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2019年8月20日 (火)

温家宝「私たちは言うべきことを言った。あとはどうなってもあなたが責任をとれ」と捨て台詞


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今週、香港民主化運動は大きな山場を迎えます。
それは事実上の中国政府の香港に対する最終的意思決定がなされるからです。
8月22日から26日まで全人代の常務委会議が開催され、おそらくは26日の最終日には結論が下されることでしょう。

「北戴河会議 に出席していたとみられる共産党序列3位の栗戦書・全国人民代表大会(全人代)常務委員長の主宰する委員長会議が15日、北京で開かれ、22〜26日に常務委の第12回会議を開催することを決めた。国営新華社通信が伝えた」(時事8月15日)

香港の運命は、現在の香港の状況を「緊急事態」と規定するか否かにかかっています。
「緊急事態」
と認められなければ、中国は治安軍を投入する法的根拠を失います。
逆にそう全人代が規定したとすれば、一帯一路国際会議が開かれる1カ月前に当たる今月末には軍が香港に入ります。

「香港基本法第18条は、全人代常務委が「制御不能の動乱」と判断し「香港の緊急事態入り」を決定すれば、「中央政府が全国の法律を実施できる」と規定。香港に隣接する広東省深セン市への集結が伝えられる人民武装警察(武警)を香港に投入する場合、この規定を根拠にすることが想定され、全人代常務委の今後の動向が注目される」(時事前掲)

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https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/06

ではそれを占う前段の北戴河会議はどのような内容だったのでしょうか。
『福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO,29 2019年8月19日』を参考に整理していきます。

福島氏の強みは現地での足を使った地道な取材をすることですが、さすがに北戴河会議 という共産党奥の院の情報をとることは難しかったようです。
結論だけいえば、「らしい」ということまで分かっても、伝聞の域を抜けないと福島氏自らも言っています。
こういう正直さが彼女の持ち味で、自分のつかんだ情報を知ったかぶりで書き散らすK氏とかT氏とは違う点です。

ただはっきりしていることは、いわゆる江沢民政権時代の要人は、老齢化もあって年々姿を消すなかで、この3名だけは出席し、おそらくは習近平と激論を交わしたと見られることです。
その3名とは、先日の記事にも書いた李鵬の葬儀を意図的に欠席したと見られる3名の朱鎔基、胡錦濤、温家宝 です。
彼らが、軍事介入慎重派であることは間違いありません。

彼らは第2次天安門事件のトラウマを肌で知る世代だからで、仮に暴力的鎮圧などすれば、中国の国際的地位が絶望的になることくらいを予測できるていどには老成しているからです。

一方習の意志についても分裂した情報が入ってきています。
ひとつは石平氏も触れた習の李鵬への弔辞にある「反革命暴乱を鎮圧し、国内政治を安定させた」とする文言だけではなく、こういう傍証も上がっています。

「国務院香港マカオ事務弁公室が香港政財界500人を深センに集めて行った会議で、張暁明主任が「鄧小平が今の香港をみたら、北京が介入すべきだと判断したはずだ」とかいったらしい」(福島前掲)

国務院マカオ事務弁公室 が政権中枢の意志とは無関係に発言するわけがないので、これはストレートに鎮圧を意味します。

しかし一方、それを打ち消す情報もあるようで、悩ましいかぎりです。

「とはいうものの、北戴河会議で、習近平は「部隊(軍隊および武装警察)を動かす必要はない」と発言したという情報も入ってきて、それが本当なら、とりあえず、天安門事件再び、という状況には今のところ可能性は極めて薄い、という判断材料になりそうだ」(福島前掲)

これは香港の独立系新聞の蘋果日報(ひんか) が12日に伝えたものです。

「中国本土消息筋からの話として、習近平は香港デモについて、「部隊を動かす必要はないが、厳格な刑罰と峻厳な法令によってできるだけ早く乱を平定し、寸土も譲らず」と指示したという。つまり現行の香港の法律枠内で、中聯弁がコントロールした香港警察部隊によってできるだけ多く逮捕し、暴動罪という重い判決でもって処罰する、ということらしい」(福島前掲)

とはいえ習が軍を投入しないからといって民主化要求に対して融和的になったわけでもなんでもなく、一切の妥協を拒み、暴乱罪をもって警察力で押しつぶすという意味です。

「現行の香港の法律枠内で、中聯弁がコントロールした香港警察部隊によってできるだけ多く逮捕し、暴動罪という重い判決でもって処罰する、ということらしい。香
港デモが要求する五点(逃亡犯条例改正案の撤回、香港政府のデモ隊に対する暴徒発言の撤回、デモ参加者に対する検閲コントロール停止、警察の暴力・元朗白シャツ襲撃に対する独立委員会による徹底調査、普通選挙実施要求・キャリーラム辞任)に対しては継続して回答せず、譲歩もしないという」(福島前掲)

このあたりは常識的にはありえそうな観測です。
この蘋果日報の報道を受けて、現状では治安軍投入はない、という線にメディアの観測は落ち着きつつあるようです。

ところで習には三つの選択肢があります。

①治安軍を投入し実力制圧
警察と軍は決定的に違います。く軍隊は対外的な脅威に対する実力装置であって、国内に向けるべきものではないからです。
これをした場合、深刻な国際的制裁を受け、
6割もの資本が香港から流入すると言われている香港金融世界を直撃し、中国経済に甚大な影響が与えることは避けられません。

②警察部隊による鎮圧
現在おこなっている弾圧方法をもっと強化することです。
しかし、
ただし習が真剣に警察力だけで鎮圧できると考えているとしたら、甘いとしかいいようがありません。
2百万人規模の巨大集会が連続するまでに拡大し、青年層のみならず、あらゆる階層にまで拡がり続ける香港民主化デモを警察力だけで鎮静化できると思うほうがどうにかしています。

③政治的妥協による鎮静化
本来これがベストです。手練の政治家なら躊躇なくこの方法を選ぶでしょう。
ただし現時点では遅すぎます。ここまで民主化勢力が強力になってしまった以上、これを政治的に収拾しようとすれば、民主化要求のせめても一つ二つくらいは呑まねば収拾不可能なことくらいわかりきった話です。
しかしそれは習体制はいうに及ばず、中国共産党体制への大きな打撃となります。

つまるところここで政治的に未熟な独裁者である習は、①と②の折衷案を選んでしまったのかもしれません。
つまり実力で鎮圧するが、軍は使わない。政治的妥協はしないで突っ走る。

すると警察部隊を軍並に強化するしかありません。
習は弱みは見せられないとばかりに、香港警察で名うての凶暴な人物を警備責任者に任じました。
それが定年退職したはずの元警察副総監のアラン・ラウです。この男こそがかつての雨傘革命を鎮圧した張本人です。

「8月9日づけで、アラン・ラウ(劉業成)元警察副総監が現場責任者として復帰している。雨傘運動(2014年秋)や旺角の魚蛋革命(旺角騒乱事件、2016年春節)を強硬な姿勢で鎮圧してきた警察最タカ派のアラン・ラウは昨年11月に早期退職で定年前に引退していたが、今回の香港デモへの対応のためによびもどされたという。
彼は2017年7月の香港返還20周年の習近平の香港訪問の際の、現場最高責任者で、習近平からも信頼されていたというので、香港警察としては、習近平のお気に入りに現場を任せれば、万が一に下手をうっても北京からのかぜ当たりが弱まるという計算かもしれない」(福島前掲)

アラン・ラウが復帰したとたん、11日のデモに対する警察の暴力がエスカレートしたことは、すでに報道されているとおりです。

「太古駅の狭い構内で催涙ガスをぶっ放すはエスカレーターからデモ隊を引きずり下ろしてぼこぼこに制圧するわ、銅鑼湾のデモで女性の顔に至近距離からビーンバック弾をぶっぱなして失明させるわ、黒シャツを着た私服警官をデモ隊に潜伏させてデモ隊を内側から混乱させたり揺動させたり、あるいは背後からいきなり襲撃して逮捕するわ、(一部では潜伏した私服警官が空港でわざと搭乗客とトラブルを起こしたり、過激派を演じて、デモ隊に暴力のぬれぎぬを着せているといった情報も)、とにかくデモ鎮圧のためなら手段を選ばなくていいといった、雰囲気になってきている」(福島前掲) 

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警官隊は催涙弾を乱射しています。http://wedge.ismedia.jp/articles/-/16497

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警官隊の催涙弾射撃で失明した女性 https://ameblo.jp/syoukanobifuu/entry-12505532049....

本気で習が鎮静化させたいのであれば、たとえばキャリー・ラム行政長官の辞任、逃亡犯条例の一部改正、警察暴力の第三者機関による調査ていどは呑まねばなりません。
多少まともな政治的センスを持っている政治家なら妥協可能なことをなにひとつ譲ることなく、暴力団に襲撃させたり、本土からの警察部隊に催涙弾を乱射させるなどしているうちは、収拾は絶望的です。

習という人物は、たぶん政治的に生硬、もっとはっきりと言ってやれば幼稚ではないかと思えてきました。
習に思いつくことは、中華世界の中でだけ通用する暴力的弾圧と謀略ていどのことなのです。
それは西側メディアから隔絶された辺境の地であるウィグルやチベットでは通用しました。
いかに100万人単位のウィグル人を収容所に放り込もうとも、西側に知られなければいいのですから。

習にできるのはこのような「密室の虐殺」だけです。
彼は民主社会のほんとうの怖さを知らない。
ひとりひとりの市民が開かれた情報を共有し、それを封殺しようとする独裁者と共に立ち上がる怖さを知らないのです。

ですからこのような凶暴な手口は、中国大陸における西側自由主義社会のショーウインドウである香港においては通用しないどころか、かえって運動を拡げてしまう、このような民主主義のルールをこの習近平という男は理解できないのです。

「中国はその後35年間安定を保ってきた。その間ほぼずっと中国は経済改革を進め、政治的な統制さえも緩めた。だがここ10年間、特に習体制が始まってからは、共産党は国内政治や国民の私生活の大部分に容赦ない支配を強めてきた。
 共産党指導部は新疆ウイグル自治区で100万人に上るウイグル族を再教育施設に収容し、反体制派を擁護する弁護士を逮捕し、地下教会のキリスト教徒への嫌がらせを続ける。また来年までに顔認識監視技術を利用し、行動の善悪に基づく市民の「社会信用」スコアをつけ始める予定だ。
自由な香港を徐々に窒息させることはこの潮流の一環であり、習体制が国際社会に対する誓約を放棄するつもりだということが分かる 」
(ウォールストリートジャーナル社説6月14日)
https://jp.wsj.com/articles/SB11082206419117534460204585364423241571214

さて北戴河会議に戻ります。
情報は錯綜しており、お互いに立場が異なる者たちが偽情報をだして世論誘導を計っているということが大いにありえるということを念頭に置いて下さい。
その上で、胡錦濤がこのような発言したという情報があがってきています。

蘋果日報(8月9日)付けによれば、北戴河会議では、香港問題が重要な討論テーマになっていたという。そこで長老代表で、胡錦濤が現役指導部たちに対して、「絶対に香港に“むごい役割”をさせるな」と発言したしたとか。
香港デモに対してどういう対応をすべきかという議論の中で、軍(武装警察)を動かすかどうかという話になったとき、国際社会が天安門事件の再来になるのではないかと懸念を報じていることに触れての胡錦濤の発言だったという。胡錦濤は天安門事件については、共青団の一員として、共産党の深い傷ととらえているようではある。

そして民主活動家の文筆家陳破空は、結局習の意志を覆せなかったと伝えています。

ニューヨーク在住の政治評論家の陳破空は体制内知識人からの情報として、「中共ハイレベル政治は長老勢と、習近平・王滬寧ペアの間での対立が大きく、長老はおおむね香港の武力鎮圧には反対、習近平の香港への対応方針(警察を使っての徹底鎮圧)についても賛成しなかったが、習近平の決定を覆すことはできなかった」という。
香港問題への対応で結局、意見の一致を見られなかった中で、最後に温家宝が「私たちは言うべきことを言った。あとはどうなってもあなたが責任をとれ」と捨て台詞を吐いたとかはかなかったとか」(福島前掲)

これらの情報が正しければ、習は治安軍を投入することに逡巡しているようです。
軍を入れれば中国経済が大打撃を受けるという恐怖に身がすくんで、警察部隊だけで乗り切れると考えているようです。
やるにせよ、やらないにせよ、この男が修羅場を潜ったこと期ある長老たちならとうに決断しているべきことを未だこの時期で決断しきれていません。

追い詰められているのは習です。
あと1週間。
鎮静化できねば、100万を超える津波のような市民のデモが彼を香港で打ち砕く事になります。

 

 

※今日はフォントをひとつ大きくしてあります。どうですか?

 

 

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コメント

いつもより見やすいと思ったら、フォントがひとつ大きくなったと、最後にありました。老眼としては助かります。

温家宝氏は、引退の際に文化大革命が再び起こることを危惧していましたね。
もはや付ける薬はないと匙を投げたのでしょう。

日毎の記事配信を楽しみにしている者です。ところで、此度はフォントをひとつ大きくされたとのこと。老眼鏡の助けを要する者としては有難いことです。是からもなお、貴殿の益々の御健筆を祈念して止みません。

沖縄の海兵隊が強襲揚陸艦に乗らずに、オスプレイで直で現場に行くことってあり得るんですか?

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