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2019年8月28日 (水)

共産党長老から習への「10の質問」とは

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全人代常務委員会が終わったはずですが、香港に対して「暴乱」規定をしたか、気になっているのですが、報道が入ってきません。
逃げた韓国人容疑者のゆくえなんかをダラダラやっている始末で、そんな暇ネタは後にしろよと舌打ちしたくなります。
まったく日本のメディアときたら、なんの役にも立たないい。

私がこれに注目するのは、香港基本法第18条に、全人代常務委が「制御不能の動乱」と判断し「香港の緊急事態入り」を決定すれば、「中央政府が全国の法律を実施できる」と規定されているからです。
香港に隣接する広東省深セン市への集結が伝えられる人民武装警察(武警)を香港に投入する場合、この規定を根拠にしなければならないからです。
武装警察といっても、中国共産党中央軍事委員会の指揮下にある準軍隊で、国際的にはれっきとした軍隊として認知されていますから、これを投入すれば結果はわかりきっています。

ところで香港の先日25日のデモで、とうとう実弾が発射されました。

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ロイター https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48980490V20C1...

ただし威嚇射撃なので、負傷者が出なかったのは幸いでした。
ロイターが配信した写真を見ると、バニくった警官の個人的発砲ではなく、指揮官が命令して複数の拳銃発射をしていますから、上からの指令に基づくものだったようです。

「警官による発砲は、中国本土に近い香港・新界地区で行われたデモの現場付近で発生した。香港紙、明報(電子版)によると警察側は同日、発砲があったことを認めた。香港では逃亡犯条例改正案の撤回などを求めるデモが6月から激化しているが、警察による発砲は初めてとみられる」(産経8月25日)

この警官隊の発砲によって死者や負傷者がでなかったのは不幸中の幸いでしたが、もしそれが生じた場合、一挙に香港は修羅の巷となったかもしれません。
いずれにしても、この発砲事件は香港警察の能力が限界点を超えたことを物語っています。

一方デモ隊側も、一部が火炎瓶を投げるという愚かな跳ね上がりを行為しています。
いまこの時期にそんなことをすれば、合法集会の開催さえ不許可になるのはわかりきった話で、合法集会を阻止する目的でやったとしかおもえません。
緊迫したこの時期にこういうことをすれば得をするのは中国共産党だけであり、おそらくはその息のかかった者でしょう。

それはさておき中国政府がどこまで実力介入する意志があるのかは、今の時点では読めませんが、やるやるとは宣言しています。

「中国国営新華社通信は25日の論説で「香港で暴動が起きた場合、介入するのは中国中央政府の権限だけでなく、責任でもある」とし、こうした状況で中国政府の行動が必要だと説いた元最高指導者、鄧小平氏の発言を想起させる見解を示した」(ブルームバーク8月26日)

ただし、やってしまったら、世界有数の金融センターという金を生むガチョウを絞め殺すことになるうえに、米中交渉に致命的な打撃を与えることなどはわかりきった話です。
それに止まらず、国連安保理の非難決議の対象となるでしょう。中露は反対するでしょうが、賛成多数なはずです。

いま、香港の民主化デモは、逃亡犯条例反対といった初期の要求を超えて、中国がもっとも嫌がる自由選挙実現、中国政府打倒、香港独立を叫ぶまでになってきました。
これらの要求
は中国大陸において初めて公然と掲げられた「カラー革命」の旗でした。

この事態を引き起こしたのは、ひとえに中国政府の初期対応のまずさのためでした。
200万人デモが勃発した時点で、中国はどうせ持続できやしない、香港警察でひねり潰してやる、という甘い観測を持っていたはずですが、そうは問屋がおろさなかったわけで、持続的に100万単位のデモが香港行政府を着実に締め上げてていきます。

火が燃え盛り、参加者は若者だけではなく中高年、公務員にまで拡がっていき、たぶんこのままこのエネルギーを維持できれば、後は民主化運動派がゼネストという最終切り札を抜くか、中国政府が治安軍を投入するかという切所に来ています。

福島香織氏によれば、共産党政府の中にも強硬論は存在するようで、その主唱者は王滬寧 (ワン・ フーニン) のようです。
下の写真の右側の男で、まだ60代で共産党トップとしては異例の若さです。

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王滬寧 - Wikipedia

ワンは、王岐山がチャイナ7(共産党常務委員7人)から外れて以降、唯一の習近平の側近です。
この人物は、党の理論面を担当してきました。
つまり毛沢東主義の教条を、いかにいまの共産党資本主義とマッチングさせるのかが仕事だったわけです。
ワンは習の看板である「中国の夢」の名付け親です

2017年10月の党大会初日の習の3時間にも及ぶ政治報告の起草はこのワンが行っています。

「まさに彼が手掛けた。最大のポイントは、建国100年を迎える今世紀半ば(2049年)、中国をアメリカと肩を並べる「トップレベルの総合力と国際的影響力」を持つ強国になる目標を定めた部分である」(岡田充ビジネスインサイダー11月1日)
https://www.businessinsider.jp/post-106611

また習のトップブレーンであるだけではなく、江沢民、胡錦涛の前元総書記の側近として、中国共産党の政策理論を15年にわたって支えてきました。
薄煕来・元重慶党委書記など多くのトップリーダーが失脚する中で、この男だけは三代にわたる指導者に仕え、中国では「不倒翁」(起き上がり小法師)と呼ばれているそうです

「王滬寧は1980年代にはすでに「半月談」(新華社発行)など時事雑誌の表紙を飾る青年学者として有名であり、中国の発展には「強人」(ストロングマン)による開発独裁的な権威主義体制が必要と主張する「新権威主義」と呼ばれる一派の論客として活躍し、中国共産党上海市委員会宣伝部の注目を得て、第13回全国代表大会以降、党の重要理論の起草に関わってきた。」(ウィキ前掲)

共産国家のイデオローグの常として、現行の権力者の政策をカッコよく理屈づけするのが仕事です。
ワンの場合、グローバル化の波に乗って巨大化した中国が、なぜ共産党の一党支配という反市場主義、かつ反自由主義的体制をとるのかについて、あれこれと理屈づけをしてきたわけです。
ムンはシンガポールのリー・クァンユウをモデルにした、いわゆる「開発独裁」が中国経済発展のためには必須だとする考え方をとりました。
シンガポールの開発独裁は経済発展と共にゆるやかに解消され、民主主義体制に移行していきます。
一方、外形的には似ていなくもないのですが、中国がシンガポールと異なるのは、共産党独裁を絶対に譲れない価値だと考えている点です。
ですから、米国の歴代政権が期待したような、経済成長するにしたがって分厚い中間層が生まれ、彼らによって民主的国家へとゆるやかに移行していくということはありませんでした。
リー・クアンユー - Wikipedia

ワンは去年失脚しかけたのですが、ここも巧みにサバイバルし、今や対米最強硬派として妥協路線を選ぶ他の常務委員の尻を蹴り飛ばしていると伝えられます。
ちなみに今年一回まとまった米中合意を一瞬でひっくり返した「
50ページ削除事件」は、この男の仕業です。

このようなワンが香港について何を習に進言しているのかは、想像するに難くありません。
たぶん、「いまの中国の経済力・軍事力はかつての天安門事件時とは比較にならないが故に、国際的包囲など怖くはない、香港を一時封鎖してでも徹底鎮圧し、後顧の憂いを取り除け。それが共産党の権威を保つ唯一の手段だ」、といったところで間違っていないはずです。

ところでこれも福島氏によりますが、北戴河会議で、ある長老が習に対して「10の質問」をしたそうです。ちょっとご紹介しておきます。

① 香港問題は最終的にどういう決着をつけるのか?
② 中国経済はこのまま下降していくのか。中国共産党は来年もあるのか?
③ 高圧的な統治のやり方で、中国社会を、中国共産党は来年も支えることができるのか?
④ 米中関係がこのままで、中国共産党は来年まで乗り切れるのか?
⑤ もし、新疆やチベットの少数民族の人民が、突然全員でデモを起こしたら、中共は再度、鎮圧できるのか?どのように解決するつもりか?全員捕まえるつもりか?
⑥ 中国共産党内部の人々は誰もが自分の身の危険を感じている。党内でネガティブな意見を引き起こし、海外勢力の影響もうけたとき、中国でもし、内部性の動乱や暴乱が起きたらどのように解決するのか?
⑦ 中国共産党はこのままインターネットやソーシャルメディアをコントロールできるのか?
⑧ 中国の財政赤字と外債が、もしダブルではじけたら、どういう結果になるのか?
⑨ 米国をリーダーとした西側社会が、もし中国に対して海外に所有する国家資産を違法資産と見なして、封鎖したら、どう対応すべきなのか?
⑩  中国共産党の現在の国家安全委員会制度が、実質、政治局や政治局常務委員を排除するものだとしたら、このモデル(集団指導体制)は継続していくのか?

大変にリアルな疑問で、共産党長老たちから見ても「来年まで共産党があるのか?」という恐怖に捕らわれているわけです。
その理由は、香港の「カラー革命」がチベット・ウィグルに飛び火したらもう手に負えないという、心の底からの恐怖があるからです。

福島氏はこう見ています。

「長老と現役幹部たちが、「来年はまだ共産党体制は続いているのか?来年、北戴河会議でまた我々は会えるのか?」と習近平に詰め寄っていたとしても、不思議ではない。
そのくらい、今の中国は厳しい状況に直面している。ただ、いくら詰め寄られても、今の習近平に選択肢は残っていない。もし、香港デモに対して譲歩すれば、弱腰、“投降派”と国内でやじられてしまい、その権力の求心力がゆらいでしまう」(『福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO,29 2019年8月19日』 )

習は中国史上最弱の皇帝です。
成長期には親の下放で辺境に追いやられて毛沢東主義を注入され、親が復権すればコネで清華大学に裏口入学し、強固な出身派閥を持たず、政治手腕も未熟のままで、ただひたすら政敵を粛清するだけのことしかできない、そんな男です。
とうてい14億人の指導者には器量不足です。

が故に、このような追い詰められた局面で、そのひ弱さがどうでるのでしょうか。
ワンの言うことに従って武力弾圧に走るのか、それともなんらかの妥協の道を模索するのか、いずれも決断しそこねて中国共産党ごと地獄に落ちるのか、いま、その岐路に立たされています。

 

※改題しました。すいません。

 

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コメント

儒教国なので、日本の大東亜戦争時の大本営のような
心理ですかねぇ? 現人神であられる天皇陛下直属の
組織なので、その権威は絶大で、頭脳明晰なエリートが
上層部にいるので、間違いなど犯すハズがない、彼らの
行動はすべて正しい。

「ゴメンなさい」を出来ない人間はたくさんいます。何を隠
そう、私もそのケがあります。でも、金輪際「ああっ、間違
ってたわ、すまんのう」と言えないのが、この儒教ピラミッド
の人間達です。天帝に選ばれた人間である皇帝の、超
優秀なエリート宦官で構成された完全なる組織は、その
前提として間違いをしない、間違いをするハズがないの
です。天帝が選んだところの皇帝の組織なのだから。

「転進」やら「玉砕」など、上手い事言ったもんです。中共
なんて絶対に、「天安門事件?ありゃ大失敗だったぜい」
とは言わない、言ったらオシマイ。旧敵??の旧大本営
みたいに、自己矛盾をウソで塗り固めて体裁を保ってい
ても、そのうちアチラコチラで辻褄が合わなくなる。中華
の人民の為の共和国が、共産党の幹部というエリートの
既得権を守る為だけの暴力装置に成り果てているという
現実が、これまでになくリアルに発信されると思いますわ。

動き出したら止まらない、ブレーキの無い儒教型の社会。
止る時はブッ壊れる時。もうなんか、虚しいですわ。

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