中国政府の罠を読み切った香港民主化デモ
読みやすいというお言葉をいただきましたので、気をよくしてもうしばらく12ptのフォントでやっていきましょう。
さてネット界を見ると、韓国花盛り。
気分はわからないでもないんですが、あまりすぎると単なる国民的ウップン晴らしになってしまいますからご注意。
私から見れば、韓国なんてハンチクな国とは、今後つきあおうとつきあうまいと、どーでもいいていどの経済的外交的重みしかないのです。
ただ日本としてはこれ以上仮想敵国を増やしたくないので、韓国が「敵国もどき」にならないように(そうとうになりかかっていますが)すればよいだけです。
なんせ中北露、そして韓国、よくもまぁ世界の問題国家を一同に集めたもんだよ、という位置に日本はいますからね。
これ以上増やすことはない。
日本が真の脅威として据えるべきは、中国以外にありません。
韓国に対しては原則を守った対応を積み重ねていけばいいだけのことですが、中国にはもっと大きな視野に立って見ねばなりません。
というわけで、私は香港にこだわります。
香港という小さな巨人は、中華帝国の弱い脇腹を鋭くえぐり、習皇帝をのたうちまわらせています。
香港問題は中国のみならず、台湾、アジア全域にまで及ぶ大きな地殻変動を起こす予兆となっています。
香港の民主派は大変にクレバーにことを進めています。
少し前に私がしつこいくらいに民主派に忠告したのは、中国は軍事介入の口実を喉から手がでるほど欲しがっていることを知って欲しいということでした。
https://www.afpbb.com/articles/-/3237217
私はデモ隊の中の一部ハネ上がりが中国の出先機関を襲撃したり、中国国章にペンキをかけたりすることを、軍事介入を招き寄せる利敵行為として強く批判しました。
案の定、8月12日、中国国務院香港マカオ事務弁公室のスポークスマン楊光は記者会見でこう述べています。
「ここのところ、香港の過激派デモ隊は非常に危険な道具で警察官を繰り返し攻撃している。
これは既に深刻な暴力犯罪を構成しており、テロの兆しを見せ始めている。これは香港の法治や社会秩序を著しく乱す違法行為であり、市民の生命安全に対する深刻な脅威であり、香港の繁栄と安定を脅かす深刻な挑戦である」(8月14日、「環球視野」原文は中国語 遠藤誉氏による)
この中国政府の代理人の口から「テロ」という言い方が出た時に、私は背筋がゾッとしました。
この代理人は続けて、欧米の「テロ」の定義を持ち出して、香港の「テロ」を鎮圧するのは国際的にも合法だと主張しています。
さらに中国が定めた「反テロ法」を持ち出して、西側諸国から来るであろう非難を、「お前らと一緒のことやっているのに、なんでオレだけ批判されなければならないんだ」とかわす予防線としています。
では、ここで中国政府が持ち出した「反テロ法」とはどのようなものでしょうか。
これは2015年12月27日の第12回全人代常任委員会で成立した「中華人民共和国の反テロ法」のことですが、この中で「テロ」の定義として、以下を上げています。
①暴力的な手段の行使
②不特定の民間人が攻撃の標的となる
③社会的経済的発展に著しい弊害をもたらす
これらの条件が満たされれば、この「反テロ法」を使って合法的に「テロ指定」ができるということになります。
ですから、中国当局はこの時期の前後から、「テロの条件」を満たすべくさまざまな手段を使い始めました。
たとえば、そうとう初期から香港警察には、中国政府からの助っ人部隊を大量に導入し、彼らには香港警察がやりたがらないダーティな仕事を請け負わせていたようです。
北京政府にカネで雇われた香港マフィアに襲撃させて乱闘事件を引き起こしたりしました。
そしてかならず私がやるだろうと思っていたのは、デモ隊に扮した何者かが、中国政府の出先機関を襲撃することでした。
これらの謀略は、ウィグルなどの「密室」では有効だったでしょうが、言論が保障され、SNS が発達し、しかも西側メディア監視の下では馬脚を現します。
SNSはすぐにこの中国が仕掛けた幼稚な謀略を見破ります。
窮地に立たされた香港警察は8月12日、とうとう「デモ参加者を装った警察官を動員した」と初めて公式に認めおとり逮捕をしていることを認めてしまいました。
https://www.epochtimes.jp/p/2019/08/46027.html
次に登場した謀略は「民間人の被害者作り」でした。
8月13日、中国共産党準機関紙・環球時報記者と称する付国豪が、デモ参加者に取り囲まれ殴打を受けた、と中国大陸のメディアが報じました。
この時の写真が上ですが、この時この人物はこう叫んだそうです。
「私は香港警察を支持する。さあ、私を殴ってもいいよ!」
この中国語の「可以打我了!」「了」という文字が語尾につくと、「さあ、殴ってもいい準備ができたよ」(「準備OKだよ」)という意味になるそうです。
そしてこの男には数々の不信な点が確認されています。
「報道によると、付記者の身分証に記されている北京市海淀区万寿路の住所は、中国国家安全部(省)の職員寮だという。国家安全部は中国の情報機関だ。
また、付記者は、2つの違う名前の銀行口座を持っているという。付記者は環球時報のほか、北京市にあるコンサルティング会社、世華万向資訊公司にも勤めていることが分かった。同社は、海外に進出する中国語メディアに対して知識や情報を提供している」(大紀元8月16日)
このようにこの中国記者暴行事件は、なんのことはない香港警察と中国政府による仕込み型謀略であることが暴露されてしまいました。
そして香港民主派は、これらに学んで北京の仕掛けた罠にははまらないことを決意しました。
先日18日の170万人デモにおいては、デモ主催者は、市街地の許可が警察から出なかったことを受けて、許可が得られたビクトリア・パークでの集会に切り換え、押し寄せる参加者の多くが周辺に溢れると声を枯らして「警察の支持に従え」と呼びかけていました。
https://withnews.jp/article/f0170701002qq000000000...
しかも悪いことには雨が降り出すという悪条件をもろともせずに、むしろそれを力にかえて平穏にデモ行進を続けました。
この雨傘デモの美しかったこと!
私のようなすれっからしが久しぶりにデモを見て感動してまったほどでした。
夕刻の香港の街明かり映えた色とりどりの無数の(170万!)雨傘の見事さは、あいちナンジャラに出展された「美術品」などよりよほど芸術としての見事さを持っていました。
力関係は大きく変化してきています。
追い詰められているのは、習近平皇帝です。
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コメント
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申し遅れましたが、老眼に優しいフォント遣いに私も感謝いたしまする。
韓国、そして日本国内で日本と日本人に文句を垂れるメディアや人々の言説には今までのところ、ともかくもなんとかして溜飲を下げたい!という中身しかないので、相手にする時間が勿体無いです。
慰安婦問題における国際的認識形成や情報戦では、幾人かの言論人の方々が述べられるような日本の敗北的状況があることも認めますが、何かを激しく言い募る人々には、「自分が今持つ情報と考えは本当に無欠で穴が無いと言えるか?と常に考えていますか?」とだけ申し上げたいです。
さて、香港のデモ参加者の皆さんの間では、ブルース・リーの「水になれ」が合言葉になっているようです。
Water can flow, creep, drip and crush.
Be water, my friend.
水は 流れ 忍び寄り 垂らし 挫くことができる
水になれ 友よ
こんな意味の言葉ですが、水のように静かにしなやに臨機応変でゆけ、ということですね。
実に良きことと思います。
投稿: 宜野湾より | 2019年8月21日 (水) 11時03分
沖縄の海兵隊が強襲揚陸艦に乗らずに、オスプレイで直で現場に行くことってあり得るんですか?
投稿: キンダーマン | 2019年8月22日 (木) 03時15分
キンダーマンとやら。何度も同じことをいれて いますが、これは私への質問ですか。
香港と沖縄海兵隊とはどのような関係があるんでしょうか。まったく無関係な質問には応える義務はありません。
過去記事にかなりの量、これについては書いていますから自分で調べて下さい。
投稿: 管理人 | 2019年8月22日 (木) 03時26分