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2019年9月26日 (木)

脱炭素をしたドイツの現状


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トゥンベリさんのような文革の紅衛兵タイプに極度に弱い日本のメディアは、イチコロで参ってしまって、絶賛の嵐です。
少女、エコ、北欧と日本人好みの三拍子で、まるでエコのジャンヌ・ダルクのように持ち上げています。
彼女のバックには、西欧の再エネ利権を牛耳る投資家会社や金融機関、不動産会社なんかがついているんですが、こんなことは見ないんだろうな。
彼女のちょっと知られたくない背景についての英文記事をみつけたので、明日アップするかもしれません。

小泉ジュニアすら、トゥンベリさんの言葉を「重く受け止める」なんて言っていましたっけね。
ホントに、この人親父譲りで軽い。なにも考えちゃいない。受けねらいとカオだけ。
ジュニアときたら、記者から「石炭は温暖化の大きな原因だから脱石炭火力に向けてどうする」と聞かれて、即座に「減らす」と答えたのはいいんですが、じゃあどうすんの?
原子力の3割はかつてカン政権が切りましたが、それでもなんとかなったのは火力発電があったからです。
石炭を削減するというのは炭酸ガスを発生するからでしょうから、石油はほぼ石炭と同じくらい出しますし、天然ガスも半分ていどの量を排出します。

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つまり化石燃料なら炭酸ガスをだすことには変わりはないのです。
出さないのは再エネだけ。(ただし、プラントの製造過程で出しますが)
ならばジュニア率いる環境庁は、日本の電源を再エネだけにして、化石燃料をやめる方向で検討するということなんでしょうか。
ご冗談を。原子力なき日本の電源の9割を孤軍奮闘して支えている火力を削減したら・・・、オーマイガッドです。
原発ゼロどころか電源ゼロになっちゃいますが、ちっとは考えてモノを言って下さい。

もう少し詳しく説明しまししょう。
石炭は人類にとって付き合いの長いエネルギー源です。
改良に改良を重ねて、ぜんそくなどの健康被害を引き起こす大気汚染物質(NOx、SOxなど)の約9割を除去することができるようになりました。
ただ炭酸ガスだけは宿命的にカット仕切れません。
石炭ガス化複合発電(IGCC)という次世代の高効率石炭発電を導入したとしても、石油発電と同じくらいのCO2排出になる程度です。
またCCS(二酸化炭素回収・貯留技術)という地下に炭酸ガスを注入する技術も実験が進んでいますが、埋却用地が少なかったり、埋める時にまたエネルギーを使ってしまうなどの問題がでています。

さて昨日も書きましたが、福島事故1年前の2010年に、日本の電源の3割を占めてた原子力を、カンの一声でいまだ大部分は止まったきりです。
申請している原発の許可が下りるのは、いつの話になるやらさっぱり見えません。
この失われた3割の電源の代わりに増えたのが、当然のことですが火力発電のための化石燃料と呼ばれる石炭、天然ガス、石油などでした。

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上の円グラフで2010年と14年を較べると、一目で日本が火力発電大国になってしまったのがわかりますね。
原因は原子力をいきなりゼロにしたからです。
この「いきなり」ということが問題なのです。

私は原子力は未完成の技術だと思っていますから、なくしてしまったほうがよいと思っています。
ただしそれをいきなりやると、麻酔をかけないで開腹手術をしてしまうようなもので、患者はショックで確実に死にます。
ですから原子力の恩恵を被った時間と同じくらいの時間をかけて、徐々に消滅さていくしかありません。

たぶん原子力がなくなるまでの過渡期は、半世紀では済まないと思います。
その間、どうするのでしょうか。だましだましやるんです。
具体的にいえば、いま規制委員会が再稼働を認めたものから動かして電力供給の基盤を強化して、疲弊しきった電力会社の財務内容を良くしながら、炭素排出が少ない火力発電や常温核融合などの新たな技術による電源に置き換えていくのです。

反原発主義者の人たちは必ず東電処罰論ですから、なにかといえば電力会社は巨悪だから潰せと口走るんですが、電力会社潰したら誰がベラボーに時間とカネがかかる原発の廃炉をするんでしょうか。そこまで考えてモノ言っていますか。

なんかスッキリしないって、あたりまえです。日本は世界屈指の工業国なのです。電気は産業の主食です。
発電の周波数品位さえ製造業が問題としているのに、年がら年中停電を起こしているようなことじゃあ安心してモノづくりができません。

現実の例をメルケルおばさんが脱原発してしまったドイツに見てみましょう。
ドイツ産業界は、EU域内輸出で好況にもかかわらず、自国の電力不足と不安定に嫌気をさして国外逃避を始める所が出てき始めました。 
ドイツ商工会議所のアンケートによればこのような恐ろしい結果がでています。 

・瞬間的な停電や電圧の変動などを恐れている企業      ・・・60%
・電力供給の不安定さから既にドイツ国外へ工場移転した企業・・・9%
・移転計画中                               ・・・6%

なんとEUでただ一国景気がいいはずのドイツから7割近い企業が逃げ出したか、逃げ出す準備をしているのがわかります。
ドイツの経営者の弁です。

「ドイツ経済紙が2011年12月29日に明らかにしたところによると、産業需要家の団体であるVIKのシュヴィヒ会長は「(福島第1原子力発電所の事故を契機とした脱原子力をはじめとする)エネルギー政策転換により、ドイツの電力供給の信頼度が低下している」と述べ、それにより「複雑な生産工程における安定性が脅かされている」との警鐘を鳴らした。
ドイツの電力供給の信頼度については、3分以上継続する停電をまとめた統計でみると、停電時間は1軒あたり年間約15分となっており、国際的にも高い水準が維持されているとみられてきた。 
しかし、3分以下の停電や電圧変動は増加しており、産業需要家に及ぼす影響は大きくなりつつある」
(電気事業連合会2012年1月20日) 
 

電力供給が不安定は、原発止めてキャンドルライトを灯そう、では済まないのです。
だって、勤めている自分の職場がなくなっちゃいますからね。

では経営者が警鐘を鳴らすドイツの電源別構成をみてみましょう。こんなかんじです。

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ドレスデン情報ファイル https://www.de-info.net/kiso/atomdata01.html

原子力はゼロを叫ぶ割には、なくなったわけではなくしっかりと11.7%もあって、日本以上に原発を温存しているのがわかります。
このへんのドイツ人の原発を半分止めただけで、原発ゼロを言ってしまえるという政治的修辞力は天才的です。
それはさておき特徴的なのは石炭も13%もあることで、これはドイツが歴史的に国内に豊富な炭鉱を持っていたからです。
カナダやオーストラリアも同じように国内に豊かな炭鉱を持ちますから、いくら脱炭素だといわれても電力には各国の歴史的事情というものがあるのですよ。

再生可能エネルギー(再エネ)が政府が力こぶを入れただけあって、実にジャーン35.2%です。
ただし 再エネの最大の泣きどころは、火力や原子力と違って恒常性がないことです。
だって、しょせん吹く
風や太陽といった天候頼みですから、発電への貢献度がゼロの時も20%の時もあります。 

電力別推移を見たグラフが、日本の九州電力の例ですが下です。


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2017年4月30日の九州地方の電力の需要と供給 資源エネルギー庁HPhttps://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/qa_syuturyokuseigyo.html

真夏は電力供給の余裕を現す予備電力がギリギリとなるのですが、暖房や冷房の需要が少ない春や秋、それも工場が休みになっていることの多い休日などは、電力需要は年間のピーク時の半分程度になります。
しかも春の昼間というのは、天候に恵まれれば、太陽光発電が年間でもっとも発電する時です。

上図は2017年4月30日の九州地方の電力の需要と供給を示したものですが、太陽光発電によって昼間には最大で需要全体の約7割をまかなうことができた時間が出ると、火力発電所は出力を絞ったり、あるいは揚水発電所の水をくみ上げることで電力需要を人工的に作り出しています。
太陽光発電のケツ持ちをしている揚水発電は、昼太陽光が作りすぎると電気をわざわざ使って水を汲み上げて貯めておき、太陽光発電が発電しない夜間や朝などに落下させて水力発電をします。
まことにご苦労なことで、優雅な風車とか太陽光パネルのグリーンな外ヅラは、こういった火力や揚水発電などが地味に支えているというわけです。

ドイツの場合、日本にはない隠し芸があります。
それは
ヨーロッパは国際送電網を持っていることで、EU域内において電力はただの貿易商品にすぎませんから、国境を超えて売り買いされているということです。
つまり足りなきゃ買えばいいし、出来すぎたら売ればいいのです。 
 

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熊谷徹『脱原発を決めたドイツの挑戦 』より引用

ドイツは隣国に原発大国フランスがありますから、いつでも気持よく売ってくれます。
その結果、フランスやチェコからの輸入電力が増えて、これらの国が脱炭素国のドイツへの電気輸出をあてこんで原発を新設するという笑い話のようなことが起きました。 
ただし再エネのベストシーズンの春などは、売るほど再エネが電力を作ってしまうために、ドイツの再エネは周辺国から悪評がさんざんですが。
ま、こういお隣の迷惑を省みずに、ある時はナチズムに、ある時はエコへと独善できちゃうのが、世界に冠たるドイツのドイツたるゆえんなんでしょうがね。

それはともかく、ドイツは脱原発まで電力輸出国だったために、ドイツの産業界も国民も自分の国が停電するなどということは考えてもいませんでした。 このへんは日本と同じです。

今はまったく違ってきています。2012年2月の厳冬期に、ドイツでは暖房機需要で大規模停電を引き起こすところでした。
また
ドイツではこの3年間で、電圧や周波数の変動、瞬時の停電などが30%ほど増加しました。 
このていどで済んだのは、政府がハンブルクの鉄鋼所の操業に停止命令を出したためと、急いで旧式な石炭発電所を動かしたからです。
このへんも゛福島事故以後、慌ててスクラップ同然の火力発電を稼働させた日本と一緒です。
考えてもほしいのですが、ドイツはわが国のように原発事故を起こしたわけてもなんでもなく、半数の原発を止めて再エネを増やしているだけの話なのですよ。
しかし
それで、日本でいえば政府が新日鉄が操業を緊急停止させる事態となってしまったわけです。
ちなみにいったん高炉の火を落とすと、再稼働まで長い時間がかかり、製鉄所は大損害を受けます。
 

再エネの大きな欠陥は、自然条件だけではなく蓄電技術がともなっていないことです。

「再生可能エネルギーのような供給に不安定な電力への依存度を高めれば、問題は大きくなる一方だ。電力を貯蔵できれば問題は解決するかもしれないが、現時点では大量の需要に対応できる蓄電技術は実用化までほど遠く、コスト的にも論外だ」(フリッツ・バーレンホルト(再生可能エネルギー会社RWEイノジーCEO)

「精密な製造装置を使用する企業では、ほんのわずかな電圧変動や100分の1秒単位の瞬間停電でも、大きな損害が出る。
ノルスク・ハイドロ社のドイツハンブルグ工場の例では、電力が1ミリ秒(1000分の1秒)の瞬断で製造装置がストップし1万ユーロ=100万円の被害額。昨年来からの合計では50万ユーロ=5000万円を越えている」。
(シュピーゲル 2012年2月24日)

バックアップ用の発電所をいつも再エネに合わせて調整するため動かしたり、止めたりしているために、電力会社にとってはコストが膨らみ、政府は冬の度に薄氷を踏むような思いで電気をやり繰りせねばならなくなりました。 

「ドイツの電力供給の信頼度については、3分以上継続する停電をまとめた統計でみると、停電時間は1軒あたり年間約15分となっており、国際的にも高い水準が維持されているとみられてきた。 
瞬間停電が3分以下の停電や電圧変動は増加しており、産業需要家に及ぼす影響は大きくなりつつある。
 
世界3位のアルミメーカーで、ドイツ国内14カ所で工場を稼働しているノルスク・ハイドロ社(本社・ノルウェー)は、2011年12月27日に電力系統規制庁のクルト長官に宛てた書簡で、2011年には同社のドイツ国内の工場で度重なる停電を経験したほか、2011年7月20日には電圧変動により約20万ユーロの被害を被ったと報告している」
(電気事業連合会2012年1月20日) 

かくしてその結果が先述したドイツ製造業の国外逃避です。
わが国の脱原発派は、このドイツの政策をそっくりコピーして、さらにはドグマの域にまで高め上げてしまいました。
頭の悪い理科系宰相のカン政権は、まんまドイツ方式を直輸入し、原発全面停止をしたうえに、代替をFIT(全量固定価格買い取り制度 )で国民からぼったくりましたから
眼も当てられません。
 

トゥンベリさんは、こんなドイツの現状も日本の例も知らないで、叫んでいるんでしょうね。          

 

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コメント

ソフトバンク:アジア送電網計画

温暖化問題を議論した国連大会議場の偽善者っぷりには、どうにも抑えがたい臭みがプンプンします。

トゥンベリとかいう女の子はマララさんの二番煎じのような印象ですが、実績も経験も全く比べ物にならなイデオロギッシュな子供でしかありません。

彼女は先進国がパリ協定を実行しない点から、激しく首脳らを叱責し明日にも世界が滅亡するようにいいますが、そのような火急的な状態ならば、中共に対するような後進国優遇こそ直ちに止めさせる主張をこそすべきです。

一方の小会議室では、トランプさんがきわめて重大な「宗教の自由」演説をやっていました。
こっちは非常に小さなイベントでした。
ウイグルでは今も矯正収容所で拷問の実態は繰り返され、モスクは破壊され、思想改造が行われて虐殺が続いているのです。

温暖化の議論を不必要に過大視させ、本当の人権蹂躙、民族浄化を隠すような国連の在り方は疑問です。
国連は世界の大マスコミ同様、中共に乗っ取られているかのような印象です。

また、反原発も結構ですが、原発事故は近隣国だけでなく世界を巻き込みます。
中共の原発の爆発的推進こそ懸念されるべきです。
また、IAEAの事務局長は米国から出すべきです。セルボ氏のようなCTBTOの仕事も中途半端にしか出来ない人間に移行人事は禁止すべきです。

国連機関は中国に半ば占領されているようですね。主要な長は中共幹部がなっているようです。政治的な組織の乗っ取りなどは、中国のお家芸ですかね。北京大学には国連政治学部のようなものあるようで、戦闘部員もどんどん養成してるようですね。
利権にまつわる政治的組織の利用方法を熟知してるのは、中国でしょうね。
米中戦争も政治的異次元戦争になるのでしょうか。

山路さんのご意見に100%賛同します。
将来の不安を嘆くのは結構ですが、
今現在進行している悲劇を座視しながら
遠い目をして未来の危機を嘯く人間なんてのは端から信用なりません。
中国共産党がチベットやウイグルで行っている人権弾圧は
かつてのナチスの振る舞いと何ら変わらぬ残虐窮まりないものです。
そんな国の元首を国賓として招待しようという現政権の脳天気さにも呆れます。

我国には「人権派」を標榜する方々が多くいらっしゃいます。
自国がかつて行った事には大層熱心ですが、なぜか現在まかり通っている
隣国の非道には見て見ぬふりをするのは如何なる理由からでしょうか。
「人権派」の名前が泣くように思うんですが。

すいません。今回のテーマとは関係ない話になってしまいました。ご容赦ください。

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