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2019年9月 7日 (土)

どこでキャリー・ラムは間違ったのか?

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先日のキャリー・ラム行政長官の移送法撤回の背景について情報が入ってきましたので、紹介しておきます。
ちなみに私は今までキャリー・ラムと表記してきましたので一貫させますが、漢語で林鄭月峨。広東語で「林」はラムと発音するそうです。

なおこの今日の情報源は、「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」令和元年(2019)9月6日号です。

宮崎氏によれば、ラムは北京政府の最終的了承なしに撤回を公表した可能性があるそうです。
私は当然、北京政府の高いレベルの了解なしに撤回のゴーサインはだせないと思っていましたが、ラムが協議したのは香港の出先機関である
国務院香港マカオ弁事処主任の張暁明との間だけだったようです。
会合を持ったのは香港に隣接する深セン近辺ということです。

「条例撤回に関して、中国側の返答がなかったことから、撤廃黙認と読んだらしい」(宮崎前掲)

このあたりの前後関係はわかりませんが、もしそうならラムはかねてから完全撤回について、北京政府の了解を得るべく打診していたことになります。
おそらく7月に移送法は死んだというような表現をしているところから、ラムの腹は撤回で定まっており、それについて北京政府の承認待ちだったと憶測されます。

面白いのは、このラムの要請について北京政府が回答していないと思われることです。
おそらく習は一時期武力鎮圧やむなしに傾いていたはずです。これは、ラムと協議した弁公室責任者の張がこう言っていたことでもわかります。

「国務院香港マカオ事務弁公室が香港政財界500人を深センに集めて行った会議で、張暁明主任が「鄧小平が今の香港をみたら、北京が介入すべきだと判断したはずだ」とかいったらしい」(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO,29 2019年8月19日』 )

この時期、習は強硬姿勢をみせる反面、長老との北戴河会議で「部隊(軍隊および武装警察)を動かす必要はない」 という発言をしたとも伝えられています。
結局、長老たちの反対(太子派は香港に利権をもっていますから)や米国の強い圧力もあってか、
部隊を動かす必要はないが、厳格な刑罰と峻厳な法令によってできるだけ早く乱を平定し、寸土も譲らず」と命じたといいます。
つまり、現行の香港の法律枠内で中国弁公室(中連弁)が事実上の指揮下に置いている香港警察部隊を使って、できる限り多くの民主化活動家を逮捕し、これを暴動罪という重罪を適用して監獄送りにする、それでダメなら緊急法を使って戒厳令、という弾圧強化路線に落ち着いたということのようです。

一方、宮崎氏によれば、

「この間、キャリー・ラムが部下に命じたのは二つの暴動の収拾方法を教訓に出来るかという調査だった(サウスチャイナ・モーニングポスト、9月5日)」

ラムが参考にしたのは暴力的封じ込め路線です。これには英仏の事例を参考にしているようです。

「第一は、2011年にロンドンのトッテナム地区で発生した暴動。これは警察官が黒人の容疑者射殺に端を発して暴動となり、商店への略奪がひろがり、失業中の若者多数が参加し、合計五名が死亡、多数が負傷した。人種差別型暴動としてはロスアンジェルス暴動に似ている。
キャメロン政権(当時)は、徹底した厳罰で臨み、SNSで暴動を煽った若者にも禁固四年という厳罰で臨んで力で封じ込めた。
第二は昨秋から毎週土曜に行われたフランスの「黄色ベスト」「黄色ジャンパー」デモ、スタイルは香港の抗議方式に似通っている点もあるが、物価高のための賃上げと、マクロン大統領の辞任を要求していた。
フランス政府は譲歩せず、自然消滅を待った」(宮崎前掲)

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AFP

背景は異なりますが、英仏の事例に共通するのは自然発生的に生まれて、SNSを使ってデモ参加を訴える抗議方式です。
香港の民主化運動が、この英仏の「SNSスタイル」に影響を受けているのはいうまでもありません。

しかし大きく英仏のケースと異なるのは、民主主義政体の国と違って、香港が対する中国は基本的人権、市民的自由の概念そのものが存在しない前近代的国家です。
このような国から間接支配を受けている香港においては、英仏とは比較にならない厳しさで「SNSスタイル」をとらざるをえませんでした。
たとえば、集会の呼びかけは勿論のこと、集会場へ行く手段も鉄道を使った場合、それを後に警察にトレースされないためにカードを一切使わずに現金に徹することも申し合わせたと聞きます。
これはキャッシュレス方式が北京政府の常時監視下に置かれているからで、その使用状況を当局がチェックすれば参加者の動きが筒抜けになってしまうからです。
このへんがなんやかや言っても、甘ったれた日本や英仏の反権力デモと一味違うところです。

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また、雨傘運動の挫折を教訓にして、公然指導部を置きませんでした。
これが功を奏して、香港政府は特定の活動家を狙い撃ち逮捕することによって運動を終息に向かわせることが不可能となってしまいました。

ただし、指導部を置かなかった功罪はでました。
デモ指導部不在なために、香港政府が交渉相手を失ってしまったことです。
一般的に運動においては、権力側と反政府側がなんらかのパイプを作ってやりとりをして落し所を探り合うものですが、それが効かなくなりました。

結果として、運動は一部のボスによっていい加減な手打ちをせずに非妥協的に進んだのはよかったのですが、解決の道が互いに見えなくなりました。

運動内部は一枚岩ではなく、中国共産党打倒を叫ぶ急進的な部分と、一国二制度を堅持できればよしとする穏健な部分が混在してしまいました。
結局、まとまり切れないまま、デモの最大限要求として5大要求となってしまったわけです。

運動は右肩上がりで永遠に続くものではなく、必ず爆発・停滞・鎮静化の循環を辿ります。
しかし運動は盛り上がっている時期には急進的な主張が力を占めます。
ですから本来は押したり引いたりして前に進まねばならないにもかかわらず、香港の民主化デモは前へ前へという一本調子でここまできてしまいました。

必ず運動は一種のエネルギー体である以上、いつか必ず衰退するのは避けられない宿命です。
であるが故に、いまだ運動が力強く、しかも北京政府が国慶節という人質をとられている状況の時に、運動の果実をもぎとって置かねばなりません。
この時期に行政長官辞任と新たな普通選挙による選出という枠組みをしっかりと獲得しておくことが大事だと、私は老婆心ながら考えます。
あとの逮捕者の赦免などは、今後の力関係でどうにでもなるものであって、今、真正面に掲げるべきなのかどうか疑問です。
今はラムの辞任とワンセットで、警官の暴力の検証と謝罪・補償という成果を得て、いったん終息を計るべです。
香港の民主化運動の皆さん、多くを望むとすべてを失いますよ。

それはさておき、かくして今回の移送法反対運動は、100万人規模のデモが毎週のように続く前代未聞の大爆発を遂げながらも、一つの頭を持たない不定形のアメーバーのようなエネルギー体へと成長したわけです。
これは既成左翼政党や労組に指導され、資金を提供されていた韓国の「ろうそくデモ」とは、本質的に別次元のものです。

さてここでラムが間違ったのは、香港の民主派が英仏を手本にしたのはSNSを利用することくらいで、彼らの暴動型デモなどではなかったことです。
香港民主派のモデルは、明らかに同じ中国の圧力と戦っている台湾の「ひまわり運動」でした。

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「台湾の民衆はひまわり学生運動を強固に支援し、医療チームなどを組織し外国語に堪能な人は翻訳チームも組織し、外国メディアに忽ちにして翻訳文を交付、義援金は遠く海外からも集まっていた。
支援集会には50万人があつまるという民衆のうねりを目にして、馬英九政権は平穏な解決を目指した。
このスタイルが、二年後の2016年に香港に伝播し、あの「雨傘革命」に繋がったのだった」(宮崎前掲)

ラムは、香港の民主化デモを英仏と同じような暴動タイプに求めてしまったために、暴力的に弾圧して大量逮捕すれば鎮静できるという誤った方針を導き出してしまいました。
本来ラムが鎮静化のモデルとするべきは、「ひまわり運動」時の台湾政府の取った方法でした。
すなわち、暴力的弾圧を捨て、法案を撤回することで妥協を図り、自然鎮静するのを末べきでした。

しかし愚かにもラムは、中国弁護公室の言うがままに、警備責任者を香港警察で最も凶暴な人物に替え、彼に文字どおり血の弾圧をさせることで乗り切ろうとしました。
それが昨日の記事で見た結果です。
香港警察は市民の支持を失い、ラムは孤立しました。
多くの香港市民はこの香港警察の狂態を見て、彼らが暴力をみさかいなく振るうおそるべき集団と見なし、自らもデモに参加するようになって行ったのです。

 

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コメント

頂き物なんですが、これも大いに思考の参考にさせて貰えたので、勝手ながら置かせて頂きます。

「なぜ人は共産主義に騙され続けるのか」
https://www.epochtimes.jp/p/2019/08/46112.html

 香港のデモは中国の屋台骨にも影響があるのかもしれないと思います。大きな事件でも、多くの人たちが知らなければ無きに等しいものになりますね。チベットやウイグルの大弾圧でも世界の人たちが知らない間に起こってしまいました。世界の人たちは後になり亡命者やなどの口からそのことを知りますが、もはや身近な事件とは思えないのでしょう。

 天安門事件は世界の人たちはそのことを知ってはいるのです。しかし、中国への世界からの反発はやがて収まってゆきました。それは、中国も時間が経てば世界に門戸を開き段々に世界水準の民主国家に近くなるだろうとの期待感があったからでしょう。

 香港の場合は違うように思います。中国共産党が有効な手を打てないで困っているように見えますね。

 今度の場合は100万、200万という多くの香港人が参加していること、情報が世界にストレ-トに伝わっていること、アメリカに挑戦してきた中国への対決心がアメリカ側に強固なこと、米中経済戦争が半端なものでないことなどから事情はこれまでとは違うのではないでしょうか?

 香港のデモは中国の屋台骨を揺るがすことになるのではないかと思います。デモの要求として5つ事項が挙げられておりますが、これの一つでも中国共産党が飲むことはあり得ないと思うのです。デモ側の要求を一つでも飲めば中国共産党の統治システムが瓦解するのだろう思うのですよ。

 共産党は国民に自由を与えることが不可能な思想ではないでしょうか。自由な選挙もあり得ません。すべてが中央共産党の思うがままに実行できなければ、体制はもたないのです。ですから、一国二制度というものも存在不可能なのでしょう。

 急ぎはしませんが、究極として香港デモの成功を祈ります。

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