮メディアが公開した写真 労働新聞 日経前掲

北朝鮮は韓国が目標だと言いさえすれば、そうとうていどまで自由が効くことを学習しました。
そこで世界で一番北朝鮮を愛しているムン閣下に無慈悲にも「盗人猛々しい」と笞のようなひとことを浴びせています。

「11日の朝鮮中央通信は、米韓合同軍事演習を実施した韓国政府を非難する外務省米国担当局長の談話も報じた。軍事演習を巡り「中止するか誠意のある弁明があるまでは、北南間の接触自体が難しい」と主張。韓国大統領府がミサイル発射の中止を求めたことに「軍事演習の最中に我々を罵倒するのは盗っ人たけだけしい」と反発した」(日経前掲)

そういえばこの「盗人猛々しい」というセリフは聞き覚えがありますね。
それもそのはず、ムン閣下が例の「日本には二度と負けない」演説の中で、「日本が“賊反荷杖”のように、むしろ大口をたたくような状況を決して座視しない」という一国の元首が言う言葉とも思えない言葉に、日本国民の神経はいっそう逆撫でされたものでした。
この「賊反荷杖」(チョクバンハジャン)は、穏やかに訳せば「居直った、道理に合わない」ですので、「盗人猛々しい」は過剰な訳し方だと言う声もありましたが、今回の正恩の使い方をみるとこの訳し方で間違っていないようです。

とまれ、北は韓国を板門店宣言にある軍事的緊張緩和の約束を破った国とみています。

北朝鮮自身が堂々と国連制裁決議に違反しておきながらお前が言うかというところですが、これで北のムン政権切り捨ては明瞭になったと考えてよいでしょう。
まぁ韓国の取ってきた中国や北に対して融和的に猫なで声ですり寄り、一方で米国とも同盟を維持したいという虫がいいスタンスそのものに無理があるのはわかりきった話でした。
いったんこじれるとバランサーどころか、関係各国すべてから裏切り者めとまんべんなく袋叩きに合うことになります。

韓国は自業自得ですから放っておくとして、北は心憎いばかりに着々と戦力の増強をはかってます。(褒めているわけではありませんので、念のため)
今回は「新型ミサイル」というだけあってイスカンデルとは異なった兵器で、西側専門家を驚かせました。

「8月10日、北朝鮮は東部の咸興から2発の短距離弾道ミサイルを日本海に向けて発射しました。韓国軍の発表によると観測された飛行性能は水平距離400km、最大高度48km、最大速度マッハ6.1以上。その性能から北朝鮮版イスカンデルかと思われていましたが、翌8月11日に公開された北朝鮮の発表写真はイスカンデルとは全く異なる新型短距離弾道ミサイルでした。その形状はアメリカのATACMS短距離弾道ミサイルに酷似しています」(JSF8月11 日)
https://news.yahoo.co.jp/byline/obiekt/20190811-00137953/

となると、すくなくとも2種類の短距離弾道ミサイルを実験していることになります。
前回のマッハ6で飛翔したといわれる多連装ロケット砲も、従来のロケット砲の概念を破るものでしたが、今回はなんと米国のそれに似ていると言われています。

とまれ北朝鮮は、米朝直接交渉で失われた時間を取り戻そうとでもするように、驚異的な速度で弾道ミサイルを実戦化しようとしています。

「また同じような性能の兵器を2種類別々に同時開発することは労力も資金も余計に使ってしまいますが、それを北朝鮮はやってのけた上に試射も次々に成功させています。今年5月からの北朝鮮飛翔体発射は8月11日現在までに7回2発ずつ合計14発で、明確な失敗は1発だけと推定されています。全て新型の試験発射なのに成功率は非常に高く、北朝鮮のミサイル開発能力は侮れないものとなっています」(JSF前掲)

このような韓国を標的としたミサイルディフェンスが難しい短距離弾道ミサイル実験を進める一方、弾道ミサイルを水中発射可能な潜水艦の建造も進めています。
その一端が公開されています。

「北朝鮮はこれまで、潜水艦から発射するミサイルの発射実験を行ってきた。しかし、実際に海面下から発射可能なミサイルを配備したことはない。
公開された写真は、金委員長が念願の潜水艦配備に近づきつつあることを示しているように見える。とはいえ、写真に写った潜水艦の建造精度は低い。より能力の高いアメリカの潜水艦から逃れるためには、北朝鮮沿岸にしか配備できない可能性が高い」(Alex Lockie ビジネスインサイダー)

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ビジネスインサイダー https://www.businessinsider.jp/post-196156

この建造中の潜水艦は、正恩一行との比較から、幅11メートルほどだと推測できます。これについて戦略・予算評価センター」(CSBA)シニアフェローで自らも潜水艦に乗務経験を持つブライアン・クラークはこう述べています。

「北朝鮮は、033型(Type 033:中国で生産されたロメオ型潜水艦)を改造しているようだ。この型は、北朝鮮にとって運用実績がある唯一の潜水艦。艦橋に見せかけた発射装置に弾道ミサイルが搭載できるようにしたとみられる」(ビジネスインサイダー前掲)

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既に北朝鮮は2016年8月に水中発射弾道ミサイルの実験を済ませています。これを伝える聯合ニュースです。

「北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は24日に実施した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験について、「成功中の成功、勝利中の勝利」と述べた。朝鮮中央通信が25日、伝えた。
 金委員長は発射実験を参観し、「きょう発射した弾道弾の実験結果を通じ、われわれが核攻撃能力を完璧に保有した軍事大国入りを果たしたことが証明された」と発言した。
 韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮は24日午前5時半ごろ、東部の咸鏡南道・新浦付近の海上から潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)1発を発射した。東海を500キロ飛行し、日本の防空識別圏を80キロほど入った海上に落下したもようだ。」(聯合2016年8月26日)

まだこの北朝鮮のSLBM搭載可能な潜水艦は初歩的段階ですが、これが完成した場合北朝鮮はほぼ完全に近い形での核戦力を保有したことになります。
ただし、潜水艦という難しい兵器を自前で建造することには障害が多く、この建造中の船体の工作精度が低いと見られているように、きわめて限定的性格だと推測されます。

「世界中の海をパトロールするアメリカやロシアの原子力潜水艦とは異なり、今回写真が公開された北朝鮮の潜水艦は、同国の沿岸を離れては活動できないだろうとクラーク氏はみている。核ミサイルを数基搭載し、沿岸から数マイル以内の領海内に配備される可能性が最も高い」(ブライアン・クラーク前掲)

また、いくら正恩に大甘なトランプとてSLBM搭載潜水艦の保有を認めるとはおもえないので、政治的にはいっそう難しいとは想われます。
とまれ、北朝鮮は「ホワイト国」脱落パニックに陥った韓国を尻目にして、旧ピッチで軍備を増強しようととしていることだけは確かです。

 

 

 

2019年8月11日 (日)

日曜写真館 アサザの見頃です

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湖の上が住処です

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一昔前は汚染で絶滅しかかっていました

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いま、復活したのは市民の努力のおかげです

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2019年8月10日 (土)

韓国の揺るぎないワンパターン

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昨日の一部輸出許可を受けて、韓国は妙に安心しちゃったみたいですね。

「韓経:青瓦台政策室長「日本の追加措置なければ、我々も状況を悪化させる理由はない」
金尚祖(キム・サンジョ)青瓦台(チョンワデ、大統領府)政策室長が8日、サムスンなど5大グループの幹部らと会った。この席で、日本が「(貿易戦争の)拡大」に着火しなければ韓国も状況を悪化させる理由がないという趣旨の発言をしたことが分かった」(中央日報8月9日)
https://japanese.joins.com/article/426/256426.html

これはサムスン、現代(ヒュンダイ)自動車、SK、LG、ロッテの5大財閥の最高経営責任者(CEO)級の企業家らと懇談会行った時の発言だそうでです。
こういう時には、日本人だと儀礼的であれ、「いや、お互いに誤解があったようで」くらいは言うもんですが、「状況を悪化させるつもりはない。今回は許してやろう」と言わんばかりです(苦笑)。
日本が攻撃をしかけてきたが、手を引いたから許してやろうということのようです。
こういう時に民族性は出るものだ、と妙に納得しました。

たぶん青瓦台はヘタヘタと座り込みたくなるくらいに安堵したんでしょうな。
8月15日の光復節という、3月1日に並ぶ反日記念日を前にどういう顔をしてよいものやらと、苦悶していたでしょうからね。

せっかくしみじみしているところに、冷水を背中に流すようですいませんが、まだ早いですよ、ムン閣下。
先日の世耕大臣はこう言っているのです。もう一度世耕発言を分解してみます。

まず、このサムスンへの輸出許可は、あくまでも「韓国政府が、日本の措置があたかも禁輸措置だと不当な批判をしているため、例外的に公表した」にすぎない、つまり「徴用工裁判に対して日本が禁輸で報復した」という日本メディアと韓国のミスリードを事実をもって否定することが目的の1番目です。

第2に、こちらのほうがより重要ですが、「今後不適切な事案があれば、輸出管理を強化する品目を増やす」としたことです。
いいですか、いままで3品目だった輸出規制品目が、一挙にヒトケタ上がって240品目に増やすとしたのです。

第3に、その輸出管理強化の理由ですが、韓国政府の輸出管理体制が杜撰であって、これが輸出管理規制強化をした大きな原因ですが、これが改まる気配がないという点です。
日韓の当局者同士が政策対話して、ここを修正してくれ、ここはおかしいのではないかと率直に言える場があればよいのですが、これが日韓ではなくなって久しい状況です。
それはムン政権になって、それまで細々とあった日韓協議の場を一方的に破壊してしまったからです。
この輸出管理強化問題でも、日本は3年間延々と協議を持って欲しいと要請し続け、馬耳東風扱いされたのです。

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今回もまた、7月12日に韓国政府は産業通商資源部の担当官を経済産業省に派遣しましたが、まさに背広を着た殴り込みの風情でした。
こちらが招いたわけでもなく、そもそも日本側は「協議するような案件ではない。事務的説明会だ」と口酸っぱく説明し、韓国側もそれを了解していたにもかかわらず、帰国するやいなやこの会合を勝手に「第1回韓日協議」と発表してしまいました。
「あれほど協議じゃないつうたろー、その上に第1回ってなんなの?じゃあ第2回があるってこと。誰がそんな約束したの」と日本は、世耕大臣以下激怒したと伝えられています。

日本側が怒って当然です。
「協議」と「説明」ではまったく意味が違います。国内法令の改変にすぎないことを、外国と協議する必要自体ありません。
協議と言ってしまったら、国内法を外国のクレームがあれば変更することもありえることになってしまいます。
こんなことを一回でも認めたら、日本は主権国家ではなくなります。

また事務方の接触において語られたことは、外交的常識では原則非公開です。
なぜならこのような事務方同士の場においては、一般に公開できない内容が含まれているからです。
公表するのはあくまでも合意に達してから後のこと。
世界のどこに会議の内容をペラペラしゃべってしまい、しかも手前勝手に歪めるような国と「協議」できますか。
味噌汁で顔洗ってこいです。

世耕大臣が言っているのは、このような所業を反省しないかぎりまともな事務折衝は不可能だということです。
言い換えれば、韓国が反省なんかしっこないのですから、事務折衝は開かれず、したがって韓国の輸出管理は改善されないために、民間(特に輸出業者)の努力も無になることが頻発するでしょう。

ところがこれは韓国の通常の行動パターンなのだから始末におえません。
前回はレーダー照射事件時に防衛省がやられました。

今年1月15日に、韓国のレーダー照射について日韓の時染むレベルの協議が行われました。
ちなみにこれは国内法ではなく外交・安全保障分野のマターですから「協議」でよいのです。

その時、韓国側は交渉を一方的に暴露してしまいます。

「日本はレーダーの周波数を公開しなかった。日本はわれわれの軍艦のレーダー情報全体について要求した。非常に無礼な要求で、問題解決の意志がない強引な主張だ」(1月15日 聯合ニュース)

ひどい話です。事前合意を破って、自分に都合いいことばかりを報道陣にしゃべりまくるのですから、話になりません。

「日本のメディアが実務者協議の終了前には報道しないとした事前合意を破って関連内容を報じたことについても防衛省に厳重に抗議し、再発防止を求めた(聯合ニュース前掲)

その上、日本がこれに抗議するとこんどはこんなことを言い出しました。

「日本のメディアが実務者協議の終了前には報道しないとした事前合意を破って関連内容を報じたことについても防衛省に厳重に抗議し、再発防止を求めた」(聯合ニュース前掲)

自分はとっくに韓国メディアにペラペラしゃべり散らしているのに、日本もやっているぞと怒るというわけです。
自分はいいが、相手はダメだ、自分はどんな言葉を使って罵ってもいいが、オレを怒らせたら絶対に許さない、とんだワガママな子供です。

日本側はこのような韓国の態度に不信を募らせ、交渉を打ち切ることを通告しました。
すると韓国は今度は「日本が一方的に協議を打ち切ったぁ。話あいをする気もないのかぁ。ひどいひどい。いじめられた」とシクシク泣きまねするんですから、まったくもう。
いままで大声を喚いていたのが、いったん不利になるといきりり被害者に豹変するのが韓国の伝統芸ですから、泣きまねにだまされないように。

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https://www.sankei.com/politics/news/190122/plt1901220004-n1.html

レーダー照射では、当局者協議の前でしたが、韓国はオドロオドロしたBGM入りの「反論ビデオ」を世界各国に配布します。
この内容たるや政府公式ビデオにもかかわらず、クソコラだらけという珍しいシロモノでしたっけね(笑)。

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今回は3回に渡って「世界に日本の悪行を知らしめる」活動を展開しました。

・7月24日、ジュネーブでのWTO一般理事会で、韓国政府一方的に日本批判を展開し、議長に制止される。
・8月2日・バンコックにおけるASEAN地域フォーラムで、韓国外務大臣、一方的に日本を批判し、議長に制止される。
・北京でのRCEP閣僚会合で、韓国日本を強く批判し、議長に制止される。

お気の毒にも全部不発。
「勝手にやったら。しかしここでは迷惑だからやるな」、というのが国際世論のようです。

とまぁこのように韓国の行動には一貫したパターンが見られるのは、多くの人が指摘しているとおりです。

第1段階・・・極度に過激な表現で日本を威嚇する。「盗人猛々しい」「「カミカゼ攻撃による経済侵略」などなど。
第2段階・・・国際社会に自分の主張を精力的に宣伝して回る。
第3段階・・・当局者会議の場で、守秘義務を破り、自分のつごうのいいことを公表し、以後打ち切りを宣告される。
第4段階・・・論破されると、新たなテーマにすり替え、それがまた論破されれば別のことに乗り換えるのでループしてしまう。
第5段階・・・第1段階に戻ってしまうので、永遠のケイオスとなる。

このような行動習性は、多少の前後の違いはあっても不動のワンパターンですから今回もまた同じことを再演するはずです。
たぶん日本側の言っていることが決して融和でも手打ちでもないことに早晩気がつくでしょうから(気がつかなかったら馬鹿ですが)、また第1段階に戻ることになるでしょう。

 

2019年8月 9日 (金)

サムスンへの輸出が認められたそうですが、さぁどうしますムン閣下

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わはは、これは笑うきゃありません。政府がサムスンへの基礎資材の輸出を一件承認しました。
承認されたのはサムスン向けフォトレジストです。
フォトレジストは、毒ガス製造や核濃縮に使われるフッ化水素などに較べて軍事転用が難しいからだと思われます。

「政府が韓国向けの輸出管理を厳格化した「フッ化水素」など半導体材料3品目に関し、国内メーカーから許可申請があった輸出1件を許可したことが7日、分かった。また、政府が輸出管理強化の一環として、軍事転用が容易な製品や技術の輸出を制限するリスト規制の対象品目の拡大を検討していることも分かった。複数の政府関係者が明らかにした」(読売8月8日)
https://www.sankei.com/politics/news/190808/plt1908080005-n1.html

だから言ったろう、というやつです。
禁輸ではなく、ちゃんとした手続きを踏んで審査にパスすれば輸出できる、私は当初からそう書いてきました。
怪しげな転売業者ならいざ知らず、「世界のサムスン」が北やイランに戦略物資を売っているはずもなく、この大所から続々と審査に通っていくと予想していました。

今、市場ではフッ化水素はダブつき気味ですし、サムスンは大手の販売先です。
こういう地味な製品をコツコツとコンマ12桁の精度にまで高め上げた日本の町工場としては、軍事転用さえされなければ売りたいのです。
それを変に「徴用工」がらみにしてしまうから、おかしくなります。

「審査の結果、軍事転用などの懸念がなければ輸出は許可する」との方針を政府は示しており、今回、輸出を許可したことで、韓国が主張する「禁輸措置」には当たらないことを示した形だ。 政府は今後も、審査を通過した取引には輸出許可を出す一方、韓国に関する輸出管理をめぐって、新たに不適切な事案が判明した場合には、個別許可申請の対象品目を3品目以外にも拡大していく方針だ」(読売前掲)

日本は自由経済の国です。
民間の経済活動を政府が統制することは、原則できません。
唯一できるのは、日本という国全体を危なくさせる案件に対してだけです。
たとえばそれは、輸出した戦略物資が大量破壊兵器製造に転用されたりする場合だったり、日本企業に対して実害が及ぶようなことが起きた場合の対処措置としてです。

今回は前者ですから、そりゃ審査に通れば出すに決まっているでしょうに。
ただそれだけのことですが、ただし一件ずつ慎重に審査しますよ、ということにすぎません。

世耕大臣はこのように述べています。

「政府は通常、輸出許可の個別の事例を明らかにしていないが、世耕経産相は、「韓国政府が、日本の措置があたかも禁輸措置だと不当な批判をしているため、例外的に公表した」と述べた。
その上で、今後不適切な事案があれば、輸出管理を強化する品目を増やす考えを示した」(日テレ8月8日)
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20190808-00000291-nnn-bus_all

また大臣が輸出許可を出す一方で「輸出管理を厳重にし、管理品目も増やす」といったのは、韓国の輸出管理体制が改善されなければダメだという意味で、増やされる規制品目は240品目に増えました。

「輸出管理を厳しくした理由として韓国側の輸出管理体制が不十分だとしている点について「政策対話を行わなければいけないが、7月12日の説明会を一方的に異なった内容を韓国側が公表しているので、まずこの訂正が行われないかぎり、局長級の政策対話を行えない。まずは韓国側にアクションを求めたい」と述べました」(NHK8月8日)

このように韓国は輸出管理体制がまったく杜撰な上に、前回の経済産業省おしかけ事件で、勝手に「協議だ」と偽って発表したことで日本側の信用を失っています。
このように韓国政府は、民間の手助けになるどころか、今後も足をひっぱり続けるものと思われます。
本来は局長級会談で新たな輸出管理態勢を詰めねばならないのですが、今の韓国政府は死んでも日本には頭を下げないつもりらしいので、知ったこっちゃありませんが、どうなりますやら。

3カ月かかるとかいや4カ月だという観測が一人歩きしましたが、そういう場合も出るかもということにすぎません。
たぶんあの韓国のリストに乗っていたような悪徳業者は、ことごとく輸出禁止措置を食らうことでしょう。

経済産業省は輸出管理規制の変更の時もピラ一枚の官報でしたが、今回もピラで済ませています。
こういう木で鼻を括ったようなお役人節って好き。

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さてさてこれで「禁輸」ではなく、ただの輸出管理規制だということが立証されてしまったことになりますが、さぁどうします、ムン閣下。

まぁ、色々と言っておられましたですね。
国民向けの8月2日の演説です。
https://www.sankei.com/world/news/190802/wor1908020022-n1.html

「明白な経済報復だ」
「人類の普遍的な価値と国際法の大原則に違反する」
「政府は、日本の不当な経済報復措置に相当する断固とした措置を取る」

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お、「人類の普遍的価値と国際法に違反する」ときましたか。
前にも書きましたが、国際法は国内法に優越すると定めた国際法(ウィーン条約第27条)に背いたのはあなたでしょうに。
この国際法の条文を日本人はしっかり頭にたたき込んでおきましょう。

●ウィーン条約第27条
第三部 条約の遵守、適用及び解釈
   第一節 条約の遵守
第二十六条(「合意は守られなければならない」) 効力を有するすべての条約は、当事国を拘束し、当事国は、これらの条約を誠実に履行しなければならない
第二十七条(国内法と条約の遵守) 当事国は、条約の不履行を正当化する根拠として自国の国内法を援用することができない。

ですから、韓国は彼らの最高裁判決がなにを言っていようと、国内の不法行為法や民法で裁くことができないのです。
これは統治行為論として定式化されています。

それはさておき大統領からしてこうですから、韓国与党の「共に民主党」に至っては、頭の栓が弾け飛んだようなことを叫んでいましたっけね。

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「日本経済侵略対策特別委委員長「日本、自国企業の被害甘受…神風自爆を想起」
自国企業の被害まで当然視する態度で神風自殺爆撃が行われた真珠湾空襲が想起される。(戦犯国)日本は経済戦犯にならないよう願う」
 「今回の経済侵略の最終終着点は明らかだ。韓日葛藤を意図的に増幅して憲法を改正して再武装しようとすることだ。戦犯国日本の再武装という妄想は後戻りできない世界経済の破壊につながるだろう」
「実状をよく見てみると戦略物資統制の部分において日本は深刻な後進国だ。(日本を)国連安保理制裁委員会に回付することを政府に要請する」
  崔宰誠(チェ・ジェソン)共に民主党日本経済侵略対策特別委委員長が25日、外信記者の前で発言した言葉だ」(中央日報7月26日)

なんと「日本はカミカゼ攻撃で経済侵略してきた」ですってさ。
もうこんなことを叫ぶ奴と何を話しても無駄だ、という感想を多くの日本人は受けたでしょう。
こういう喧嘩を吹きかけられたからといって、売り言葉に買い言葉にならないのが、わが国の美風です。
どこかの国のように、不買運動をやったり、国旗を焼いたり、人形の首をハネたり、自治体が交流事業を中止したりすれば、後から恥ずかしい思いをすることになりますからね。

もちろん日本政府は、玄界灘を渡ってふっ飛んできた、招かざる客であった韓国経済資源省のお役人にもたっぷり予定を5時間もオーバーしてそれは丁寧に丁寧に説明申し上げたはずです。

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日経 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47276670S9A71...

「日韓両政府は12日、経済産業省内で事務レベルの会合を開いた。日本政府が韓国向けの輸出規制を強化して以降、会合は初めて。日本側は安全保障に基づく規制強化だとして制度概要などを説明した。事実関係の確認などに終始し、議論は平行線に終わった。日韓関係の改善に向けた糸口が見えない状態が続いている」(日経7月2日)

この時も韓国は、5時間も時間を延長してつき合わせておきながら、日本の態度が悪いとか、お茶の一杯も出ないぞなどとどうでもいいことにブー垂れて帰っていきましたが、ほんとうにきちんと内容を本国に伝えていたのでしょうか。
たぶん官僚はそれなりに理解していたのかもしれませんが、怖くて口にできない空気が青瓦台にはあるのでしょうね。

この説明会の記事でも日経は「輸出規制」という間違った概念を平気で使っています。
鈴置さんが辞めた後の日経の韓国記事ときたら、まったくもう。
今回の韓国政府の「禁輸」だ、「経済報復だ」という誤った判断は、日本メディアが揃って「徴用工裁判への報復」と書き立てたとことが発端です。

読売などそのものズバリ「禁輸」と書いてしまっています。
ちなみに読売は訂正記事だしていませんが、世耕大臣の再三に渡る抗議でこっそり修正はしているようです。

「韓国への「禁輸」4日から、半導体産業に痛手」(読売7月1日)
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20190701-OYT1T50101/

朝日は社説(7月3日)で「自由貿易原則をねじ曲げる」、「徴用工判決への報復だ」と書きたてました。

「政治的な目的に貿易を使う。近年の米国と中国が振りかざす愚行に、日本も加わるのか。自由貿易の原則をねじ曲げる措置は即時撤回すべきである。 安倍政権が、韓国への輸出の規制を強めると発表した。半導体をつくる材料の輸出をむずかしくするほか、安全保障面で問題のない国としての優遇をやめるという。
日韓には、戦時中に朝鮮半島から労務動員された元徴用工への補償問題がくすぶっている。韓国政府が納得のいく対応をとらないことに、日本側が事実上の対抗措置にでた格好だ」

どうしてこういつもいつも日本のメディアは、韓国がらみとなると、こういうミスリードをしてしまうんでしょうか。
いつもながら、メディアがもう少しまともなら、こうまで日韓関係はひどくならなかったことだけは確かです。

日本人にとって、私にとってもそうですが、反韓の人たちはほんのひと握りで、多くはただの「うっとおしい国」「永遠のクレーマー」「ストーカーか、この国」「常識をわきまえろ」、ていどの認識でしかないのです。
私はそれで良いと思いますし、こちらからテンションを上げるのは馬鹿げています。
「売られた喧嘩は買う」くらいにしておいたほうが無難です。

さて、振り上げた拳は上げるのは簡単ですが、下ろすのは大変です。
なんせいままで自分が喚いたことを一切否定せにゃなりませんからね。

問題はむしろこの韓国の自傷行為のほうです。
今回、韓国経済はまったく損害を受けていないはずで、受けたのは日本のユニクロやビールなどの進出企業のほうです。
おそらく韓国経済の根幹を日本経済が支えてしまっていることに、国際市場ははっきりと気がついてしまいました。
わずか三点の輸出管理規制をしただけでこのような恐慌をきたすことに対する危惧を、各国の経済関係者、なかでも金融関係者は持ったことでしょう。
やがてこれが効いてきます。

また今後韓国がいかなる経済危機に見舞われようと、日本がかつてのようにいっさい手を貸さないということもよく理解したはずです。
日本の銀行が出していた信用状に象徴されるように、日本が韓国の信用の裏書きをしていたのですが、今出したものをひっこめることは慎重に考えるが、今後はもうしない、いや日本の国民感情に則してももはや出来ない、そのことが新たな国際的な共通認識となりました。
通貨スワップなど、もうあちらからいいだすことは恥ずかしくてできないでしょうが、こちらもまぁ、考えるまでもありません。

このことは韓国という国家の信用棄損として、今後韓国に重くのしかかってくるはずです。
それはウォンの投げ売り、株価の暴落という現象を通じて、すでに現れ始めています。

仮にこれがわが国の政権が意図したことならば、実に「腹黒い」と思います。
日本人が戦後絶えて持てなかった「腹黒さ」ならば、私は歓迎します。
とまれ私たちとしては、ムン閣下が、この国を上げての狂騒をどう収めるか興味深く拝見するとしましょう。

 

写真 アサザの群落です。

 

2019年8月 8日 (木)

ありがとう、ムン閣下!あなたの逆上のおかげでRCEPが座礁しかけていますぞ

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ムン閣下の取り乱しぶりは、思わぬ方向に波及しています。
韓国が日韓協議を「ホワイト国」絡みでしか受けないために、日韓が関わる多国間協議が座礁しかねない勢いになっています。

覚えていますか。8月3日に中国の北京で開催されたRCEP(アールセップ・東アジア地域包括的経済連携協定)の閣僚会議での席上で、またまた韓国が誰も聞いていない日本非難の大演説をしたあげく、議長に制止されるという赤恥をかいてしまいましたね。
議長国インドネシアから、バカヤロー、うるさい、黙れといわんばかりの制止を受けてやっとだまったようですが、バカですねぇ。
会議のホスト国である中国は、韓国に議事進行を妨害されて、苦虫を噛みつぶしていたことでしょう。

韓国からすれば、けしからん日本がボクにひどいことしているから、世界の友達に聞いてもらうんだーい、という「戦略」に基づいてやっているつもりでしょうが、行く先々で別な場所でやって、といわれています(苦笑)。
WTOも、RCEPも多国間協議の場ですから、韓国にしか関りのない、しかも日本の国内法令変更なんかどの国も関心すら持っちゃいませんって。
ホント、チャイルディッシュな国。致命的に場の空気が読めないんです。

しかし私たち日本は、このていどのイガンジル攻撃(告げ口)しかできない韓国に、改めて感謝せねばなりません。
それは韓国と日本が共に関わっている貿易協定の一切が、すへてパーになりかねない事態が出てきてしまったからです。

Rcep

http://rcepinfojp.blogspot.com/p/rcep.html

日韓が共に関わる多国間貿易協定はTPPとRCEPですが、TPPは調印がとっくに終わっている上に、いくら韓国が色気を出して終わってから「オレも入れてくれぇ」と言っても、加盟国の一国でも反対すればダメですから、日韓協議が不能になってしまった以上、TP加盟は実務的にも不可能です。
ま、仮に日韓協議が出来たとしても、「約束を守れない国」なんか怖くて入れられませんけどね。

日本としては痛くもかゆくもないどころか、日韓二国間協議はあくまでも日韓請求権協定のテーブルについてからのことです。
二国間関係のイロハのイができないような国と、多国間貿易協議なんか夢のまた夢です。

さてこのRCEPも同じことで、日韓二国間の協議がまとまらないと枠組み全体が調印の運びになりません。
二国間で決まらないと、全体も締結にならない仕組みですから、さぁ、大変だ。

特にいちばんイライラしているのは中国です。
中国は米中経済戦争が手打ちをしたら再燃ということを断続的に繰り返しながら、一向に解決されないどころかいっそう対立を深めていますから、一刻も早く自分の陣地構築をしたいわけです。
米国が中心なったTPPに対して(トランプの馬鹿めが)、中国中心の多国間貿易協定の枠組み作りがこのRCEPだったはずなのです。
中国としては、これを作れば中国流の貿易ルールを中華共栄圏としてアジア全域に押しつけられると踏んでいたのです。

ところがTPPは日本の驚異的努力で、米国が抜けたTPP11で締結に持ち込んだのに対して、RCEPはいまだ泥沼にスタックしたままです。
RCEPは習の目玉政策の一帯一路のための重要なテコですから、権力基盤に綻びが見え始めた習は韓国の身勝手な大演説にコップでも投げたいような衝動にかられたことでしょうな。

「習国家主席は6月に大阪で開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議で、RCEPの早期妥結と中国EU投資協定、日中韓自由貿易協定(FTA)の協議加速を宣言し、一連の交渉を強力に進める考えを強調した。「対米貿易戦争の負担を少しでも軽くしたい習指導部が外交成果としても切望している」(北京の経済専門家)ことが背景にある」(産経8月4日)

「米中貿易摩擦の激化で、中国もRCEP交渉に前向きな姿勢を見せている。日本はRCEPの早期妥結の機運を高め、交渉中の日米貿易交渉でも米国側に圧力をかけたい構えだ。
 ただ、RCEP交渉は韓国との2国間交渉をまとめなければ、妥結できない。韓国側は7月26日に行われたRCEPの事務レベル会合でも日本の輸出管理強化の撤回を求めた。韓国側がかたくなにRCEPと関係のない輸出管理の問題を持ち出せば日韓の協議が思うように進まず、年内妥結を目指すRCEP交渉にも水を差しかねない。
2国間交渉をまとめなければ、妥結できない。韓国側は7月26日に行われたRCEPの事務レベル会合でも日本の輸出管理強化の撤回を求めた。韓国側がかたくなにRCEPと関係のない輸出管理の問題を持ち出せば日韓の協議が思うように進まず、年内妥結を目指すRCEP交渉にも水を差しかねない」(産経8月3日)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190803-00000532-san-bus_all

ところでこの北京のRCEPの閣僚級会議で、新たに電気・通信・金融の分野を加えられました。
中国があらたな協議対象に電気・通信を入れたのは、今、米国と戦っている真っ最中のファーウェイ絡み以外に考えられません。
おそらく中国としては、「例外なき通信分野の開放」を押し込みたいはずです。
もちろん、日豪NZは抵抗するでしょうが、苦戦を強いられることでしょう。

これらの分野は、国家の独立性に関わる極めて重要な分野です。
これが中国主導で決まってしまえば、加盟各国は中国の巨大なスケールメリットに圧倒されて行くことになります。

東南アジアや韓国はファーウェイ系統となるはずです。
結果、RCEP加盟国の電子情報は、北京に筒抜けになっていきます。

金融もまた、巨大なチャイナマネーが遠慮会釈なく加盟各国の市場に参入してくることはまちがいありません。
金融という国家経済の柱を握られれば、政治的に従属したのも同然です。
つまりRCEPは、周辺諸国の安全保障を脅かすのみならず、「中華共栄圏」づくりの場なのです。

さてここで思い出していただきたいのですが、日本政府が、韓国に対して輸出管理強化の根拠としたのは、韓国がシリア、北朝鮮、イランなどに並んで中国にも不正輸出していたからでした。
その理由は、中国は:北朝鮮、イランなどとは比較にならない安全保障上の脅威だからです。
急激な軍事大国化により、中国はアジア全域を支配下に置く位置を占めようとしています。

台湾に対しては公然と武力を誇示し、大陸で唯一の自由の砦である香港には、武力介入をちらつかせています。

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BBC https://www.bbc.com/japanese/45859761

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https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56765

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https://jp.reuters.com/article/china-southchinasea...

チベットやウイグルでは、民族絶滅政策に等しいジェノサイドを実行しています。
そして東南アジア諸国に対しても、南シナ海の軍事拠点化を進めて支配圏を広げています。
そしてわが国に対しては、東シナ海、沖縄に食指を伸ばそうとしているのはご承知のとおりです。

このように中国こそが、貿易の自由化どころか、真に輸出規制すべき最大の対象国なのです。
ですから中国との通商関係を強化するRCEPの成立は、中国にとってのみ有益であって、それ以外の国にとっては悪夢でしかないのです。

私は日本政府がこのままRCEPに関わるのは危険であると考えていましたが、一度交渉国に参加するとなかなか抜けられないものです。
日本は韓国とちがって、「約束を守る国」として国際信用を得てきた国ですからね。

しかし、今回、ムン閣下の逆上によって本来韓国にしか関わりのない輸出管理規制案件が、RCEP締結への最大の障害物になろうとしています。
韓国は、日本が輸出管理規制で頭を下げて来ない限り、他の協議一切に応じないでしょうから、思わず言ってしまいましょう。

ありがとう、韓国!
これでRCEPは永遠に泥沼だ。

 

 

 

2019年8月 7日 (水)

「あいちトリエンナーレ」は憎悪表現に水と肥料を与えた

やっぱりやっておくか、というかんじですが、「あいちトリエンナーレ」について触れておきます。
私はこの問題は、朝日や大村知事のいうように「表現の自由」ではなく、憎悪表現にあるとかんがえています。
ヘイト表現問題は、いまやイデオロギー対立の場のひとつになってしまっています。

後述しますが、今回の愛知の事例は、どう見ても日本ヘイトと呼ばれてもいたしかたが内容です。
ですから今回の愛知の場合、ヒダリが擁護し、保守は攻撃するという構図ができあがっています。

それはちょっとちがうんじゃないの、というのが私の立場です。
ヘイト表現に右も左もありません。実際に欧米のヘイト規制はこのようなものです。
フランスでは差別禁止法など多数の法律で、人種差別やホロコーストの否定を禁止しています。
欧米各国も同様で、当初はイスラム教の侮辱は規制対象ではありませんでした。
しかしその抜け穴から、シャルリ・エブド襲撃事件が起きる原因を作ってしまいました。

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産経新聞

憎悪表現は本来は宗教差別や人種差別に対してであって、政治的な立場を問われるものではないからです。
しかしわが国では「ヘイト」という言葉が一人歩きし、この概念を最も頻繁に主張した在日韓国人たちによって、あたかも在日に対してのみの憎悪表現だけがヘイトと特定されて規制を受けていくことになりました。

さて今回の「あいちトリエンナーレ」が問題となったのは、第1に韓国の慰安婦像が展示されたこと、第2に実在の個人が憎悪表現の対象とされたこと、そして第3にそれに国と愛知県の公金が10億投入されたことです。

まずこの「平和の少女像」ですが、彩色されているとはいえ原型そのままです。
ちなみにこれを制作したのは、キムソギョンとキムウンソンという韓国人のようです。

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ハンギョレ http://japan.hani.co.kr/arti/international/34015.html

今更説明はいらないでしょうか、この慰安婦像は韓国人の今や宗教的崇拝物にまで物神化しています。
実物のほうは、日本大使館前に設置され、日本側の再三の抗議にもかかわらず撤去されないばかりか、釜山領事館前まで増殖していったという、反日運動のシンボルです。
この像が象徴するのは、朝日の慰安婦捏造報道から始まり今の日韓紛争へと繋がる、日韓民族対立の深い溝でした。
そしてこの像は、とりもなおさず韓国の日本に対する民族ヘイトの象徴だったのです。

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スプートニク https://jp.sputniknews.com/opinion/201701113224053

ご覧のように、この「平和の少女像」を新たな芸術作品とするのは無理があります。
どう見てもただの彩色しただけのレプリカ像にすぎず、今の時点で韓国人が日本において慰安婦像を設置する意味はひとつしか思いあたりません。
おい日本人、これを見てひざまずいて謝罪しろ、反省して「ホワイト国に戻せ、くらいでしょうか。

ため息がでるほど、自分勝手で傲慢な展示です。
今このような慰安婦像を日本で設置する意味がわからないなら、主催者の常識はそうとうに偏差していると言われても致し方がないでしょう。
こんな韓国人の説教を聞くために、愛知県は税金を8億ウン千万を投入したことになります。
ちなみに、これがわが国最初の慰安婦像の展示の場となりますので、愛知県は税金を8億円投じて、慰安婦像の設置をしてしまった場所の「名誉」に輝くことになりました。

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朝日はこれを「一面トップを使って、言論の自由に対する挑戦だぁ、と書き立てました。

慰安婦の火をつけたのが朝日のせいか、大手メディアとはおもえないひどい内容です。

「人々が意見をぶつけ合い、社会をより良いものにしていく。その営みを根底で支える「表現の自由」が大きく傷つけられた。深刻な事態である。
 国際芸術祭あいちトリエンナーレ2019の企画展「表現の不自由展・その後」が、開幕直後に中止に追い込まれた。
 過去に公的施設などで展示が許されなかった作品を集め、表現行為について考えを深めようという展示だった。芸術祭として個々の作品への賛意を示すものではなかったが、慰安婦に着想を得た少女像や、昭和天皇を含む肖像群が燃える映像に抗議が殺到した。放火の予告まであったという。もはや犯罪だ。警察は問題の重大さを認識し、捜査を尽くさねばならない」(朝日8月4日)

問題は、中止に追い込まれた原因が何かです。
それは愛知県の公費と文化庁の国費で行われたため批判が殺到したからです。
これらの展示物が私的空間を使って、私費を投じて公開されたなら、勝手にやって下さい、としかいいようがありませんが、朝日さん、そうでしたか。
違いますね。公的空間において、公費を投じて行政が主催して行われたから問題視されたのですよ。

この部分をスルーして「表現の自由」に対する弾圧とするのは、本質を逸らしています。
税金を10億も使えば、その使途の適正さについてタックスペイヤーたる国民には異議申してをする権利が生じます。
税金が正しく使われているのかはなはだ疑わしいのですから、批判するのは当然です。

それを糊塗するために朝日は放火する声があったことを大々的に書いていますが、これも本質ズラしです。
毎日数百件も放火するぞという脅迫があったのならともかく、たかだか1件の犯罪予告をとり上げて「もはや犯罪だ」と、さも批判全体が犯罪であるかのように印象誘導しています。

この男は「携行ガソリン缶で放火する」と脅迫したことでわかるように、京都アニメーションの大量殺人に影響された卑劣な愉快犯にすぎません。
これが朝日にかかると、まるで批判者たちが、皆揃って大量殺人をしたいような書きっぷりです。

逆に言えば、公費が使われていないければ、内容的には批判しえても私的な表現である以上規制には限界があります。
批判はできても撤去要求まではできません。
ですから、今回の展示物は「反日のための言論自由展」とでも銘打って朝日新聞主催で開催されるのがよろしかろうと思います。
ただそれでもなおかつ、表現には超えてならない一線は厳然と存在する、ということはお忘れなく。

では、もういくつかこの「芸術作品」を見てみましょう。スゴイものばかりです。
次はストレートに実在する特定の個人に対する憎悪表現と呼んでさしつかえありません。
※安倍氏と菅氏に対するオブジェは偽情報でしたので削除しました。

あろうことか、昭和天皇の肖像写真まで焼かれて、靴で踏みにじられている動画も展示されていたようです。
もはや 一線を超えたという生易しいものではなく、醜悪な反天皇プロパガンダそのものです。

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出典不明

このような「芸術作品」が表現の自由という言い方で許容されるなら、たとえばツジモト氏やシンスゴー氏の頭がブルで踏みつぶされるようなものも「表現の自由」として認知しなくてはならなくなります。
このイっちゃった表現は、共産党がよくやる反安倍デモによく登場します。

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このような実在の人間の頭部の像をブルで引き潰してみたり、口にピンヒールをぶち込むような表現は、概念の正しい意味で「憎悪表現」に分類されるべきです。
一方、かつての在特会系デモには、ひんぱんに「朝鮮人は出て行け」(実際はもっと過激で書くに憚られるようなことも口にしていますが)といった差別表現が見られました。
このような異民族憎悪はきわめて危険で、韓国へのまっとうな批判を歪んだ方向に導いていきます。

このような自分が言っていることは「正義」だ、「言論の自由」だ、「言論表現」ならなにをしてもかまわないと錯覚しているから、こういうことができるのです。

覚えているでしょうか。2015年にISを名乗るテロリストがシャルリ・エブド襲撃事件を引き起こしました。
西欧社会に潜むISメンバーは、当時、フランスだけで600万人(人口の1割)といわれるイスラム社会に存在していると言われていました。
彼らの大部分は、このシャルリ襲撃事件の主犯たちのように、フランス生まれで、フランスの教育を受け、フランス語を母国語とするホームグロウン世代でした。

ここで問題となるのは、ひと握りにすぎなかったISの勢力を、拡大させてしまった「水と肥料」がなんだったのかです。
シャルリは容赦ないイスラム風刺画で評判をとっていました。
イスラムの預言者を全裸にして、跪かせ、睾丸を晒して尻の穴に星を飾ったり、コーランを銃弾で撃ち抜いて「風刺」した気になっていたのです。

これを「芸術表現」と呼べきでしょうか。
いやこのような表現は、もはや「芸術」ですらなく、ただの言論表現の姿をした憎悪表現、つまり暴力そのものです。
今回の「あいちトリエンナーレ」のような憎悪表現に満ちた「芸術」を、何ひとつ肯定する理由はありません。
なぜなら、これは大村知事や津田大介氏が言うような「表現の自由」といった高尚なレベルではなく、彼らが民族や政治社会の対立に「水と肥料」を与えてしまったからです。

 

 

2019年8月 6日 (火)

ムン閣下、正恩の爪の垢でも煎じたらどうですか

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北がこまめに「飛翔体」を撃っているようです。今日もまた2発です。
いっそう社会面の片隅に「今日の飛翔体」コーナーでも作ったらいかがでしょうか。

さてムン閣下という人は面白いですね。言うこと、言うことすべてが憎いまでに核心をついています。
ただ、惜しいことにすべて逆神方向ですけど。

「韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は5日午後2時、首席・補佐官会議を主宰しながら「南北間の経済協力によって平和経済が実現すれば我々は一気に日本経済に優位に追いつくことができる」と話した。
「日本経済が我々の経済より優位にあるのは経済規模と内需市場」と話したが、韓日葛藤を南北関係改善と結びつけたものだ。
また「日本政府はこれまで痛い過去を克服して互恵協力的な韓日関係を発展させてきた両国民に大きな傷を与えている」とし「過去を記憶しない国・日本という批判も日本政府が自ら作っている」と指摘した」(中央日報8月5日)
https://japanese.joins.com/article/289/256289.html

北と統一すればですか(力なく笑う)。
北の首領様は米韓合同軍事演習にいたくお怒りのご様子で、今やセコイ援助なんかいらねぇ、短距離ミサイル毎日撃ってやるぜ、って言ってますが。
それをいまさら「統一すれば日本に勝てる」ですか。

そもそも「南北経済協力」といいますが、かつてムン閣下が就任前後に広げてみせた南北縦貫鉄道など姿形も見えず、開城工業団地の操業再開は頓挫、金剛山観光事業の再開も頓挫したまま。
そりゃそうです。ことごとく国連安保理決議違反ですから、あのぉボクやりたいんですがとムン閣下がトランプに口にしたとたん、お前うるさい、黙ってろと一蹴されてしまいましたっけね。

それほどおやりになりたいなら、国連を脱退してからするしかないでしょうな。
国連脱退すれば、国連制裁決議を無視できますし、目障りな国連軍も駐留する根拠がなくなりますから、うん、いい案かも。
ただホントにやったら、ま、説明する必要ないか。

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では北ベッタリで突き進むのかと思いきや、あにはからんや米韓軍事演習は再三に渡る北のやったらタダおかないぞという威嚇にもかかわらず、結局やっちゃうんですから、分裂しています。
二枚舌外交はうまく言っている時は、キャスティングボートを握っていような高揚感があるでしょうが、お祭りが終われば用なしの悲哀を味わうことになります。

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https://news.yahoo.co.jp/byline/seodaegyo/20180226...

上の写真はピョンチャン五輪の開幕式のものですが、おお、米国と北の代表の中心にさん然と輝くムン閣下の凛々しいお姿。
なぜか大昔のような気がいたします(遠い目)。
いまや米国、北のどちらからも裏切り者扱いされているのが嘘のようです。

さて今回の北の一連の軍事挑発は、弾道ミサイル実験ではなく多連装ロケット砲だということに特徴があります。

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・5月4日:KN-23短距離弾道ミサイル、300ミリ多連装ロケット砲(KN-09)、240ミリ多連装ロケット砲
・5月9日:KN-23短距離弾道ミサイル、240ミリ多連装ロケット砲、152ミリ自走榴弾砲7月25日:KN-23短距離弾道ミサイル
・7月31日:新型大口径多連装ロケット砲
・8月2日:新型大口径多連装ロケット砲
(黒井文太郎氏による)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/57215

このようにすべて多連装ロケット砲で、300ミリ多連装ロケット砲は、新型で配備がはじまったばかりの兵器で、射程200キロメートルで在韓米軍の主要拠点である平沢基地や烏山空軍基地を攻撃範囲に収めています。
また240ミリ連装ロケット砲は、射程が60~70キロメートルと短く、休戦ライン付近からソウルを潰すために配備されているものです。
これらの多連装ロケット砲は、すでに配備済みの兵器で「枯れた技術」ですから、今回の一連の発射が実験ではなく実戦訓練だということを物語っています。

 

Photo_2https://www.youtube.com/watch?v=cEWYjNMmoAA

これは北が韓国ムン政権をもはやカードとしては用済みと考えていることを現しています。
北にとって、韓国は米国との直接交渉まではそれなりに利用価値がある駒でしたが、それが実現した今となっては大統領との直接パイプがあるのですからなにを今さらムンふぜいを経由で話をせにゃならんのだ、というところです。
むしろこのムン中継所は、自分にとって都合いいように双方に伝えますから、ないほうがましの扱いを受けています。

その上に、北と瀬取りしていたことが発覚するドジを踏んた上に、逆上して日本にまでケンカを売る始末。
それだけでもバカヤローなのに、とうとう日本とガチンコ対決して「盗人猛々しい。報復だぁ」だと叫ぶに至っては、北からすればそんなことは今やるこっちゃねぇだろ、やりたいならお前ひとりでやれ、ということになってしまいます。
というわけで、今や北にとってムン政権は、足を引っぱる不安定要因、いや不良債権化してしまいました。 

ですから、北の対韓国への対応は冷やかそのものです。

「韓国の統一部は7月30日、国会外交統一委員会で「(北朝鮮は)韓国政府の対話提案に応答しておらず、民間レベルの接触も減少した」と報告している。韓国に対しては、明らかに冷たい態度をとっているのだ。 他方、米国に対しては、微妙な態度をとっている。
米政府当局者が7月30日に記者団に語ったところによれば、北朝鮮は米国に対し、米朝の実務者会議が「もう間もなく再開される」と伝えてきたという。同日、ポンペオ国務長官も「実務者協議はそう遠くないうちに始まるだろう」との見通しを語っていた」(黒井 前掲)

北にとっての優先事項は、韓国との統一などといった絵空事にはありません。
なんとか米国との直接交渉で妥協を引き出して経済制裁を緩めてもらうことが重要であって、ムン閣下の描く「南北平和経済」などはむしろ米国を刺激し、交渉を妨害しかねないものにすぎません。

そもそも北にとっては南北統一はジィ様からの遺訓には違いありませんが、高麗連邦の建設のために民主選挙なんぞする事自体が、とんでもないことです。
北の臣民に自由選挙なんか味合わせたら、キム一族にとってろくなことにはなりませんから。
正恩にとって、今の体制を堅持して、中国とは距離を置き、米国とは友好関係を持ち、「小さくてもピリリと辛い山椒のような国」が身の程に合ったリアルな理想なのです。
この南北統一カードが使えるときは大いに使いますが、それは北の思惑と一致した時だけです。

プラグマチックなクソリアリストが正恩という男です。
実は私が北より韓国が先に潰れると考え始めたのは、この両者の現実認識能力と対応力にあまりに差があるからです。

というわけで北は、韓国が攻撃目標であることを公然とさせた上で、いままで米国との関係で自粛してきた短距離弾道ミサイルや対艦ミサイル、あるいは今回の多連装ロケット砲などの実射訓練を継続し続けることでしょう。
このような時になっても、まだ「南北間の経済協力によって平和経済が実現すれば我々は一気に日本経済に優位に追いつくことができる」と周囲の空気をまったく読めないムン閣下、もはや批判するのも気の毒なくらいです。

ムン閣下、正恩の爪の垢でも煎じたらどうですか。

 

 

 

2019年8月 5日 (月)

韓国がやりそうなことはとっくにお見通しです

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衣替えをしたら、なんか自分のとこじゃないようなかんじです(笑)。なかなかこれはというデザインがなくて苦労しました。
昨日から2回もチェンジしましたもんね、すいません。

閑話休題。
なんかわかったような分からぬような、妙に刺激的なニュアンスがあった「ホワイト国」呼称が変更になりました。

「ホワイト国」→「グループA」に 経産省が名称変更 非ホワイト国は「グループB~D」、韓国は「B」に 
済産業省は2日、輸出貿易管理令の一部を改正する政令が閣議決定されたのに合わせ、これまで使用してきた輸出管理上の国別カテゴリーの名称を見直すと発表した。これまでは輸出管理制度において優遇措置が得られる「ホワイト国」と、その他の「非ホワイト国」の2つの名称を用いてきたが、今回「ホワイト国」を「グループA」に名称変更し、「非ホワイト国」は「グループB~D」の3つのカテゴリーに分ける。韓国は今回の政令改正で、グループAからグループBに変更となる。
 経産省は「非ホワイト国でも、利用可能な包括許可の種類など実務上の扱いが異なることから、より実態に即した分類にするため全体を4カテゴリーに再分類した」と説明する。
 優遇措置が得られるグループAの代表的な国は米国や英国などがあたる。グループBは「輸出管理レジームに参加し、一定要件を満たす国・地域」としており、韓国のほか、リトアニアなどバルト3国が当てはまる。グループDは懸念国の扱いで、北朝鮮などが該当する。グループCはグループABDのいずれにも該当しない国・地域とした」
(日経8月2日)
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL02HMW_S9A800C1000000/

なんだしっかりとグループBの「輸出管理レジームに参加し、一定要件を満たす国・地域」 に入っているじゃないですか、このどこがご不満なんでしょうか。
そもそも韓国をグループAの米英と一緒にカテゴリーしてしまったこと事自体が、間違いだったのです。

知られるようになってきましたが、輸出相手国は「ホワイト国」「非ホワイト国」「懸念国」「武器輸出禁止国」の4種類に分類されてきました。

基準は、「平和」にとって脅威となるか、ならないか、です。
日本は、「世界の平和を脅かすような武器への転用や開発の恐れがある物品の輸出についての法律や物品管理を徹底した国」を「ホワイト国」にしました。
ですからこの「ホワイト」という表現は、単なる貿易手続きが公正であるという意味にとどまらず、平和の脅威とならないという意味です。

あからさまにいえば、この「平和」というのは「米国が考える平和」です。
それは当然で、この輸出管理基準は、米国が作った対共産圏輸出統制(COCOM)を前身とするくワッセナーアレンジメントに基づいたものだからです。
もう少し細かくみていくと、

国際的な安全保障に関連する輸出管理体制は、大きく4つの枠組みにわけられます。

①原子力供給国グループ(NSG)
②オーストラリア・グループ(AG)
③ミサイル技術管理レジーム(MTCR)
④ワッセナー・アレンジメント(WA)

日本、米英オセアニアなどはこれらに該当します。
ですから、日本もまた輸出する国からは「ホワイト国」に分類されるわけです。

ではなぜ韓国が晴れがましくも「ホワイト国」に選ばれたのかといえば、北の核の脅威が目前に登場したからです。
経済産業省はこう説明しています。
安全保障貿易管理**Export Control*Q&A

「大量破壊兵器等に関する条約に加盟し、輸出管理レジームに全て参加し、キャッチオール制度を導入している国については、これらの国から大量破壊兵器の拡散が行われるおそれがないことが明白であり、俗称でホワイト国と呼んでいます」

「キャッチオール制度」というのは、「許可が必要となる物や技術を定めたものがリスト規制、リスト規制に該当しなくても用途や需要者により許可が必要となることを定めたもの」のことです。
http://j-net21.smrj.go.jp/well/qa/entry/Q0824.html

韓国は北朝鮮と対峙し、かつイランや中国などの大量破壊兵器製造国に武器や製造関連物資を流出させないと当時は考えられていたために、いわば日本の「信頼の証」として「ホワイト国」にしてきたわけです。
日本は2003年に「ホワイト国」にするにあたって、韓国の輸出入管理の制度設計にアドバイスを行っていますが、それが16年たたってみれば、形ばかりとなっていたということです。

日本はその確認のために毎年韓国と協議をしてきましたが、パククネ政権の末期「三不の誓い」あたりまでは守られてきました。
ムン政権になってからは、日本の問い合わせに対して応えようともせず、北朝鮮やイランに向けて流出させているのではないかという疑惑が濃厚になってきました。
ここで韓国が、「ホワイト国」ならそれらしく、韓国の輸出入管理制度の透明性を確保すればよかったものの、なんせ日本政府との定期的な質問に3年間も無回答を決め込むありさまですから、話になりません。

というか韓国自身が認めているように、韓国には戦略物資の輸出入管理が杜撰きわまるものだったために、したくても出来なかったのです。
韓国企業が北やイランなどの大量破壊兵器製造国に流出させてそれが発覚しても、社名は公表されず、罰則も緩く、肝心な戦略物資はどこにいったかすらわからないというていたらくでは処置なしです。

今回の輸出管理規制は、「ホワイト国」以外の国すべてが今まであたりまえにやってきた通常の手続きにすぎません。
しかし、それはあくまでもしっかりした輸入量管理・在庫管理・輸出管理の適正な証明が前提です。
申請するには過去3年間の実績が審査され、そこに不正が発覚すれば輸入できなくなります。
テキトーな文書を作ってその場しのぎをしてきた韓国企業には、どこの国もしているような「あたり前」のことが出来ない体質になっていたのです。

かくしてこの韓国政府の不誠実な対応に、しびれを切らした日本政府は、今年1月頃に官邸から直接に各省庁に向けて「国際法に基づく対抗措置の具体的検討」を命じました。
ここには、外務省や財務省も入っているのですが、特に本腰を入れたのが経済産業省でした。
これは「ホワイト国」にしてしまった致命的ミスの責任が経済産業省にあるということにとどまらず、それ以上に「国際法に基づいた対抗措置」がイコール輸出入関連に絞られるためです。

ここで世耕大臣が命じたのは、あくまでも国際法上に適法であることでした。
ただむやみやたらと経済制裁を加えた結果、WTOの捕鯨敗戦の二の舞をしたら目も当てられませんからね。
ですから、おそらく多くの事項が検討を加えられ捨てられて、結局当初の3品目に絞られて行くことになったわけです。

この間、官邸と経済産業省を結ぶラインは、安倍-菅・今井尚哉総理秘書官(下写真右側)-世耕であったと言われています。
今井尚哉 - Wikipedia

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https://www.dailyshincho.jp/article/2018/03270530/

今井秘書官は経済産業省出身であり、世耕大臣と並んでこの時期に、経済産業省が対韓対抗措置の中心に躍り出たことになります。
ちなみに外務省は、本来は主力の一角になるべき官庁ですが、従来の「臭いものには蓋」「泣く子に飴をやる」外交の主役だったために、なんの動きもできないままに呆然としていたようです。

残るは財務省ですが、ここは官邸とは不倶戴天の関係にあるうえに、この官庁ができることは限られていました。
たとえば、韓国の金融機関は財務状況が劣悪なために国際的信用がなく、日本の銀行が肩代わりして信用枠を使わせてやっていますが、これを止めれば、韓国は貿易の決済は不可能となってしまいます。
このように基礎資材だけではなく、韓国の金融といった経済の根幹を支えているのは掛け値なしで日本だったわけで、この肩代わりを止めただけで、韓国は信用恐慌に陥ると推測されています。
ただし、このような金融制裁のようなメガトンパンチの出番は最期の最期であって、当初から繰り出すわけにはいきませんから、いずれにしても財務省の出番はまだなのです。

さて今後ですが、日本が次の対抗措置をとるかは、ひとえに韓国の出方待ちとなります。
韓国は日本政府が想定したシミュレーションどおり、大統領自らがが「盗人猛々しい」と報復を国民に呼びかけるありさまです。

こんな愉快なポスターも登場したようです。
あんまり面白いから、デカイいですが貼っておきましょう。
細かく見ていくと、韓国人の「英雄」たちがいるわ、いるわ、(苦笑)。お、インスンシンの2列後ろにわれらがムン閣下もいるじゃないですか。
彼らの後ろにはゾンビーの大群が、いや違ったろうそくデモのようです。
亀甲船ってほんと好きだなぁ。
こんな重装甲で覆っちゃえば、低重心の船は不安定で外洋に漕ぎ出すことすらできっこないんですがね。
99.99%妄想の産物ですので、恥の上塗りはお止めになったほうが・・・、あ、余計なお世話か。

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タンジ日報掲示板(韓国語)<日本に負けないポスター>
http://www.ddanzi.com/free/569892862

態度は激烈ですが、やることは限られています。
「経済制裁」と言っていますが、なんどもお話してきているように韓国に日本に対して制裁できるものがありません。
電子部品を「制裁」すれば、自分で自分の墓穴を掘るようなもので、遠からずマイクロンやインテル、東芝や台湾勢にシェアを明け渡すことになります。
韓流食品や芸能も、日本が最大の消費市場ですから、まぁ、やってみたらどうでしょうていどのことばかりですから、まったくこちらは困りません。

では、残るのは日本からの輸入品に高関税をかけるしかないということになりますが、これこそが日本が次のステップに進むきっかけとなります。
日本は現況では、対韓対抗措置として安全保障を理由にせざるをえなかったわけですが、韓国が報復関税に踏み切った場合、正面からこの間の韓国の条約破りを題目に掲げることが可能となります。

さらに現在、経済産業省は全力で北朝鮮やイランに渡ったと思われるフッ化水素などの核兵器製造関連物資の洗い出しをしているはずですから、ここでひとつでも証拠が上がれば(たぶんもう握っていると思われますが)、外為法10条の適用要件である「我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があるとき」の条件を満たします。
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=324AC0000000228#B

「外為法第10条
第2章 我が国の平和及び安全の維持のための措置
第十条 我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があるときは、閣議において、対応措置(この項の規定による閣議決定に基づき主務大臣により行われる第十六条第一項、第二十一条第一項、第二十三条第四項、第二十四条第一項、第二十五条第六項、第四十八条第三項及び第五十二条の規定による措置をいう。)を講ずべきことを決定することができる」

そして同じく外為法第16条にはこう記されています。

「第三章 支払等
(支払等)
第十六条 主務大臣は、我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行するため必要があると認めるとき、国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため特に必要があると認めるとき又は第十条第一項の閣議決定が行われたときは、当該支払等が、これらと同一の見地から許可又は承認を受ける義務を課した取引又は行為に係る支払等である場合を除き、政令で定めるところにより、本邦から外国へ向けた支払をしようとする居住者若しくは非居住者又は非居住者との間で支払等をしようとする居住者に対し、当該支払又は支払等について、許可を受ける義務を課することができる

つまり日本は外為法を法的根拠として、韓国が日本の安全保障に脅威を与える北朝鮮に対して核関連物質を不法輸出していたならば、「わが国の平和呼び安全保の維持」の脅威として、韓国への送金はすべて「許可を受ける義務」にすることができます。
すなわち、これは事実上の送金停止を意味します。

おそらく、この段階となれば、日本は他の1000項目にのぼる輸出品の輸出管理規制強化と並んで、信用枠の取り消しをみずほなどの日本の金融機関に命じることとなるでしょう。

これが韓国にいかなる破滅的結果を及ぼすか、想像する必要もありません。
ムン個人は、今までの経済失敗も国際的孤立も一切合切を「日本が全部悪いんだ」で乗り切り、上がった支持率を抱きしめたまま来年の国政選挙まで突ッ走るつもりでしょうが、それまで韓国が持つかどうかは別の話です。

サムスンはかなり前から、反財閥を掲げるムン政権にいたぶられて副会長逮捕の憂き目にまであっているので、いまや真剣に生産拠点を国外に移すことを考えています。
米国に生産拠点を移すことを検討中という未確認情報もあります。
するとサムスンなき韓国経済となるわけですが、財閥系がGDPの4分の1を占めている韓国経済にとってその打撃は想像もつきません。

さらに外資企業は、関西生コンのような民主労総が支配し、デモスト・争議ばかりの国から一刻も早く逃げたいと願っています。
小売りもユニクロの惨状をみれば、撤退に踏み切るでしょう。
そして韓国企業を支えていた海外から資本投資もゼロに等しくなります。

このようにひとつが崩壊すれば、次から次に破局が連鎖し、やがてそれが影響しあって手がつけられないカオスが生じます。
しかも舵を握っているのが、経済なんかまじめに考えたことのないど素人大統領ですから、なんともかとも。

だから日本は韓国にいくどとなく、頭を冷やして二国間協議に応じろと言ってきたのです。
しかしもう遅い。

 

 

 

2019年8月 4日 (日)

日曜写真館 朝の釣り人

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朝4時から糸を垂れています

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岸辺は絶好のポイントです

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小さな釣り舟の舟だまりがあります

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この時間をわかちあえるのは漁師さんと釣り人だけです

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暗い雲間から太陽が朝の挨拶をしようとしています

 

●セピア色は夏っぽくないので、デザインを変えてみました。いかがでしょうか。

2019年8月 3日 (土)

ムン閣下の逆上

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韓国との新たな軌道に乗ったようなので、それを記念してデザインを夏向きに衣替えしてみました。
閣議決定が出て、せいせいしましたね。こう思った日本国民は多かったんじゃないかな。

もう韓国にはこれ以上まとわりつかないで頂きたいものですが、ムン閣下は逆上ぎみなようです。
昨日、韓国大統領名で出した声明ですが、いやしくも一国の元首が出すもんじゃございませんな。
https://www.sankei.com/world/news/190802/wor1908020022-n1.html

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日経

この大統領声明は、慰安婦合意の廃棄、「徴用工」判決、そして今回の輸出管理規制変更といった一連の事態に対する韓国政府の正式なステートメントであったわけですが、これをムン閣下はこう述べています。

※正確には「朝鮮人募集労働者」ですが、一般的呼称に従いました。

「事態をさらに悪化させる無謀な決定」
「明白な経済報復だ」
「人類の普遍的な価値と国際法の大原則に違反する」

おおムン閣下、日本が国際法違反ときましたか。この人いちおう法曹出身なんですが、いいでしょう、そこから押えておきましょうか。
今回の日韓紛争において「国際法」とは、国際慣習法ではなく二国間条約のことを指します。
日韓にはふたつあります。
ひとつは慰安婦合意と、ふたつめは「徴用工」(※)判決を否定した日韓請求権協定、この二本です。
※正確には「朝鮮人募集労働者」ですが、一般的呼称に従いました。

ムン閣下の統治下になって、このふたつがほぼ同時に廃棄されました。
それも条約相手国である日本となにひとつ協議をおこなうことなく、一方的廃棄でした。
こんなまねをすれば二国間関係が悪化して当然ですが、閣下は日本が「事態をさらに悪化させる無謀な決定」をしたからだ、とうそぶいています。
まるでムン閣下にかかると、原因を作った責任がわが国にあるかのようです。
とんでもない責任転嫁です。
条約ふたつも廃棄され、その間にレーダー照射という軍事挑発を受けて、安定した二国間関係が続いたらそのほうが異常です。

このひとには条約の重みが全く理解できていません。
ですから、条約とたかだか政令変更にすぎない輸出管理規制変更を同じ重さで計って、「国際法違反だ」などとわけのわからないことを言い出す始末です。

条約とは、ウィーン条約第2条にある「国家間の文書による合意である」を指します。
これを規定し、締結国に義務を定めたウィーン条約こそが、いわゆる国際法に相当します。
したがって、1965年の日韓請求権合意と2015年の慰安婦日韓合意は共に条約=国際法となるのです。
日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約 - Wikipedia

ここまではいいですね。
ムン閣下が日本をつかまえて「国際法違反だ」と言っているのはなにが根拠かわかりませんが、とまれ韓国政府の慰安婦合意廃棄と、「徴用工」判決に従うとした韓国政府判断が、条約より上だと言っているわけです。
これはあくまでも大統領に全権限が集中した韓国特有の統治形態ならではの判断です。
国内司法に従うのは、カラスの勝手ですが(古い)、そんなことはしょせん韓国の国内事情にすぎません。
異なる統治形態である議員内閣制を敷いているわが国では、条約は政府の判断に優越します。
ですから、韓国特有の「国内法優位」という立場は、わが国にはいっさい関わりのないことです。

重要なのは、異なる統治形態を持つ両国が交わしたのが条約だという点です。
ここで条約の遵守義務を定めた国際法が登場します。
かつて日本は勝手に韓国の国内事情で変更されないように、口約束ではなく、わざわざ条約という手続きを踏んで文書を結び、締結文書を交わして、更には国会で批准するというめんどくさい執行手続きをとりました。
この手順も後述するウィーン条約に定めてあります。

このように日韓基本条約と慰安婦合意を共に国際法に従って作り、互いに遵守すると誓ったのです。

え、そんなもんは大昔のパクチョンヒ政権がしたものだ、慰安婦合意もその娘がしたことにすぎない、だからろうそく革命で出来たムン政権に従う義務はない、ですって。
バカを言っちゃいけません。
ならば、今の韓国政府は歴史的正統性から乖離した簒奪政権なのですか。
それなら強盗が青瓦台に居すわっているのと一緒です。
正統政府であると国際的に認知されたいなら、条約を守るのが大前提です。

では条約を定義した唯一の国際法であるウィーン条約第27条には、なんとあるでしょうか。見てみましょう。

ウィーン条約第27条
第三部 条約の遵守、適用及び解釈
   第一節 条約の遵守
第二十六条(「合意は守られなければならない」) 効力を有するすべての条約は、当事国を拘束し、当事国は、これらの条約を誠実に履行しなければならない
第二十七条(国内法と条約の遵守) 当事国は、条約の不履行を正当化する根拠として自国の国内法を援用することができない。

ムン閣下、ウィーン 条約、すなわち国際法はなんと言っているのでしょうか。

「合意は守らねばならない」、かつ、「国家は自国の国内法を援用して、国際法上の義務を免れることはできない」としているのです。

合意は守られましたか?否ですね。
慰安婦合意も慰安婦財団の解体で反故にし、日韓請求権協定も最高裁判決であえなくゴミ箱行きです。
しかも再三に渡る日本の協議要請は無視され続け、条約に基づく第3国仲介すら拒否されました。

堂々と条約の一方的廃棄をしておきながら、その理由づけは「司法判断にしたがった」だけ。
なんのことはない、ただの国内法です。
ウィーン条約第27条には「条約の不履行を正当化する根拠として自国の国内法を援用することができない 」とはっきり書いてあるにもかかわらず、です。

したがって 、韓国最高裁で裁判を行うに当たって、自国の民法ないし不法行為法を適用して、日韓基本条約の合意内容を破ることはできないのです。
このような日本なら、学部生で習うようなことすら、韓国大法院長官や大統領が知らなかったというのですから、お話になりません。
ムン閣下、「国際法違反」とは貴国のほうです。

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http://wedge.ismedia.jp/articles/-/7424

ちなみに、いかに韓国という国がウィーン条約を蔑ろにしているのかわかるのは、日本大使館・領事館といった外交施設の保護すらまともにしていないことでわかります。
同じくウィーン条約22条にはこうあります。

ウィーン条約22条
1 使節団の公館は、不可侵とする。接受国の官吏は、使節団の長が同意した場合を除くほか、公館に立ち入ることができない。
2 接受国は、侵入又は損壊に対し使節団の公館を保護するため及び公館の安寧の妨害または公館の威厳の侵害を防止するため適当なすべての措置を執る特別の責務を有する。

この第22条2項の主語が「接受国」となっていることにご注意下さい。
これは受け入れ国、つまりこの場合、韓国を指します。
国際法は、外国の外交施設である大使館や領事館前に、その国を誹謗する像や横断幕やタテ看を設置し、その前で集会を開くようなことは、「公館の安寧の妨害や威厳の侵害」だから接受国は禁止しろ、と言っているのです。
大使館前は、70年代の大学のキャンパスじゃないんです。

ムン政権は慰安婦合意がなされた後もこの像を放置し続け、日本の外交施設を侮辱するに任せたことが、今回の事態の遠因となっています。
なぜでしょうか。ムン閣下が感情が法より尊いと思っているからです。

韓国では法が統治するのではなく、国民感情が国を支配しています。
法は感情を正当化するロジックとして使われるだけにすぎず、果ては国際法=条約も超越してしまうというわけです。

かくして、オレたち韓国民の感情を大事にしろ、お前らニッポンはこれに従え、という暴論が幅を聞かせることになります。
日本側はこれに抗議するどころか、迎合することが日韓友好だと勘違いしていました。

このわけのわからない韓国の国民感情に終始頭を下げ続けてきたのが、従来の自民党政治でした。
特に20世紀末の自民党政治では、このような「大人の対応」が常識とされていました。
典型的には、慰安婦を韓国の言い分どおりだと認めてしまい、公式に政府が謝罪した河野談話です。
ろくに満足な調査ひとつせずに、ともかく韓国に配慮して謝罪してしまえば済むということなかれ主義の姿勢が問題の解決を長引かせ、結局は今回の「徴用工」判決から日韓断絶を生む遠因となってしまっています。
河野ジュニアにおかせられましては、河野家の名誉のためにも「第2河野談話」をお出しすることを強くお勧めします。

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https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190801-00080236-chosun-kr.view-000

それにしても上のバンコクでのこの写真は、出来すぎているほど今の日韓関係を表現しています。
まぁ写真はつごうよく場面を切り取ることが可能ですが、これを撮らした意図が両者にあったのは疑いようもありません。
もう外交の出る幕はないのです。

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あとのムン閣下の演説はただの罵詈雑言の類で、これが一国の大統領が言うことかというものばかりです。

「政府は、日本の不当な経済報復措置に相当する断固とした措置を取る」
「加害者である日本が、盗っ人たけだけしく、むしろ大きな声で騒ぐ状況は絶対に座視しない」

はいはいどうぞどうぞ、「断固たる報復」でもなんでもしてください。
なんども言っていますが、困るのはそちらで、報復すればするほどセルフ報復となってしまうのはわかりきったことです。
そちらの国から輸出を制限されて困るのはパプリカや韓国海苔、あとは韓流ドラマとアイドルくらなかな。
それもこれを買っている大部分はうちの国くらいなものですから、知らないヨー。

後はIC関係ですが、今頃既にマイクロンやインテルの営業マンが「サムスンなんか止めて、安くて信頼性の高い当社のものを」と訪問している頃でしょうよ。
結局、ユン閣下の言うような「経済報復」なんぞしたら、全部セルフ報復になって、さらに韓国経済を突き落とすのです。

GSOMIA(ジーソミア)を廃棄してやるぞ、ですか。
はは、どうぞ、かまいませんよ、廃棄してくださいな。
今日本が教えてやらないと北の弾道ミサイルの着弾地点も特定できないのは韓国じゃなかったのですかね。
最後まで米国を動かすカードだって勘違いしていたみたいですね。
日本は継続するととっくに言明している以上、米国への義理は果たしています。

それを破壊すれば米国がどうかんがえるか、分かって言っているのでしょうか。

トランプが韓国をどう見ているのか、この数日のツイートを見て判断するのですな。
このままいくとウォンの投げ売りと財閥企業の株価暴落で、一気にデフォールトの淵まで直進します。
世界のただ一国も韓国を助けようとしないでしょうが、それもこれもすべてムン閣下自身が招いたことです。

頭を冷やせと言ってもいまさらなんの意味もないでしょうから、とことん暴れまくって負のエネルギーを放出し、我ら日本人をいっそう冷淡にさせてください。
数年騒げば、少しは分かるでしょう。
あ、そこまで持たないかもしれませんね、この調子だと。

とまれこの勢いだと、今年秋の即位式や観艦式にはお呼びできませんですね。
それに来年のオリンピックもボイコットなさるんでしょうから、寂しくなりますなぁ。

 

 

2019年8月 2日 (金)

今日、日本は分水嶺を超えます

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日本は今日、「戦後」わが国を縛ってきたいましめのひとつから自由になります。
改めて言挙げする必要はないでしょうが、本日をもって韓国が「ホワイト国」からはずされます。
この措置によって、好むと好まざるとに関わらず、日韓関係は新たな時代を迎えることになります。
そしてやがて韓国との二国間関係にとどまらず、対中関係にもゆっくりと影響を及ぼすようになっていくはずです。

もちろんなんども書いてきているように、非ホワイト国への管理見直し自体は、毎年よくあるただの省令改正のひとつでしかありません。
いわば大学から、成績悪いから特待生待遇を止めて一般学生と一緒にしますと通告された学生が、優遇措置を止めるのはけしからんと逆ギレするようなものです。
待遇変更がイヤなら勉強したらいいだけのことです。

同じように、日本は韓国に禁輸するわけでもなく、輸入者が正しく申告し、正しく在庫管理することを審査するという、至ってあたりまえのことをするだけのことです。
一方韓国政府も、新たな輸出管理に従って淡々と法改正や新たな輸出入管理システムを構築すればよいだけのことであって、おそらくそれが唯一の解決方法のはずです。

ところがこの「あたりまえ」こそが、日韓関係で最も失われてきたものです。
韓国政府はこのような事態になってなお、日本の真意がただの政治的ゆさぶりにすぎず、せいぜい参院選対策だろうていどだと見誤っていました。
だから、「今まで流」が通用するはずだと考えたのでしょう。

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たとえば7月31日に、日韓議連が東京にきましたが、その理由は失笑するものでした。
それを報じる中央日報(8月1日)です。

「31日1泊2日の日程で日本東京を訪れた韓国与野党訪日議員団(団長ソ・チョンウォン議員など10人)が輸出管理上の優待措置を与えるホワイト国リストから韓国を排除しようとする日本側の措置に関連して「少なくとも8月15日光復節(解放記念日)以降に先送りしてほしい」と要請したことが確認された。議員団はこの日、日韓議員連盟(韓日議員連盟のカウンターパート)所属の日本議員10人と東京で午餐会に参加した。
 共に民主党のキム・ジンピョ議員は早ければ2日ホワイト国から韓国を除外する施行令を閣議で処理するという日本に対して「文在寅(ムン・ジェイン)大統領が8・15光復節の祝辞で日本に対するメッセージを伝える時まででも見送ってほしい」と話したと参加者が伝えた。
日韓議員連盟の額賀福志郎会長などは「韓国側の立場を安倍晋三首相によく伝える」という立場を明らかにしたという。「光復節メッセージを通じて韓日間葛藤解消に向けた糸口を作る可能性があるという政権核心部の意志を伝えたのではないか」(訪日団のメンバー)という解釈も出た」

この最終局面になって韓国議員団が日本に待ってくれという理由が、ムンの8月15日光復節の演説だというのですから笑えます。
ムンの8月15日の演説ですって?そんなもの、聞かないでもわかるでしょうに(苦笑)。
例によって例のごとく、日本に対して「恨」を叫ぶだけのことで、なんの新味もないはずです。
いや、あったらかえって驚きます。

引き返し可能地点はいくつもあったにもかかわらず、ことごとく素通りしたのがこのムン政権なのです。
最後のチャンスは、日韓請求権協定に従って第三国仲裁を受け入れることでした。
これなら仮に韓国に不利に出ても、米国がそういっているんだからということを説得材料につかえたのです。
この落とし所を捨てて突っ走ったのですから、もうムンには後がありません。
ただひたすら日本をディスるしかないのです。

たぶん韓国国民は、この血涙ほとばしるが如きムン大統領の演説に国民一丸となって虐げらし悲哀を噛みしめ、新たなる報復を誓うのでしょう。
そんな図柄しか私には思いつきません。
そしてこの民族的激情の迸るままに、日本に対してあらゆる分野の反日運動が巻き起こるでしょう。
え、もう始まっているですって。いや、あんなもんは手始めです。
ありとあらゆる韓国メディアは親日狩りを叫ぶでしょう。
ある日にはユニクロが焼き討ちされ、ある日には観光客が群衆に囲まれて暴行を受ける、こういう熱に浮かされたような光景を見ることを、私たち日本人は覚悟しましょう。
そしていっそう私たちは冷めていきます。

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出展不明

上の写真は韓国の徴用工をめぐるデモですが、安倍首相は首を狩られています。
ユーモアも批評精神もなく、ただギラギラした憎悪をぶつけてかまわない対象、それが日本なわけですが、まったく迷惑なことです。
しかし、いちいち日本人はそれに対応してはいけません。
なぜなら、それはしょせん他の主権国家で起きた治安事件にすぎず、日本政府ができることは法人保護要請ていどしかないからです。
日本はこの馬鹿騒ぎの度合いに応じて制裁を強めて行けばよいだけのことです。

そしてムン政権は、国民感情を押えられないとしてGSOMIAを廃棄するかもしれません。
それも問題ありません。こちらが存続するという意志を表明した後にあちらから切ってきたのですから、あげて責任は韓国にあります。
また日本にとって安全保障上なんの実害もありません。
韓国は北のミサイルの弾着地点すら日本側から教えられて知っているありさまですから、現実的になにひとつ困ることはありません。
ただ米国にとって三カ国の情報伝達に齟齬がでることだけが問題であって、それは米国から韓国に強く言わせればよいことです。

中国、ロシアの領空侵犯のように、周辺国はここぞとなぶり回すでしょうが、これも知ったことではありません。
このような政治的真空状態を作って同盟関係を動揺させれば、真っ先に困るのは自分なのですから。
これは他国から言われて気がつくことではなく、自分で悟るしかないことなのです。

このように火のように激しく、主観に酔い痴れることが良いことだと思っている流儀を貫きたいなら、どうぞ国を滅ぼすまで続けて下さい。
ひと昔前であれば、「日韓友好のためには日本は大国の余裕を見せよ、大人の対応を取れ」というのが、日本の常識でした。
米国も似たようなことを言って日本を押さえつけてきました。

これまでのような日韓関係を続けようとするなら、日本は今回もまた韓国のいうとおり「ホワイト国」除外を中止するか、ロイターが願望するような「米国の仲介案」(そんなものがあるかどうかは別にして)に従うべきなのでしょう。

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出典不明

残念ですが、私はそんな必要はまったくないと思います。
語弊を恐れずにいえば、私は日韓両国間に出来た断層を埋める必要はないと思います。
違いは違いとして埋めがたいまでに拡がってしまったと考えることです。
それはこの間の、慰安婦合意の一方的廃棄、徴用工判決、レーダー照射事件、そしてムンヒサンの天皇謝罪要求発言などで身に沁みて分かったではありませんか。

こちらから埋めようとすれば、韓国はそれを勝利と捉え、更に嵩にかかってくる、それ故に同じことが何度もエスカレートさせながら延々と繰り返される、それがわかりませんでしたか。
ですから、彼らの熱病に感染しないように気をつけることです。
通常の国家間の議論が成立しない二国間関係であることを前提にして、決して熱することなく、冷やかに距離を開けて対応しましょう。
「今まで流」を今後とってはなりません。
それは自民党親中・親韓派、あるいは外務省のような、いかに韓国が理不尽な要求をしてこようとも、うすら笑いを浮かべながら「大人の対応」を取ることです。

このような「大人の対応」こそが、韓国を下目に見下した傲慢な態度だったと気がつくべきです。
だからもう韓国を見下さず、対等な関係として「あたりまえ」に扱いましょう。

今日かぎりで日本は韓国に対する「今まで流」とおさらばするのです。

 

2019年8月 1日 (木)

正恩のラブレターとロイターの飛ばし記事について

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北朝鮮がまたまたイスカンデルを撃ったようです、以下略、と言った内容なのですが、妙に馴れてしまうこちらの雰囲気がコワイ。
また去年のような週間弾道ミサイルの時期がやってきたようです。
ともかく北は、この奇妙なモラトリアムの間に、イスカンデルの完成を急いでいます。
※追記  聯合によれば、今回はイスカンデルという高級品ではなく、「新型大口径誘導放射砲」(多連装ロケット)だったようです。

そもそも北は核武装について妥協をする気は、これっぽっちもありません。
先祖代々、家業のようにして、国際社会を時にはダマし、時には脅し、いかなる経済制裁に合おうとも、国民が皆飢えて死にかけようとも、コケの一念でやり抜いた家伝の核武装、誰が手放すもんですか。

こんなことは、今さら説明を要しないくらいわかりきったことで、せいぜいがところ長距離核のみを封印し、あとは老朽化した核施設をひとつふたつ閉鎖して幕引きを図ろうとしているのは見え見えです。
この長距離核といわれる火星シリーズはとんでもない金喰い虫な上にまだ未完成で、誘導や再突入といった基盤技術が完成していませんから、彼らからすれば交渉カードにしても惜しくはないのです。
この線で米国が折れて経済制裁が解除されれば万々歳、後はなし崩しに制裁緩和をしてもらいながら中距離と短距離の弾道ミサイルをしっかり保持したままトランプが退任するところまで引っ張れば既成事実化してしまいます。
ただしトランプ以外の大統領が直接会談なんてしてくるはずがないので、アチラとしては焦ってはいるんでしょうね。
これがハノイ会談で目指した北の方針でしたが、かのボルトンとポンペオが強く反対したために御破算となってしまいました。
正恩が、ボルトンのブラシのような口髭が嫌い、顔つきが嫌い、全部嫌い、あいつを追放して、キイキイ、というヒスを起こしていましたね。

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ですからこのボルトンが、韓国にいる前後に短距離弾道ミサイルを撃つというは、正恩のトランプへのメッセージメールみたいなものです。
市民語にするとこんなところでしょうか。もちろん全部空想です。

親愛なるトランプおじさん。
ボク、オジさんとのお約束守って長距離弾道ミサイルは撃ってないよね。
今、ボクが撃っているのは短距離だから、オジさんちにも届かないし、在日米軍にも届かないよ。
あれは、舎弟のムンがあまりに使えないボケなんで少し締めてやっているだけなんだ。
あいつ、ウェノムだけくらいにはしっかりやると思ったのに、ちょっと反撃くらったくらいでもう眼が点になっちゃってなさけない。
ボクの王国だったら、あんな奴、とっくに炭鉱送りだね。
もし、統一したら、統一朝鮮の大統領報道官くらいにはしてやろうと思ったけど、やめたよ。
もちろん、初代統一大統領はボクで、代々白頭山の血脈が継ぐんだよ。
というわけで、トランプオジさんが判断しやすいように、ボルトンが訪韓に合わせて、ボクの素直な気持をお伝えしました。
ボルトンなんか早くクビにして、ふたりで仲良くハンバーガーを食べながら、NBA見ようよ。
あいつクビにしてくれたら、ボクもっといい子になること、お約束するからね。
                                                                                                     かしこ 
                                           あなたを愛する北の小さな恋人から❤

ああ、自分で書いていてムカついてきたぞ(笑)。

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https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190731-000000...

さて先日、米国政府が仲介に乗り出すのか、と一部で騒がれたロイターの記事が出回りました。
ソースが外信だと、正直言って日本メディア不信のこの私も危ない(汗)。

「[ワシントン 30日 ロイター] - 日本政府による韓国向け半導体材料の輸出規制強化などを巡って両国の対立が深まる中、ある米政府高官は30日、日韓が話し合いの時間を確保するための「スタンドスティル(休止)協定」を締結するよう米国が求めたことを明らかにした。
この高官は、据え置き協定で二国間の問題が解消するわけではないとしながらも、あらゆる措置を一定期間未然に防ぐことはできると述べた。協定の期間については決まっていないとした。
また、日本政府は8月2日にも安全保障上の輸出管理で優遇措置を取っている「ホワイト国」から韓国を除外することを決定する可能性があると指摘した。
さらに、米国は両国の問題解決に向け手助けをしているとし、8月1日にバンコクで開催される日米韓外相会談で、ポンペオ国務長官が河野太郎外相や韓国の康京和外相と会談する方針を明らかにした」
https://jp.reuters.com/article/southkorea-japan-usa-idJPKCN1UP2CL

まず、なんども書いてきていますが「輸出規制」ではなく「輸出管理規制」です。
この間違った概念を前提にしてしまうことで、この記事の立ち位置が分かってしまいます。
つまり韓国からのソースにバイアスしているのです。

これを国内紙が真に受けました。今度は読売です。

「ワシントン=黒見周平】ロイター通信は30日、日本と韓国が日本政府による輸出管理厳格化や徴用工問題で対立を激化させていることを巡り、米政府が日韓双方に対し、仲介案として、現状を維持したうえで、交渉を継続する協定への署名を求めたと報じた」
https://www.yomiuri.co.jp/world/20190731-OYT1T50077/

「【ワシントン=中村亮】ポンペオ米国務長官は30日、輸出規制や元徴用工訴訟問題で対立が深まる日韓両政府に対し、仲介に乗り出す考えを示した。東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会合に参加するためバンコクに向かう機内で記者団に明らかにした。「両国はすばらしいパートナー国だ。前進する道を見つけるよう勧める予定だ」と述べた。日韓の関係悪化を食い止める糸口を探るとみられる。(略)
ロイター通信は30日、米政府高官が、日韓両国が一定期間は新たな対抗措置を取らない「休止協定」への署名を検討するよう提案したと報じた。日本政府は8月2日にも、輸出管理上の信頼関係があると認めた「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を閣議決定する方向で調整しており、延期をうながす内容とみられる。
同高官は協定に関して、日韓が協議する時間を稼ぐことが目的だと説明した。協定の有効期間は定めず、日韓が抱える問題を根本的に解決するものではないとも指摘した。
トランプ政権は当初、歴史問題などがからむ日韓問題への関与に慎重な立場をとっていた。だが日韓関係の悪化に拍車がかかると、米国務省高官は26日に「両国の緊張を懸念している」と語った。ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)も7月下旬に日韓を訪れていた。
トランプ大統領は19日、日韓の緊張緩和に向けた仲介を韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領から依頼されたと明らかにし、日本からも要請があれば仲介を検討する考えを表明していた」
共同(7月31日)が伝えると、こういうふうになります。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190731-00000006-kyodonews-int
「【ワシントン共同】米政府高官は30日、日本による対韓輸出規制強化や元徴用工訴訟問題など一連の日韓対立を巡り、一定期間、現状維持し新たな措置は取らない状態で双方が交渉する協定への署名を求める仲介案を提示したと明らかにした。ロイター通信が伝えた。
 ポンペオ国務長官は8月1日にバンコクで予定する日米韓外相会談で、河野太郎外相と韓国の康京和外相と仲介案について話し合う方針。
 日本政府は、安全保障上の輸出管理で優遇措置を取るホワイト国」から韓国を除外する政令改正を2日にも閣議決定するとみられており、米側はその前に仲介に乗り出し、一層の対立激化の回避を狙う」
共同は8月2日のホワイト国除外の閣議決定前、つまり今日にもカンギョンファと河野大臣が外相会談し、そこで米国の仲介案で歩み寄るだろうと書いています。
この仲介案がポンペオの発言ですが、ほんとうにそういったのか、原文に当たってみます。
https://www.reuters.com/article/us-southkorea-japan-usa-pompeo/pompeo-hopes-to-help-patch-up-japan-south-korea-ties-idUSKCN1UQ02H
“We will encourage them to find a path forward. They’re both great partners of ours. They’re both working closely with us on our effort to denuclearize North Korea. So if we can help them find a good place for each of the two countries we’ll certainly find that important for the United States.”
仮訳
私たちは彼らが前進する道を見つけることを奨励します。 彼らは私たちの両方の素晴らしいパートナーです。 彼らは北朝鮮を非核化するための我々の努力に関して我々と密接に協力しています。 それで、もし彼らが二国それぞれにとって良い場所を見つけるのを手伝うことができれば、私たちは確かにそれがアメリカにとって重要であると思うでしょう。
このようにポンペオは一般論を言ったにすぎず、仲介案などとひとことも口にしていませんね。
これは当然といえば当然のことで、輸出管理規制は当該国の内政案件だからです。
ですから米国が口出しすれば内政干渉です。
だから米国とてできることは一般論として「北を前にして仲良くね」ていどの一般論にすぎません。

この輸出規制自体、前々から書いてきているように、米国か現在進めているファーウェイ制裁とまったく同じ次元の安全保障上のことで、私は米国と意志一致しているとさえ考えているほどです。
もし、日本の輸出管理措置を米国が否定するなら、ファーウェイ規制も直ちに取り止めることです。
また日韓外相会談でなんらかの進展があるのではという報道は、そもそも輸出管理規制は外相の管轄外ですから、外国で外相にはイエスノーという権限がありません。
もしバンコクで河野外相がカン外相におかしな発言をすれば、更迭ものです。
これがこのロイター記事が巻き起こした波紋ですが、菅官房長官かひとことで否定しまた。
https://www.youtube.com/watch?v=T_n7Br47PxM
「日本による韓国への輸出管理強化などをめぐり、アメリカが仲介案を提示したとする報道について菅官房長官は31日午後の会見で「ご指摘のような事実はない」と述べました。その上で菅長官は日韓関係について「韓国側からの否定的な動きが相次ぎ、非常に厳しい状況だ」として、韓国側の適切な対応を求めました」
https://www.youtube.com/watch?v=T_n7Br47PxM
「「マイク・ポンペオ米国務長官が日米韓外相会談を持つという意見を表明した」という質問に対し、菅氏は「米国との間では、我が国の一貫した立場やさまざまな問題に対する我が国の考えを随時伝達しており、常日頃から緊密に連携している」とし「今後も我が国の立場に対して正しい理解が得られるよう努めていきたい」とした。

 菅氏は午後の会見では「ホワイト国から韓国を排除する方針に変わりはないか」という質問に「今回の(ホワイト国関連の)輸出貿易管理令の改正は安全保障のため輸出管理制度の適切な運用に必要なもので、その方針には変わりはない。手続きを粛々と進めていく」と釘を刺した」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190801-00000001-cnippou-kr

これで、ロイターの記事がヨタだったことが、公式に認定されました。
どっちにせよ、明日になればすべて分かります。

 

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