「戦略的痴呆症」と米国に言われたムン閣下
一つの政権が一気にガラガラと崩れるプロセスに突き進む時に往々にしてあることですが、ありえない発言がポロポロでてきます。
これは政権に統制力がなくなったことを現しています。
内部すらピシっと締められないんですよね。
頭を冷やして後から考えれば、トンデモ発言だと分かることでも、政府要人が軽々と口にしてしまうんですから、あんたもうちょっと考えてモノ言えよ、とひとごとながら心配になっちゃいます。
たとえば昨日取り上げたムン様の「一度合意したので過去として過ぎ去ったとして終えられるものではない 」なんて一国のトップが言ってしまったら、もうどの国もこんな国とは条約・合意なんか結びませんよね。
オレの国と何を取り決めても後からひっくり返すからな、覚悟しておけ、といっているのも同然だからです。
ボスからしてこのように軽快にかっ飛ばしていますから、配下もこんなことを口走っています。
「GSOMIA終了は国益に沿った決定 米との同盟より優先=韓国大統領府
【ソウル聯合ニュース】韓国政府が日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)終了を決定したことに対し、米高官らが相次いで懸念を表明するなど、韓米同盟への影響を危惧する声が上がっていることについて、青瓦台(大統領府)の関係者は29日、米国は米国の立場と見方により事案をみているが、韓国も同様であり、各国は自国の利益のために最善を尽くす」とし、「(重要な)同盟関係であっても、韓国の国益のためには、何も優先することはできない」との見解を示した」(聯合8月29日)
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20190829004000882
「大統領府の関係者」というくらいですから、政権中枢でしょうが、大丈夫ですか、意味分かってしゃべっていますか、これ直訳すると米韓同盟なんか廃棄してもかまわないという意味ですよ。
だって韓国はGSOMIAを既に「国益に沿って」廃棄してしまいましたが、そっちのほうが米韓同盟より重いっていうんですから、米韓安保なんかもっと気楽に廃棄できよう、ってなもんです。
「国益」とは笑わせます。たたがか「国民感情」でしょう、そんなもん。
それを大仰に「国益」なんて言い出すからおかしくなるのです。
つまりは近々に米韓同盟もGSOMIAと同じ運命を辿りますぜ、ということを青瓦台が言ったとして解釈されるでしょう。
誰に?
もちろん米国に、です。
これを聞いただけで、韓国がどうしていとも簡単にGSOMIAを廃棄できたのか分かろうというものです。
要するに、意味が分かっていないのです。
彼らの認識では、たかだか日本との間の軍事情報のやりとりだろ、いいよこんもんってなもんだったようですが、どっこいこれを一番必要としていたのは、他ならぬ日米韓連携のハブである米国だったのですよ、お立ち会い。
ここでいい機会ですから、アジアの安全保障体制についておさらいをしておきましょう。
アジア地域の安全保障体制は、欧州における北大西洋条約機構(NATO)のような多国間の集団安全保障体制を持ちません。
ヨーロッパでは、強大な軍事力を持つソ連(ロシア)に対して、団子になって防衛せねばならなかったために集団安保体制が築かれました。
一国に対する侵略はすべての国に対する侵略として受け止めて、参加しているすべての国が防衛に参加する、という仕組みです。
議長国は交替制で、米国もNATOに加盟して半分軸足を入れていますが、この盟主というわけでは必ずしもありません。
一方アジアでは、冷戦のあり方が違ったために、米国を軸(ハブ)とした2国間同盟の集合体となっています。
たとえば、日本と米国の日米安全保障条約、米国と韓国の米韓相互防衛条約、米国とフィリピンの米比相互防衛条約、米国と豪州の太平洋安全保障条約、台湾に対する防衛義務を定めた米国の台湾関係法などがそれです。
こういう安全保障体制のことを、自転車の車輪になぞらえて「ハブ・アンド・スポークス体制」と呼びます。
日本が位置する東アジアでは、日米安保が基盤にあっていわば岩盤の役目を努めています。
この日米岩盤の上に、米韓安保が乗っていているわけで、米国がハブであることには変わりありません。
そして東アジア有事においては、日本を策源地として対処するという構想です。
おっと、「策源地」は聞き慣れない言葉ですが、軍隊の出撃拠点・兵站拠点・情報集約拠点ていどの意味です。
日本でいえば大どころは、米海軍は横須賀に第7艦隊、米空軍は横田に第5空軍、そして前方展開基地として沖縄には第3海兵遠征軍が駐留しています。
米軍における海外最大の策源地は日本にあるのです。
さて、ハブを担っている米国には、それぞれの2国間安全保障条約に基づいて情報が上がってくるわけですが、いままでは一度全情報を米国が仲介していたわけです。
これでは緊急時に緊密な連携に支障が出かねません。
たとえば緊迫した有事に、日米韓の司令部同士が会議ひとつするにしても、「えー日本さん、ここからは米韓GSOMIAに基づいて米国にもたらされた韓国情報ですから聞かないことにしてくださいね」なんてやっちゃいられません。
共同で役割を果たす以上、緊密な情報インフラが前提として不可欠で、むしろないほうが不自然だったのです。
そこで日米韓三カ国連係体制をとるために、米国が肝入りで作ったのが2016年の日韓GSOMIA締結でした。
それをあろうことか、反日に燃えるムン政権が、米国になんの事前に米国からあれだけ絶対に廃棄するなと言われたにもかかわらず、通告ひとつ出さずに廃棄してしまったのですから、そりゃ怒るよ。
ですから、よく馬鹿な日本メディアは「日韓関係いっそう深刻に」なんてしたり顔で言っていますが、ほんとうに深刻になったのは、日韓は元々仲がいいときのほうが珍しいわけですから、世界に及ぼす影響の大きさからいえば、米韓同盟の瓦解の危機のほうがよほど重大なのです。
それを手厳しく批判した米国政府高官に対して、GSOMIAの意味がまだ分かっていないムン様は、協定破棄の原因は日本にあるんだぁ、一回謝っても許してやらないぞォなんて、どっち向いて大砲撃ってるのということを口走ったわけです。
いつものことで、全部日本が悪いんだと言えば済むと思ってんでしょうね、哀れ。
そしてこの逆上ぶりは止まるところをしらず、とうとうその狼狽の矛先を米国そのものに向けてしまったのですから、まさに絵に描いたような逆ギレ。
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/34218.html
先日は、とうとう在韓米国大使を呼びつけて「オレの国を批判すんな」と文句まで垂れる始末です。
「外交部の趙世暎(チョ・セヨン)第1次官は前日、ハリス駐韓米大使を同部に呼び、韓日GSOMIAの終了と関連し、米政府が失望と懸念を繰り返し表明するのは韓米関係を強化する上で役立たないと指摘し、自制するよう要請した」(聯合前掲)
しかもご念のいったことには、ハリス大使を待ち構えていたのは、なんとまぁ大勢の韓国メディアのカメラの砲列だったんですから、さらし者にされたハリスさんの心中、いかばかりだったか。
さらには会談内容まで韓国側が暴露するなんて外交的非常識をするのですから、もはやコレ米国にケンカ売ってんのかしら。
協議や会談内容をペラペラしゃべる被害を日本は受け続けていますが、誰かこいつらに外交常識を教えてやってくれよ、思いますね。
「駐韓米国大使館は28日、ハリス大使が韓国外交部(省に相当)に呼ばれ、異例とも言える抗議を受けたことに戸惑いを隠せない様子だったという。米国大使館はこの日、問題の面会について「非公開の内容に関する言及は差し控える」と原則を述べるにとどめた。しかし大使館内部では、韓国政府が米国に「韓日軍事情報保護協定(GSOMIA)破棄や独島訓練を批判するな」と警告した背景の把握に全力を挙げているようだ」(中央8月29日)
「把握に全力を上げている」って、ナニ言っているんだか。そんなことはとっくに米国は分析済みでしょうに。
確かに日本も含めて外国大使を外務省に呼びつけたりはします。
それは外交プロトコルとしては強い抗議の意思表示ですが、あんたねぇ、抗議したいのは米国のほうだよ、いちおう同盟国だからそれでも「懸念」ていどで済ましてやっているんだよ。
それを大使呼びつけて叱り飛ばしてどうすんの、頭大丈夫?
もちろん米国はこれで、はい、すいません韓国様、批判は控えさせていただきます、なんていうタマではもちろんなく、以後も米国政府高官がズバズバと「失望」と言いまくっています。
公式には外交的配慮でオブラートにくるんでいますが(くるまないのはトランプ親分だけですが)内部ではもうさんざんです。
その一部を高濱賛氏が『米国、米韓同盟破棄を真剣に検討か韓国はもはや味方にあらず、日米豪印同盟に舵切る米政権』の記事の中で紹介しています。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/57446
トランプ政権高官
「文在寅という男は本当に阿呆(Fool)。どうしようもない」
駐韓国大使館で高位の外交官だった人物
「文在寅は戦略的痴呆症(Strategic stupidity)と言い切っても過言ではない」
とうとう「戦略的痴呆症」なんていわれちゃったよ、、ムン閣下。
呼び出されてくだらないことをダラダラと言われたハリス大使は、以後、韓国の在郷軍人会の講演をキャンセルして、ハンバーガーチェーンに行ってしまったりすることで、不快感を外交表現しています。
東アジア有事を担当する太平洋軍司令官としてGSOMIA締結に走り回ったのが、他ならぬこのハリス大使でしたから、当然ではあります。
ハリス氏は温厚な人物として有名ですが、腹の中は煮えくりかえっていたことでありましょう。
というわけで、もう米韓も修復不能のポイント・オブ・ノーリターンを超えてしまったようです。
それは、ムン閣下の脳味噌がポイント・オブ・ノータリンだったからですが。
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