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2019年10月

2019年10月31日 (木)

女系天皇と女性天皇は違います

 

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メディアでは産経を除きほとんど無視されましたが、先日、自民党の有志議員によって男系天皇の皇位継承について具体的な提言がありました。

「自民党の保守系有志議員による「日本の尊厳と国益を護(まも)る会」(代表幹事・青山繁晴参院議員)は23日、父方に天皇がいる男系の皇位継承を堅持する具体案を盛り込んだ提言を発表した。
11月中旬の大嘗祭(だいじょうさい)が終了後、安倍晋三首相が海外出張から帰国するのを待って直接手渡し、政府の安定的な皇位継承に向けた検討に反映させたい考えだ。 
提言は「女系天皇」につながりかねない「女性宮家創設」に否定的で、皇室典範改正や特例法制定によって旧宮家の男子が皇族に復帰できるようにすることが柱だ。立法府の円満な合意形成を重視し、特例法に比重を置いている。
具体的には、旧宮家の男子が現皇族の養子か女性皇族の婿養子になるか、国民の理解に基づく立法措置後、了承の意思があれば皇族に復帰できるようにする。後者に関し、提言では「10代5人、20代前半2人」の旧宮家の男子が存在するとした。現在の皇位継承順位は一切変えないことも明記した。
青山氏は記者会見で、皇位継承のあり方に関し「大嘗祭が終われば速やかに具体的検討に入っていただきたい。この提言を必ず入れろということではなく、他の意見も十分責任を持って勘案していただきたい」と政府に求めた」
(2019年10月23日 産経)

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https://www.sankei.com/life/news/190620/lif1906200...

私はこの青山議員の提案を、皇位継承について一石を投じたものとして歓迎します。
産経の記事には「自民党保守系議員」って書いてありますが、そうそう自民って保守党だったんですよね(笑)。
たまに自他共に忘れそうになります。

それはさておき提言の要点は以下です。

まず前提として今の皇位継承順位の遵守が前提です。
この皇位継承順位を飛び越えようとすること自体が、天皇の伝統を棄損することになるからです。
その上に立ってですが

①男系である旧宮家の男子が現皇族の養子か女性皇族の婿養子になる。
②本人に了承の意思があれば皇族に復帰できる。
③同時に実施もありえる。

以上については現行皇室典範の変更を伴うので立法措置が必要となりますが、たいへんに現実的な改革案です。

さて、天皇が即位にともなって秋篠宮文仁殿下の地位が変化しました。
一般的には今上陛下がそうであったように次期天皇は「立太子」されて皇太子となられますが、秋篠宮様は「立皇嗣」(りつこうし)」されて

皇太子ではなく「皇嗣」という地位に就かれます。

ここで問題となるのは、今上天皇の成仁(なるひと)陛下と秋篠宮様は6歳しか違わないことです。
現実問題として、今上陛下と平行して歳をとって行くことになりますから、失礼な言い方で恐縮ですが、秋篠宮様が天皇位を継ぐことができるか微妙だと思われます。

仮に秋篠宮様が天皇位を継承されても大変に短い御世になる可能性が濃厚で、実際、秋篠宮様もそのことに不安を漏らしていると伝え聞きます。

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共同通信などはこんな世論調査をしています。

「26、27両日に実施した全国緊急電話世論調査によると、(略)政府が検討する予定の安定的な皇位継承策に関連し、女性天皇を認めることに賛成は81.9%、反対は13.5%だった」(2019年10月27日)

これではまるで「女性天皇を認めないのはおかしい」といった答えに導くための誘導設問です。 
似たような女性天皇容認論は、よくメディアから発信されています。

どうやらこの連中は女性天皇と女系天皇をゴッチャにして議論しているようです。
認めるも認めないも、女性天皇は現行でも認められていますし、後述しますが歴史上も多くおられます。
ですから愛子内親王が即位する可能性は、理論的にはないわけではありません。
ただし、それは現行の皇位継承順位に沿って悠仁親王にお子が生まれなかった場合で、しかも殿下が高齢という条件が揃った場合、やむをえずの「つなぎ」としてです。
もっとも現実には、そういった事態の前に愛子様はご結婚されて皇族降下しているでしょうから、現実にはありえない仮定にすぎないといってもいいでしょう

さてここで改めて、メディアがゴッチャにしている女性天皇と女系天皇についておさえておきましょう。

日本の歴史上、女性天皇はなん人もいました。
これまで推古天皇・持統天皇など10代8人の女性がが即位していますが、すべて父方に天皇の血筋を持つ男系天皇です。
これは、次期天皇が決まらないとか、世継ぎ候補がいまだに幼少であるために一代限りの限定で「つなぎ」として即位されたのです。
ナカツギノスメラギノミコトと呼ばれています。

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奈良県HP http://www.pref.nara.jp/43839.htm

有名な女性天皇は持統天皇です。この女性は女傑です。
天智(てんじ)天皇の第2皇女として生まれ、天武天皇の皇后となり、天武の死後、その遺志を継いで即位せずに政務をとりました。
そして4年後に自身も天皇に即位し、夫の遺業であった飛鳥浄御原令(きよみはらりょう)に新しい都を作ってしまわれました。
称制686‐689年,在位690‐697年。

彼女が天皇になったのは、夫の天武の死後、皇太子草壁(くさかべ)皇子が亡くなってしまったからです。
他の女性天皇も例外なく男系天皇の皇女として生まれ、即位した後も自らの子は天皇に即位させていません。
なぜでしょうか?

世界で一番古い王家といわれる天皇家は、今まで男系男子で連綿と繋がって来ました。
王朝は交代していないのです。
日本は、継体天皇の時に皇統(王朝)が代わったという説もあるようですが、初代より男系男子で皇統が守られてきました。
これはたぶん世界唯一の事例のはずです。

ヨーロッパの王室は全部そうですが、例えば今の英国チャールズ皇太子が即位すれば、ここから新しい王朝が始まります。
なんと呼ぶのか知りませんが、エリザベス王朝からチャールズ王朝となるわけです。

しかしわが国は御世替わりはしても、王朝は変化しません。
では男系天皇で継いでいくことを止めてしまったらどうなるのでしょうか。

今上陛下の皇女(内親王)が皇太子となったと仮定した場合、愛子様はいずれ即位し、宮家がない以上民間人から婿を取るということになります。
ここまではさきほど述べたように現行皇室典範でも可能です。
問題は女性天皇となられた愛子陛下と婿のソノさん(仮名)とすると、子供に男の子がいた場合、この時点で今まで数千年続いてきた王朝は消滅し、イソノ王朝に変化したことになります。

分かりやすい絵解きがあったので転載させていただきます。

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https://togetter.com/li/1344383

上の絵をみながらお読みいただきたいのですが、波平さんが今上天皇だとすれば、男子はカツオくんしかいませんから、彼が皇位継承権第1位です。
しかしなにぶんまだ子供でとうてい天皇の重責を担うことはむりです。
カツオくんが成人するまで、なにがなんても波平陛下は頑張らねばならないのですが、不幸にもポックリ逝ってしまったとしましょう。
さぁ困った。そこで出てくるピンチヒッターがサザエさんです。
サザエ天皇の誕生、つまりこれが女性天皇です。

ただし、ここでサザエさんと婿のフグタさんの子供を次の天皇としてしまうと、ジャーン、ここでイソノ王朝は消滅してフグタ王朝が成立してしまうことになります。
あくまでもサザエ天皇は持統天皇と同じで、カツオくんが成人に達して、天皇位を十分に担える年齢に達するまでの橋渡しです。

私はそんな日本を想像できないし、想像したくもありません。
女性宮家も同じことです。
女系天皇よりソフトな印象があるだけのことで、やはり王朝交代を引き起こしてしまいます。

 

 

2019年10月30日 (水)

共同通信の「共同基金」報道、半日で捏造とバレる

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コメントがすぐに表示されない障害が続いています。
遅れてでもかならずアップいたしますので、ご安心下さい。

くそっ、ひさしぶりにやられました。昨日記事にしました共同の「日韓企業で共同の基金を作る」という報道は、捏造でした。
誤報と呼ぶよりまったくなにもないことをデッチ上げたのですから、むしろ捏造と呼んであげましょう。
それにしても、ひょっとして米国が圧力かけてきたら日本も呑みかねないような部分があっただけに、実に気味の悪い報道でした。
この共同記事が日本が謝罪して賠償します、みたいなもんならダマされませんが、妙に落とし所を突いてきている部分があるのが信憑性があったのです。
当該の共同の記事です。

「日韓両政府が元徴用工問題を巡り、事態収拾に向けた合意案の検討に着手したことが28日、分かった。韓国の政府と企業が経済協力名目の基金を創設し、日本企業も参加するとした案が浮上している」(共同10月28日)https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191028-00000158-kyodonews-pol

もう一回読み直しても、もっともらしいやね(笑)。
日本企業の一部にはこのまま韓国で商売しにくくなるより、いっそ筋はおかしくても「共同基金」に入って韓国政府の覚えめでたくしたいという企業が出てきてもおかしないかもしれません。
ユニクロの柳井社長のように、「政府は商売の邪魔すんな」という考えかたをする企業があるかもしれませんしね。
一方、日本政府からは賠償に応じたら承知しないぞ、と釘を刺されているのですから、両者にはさまって苦しいことは事実でしょう。

そんな時に、自由参加の「共同基金」なんて甘い誘惑じゃありませんか。
仮に日韓両政府が落とし所を探っていたのなら、この政府が表面的には関与しないために日韓基本条約に反さずに、カネは企業が「経済協力」名義で出す、いい案じゃないかとおもってもまんざらおかしくはありません。

だから、この案は危険なのです。
「共同基金」構想なんて陳腐なんですよ。なにせいままで第1、第2次次慰安婦合意で既に2回もやっていて、いずれも韓国側の違約で破綻しているんですぜ。
「経済協力金」名義なんて、日韓基本条約交渉で使ったような賠償の言い換えにすぎません。
韓国政府にこんなモノを出せば、国内向けには賠償と言ってのけるていどのことは朝飯前のはずです。

だから日本政府は「国際法を守れ」「二国間の信頼を回復しろ」、とバカの一つ覚えを唱えていればいいのです。
そして韓国が原則に立ち戻るまでながめておれはよろしい。

日韓徴用工紛争は、日韓関係双方とも根幹にかかわるだけに互いに安易に妥協できないでいます。
持久戦モードに入ったのです。
局面が膠着して、おかしな手を先に打ったほうが負ける千日手のようなものです。

こんな時に韓国は日本にイヤガラセをしたいばっかりに、しないでもいいGSOMIA廃棄で米国を怒らせたあげく国論を二分するという下策に走りました。
膠着状況は崩れました。
気の毒にもはやムン閣下がギブアップするのは時間の問題です。
ムン閣下がしなくても、後任が関係修復を求めてくるはずです。
それまで日本は高みの見物をしていればよい。

逆に日本にとって一番やってはいけないことは、持久戦に耐えきれず日本国内の与党内部からでてくるおかしな妥協の呼び水に耳を貸すことです。
長年韓国利権に浸っていたような自民党内親韓派の連中からすれば、干上がってしまう恐怖からなにかを画策せずにはいられなかったのかもしれませんね。

後は米国の動きです。いわゆるワシントンのエスタブリッシュメントからすれば、なんとか日韓関係を正常化させてしまいたいと思うでしょうね。
実際にその動きは出ています。
ただ、これはトランプの思惑とはズレているはずです。

この共同の記事だがイヤラシイのは、こういう思惑と利害が錯綜する空気を背景にしているからで、読む者にひょっとしてと思わせてしまうからなのです。

さてこの記事について、半日もたたずに日韓両政府が否定しました。

「[ソウル/東京 29日 ロイター] - 菅義偉官房長官は29日の閣議後の会見で、元徴用工問題を巡り、日韓が協力基金を創設する案が浮上しているとの一部報道について、そのような事実はないと否定した。 (略)
韓国外務省も、報道は事実と異なると表明。声明で「(韓国)政府は司法判断を尊重する一方で、犠牲者と両国の国民が受け入れられる妥当な道筋を見いだす可能性も排除しておらず、日本の外交当局と引き続きやりとりしている」と説明した。」(ロイター10月29日)
https://jp.reuters.com/article/southkorea-japan-laborers-idJPKBN1X8058

この共同のフェークニュースは、おそらく日韓議員連盟の幹部の誰か、あえて名指しをすれば河村健夫元官房長官あたりが共同に何らかの意図でリークたような気配です。
私が河村氏だとおもうのは、河村氏がこの9月に韓日議員連盟が訪日した際にその受け皿となった人物であるうえに、「韓国は日本に一番近い国で引っ越せない」と題する
朝日のインタビューでこう述べているからです。

「ソウルの首相公邸で2時間近く話しました。李氏は『ともかく(日本が輸出手続きを簡略化できる)ホワイト国のリストに韓国を戻してくれれば、GSOMIAは一緒にやれる』と話していました。私は、元徴用工の問題解決が最優先だと考えていますので『前提は徴用工だ』と言ったら、李氏は『それについては1プラス1プラスαを考えている』と。
つまり、『1プラス1』は徴用工と関係した日本と韓国の企業で、これに加えて『プラスα』の韓国政府も資金を拠出して元徴用工らに支給するという提案です。ただ、賠償金をさらに出すと(請求権問題は解決されたとする)日韓請求権協定が崩れてしまう。私は、『日本側に同じような賠償金的な性格を乗せるわけにはいきませんよ』と伝えました」
(朝日10月11日 太字引用者)
https://www.asahi.com/articles/ASMB14595MB1UTFK00J.html

元共同の記者だった青山繁春氏はこの共同記事について、こう自身のブログで書いています。

「ただ同時に、今回の記事は、みずからを追い込んだ、追い詰めた韓国が出してくる案、たとえば「経済援助の基金の創設」といった妙な話を進めるための道具にされかねない記事であり、まさしく国を誤る報道だと考えます。
 単なる大誤報と言うより、深刻な誤りです。
 ことし1月の外交部会にて、不肖ながら初めて「韓国をホワイト国から除外することを検討すべきだ」と提案してから、ずっと、こうした韓国におもねる動きが日本側から出ることを警戒し続けています。これからも変わりません。」

青山氏が指摘するように、さきほどの河村インタビューでもあきらかのように、韓国は性懲りもなく「1プラス1プラスα 」という形で、日韓企業が共同基金を作り 、それにα、つまり両国政府がカネを拠出したらどうだと河村氏にもちかけています。
そしてこの内容こそが、共同の記事で日本政府が検討を開始したと報じた内容そのままです。
おそらく「共同基金」案は河村氏の持論なんじゃないですか。

※このような河村氏の発言がありましたので、追加しておきます。

「超党派の日韓議員連盟の河村建夫幹事長(自民党)は31日のBSフジテレビ番組で、いわゆる徴用工問題をめぐり悪化した日韓関係の改善に向けて、エネルギー分野など経済協力名目の基金創設は可能だとの認識を示した。 日韓の企業が自発的意思で資金を拠出する方式を前提としている。」(産経10月31日)

河村氏は私人として訪韓したわけではないので、帰国してから安倍氏に李首相がGSOMIA廃棄と「ホワイト国」除外を一括して解決しようと提案されたと報告をしています。
それに対して安倍氏はにべもなく「徴用工問題解決が最優先だ。国と国の約束は守ってほしい」と答えるに止まっています。
官邸がこんな河村案に乗る可能性はかぎりなくゼロです。

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しかもこの提案は韓国側においても、李首相がムン大統領と話あって出したとは思えません。
というのは韓国政府も既にこの共同基金案を一回正式に否定しているからです。

「【ソウル=名村隆寛】韓国大統領府は26日、韓国最高裁が日本企業に賠償を命じた、いわゆる徴用工訴訟の問題の解決策として、韓国政府と日韓両国の民間企業による基金の設置に否定的な見解を示した。大統領府報道官は「韓国政府は最高裁判決を尊重するというのが基本的な立場だ」と強調。
「政府と韓日両国企業が参加する基金という発想自体が非常識だ」と述べた。 同日付の韓国紙、朝鮮日報は、元徴用工らの支援に向け日韓外交当局が意見交換し韓国政府と両国企業による基金創設が検討されていたが、大統領府が「政府が乗り出す問題ではない」と反対したため、この検討案が中断されたと報じた。
大統領府は、この報道については「事実ではない」と否定している」(産経1月26日)

おいおいです。「知日派」の李首相と親韓派筆頭の河村氏が何を話し合ったのか知りませんが、日韓双方の首脳から相手にもされていないのです。

河村氏は共同に対して、あたかも日本政府内で「共同基金」構想が進展しているかのような口ぶりでしゃべったのでしょう。
河村氏がどういったのかは分かりませんが、共同は官邸にまったくパイプを持ちませんから、ろくな裏取りもしないでそのまま願望と事実を混同した記事として配信したのだと思われます。

こうしいう微妙な時期に、このような捏造記事を配信する共同の常識を疑います。

 

2019年10月29日 (火)

米国が日韓妥協へ圧力か?


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11月23日に迫ったGSOMIA失効を控えて、なんともいえない微妙な空気が漂ってきました。
まだはっきりとしたことはいえない段階ですが、日韓がなんらかの妥協をする可能性が浮上したように感じます。
日韓にこういう動きが出ていると、いくつかのメディアが報じています。

日韓両政府が元徴用工問題を巡り、事態収拾に向けた合意案の検討に着手したことが28日、分かった。複数の日韓関係筋が明らかにした。
これまでの協議で、韓国の政府と企業が経済協力名目の基金を創設し、日本企業も参加するとした案が浮上。1965年の日韓請求権協定で賠償問題は解決済みだとする日本政府の立場を踏まえた考え方とみられる。元徴用工問題で安倍晋三首相は24日、来日した韓国の李洛淵首相との会談で「問題解決へ外交当局間の意思疎通を続ける」と伝えており、李氏も日韓協議に前向き姿勢を示している。(共同10月28日)

韓国の政府と企業が経済協力名目の基金を創設 」ですか。
やっぱり出たか、いったい何度目だ、という気分ですが、韓国には
山路氏がコメントで触れていた「徴用工」判決の現金化を遅らせるていどのカードしかないのです。
これについては過去ログをお読み下さい。
※『今日、 韓国首相と面談』http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2019/10/post-09a325.html

この前段で菅官房長官の講演での発言がありました。

「悪化している日韓関係をめぐり、菅官房長官は東京都内で開かれた会合で、先に韓国の首相が安倍総理大臣との会談の際にムン・ジェイン(文在寅)大統領の親書を手渡したことなどを念頭に、韓国側に日本との対話を模索する雰囲気が出てきているという見方を示しました。
この中で菅官房長官は、日韓関係悪化のきっかけとなった「徴用」をめぐる問題について、「戦後合意した日韓請求権協定によって、こんにちの日韓関係がある。国内の立法、行政、裁判所を含む司法も順守しなければならないのが大原則であり、崩してはならない」と述べ、あくまで韓国側の責任で国際法違反の状態を是正すべきだという認識を改めて示しました」(NHK2019年10月27日)


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この菅氏の発言は、李洛淵(イ・ナギョン)首相の即位礼の際の会談を受けてのものです。
ここで菅氏が言っていることを要約すれば

①韓国が大統領親書を送ってきたように対話の気配がある。
日韓請求権協定は日韓関係の大原則である。
③韓国側に是正の責任がある。
官房長官の論旨自体は従来の日本政府の態度を確認したものですが、ただしアクセントは①の「対話を模索する雰囲気」にあります。
うがってみれば、何らかの水面下の協議が進行していることを匂わせています。
同時に日本政府は、11月23日失効の前に、二回国際会議が予定されています。
ここで韓国は日韓首脳会談を持ち、GSOMIA復帰と引き換えにして、輸出管理規制撤回を求めていくと言われていますが、日本政府は会談の予定はないと言っています。
「11月23日には、韓国政府が破棄を決定し、米国が継続を求めている日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の失効が迫っている。この期限までに首脳会談を実現し、韓国側がGSOMIAの破棄を撤回する代わりに、日本側に対韓輸出管理の厳格化を撤回するよう求める見通しだと朝鮮日報は伝えている。最大の懸案である徴用工問題は、首脳会談後に実務者協議で解決策を模索する方針だという」(読売10月23日)
韓国のGSOMIAの廃棄と輸出規制管理の白紙化を取引材料にするような姿勢が変わらなければ、いくら交渉しても無駄でしょう。
次元の違うものを、ビビンバよろしくまぜって練ってしまっているからです。
経産官僚の慶応の岸博幸氏にいわせると、輸出管理規制などは経済産業省の課長クラスの案件だそうです。
内規の変更にすぎないからで、本来はそんなことを外交問題にしてしまってワーワーやるべきことじゃないのです。
実際に日本の官僚は、訪日した韓国のカウンターパートの役人にどうやったら「ホワイト国」に復帰できるのか、文書の書き方まで懇切丁寧に教えてやったそうです。
こんなふうに輸出管理規制問題とは、ただの通商技術的な問題なのです。
だから韓国がやる気にさえなれば、解決することはそんなに難しいことではあ
りません。
GSOMIAだって「徴用工」とは別次元です。
本来GSOMIAだって安全保障上の案件ですから、韓国の対北方針がしっかりしていれば元々揺らぐもんじゃありません。
ムン政権が三カ国連携を崩したくて廃棄したからおかしくなっただけのことです。
といわけで気がついてみれば、「徴用工」で日韓関係は氷河期、GSOMIA廃棄で米韓関係はナイアガラに、元々中国からは属国扱いですし、ロシアからは戦略爆撃機で領空を侵されそうになる始末、頼みの北からは金剛山観光に韓国を関わらせるなとの冷たい仕打ち。
ああ、みごとなまでの四面楚歌。袋小路の真っ只中。これがムン政権のただいま現在の姿です。

で、日本だけはなんとかなると思ったのでしょう。
「結局、文大統領と安倍首相の決断にかかっている。安倍首相は李洛淵首相との会談をきっかけに韓国向けの輸出規制措置を撤回する一方、植民支配と強制徴用に対して心を込めて謝罪し反省する立場を明らかにしなければならない。文大統領も日本の真正性のある謝罪を前提に「日本が困るならあえて強制徴用被害者の賠償を受けない」と宣言し、GSOMIAも回復させる勇断を下してほしい」(中央日報 10月25日)
https://japanese.joins.com/JArticle/258918
「植民支配と強制徴用に対して心を込めて謝罪し反省する立場を明らかにしなければならない 」ですか、ご冗談を。
まともに取り合う気にもなれません。百年言ってろ、です。
いまだムン政権がこのような立場を崩さないなら、いかなる妥協点もみいだせません。
仮に冒頭でふれた妥協を日本政府が模索したとしても、韓国が植民地支配に対する謝罪要求をセットでだせばまったく妥協の余地がなくなります。
ところでこの背景には米国国務省筋の圧力があると思われます。
米シンクタンク・外交問題評議会(CFR)は、機関紙『「ディプロマット」でこんな記事を載せています。
https://thediplomat.com/2019/10/the-united-states-needs-japan-and-south-korea-to-make-up/
外交問題評議会 - Wikipedia
一部を引用します。
「米国は日本と韓国の協力を必要とする
ワシントンにとって、最も重要な北東アジアの2つの同盟国間の協力の再開は、核心的な関心事である。
  米国は、北東アジアの変化する地政学的景観を考慮して、日本と韓国が同じページにいる必要があるが、日本と韓国が今彼らはそうすることができないことはほぼ確実である
短期的に米国は、日本と韓国が歴史問題を過去のものとすることを手助けし、これらの紛争が引き起こした経済的緊張に対処し、北朝鮮の脅威に関する三国間対話に焦点を合わせるべきである
ここでC FRが言っていることは、日韓関係の極度の悪化が米国の東アジア政策を遂行するうえで障害となっているから、北朝鮮の脅威に対しての三カ国関係を修復しろ、ということです。
また歴史認識は置いておけとも言っています。
そのうえで両国に対して「同じページに立て」と促しているわけで、おそらくGSOMIAの失効を前にして、なんらかの手打ちをしろということのようです。
GSOMIA廃棄以降、米国は韓国に対して厳しくプレッシャーをかけているはずですが、なにぶん官僚のいうことなど聞かない人がかの国の大統領ですから、届いているかどうか。

外交評議会(CFR)はただのシンクタンクではありません。
1921年に設立され、外交問題・世界情勢を分析・研究する非営利の会員制組織であり、アメリカの対外政策決定に対して著しい影響力を持つと言われている。超党派の組織であり、外交誌『フォーリン・アフェアーズ』の刊行などで知られる。本部所在地はニューヨーク。会員はアメリカ政府関係者、公的機関、議会、国際金融機関、大企業、大学、コンサルティング・ファーム等に多数存在する」
外交問題評議会 - Wikipedia  
評議員には、歴代の国務長官、CIA長官がズラリと顔を並べた機関で、今も国務省に強い影響力を持っています。
米国の外交政策の司令塔的存在と評してもいかもしれません。
ちなみに、トランプはこういったワシントンのエライさんが大嫌いですが。
かつては日本に対して強力な影響力を持っていました。
たとえばジャパンハンドラーのマイケル・グリーンなどはここに属していて、国務省-外務省北米局が一体化していた時期があります。
トランプになって衰えたりとはいえ、今回もこの米国のご向は日本にはとうぜん外務省経由で届いているはずです。
今までも日韓がこじれると必ず米国国務省が介入しましたが、100%日本が煮え湯を呑む役割でした。
今回の韓国が言い出した「企業による共同基金」案も、あんがい米国国務省筋がサジェスチョンしたものかもしれません。
これなら日本政府が介在しないためにメンツが立ちますし、韓国は国内をなだめられるだろうという思惑ではないでしょうか。
日本国民は各種の世論調査でも圧倒的にいまの対韓方針を支持していますし、それが政権の人気を支えているわけですから安易な妥協ができるかどうか。
ましてや韓国に至っては、自分のほうが絶対正義だと思っていますから、輸出管理規制強化の白紙化や「徴用工」に対する謝罪のひとつもないと納得しないんじゃないですかね。
しかし米国か裏にいるとなると、やや面倒ではあります。

2019年10月28日 (月)

マンデラの夢と南アフリカ・スプリングボクス


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いや、すごい試合になりましたね。もちろん昨夜の南アフリカ対ウェールズです。
まさに力と力、互角の戦いが最後の最後まで続きました。
日本を完膚無きまでに負かした南アについ肩入れしてしまいましたが、素晴らしい一戦でした。

Gw

https://news.jsports.co.jp/rugby/article/201903102...

この南アフリカチームをみていると、矛盾の塊です。
その矛盾が矛盾のまま眠らずに、力に変えているとでも言ったららいいのでしょうか。
キレイゴトではなく、いまも主力であるデクラーク、フィルミューレン、エツベスなど多くの選手がオランダ系で、彼ら統率するコリシは黒人初の主将です。

さて歴史を遡れば、オランダ入植者たちは、ボーア戦争で破れて英国人に支配されました。
いまでもオランダ系の人たちをボーア人(アフリカーナ)と呼びます。
ャック・ヒギンズというアイリッシュが書いた名作『鷲は舞い降りた』には、英国に深い恨みを抱くボーア人婦人が、ナチスに協力してチャーチル暗殺を狙う様子が描かれています。
彼女に協力するのがアイリッシュでした。

今回のラグビーワールドカップを見ても分かるように、UK(連合王国)から出ているのはアイルランド、ウェールズ、スコットランド、そしてイングランドで、それぞれ一国として扱われています。
それぞれ力いっぱい自国語で国家を歌っています。下の写真はウェールズ語で国家を歌うウェールズチームです。

Eoyirlin

https://www.world.rugby/video/489766?lang=ja

さてこの虐げられたボーア人が初めて国の主導権を握ったのは1961年のことでした。
ボーア人の政党である国民党がしたのは英連邦離脱でした。

ですから、いまでも英連邦の枠組みに止まっているイングランド、アイルランド、ウェールズ、スコットランド、そしてNZ、オーストラリアなどは、南アから見ればなにを好き好んであんな衰退した帝国の枠組みにすがっているのか、といったところでしょうか。
コメンテーターに、英連邦内の戦いと言っているひとがいましたが、南アからすれば冗談じゃないといったところです。

むしろ今回の決勝戦はなんとイングランドですから、まさにボーア戦争の構図の再現です。
オランダ系の選手は口には絶対に出さないものの、あいつらだけには負けたくないと思っているでしょうね。

このボーア人たちがしたもうひとつのことは、あまりにも悪名高い黒人隔離政策でした。
この世界で最も苛烈だった差別政策をアパルトヘイトと呼びますが、あれはオランダ語です。
スポーツも白人がするスポーツと黒人がするスポーツとに別れていました。
サッカーは貧しい黒人がするもので、ラグビーは白人専用の競技だったわけです。

これを根底から打破しようとしたのはネルソン・マンデラでした。
マンデラが初の黒人大統領となってめざしたのが、黒人がかつてのボーア人のように新たな支配人種となるのではなく、人種融和でした。
彼はその夢をラグビーにかけます。

南アのラグビー代表チームを「スプリングボクス」といいます。
スプリングボックスが国のシンボルマークとして使用されたのは、1904年のボーア人によって建国されたオレンジ自由国のエンブレムからで、後に南アフリカ連邦にも受け継がれました。なおこれは英語のスプリングのように聞えますが、実はアフリカーンス語の"De Springbokken"でしたが、短縮されて"Springbokke"となったようです。

草原を優雅に走り回る野生の動物の名はステキです。

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https://rugbyhack.com/2019/08/27/sa/ スプリングボクスのシンボルマーク

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野生動物のほうのスプリングボック

しかし、スプリングボクスは当時三流チームは一流とはいえませんでした。
とうてい英連邦圏のオールブラックスになど歯がたちませんでしたが、それでも白人たちには強く愛されていたそうです。
しかし、それを見る黒人たちの眼には、スプリングボクスこそが、アパルトヘイトの象徴そのものとして写っていたのです。
もちろんスプリングボクスには、一名の黒人選手もいませんでした。
マンデラを熱狂的に支持した黒人層は、こんな白人主義の権化であるナショナルチームはさっさと解体してしまえ、いやラグビーなんていう白人のお遊びは止めてしまえとさえ叫んだのです。

それに対してマンデラは、そのようなことをすれば今度は白人が黒人に対して恨みを抱くことになる、それはかつてのボーア戦争や英連邦離脱がなにを生んだか見ればわかるだろう、むしろこの白人スポーツだったラグビーに黒人も参加して共に新たなナショナルチームを作ろうじゃないかと唱えました。

マンデラは抑圧の象徴だったラグビーを人種隔離の象徴から融合の象徴に変えることを目指したのです。
この彼の孤独な戦いはクリント・イーストウッドの『インビクタス』 にも感動的に描かれています。

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マンデラと主将のフランソワ・ピナール  ラグビーリパブリック

「1995年、歴史が大きく動く。
 楕円球の祭典。人種間に大きな溝があった国に、『ワン・チーム、ワン・カントリー』のスローガンが躍った。白人への敵対心がぬぐえない人々に対し、南アの新大統領になったマンデラは、「スプリングボックスを応援してほしい」と精力的に説いて回った。
 迎えた開会式。マンデラ大統領は前日のチーム激励の際にもらった緑のキャップをかぶってグラウンドに登場し、大歓声を浴びる。
 最大の理解者に守られた選手たちは、国全体のために戦うことを誓い、一生懸命覚えた新しい国歌を誇り高く歌った。チームを後押しする声は日ごとに高まり、快進撃が続いた。
 そして、決勝進出。6月24日、マンデラの長年にわたる努力と苦労は実を結ぶ。黒人も白人も、あらゆる肌の国民がスプリングボックスを応援し、ニュージーランド代表との激闘の末、南アフリカは優勝を遂げた。
 表彰式、背番号6のスプリングボックスのジャージーに身を包んだマンデラが、大仕事を成し遂げた主将のフランソワ・ピナールに栄冠を渡す。
「ありがとうフランソワ。君がこの国のためにしてくれたことに心からお礼を言います」
「いいえ大統領、あなたがこの国のためにしてくれたことに心から感謝します」
 会場は「ネルソン! ネルソン!」の大合唱。ピナールがカップを高々と掲げ、マンデラは笑顔で拳を何度も突き上げた。スタジアムのファンだけでなく、南ア国民4300万人の応援がもたらした勝利だった」(ラグビー・リパブリック 竹中清)
https://rugby-rp.com/2014/12/05/column/legend-man/10799

この新生スプリングボクスの選手たちのジャージの肩にはマンデラが投獄されていた時の囚人番号「46664」が縫いつけられていました。

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マンデラの囚人番号をつけたフランソワ・ビナール主将 ラグビーワールド前掲

今回、南シ代表チームが声高らかに歌う「虹色国家」は5つの言語で歌われています。
黒人運動で盛んに歌われた「神よ、アフリカに祝福を」(コサ語、ズールー語、ソト語)と、旧国歌「南アフリカの叫び」(アフリカーンス、英語)が編曲されて一つとなったように、それぞれ別の5つの言葉によってひとつの国歌を歌っているのです。

そして今スプリングボックは、大きな曲がり角に差しかかっているようです。 

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https://www.jiji.com/jc/article?k=2019091600674&g=...

シヤ・コリシはこのように述べています。(上写真中央)

「マンデラ大統領はスポーツのクオータ制を支持しなかっただろう」

クオータ制とは、人種間の不平等を解消するため一定数をマイノリティー・グループに割り当てる制度のことです。

「クオータ制が必要な時期は過ぎた。南アの代表チームは多様で、パフォーマンスも良好だ」(南アフリカ人種関係研究所・マリウス・ルート)

コリシ主将は選手はその能力と力で選ばれるべきだと言っています。
しかし現実にはいまだに南アの有名スポーツ選手は白人が占めている裕福な階層が行く学校の出身者が占めています。

「ルート氏は「クリケットとラグビーでは少数の学校がトップ選手のほとんどを輩出している。これらの学校は良い施設、コーチに報酬を払うための潤沢な資金と、しばし誇り高いスポーツの伝統を持つ。南アの一流クリケット選手を生み出しているのは約40校だ」と記しています」(木村正人)
https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20191020-00147673/

コリシがいうように、人種割り当てからも自由になった時、マンデラの夢が一歩近づいたのかもしれません。

 

2019年10月27日 (日)

日曜写真館 静かに雨を湛える霞ヶ浦

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黙々と川からの雨を蓄えています

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雲が湖面に美しい影をつくります

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秋の日暮れは短くて鮮やかです

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水神さま、今日も一日穏やかな一日でありますように

※ニフティのシステムの不具合で、コメントの表示が遅れていますが、かならずアップいたしますので重複でお入れにならないでください。

2019年10月26日 (土)

農業者、天を仰ぐ

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もうご勘弁下さい。こんなに立て続けに台風にこられたら身が持ちません。
昨日も暴風雨で、避難指示が出たところも多かったようです。
一部ではまた洪水も発生し、いたましいことに亡くなられた方も発生したようです。
霞ヶ浦も満タンで、こんな規模のものがあと一回来たらと思うとぞっとします。

私の村のハウスの多くは15号で吹き飛んだり、パイプがねじれて使い物にならなくなりました。
そうなったらネジれた部分だけ取り外して修理というわけにもいかず、全部撤去して一からやり直しです。

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東京 https://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/2019

撤去といっても、支柱が深く埋まっているために一本一本サンダーで根元から切断してから、ミニユンボで取り除かねばなりません。
一棟を更地にするだけで数日かかります。
畜舎ごと飛ばされた人も多く、その上に19号の超大型台風が重なって本格的復旧作業が停滞しています。
15号を復旧している最中に次の19号が襲来して元の木阿弥となり、そして気を取り直して立ち上がると今回の豪雨です。
なにか、恨みでもあるでしょうか。

仮に更地にして新たに作ると決心しても、資材屋が来年春まで予約が一杯で来てくれません。
共済は下りないし、そのうち忘れた頃に行政から雀の涙ほどの見舞金がくるかもしれませんが、行政も破壊された家屋にはそれなりの配慮を始めましたが、農業への手当てはずっと後回しです。

メディアはイチゴ農家やリンゴなどの絵になるものは報じていますが、こういった日常食卓に登る普通の野菜や畜産の打撃については素通りです。
それでいて価格が上がると、今度は消費者の悲鳴ばかりを流すようになります。
普通の農家の苦しみを伝えて欲しいものです。

ハウスを諦めて露地栽培に転換する農家も増えていますが、時期的に冬に収穫する野菜類は播種の日限に近づいています。
ところが畑は水浸しで入ることさえできないのですから、どうすりゃいいのだと天を仰いでいます。

たぶんこの冬には、運転資金が底をついて、パラパラと櫛の歯がぬけるようにして離農する人たちが増えることでしょう。
後継者がいればなにくそと踏ん張れますが、いないともうこれが潮時かと思ってしまうのです。
東日本大震災には耐えた、放射能風評被害にも耐えた、なんとか再建した、そして15号にも耐えようと思った、こんな強風は経験したことがなかった、ありとあらゆるものが飛び、木々は倒れ、川が溢れた、そして息もつかせぬうちに19号。
こんどは1カ月ぶんの雨が一日で降った。
と今回もまた・・・。
農業者は、天はオレたちを見放したのかと弱音を吐きます。

毎年このように超大型台風が一週間おきに何回も来襲するようなら、根本的に日本農業は考え方を変えねばならないかもしれません。
施設を台風に負けないような強靱化対策をとるか、いっそう施設園芸時代を諦めて全部いつ吹き飛んでもいいような露地栽培だけにするか、あるいはこの時期には作らないかでです。

まず強靱化と一口にいっても多額の資金投入が必要ですから、その手当てをどうするかです。
おそらく低利でなんらかの農業資金が借りられるとは思いますが、重装備・重投資はそのまま農家経営を圧迫します。

次に露地栽培だけにするというのも難しいでしょう。
というのは農家は露地とハウスをうまく組み合わせて出荷が通年できるように調節しているからで、露地だけでは収穫できる時期が限られてしまいます。
そのうえに雨が苦手なトマトなどは、そもそも露地栽培は不可能です。
台風
に強い芋とゴボウばかりというわけにはいかないのです。

台風シーズンだけには作らないというわけにもいきません。
そうすると夏から秋にかけて出荷する野菜を全面的に諦めねばなりません。
それだけではなく、冬に収穫する野菜は秋に播種して育てて冬に出荷するわけですから、それもできなくなります。
ということは、まともな農業ができるのは春だけということになります。

いずれにしても農業者は知恵を絞って来年に備えねばなりません。
このように考えると、今回の連続台風のほんとうの影響は深いところに残り続けるのかもしれません。

蛇足ですが、こんな大災害が頻発し、即位礼も終わらないうちに、メロンがどーした、香典がすべったころんだみたいなネタで国会を使わないで下さい。
首を取られるような馬鹿大臣もさることながら、こんな週刊誌ネタでしか与党を追い込めない野党だから、安倍政権がたるむのです。

 

2019年10月25日 (金)

八ッ場ダムがなければ中流域・下流域の治水施設が支えきれなかった

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また台風が接近しています。被災地にこれ以上の災厄が降らないように祈るばかりです。
といっても日本人は祈るばかりではなく、日本の内政は古来治水を最重要テーマとして取り組んできました。
今回大きな洪水をもたらした千曲川は信濃川となって日本海に流れています。
下のグラフをご覧いただくと、いかに日本の河川が急斜面をすさまじい勢いでくだっているのかお分かりになると思います。
標高800m強から流れだし、約300㌔でストンと海にゴールします。
かつて日本の河川を見たヨーロッパの研究者は、「これは滝だ」といったといわれています。


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富山和子『川は生きている』

ヨーロッパを代表するロアール川も標高はアルプスですから1200mと高いのですが、ゆるやかに落ちて河口まで1000㌔弱かけて下っていきます。
東南アジアの最大の河川であるメコン川は、標高わずか100mから流れだし、実にえんえんと1000㌔有余をかけて河口に達しています。
これを見ると、日本の河川が世界でもきわめて特異な存在で、急峻な山岳から滝のように河口に流れ込む構造を持つことがわかります。

しかも多くの都市部は、長野県のように周囲を山岳で囲まれた盆地に位置しています。
日本の国土の地形をみてみましょう。

・山岳と丘陵地・・・73%
・台地           ・・・11%
・低地(海抜100m以下の地域)・・・14%
この14%の低地に国民の半分が集まって暮らしています。
それは日本の総資産の75%にも及びます。

東京も長野と変わりません。

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デジタル標高地形図「関東」国土地理院

「周囲を関東地方の山岳が囲み、その北西に位置するや山裾から南東の方向って緩く傾斜し、東京湾に向かって下がっていきます。この広い地域が関東平野なのです。
そしてその一番低い場所、すてわち洪水が起きたら絶対に水が集まって来る場所に首都東京があるのです。
言い換えれば、東京のある場所は元々、関東平野全体に降った雨が山岳地帯から削り取った土砂を集めて堆積させ、わずかに海水面よりも顔をだしたような低い場所なのです」(『首都水没』土屋信行)
さて、このような危うい場所に首都を置いている以上、治水を怠った場合、たちまち東京のみならず多くの国民が住む地域は水没することはあきらかです。
では、今回の19号災害にあって、八ッ場ダムがいかなる働きをしたのかみてみましょう。
これについては民主党政権に対しての政治的立場と重なってしまったために、賛否が民主党政権の脱ダム政策を肯定するか否かで分岐してしまいました。不幸なことです。
本来、治水はイデオロギーと無関係に考えられるべきであることは、言うまでもないことだからです。

しかし朝日新聞にいわせると、「八ツ場ダムの効果称賛、専門家は疑問視「冷静に検証を」(10月17日)だそうです。
https://www.asahi.com/articles/ASMBJ6F0GMBJUHNB01Q.html
朝日は民主党政権の応援団長のような役どころでしたから、八ッ場ダムの効果を否定したいようで、『論座』でもダム否定派の水源開発問題全国連絡会・共同代表・嶋津暉之氏の論考を掲載しています。
八ツ場ダムは本当に利根川の氾濫を防いだのか? - 論座 - 朝日

ここで嶋津氏はこう述べています。
「八ツ場ダムの治水効果については2011年に国交省が八ツ場ダム事業の検証時に行った詳細な計算結果がある。それによれば、栗橋に近い地点での洪水最大流量の削減率は8洪水の平均で50年に1回から100年に1回の洪水規模では3%程度である。本洪水はこの程度の規模であったと考えられる」(論座前掲)

また、満水時の八ッ場ダムは7500万立方メートルの水を溜め込むことができますが、19号洪水を防げたのは、たんに試験運用の段階にあってほぼ渇水状態だったからにすぎず、本格運用が始まれば湛水力はとうぜん小さくなると考えています。
したがって、元来、八ッ場ダムが洪水防止に寄与する削減率は3%ていどにすぎず、それも今回はカラだった偶然によって多少貢献したにすぎないというのが反対の論旨のようです。
こういうダム反対論に対して長年ダムに関わってきた写真家・大村拓也氏は、日経クロステック(有料会員記事)に実態を報告。
篠原章氏が大村記事を紹介したフェースブックから引用させていただきます。ありがとうございます。
常時湛水の本格運用が始まっても、貯水余力は6500万立方メートルあり、「これで十分」とまでいえないまでも「効果なし」というも難しい。「八ッ場ダムの評価は専門家の検証を待つべきだ」という意見はもっともらしく聞こえるが、すでに現段階でも「効果なし」ないとはいいにくいだろう。著者の大村氏は、「埼玉県久喜市栗橋にある利根川の観測所では、13日午前3時に氾濫危険水位8.9mを上回る9.61mの水位を記録。計画高水位の9.9mに迫った。
今後の検証が不可欠だが、八ツ場ダムがなければ水位がさらに20cmほど上昇していた」というが、湛水後であっても、このダムの貯水力に救われる可能性は高い。清水建設JVによる500日の工期短縮という提案は素晴らしい判断だったと思う」

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ここで、出てくる清水建設JVとは

自民党政権下の2014年、国土交通省は八ッ場ダムについてあらためて入札を実施し、500日を越える工期短縮(=工費節減)を目玉とするプランを示した清水建設JVが落札した」

この500日早めた清水建設の判断の結果、幸い今回の19号に間に合ったわけです。

このように見てくると、先日の「八ッ場ダムだけ見ていてもわからないこと」にも書いたように、日本の治水はこのような仕組みで成り立っています

・上流域のダム群
・中流域の遊水池群
・下流域の堤防
・都市部地下の外郭放水路

これらが組み合わさって一本の河川の氾濫を防いでいるのが「総合治水」です。
ですから、八ッ場ダムを否定して建設しないとなると、中流域・下流域・都市部のすべての治水施設に背負いきれない負担をかけることになります。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2019/10/post-b080f1.html 

 

2019年10月24日 (木)

ジョッキさんにお答えして ふたつの一国二制度

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だいぶ前の記事にたいしてのコメントで一国二制度に関してのものがありましたので、こちらで答えておきます。

ジョッキ氏のコメントはこのようなものでした。

「デニーの言う一国二制度を香港と中国の関係になぞらえて批判してますが、その場合横暴な中国本土、中国共産党にあたるのは日本本土、日本政府になるのですが・・・
香港=沖縄に完全な別制度を与えよ、と言ってるのですか?香港=沖縄を独立させろ、と言ってるのですか?
一国二制度という言葉から直ちに中国を連想して左翼=売国=中国ぐらいの大雑把さで批判してませんか?」

ジョッキさん、違います。だいぶ前の記事ですから答える義務はないんですが、まぁいいでしょう。
当該記事は、2019年3月25日「デニー知事が蒸し返した一国二制度」 です。
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2019/03/post-4aa2.html

この記事では明示していませんが、私は中国が一貫して沖縄を併合しようとしていると考えています。
これは被害妄想でもなんでもなく、中国は共産党機関紙環球時報で沖縄は中国領土だと明確に言っています。

これは沖縄の地理学的位置のためです。
沖縄から中国大陸に向けて逆の二等辺三角形を作ると、その底辺の両端が福建と上海にあたります。
見事にほぼ等距離で、かつて沖縄が琉球王国時代に朝貢貿易で栄えた地理的理由が分かります。
これが沖縄の中国と日本に両属するという特殊性を生み出しています。

中国側から見れば、かつての清朝が朝貢関係をもった国はすべて属国、旧版図ですから、日本人にはおいおいですが、沖縄は「奪われた領土」ということになります。

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http://oki-park.jp/shurijo/guide/52

琉球王府のあった首里の「守礼の門」に掲げてある扁額にはこのような文字が刻んであります。
「守禮之邦」
これは一般的に思われているように「礼儀を守る国」という意味ではありません。
端的に、「中華皇帝に対して臣従の礼を守っている邦」、つまりは「我々琉球王国は中華帝国の属邦です」という意味です。

日本政府が二千円札に使っていますが、おいおい意味判って使っているのかよ、と思います。
これが「琉球事大主義」と呼ばれるものです。

守礼の門の類似の存在には、韓国の迎恩門があります。
東アジアでの中華帝国に対する地理的政治的位置が似ているせいか、沖縄と韓国にはどこか共通する歴史とメンタリティがあるようです。

さて、この国際関係は過去のものではなく現代も生きています。
中国共産党機関誌「環球時報」(2010年9月19日)は、このように主張していました。

琉球(沖縄県)は明治政府が19世紀末に清国から奪い取ったもので、日本政府は今も沖縄住民の独立要求を抑え込んでいる
中国政府は尖閣で日本と協議に入ってはならない。(なぜならそれは引き換えに)境界線外にある琉球の主権が日本にあると認めることになる。こうなれば日本の琉球占領は合法的な根拠を得て、琉球民衆の独立要求は鎮圧されることになる
http://kinbricksnow.com/archives/51481894.html

つまりここで「環球時報」が言いたいことは、尖閣で交渉すること自体が無意味で、交渉などすれば沖縄の日本の領有権を認めてしまうことになると言いたいようです。

はっきり言えば、交渉するな、尖閣や沖縄は力ずくで奪ってしまえということで、実に物騒です。
さすがこのフレーズは習近平の意向と違ったようで、いまは削除されてしまいましたが、まぁ、中国のある種の本音が思わずペロっと出たというところでしょうか。

手段は別にして、中国からみれば沖縄は台湾と一緒で「神聖な領土」であって、沖縄を併合するのは侵攻ではなく正当な権益の奪還なのです。

やり方はふたとおりで、平和的手法と軍事的手法があります。
まず軍事的侵攻をとる場合を考えてみましょう。
これはそうとうに無理筋です。在沖米軍が駐留するかぎり、米中全面戦争(つまり核戦争ですが)のリスクがあるために不可能に等しいと思われているからです。

ただし同じ沖縄県でも尖閣諸島となると微妙で、こんな岩礁の大きなものに米国青年の命を賭けられないと判断する場合も大いにありえそうです。
パンダハガーが大統領となると、そういった決断をすると思われます。

また宮古・八重山の場合は、中国の台湾侵攻時に保証占領する可能性があります。
この海域を制圧すれば、中国北方艦隊は太平洋に進出しグアムを攻撃することが可能となるばかりか、米海軍が台湾に接近することも阻止することができるからです。
この場合も、米軍がどれだけ自衛隊の離島奪還作戦に協力するかは未知数です。

そして本島ですが、ここは大きく条件が違っています。
在沖米軍が駐屯しているからです。そのためにいわゆる「ワイヤートラップ」効果が機能しています。

奥山真司氏はそれについてこう述べています。
https://ch.nicovideo.jp/strategy/blomaga/ar791990

「ひとたび沖縄が攻撃されれば、その被害は駐留米軍に及ぶ確率が高く、そうなると米軍自体は望む・望まずにかかわらず、ほぼ自動的にその争いに介入せざるをえなくなるからです。
これが、いわゆる「トリップワイヤー」(tripwire)という考え方です。
日本にとっての対中国最前線に自分たちを支配しているはずの米軍をあえて足に引っかかるワイヤーのように配置する。
これにより、仮に中国や北朝鮮のような仮想敵国が日本を攻撃してきた際には、図らずも米軍をも攻撃することになってしまう。このようなメカニズムをつくることによって、無理やり駐留米軍を「抑止力」つまり「人質」にしてしまおうというものです」

ですから、在沖米軍がいることによって「戦争に巻き込まれる」のではなく、逆に駐屯すること自体で米軍を家族もろとも「人質」としてしまっているために、米軍の抑止力に期待できるわけです。
聞えは悪いですが、米軍は大事な人質なんですから、保険を逃がしてはいけません。
本気で平和を願うのなら、米軍基地を囲んで「米軍はでていけ」と叫ぶのではなく、「米軍は逃げるな」とシュプレッヒコールするべきなのです。

このように軍事的侵攻が難しいから習はもうひとつの方法、つまり沖縄のほうから中国圏に加入したいと申し出て来る勢力を陰に日向に育ててきました。
これがいわゆる「琉球独立」派です。
この人たちはおくめんもなく、会議を中国で行っているありさまで、彼らの「独立」が実は中国圏への参加であることを隠そうともしません。
下は某国会議員が作ったパロディーです。C535780d17cabf00bc175e5230e930b3

沖縄の側から中国圏への併合を要求させること、これが理想的な平和的併合です。
しかしその場合に最大のネックとなるのは、共産中国には国民の自由がないことです。
説明するまでもありませんが、あの国は普通選挙ひとつないのです。
そんなところに包摂されて大丈夫なのか、という怯えが県民に残ることでしょう。
そのためらいを解消する妙薬が、共産中国でありながら、今までどおりの民主主義を保証されるとする一国二制度なのです。

一口に一国二制度といっても、この場合、二段階あります
まず沖縄の中の分離独立勢力(少数ですが存在します)を含んだ左翼陣営に県政を長期間握らせ、本土政府との摩擦を煽ります。
本土への不信を煽る最もいい方法は、沖縄県民を「先住民族」として規定し、それ故に支配民族のヤマト民族によって「差別されている」と思わせることです。

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「差別」どころか全国魅力度ランキングで常に3位以内をキープしている沖縄が差別されているとしたら、最下位の茨城なんてどーなるんですか(笑)。
ちなみに私は茨城県民ですが、いまや茨城は最下位を逆手にとって元気です。

そして県民投票によって「高度な自治」を本土政府に要求します。
それには住民投票方式を採用すると思います。
法的にはなんの意味もない住民投票によって圧倒的県民が「高度の自治」を要求しているという意思表示をしてみせるわけです。
今の本土政府なら無視するでしょうが、ハトさんのような首相だった場合、「琉球自治区」が誕生する可能性もないわけではありません。
ここまではオール沖縄の人たちが常々口にしていることですが、この時使われるロジックが一国二制度(国内版)です。
かつての民主党政権が言い出し、いまはデニー知事も言っていることです。

それは日本でありながら日本でない「高度な自治」を保証された特別自治区を意味します。
日本政府に対してはあくまでも日本に止まるということを強調し、県民にも独立そのものではないと安心させることができます。
いわば「半独立」状態の地域で、自治政府は中央政府に干渉されずにすべてのことを決することが可能です。
ただし、ひとつの足かせがあります。
この「半独立」では、県の当時は振興予算と呼ばれていた経済支援は得られるものの、外交・安全保障分野の権限は今までどおり中央政府にあることです。

なんのことはないこれでは分離独立勢力がもっとも重視していた米軍基地の撤去は得られないのです。
かつて沖縄が返還された時に、米軍基地もついてきたために「基地つき返還は欺瞞だ」と叫んだのとまったく同じ構図の再現となってしまうわけです。

ですから、反戦・反基地闘争は「半独立」した後もおさまるどころか、かえって激化することでしょう。
基地をなくすために高度の自治を要求したのに、米軍基地は変わらずにそこにある、これはどういうわけだ、というわけです。
やがてそれは再び本土政府との軋轢の火種となっていきます。

このイライラ感こそが「半独立」から、米軍駐留なき本格的独立へ向かうエネルギーとなります。
それを
読みながら、いかにして米軍を撤退させるかが次の焦点となります。

ここからが第2段階です。

それには本格的独立によって日米同盟から沖縄だけが離脱することです。
しかし、沖縄は本格独立するだけの経済基盤を持たないが故に、独立に躊躇することでしょう。
しかしそれをサポートします、という優しいオジさんが登場したらどうします。
もちろん下心がありますが、それはチャイナです。

この誘惑に負けると、衰退する日本圏から脱して、興隆めざましい(と思っている)超大国である中国への乗り換えということになります。
この段階が、実は今の韓国が現在進行形でやっていることです。

その場合、「沖縄自治区」は、「隣国との友好と地域の平和」の名目で中国との「新たな関係」を作ろうとします。
新たな関係とは、日本圏内から離脱し中国圏内に入り、その財政援助をもらうという意味です。
同時にそのネックとなっている在沖米軍を撤退させることを意味します。

「沖縄自治区」を握った「オール沖縄」勢力は、中国圏に入ることで初めて「平和の島」を実現できるのだと主張することでしょう。
しかしそれはたんに米国の核の傘から中国の核の傘に乗り換えた事にすぎず、中国は旧米軍基地を居抜きで租借させることを要求するかもしれません。
このことも韓国が形を変えて今まさに直面していることです。

ただし在日米軍問題は日米同盟と直結しますから、いくら弱腰の本土政府でも譲れない一線として頑なに拒否するでしょう。
この時、中国側に提案してくる美味しいエサが一国二制度(中国版)なのです。
前回の国内版とは同じ言葉遣いですが、意味がまったく違います。
ジョッキさんはここに足をとられたようです。

中国は香港のみならず台湾にも一国二制度の提案をしていますから、民主主義政体を持つ国を(段階的に)併合するには大変使い勝手がいいプランとかんがえていたようです。
これなら相手が共産国でも安心して民主主義制度を維持できる、と県民に錯覚させることが可能ですからね。
ですからこの一国二制度という考え方を持ち出すこと自体、既に中国の書いた絵図に乗っていると判断してよいと私は思っています。

以上はただの思考実験にすぎません。
ですから、シナリオは極めて単純化してあります。
本来なら、ひとつのケースについて選択肢を5ツくらい用意してそれぞれのシナリオをつくるべきでしょう。

たとえば日本政府の時の政権の性格、米国の時の政権の性格、同じく中国のそれ、あるいは国際社会の変動などは一切無視しました。
実際には、これら多くの変数の無数の組み合わせの中で国際社会は動いているのです。
ですから、「一国二制度」という概念から考えられる憂鬱な未来を考えただけだとお考え下さい。

もっとも今は香港で徹底してその欺瞞性がバレてしまいましたから、デニー氏も恥ずかしくてこんなことは当分言えないでしょうが。

 

2019年10月23日 (水)

祝賀外交の内幕

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天皇陛下の即位礼正殿の儀に際し、衷心よりお慶びを申し上げます。令和の代も幾久しく佳き時代になりますようお祈りいたします。 今日東京の空にかかった虹のように、台湾と日本の絆がますます美しく強まることを心より祈念いたします。

この真心がこもった祝辞と共に虹の写真をツイートした外国の元首がいます。
その方は日本政府に招待されませんでした。
ツイート名は蔡英文 Tsai Ing-wen とあります。
ありがとうございます。あなたのような国をお呼び出来なかったことを、私は日本人のひとりとして恥ずかしいと思っています。
※台北駐日経済文化代表処(事実上の大使)は参列しました。せめてもです。


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https://twitter.com/TiikituukaHana/status/1186547087912996864?s=20蔡英文氏がアップした写真ではありません。

さて即位礼は「祝賀外交」という言い方があるように、形を変えた外交です。
どのような格の人物を送ってくるのかを見るだけで、その国がわが国をどう位置づけているのかがわかるからです。
ぶっちゃけ、それは序列を意味します。
格下の人物を送れば、ああこの国はうちの国を軽んじているのだなとバレる代わりに、外交礼儀もしらない非文明かと評されても文句がいえないことになります。

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産経 https://www.sankei.com/life/news/191022/lif1910220...

ですから、王制、立憲君主制の国は、王様ないしはそれに準じるレベルの人を送ってきています。
オランダやベルギー、スペインなどがそうで、英国は
チャールズ皇太子、サウジアラビアはムハンマド皇太子といった具合です。
王室を持っている国は、このような祝賀外交は手慣れていますから、こういう場合決してはずれた人選をすることはありません。

面白いのは、中国とロシア、そして米国です。
これらの国々はいずれも王を追放した革命政権によって出来た国です。
本来ならば、我々の国は共和制だから王の存在自体を認めない、とでもいいそうですが、まったくそのようなことはありません。

中国は王岐山国家副主席を送ってきました。これは前回が副首相でしたので、ひとつ格上げして見せました。

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王岐山と習近平

中国という国は共産党常務委員に格づけがあるように、共産主義だからみんな平等どころか世界有数の序列社会です。
さらにはどうやら隠れ皇室ファンのようなので困ります。
私たちとしては中国のような国に皇室のファンになどなられたら迷惑以外なにものでもありませんが、彼らが平成において天皇の訪問を強く要請したことを思い出して下さい。
彼らは天皇という存在を日本の絶対権力と考えているから、執拗に訪中を迫ったのです。

香港の民主化闘争で改めて明らかになりましたが、中国には普通選挙がありません。
選挙という合法手段がないために共産主義国家では、共産党権力の頂点に昇るためには、熾烈な暗闘を繰り広げます。
その古代宮廷劇のような戦いの結果生まれたのが党内序列です。
ですから、中国やロシアは王政と相性がいいので、かぎりなくかつての皇帝、かつてのツァリーもどきの独裁権力者を戴いた体制を作ってしまいます。
今回、彼らの序列感覚で、
習近平の腹心であり、党内序列第8位の王あたりが適当だとふんだのでしょう。
王岐山 - Wikipedia

もちろん中国の皇帝などとは似つかないのがわが国の天皇です。
即位礼で天皇陛下が述べられた「日本国憲法に従い国民統合の象徴として」という文言は、権力を持たず政治に介入しないことを誓っておられるのです。
天皇は日本人の心の中心におわしながらも、自ら権力であることを拒否されているのです。
日本が日本でありつづけるかぎり、これは変わらないことでしょう。

さてこの王岐山を送ったことは、王だからというわけではなく(あたりまえだ)素直に考えると日本との冷えきった関係を修復しようとする動きの一環ですが、直前の時期に北海道大学の教授を拘束しました。
拘束されたのは岩谷將(のぶ)教授です。

岩谷教授は2016年まで防衛相研究所戦史研究センター、外務省大臣官房国際文化協力室の主任研究官、外務事務管を兼任していた。主に日中戦争史、中国国共内戦史・体制史を研究しており、現在も2018年から21年までの予定で公募研究費を受けて、世界各国の公文書・資料館の所蔵する多言語資料、写真、映像その他のマルチアーカイブからアプローチして日中戦争の再検討をテーマにフィールドワークを実施していた」
(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.38 2019年10月21日)

一学究にすぎない岩谷氏が拘束され理由は明らかにされていませんが、かんがえられるのは日中戦争や中国国共内戦という共産党政権の出生の秘密に関わる分野を研究していたためだと思われます。
この分野は中国共産党のプロパガンダが唯一の公理とされており、自由な研究は中国では一切認められていません。
福島香氏は、岩谷氏が「
今回の訪中がこの研究に関連するであったとすれば、共産党の絶対秘密に指定されている日中戦争資料にかかわった可能性もある」(前掲)としています。

習の側近虫の側近の王を送っておきながら、一方で準公務員である国立大学教授を拘束してみせたのは、日本に対してなんらかの外交シグナルを送ったとも考えられます。
それがなにか、やがてわかるでしょう。

またロシアはロシアは、分かりやすい格下げ人選をしてきました。
訪日したのはウマハノフ連邦上院の副議長で、日本の国会副議長クラスです。まったくふざけた人選です。
前回の平成即位礼にはルキヤノフというソ連時代の最高会議の議長でしたから、ずいぶんと落としたものです。
当面、北方領土交渉は長期停滞とさせるということでしょうな。

さいごに米国ですが、当初はトランプ自らが来る気満々でしたが、ウクライナ弾劾で足をとられペンス副大統領に替えましたが、これもダメで、一挙に序列ナンバー14位のイレーン・チャオ(趙)運輸長官の派遣を決定しています。

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イレーン・チャオ

正副大統領が来られないの前から分かっていましたからいいとして、イレーン・チャオの人選には悩まさせられます。
というのはイレーン・チャオは台湾系でありながら、
父親は中国の上海出身の海運事業者で、台湾内部では中国色が強い人脈に属していると言われている人物だからです。

うがって考えなければ、トランプが就任以来してきた台湾重視政策によるものだとも思えますから、台湾を招待していような日本に対してバランスをとったとも解釈できます。
その一方で、チャオは民進政権とは対立する大陸派をルーツとしている可能性もありますから、今の、米中経済戦争の暫定的手打ち」状態に対応したものにも見えます。
とすると、中国に融和カードを出したようにもみえますが、う~んかんがえすぎか。

このように見てくると、即位礼も心静かに言祝ぐことができなくなりそうなので、今日はここまでということで。

 

 

2019年10月22日 (火)

今日、 韓国首相と面談

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今日、李洛淵(イ・ナギョン) 韓国首相が訪日して、首相と「会談」をもつそうです。
もちろん10分ていどのことですが、特に韓国を冷遇しているわけではなく、即位礼に来ていただいた百カ国を超える元首・首脳級の要人と面談せにゃならぬうちの国の首相は忙しいです。

10分というと通訳が入って行って返ってその半分の5分もあるかないかですが、イ首相は東亜日報日本支社勤務の経験がある知日派というのが売り物でしたから、日本語も多少おできになるようですので、通訳なしでしゃべれば10分まるごと使えるかな。
ちなみに今の韓国では、30年ほど前まで多くいた日本統治時代の生き残りは絶滅し、いまや日本語が多少分かるていどで知日派なようです。

なんせかの天皇謝罪要求発言で勇名を轟かせた、ムン・ヒサンが韓日友好議員連会長やってる国ですから、なにぶん。

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もっともイさんが日韓会談で日本語でしゃべったら、帰ってなにを言われるか分かったもんじゃありませんけどね。
時間的にいっても日韓関係に踏み込んだ会談になるはずもなく、あくまでも即位礼に関する慶賀の辞と答礼で時間終了のはずです。
ところで韓国さん、いつものように天皇陛下を「日王」なんて呼んだら塩撒きますからね。

それはさておきムン閣下の親書を携えてくるとかで、いまから韓国メディアが関係改善の突破口か、などと期待値を煽っています。

「韓国与党代表、李洛淵首相の訪日、行き詰まった韓日関係の新しい突破口に共に民主党の李海チャン(イ・ヘチャン)代表が21日、李洛淵(イ・ナギョン)首相の訪日に関して「行き詰まった韓日関係が新しい突破口を開くきっかけになるよう心より期待している」と明らかにした。
李代表はこの日、韓国国会で開かれた最高委員会議で「明日は日本で徳仁天皇の即位式が開かれ、李首相が韓国政府を代表して参加する予定」とし「文在寅(ムン・ジェイン)大統領の親書を伝える予定」としながらこのように話した。
李洛淵首相は22日から24日まで訪日する。22日には天皇即位式に参加し、23日には安倍首相主催の宴会に参加する。そして、24日に安倍首相と単独会談を行う予定だ」(中央日報10月21日)
https://japanese.joins.com/JArticle/258757?servcode=A00&sectcode=A10

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李洛淵首相が13日午後、国会の共に民主党代表室で開かれた検察改革高位党政協議会で発言している。左からチョ・グク法務部長官、李首相、共に民主党のイ・ヘチャン代表//ハンギョレ新聞社

せっかくお越し頂いてナンですが、突破口なんてないない。
イ首相の古巣の東亜日報が、ムン閣下が来るか来ないかで煩悶したことについて、こんな記事を書いています。

「当初、文大統領は即位の礼に参列することも検討していたとされる。しかし、即位の礼が近づく中で日韓両国は問題解決の糸口を見つけられず、李首相を送ることに決めた。
政府関係者は「強制徴用被害者たちの賠償問題について双方が水面下で調整し、ある程度成果があれば大統領が参列する可能性もあったが、それには至らなかった。代わりに運輸長官を派遣する米国など他の国とは違い、最高位の首相を派遣することで日韓の葛藤を解決しようとする文大統領の姿勢を伝えようという意味が込められている」と話した」
(朝日グローブ10月19日)
https://globe.asahi.com/article/12799623

韓国さん、もうトランプやペンスは日本に来ているの。トランプは今年は2回もですぜ。
今回、多少格落ちしたって、しょうがないじゃない弾劾決議だされそうなんだからと理解しています。
あなたのところのような傲岸不遜、傍らに人なきが如しの国とはちがうんですよ。

それはともかくムンさんは「徴用工被害者たちの賠償問題についての水面下での調整」がつけば行ってもいいということだったようで(別に来なくてもいいけど)、韓国がいう「現実的解決案」とはたぶんこのことでしょうか。

「韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は26日、韓国の聯合ニュースなどとの書面インタビューに応じた。元徴用工訴訟を巡り、日本と韓国の企業が自発的に資金を出し合い原告と和解する韓国政府案について「現実的な解決案」と述べ、日本に受け入れを求めた。米国と北朝鮮の非核化交渉にも触れ、「両国は3回目の首脳会談について話している」と明かした」(日経6月26日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46601440W9A620C1FF2000/

日韓がカネを出し合って基金を作ったらどうかというものですが、これ猛烈な既視感があるのですよ。
それもご丁寧にも、2回も。
かつて慰安婦問題でアジア女性基金なるものを作りました。
いわゆる河野パパ談話の時のことですが、私はこの基金には多少は期待していたのです。
請求権協定に抵触せずに個人補償しようとすればこのテしかないわけですが、挺
対協によってあえなく潰されました。
この団体は基金で給付に応じた元慰安婦の自宅にまで押しかけて圧力をかけたのですから、なんともスゴイね。

「これに対し、韓国のメディアは「基金」事業を非難し、被害者団体等による元7人や新たに「基金」事業に申請しようとする元に対するハラスメントが始まった。
被害者団体は、元7人の実名を対外的に言及した他、本人に電話をかけ「民間基金」からのカネを受け取ることは、自ら「売春婦」であったことを認める行為であるとして非難した。また、その後に、新たに「基金」事業の受け入れを表明した元に対しては、関係者が家にまで来て日本の汚いカネ」を受け取らないよう迫った」 
(日本政府 河野談話検討報告書)

2回目は初回の失敗に懲りて「完全かつ不可逆的に」という文言つき条約の枠組みを作り、前回同様にお詫びの手紙まで添えたのですが、今度はムン政権に解体に追い込まれてしまいました。
関連記事 「朝日新聞社説を笑うその1 「信義」を破壊したのはどちらか?」
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-bf9b.html

こんな信義にもとる所業を2回やったら3回目はないよ、韓国さん。
これでまた日韓で共同の基金を作ろうなんて、いったいどの口で言うの。
そのうえに日韓関係の基礎中の基礎である日韓請求権協定に対して廃棄同然のふるまいをしたんですから、私たち日本人は韓国のなにを信じたらいいんでしょうね。
しかも韓国外務省がその時なんと言っていたのか。

「韓国外務省は同案を日本が受け入れれば日韓請求権協定に基づく2国間協議に応じる用意があるとした。これに対し、日本側は請求権問題の完全かつ最終的な解決をうたった1965年の請求権協定に反するとして受け入れを拒否している」(日経前掲)

つまり韓国はこの「現実的解決案」を日本が呑めば日韓請求権協定にある二国間協議に応じてもいいなんて言っているのですから、おいおいです。
オレの言ったとおりにすれば、二国間協議に応じてもいいって、なんですか、それ。
韓国はこういう高飛車なやり方を外交交渉と呼ぶんですねぇ。

日本側は日韓請求権協定を誠実に履行するための協議をしろと言っているのですから、初めから逸脱した提案なんか呑めっこありません。
とうぜん一蹴しておわりでした。

百歩譲ってこの韓国提案に乗った場合、確実に韓国の国内政治の事情で潰されますから、賽の河原の石積み、タンタロスの渇きなのです。
自分で勝手に歴史問題を作り上げて解決を迫り、あげくはこちらが歩み寄って解決を図ろうとすると自分で勝手に壊す。
壊しておいて、こんなことをムンさんは言います。

「文氏は「韓日協定が締結されていても、国際規範と人権意識の高まりで不幸な歴史の傷は引き続き表れ、被害者の苦痛も進行中だという事実を受け入れないとならない」と日本に譲歩を迫った。」(日経前掲)

国際的人権の高まりがあるから、60年前の日韓請求権協定は反故にしていいということです。
この論法が通じれば、条約などは要りません。
いつもいつもこの繰り返しです。

ですから、韓国政府は慰安婦財団まで遡ってひとつひとつ原状回復していかねばならないのです。
それが日韓関係改善の正面玄関です。 
それを日本が頭を下げるなら解決のための日韓首脳会談をしてやってもいいぞ、ですからねぇ(あきさみよ~)。
力関係分かって言っているのでしょうか。

今回のムン閣下の親書に書いてあるのは、たぶんこんなことのはずです。

「「対話の扉は開いている」と文氏は強調し、28日から開く20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)の「機会を活用できるかは日本にかかっている」と述べた」(日経前掲)

「対話の扉は開かれている」ってどこかで聞いたと思ったら、ああそうそう、そうでした。
うちの国の首相のお得意の台詞でしたっけね(苦笑)。
これは相手にボールを投げて待つ場合に使います。
今回の場合、待つも待たないも、とっくに「現実的解決案」なんぞ正式に拒否していますから、いくら「対話の扉をあけて」いただいても無駄でござんす。

 

2019年10月21日 (月)

韓国学生による米国大使館占拠事件のほんとうの黒幕とは



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今日はぼーっとしています。皆さん、いかがでしょうか。
いやー、昨日は朝からワールドカップ南アフリカ戦でテンション上げすぎました(笑)。くたびれた。

結果はご承知のとおりです。前半あと数メートルにトライを迫りながら、強固な南アのディフェンスに阻まれてしまったのが分水嶺だったのでしょうか。
ハーフタイムで修正をした南アは、やはり圧倒的に強かった。
これがよくいわれる「ティア1の壁」という奴かと思いました。
今日あたりドッと技術的な評論がでるでしょうが、あそこまでスクラムで後退を続けた日本チームをみたことがありませんでした。
モールでも、ラインでもことごとく競り負けていました。

終了後のいつもは笑わない稲垣のこの顔には、私のほうがもらい泣きしてしまいそうになりました。
いくら健闘を讃えられても負けは負けだと思っているのだ、と。

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THE ANSWER

南アには優勝してほしい。それだけのチームです。
ご苦労さまでした勇敢な桜の戦士たち。ブレイブ・ ブロッサムズに拍手を。

                                                            ~~~~~~~

さて気分を強制的に切り換えます(キリっ)。
たぶん遠からず出るだろうと思っていたらやはり出ました。韓国学生による米国大使館占拠事件です。
まぁ、「占拠」といってもかつてのイラン米大使館占拠事件とは規模もレベルもちがうのですが、すくなくとも同盟国においてあってはならないことが起きてしまったわけです。

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事件そのものは、テロと呼ぶのもおこがましいようなガキの遊びです。
10月
18日、「韓国大学生進歩連合」(大進連)と称する札付きの従北団体メンバー男女17人が、米国大使公邸の塀にアルミ脚立をかけて「警官」の目の前でゾロゾロと敷地内に侵入しました。

「警察」といっても「義務警察」という面妖な「警察もどき」でした。
こんなヘンなものは日本にも諸外国にもありませんが、要するに芸能人やエライさんにコネがある徴兵適齢期の者が、悪魔のしごきが待ちかまえている軍隊に行かず、コンサート警備などして徴兵のがれしているようなところです。
こんな使えない「警察もどき」をこともあろうに、米国大使館という最重要警備施設に配置しているのが、いかにもムンちゃん、さすがはムンちゃんです。

この「警官もどき」は、大使館前での突入前集会を許してしまっています。
下の写真を見ると、おいおい、のどかな顔しているんじゃないよ、と言いたいようなまったりとした警備をしているのがわかります。

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日本なら、そもそもこんな米大使館前の集会自体許されませんし、警備は警視庁機動隊が常駐ガード゙しています。
これが国際常識です。
米国大使館は米国の外交拠点としてウィーン条約第23条によって保護されています。

1使節団の公館は、不可侵とする。接受国の官吏は、使節団の長が同意した場合を除くほか、公館に立ち入ることができない。
2
接受国は、侵入または損壊に対し使節団の公館を保護するため及び公館の安寧の妨害または公館の威厳の侵害を防止するため適当なすべての措置を執る特別の責務を有する。
3使節団の公館、公館内にある用具類その他の財産及び使節団の輸送手段は、捜索、徴発、差押え又は強制執行を免除される。

第2項にある「侵入または損壊、公館の安寧の妨害または公館の威厳の侵害」を接受国は適当なすべての措置を講じる義務があると書かれています。
ウィーン条約にいわれなくても米国は韓国にとって唯一の同盟国のはずですから、重点警備対象にせねばならないはずです。
それがこのていたらくです。
在韓米国大使館はこの事件を受けてこのようなコメントを出しました。

駐韓米国大使館は、18日に発生した大使公邸乱入事件に関連して「大韓民国が、全ての駐韓外交公館を保護するための努力を強化することを強く促す(urge)」という声明を出した。
外国公館が接受国の政府に向けて、何らかの措置を「強く促す」というのは、外交的には極めて強い表現だ。元外交官は「urgeという表現は通常、敵性国に使うもので、同盟の間ではあまり使わない」と語った」(朝鮮日報10月19日)

外交には婉曲表現が使われます。
ですからこの事件に対して米国が敵性国家にしか使わない「強く促す(urge)」 という表現を韓国に使ったのは、 「二回目はないと思え、なぜならそれは米韓同盟が終わる時だからだ」という含意があります。
それも当然でしょう。
当日塀を乗り越えた連中は、ハリス大使一家が生活している公邸の建物の玄関前を1時間に渡って占拠したのです。
幸いハリス大使は不在でしたが、仮にいたなら大使の拉致監禁もありえたわけで、仮にハリス大使が彼ら暴徒に拘束されて危機にさらされたりでもしたら、米国は警備要員を使ってでも実力で排除したことでしょう。
たんに大使の安全確保ということにとどまらず、米国の国家としての尊厳に関わることだからです。

米国がこう言う場合に使う「実力で排除する」とは銃器を使用することです。警備がマリーンですから、なめないように。
大使が傷ついた場合、米国の世論は沸騰し、こんな国を守る必要があるのかという議論がわき起こる事になります。
逆に占拠学生が死傷した場合も、逆の現象が韓国内で起きることになるでしょう。

そんな危ういことを危うい時期にやっているという自覚がこの連中にはないはずです。
この連中はヒダリ特有の浮遊感というか、遊び気分があります。
ロングヘアーのお姉さんたちが、オシャレなコート着て、写真班にピースならぬこぶしを振り上げて記念写真をパチっ。
大使館はレッキとした米国領土。そこに敵性侵入したら、警備の海兵隊員に射殺されても文句いえないんだよ、君たち。
なにをされても黙って耐えている日本大使館とは違うんだからね、などと言ってやっても無駄でしょうね。

「フェイスブック(Facebook)に投稿された写真によると、学生らはソウル中心部にある駐米大使公邸に壁を乗り越えて侵入。ある写真では、「韓屋(ハノク)」と呼ばれる伝統様式の住宅の縁側に立ったデモ参加者らが、「ハリス(大使)はこの地から出ていけ」と記された横断幕を掲げる姿が捉えられてる」(10月19日 AFP)

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「ハリス大使は出ていけ」ですか(苦笑)。
出て行くのは不法占拠しているきみらのほうでしょうに(笑)。
写真班にこんな自己陶酔的な写真を撮らせて、しかも横断幕はハングルですから米国に抗議しているのではなく、実はただの仲間うちのパーフォーマンスにすぎません。
おそらく数ある過激従北団体の中で、鬼畜米大使館に一番槍の功名を狙ったってところじゃないですか。

こういうサヨク内部での功名争いは、かつての日本の70年安保の時期にも見られました。
大使館からの垂れ幕などもやられたことがあります。
ただし、かつての日本のケースと今の韓国とが決定的に違うのは、当時の日本においては日米同盟が廃棄される可能性はゼロであり、いくら米大使館突入をしたとしても、そんなものは堅牢な日米関係の手のひらで踊る「戦争を知らない子供たち」にすぎませんでした。

今回の韓国のケースは違います。ムン政権が目指すのは在韓米軍撤退と米韓同盟廃棄だからです。
トランプ個人は就任前から米韓同盟廃棄論者でしたし、今や米政府内にも廃棄論者のほうが優勢です。
つまりいつどうなっても不思議ではないのが今の米韓同盟であって、こんな時期に愚行が起きれば、それかきっかけになってどうころぶかわからない可能性があったのです。

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文正仁外交・安全保障補佐官 AFP

事実、ムン政権の大統領補佐官の文正仁(ムンジョンイン)はこう事件前にまるでこの事件をあらかじめ知っていたかのようなことを口にしています。

「これに関して、文正仁(ムン・ジョンイン)大統領特補(統一・外交・安全保障担当)は先月、「米国大使館前で市民がデモしてこそ(米国は)変わる」と発言した」

実はこのもうひとりのムン・ジョンインこそが、ムンの導師です。
ムン大統領統一・外交・安保特別補佐官(延世大名誉教)の、トランプ訪韓時の発言をみてみましょう。

「個人的な見解を前提に「南北関係がうまく解決すれば、韓米同盟にこだわる理由がない。韓米同盟にこだわる理由がなければ、韓中関係がギクシャクすることもなく、それでは中朝関係も改善するだろうし、そのような状況で米朝関係も良くなり、米朝、韓米、韓中、中朝、南北、このように好循環をもたらすだろう」とし、南北関係回復の重要性を強調した」(中央日報2017年11月10日)
http://japanese.joins.com/article/291/235291.html

南北統一すれば、在韓米軍はいらないですか。
いや逆に在韓米軍があるから統一できない、だから「こだわる理由はない」んでしょうに。
確かにそうです。在韓米軍がいるかぎり南北統一はありえません。
そりゃそうでしょう。米軍基地がキューバのグアンタナモ基地みたいなっちゃいますからね。
ですから北は絶対に在韓米軍つき統一など認めないし、米韓同盟が存続するかぎり統一はありえません。

ムン政権は米韓同盟廃棄を自分から言い出す度胸がないだけで、それはそんなことをいうと国民の半分が黙っていないからです。
実際にGSOMIA廃棄をして米国が激怒した瞬間、保守派が百万人デモをかけ、支持率はメタメタに下落しました。
だからムン閣下は、狡猾にも米国に先に出て行くと言わせたいわけです。
米国もそんなムン閣下の下心なんてとっくに判っているから言い出さないので、一種のチキンレースが成立しています。
どこかでこの均衡が崩れるとしたら、こういう占拠事件のような偶発的な事件なのです。

ところでムン補佐官は、北の非核化についてどう考えているのでしょうか。

「文特別補佐官は27日、ある討論会で、「韓米同盟が壊れることがあっても戦争はいけないと多くの人が話す」と述べた。
中道系野党「国民の党」の孫鶴圭(ソン・ハクキュ)常任顧問が、「北朝鮮を事実上、核保有国と認める必要がある」と発言したことに対しても文特別補佐官は「同意する」とし、「北朝鮮が非核化しなければ対話しないと言うことは現実的でない」との考えを示した」
(中央日報2017年9月29日)

http://japanese.joins.com/article/291/235291.html?servcode=200&sectcode=200

ね、なんのことはない、北の非核化なんてどーでもいいんですよ。
むしろ北の同胞からアトミック・パワーをもらったってかんじかしら。
ムン補佐官に代表される従北派の考えは、核保有した北との統一朝鮮を建国し、強大な核保有国として東アジアの地域覇権国となることです。
そして中国となんらかの同盟を結び、間接的にロシアとも同盟関係も作り、中・露・統一朝鮮による三カ国軍事同盟を目指します。
もちろん敵は日米同盟です。
その助走ともいえる中国への従属を誓った「三不の誓い」は、このムン補佐官が下敷きを書いたと言われています。
この導師のムンが戦略を立て、大統領のほうのムンが言われるがママに離米・反日・親北路線をひた走るという役割分担だったようです。 

「文正仁(ムン・ジョンイン)氏という。文大統領とは、韓国語の発音をカタカナ表記すれば「ジェ」と「ジョン」の違いだけ。紛らわしいが、外交・安保に関する限り、2人の考え方、発想の仕方は双生児のようだ。韓国人記者の間では「大統領が公式には言えない本音を代弁する人物」と見なされている」(産経2017年11月30日)
http://www.sankei.com/column/news/171130/clm1711300006-n1.html

なんとこの米国がモっとも嫌悪するこの人物を、ムン閣下は駐米大使に任命しようとしたのですが、米国から一発拒否されてしまっいました(あたりまえだって)。

このムン補佐官はバリバリの従北派の頭目のひとりですから、あるいはこの学生らになんらかの教唆・煽動をした可能性も否定できません。
だとするならば、
この占拠事件はムン政権が間接的にやったも同然ということになります。
つまり、このような過激学生による占拠事件という偶発的事件を装って米国を挑発し、米韓同盟廃棄を米国に言わせるという罠があったとしても、私は少しも驚きません。

、、、

2019年10月20日 (日)

日曜写真館 もうすぐ燃える裾模様が見られます


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大災害で忘れていますが、秋が深まっています

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もうあと数週間で森が紅に染まります

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でもわずかに葉先だけが色づく今が好きです
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とんぼってなぜか哲学的です

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ひとしずくの朝露です

2019年10月19日 (土)

なぜ二子玉川で洪水が発生したのか

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もう少し今回の洪水について続けます。今回の洪水は広範囲、かつ大規模なものとなりました。

「国土交通省によりますと、台風19号による豪雨で川の堤防が壊れる「決壊」が発生したのは、18日午後3時の時点で、7つの県の合わせて71河川、128か所に上っています。国が管理する河川で堤防の決壊が確認されたのは、7つの河川の12か所です」(NHK10月18日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191018/k10012138251000.html

堤防の決壊という治水管理上あってはならない現象だけで実に128箇所、うち国管理のものが12箇所です。
いうまでもなく、原因は多岐にわたるはずで、上流域から中流域、下流まで丁寧に検証せねばなりません。
これについては、後の国交省による原因調査の結果を見たいと思います。

現時点でできることは、たとえば利根川という首都の防災に直結する河川で、なにが首都を守ったのか、どこで氾濫を招いたたのかを比較検討すれば、あるていど何が起きたのかという外輪くらいはつかめるのではないかと思います。

昨日の記事で、私は首都の治水は幾重にも守られているな、とあらためて感嘆しました。
郡部に住む私にはうらやましいほどです。
上水域の治水ダム、中流域の遊水池、下流域の放水路、そして地下宮殿とまで言われた外郭放水路に至るまで見事に組み合わされて、首都を水没から防いでいたことがわかりました。

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しかしその一方で、首都で決壊を起こした地点がありました。それが世田谷区二子玉川です。

「12日夜に多摩川が氾濫した東京都世田谷区玉川には、下流部で唯一、堤防が整備されていない区間があった。国土交通省によると、12日は多摩川の水位が刻々と上昇し、午後10時10分頃には堤防未整備の区間(約540メートル)から濁流があふれたことが確認された。川と市街地の境界となっている道路も越え、二子玉川駅周辺の広い範囲が浸水した。
 この地域を巡っては、2007年の台風9号で2000袋以上の土のうを積んで浸水を防いだケースもあった。同省京浜河川事務所はこれまで、「大雨が降ると多摩川では最初に浸水する」などと周辺住民に説明。堤防整備計画を進めようと説明会なども度々行ってきたが、「景観を大切にしてほしい」「家をのぞき見られる恐れがある」といった声が根強く、同意を得られていなかった」(読売新聞10月15日)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20191014-OYT1T50094/

位置を確認します。下図にある堤防未整備とある箇所ぃおいて堤防が越水しました。

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読売新聞前掲

浸水範囲が他県とは違って比較的小規模だったのが救いですが、この原因が「景観が壊れる」という理由で反対していた反対運動によるものなのだったことは既に人口に膾炙しています。
このような公共事業に対して起こされる反対運動の理由の多くは、この人たちも使った景観権(眺望権)です。

いい風景を残したい、その風景の中に抱かれて生活をしたいというのは自然な欲求であって、これ自体はなんら否定されるものではありません。
しかしそのことによって周辺住民の生活までもが危険にされされてしまっては、次元の違う話となってしまいます。
周辺住民の生活とは、すなわち公共の利益のことです。
この公共の利益と、いい風景を残したいという個人の欲求のどちらが社会的利益となるのか、較べて見なければなりません。

考えるまでもなく、優先されるべきは公共の利益に決まっています。
今回の洪水によって多大な損失と迷惑を周辺住民は受けたわけですし、それを復旧させるためには個人的支出や、社会的コスト、つまり税金を投入せねばなりません。
これを反対運動が全額補填してくれるというならいざしらず、反対運動はサイトすら削除して音無しの構えのようです。
こういう対応を社会的無責任といいます。
金銭保証をしろとまでは言いませんが、
やったことの責任くらいとりなさい。

この反対運動の主張を検索しましたが文春デジタルにある「われわれは堤防に反対していたわけではなく、中州の樹木を切れと言っていただけだ」という意味不明な反論しか残されていませんでした。
今回の19号洪水についての説明をされんことを望みます。

いちおう景観権の法律的立て付けについても押えておきます。

「眺望権とは、建物の所有者などが、そこからの風景等の眺望を他の建物などに妨害されることなく、これまで享受してきた一定の景色を眺望できる権利のことをいいます。 しかし、眺望権は法律上に規定されている権利ではなく、裁判においてもほとんど認められていないのが現状です」( 判例で学ぶ眺望権 )

要するに、自分が愛した自宅からの風景が損なわれるという恐れに対して訴訟を起こす権利のことですが、この場合「眺望地役権」(ちょうぼうちえきけん)を使うようです。
ところがこれは設定した相手にしか有効とはなりません。
たとえば自宅の目の前にマンションを建てられて富士山が見えなくなったと言う場合、この当該マンション所有者に対してしかこの眺望地役権をつかえないのです。
ですから、堤防のように多くの住人の安全と暮らしを守る堤防のような明らかな公共の利益に対して、景観を理由に訴訟を起こしても、絶対に勝てません。

実際に彼らは、2010年の1月末に建設差し止めを求めた裁判で敗訴しています。
しかしこのような裁判沙汰になると
、行政は説得に当たりますが強制執行するわけにもいかないため、多くは腰が引けた対応のまま放置される場合があります。
役人は自分の任期の間に住民とトラブルを起こしたくありませんからね。

かくして二子玉川のこの未整備箇所は未着工のままで、堤防の空白地帯が生まれてしまいました。
結果
、今回の大きな被害に繋がってしまったというわけです。
ひとことでいえば、環境保全運動の名を借りた住民エゴに忖度して引き起こされた不作為による人災です

また今回の二子玉川洪水の原因を作ったひとりが、この世田谷区選出国会議員だったことは皮肉なことです。
ご存じのとおり、その議員の名前は蓮舫氏です。
この人物は2010年10月に、民主党政権における事業仕分け第3弾で堤防の整備計画を葬りました。
その記録が残っています。

あらかじめ言っておきますが、ほんとうの仕分人は民主党議員ではありませんでした。
彼らはただのダシ。この仕分人たちに、自分たちが潰したい事業の膨大なリストを手渡したのは他ならぬ財務省でした。
事業仕分けの会議においても、他の国交省の役人が財務省からなにか言われるたびに引っ込む姿が見えます。

河川整備について仕分けされたのは第3回でしたが、財務省はいきなりこの調子で大幅にカットしろとねじ込んできます。
行政刷新会議ワーキンググループ「事業仕分け」平成22 年(2010年)10 月28 日
http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9283589/www.cao.go.jp/sasshin/shiwake3/details/pdf/1028/gijigaiyo/b-7.pdf

「○財務省 河川事業の選択と集中ということで、1例挙げさせていただいております。別に御議論いただいたB/Cにあわせまして、以下のような大型公共事業ないしは独立行政法人向けの支出等も中にございます。こういったものの見直し、圧縮を図っていただくべきではないかと思っております。(略)
このままのペースでは400 年かかるのではないかといった御指摘がございます。
これまで24 年間の累計事業費が6,943 億円、整備率が5.8%でございますので、このペースで計算をしますと、今申し上げたような数字になるのではないかといった御指摘がいろいろ行われております。
それから、事業費が1km 当たり137 億円ということで非常に多額ではないかと、それから、実施個所はどのように選定しているのか。(略)
スーパー堤防自体は河川の、言わば洪水を防ぐ能力、より高くするといったものではなくて、堤防の質的強化を図るというものなので、なおさら地元住民から見た、どれだけ被害の軽減効果があるのかが難しいといったものでございます。」

こういう財務省の緊縮要請の呼び水に答えるように、岡田克也議員は愕然とするようなことを平気で言っています。

 

「○岡田衆議院議員 スーパー堤防のことで、私も映像を見て画面で愕然としたのですが、淀川の方のスーパー堤防は、多分地元の整備局の方が答えておられていたと思うんですが、32,000 年に1回のものに耐えられるんだと誇らしげに答えられていたのですが、まず、それ1点確認です。32,000年後って私たち、生きているどうかもちょっとわからないなと、正直、思うわけですが」

馬鹿か、この人。これは説明役の官僚が3200年に一回の大災害にも耐えられると言ったことの揚げ足をとって、そんなもんがくる前にとっくに我々は死んでるぜという浅はかなご意見です。
治水などのインフラ整備事業は、百年、二百年先の子孫のことまで考えてやるものなのですが、その肝心のところが判って言っていないようです。
現実には3200年後どころか、19号台風はすぐにきました。

極め付きはやはりこの人です。この人はやっぱりスターなんだなと思います。キラキラと輝く負の華があります。

「○蓮舫大臣 この話、早く終わらせましょう。
200年に1回の災害が来るかもしれないからスーパ ー堤防を整備したい。 200年に1回というのは明日来るかもしれないから、百歩譲ってその前提は納得するんですが、 そのために 400年かからないと全部完成しない、それで今から12兆かかる。 これは、現実的な話だと本当にお考えでしょうか。
今、スーパー堤防をやろうとしているところは、二子玉川沿いを視察に行かせていただきましたけれども、既に堤防が整備されて、その上でまちづくりという機会があれば、更にスーパー堤防化しよう、ダブルで大切にしている。
 
つまり、住宅、人口密集地だからやりたいという思いはわかるんですが、優先順位が違うと私は思うんですが、いかがでしょうか

この人は本質的にはポピュリストなんだろうな。だからろくな知見もないくせに、わずかの自分の経験を10倍、100倍にしてしゃべってしまいます。
仕分け会議でも得意気に言っていた
二子玉川の視察が下の写真ですが、いまや国民的に有名になったハイヒール視察をなさっています。

 

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今の大臣が現地視察に長靴を履かないでいったとワーワー言っているご当人がこれです。
ま、正直言って、どーでもいいのですが、他人に言うなよということです。
毎度この調子で、今や「ブーメランの女王」という異名を奉られてしまいました。
それはともかく、蓮舫さんは仕分け会議で、「視察に言って十分だと思った」と言っているわけですが、視察に行ったのは2010年のことで、この時点では 河川整備事業はまるで終わってはいませんでした。
だって工事が終わったのは、その視察の4年後の2014年のことだからです。
しかも冒頭に述べたように反対運動による未着工地域が存在しました。

つまり蓮舫さんの認識は認識不足をしているうえに、事業仕分けの影の主役であった財務省の緊縮誘導に乗ってバッサリと切ってしまったことになります。
その意味で、この二子玉川洪水には人災的側面が濃厚とはいえます。

 

2019年10月18日 (金)

八ッ場ダムだけ見ていてもわからないこと

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19号台風について、ダムが機能したかどうかについて意見が別れているようです。
ある者は八ッ場ダムが利根川流域を洪水から救ったといい、ダム無用論論者は無関係であると主張しています。

実は私は八ッ場ダムという名前が出てきた瞬間、やれやれと脱力しました。
八ッ場ダムという名が出れば、まちがいなく連想ゲーム風にかつての民主党政権当時の「コンクリートから人へ」というグロテスクなスローガンを思い出し、ダム廃止令からスーパー堤防廃止といった愚行にいきつくのはわかりきっています。
しかもかつての民主党が砕け散って、今また性懲りもなく再統一するような気配ですから、政局がらみでなおさらメンドーです。

しかしいまさら当時の民主党政権のことを悪しざまに言っても、せんないことじゃありませんか。
彼らがやっことは、「事業仕分け」という新しい風味づけしたただの緊縮財政路線、デフレ大好き政策であって、仕分け人たちは財務省が渡した緊縮メモどおりに踊っていただけのことだからです。
しかし当時の、いやいまもそうかもしれませんが、公共投資を悪玉に見立ててダムや堤防などの治水事業をバサバサ切ったのは、自民も一緒です。

残念ながら安倍政権においても公共事業はいささかも増えていません。麻生氏が財務大臣に座っているかぎり不可能でしょう。
ただ、自民は公共事業、なかでも治水事業を削減することに一定の後ろめたさがあったのに対して、民主党政権はまるで鬼退治のように得意満面で治水事業を切り捨てまくったので、強烈に印象されているだけというだけのことです。

それを見ていた治水の専門家である土屋信行氏は、このように回想しています。

「仕分け委員の方がニコニコしながら"スーパームダ使いですね"、とおっしゃっていたのですが、あんなふうに笑われた時にぞくっとしました。その事自体が、人間の"命の仕分け"になっているのが判らないのですから。国民1億2千万人の命のうちのどれだけか分を仕分けたことになるのが判っているのか?」

ゾッとしたのはこの私もそうです。
しかも当時の民主党政権には自民党政治を粛清するという意識だけあって、中身が空っぽだったからたまりません。
治水になんの知見もなければ経験もない、いや関心すらなかった素人同然の政治家が、いままで長期間積み上げてきた事業を一括して葬るんですから無能に権力を握らせるほどコワイものはありません。
ただしこれを許してしまったのは当時の日本国民で、民主党政権のやることなすことに喝采を叫んでいたのが、メディアでした。

さて、焦点となっている八ツ場ダムですが、10月1日に来年の運用開始を見据えて貯水試験を始めたばかりでした。
本格運用前のダムの安全性確認のための「試験湛水(たんすい)」段階だったので空っぽから3、4カ月かけて満水にする予定でした。
ところがいきなりぶっつけ本番となってしまいました。
それが台風19号の豪雨です。このために水位が1日で54mも上昇し、瞬く間に満杯となってしまいました。

満水となった八ッ場ダムは、限界までほんの10mていどと迫っていました。
完成時の空の状況と今回の19号があった10月13日を並べてみます。いかにダムが大量の水を受け止めたのか分かります。

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今回19号台風に対して治水関係者は、八ツ場ダムが利根川流域の氾濫を救ったという表現はしないものき、一定の効果を上げたと評価しています。
一方、ダム反対運動家たちは効果がなかった、あるいは薄かったとしています。
たしかに八ッ場ダムが空で容量を目一杯使えたのは幸運でした。
いつもはここまでの容量がないのは当然で、今回の豪雨で八ッ場ダムに貯留した洪水は7500万㎥。
八ッ場ダムの洪水調節容量は6500万㎥ですから、1000万㎥も上回っていました。
試験湛水の初期段階であったので、1000万㎥オーバーの貯留が可能だったのです。

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八ッ場あしたの会HP https://yamba-net.org/48964/

とはいえ、今回、上流域で降雨を7500万立米もの水を蓄えてしまえたことを低く見積もるべきではありません。
また反対運動の人たちは、今回下流域で水量を減らしていないことをただの偶然と片づけ、さらには八ッ場ダム無用論の根拠にしています。
「ダム建設への反対運動に取り組む「水源開発問題全国連絡会」の遠藤保男共同代表によると、八ッ場ダムの治水効果は、河川の下流に行くほど「どんどん薄れる」という。「本当にどのくらい効果があったのか数値的に言うのはなかなか難しい」とした上で、「今まででわかっていることからすると、何トンぐらいの流量で放流したかにもよるが、せいぜい首都圏に対しての効果は、3パーセントぐらいしか調節した効果にしかなっていない」と指摘する。「ダムの直下あたりなら、それなりの効果はあったと思うが、恒常的にあんな効果が出るかと言ったら全く大間違い」(JCAST10月17日)
https://news.livedoor.com/article/detail/17247389/
今とられている治水事業は長い期間の経験によって作られてきました。
利根川は家康の行った利根川の掛け替え(東遷)というたいへんな大工事を経て、暴れ側だった大河を前胸のように銚子方面に流しています。
実にそこからざっと400年、営々と関東の治水に汗水ながしてきたのです。
この八ッ場ダムも構想から実に50年以上かかっています。なぜそんなに時間がかかったのでしょうか。
それは八ッ場ダムだけ見ていてはわからないのです。下図をご覧下さい。

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http://damnet.or.jp/cgi-bin/binranB/TPage.cgi?id=508

八ッ場ダムは見にくいかもしれませんが、左端の利根川上流に位置しています。
利根川に限らず上流域には八ツ場ダムのようてな「ダム群」が建設され、中流域には渡良瀬遊水池のような「遊水群」が受け止め、さらに下流では荒川放水路のような「放水路」や川沿いの「堤防群」で抑えています。
上流では八ッ場ダムが7500万立方メートルの水をせき止め、更に中流では遊水池が大きな働きをしました。
立命館大学環太平洋環太平洋文明研究センター・高橋学教授はこのように延べています。
「国土交通省関東地方整備局の発表(速報値)によると、渡良瀬遊水地は、台風19号に伴う雨で、約1.6億立方メートルの洪水をためた(下野新聞によれば最大貯留量の95%)。朝日新聞の報道(10月14日)によると、識者が上空から河川の氾濫状況を分析。渡良瀬遊水地に大量の水が流れ込んだという。
高橋氏は、「関宿で川が2つに分かれていて、1つが江戸川になって東京湾にそそぐ。渡良瀬遊水地が一杯ということは、少しでも利根川支流の吾妻川(八ッ場ダムの方の水)が増えると、江戸川水系に水が流れ込んでしまうことが考えられる」とみる」(JCAST前掲)
高橋氏はこのように見ています。
今回の19号では渡良瀬遊水池が今回満杯になりかけていました。
一般時には上写真のハート型の渡良瀬川が、19号で下写真のように溢れる寸前でした。


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この渡良瀬遊水池は関宿で利根川支流の吾妻川と合流して東京に流れ込みます。
そしてこの吾妻川の上流にあるのが八ッ場ダムなのです。
ということは、八ッ場ダムがないとするとすると、想像を超える水量が江戸川水系に流れ込んでしまうことが考えられました。
下写真は台風19号時の江戸川放水路です。

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「そうした(流れ込んだ)場合、荒川や江戸川にしろ、東京の下町は危険水位まで達していました。危険水位に達していない時であれば、大した問題ではない。問題は、デッドラインまで達していた時です。渡良瀬遊水地が一杯一杯で使えないとなると、利根川上流からもう少し水が流れてきていたら、現在の利根川水系ではなくて江戸川水系に水が流れ込んで、東京の下町をほとんど水没させただろう。デッドラインぎりぎりのところまで水が来ていたことで、八ッ場ダムの果たした役割は重要」と八ッ場ダムを評価する」(」(JCAST前掲) 。
そしてさらには、首都圏外郭放水路の地下宮殿のように壮大な地下放水路がゴールキーパーをになっています。
「地下約50mに建設された全長6.3kmの治水施設『首都圏外郭放水路』。『地下神殿』とも呼ばれ、中川、倉松川など5つの中小河川から水を引き込み、江戸川へと排水します。今回の台風19号では、5つすべての河川で水位が上昇したため、首都圏外郭放水路がフル稼働したといわれています。投稿者さんが見学した際には、70mの高さがある立坑に55mもの水が溜まっていたそうです。今回の台風19号では、5つすべての河川で水位が上昇したため、首都圏外郭放水路がフル稼働したといわれています」
(By - grape 10月17日)

これも通常時と今回の19号時をならべてみます。

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このように上流のダム→中流の遊水池→下流の堤防→外郭放水路が組み合わさって一本の河川の氾濫を防ぐ、これが「総合治水」と呼ばれるかんがえ方でなのです。
ですから、八ッ場ダムだけが防いだという言い方には誇張が含まれています。
それは単独にダムだけで防いだのではなく、中流域の遊水池や堤防・放水路と一体となって防いだからです。
一方、ダム不要論(悪玉論)も、ダム反対のあまりに総合治水の中で果たす上流ダムの重要性を見ない暴論です。
もっと広い眼で治水を考えて、トータルに上流から下流まで補強していかねばならないのです。
※扉写真 水を蓄えた4月の田んぼです。田んぼは小さなダムとよばれるほどの治水能力を持ちます。

2019年10月17日 (木)

ムン閣下の「勢いと判断ミスと近視眼」の総決算が近づく


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ムン閣下が最終ストレッチに突入したようです。
10月14日、チョ・グク(曺国)が辞任に追い込まれました。
かなりずぶといご仁でしたので、もっとギリギリまで粘着するかと思ったのですが、1日後に迫った国会監査から逃げたのではというもっぱらのお噂です。
選挙に出て起死回生するという情報も韓国からは流れていますが、ありえないでしょう。
今おとなしくしてもらわねば、ムン政権のほうが困ります。

さて国会監査前日でしたので、国会で偽証すれば偽証罪に問われます。
チョは、ムン閣下の「ドーンと真ん中突破しろ」方針に沿ってこの聴聞会を経ずに大統領権限で司法長官になってしまいましたから、二度目の監査まですり抜けるのは無理と観念したようです。

なんせいままでチョは泉のように湧き出る疑惑の数々に対して、一貫して知らぬ存ぜぬ、関与しちょらん、を通してきたわけで、こうなったら監査も同じように白ばっくれるのかと思いきや、いきなりの終了でした。
実はけっこうこの人、矛盾したことも平気で言っているので、もう辻褄合わせが無理だと思ったのかもしれません。
残念。もう少し粘って、ムン閣下も同じ運命に引きずり込むのかと期待していたのですが。


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https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/57532

といってもなにより、ムン政権がトカゲのしっぽ切りをやったというだけのことです。
もはやチョにはかつてのような大衆的人気はありません。
顔と肩書が大事の韓国社会で、チョのイケメン・超高学歴・大金持ちぶりは就任前まで神々しいばかりでしたが、こうまで家族、親類縁者たちのせこい疑惑がでてきてしまっては、どこの国でもお終いです。

どうせろくな身体検査しなかったのでしょうが、彼の疑惑は日本での名入りウチワを配ったなんてもんじゃありませんからね。
しかも今まで自分が他ならぬ民情長官として「ムンの紅衛兵」とまで言われていたのですから、世情の当たりが強くて当然です。
その検察に追及されている当人が検察改革とやらでその力を削ぐ改革をしようというんですから、まるでブラックジョークです。
もはやチョに検察改革をやらせて政権浮揚を図るどころか、海底に向けてまっしぐらです。

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リアルメーターの世論調査数値が出した支持率が42.5%ですが、ここは他の調査機関より10%支持率を盛っていることで有名ですので、現実には30%台の前半、あるいは既に30%を割っているかもしれません。

「文在寅(ムン・ジェイン)大統領の支持率が、2週間連続で就任後”最低”を記録した。
文大統領の国政遂行支持率は先週、40%台中盤から序盤に下落。否定評価も2週連続で最高値を更新し、50%台の序盤から中盤に上昇した。
世論調査専門機関「リアルメーター」がtbsの依頼で去る7~8日、満19歳以上の有権者1502人を対象に実施し、10日に発表した10月第2週目の集計で、文大統領の国政遂行支持率(肯定評価)は42.5%と発表。先週と比べて1.9ポイント下落した」(niftyニュース10月14日)

完全に政権のレッドゾーンに突入したわけです。
ムン閣下の四面楚歌打破作戦はものの見事に失敗し、かえって彼を追い込む結果となりました。
この国では、一回このような急落モードに入った政権はよほどのことがないかぎり、水に落ちた犬は打てのたとえのどおりの運命を辿ります。

振り返れば宮家邦彦さんばりにいえば、ムン閣下の「勢いと判断ミスと近視眼」でエイヤっとやってしまたことばかりです。
そもそも日韓関係が完全に破綻してしまった最大の原因は、徴用工(募集工)裁判をやったことですが、ここまではムンの就任前からの想定内だったはずです。
しかし想定と大きく違ったのは、日本政府が従来どおりのまぁまぁなぁなぁの「大人の対応」をしてくるとばかり思っていたことでした

安倍政権は、輸出管理規制を徴用工判決を念頭に置きつつも、安全保障上の措置という言い方をしました。実にズルい。
つまり徴用工裁判に対する本気の報復カードは使っていないという含みを残しています。
これはまだ本気出さないうちに自分で信頼回復に努力してみせろ、こちらにはいくらでも報復カードはあるぞということですから、実に腹黒い。
この期限切れが、現金化問題として12月に迫っています。

日本政府は現金化された時点で本格的制裁に入ると明言していますから、おそらくただの輸出管理規制にとどまらず、金融制裁も含まれる大規模なものになることでしょう。
これらの制裁が実施された場合、前回の輸出管理規制だけで足元が揺らいだ韓国にとって、さらなる打撃となるのは必至です。

そしてもうひとつの「勢いと判断ミスと近視眼」は、GSOMIA終了が11月に迫っていることです。
これはムン閣下の未来図にはなかったことでした。彼としてはここまでは就任前には考えていなかったはずです。
ですから、いわば「勢い」というやつでした。
その勢いとは、チョ・グクを法務大臣として検察改革をやらせ、自分の後継に据えるためでした。
チョグクを任命するために日本を膝まずかせたい一心でやってしまったのが、GSOMIA廃棄通告でしたが、ああこれがものの「勢い」というものですかね。
チョの任命も、反対する野党を押さえ込むために国会承認もなく大統領権限で中央突破してしまったのですから、ヤケッパチなのかと私は思いました。

GSOMIA廃棄を外交カードとして使えば、米国がびっくりして「日本さん、片意地はらずに、折れたらとうだい」と仲介に乗り出して韓国に有利に収めてくれると期待したんでしょうが、スカでした。
かつてのオバマは韓国に配慮して、日本に圧力をかけて結ばせたのが慰安婦合意でした。
ところが気の毒にも、二匹めのドジョウはいなかったのです。
いまや米国の韓国への感情は冷えきっており、米国はひとこと「失望した」と吐き捨てただけで、仲介どころかそそくさと在韓米軍撤収の動きすら見せ始めるありさまです。
安全保障問題を外交カードに使ってはならないという鉄則を教える外交専門家が、政権内にいなかったために起きた致命的ミスでした。

これで韓国保守派がキレました。
反日なのは保守派も一緒ですが、米韓同盟消滅だけはゼッタイに譲れない保守の最後の一線だったからです。
かくして百万人規模の反ムンデモとムン支持デモが首都を覆い尽くすという、国論分裂の騒ぎにまで発展してしまいました。

鈴置高史氏は、このように述べています。

「鈴置: 盛り上がる反政府デモを前に、青瓦台(大統領府)は曺国を辞任させるか、戒厳令を敷くか、との選択肢で考えたと思います。
2016年秋に朴槿恵弾劾デモが盛り上がった際「戒厳令を布告して運動を抑え込もう」と主張した人がいました。いまだに「あの時に戒厳令という奥の手を繰り出しておけば、弾劾もなかった」と、残念がる保守も多い。
機務司令部を解体したのも、この組織が戒厳令を検討したと文在寅政権が疑ったからです。今は政権を握った左派が「自分たちも奥の手を」と考えても、不思議はないのです」(デイリー新潮)
https://www.dailyshincho.jp/article/2019/10141900/

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この鈴置氏の分析については、ムンが戒厳令を敷くとは私には思えないのですが、左右双方とも戒厳令を考えている状況なことだけ確かなようです。

つまりはムン政権にとって、「勢いと判断ミスと近視眼」で仕出かし外交メチャクチャ四面楚歌、経済崩壊寸前、内政は分裂、という失敗の数々の総決算をするタイムリミットが、ついそこに迫ってきているということになります。
ムン閣下にあられましたは、他国に迷惑をかけることなく冷静に解決されんことをお願いします。

 

※ 扉写真 そばの花です。花が枯れると黒いイガイガに包まれた種子ができます。

 

 

2019年10月16日 (水)

千曲川洪水地点は今まで何度も大水害に見舞われていた

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チョ・グクが辞任して、いよいよムン・ロベスピエールの断頭台への道が近づいたようですがそれは次回にします。
千曲川洪水について若干の修正をいたします。

前回の記事で私は田中康夫知事の脱ダム宣言と関係づけてしまいましたが、やや短絡しておりましたので修正します。
千曲川の洪水地点はいままでなんどとなく洪水を繰り返してきている犀川との合流近辺です。

台風19号による大雨で堤防が決壊し、大きな被害が出た千曲川。専門家によると、長野市の浸水エリアの一帯は古くから洪水の常襲地帯として知られている場所だった。国土地理院が推定した浸水の深さは最大で4・3メートルに達した(朝日10月14日)

地図で確認します。


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千曲川河川事務所 http://www.hrr.mlit.go.jp/chikuma/livecamera/index...

上の地図を見ていただくとわかるように山岳地帯に源流をもつ千曲川と犀川は長野市で合流し、信濃川と名前を変え日本海まで流れています。

今回の決壊が発生した長野市穂保(ほやす)は犀川との合流地点近くの屈曲して狭くなっている手前の場所で、河川事務所が洪水の危険性がある場所として警戒をしていた地点でした。
この穂保には電柱に、「5・0メートル以上想定浸水深 この場所は千曲川が氾濫すると最大10・0メートル浸水する可能性があります」と書かれたプレートがつけられているほど、
かつて何回も洪水を起こした地点として知られていました。


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千曲川河川事務所 過去に発生した大洪水 http://www.hrr.mlit.go.jp/chikuma/shiru/kouzui/kako/index.html

上の写真は、長野市赤沼に建つ「善光寺平洪水水位標」善光寺平をおそった歴代の洪水の水位を表しています。
子供が立っている棒の一番上の印が、1742年(寛保2年)6月に起きた大洪水の時の水位で「戌(いぬ)の満水」と呼ばれているそうで近世最悪のもので死者600人を出しています。
近年では平成18年(2006年)7月にも洪水が起きています。

「この被災地のある一帯は千曲川などが運んだ土砂が積もった氾濫原と呼ばれる平野」(広内大助信州大教授(自然地理学)で、「堤防の高さが他よりも数十センチは低い所だった」(千曲川河川事務所万行康文副所長)そうです。

今回この地点に記録的大雨が降り、この大量の水の運動エネルギーは千曲川屈曲部を経て犀川との合流点に向かいました。

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「今回は千曲川の上流域に当たる、東信で記録的な大雨になりました。13日(日)9時までの48時間雨量は北相木で411.5mm、佐久で311.5mm、鹿教湯で327.5mmなどいずれも観測史上1位の記録を更新、軽井沢の332.5mmも10月としては1位の記録です」(ウェザーニュース10月13日)
https://article.auone.jp/detail/1/2/2/150_2_r_20191013_1570937583887204

上図をみると300㎜を示す紫色の丸が、千曲川屈曲部右岸周辺にに集中しているのがお分かりになると思います。
千曲川の特徴は、屈曲と盆地が連続することで、特に今回洪水を引き起こした穂保周辺は大きく曲がって犀川と座右流するすぐ手前に当たっています。
このような二つの河川が合流する地点はバックウォーター(背水)現象の起きる特徴的地形です。
かつての倉敷市真備の洪水でも典型的なバックウォーター現象が起きています。

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「未曽有の被害をもたらした原因とされるのがバックウオーター現象。豪雨などで川の本流の水位が上がることで、本流に流れ込むべき支流の水が、壁にぶつかるように流れを阻害され、行き場を失ってあふれ出す現象を指す。
国交省によると、真備町では、高梁川の支流の小田川で決壊が2カ所発生。岡山県も、支流の高馬(たかま)川などで3カ所の決壊を確認しており、いずれも川の合流地点付近という。地形的にも高梁川と小田川に挟まれてたまった水の逃げ場がなく、浸水が長引き、その範囲は約1200ヘクタールに及んだ」(2018年7月10日 上手も同じ)
https://www.sankei.com/west/news/180710/wst1807100...

千曲川と犀川の合流点においても似た現象が起きたと推定されます。
おそらくこんなプロセスではなかったのでしょうか。

①記録的大雨で両河川の水位が著しく上昇。
②犀川に対して比較水量が少ない千曲川は、犀川の水量が多いために合流を阻まれて流れにくくなる。
③合流を阻まれたために千曲川が滞留し水位が更に上昇する。
④水が堤防を越水し決壊する。

なおこのバックウォーター現象は多くの支流が合流する多摩川でも発生したようです。

 

2019年10月15日 (火)

台風19号は人災か?

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極めて広域にわたり大きな被害を出した台風19号について、情報が整理されつつあります。
今、ネットやマスコミで一斉に様々な情報が出てきていますが、その中にはあらかじめ結論を定めてしまい、攻撃対象を政治的にしたいという思惑が見え隠れします。
私はこれには賛成できません。まだ、行方不明者のすべてが発見されてもおらず、、現地調査は始まったばかりです。結論めいたことを言う段階ではありません。 
私はできるだけ、客観情報の積み重ねをして行きたいと思います。

地理的条件はおそらく多岐にわたりますが、今回の特徴は河川の決壊が非常に多かったことです。
NHKの集計によれば以下のようです。
2019年10月13日 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191013/k10012128651000.html

●決壊した河川・・・21河川・24か所
●越水した河川   ・・・延べ142河川

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NHK https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191013/k10012128651000.html
河川の決壊現象と越水をNHKは別の現象のように分類していますが、実は同じ事を言っています。
堤防の破壊現象は、2015年9月の
常総水害調査団だった土木学会の山田正(中大理工学部河川・水文研究室)によれば このようなプロセスで発生します。

①堤防に河川の水が満水近くまて押し寄せます。

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②一部の水が堤防の先端を乗り越えて溢れだします。これが越水現象です。図の右側が河川側です。

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③さらに越水が増して、堤防は役割を果たさなくなります。越水した高速の濁流は堤防の裏側の基盤を崩し始めます。

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④越水した水のエネルギーによって、堤防の裏側から崩壊を開始します。

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⑤堤防は裏側からの崩壊により薄くなりもはや、外から流れ込む水のエネルギーに耐えられず、全面崩壊します。
一度そこから堤防が崩壊すると、一気にそこから洪水が引き起こされます。
 

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今回の台風による河川の決壊の多くは、河川に想定以上の水量が流れ込んだために、水が堤防を超えて溢れだしまったことです。
そして、溢れた水が堤防内側を削り取って薄くしてしまった結果、堤防が崩壊してしまいました。

今回もこの越水現象は観測されています。
たとえば今回の19号台風で被害が大きかった千曲川のケースは、この越水現象によるものです。

気象庁によると、台風19号による大雨の影響で、午後8時50分、長野県上田市の千曲川が氾濫した。 東京都災害対策本部によると12日午後2時50分、東京都八王子市廿里町の南浅川、午後3時45分に青梅市成木の成木川がそれぞれ氾濫した。
 静岡県菊川市の牛淵川、埼玉県東松山市の荒川水系・都幾川でも川の水が堤防を越え氾濫した」(産経10月12日)

国土交通省北陸地方整備局によると、2019年10月13日午前2時15分ごろ、長野市穂保地区の千曲川の水位が上がり、堤防が崩れ始めました。

その時の画像が監視カメラに残っています。

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https://mayuponstyle.com/news/7201/

ゾッとするような光景ですが、河川の水が大きく堤防を超えて内側に侵入し始めたことが分かります。
この画像は先述した越水のプロセス図解の②に当たります。
このように堤防をいったん大規模に超えられると、堤防は内側から水のエネルギーで急速に浸食され、わずかの時間で堤防が決壊します。

では、どのように対策したらよいのでしょうか。
堤防を高くするというのは一見簡単そうに見えますし、現実に嵩上げ工事をしているところもありますが、土木学会によれば堤防丈を高くするためには堤防の基礎から下部にかけて補強せねばならず、一から構造計算をやり直すことから始めねばならないそうです。
そのうえ仮にその堤防嵩上げ工事をしようとすると、今回多摩川での決壊場所のように必ず反対運動が起きて社会問題化し、工事に至らないこともたびたびありました。

今回の19号の場合、多摩川はかつての大水害を教訓にして治水事業がされてきましたが、堤防が低い箇所あってそこから洪水が起きたという説もあります。
多摩川氾濫の因果関係は明確にされていませんから、あくまでも今の時点ではそう考えられているということです。
その工事がされなかったのは「二子玉川の環境と安全を考える会」という団体によって建設が出来なかったためです。

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このような一部住民の反対運動によって堤防建設が阻止されたケースは、2018年7月の倉敷市小田川の決壊地点にもありました。
関連記事「小田川合流視点はなぜ決壊したのか ?その歴史的背景を探る」
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2018/07/httpcommitteesj.html

私は地元で環境保全運動に関わってきましたが、環境を安全の上位に置く思想にはなじめませんでした。
住民の安全が確保されて初めて環境を考えることができるのであって、この多摩川の反対運動のように良い景観を残したいというのもわからないではありませんが、そのために大洪水になって住民の生活を根こそぎ奪ってしまっては元も子もありません。

反対運動をする人には代替案として、河道を掘り下げて流量を増やせばよいという主張する人もいますが、これでは水量がかえって増してしまい、水の運動エネルギーはそのままの勢いで合流点である河川の狭い部分に突入します。
結局、その大きな川と小さな側の合流点がある箇所から水が逆流するというバックウォーター現象が引き起こされます。

私は河川に流れ込む水量自体をコントロールするのが、合理的解決手段だと思います。
たとえばダムでは相当量の水を貯めておくことが可能で、ダムで
流入量をコントロールできれば、あるいは何度かに渡って段階的に処理することができるようになります。
ダムによって河川に一時に大量の降雨が流れ込むことを防ぐことが可能です。

今回何カ所かのダムで緊急放流が事前に宣言された時には、まるでダムが危機を呼び込むような口ぶりのコメンテーターがいましたが、真逆です。
ダムは降雨を貯めて河川流入量を減らしていたのであって、ダムがなければその分の水量はとっくに下流に濁流となって襲いかかっていたはずです。

今回の千曲川のケースの場合、長野県の特殊な地形があります。

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上の地図を見ていただければ、長野県が周囲を山で囲まれていて、その中央の盆地に市街地の長野・松本・佐久・諏訪・伊那があることがわかります。
このうち長野・松本・佐久は、今回の洪水の現場となった千曲川水系です。
つまり、長野県の北半分で降った雨は、必然的に千曲川に流れ込むことが定められているわけです。
このように周辺の山系からの降雨が盆地を流れる河川に集中して流れ込んでしまうことが、千曲川が氾濫した地形的原因です。

 さて、ここで問題となるのは、河川には流せる水量に一定の限界があることです。
今回のように想定を超える水量が河川に流入した場合、河川はその水量の急増に耐えきれずに越水現象を起こします。

上流にダムがあれば、放流量は川の流下能力を考慮して決めるので、安全に流せる量を増やすことが可能です。
ダムだけあってもダメで、ダムと堤防が組み合わさって初めて有効な治水対策となりえます。

ところが千曲川の場合、不幸にも田中康夫知事がダムを全否定してしまいました。
田中氏にかかると、ダムはすぐに埋まり「看視出来ない環境負荷を生み」「公共事業依存体質を生む」そうです。
この主張については次回に検証しますが、彼の脱ダム宣言は波紋を呼び、各地でのダム反対運動につながっていきます。
民主党政権が主導した八ッ場ダム中止もそのながれです。

このことも含めてダムの治水機能について次回に続けます。

 

 

2019年10月14日 (月)

北朝鮮、漁船の賠償と謝罪を要求

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台風19号の被害にあわれた被災地の皆様に、心からの激励の言葉を送ります。
まだ復旧はもとより、警戒水位が続いている地域もあります。事後洪水もありえますので警戒してください。
また、驚異的な強さとスピードでスコットランドに勝利したラグビー日本代表に感謝します。
これほどの励ましはありませんでした。

さてこんな時にナンですが、心温まるニュースが飛び込んできました。
日本の水産庁の漁業取締船に衝突させたあげく沈没し、全員救助され、拘留はおろか尋問ひとつされるわけでもなく返された北朝鮮が、日本に謝罪と再発防止を要求してきました。
さすがはノースコリア。やっぱりコリア。すごいぞコリア。
サウスコリアと一緒で、今度は加害者がいきなり被害者に変身して今度は救助してもらった礼を言うどころか、謝罪要求と再発防止ですってさ(爆)。

「[ソウル 12日 ロイター] - 北朝鮮外務省は12日、能登半島沖で7日、日本の水産庁の漁船取締船と衝突して沈没した北朝鮮漁船について、日本は賠償すべきだと強く要求した。朝鮮中央通信社(KCNA)が報じた。
kCNAによると、北朝鮮外務省の報道官は声明で、故意に衝突した犯罪的な行為だと指摘、将来このような事案が発生しないよう日本は対応すべきだとした。
報道官は「日本政府に沈没船の損害補償を強く求める。このような事態が再び起これば日本は望ましくない結果に直面することになる」と指摘。
漁船が急旋回したため衝突したとの日本の主張に対しては、通常の航行状態だったと反論、「日本は意図的な行為を正当化しようとしている」と非難した」(ロイター10月12日)

やりますなぁ。他国のEEZ内で堂々と違法操業しておきながら、同じことをロシアや中国で相手にすれば容赦なく即座に銃撃、拿捕・漁船没収、漁船員長期拘留、巨額の罰金を課せられるでしょうに。
これは中露が異常なのではなく、こちらのほうが国際的非常識なのであって、日本のように取り調べもしないですぐに返すほうがおかしいのは確かです。
このていどて済ませてしまうから、またやってくれというようなものです。
この日本の腰の引けた対応に気をよくしたのか、北朝鮮は紳士的に救助してやったことを感謝するどころか、居丈高に謝罪と賠償要求してきました。密漁にきておいて、再発防止とは泣けます。

場所は、世界有数の漁場と言われる日本のEEZ内の大和堆(やまとたい )です。

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「日本の排他的経済水域(EEZ)にある日本海の「大和堆(やまとたい)」周辺での北朝鮮漁船による違法操業問題で、北朝鮮船が9月以降、周辺海域に再び現れ、海上保安庁が延べ約700隻をEEZ外に排除したことが14日、分かった。北朝鮮船は8月中旬に周辺海域から姿を消したが、1カ月を待たずに平穏は破られ、いたちごっこが続いている」(産経10月15日)
https://www.sankei.com/world/news/171015/wor1710150018-n1.html

北朝鮮が、日本が国際海洋条約で保護されている日本のEEZ(排他的経済水域)を犯したことは明白です。
EEZ内においては、沿岸国が漁業権の主権的な権利を持つたとが可能で、いうまでもありませんが、北朝鮮の漁船による操業は違法行為、あるいは密漁です。

ですから日本は、本来わが国漁業者が得るべき漁業資源を盗まれたわけですから、北朝鮮から賠償を要求されるどころか、逆にこちらが賠償請求すべき事案です。

ただそれができないのは、北朝鮮が国連海洋法条約を批准していない無法国家であることです。
これはおそらくは北朝鮮が意図的に仕組んでいることで、国際法を批准していないから、他国のEEZを荒らしてもおとがめナシだーいと勘違いしているようです。

いかにも北朝鮮らしいふるまいですが、もしそうなら世界中の海はどこもみな北朝鮮の漁場になるわけで(わけねぇだろ)、さすが私的所有権と国境を否定するプロレタリア国際主義らしいロジックです。
ただしこの考えでいえば、北朝鮮の権益が保護される海もまた世界中どこにも存在しないということになってしまいます。

ならば自分の国の海洋権益もありませんから売るものなどないはずですが、不思議なことに北朝鮮は自分の国のEEZを中国に売り払ってしまっています(笑)。
さぞかし商売上手な中国に買い叩かれたことでありましょう。
だから自分の国のEEZで獲ろうにも獲れないというお粗末の一席で、これが他国のEEZにまで密漁をしかけてくる最大の原因です

さてこの日本側は水産庁の漁業取締船『おおくに』ですが、ネットでもなぜ拿捕しないで返したと非難している者がいますが、無理いいなさんな。
なぜならこの水産庁の漁業取締船『おおくに』は、そもそも水産庁の保有する船舶ではありません。
民間から借り上げられたもので、乗組員も20人が民間人で、水産庁の職員は監督官が1人だけでした。
水産庁には漁業取締船が44隻ありますが、そのうち37隻は民間の船を使用していますから、民間人主体の乗組員にどんなブッソウな銃器やロケット砲を隠しているかわからないような北朝鮮の漁船を拿捕できるはずないでしょうに。

北朝鮮の「漁船」のかなり数が工作船であることを忘れましたか。
それに漁船員といっても、彼らのほぼ全員が北朝鮮軍の腹っぺらしの兵隊ですので、おそらく銃器も携行していたはずです。
それを民間人主体の取り締まり船が、警告射撃しろ、拿捕しろ、日本に引っ張ってこいなんて無理言わないでください。殺すきですか。

衝突の状況は、動画を公開予定だと首相が言っていますから、おっつけ見られるでしょう。
水産庁はHPで状況を静止画で公表しています。
http://www.jfa.maff.go.jp/j/kanri/torishimari/tori...

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下がその一部です。

一定距離をあけて、『おおくに』が北朝鮮漁船を警告放水して制止させようとしています。
『おおくに』の右舷に北の漁船がいるのがわかります。

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しかし、北朝鮮漁船は警告に従うどころか、『おおくに』に幅寄せしてきます。
下の写真をみれば、棒を伸ばせば触れるほどの距離まで接近させていることがわかります。
こういう位置関係で左側にいる『おおくに』に対して左に舵を切れば、そりゃぶつかりますよ。
おそらくかつての尖閣の時の中国漁船のように、故意に衝突させて取締船を脅そうとしたのでしょう。

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結果、ボロの木造船ではなく、鉄製の船のせいで妙に自信があったようですが、哀れ自分の方が木っ端みじんになって沈没してしまいました。
操舵を誤ったのか、ぶつけて逃げるつもりだったのか知りませんが、漁船員は海に逃げ出すのがやっとだったようです。
ちなみに漁船員は60名という多数ですが、これは自動化されていて少人数で漁業ができる日本のイカ釣り船とちがって、全部手作業なためにやたらと人手を食うからだそうです。
それはさておき、心優しい水産庁さんはこんな乱暴者を全員海から救いあげ、着替えをあげて、暖かいスープのひとつも飲ませてやった上で、北の僚船に引き渡してやってのですから、シーマンシップの塊のようです。

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東京新聞

では日本に連行してこなかったについては、先述したとおりです。
監督官が1名乗り組んでいるだけで、ほかは民間人で、しかも北の「漁船員」のほうが人数も多いときています。
海保のように小火器を携行しているわけでもない丸腰の取り締まり船では無理無理。

これは本来は海保がすべき仕事なのです。
しかし密漁に来る外国漁船が年間17700件もあるために、海保はヒトもカネも足りないから水産庁が穴埋めしているにすぎません。

日本の周辺海域では近年、外国漁船による違法操業が年間1600〜1700件余り確認されている。特に大和堆周辺での北朝鮮漁船による違法操業の増加はすさまじく、2018年に水産庁が退去警告を行った件数は、この6年間で約12倍の5315件にのぼる。 
 昨年1年間に北海道のオホーツク海周辺から日本海、九州、沖縄にかけて押収された密漁漁具は、2000個以上にのぼっているほか、北朝鮮以外にも、中国や韓国、ロシアの大型トロール漁船も増加している現状だ。
 このため水産庁は2018年1月に違法操業を専門に取り締まる漁業取締本部を設置。今年4月には漁業取締課を立ち上げ、札幌、仙台、新潟、境港、神戸、福岡の6カ所の支部で対応にあたってきた矢先のできごとだった」(ハザードラボ10月7日)

では海自を出せというメチャチクャなことを言う人もいますが、それでなくても相手の船が北の軍人かもしれないというのに海自を出したらいきなり局地戦争になりかねません。
漁業取り締まりなどにはグレーの船ではなく海保の白い船が行うというのが、戦後にできた国際的な知恵なのです。
尖閣防衛も同じで、中国が海警を出しているから日本も海保をだすというそれに見合った比例対応をしているのです。
中国が領海にグレイの船を入れきたら、わが国もグレイの船で対応すればよいのです。

しかし、日本はこのような激務に耐えている海保にケチりすぎです。
下図でおわかりのように、海保は世界第5位の領海とそれにつながる広大なEEZをもちながら、わずか1689億円という小規模な予算に甘んじています。

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海上保安庁レポート2003 https://www.kaiho.mlit.go.jp/info/books/report2003

海保が「海の警察」とするなら、「陸の警察」である警察庁の予算額は総額3兆3,701億8,200万円ですから、海保予算は20分の1ていどと小さな県警ひとつ分ていどにすぎません。

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海保の主力を尖閣に貼り付け状態にしている沖縄県は、振興予算が3010億円もありますかららざっと2倍です。
デニーさん、お世話になりっぱなしの海保に少しは融通してやってもバチがあたりませんよ。

このような貧乏所帯の海保はやむなく、これまた貧乏所帯の水産庁にお願いしてEEZ警備をしてもらっているわけで、海保予算の倍増、いやひと桁上の予算をつけないかぎり、このような無理が続きます。

 

2019年10月13日 (日)

日曜写真館 朝雲

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なんとか超大型台風が通過してくれました。二個とも村の上を通過しました。停電、断水、強風、豪雨。今はこの川も決壊しかかっています

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蓮根田んぼへのちいさな道ですガ、ここも今日は池になっています

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少し前の稲刈りを迎えた田んぼが、なぜかずいぶん昔のような気がします

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すさまじい台風でした。わずかの期間をおいてなんと超大型が2回も来るとは。
ただし、今回、関東地方は全身で身構えていました。
15号の教訓を生かしていたようです。
たとえば徹底してあぶなそうな樹は台風前に切っておいたようです。
これだけで倒木によって道が塞がれたり、電線が切れることが劇的に減りました。
ライフラインが生きていればなんとか生き延びられるということは、大震災で分かっていましたから。
大震災、15号、19号台風、被災馴れしていくようでコワイ(苦笑)。

復旧にがんばっている被災地の皆さん、頑張って下さい。

2019年10月12日 (土)

デニー談合疑惑でヒビが入り始めた「オール沖縄」

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今回の談合疑惑について、野党は百条委員会による徹底究明を求めましたが、県政与党は態度保留のまま逃げるつもりのようです。
ひとことでいえば自信がないんでしょうね。
全会一致で百条委員会をする予定だった野党は、いったん設置について見送りました。

まぁ普通に考えれば、なんの問題もなければさっさと応じて潔白を晴らせばいいだけのことで、こんな対応をするということはまだなにか隠していることでもあるのかと思いますね。
たとえばあの前夜の会合で何が話題になったのかについては職員のヒアリング記録が提出されるでしょうから、複数の職員の記録を突き合わせれば、なにが当日の酒宴の目的だったのかわかるはずです。
万国津梁会議の契約とはなんの関係もなかったただの「私的な親睦会」だったのかどうか、はっきりさせましょう。

百条委員会といえば苦い記憶があります。
かつて仲井真氏が受け入れを容認した時など、老齢な上に病気で倒れていた知事を百条委員会で連日つるし上げたのはどこの誰でたっけ。
あの時、私は仲井真氏を殺すつもりかとすら思いました。
それをやったのはなにを隠そう、今県政与党に座って百条委員会を拒否している共産党、社大党、社民党の皆さんです。

デニー氏は仲井真氏とは違い、若くてピンピンしていますが、なにか百条委員会をやれない理由でもあるのでしょうか。
あるとすれば、当夜の参加者であり、かつ談合の当事者である徳森、鈴木両氏と連絡がつかないということでしょうか。

さて、共産党を筆頭とする「オール沖縄」陣営は、脇が甘いタレント知事に嫌気が指してきていることに疑う余地はありません。
そもそも「オール沖縄」の中心である共産党などが望んでいたのは、現場で身体を張って阻止にうごくような泥臭いタイプで、しかも「オール沖縄」のいうがままに操縦できる人物でした。

デニー知事の目玉政策の万国津梁会議など、数十年間反対運動をしてきた彼らからすれば、ただのインテリの遊びくらいにしか見えないはずです。
実際、県の「第1回米軍基地問題に関する万国津梁会議(令和元年5月30日開催)」 議事概要(PDF:137KB を見ると、柳沢協二氏やマイク・モチヅキ氏、孫崎氏など、人選が徳森氏が所属するND一色で染め上げられています。

その彼らインテリは、こんなことしか言わないのですよ。

「委員 米中の秩序を巡る争いに日本は巻き込まれざるを得ない。その文脈で中国を脅威と考えると、抑止力が崩れた場合、どこにミサイルが飛んでくるのか、米軍のいるところに飛んでくる。抑止イコール安全ではない。抑止力によって戦争の脅威が無くなるわけではない。戦争の恐怖から解放されることが積極的平和であれば、根元の国家間の問題をどのように解決するか」

要は、米中関係が改善されなければ沖縄の基地問題は解決できないですか。ため息が出ますね。
あたりまえじゃないですか。いっそう悪化する米中関係、韓国の自由主義陣営からの脱落を受けて、沖縄基地の役割がいま以上に重要になってきている時に、「国家間問題をどう解決するのか」なんて他人ごとのように言われてもねぇ。

こんなことを「提言」すれば、政府はその言葉をそのまま使って、「だから今、普天間移設を漂流することはできないのです。外交・安全保障案件に県は口ばしを入れないで欲しい」と返してくるでしょう。

知事選の焦点を移設反対に置いていたデニー氏は、たしか「移設問題の合理的解決方法があります」と言っていましたね。
1年たちましたが、ケチケチせずにどうぞ「合理的移設解決案」を見せて下さい。
デニー氏がやった初仕事は県民投票でした。
これについて翁長知事はさんざん「オール沖縄」からせっつかれながら重い腰をあげませんでした。

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https://www.asahi.com/articles/ASM2R52Z1M2RTPOB003...

で、デニー知事はやったわけですが、そもそも県民投票は反対の人だけが行くような性格にもかかわらず得票率52%、反対43万ですから、大田知事の基地反対の実績である59%、48万から減らしてしまったわけです。
県の税金を使って連日うるさいほどのコマーシャルをしても、来るのは5割ギリギリだったわけで、それの7割が反対ということは、見た目はスゴイですが、実は投票率5割のうちの7割にすぎませんから、純粋に反対した県民は全体のわずか37%ていどだったということになります。

こんな結果に驚いた野党・メディアは、このからくりには触れず「7割が反対」だけを強調してプロパガンダに使い回しました。
そもそもなんの法的拘束力もないのですから、宣伝に使うしかないのですよ。

つまるところ純粋に移設に反対している層は4割を超えず、県民の6割は容認しているか無関心だということを政府に教えてしまいました。
あーあ、あんなもんやらなきゃ、
「大多数の県民の反対を押し切って」なんて言えたものをね。

あとはなにかデニー氏がやったのでしょうか。う~ん、思い出せない。 

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出典不明

トークキャラバン以外に強いて取り上げるとすれば、今年3月にあった安倍首相との2回目の会談で、岩礁破砕訴訟を取り下げると言ってしまったことです。
これは翁長氏がしまくった乱訴のひとつで、なんどでも同じ事案を蒸し返し、その都度県の承認を求める遅滞戦術でした。
翁長氏としてもこれしかもうやることがなくなっていたのですが、やらなければ「オール沖縄」がついてこないからしていただけのことです。

その翁長氏の苦渋の戦術を、デニー氏はいともあっさりと独断で覆してしまいました。
さぁ、共産党の怒るまいことよ。

「これに対するする事前通告がなかったことに不信感を募らせた与党3会派の代表者らは19日夕、謝花喜一郎副知事を呼んで経緯の説明を求めた。謝花副知事は「昨年から弁護士と協議し、知事も上告を取り下げた方が良いと考えていた」と明かしたが、与党幹部は「我々の後ろには県民の闘いがあり、世論があり、選挙がある。重大なことを、なぜ相談しないのか」と反発した」(琉球新報3月20日)

この時、デニー氏はたぶんNDの意見に従ったはずです。
NDの代表の猿田氏は、かねてから移転問題を「国民の意見に耳を貸さない安倍政権」という言い方をしており、沖縄県と政府の対立をただ「話あいを求める沖縄県vs話あいに応ぜず工事を強行する政府」という薄っぺらな構図で捉えていたようです。
もちろん違います。これでは20年かけて移設候補地が迷走したことを説明できません。
迷走したのは、耳を傾けないどころか地元の意見に耳を傾けすぎて、利害が錯綜したからです。
国が強権でやっていれば、成田空港のように実力でさっさと移転を済ませられたのです。

政府はそんな対立の構図を作りたいデニー知事の意図なんかとっくに読み切っていましたから、頻繁に請われる都度こころよく会談してきたのです。
このようにデニー氏がやってきたことはことごとくスカなくせに、反対運動のプロを自認する「オール沖縄」に相談もしないでやってしまうことにほとほと愛想が尽きかけていたようです。

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そうそう忘れていました。フジロックフェスで平和を歌ったなんて余興もありましたね。CCRとディランを歌ったとか。ああ歳が分かる(笑)。

「歌に先立つトークコーナーでは、ジャーナリストの津田大介氏、沖縄の人気バンド「ORANGE RANGE」のベースYOHさんらとステージに登り、米軍専用施設が沖縄に集中する現状を紹介。「辺野古は絶対に認められない。これ以上、子どもたちに米軍基地を押し付けることはできない」と強調。日米地位協定改定の必要性にも言及した」(東京7月29日写真も同じ)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201907/CK2019072902000124.html

ここでも愛知ナンジャラで虚名を売った金髪のアジテーターこと津田大介さんとのトークで、デニー氏は平和を訴えたようですが、だからナニ?
あなた知事という行政官で、反戦フォーク歌手(死語)じゃないのよ。
元本職のデニー氏に「アイ・シャル・ビ・リリースト」なんて謳わせるより、故翁長さんに鳥羽一郎の『兄弟船』でも歌わせたほうが迫力があったんですがね。

そして反対運動の目玉としてデニー氏が出してきたのが、この万国津梁会議 だったわけですが、たぶんなんの成果も出ないはずです。
元官僚というだけでまったく政府に影響力のない柳沢氏や孫崎氏のような人物が何を提言しようと、現実の反対運動にはなんの影響も与えないでしょうし、ましてや政府に至っては聞いてもいないでしょう。

インテリがなにかモゾモゾ言っているというくらいで、そもそもシンポジウムなんて実際の政策の装飾品みたいなもので、巫女さんのご託宣を頂戴して箔をつける性格のものなのですよ。
しかしその実際の政策が欠落しているのに、箔だけつけてどうすんの?

ひとつひとつ見るとわかりにくいのですが、こうして並べて流れをみると、NDが主導したということがよくわかるはずです。
それはひとことでいえば、いわゆる「意識高い系」イベントです。
トークキャラバンは徳森氏がやっていた高江キャラバンの延長、フジロックはいかにも彼ら好みの若者向け企画そのもので、そして万国津梁会議などは政策提言集団を自称するNDのオハコときています。
これは総決起集会、デモ、座り込み、ピケ、訴訟などと、半世紀まったく変わらない「オール沖縄」とは異質です。

この昭和の匂いがたちこめる「オール沖縄」からすれば、デニーよ、お前の仲間は真面目に反対運動やる気があんのかと内心思っているでしょう。
自分を当選させた「オール沖縄」には最低限の挨拶しかしないくせに、翁長氏のやったことをぶち壊しやがって、何をしたいのかと思ったらガキ相手のお遊びかい、言葉は悪いですが、「オール沖縄」のオジさんたちがそう考えていることは想像に難くありません。

そのうえに岩礁訴訟を取り下げたので、今後類似のイヤガラセ訴訟を起こしにくくなります。
唯一政府が嫌がったのはこういうネチネチしたけちつけ訴訟で、政府からすれば勝つのは分かっていても時間と手間をかけさせられるので作戦としてはそれなりに実効性があるのです。
その武器を自分で捨ててどーすんの、といったところでしょうか。

たぶんデニー氏は気がついていないでしょうが、「オール沖縄」からすれば、軒を貸して母屋を乗っ取られたような気分だったことでしょうね。
誰に乗っ取られたって?もちろん外来者のNDにです。
その挙げ句、徳森氏らを近づけすぎてとうとう談合疑惑までやらかしやがって、もう知らんわ、勝手にさらせ、2期めはないと思え、と思っておられることでありましょう。

というわけで、どこまで「オール沖縄」がデニーさんを守るのかぬるく見守りましょう。

 

 

2019年10月11日 (金)

デニー知事と徳森氏の談合疑惑

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昨日の記事に投稿していただいたコメントが反映されずに申し訳わけありませんでした。
ニフティから障害が出たとレポートが来ていますが、こちらで復旧するしかないようです。
一部は私が復元しましたが、山路さんなどのものがスパム扱いとなったままです。まったく、もう。

記事として反映させていただきます。山路さんのコメントです。

「県総務部長は「会食には利害関係者はいなかった」と答弁しています。これは明らかな虚偽答弁です。委員会では与党(オール沖縄)側の二名が退席する事により、徳森・鈴木両名の参考人招致が決定しています。
ところが、議会事務局が参考人招致すべく二人に連絡するのですが、徳森氏は連絡がとれず、9/30日に請負した業者は徳森が沖縄の責任者であるにもかかわらず「退職した」として、居所も不明としています。 全く、奇々怪々としか言いようがありません。先の委員会で退席した与党議員についてですが、事実上招致に賛成している事から、様々な点でオール沖縄に亀
裂が入っていて、それが顕在化したとの見方をする向きは少なくありません」

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https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/478485

さて、山路さんも指摘されていますが、県総務部長の「担当部署ではないから倫理規定違反には当たらない」などというとぼけた答弁は知事をヒラメのように忖度したもので許せません。
こんなスチャラカ答弁をしたら、かえって油に火を注ぐようなものだとわからないのでしょうか。
それを報じる沖タイ(10月10日)です。

「玉城デニー知事が「万国津梁会議」の支援業務を受託した業者側と会食をしていた問題を巡り、金城弘昌総務部長は9日、県議会会派の沖縄・自民(島袋大代表)が求めていた県職員への聞き取り調査の結果を回答した。人事課は知事公室の職員が同席していたことに「職員倫理規程の違反行為には当たらない」との見解を示した」

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https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191007-004806...

総務部長、なにを言っているのですか。担当部署じゃなかったから職務規定違反じゃなかった、ですって。馬鹿か。
そもそも今問題となるのは、県職員の職務規定ウンヌンなんてせせこましいことじゃありません。

知事の側近である徳山りま女史が企画したのが万国津梁会議でしたが、それを受託したのがその関係者だったのです。
しかも応募したのは一社、競争なしで落札。その会社は公募の少し前に県外から移転したばかりのペーパーカンパニー。
まさに典型的な談合の構造です。
その疑惑を上書きするように、知事はこの側近や受託業者と契約日前夜に祝宴を開いていたのです。

デニー知事は「知らなかった」と記者会見でいい、それと口裏を合わせるようにして総務部長も「契約日前夜であったことを知事に教えていなかった」などと見え透いたことを言っています。
馬鹿いいなさんな。ありえません。

あの酒席には、側近でこの疑惑の中心人物であるこの徳森女史自身が顔を出していたのですよ。
徳森女史は言わずと知れたデニー知事の最側近。受託業者の鈴木理恵氏とは同じNDの理事仲間の間柄です。
ND(外交イニシャチブ)は提言集団という装いをしていますが、実態はいまや政治団体です。
つまりはなんのことはない、同じ政治団体関係者間で3400万の公金をころがしていたわけです。
それをデニー知事が知らないわけはありません。

その鈴木氏が新規開設した法人名からして「万国津梁会議設置等支援業務スタートチーム」ですから、まるで公職名のようです。
これを見ただけで、初めから「スタートチーム」に納まる予定で設置された法人だとわかります。

官庁の公募にはいくつか種類がありますが、今回は官庁調達関連ですので、会計法第29条の3第1項に基づいて一般競争入札だと思われます。
この公募を県外者が知ることは至難です。
県の官報をしょっちゅう閲覧している県外者なんてそうざらにいませんからね。
ですから事前に公募があるということを何らかの方法で選考側関係者から聞いたとかんがえるのが自然です。
推測ですが、徳森女史あたりから、鈴木氏に「あなたのところに落したいんで、県事業だからいちおう公募書類を出しておいてね」、なんて言われてやったことでしょう。

この受託した団体は県内ではなく、徳森女史と同じNDの理事をしている鈴木理恵氏がやっている山形の「子ども被災者支援基金」という名称の法人で、とうぜんのことながら県内活動実績はゼロでした。
登録されたのは公募の2カ月前ですから、受託団体が県内の活動してこの公募を知って応じたのではなく、逆に公募を知って県事務所を作ったのです。
ちなみに徳森女史はこの鈴木氏が作った山形の基金の沖縄代表もしています。
鈴木氏は徳森女史の沖縄事務所に同居し、一方徳山側は鈴木氏の団体の理事も勤めるというわけで、まるで金太郎飴です。、
とうぜんのこととして、この鈴木氏の沖縄事務所は活動しておらず、ただのトンネル会社の疑いが濃厚です。

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https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/479607

整理しておきましょう。
徳森氏は、デニー知事の選挙戦において、番外扱いで名も出なかったデニー氏に着目し、革新陣営の候補者選考に押し込んだ立役者でした。
当時、翁長氏の急死によって後継候補を自力で立てることができなくなっていた反基地陣営は、この徳森女史のデニー案に飛びつきました。
デニー氏は選挙にも強いし、タレントとしての知名度もある明るいキャラで、翁長氏のように何を考えているかわからない人物と違って、神輿となんとかはかるいほうがいい、という選択でした。
そこで軽いデニー氏に箔をつけるために考えたのが、あの怪しさムンムンの「翁長遺言」でした。
今となると、ありゃフェークでしょうな。

ここで徳森女史が県政に登場することになります。
女史は知事就任以後も、トークキャラバンやフジロックフェスなどの若者向きの企画を作り続けました。
徳森女史はいままでも市民運動家でしたが、ここで初めて県の権力と結びつき、そのカネを動かすことを覚えます。

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沖縄タイムス

彼女の関わったトークキャラバンには県の公金が1043万を支出されています。
今、問題となっている
万国津梁会議も企画段階から立ち上げたメンバーであって、実質この企画の責任者の役割をしていました。
ここにも2400万の公金が県から出され、ND関係者は都合3400万を得ています。

徳森女史はとうぜんのこととしてこの万国会議の事務方として、スタッフ公募があるこを知り得る立場でした。
女史がその立場を利用して、公募情報を鈴木氏に事前に教えたと思われます。
それはNDの「同志」だったからです。
だとすると、これは
関係者による利益誘導、ないしは談合と呼ばれてしまいます。

県が運動家とかかわることは違法ではありません。
行政ができないこともあり、逆に運動サイドができないこともあるからです。
しかし県のカネに関わることには一線を画さねばなりません。
タクスペイヤーたる県民に対して、常に説明で可能な透明性が要求されるからです。

今回のように特定の政治団体の関係者で公金をやりとりするようなやり方は、談合ではないかという批判を受けて当然です。
ましてや契約前夜に「酒宴」を開いては、談合疑惑を自分で証明しているようなものでシャレにもなりません。

このような疑惑を晴らす説明義務がデニー知事と徳森氏にはあります。

 

※  大幅に加筆して改題しました。すいません。

 

2019年10月10日 (木)

デニー知事、尻尾を出す

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デニー知事は就任以来、なにもしていません。元タレントだけあってなにかと笑顔をふりまくのはいいのですが、なにかしたのかと言われれば、実効性のあることをこつこつ積み上げるというよりも、彼の取り巻きたちとの間で楽しく遊んでいるとしかみえない風情です。

たとえば全国キャラバンです。
「We love OKINAWA デニー知事キック・オフシンポジウム~沖縄の声を聞き、皆で考えてみませんか?~」と、従来の左翼陣営なら移転阻止総決起集会なんて昭和の香りでいくところを、なんか今風にやりたいという気分だけは伝わってきますが、なんのことはないただのトークショーにすぎません。

宜野湾くれない丸さんも書いておられましたが、定員の規模が東京ですら100名ていどと小規模な上に、何をしたいのか趣旨が見えてきません。
実のある
反対運動の拡大につなげるというより、オレ、やってますからというアリバイ作りの臭いが濃厚です。
関連記事「宜野湾くれない丸氏寄稿 デニー知事のキック・オフシンポジウム」
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2019/07/post-2fe652.html

余計なお世話ですが、こんな出張トークショーなんてしている間に、どんどんと埋立は進み、既成事実は積み重なっていくわけです。
仮に政府がここで工事を止めたとしても、原状回復には膨大なコストがかかってしまうのに、今更「キックオフ」してどうするんですか。
要はデニーさんには本気で止める気はないし、止める能力も元々なかった、ということです。
ちなみに
このキャラバンはデニー氏の自腹でやったなら文句はいえないのですが、県の支援事業として1000万が支出されています。

そんなデニーさんを動かしているのは本土のND(新外交イニシアチブ)と名乗る集団です。
このNDは猿田佐世氏という女性弁護士が率いるヒダリ方向の人たちが集まった団体です。

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上のNDのHPを見ると、評議員として鳥越俊太郎氏、山口二郎氏と並んだだけでそうとうにゲンナリしますが、それに沖縄からは元沖タイの論説委員だった屋良朝博と後述する市民運動家の徳森りえ氏と鈴木理恵も評議員に並んでいます。
そしてスタッフとして、ハンガーストライキをした「辺野古県民投票の会」代表の元山仁士郎氏が加われば、この団体が目指す方向は特に説明の必要はないでしょう。

このNDの代表の猿田氏は、2018年に鳩山由紀夫元首相や枝野幸男立憲民主党代表の訪米を企画・同行した」と記しているのですが、同じように昨年11月の玉城知事の初訪米にも同じ役割を果たしたとみられています。
また
NDはデニー知事の訪米のみならず、 「駐米沖縄大使館」の設置にも関わっていて、ワシントンでのロビー活動に助言を与えています。
就任直後からデニー氏の影には猿田氏とNDが見え隠れしているわけです。

いやそもそも元々革新知事候補として番外扱いだったデニー氏を、いきなり本命に引き上げたのが、NDの創設期からの理事だった市民運動家・徳森りま氏です。

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徳森りま氏

徳森氏は朝日の「論座」でこのように述べています。

「大学院を修了後、「島ぐるみ会議」という沖縄の市民団体に事務局スタッフとして関わり、名護市・辺野古へ座り込みに行く市民らの支援や、故・翁長雄志前県知事が国連人権理事会へ参加した際の随行サポートを行った。
機動隊に力づくで市民が排除されていく抗議活動の現場に毎日通い、21世紀の日本で起きている国家的暴力を目の当たりにした」
https://webronza.asahi.com/journalism/articles/2019061800003.html?page=2

そして左翼政党間の揉め事で候補者が決まらない革新陣営にしびれを切らして、候補にも登っていなかったデニー氏を「市民候補」として担ぎ上げようと元山氏らと動きます。

「翁長知事が亡くなって数日が過ぎた後も、知事選の候補者選考は一向にまとまらず県民は気を揉んでいた。そうした中、「辺野古」県民投票の会代表の元山仁士郎さんやSEALDs RYUKYUで活動していた後輩から、一緒に会って話をしたいと声をかけられた。
実は、2018年春に翁長知事のがんが明らかになった時に、市民の間では後継者候補として当時衆議院議員だった玉城デニー氏の名前がささやかれていた。しかし、政党や組織からなる「調整会議」の人選関係者の間で彼の名前が議論されることはなかった。そのことが頭の片隅にあった私は、集まりの中で事情を話してみた」(徳森前掲)

つまり、デニー氏を見つけ出したのは、彼ら徳森氏や元山氏などのNDがらみの人たちやSEALDs RYUKYUの人たちであって、翁長氏の「遺言」ではなかったようです。
現在、
この徳森氏は就任した後も、デニー氏の「私設秘書」とよばれるほどの側近となっています。

このNDが企画したのが、今問題となっている「万国津梁(ばんこくしんりょう)会議」でした。
ここに県の受託事業として本年度予算から約2400万円が計上されています。

彼らの企画が政治的に実効性があるかと問われれば、たぶんに気分的なフワフワした綿菓子のようなものでしょう。
たとえばトークキャラバンはデニー知事の本業のDJの延長でしかありませんし、フジロックフェスへの登場など売名行為の匂いすらあります。
皆、いわゆる市民運動にいる若者が思いつきそうな安易な企画ばかりでした。
この流れから、実際にはシンポジウムくらいしかやることのない
万国津梁会議がでてきます。

デニー県政からNDに対して1043万の委託契約が結ばれており、さらに彼らが企画した万国津梁会議には2400万円もの公金が支出されています。

どうやらデニー知事や徳森氏にはわかっていないようですが、市民運動と県政とは一線を画さねばなりません。
徳森氏や元山氏といった運動家が、何を考えてどう活動しようがまったく自由です。
ただし、その活動に県を関わらせて、そこに県の公金を支出させるとなると違う次元となります。
つまり、ただの玉城デニー氏個人と徳森氏とのプライベートな関係ではなく、予算を要求した時点から県と受託事業者との関係に変容しているわけです。

県は4月に万国津梁会議のスタッフを公募し、1カ月後に締め切ったのですが、初めから出来レースで1社しか名乗りを上げず、それも県外で活動してこの1月に沖縄に事務所を開設したばかりの鈴木理恵氏を代表とする団体でした。
この団体には実態がなく、トンネル会社の疑いがもたれています。
この鈴木氏の団体は初めから万国津梁会議開設でスタッフを募集すること知って県外から来訪し、これに応募したことは明らかです。
想像をたくましくするまでもなく、公募に対して1社しか応募していないのでは、徳森氏らデニー知事の側近の誰かから事前に公募情報を漏らされたからとしかかんがえようがありません。
なんのことはない、これではただの出切れレース。やらせ、県政の私物化です。

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上の写真は県職員のフェースブックからのものですが、知事の右横にいる「受託業者」と書いてある人物が徳森氏です。
元来が万国津梁会議は初めから徳森氏らNDが持ち込んだ企画で、さらには自分たちで運営を牛耳るために鈴木氏らスタッフ要員までも引き込んだのだと思われます。
呆れたことには、この鈴木氏の沖縄事務所とNDの沖縄事務所の住所は一緒です。

つまり、デニー知事を作ったのはこのNDと名乗る政治団体で、就任以後はトークキャラバンやフジロックフェス出演を企画し、さらには万国津梁会議の企画を持ち込み、スタッフも独占したわけで、それにデニー県政は税金をつぎ込んでいるわけです。
だとするならば、一政治団体に対して県から都合3400万もの公金が流れた事になります。
これでは特定政治団体に対する地方自治体の支援と批判されてもいたしかたありません。
自分を知事にしてくれたNDに対する「デニーの恩返し」なのでしょうか。

県政は公金支出がからむ事業者に対して、必要以上の便宜を計ってはならないのはあたりまえで、今回のことは県政の私物化以外の何者でもありません。
それを象徴するが、上の写真の「接待」風景です。
県知事が契約日前夜に自分の息のかかった受託業者からこんな
「接待」を受けてしまっては、まさに官業癒着の構図そのものです。
デニー氏側は契約の前夜だと知らなかったと言っていますが、自分の最側近の徳森氏が同席しており、彼女がこの万国津梁会議プランの実際の責任者であるのに、そんなわきゃありませんって。

デニー知事はNDとの関係を県民に明らかにし、1043万もの税金が何に使われたのか、今後2400万が何に使途されるのか、そして契約前日に彼らと祝杯を上げていた理由を県民に明確に説明すべきです。

 

 

2019年10月 9日 (水)

韓国の国論が分解した

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韓国の国論が二分したようです。

「韓国の首都ソウルで、想像を絶する大規模集会が開かれた。最大野党「自由韓国党」が3日、チョ国(チョ・ググ)法相の辞任や、文在寅(ムン・ジェイン)政権の打倒を訴える集会を開いたところ、「300万人以上」(同党広報室)が集まったというのだ。退役軍人会や、キリスト教団体、大学教授、学生らも参加した。チョ氏周辺のスキャンダルや、韓国経済の危機的現状、北朝鮮主導の「赤化統一」への警戒・拒否感から、文政権への批判が一気に高まっている。識者は「文政権崩壊の時限爆弾に火を付けた」と語る。隣国はまた動乱期に突入した」(ZAKZAK10月5日)
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/191005/for1910050001-n1.html

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これは韓国保守のデモで、発表は200万ですが、例によって通行人までカウントするようなお手盛り数字を出すのがこの国の習いですから、たぶん警察発表の10万ていどだったと思われます。
だとしてもなかなかのもので、光化門広場のイスンシン銅像辺りから市庁前広場を経て南大門辺りまで人波で埋まった写真が出ていますから、パククネを牢獄に追い込んだ「
ろうそくデモ」以来の人数です。

ちなみに、同日にムン・ジェインを支持し、チョグク頑張れデモもにぎにぎしく行われています。

「チョ一家への捜査がやりすぎだとの批判を受け、検察に「節制」を求めた文氏の発言が27日に発表されたこともあり、文氏支持層がソウル中央地検周辺に集結。「チョ・グク守護」と検察糾弾を訴えた。主催者発表の200万人は誇張とみられるが、2016年に朴槿恵(パク・クネ)前大統領の退陣を求めたデモ以来の規模となり、文氏支持層の結束力を見せつけた」(Sankeibiz 10月4日)
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/191004/mcb1910041600015-n2.htm

こちらも200万とか言っているようで、お互いに盛った数字でやり合っているようですが、こちらに気を取られて今まで盛んだった反日デモは下火となっているようです。ま、どーでもいいですが。

保守がこれだけの人を集めたというのは、GSOMIAショックを引き金とした在韓米軍撤退の恐怖からでした。
青年の雇用状況の著しい悪化、経済の崩壊、チョ・グク疑惑の数々だけでは、これだけの人は集まらなかったはずです。

というのは儒教社会である韓国では、権力についた者が家族や縁故に富と地位を再分配するのはむしろ徳であって、これは左右のイデオロギーとは無関係におおっぴらにされてきたことだからです。
清廉をうたった民主運動家のキム・デジュンも大統領となるや、カネと地位を配りまくりましたし、それをしなかった大統領はパク・チョンヒ、ただひとりです。
彼は親類が青瓦台に近づかないようにするための担当部署まで作ったほどで、暗殺された後に遺族に残された遺産はまったくなかったといいます。
娘もそれに習ったようですが、「親友」を近づけすぎて、ムン・ジェインが仕掛けた罠にまんまと落ちてしまったようです。

それはさておきチョ・グクという典型的な富者が、家族や縁者になにも利益を図らなかったと信じる者のほうが、韓国社会では少数派なはずで、左右の
抗争の焦点はもはやこのチョにはありません。
焦点はGSOMIAを廃棄したことによって米韓同盟が消滅コースに入ったわけですが、それを肯定して更に促進して在韓米軍を叩きだすまでやるのか、いやそれは国家の危機だと考えてその流れを止めねばと考えるのか、の違いです。

練達のコリアウォッチャーである鈴置高史氏は、最新の論説でこう述べています。

「11月には韓米同盟の重要な基盤であるGSOMIAが破棄される。GSOMIAが中断されれば韓米連合防衛体制に決定的な亀裂が生じる。それでも両首脳は今回の会談で同盟復元のための可視的な結果を出すことができなかった。GSOMIAは議題にもならなかった。
 この会談でトランプ大統領がGSOMIA破棄の翻意を促すだろうとの観測が韓国では一般的でした。日―米―韓の3国軍事協力の象徴でもある重要な協定だから、破棄を表明した韓国に翻意を促すであろう。そうなったら日本の輸出管理強化の問題を持ち出し、米国を通じて撤回させよう――との計算もあったようです」(デイリー新潮10月7日)https://www.dailyshincho.jp/article/2019/10071830/?all=1

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上の写真は今回のものではなく4月のものですが、9月の会談も雰囲気的には似たようなものだったはずです。
このトランプ会談まで、韓国はあいかわらずGSOMIAを日本に対する外交カードだという馬鹿丸出しの認識に固執していました。
GSOMIA廃棄が日本にとって痛くもかゆくもないのが分かってしまったのもショックだったのでしょうが、それにも増して日米韓三カ国連携の扇の要となっているはずの米国までもが無関心ということは、韓国保守派にとって腰が抜けるほどの衝撃だったはずです。

米国が廃棄について怒りと失望を表明したのは当初のみで、それが過ぎると不気味なほどの静寂が訪れました。
韓国としては、米国が困って仲介に乗り出せば、すかさず日本の輸出管理規制について非を鳴らして日本を叱ってもらい、あわよくば「ホワイト国」に復帰しようという心づもりだったようです。
これは慰安婦問題などでもさんざん使っい古された伝統的な韓国の外交手法です。

ところがこの思惑はトランプ会談で瞬殺されることになります。
日本を叱ってくれるどころか、韓国も叱らないという完全に「無関心」、というとんでもないジョーカーを韓国は引き当ててしまったのです。

「計算違いどころではありません。「米国が日韓GSOMIAを復元しようとしない」のは「日―米―韓の3国軍事協力を重要視しない」ことであり、ひいては「米韓同盟の存続に関心がない」ことを示唆します。 トランプ大統領から「日本とのGSOMIAを続けよ」と叱られるのならまだよかった。叱られているうちはまだ「味方」扱いされているからです。叱られもしないのは見捨てられた証拠なのです」(鈴置前掲)

もう怒らない、だってお前はもう味方じゃないから、というわけですから、こりゃ効くわ。
味方でないなら、在韓米軍を大変な経費と人的リソースをかけて張り付けておく必要はないわけで、「撤退」の赤信号が点滅したことになります。

いままでムンに対して煮え切らない態度をとっていた中央日報が、このトランプ会談を受けてこのような論説を書き始めました。

「もちろん我々の生命は我々が守るのが原則だ。在韓米軍もいつかは離れる可能性がある。しかしこれには前提がある。我々の生存を脅かす北朝鮮の核問題が完全に解決されなければならない。
しかし北核問題は20年以上にわたり、解決されるどころか、今でも北朝鮮の核兵器は着々と増えている。
このような状況でトランプ政権と文在寅(ムン・ジェイン)政権は我々を危険にする変則的な解決法を使おうとする雰囲気のようで心配だ。24日の韓米首脳会談で、双方は対北朝鮮政策に「変革(trnsform)」を起こすことで合意したという。変革が正確に何を意味するのかは明らかでない。とはいえ非核化を引き出すために経済制裁などで北朝鮮に圧力を加えるという「先に非核化、後に制裁緩和」という従来の立場から外れる可能性が出てきた」(中央日報9月26日)
https://japanese.joins.com/JArticle/257995

中央日報がいうように、今回の米朝実務者協議で、米国が「新提案」をだした可能性があると鈴置氏はみています。
その「新提案」とは在韓米軍撤退のことではないか、というのが鈴置氏のご意見です。

「10月5日、米国と北朝鮮はストックホルムで首脳会談の布石となる実務協議を開きました。国務省は記者発表で「米国代表団は(2018年6月の)シンガポールでの米朝首脳会談で約束した4項目合意を進めるためのいくつかの新たな提案を示した」と明かしました。
 国務省の言う「新提案」とは北朝鮮の求める、安全を担保する米国側の措置――例えば、在韓米軍の撤収を意味すると見られています」(鈴置前掲)

つまり中央日報が社説で述べた「対北政策のトランスフォーメーション」とは、「『先に非核化、後に制裁緩和』という従来の立場から外れる可能性が出てきた」(鈴置前掲)、その中身は在韓米軍撤退ということだったことになります。
「トランスフォーメーション」transformation を中央日報は「変革」と訳していますが、むしろ「変換」ないしは「再編」と訳すべきでしょう。

ということは、トランプはムンに対して、在韓米軍撤退についてそれを示唆する言葉を言った可能性があると氏は見るわけです。
だからGSOMIAについてトランプはもうどうでもよくなってしまい、さらにはストックホルムでの米朝協議でも在韓米軍撤退の「新提案」をしたのではないか、という流れになります。

う~ん、そうかなぁ。
鈴置さん以外の人が言ったなら、相手にしないのですが、実績がある氏が言うとなると迷いますね。
でもやはりこの部分に関しては、私は鈴置氏の分析はやや走りすぎているような気がします。
そこまでの大きなカードを、現時点で北朝鮮に切る必要があるのかどうか、切るならもっと煮詰まってからのほうが北朝鮮を妥結を言わせる決定打になるのではないかと思えるかからです。

ほんとうに在韓米軍撤退のカードを出したなら、北朝鮮の代表が「なんの土産も持ってこなかった」と言って決裂を宣言しないとおもいますが。
鈴置氏はこれはただの北朝鮮のブラフで、さらに値をつり上げるつもりだったと説明していますが、、こんな大きな収穫を得てブラフに走るリスクを取るとは思えません。

確認しておきますが、北朝鮮にとってプライオリティは「体制の護持」の保証です。
これはとりもなおさず、米国が北朝鮮の体制を統治システムから支配者、軍に至るまでそのまま認めるという「所領安堵」(鈴置氏の表現)のことです。
だから北朝鮮と米国の交渉の攻防はいつにかかって「体制護持」にとっての最大の障害物である在韓米軍の帰趨となるわけです。
撤退させるか、させないか、そこまで議論は二者間では煮詰まり切っているのは確かだと思います。
そこまでは私と鈴置氏の意見はまったく一緒ですが、問題はタイミングです。

「10月6日夕、北朝鮮外務省は「(北)朝鮮への敵視政策を完全かつ不可逆的に撤回するための措置をとるまでは、今回のような協議はしない」との声明を発表しました。これからも敵視政策の完全な撤回――在韓米軍撤収や米韓同盟廃棄が米朝協議の焦点になっていることが伺えます」(鈴置前掲)

この在韓米軍撤退に、実はムンが合意を与えている可能性があると、中央日報などの韓国保守派は見ています。
となると、まさに韓国にとっての最悪シナリオが現実のものとなりかねません。
すなわち、このような韓国の悪夢です。

①在韓米軍が撤退する。
②北朝鮮の核が短距離核の容認という形で温存される可能性がある。
③韓国は北朝鮮の核の傘に入ることになる。

①②はタイミングは別にしてありえることですが、③について鈴置氏はこう述べています。

「文在寅政権は大声では言いませんが、「核を持つ北朝鮮と手を組めば『民族の核』を当てにできる」と考えています。2020年から韓国海軍は垂直発射管を持った3000トン級の潜水艦を実戦配備します。(略)
文在寅政権は北朝鮮に対し「南の弾道ミサイル発射型潜水艦と、北の核弾頭・ミサイルを組み合わせれば『民族の核』を完成できる」と持ちかけるつもりでしょう」(鈴置前掲)

ムンの構想とは、韓国が潜水艦を提供し、北朝鮮が核ミサイルを提供して、共に「民族の核」を作ろうということになります。
ムンや赤化統一を熱望する従北陣営がこの構想に熱狂するのはわかりますが、正恩がそれを望むかどうかとなると、私は望まないと思います。
このような対等合併をせずとも、すでに北朝鮮は中・短距離核ミサイルは保有しているし、羊のようにおとなしい人民を相手にしてきた正恩が公称400万も街頭デモをするような国民など統治したいわけがないのです。
ですから赤化統一など、ただのムンの妄想、あるいは北朝鮮への片思いの類だと思います。

ただしそのようなムンの思惑とは別に、周辺の諸要因の機が熟してしまったことは否めません。
トランプは在韓米軍をさっさと引き上げて北朝鮮と手打ちをしたいと考えているでしょうし、北朝鮮にとっては目の上のたんこぶを早くヒッペがして「所領安堵」を得たいわけで、さらにはムンも赤化統一を最終ゴールとするための最大の障害の在韓米軍を追い払う絶好の機会が到来したとみているのかもしれません。
この三者の奇妙な「合意」が出来つつあることは、確かなような気がします。

この韓国という国家を根底から崩壊させかねない流れにやっと気がついたのが韓国保守だったようです。
しかし遅すぎます。
そもそも自由韓国党などといった支持率が3割を超えない政党しか持たない無力な保守には、この流れを押し止めることは無理です。
もし本気で止めたいなら、もはや韓国軍が国論の分裂を回避し、混乱収拾を図るという名目で調停に乗りだすという形でいわば「選挙管理クーデター」をするしかありません。
そして軍の監視下での大統領選ということになりますが、骨抜きにされて久しいといわれる韓国軍にここまで期待することは酷というものです。


2019年10月 8日 (火)

米朝実務者協議「決裂」?

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米国と北朝鮮の実務者協議が「決裂」しました。
「決裂」にカッコをつけたのは、北朝鮮はそういっているが、米国は認めていないからです。こんなヘンな話はめったに聞いたことがありません。

「協議を終えた金首席代表は5日夜、北朝鮮大使館前で記者団に対し、「交渉は我々の期待に沿わず、決裂した」と述べた。
「アメリカは、柔軟なアプローチや新たな方法、創造的な解決策といった提案をすることで期待を高めたが、我々を大いに失望させた。アメリカは自分たちの古い立場や姿勢を手放さないようだ」
しかし、北朝鮮のこの発表から間もなく、米国務省はこれと反対の内容の声明を発表した。
モーガン・オーテイガス国務省報道官は声明で、「先の北朝鮮代表団による発表は、本日の8時間半にも及ぶ協議の内容や精神を反映していない。アメリカは、創造的なアイデアを提示し、北朝鮮側と良い話し合いを行った」と強調した。
報道官はさらに、2週間後にスウェーデンで協議を継続してはどうかというスウェーデン政府の提案を受け入れたとしている」
(BBC10月7日)
https://www.bbc.com/japanese/49956141

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常識的に考えれば、米朝協議はこれでお終いです。
なんせ、片方が決裂だ、再開せんと言っているんですから、しゃーない。
ただ、北朝鮮の瀬戸際外交をイヤというほど見せられてきた私たちには、ま、また言っているね、ていどのことです。
瀬戸際外交とは、自分で自分を煽ってリング際まで追い込み、これ以上ボクをイヤな気分にさせると切れちゃうからね、と居直ります。
色々駄々をこねますがしょせんは自作自演ですから、そんなことはあんたの事情でしょう、と突っぱねるしかありません。

米国も内心は呆れているのでしょうが、表情も変えずに「良い話あいをもった」なんてしゃらっと言ってのけていますから役者やのぉです。
北朝鮮だけではなく韓国もよく似たことをしますので、米国はコリアスタイルをしっかり研究しているようです。
学習していないのは、正恩やムン閣下がなにか言うたびに真に受けて右往左往する日本のメディアくらいなもんです。

放っておけばいいだけのことです。
間違っても、泣く子に飴をやってよしよしなんて言ってはいけません。
なにせ「泣く子はもちをひとつよけいにもらえる」なんていう言葉があるお国柄ですからね。
冷たく放置して、しびれをきらしてなんとかしてくれと言わせるまで知らんぷりをするのが最善です。

あ、そうそう、これもうひとつのコリアへの輸出管理規制やGSOMIAに対する対応も同じです。
絶対によしよし飴をなめるかい、なんていわないで、泣かせたままにしておくのが一番です。

それはさておき、北朝鮮が瀬戸際外交をする時は、どうしようもなくピンチな時です。
経済制裁が効きまくっているから、なんとか制裁を解除しろ、これが北朝鮮の望みのはずで、おそらく協議の席上でも、ここが焦点だったはずです。

北朝鮮は、たとえば長距離核ミサイルの凍結というテーマがでれば、必ずセットで経済制裁を解除しろと言ってきたはずです。
先日発射した水中発射弾道ミサイルについても一緒。
止めさせたいなら、セットで経済制裁を解除しろと必ず言ったはずで言ってきます。
これが、北朝鮮がいう「柔軟なアプローチと新しい方法、創造的な解決策」というやつです(笑)。

このウリ流の「計算法」、つまりはひとつ北朝鮮が譲歩してみせれば、経済制裁をひとつ解除するというを「創造的解決法」に、米国は乗る必要がなかったから乗らなかっただけのことです。
このような対応を取られると北朝鮮はいっそう自分をリング際に追い詰めていくしかなくなります。
キム・ヨンギル代表は、「核実験、ICBM発射実験の中止が維持されるかどうかも米国の立場にかかっている」と主張したようですが、あんたね、それやったら米朝直接会議の3回目は完全に飛びますし、もう二度と開かれないのが分かって言っているんでしょうか。
いやそれどころか、制裁強化ならまだよし、最悪の場合軍事オプションも視野に入ってきます。

北朝鮮はなんか深く勘違いしているようですが、米国は交渉を急ぐ理由がありません。
強いて言えば、トランプ親方が議会から弾劾されそうな機運ですが、だからと言ってここで北に飴をやったら、北朝鮮にトランプは甘すぎと常に言っている議会は怒り心頭となって逆効果です。
第一、再選を控えてここで北朝鮮に長距離弾道ミサイル実験を許したら、あんたなにこの1年やってたんよ、と選挙民に思われてしまいますしね。

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そもそも北朝鮮が言っている水中発射弾道ミサイルなんて、米国は相手にしていません。
そりゃ確かにそれが完成していれば、米朝が弾道ミサイルの撃ち合いとなって地上の施設が一掃されたとしても水中で生き残って第2撃を用意できますから、ちょっとやっかいなことは確かではあります。

ただし、出来ていればのこと。
肝心のこのご自慢の水中発射ミサイル、何から発射したんでしょうか?
北朝鮮はロシアから買ったロメオ級なんていう、とっくに自衛隊だったら何十年か前に用廃となっているようなサビだらけの潜水艦しかもっていないのですよ。

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上の写真はそのロメオ級に座乗される正恩ですが、こんな小さな潜水艦から弾道ミサイルを発射するとなるとセイル(司令塔)を後ろへ拡張して積むしかありません。
こんなポンコツを魔改造して、しかも弾道ミサイルなんか発射したら、そのまま沈んでもおかしくないですね。

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上の写真のように新しい潜水艦を作っていると公表していますが、これもこのロメオ級を大きくしたていどのものだと分かっています。

「同国は今年7月、金正恩朝鮮労働党委員長が大型の新造潜水艦を視察し、その実践配備が近いと表明していた。
専門家は、北朝鮮の国営メディアが公表した写真から、新造潜水艦はロメオ級を改良して外殻を拡大しただけで、より大きな新型ではないとの見解を示した」(ニューズウィーク10月7日)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/10/post-13121_1.php

潜水艦はその外殻の金属の強度から始まって長年の技術の膨大な集積なのです。
ムン閣下の国ですら、いまだに設計図をドイツから買って国産化1号艦を作ったような段階です。
それを数年で作ろうなんて、ムリムリ。
だから、北朝鮮が今回発射した水中発射弾道ミサイルが、ほんとうにこの骨董品から発射されたのかどうかさえ疑わしいのです。
私は水中になんらかの発射プラットホームを設置して発射したと思っています。

とまれそれに対する米国の返答は、10月2日に発射された長距離弾道ミサイル「ミニットマン3」の発射実験でした。
この時期に米国が念頭に入れているのは、第一義に国慶節に習がブイブイいわせながら登場させた長距離弾道ミサイル「東風41」、おまけとして直前に発射されたこの北朝鮮の自称潜水艦発射弾道ミサイルがあったと思われています。

このように北朝鮮の「決裂」発言はすべて裏の裏まで読まれていて、自傷行為として自分に返ってくるのです。
経済制裁数ある中でも直接効いているのが、外貨稼ぎが厳しくなったことです。

よく北朝鮮には食糧が足りないという人がいますが、正恩は下々がいくら飢えようと知ったこちゃありません。
今までずっと飢えていたし、下々は飢えていたくらいが反乱をおこさなくていいと思っています。
でなければ、一発で国民の食糧の1年分が消えるといわれる弾道ミサイルをポンポン撃てるはずがありません。
自分の天下を支えるピョンヤンに住む特権階級だけが満ち足りていればいい、それが北朝鮮という国です。

その特権階級に富を配るためには原資(外貨)が要ります。
そこで密輸をしたりしていましたが、大きな外貨稼ぎの柱はなんといってもコストゼロの労働力輸出でした。
奴隷輸出みたいなもんで、稼いだカネを吐き出させて、正恩とその取り巻きたちに配ってきたわけです。
中国とロシアがそのメーン輸出先でした。

これに気がついた国連安保理は 2017年12月22日の国連安保理決議2397を出します。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000325985.pdf

「8.決議第2375号(2017年)17
規定の 採択にも かか わらず、北朝鮮国民が、北朝鮮の 禁止されている核及び弾道ミサイル計画を支援するために北朝鮮が使用する対外輸出収入を生み出す目的で、他国で引き続き働いていることに懸念を表明 し、(略)
加盟国が、直ちに、ただし、 この決議の採択 の日から 24か月以内に、 当該加盟 国の管轄権内において収入を得 てい る全ての北朝鮮国民及び海外の北朝鮮労働者を監視する全ての北朝鮮政府の安全監 督 員を北朝鮮に送還することを決定する」

この猶予期限が24カ月後、つまり今年の12月22日に切れるわけです。
もう後ろがありませんね。
中国もロシアも安保理決議に賛成している上に、従わないと米国からセカンダリー・サンクション(二次制裁)を食らってしまいます。
ですから、おそらくこの12月末で、北朝鮮の大きな外貨収入源が断たれるわけです。

ですから米国としてはあと2カ月ていど待てば、イヤでも北朝鮮が泣きついてくるのが見えているので、また再開するかも、なんてのんきなことがいえたわけです。

 

 

2019年10月 7日 (月)

追い詰められた中国とキャリー・ラム

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香港では「覆面禁止法」に対する強い反発が生まれました。あの毎日新聞すら同情的な書きっぷりです。

「香港で6日、再び大規模デモがあり、大雨のなか、数万人が参加した。政府が「緊急状況規則条例」(緊急法)を発動してデモ隊が顔を隠すことを禁じる覆面禁止法を5日に施行したことに対し、市民の怒りが爆発した。平和的なデモだったが、警察は終着点の手前で催涙弾を相次いで発射し、大勢の市民が逃げ惑った。その後、各地で若者らと警官隊が衝突し、多数が拘束された。一方、民主派議員団は5日、両法の取り消しを求める司法審査を高等法院(高裁)に申し立てた。
 デモでは顔を隠した市民も多く、家族連れやお年寄りなど幅広い層の市民が行進した。マスクをして子供2人と参加した曽淑恵さん(39)は「覆面禁止法が市民の怒りを招いて逆効果だと理解できない林鄭月娥行政長官は、市民の気持ちがまるで分かっておらず、辞任すべきだ」と語気を強めた。中心部以外でも各地で抗議活動が展開された」(毎日10月6日)

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https://www.sankei.com/photo/story/news/191004/sty...

私たち日本人にとって「自由」は空気のようなものです。
自由に政治的な意見を述べ、自由に議論できる、街頭でデモをすることもできる、警察に禁止する権限はない、そして必要があればグループを作って選挙に出ることも可能だ、これが民主主義国家に住む国民の自由です。
このような社会においては、政治表現をするに際して自らの姿をさらしたとしても、不利益を被ることはありません。

私たちの国の憲法においては、第19条思想・良心の自由、第20条信教の自由、第21条集会・結社・表現検閲の禁止、通信の自由、第23条学問の自由に定められています。これらがいわゆる人権条項です。
また選挙に関しても、第43条に「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」とあるように、自由選挙以外が世の中にあるとは想像すらつきません。

これは日本国民の政治的「資産」です。
この国民の思想・信条、政治表現の自由があり、それが自由選挙によって担保されることによって、初めて社会や国家はより良い方向に進化することが可能なのです。
このような民主主義体制を持つ国において、顔を隠してデモをする必要はありません。うさん臭さを自己主張しているようなものですからね。

しかし全体主義国家においては、これらすべての民主的諸権利が奪われています。
仮に憲法にキレイゴトが書いてあったとしても、そのようなものは現実には飾り物にすぎず、権威主義的な政治体制によって奪われています。
このような全体主義国家は国民を権力者に縛りつけ、口を塞いで窒息させようとする牢獄です。
香港の戦いは、ひとことでいえば、この民主主義の「空気」を奪い返す戦いです。
砕け散ろうとしている自由を守ろうとする戦いです。

1997年の香港返還において、50年という期限つきで民主主義の「空気」が保証されていました。
本来ならば、50年後に当たる2047年までに、全体主義を選ぶかこのまま民主主義体制を維持していかをゆっくりと考えていけばよかったはずでした。まだ時間はたっぷり残っていたのです。

ところが中国は50年の半分にも満たないうちに、移送法(逃亡犯引き渡し法)という手段を使って、司法の自由を取り上げようとしました。
既に香港においては自由選挙は骨抜きとなっていて、残る民主的権利は政治表現の自由だけであるにもかかわらずです。

一国二制度を堅持し続けるという意味は、中国の永遠の異物、すなわち「独立」することを宣言したに等しいことです。
これは端的にいえば、「独立」という表現を使うか使わないかは別にして、意味するところは独立主権の確立です。

ただし植民地の宗主国からの分離独立とは違い、香港は歴史的に一度たりとも中国であったことはありません。
台湾が日本の植民地であったように、英国の植民地として出発し、栄えてきました。
中国語圏において自由主義を謳歌している国々が、シンガポールまで含めてすべてかつて植民地であったことは面白いことです。
香港も英国がヘタレなければ、今のような共産中国の重圧にさらされることはなかったのです。

今回キャリー・ラムが使った緊急法は、英国植民地主義の悪しき遺産でした。
これを作ったのは英国です。

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反英暴動 六七暴動 https://ol.mingpao.com/ldy/cultureleisure/culture/...

できたのも古く1922年のことで、英国は当時アジアに吹き荒れていた反英活動を封じ込めるために作ったのです。
しかし、現実に使ったのは、ずっと時代を下って、文革期に中国共産党が起こした六七暴動を押さえ込むために使われました。
共産党が糸を引いていたというのを、彼ら隠していませんから。
ただしこの緊急法は、民主主義を凍結できる危険な条項であるために、英国はが現実に使ったことはこれ一度だけで、以後、忘れられたような存在となっていました。
これを蘇らせたのが、他ならぬかつて暴動を煽った側の中国共産党であることは歴史の皮肉です。

さて、習は国慶節前までの武力介入を諦めた代わりに、ラムに緊急法の封印を解かせて戒厳令の準備をしています。
しかしこれは見方を変えれば、中国軍の軍事介入の道が遠のいたことを意味します。

というのは中国が軍事介入するには、いくつかの大きなハードルを超えねばならないからです。
その最大のものは、香港の主権が香港特別行政区政府にあることです。

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香港返還式典 https://www.afpbb.com/articles/-/3033090

その主権についての法的根拠は、1984年12月19日に英国と中華人民共和国との間で調印された「香港問題に関する英中共同声明」に根拠があります。
香港問題に関する英中共同声明(中華人民共和国政府とグレート ...

(11)、香港特別行政区の社会治安は、香港特別行政区政府が責任をもって維持する。
(12)、中華人民共和国の香港に対する前記の基本的な方針、政策および本共同声明の第一付属文書の前記基本方針、政策に対する具体的説明については、中華人民共和国全国人民代表大会が中華人民共和国香港特別行政区基本法において規定するとともに、五十年間は同規定を変えない。

そして香港において従来どおりの民主的権利を守ると約束しています。この部分です。

第一付属文書
十三 香港特別行政区政府は法律にもとづき香港特別行政区の住民その他の人の権利と自由を保障する。香港特別行政区政府は、香港の既存の法律に定められている、人身、言論、出版、集会、結社、労働組合の組織と参加、通信、旅行、移転、罷業、デモ、職業選択、学術研究、信仰の自由、住宅不可侵、婚姻の自由、自由意思による出産の権利を含む権利と自由を保持する。

これが香港の地位を定めた中英共同声明という国際法です。
一読して分かるように、今問題となっているデモの自由まで含めて「権利と自由を保持する」とあります。
つまり、香港行政長官のラムには、デモを制限したり、ましてや禁止する権限など初めからないのです。
マスクをするななどということも言えるはずがありませんから、緊急法という植民地主義の残滓のような悪法を持ち出さざるを得なかったのです。

では、香港の治安は誰が守るのでしょうか。これについても明記されています。

第一付属文書
十二 香港特別行政区の社会治安は、香港特別行政区政府が責任をもって維持する。中央人民政府が香港特別行政区に派遣する防衛担当の部隊は、香港特別行政区の内部問題に干与せず、部隊の駐在費用は中央人民政府が負担する。

中英協定付属文書によれば治安維持の責務はあくまでも香港にあり、中国は駐屯軍を置くことできるが、「香港特別行政区の内部問題には干渉できない」のです。
ここが重要です。
いくら深センに武装警察の大軍をおこうと、駐留中国軍を倍にしようと、そんなものはカカシにすぎません。
ですから、ラムが香港で暴動が起きたと叫びたてようと、中国は香港の内政問題を理由として軍事介入をしてはならないのです。

かつてのウィグル暴動や第2次天安門事件に直ちに軍を派遣したのに、今回できないでいる理由はここにあります。
ウィグルや天安門は「国内」でしたが、香港は「国内」ではないのです。
したがって、独立した主権が認められている香港行政区に中国が軍隊を送るとすれば、これは「侵略
」となります。 

仮にラムが中国にすがろうとすれば、唯一それは外国から侵略を受けたと香港行政府が判断した場合です。

香港基本法第14条
香港
の防衛は中国人民解放軍が行い、軍隊は中央政府から派遣される。

この基本法14条を使って、中国に軍事介入を要請することは可能です。
ただしこれも制限がつけられていて、それができるのは明らかな香港に対する侵略行為があった場合だけのことです。
今、香港が外国軍によって脅威にさらされているとは思えませんから、ラムが「侵略されている」と強弁するためには間接侵略という冷戦期に使われた概念を引っ張りだしてくるしかありません。

中国政府の出先機関である香港マカオ弁公室が、4日、こんなことを言っています。

「「外部勢力の介入・関与の下で『香港版カラー革命』になっている」と指摘した」(産経8月6日)

外国勢力ですって?
もちろんこの場合、米国以外ありえません。そりゃCIAが民主派に接触していなけりゃ、仕事をしていないと怒られます。
しかしそんな工作を証拠立てることは不可能に等しく、あえて言い立てるとなると、ではお前ら中国が米国政治にどれだけ介入してカネをバラ撒いているんだ、孔子学院ってなんなんだ、という反論が弁国から必ず返ってくるでしょう。
まさに天に唾することはこのことで、間接侵略どころか直接にファーウェイという電子的バックドアを作りまくっている中国にそんなリスキーなまねはできないはずです。
つまりは中国が香港に軍事介入をするということは、即米国を相手にすることに他ならないことになります。

このように見てくると、ラムが緊急法の封印を切ったのは、中国の強気ということではなく、もはやラムに緊急法を使って戒厳令まで突っ走るしかないと考えた弱さ故からなのかもしれません。

香港民主派は、この中国とラムの弱点を読みきっているようです。
国慶節を超えて中国軍の介入がないと判断できるならば、仮にラムが戒厳令を使ったとしても、物理的には今までどおり香港警察部隊を相手にすればいいだけのことにすぎませんし、マスクを禁止すると言って、100万人を逮捕できますか。
逮捕してどこに入れておくのでしょうか。もうどこの留置場も満杯です。
クーデターのようにスタジアムにでも収容しますか。

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不可能です。もはや香港警察の能力を大きく超えたのです。やればやった以上のしっぺ返しが返ってくるだけです。
ならばラムができるのは、強権をエスカレーションさせるのではなく、妥協と融和の道を探るべきです。
たとえば、世界最悪の香港警察の暴力行為についての謝罪や処罰をする、デモ警備の警察部隊をいったん前線から下げるていどのことはやってみせねばなりません。

また、自由選挙についても一顧だにしないではいまや通用しませんから、自由選挙を討議する市民と行政の円卓会議(協議会)を作るていどのことはできるはずです。
こんな妥協ともいえないことさえしないから、こんな緊急法を使うハメになるのです。

ラムさん、あなたが移送法を廃案にすると言った時、私はびっくりしました。
あなたにも自由香港人の魂は生きていたのだと、驚きすら感じたほどでした。
しかし周庭が言っているようにこれがあと2カ月早ければ、暴動化することもなく香港も傷つかなかったのです。
あなたは北京をヒラメのように見ていたために、判断が遅れました。

結局、法案廃止が国慶節前までもつれ込み、なんの意味ももたなくなってからの決断では、燃え上がる自由の炎は治まるどころか、いっそう盛んとなりました。
なぜなら民主派の要求の焦点はいまや移送法そのものではなく、襲いかかろうとする中国全体主義との戦いに移っていたからです。

そして今回の戒厳令すら視野に入れた緊急法です。
やってご覧なさい。
戒厳令などしたら米国香港人権法を持ちだすまでもなく、香港は灰となります。
あなたに今出来ることは、解決できないまでもその道筋の一本もつけることです。

 

 

2019年10月 6日 (日)

日曜写真館 夏の終わり 秋の始まり

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曼珠沙華(マンジューシャカ)は、古代インドの天上界に咲く花の名前だそうです

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いつも何かに寄り添うように咲いています

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夏が終わったと感じます

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夏の残り火、秋の紅葉の先駆け

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     曼珠沙華、 けふも手折りに来たわいな  北原白秋

 

2019年10月 5日 (土)

香港「覆面禁止法」始まる

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香港でまた発砲による負傷者がでました。今度もまた痛ましいことに14歳の少年です。

「香港では1日、九竜半島・セン湾で警察が実弾を発砲。高校2年の男子生徒が左胸に被弾している。
少年は病院に搬送され、意識はあるという。
星島日報(電子版)によると、非番の警察官1人が路上で複数のデモ参加者に囲まれて殴打されて拳銃の実弾を発射し、少年に命中した」(産経10月5日)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191005-00000505-san-cn

また、キャリー・ラム(林鄭月娥) 行政長官が、「緊急法」(緊急状況規則条例)を根拠に、議会をとおさずに長官権限で「覆面禁止法」を施行しました。

香港の林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官は4日、諮問機関、行政会議の臨時会合を開き、「緊急状況規則条例」(緊急法)を発動し、デモ参加者のマスク着用を禁止する「覆面禁止法」を緊急立法で制定した」(産経前掲)

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この「覆面禁止法」で、キャリー・ラムは伝家の宝刀である「緊急法」を初めて抜いたことになります。
これは既に
8月27日の記者会見の時点でやると言っていたことでしたが、抑止効果が望めないこことから、とうとう本当に抜いてしまいました。

まったくラムは馬鹿なことをしたものです。
せっかく北京政府の意志に反して移送法を白紙にしたのですから、妥協の道を探るべきでした。
一回抜いた刀は元のサヤには納まりません。
このような明らかなデモ潰しを計ったようなものをブツけられては、民主派もラムもろとも行くところまで行くしかなくなるではないですか。
これで妥協の道は断たれました。まったく香港にとって不幸なことです。

この緊急法は、香港法令241条を基にして、「緊急状況が認められるとき行政長官および行政会議が立法会をへずに制定できる法律で、行政長官と行政会議が、公衆利益に合致すると判断すれば、いかなる規則を設けることもできる」という内容です。

民主主義国家においても、似たような緊急事態法を持つ国は少なくありませんが、それは大規模災害などを想定してのことです。
しかし香港の場合、根本的に諸外国と違うのは、内乱あるいは暴動を想定していることです。
これは「いかなる規則も設けられる」という取りようによって無限の権限を行政長官に与える条項で、敷衍すれば緊急法を使えば戒厳令さえ実施することが可能となります。

それを裏付けるように、8月27日の会見でもラムは記者からの質問に答えて、「暴乱を押さえるためならいかなる手段も取りうる」と言い放っています。
たぶんラムはこの覆面禁止法にどれだけの市民が従うかを見て、次のステップに進むはずです。
具体的にはこの緊急法を使っての、移動の制限、財産の没収、通信の遮断、逮捕、拘束、駆逐などに関する新法規を登場させるでしょう。

また他の国と違うのは中国が絡むことです。
緊急法による戒厳令が実施された場合、当局による恣意的な逮捕・監禁、大陸への移送が可能となります。
特に大陸への移送は、そのまま中国の国内法による処罰を意味します。
これこそが民主派がいままさに戦っている移送法(犯人引き渡し条例)そのものであって、ラムは移送法を白紙にするといいながら、別の形でやるということになります。

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https://www.yomiuri.co.jp/world/20191004-OYT1T5033...

改めて押えておきたいのですが、香港に与えられているのは、唯一政治表現の自由(集会・デモ・言論)だけにすぎません。
肝心要の選挙権がないのです。ここが一般の民主主義国との決定的ちがいです。

民主派が5大要求に「自由選挙」を入れていることからも分かるように、行政長官も議会も共に民主的プロセスを経ずに選ばれており、行政トップの行政長官は中国政府が指名した議員しかなれません。
議会(行政会議)も同様に親中派が独占できる選挙方法によって、民主派はごくわずかです。

よくデモ隊が火炎瓶を投げている、鉄パイプを持っている、あれじゃあ撃たれても文句は言えない、ということをしたり顔で言う人がいますが、このような非民主的なシステムを無視して、一般的に言ってもらっては困ります。
選挙を通じて、いくらでも自分が支持する人を議会に送れる国と、その道が断たれている香港とを比較すること自体が間違っているのです。

念のために言っておきますが、前から書いてきているように私はデモの暴力化には強く反対です。
その理由は、中国の武力介入の可能性を高め、一般市民や国際社会から遊離することを恐れているからです。
しかし今の香港においては、デモ以外抗議の手段がないために、暴力化してしまう必然性があるのです。

暴力は相互的なものです。
一方的にデモ隊が過激化したというのは正しくなく、ヤクザまがいの蛮行を働く香港警察に対抗して過激化の道をあゆんだのです。

マスクも同じです。
私は、一般論としてはデモ行進における覆面は異様だと思っています。
デモで顔を隠す行為は、自分の政治行為の結果を引き受けない無責任な行為だからです。
ただしこれもまた、民主主義が健全に存在する国の一般論にすぎません。

このような民主主義の一般論が成立するためには、デモによる警察当局の不当な拘束・監禁・事後逮捕などを受けないことが保証されていなければなりません。
これが保証されない香港の場合、デモに参加する市民は自己防衛として顔を隠す権利を持っています。

今回、香港当局が覆面禁止条例を作った理由は、暴徒化に対する抑止効果を狙ったのではなく、デモ参加者の本人特定をすることによって、デモ自体に参加することを妨害するためです。

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http://toychan.blog.jp/archives/52689069.html

既に香港警察は、中国の開発した監視システム「天網」を利用しています。
「天網」は顔認証システムですが、これを使えば警察当局が監視カメラと連動して写った人物を特定し、リストアップすることが可能です。
これは既に大陸全土で人権侵害のために利用されていて、製造したのはウィグル弾圧で悪名高きファーウェイやZTEなどの中国通信2社です。

「北京在住の人権活動家 胡佳氏:「デモや集会などが起きた時、全国に密集する数千万台のカメラから成る『天網』監視システムが収集した画像から、顔を識別できます。政府は誰がデモに参加したかなどを知るために、こうした情報を集めているのです。警察は監視用車でリモコンで操作できるビデオカメラでその情景を撮影し、即時にその映像を送って、彼らが誰なのか身元を判別し、取り締まるのです。
イギリスBBCの記者は貴州で天網システムを試しました。記者は警察に自分の写真をブラックリストに入れさせた後、公安に指名手配されているようにシミュレーションを行いました。すると、警察は僅か7分で記者を見つけました。

顔の識別機能付きの監視カメラの開発業者は、カメラは顔を捉えるとすぐさまその人物の身分証明書に連結され、過去1週間の行動や、運転する車、親族、誰とよく会っているかなども分かると述べています」(上写真と同じ)

つまり、この覆面禁止法とは、200万人以上とみられる中国に服従しない市民をリストアップし、今後緊急法をエスカレートさせて戒厳令を実施した場合に、彼らを簡単に逮捕・拘束・移送できるビックデータを作るために作ったのです。

米国議会において、香港人権法が委員会で可決され、10月にも本会議で可決され、トランプが署名することで発効する予定になっています。
その法案は、香港での人権弾圧に対する調査、香港での人権侵害に加担した人物や企業への制裁(米国入国禁止や金融制裁等)が入っています。
また、この調査によって人権弾圧が行われていると判断された場合、香港に与えられている特別な地位(税免除や中国本土とは異なる入国管理など)を廃止する制裁が可能ですから、香港を窓口にする中国企業のドル調達はいっそう困難になります。

それにつけてもわが国の腰の重いことよ。
発砲事件がふたつも起きても、国会で全会一致で香港に対して非難決議の一つも上げられないのでしょうか。
なにより安倍首相が、習の訪日うんぬんで香港民主派を見殺しにするなら、かつての第2次天安門事件において真っ先に制裁から脱落して今の中国を作ってしまった轍を踏むことになります。
安倍さん、百年後悔しますよ。

 

2019年10月 4日 (金)

「凡人」さんにお答えして 正恩はクソがつくリアリストです

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HN「凡人」さん、コメントありがとうございます。
内藤陽介さんのご意見ですね。私もちょっと違いますが、おおむね似たかんじかな。
今までに何度か書いてきていますが、正恩にとってのプライオリティ(優先順位)は南北統一なんかではありません。
南北統一なんぞ、ムン閣下が自分の若き日よりの積年の妄想に入れ込んでいるだけのことです。
妄想と現実の差に気がつかない人によくありがちですが(まぁ、だから自分の妄想にハマっちゃうんですがね)、相手のことなんか見ないわけです。

北朝鮮が今なにを欲しているのか、といえば端的に「体制の護持」以外ありえません。
「白頭山の血脈」で結ばれた聖家族が永遠に
あの国を支配し続けたいということで、それ以外のことはそのための手段という技術的問題にすぎません。
どちらが幹でどちらが枝葉か、かんがえてみればわかります。

南北統一は初代イルスンが言い出した「高麗連邦」構想から始まっているのですが、それはジィさまにとっては南進する大義として必須のイデオロギーでしたが、今の3代目にとってはただの重荷にすぎません。
通常兵器による南進など、今の石油なき鉄の箱を大量に抱える彼にとっては夢のまた夢だなんて、分かりすぎるくらい分かっているはずです。

だって、そもそも通常兵器で南北統一できると思っているなら、核兵器なんかいりませんもんね。
自分でもよーく分かっているから国民に飯を食わさずに核兵器を作り、正面戦では勝てそうにないから特殊部隊を世界最大規模にまで増やすという異常なことをしているのです。

では核兵器はなんのために持ちたがっているのでしょう。
ここで元の設問に戻ります。
北朝鮮にとっての最優先課題は「体制の護持」、言い換えれば金日成主義による一国革命の永久固定化なのです。
いつまでもダラダラと金一族で国を支配し続けて、何十年後かには4代目に手渡したいという「ささやかな」望みです。
決してジィさまが夢見たような朝鮮半島内「世界革命」ではなく、あくまでも小さな辺境の国の中で延命することです。

そう考えると分かるでしょう。
正恩にとってムンが妄想する「南北統一」なんか、ジィさまの頃から対南工作のプロパガンダで散々やってきたあげく、今や言っていた当人がシラけきってしまったような過去の遺物なのです。

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http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/knews/00...  韓国名物ろうそくデモ。いまや反ムン側も百万人デモをするので、双方あわせりゃスゴイことに。

北朝鮮にいわせりゃ、そんなことして何になるの。
ろうそく革命とやらで何百万人かがデモして、政権をほんとうにひっくり返す快感を覚えてしまった韓国国民なんか統治したくありませんよ。
危ない、危ない。そんな「革命的人民」なんか、正恩が統治したら真っ先に粛清して労働改造所送りです。
実際朝鮮戦争時には、南朝鮮労働党員は北に逃げて、その後全員が消息不明となりました。殺されたんでしょうね。
生まれた時から王子サマの正恩にとって、生理的に嫌いなんですよ、そんな既成秩序を破壊するような「革命的」な連中って。
その意味で、北はバリバリの現状維持的「保守」なんです。

それにかつてはサムスンやヒョンダイに象徴されるような工業力があるていどはありましたが、今は見る影もありませんし、南北統一がなる頃には揃って海外逃避しているかもしれませんしね。
ドンガラとなった工場に残っているのは、権利意識だけは世界一で、世界一働かない凶暴な民主労総たちです。
こんなもん欲しいですか。

ですから北朝鮮にとってかつての冷戦時代がベストでした。
資本主義の魔の手から社会主義陣営を守る防波堤ということで、東側諸国からまんべんなく支援を得られてヌクヌクと暮らせ、軍事的緊張感も適度にあって楽しく軍事優先政治をやっていられましたからね。
いまや南北統一なんて、この時代の懐古的イデオロギーにすぎないのです。
少なくとも、北朝鮮はそう思っています。

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https://biz-journal.jp/2018/05/post_23204.html  そんな時代もあったねと・・・

思っていないのはムン閣下とその愉快な仲間たちだけで、彼は自己形成期に頭から対南プロパガンダの洗礼を受けてしまった、日本でいえばいわば日教組世代に相当するからです。
この人たち日本でも歳とっても変わらないでしょう。変われないのです。
それと同じで、韓国のムン閣下の世代もまた変われないのです。

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https://share.america.gov/ja/us-north-korea-summit... 

しかし正恩は違います。彼は親譲りのクソリアリストです。
中小企業の社長みたいなもんです。
でなければ瀬戸際戦術なんて、ひとたび匙加減を誤ると亡国になるような危険な戦術は取れません。
韓国大統領なんかはぬくぬくと在韓米軍の庇護の産着にくるまっていられますが、北は一本どっこで外国軍に依存していませんからね。

一方韓国は親会社の系列でいつも仕事を貰えます。
いつも助けて貰っておきながら文句を垂れて、嫌がらせさえ働くんですからしょーもない。
いまや親会社からも嫌われて、系列からはずそうかと思われている始末です。
だから社長がクルクルと何人変わってもいいが、北はそういうわけにはいかないのです。
昨日の記事にも書きましたが、トランプとの漫才のような掛け合いは馬鹿ではできませんからね。

で、こんな正恩にとってムン閣下などただの駒にすぎません。頭から見下しています。
駒は駒なりにトランプを直接会談に引き出すまでは有効でしたが(といってもトランプはムン閣下など頭から無視しましたが)、今は邪魔なだけの愚か者です。
なんせなまじ、元南朝鮮労働党員だっただけあって(そういう疑惑がでていますが)、ムン閣下は北朝鮮と同じような言葉を使ってしゃべ散らすだけにいっそう始末が悪いのです。
コミュニストは似た言葉を使う奴を最も警戒するのが性分なのです。
「黙れ、お前」というのが、この間の短距離ミサイル実験に込められた北の暗喩なんですが、わかんないだろうな、あの男には。

で、ご質問の在韓米軍についてですが、北はやはり撤退してほしいことは確かでしょう。
在韓米軍は見かけ倒しの韓国軍と違って、真に戦える軍事力ですし、しかもなんといっても北朝鮮専門部隊ですからね。
在韓米軍、ハリス大使が司令官
をしていた太平洋艦隊、横田にある第5空軍、すべてが北朝鮮を半世紀かけて研究し尽くしていますから、北にとってヘナチョコ韓国軍とはまったく違う真の脅威です。

だからシンガポール会談でも「朝鮮半島の非核化」という文言を使って、在韓米軍の撤退を盛り込んだのです。
当時はボルトンがいましたからはっきりとは文字化出来なかったのでしょうが、彼がいなければもっと鮮明に在韓米軍の撤退と非核化を取引材料としたことでしょう。
この部分は内藤さんとは違うかな。

今後ですが、年内と見られる第3回会談はいわば「二国間核軍縮交渉」となるでしょう。
長距離弾道ミサイルと短距離ミサイルについては、ほぼ合意ができているはずです。
長距離は廃棄で決まり。短距離は現状維持です。

米国にとって米本土に対する脅威を取り除くのがプライオリティで、撃つか撃たないか分からないような短距離なんて、どうせ降っても青瓦台が吹き飛ぶだけだ、くらいに思っています。
核施設はどこまで小規模分散している現状をしらみ潰しにできるかですが、そうとうまで北は譲るでしょう。
どうせいくつも隠し核製造施設がありますしね。廃棄ショーなんておてのものです。

在韓米軍については、おそらく何らかの合意は既にあるのではないかな。
私は「体制護持」と「非核化」のバーターの切り札として使うと思います。
戦時統制権の移管と同時に撤退です。

ただし、在韓米軍に撤退については、国防総省と国務省は否定的なはずです。
在韓米軍撤退はとりもなおさず米韓同盟の廃棄のことですから(中途半端に安保だけ残しておくというテはないわけでもありませんが)、同盟関係を基軸として考える彼らは基本的に反対です。
また、在韓米軍の烏山(オサン)空軍基地は、中国との有事に際しては中国北方艦隊の根拠地・青島や旧満州地域に集中するミサイル基地、あるいは中国工業の心臓部である天津や旧満州の沿岸部を空から狙える絶好の位置にあることから押さえておくべきだと考えているでしょう。

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https://www.jacar.go.jp/nichiro/map.htm

このような理由で、かつてのマティスもボルトンもそうでしたが、安全保障関係者は揃って在韓米軍撤退には反対なはずです。

しかし一部にはトランプなどのように、韓国を朝鮮戦争の残した不良債権と見て、投入コストに見合わないとする人たちもいます。
彼らはGSOMIA廃棄という自傷行為を平気でする韓国の態度を見て、もはや潮時だと判断したでしょう。

先日、米国は韓国に駐留費を5倍の50億ドルにしなければ、韓国人基地労働者9000人を無給休暇にするとメチャクチャな通告をしました。
この韓国人基地労働者の仕事は調理や清掃、クリーニングなどで軍事部門には関わっていませんが、基地労働者がいなくなれば、そのぶん米軍兵士がせにゃなりませんから、つまりは在韓米軍そのものの縮小ないしは撤退を意味します。
つまり、米国は駐留経費を5倍にしろ、さもなく出ていいくがいいのか、と脅しているわけです。

さてさて在韓米軍を巨悪と見て、撤退が政治目標のはずのムン閣下ですが、なんと答えますか。

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https://www.cnn.co.jp/world/35143494.html  「北極星」中距離水中発射弾道ミサイル

となると問題はいつにかかって中距離弾道ミサイルなのです。
先日のように中距離弾道ミサイルはグアムまでは届かないが、在日米軍はしっかりと射程内に収めています。
米軍の世界戦略の要(策源地)は日本列島です。
横須賀がなければ米海軍は動きが取れませんし、空軍の三沢は中国とロシアに睨みを効かせるために絶対に外せません。
沖縄は台湾防衛の要です。

これを射程に入れられては、大いに米国にとっても困るのです。
もちろんわが国にとっては論外です。
だから中距離核については認めないとは思います、というか思いたい。
常識的に言って、中距離を容認するというのは日米同盟に対する重大な信義違反ですからね。

だけど、トランプだからなぁ・・・。
最大の不安要因はトランプなんですよ。
正恩は合理主義者ですが(褒めているわけではない)、トランプは違いますからね。
今、この人は議会で弾劾決議を受けそうですから、この窮地から脱するためになんとか外交得点をお手軽に上げたいと考えているかもしれません。
すると、北朝鮮の核の脅威から米国を守ったゾ、朝鮮半島に縛られていた米兵を国に帰してやったゾ、なんて妥協をしてしまうかもしれません。

おお、コワ。

 

2019年10月 3日 (木)

トランプの北中距離ミサイル発射への反応に注目

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北朝鮮がおそらく潜水艦からと見られる水中発射準中距離弾道ミサイルを打ち上げました。
北極星」(KN15) のようです。
ただし、現時点ではロシアから買った1950年代製博物館所蔵品なみのロメオ級しか保有していませんので、仮に実験に成功したとしても(失敗したという説もありますが)、実戦配備可能かどうか、きちんとした精密誘導ができるかなどは詳細は不明です。

公表されている射程は3000~5500キロで、外観上は1960年代にソ連が開発したRT-15/RT-2Pと酷似していますが、細部で異なっています。
おそらく北朝鮮の弾道ミサイル開発は、ロシア専門家の指導の下で行われていることは確実で、たぶん開発に必要な設備、部品などは細かく分解されて民生機器に混ぜられて輸出されたようです。
ロシアは知らぬ存ぜぬと言うでしょうが、北朝鮮の核開発には常にロシアの影がつきまといます。

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北極星kN15

それはさておき、韓国軍が日本にGSOMIAに基づいてデーターを要求してきたようですが、まだ期限は来月ですので防衛省は教えたと思われます。
恥を知れ、お前のほうが廃棄したんだろう、という声もありますが、日韓防衛当局者としては双方ともに当然といえば当然の行動です。
だって地平線の向こうはレーダーでは見えませんからね。
日本も見えないし、韓国も見えません。

日本は情報衛星を持っているからアドバンテージがあるということを言う人もいますが、常に張りつきで朝鮮半島上空にいるとはかぎりません。
逆に日本にとって、前回の短距離ミサイルをロストしたということを韓国は妙に喜んでいましたが、失探してもしょせん韓国の頭上に降ってくる短距離ミサイルですから、こちらとしてはまぁねということです。
同様に今回の日本海に落としたミサイルを韓国がわからなくなっても、それはしょせん日本に落ちるだろうということで、やっぱりあちら様はまぁね、です。

つまりは北朝鮮の弾道ミサイルについての情報収集に関して、奇妙な住み分けができてしまったということが問題なのです。
韓国ざまぁということより、本来スムーズに受け渡しができて日米韓で共有化されるべき北朝鮮関連のデーターに、パーテーションが出来てしまったことを問題視すべきです。

JSFさんの見立てでは日本を標的にしています。

「推定最大射程は2000km弱となり、日本まで届くがグアムまでは届かない準中距離弾道ミサイルとなります。つまりこれは日本の安全保障に対する直接の脅威となるミサイルです」
https://news.yahoo.co.jp/byline/obiekt/20191002-00145072/

さて、今後トランプがどのような対応を見せるかが見物です。
実務者会談は既に日程に登っているわけで、正恩はここで潰したくないという米国の気分をしたたかに読んで、グアムや米本土には届かないが、日本は射程に納まっているというギリギリの準中距離を撃ったわけです。
ながらアッパレな瀬戸際戦術です。

これを今までの20発のようにトランプが容認すれば、これで米国は中距離弾道ミサイルまでは容認するという意思表示となります。
となると、トランプの北朝鮮相手のディールのゴールラインがはっきり見えたわけで、なんのことはない米国、ないしはグアムに到達しなけりゃいいということになり、短・中距離はどーでもいいということになります。

ボルトンは閣外に去った後に、はっきりと「北には核を手放す気はない」と明言していましたが、このまま推移すれば未完成の長距離核の開発中止と、ガラクタ核施設のいくつかをスクラップにしてみせれば、オーケーという可能性が高まりました。

だとした場合、大山鳴動ネズミ一匹ということになります。

その場合、トランプの「怖さ」は、ほんとうにコイツならやるかもしれないという、マッドマンセオリ(狂人論理)が終焉を迎えたということになります。
トランプはこれまで北朝鮮に対して発した「炎と激怒」「完全破壊」、あるいは「金体制は長くは続かないだろう」といったストレートすぎる脅迫的台詞は、まさにこの狂人理論を実践したものでした。

たとえばこんなことをしてみせます。

「ホワイトハウスに軍高官とその配偶者を集め、写真撮影を行った際に発した「嵐の前の静けさ」や、自身のTwitterに書き込んだ「一つのことしか機能しないだろう」といった真意を読みづらい発言も、狂人理論に基づく発言です。その狙いは敵=金正恩の心を乱し、北朝鮮首脳部を不安にさせることです」
(海野素央2017年10月16日 現代ビジネス)

軍幹部を呼んで「ひとつのことしか機能しない」といえば、一般的に軍事攻撃を意味するとしか取りようがありませんが、これもただのディールのためのブラフにすぎません。
空母を3隻朝鮮半島沖に集結させたのも同じ文脈です。

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https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/11...

また当時国務長官だったティラーソンがしていたバックチャンネルを駆使しての外交努力について、こんなひと言で切り捨てます。

「これに対して同大統領は、自身のツイッターに「私はすばらしい国務長官に、『キミは小さなロケットマン(金正恩氏)と交渉しようとして、時間を無駄にしている』と伝えた」と投稿し、同長官の外交努力を否定するようなメッセージを発信しました」(海野前掲)

これは当時、ティラーソンの「優しい刑事」役と、トランプの「強面の刑事」役を使い分けて揺さぶりをかけているのかとも思いましたが、さっさとティラーソンをクビにしてしまったところをみると、これもただのブラフだったようです。

要は、交渉相手から「予測不可能な狂人」と見られることこそが狙いで、交渉テーブルに着かせればいいだけのことです。

ところで米国政治研究者の海野氏は、このトランプの「狂人戦法」には、ニクソンからの影響が強いとみています。

「トランプ大統領がこうした信念を持つきっかけとなったのは、1987年12月21日、まだ41歳の実業家にすぎなかった彼が、1通の手紙を受け取ったことでした。その手紙には、リチャード・ニクソン元大統領の署名がありました。(略)
確かにトランプ大統領の言動には、そのはしばしにニクソン元大統領の影響を見てとることができます」(海野前掲)

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https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55872

そこにはキミのテレビショーは素晴らしい、ぜひニューヨーク知事に立候補してみたまえという内容だったそうで、いまでもこのニクソンからの手紙はトランプ家の家宝だそうです。
たぶん今では大統領執務室に安置されているのではないでしょうか。
トランプは、以後ニクソン師をまねて「物言わぬ大衆」を味方にしてエスタフリッシュメントを叩きながら、交渉相手を脅し上げて交渉を有利に運ぶという手法に徹してきました。

ボルトンを閣内に招聘したのも、このマッドマンセオリの一幕にすぎず、ボルトン流CVIDを掲げて見せることで、お前もリビアのカダフィのような末路になりたいのかと正恩を脅したわけです。
これもトランプからすれば、狂人のふりを装うディールにすぎなかったようです。

トランプには一定の手法があると海野氏は指摘します。

「トランプループ」には「アジェンダ設定型」「無理難題型」及び「意表型」の3種があります。
議論の場においてトランプ大統領は、相手よりも先に勝手にアジェンダ(議題)を設定したり、無理難題を押し付けたり、意表を突くような言動をとります。
そうすることによって、まず相手を心理的に揺さぶり、イライラさせるのです。
トランプ大統領が巧みなのは、相手がイライラし始めると、今度は突然、一転して相手を安心させる言動に出るところです。いったん相手が安心したところで、再び不意を突いて翻弄する言動をとり、議論や交渉の主導権を握っていくのです。
その過程で相手は、あたかも無限ループにはまったかのように、堂々巡りの議論を強いられることになります」(宇野前掲)

一度トランプのテに乗ると、交渉相手にとって無理難題を吹っ掛けられます。
北朝鮮の場合は完全非核化で、彼らからすれば核を手放すなんて話にもならない要求です。
核がなけりゃ、ただの世界最貧国にすぎませんからね。
通常の外交なら、ここで職業的外交官同士が延々と実務交渉を積み上げるのですが、トランプは一切無視して、いきなりトップの大統領がドーンと議題を設定しイエスかノーかを迫るわけです。

ここでビビるともう負けで、着きたくない交渉テーブルにおびき寄せられてしまうことになるという手筈です。

今回の北朝鮮に対しては典型的にこの「トランプループ」を使っています。

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https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55872

ただし今回勝手が違ったのは、正恩が米国との直接交渉を熱望していたというトランプそっくりさんだったことです。

つまりは、そっくりさん同士のダマし合いということです。

では、着いた後どうするのかといえば、後はできるだけ自国にとって有利な結末で妥結させるという予定調和に入ることになります。
北朝鮮の核の場合、米本土に届かない核ミサイルは廃棄する代わりに、米国に体制護持を認めさせるという妥協点です。
北朝鮮にとって体制護持を最も危うくさせている策源地は在韓米軍ですから、これを撤退させろということになります。
これが北朝がいう「朝鮮半島の非核化」という意味です。

ま、ご承知のようにトランプの持論は就任前から在韓米軍撤退論ですから、別にそれ自体は障害とはなりません。
たぶん憶測ですが、第2回ハノイ会談で、トランプはボルトンがノーといわなければ、このへんで手を打ったかもしれませんね。

一定幅の北朝鮮の核保有を容認し、米本土を核の脅威から守るということで、これで北朝鮮と米国はウィン・ウィンとなるという寸法です。

「米朝にとっては「本土優先論」と「核保有容認論」の取引には確実なメリットが存在します。一見、これらは二律背反のようにも思われますが、双方は補完し合い両立し得るものです。
北朝鮮は核保有国として容認され、金体制維持が保証されます。言うまでもありませんが、金委員長は国内における権威を一層高めることができます。
一方、仮に米朝の交渉が成果を上げた場合、トランプ大統領は「私の交渉能力及び取引のスキルによって、米軍や一般市民の血を一滴も流さずに米本土を守り、問題を解決した」とアピールできます。その暁には、25年もの間、歴代米大統領や政権が手を焼いてきた難題を、自分が平和的解決に導いた、そう国民に訴えるでしょう」(海野前掲)

残念ですが、海野氏の観測があたりそうな気配ですが、それを見極めるために今回の中距離弾道ミサイルの発射にトランプがどう反応するかが試験紙となるでしょう。

※ 秋の模様替えをしました。いかがですか。

 

2019年10月 2日 (水)

独裁者の宴と香港発砲事件


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国慶節という催しは、国際社会を恫喝するためのもののようです。
軍事パレードは一般国民は見ることを許されず、共産党幹部と招待された人たちだけの前を轟々と通過していきました。
この軍隊が誰のために作られ、誰に奉仕しているのかがよくわかります。
これが習の言う「中国の夢」のようです。
超軍拡、一党独裁、超管理社会、個人崇拝、こんな夢なら、世界にとって悪夢以外なにものでもありません。

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一方、この習の「中国の夢」に真正面から立ち向かったのが香港でした。
国慶節を前に、香港においては当日のデモを不許可にするという暴挙を行い、発砲許可すら認めました。
香港警察が誰のために動いているのかしっかりとわかります。
また、
駐留人民解放軍部隊を一挙に2倍に増員しました。

このよう中で起こるべくして事件は起きました。

「香港では1日、中国の建国70年にあわせて大規模な抗議活動が行われて警察との衝突が相次ぎ、18歳の男子生徒が警察官に拳銃で撃たれ、病院に運ばれました。一連の抗議活動で、警察の発砲でけが人が出たのは初めてで、政府への反発が高まることは避けられない情勢です。(略)
この中で警察官が18歳の男子生徒に拳銃を発砲しました。この生徒は左胸の辺りを撃たれ、病院に運ばれました。
SNS上の映像では、この生徒とみられる人が警察官から至近距離で発砲され、後ろ向きに倒れる様子が写されています 」(NHK10月2日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191002/k10012108511000.html

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1日、香港でデモ参加者(左)に向けて発砲する警察官の映像(香港大学生会Campus TVのフェイスブックから・共同)

撃たれた人は高校生で重体です。
その模様は逐一SNSで撮影されていて、警官隊は丸腰で無抵抗の高校生の胸を指さして発砲し、彼が倒れているのがうつされています。ぜひ映像もご覧下さい。
https://togetter.com/li/1411562
https://www.facebook.com/hkucampustv/photos/a.280176058717764/2477915948943753/?type=1&theater

アグネス・チョウ(周庭)さんのツイートです。

周庭 Agnes Chow Ting認証済みアカウント @chowtingagnes 9 時間前
つい先程、18歳の高校生が至近距離から警察に銃で左胸を撃たれました。実弾でした。この高校生は今、危篤状態に陥り、病院で治療中です。
あの警官は銃で足を狙うのではなく、心臓を標的にしました。殺人行為と同然です」
「日本の皆さん、香港人が抱いてる怒りを理解できますか?今回負けたら、諦めたら、香港は完全に警察が支配する社会になります。正直、怖いです。怖いからこそ、私たちは戦わなければなりません」

写真もアップされています。生々しい写真なので迷いましたが、無抵抗の市民を撃つ行為がいかに非人道的なことか、私たち日本人も分かる必要があると考えて転載します。

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https://twitter.com/chowtingagnes 以下同じ

警官は6発発射しました。それも常識的に警官は警告射撃をし、さらに従わないならば身体をはずすか、脚部を狙って発砲します。
胸を狙っての発砲などは、到底ゆるされるものではなく、まさに殺人行為そのものです。

「彼は運がよく銃弾が心臓、主動脈と脊髄を外したが 明らかに銃弾は左鎖骨の下より上胸部に命中し、肺組織をかなり潰して心臓の左後ろで留まった。 これは警察が宣言した「肩に命中した」とは完全に違い、殺人行為とは変わりがない」(香港の邦人ツイート)
https://twitter.com/yuu_yabu/status/1179074569635692544

幸いにも手術は成功し一命は取りとめましたが、今後この発砲した警官のみならず、警備責任者、行政府まで責任を厳しく追求されねばなりません。

これはこの間の香港警察の止まるところを知らない暴力のエスカレートを背景にしています。
アグネス・チョウさんのツイートから拾っていきます。

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「昨日、ある公立病院の医師がデモ現場で、デモに参加した負傷者にボランティア救助を行ってる時に逮捕されました。 デモ参加者に恣意的に暴力を使うだけではなく、香港警察は人道援助を阻止するのです。 この運動が始まって以来、警察は常に負傷者を援助しようとした救助隊員を強引に阻止します」

警官が逮捕した人を踏み台にして銃を構えています。

「このデモ参加者はまるで人質みたいです。そして警察は法的な責任を一切取らないし、政府も一切警察を批判しません。それでも香港政府は「香港は法治社会だ」と言えますか? 」

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行政長官のキャリー・ラムは「対話集会」なるものを開催しましたが、それは選ばれた者だけで、しかも警官は手ぐすね引いて待ち構えていました。

「今日、香港行政長官キャリー・ラムは初めての「対話会」を開きます。昼間、たくさんの警察が「予備の弾」と書かれた箱や催涙弾やペッパースプレーなど、多くの武器を会場に運びました。対話会に参加できるのは抽選された150人だけです。会場周辺の街も全部封鎖されました。誠意は全く見当たりません」

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アムネスティはこのように報告書で述べています。

香港警察の路上での強引なデモ規制対応は、世界に向けてライブ配信されています。しかし 目に見えない場所で行われる抗議者に対する警察の虐待のははるかに多く、見えにくいのです (下写真も同じ)
https://www.amnesty.org/en/latest/news/2019/09/hong-kong-arbitrary-arrests-brutal-beatings-and-torture-in-police-detention-revealed/

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この報告書には、香港警察の暴虐が数々報告されています。

「国際NGO が発表した報告書によれば、香港市民は拘束された際に様々な拷問や虐待を受けました。逮捕された人たちは、骨折や内出血するまで殴られたり、強引にレーザーポインターで目を差されたり、電話のロックを解除しないと陰部に電気ショックを加えると脅されたりしました」(アグネス・チョウ前掲)

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台湾でも国慶節の前日、香港支援デモが行われました。

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「【台北時事】台湾の台北で29日午後、反政府抗議活動が続く香港の市民を支援するための集会が行われた。
 集会に参加していた香港の女性歌手、何韻詩(デニス・ホー)氏が報道陣からの取材中、赤いペンキをかけられる騒ぎがあった。それでも取材を受け続けた何氏は「香港の民主活動家はこのような脅しに毎日直面している。香港人はこんなことで怖がったりはしない」と強調した。
 地元メディアによると、台湾人の男2人が現場で身柄を拘束された。いずれも中国と台湾の統一を主張する政治団体に所属しているとみられる蔡英文総統報道陣の取材に「台湾の民主主義や法治に反するような行為は許さない」と非難した」(時事9月29日 上写真も同じ)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190929-00000082-jij-cn&pos=4

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2019年10月 1日 (火)

今日香港、明日台湾

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今日、中国は国慶節を迎えます。
さぞかし北京は、弾道ミサイルやナチス・ドイツ流のダックウォークで行進する軍事パレードで覆い尽くされることでしょう。
あ、そうそうダックウォークというのは足を曲げないで前に突き出すようにして進むプロシャ流の歩兵の行進スタイルですが、なぜか共産圏はいまもこれをやっています。

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ニューズウィーク9月30日

また、長距離や中距離核ミサイルも惜しげもなく披露することでしょう。
まことに胸が悪くなるような一日です。

人民解放軍というブラックジョークのような名前を持つこの国の軍隊は、実は国軍ではありません。
共産党の私兵がそのままゴジラ化したものであって、国家の上位にそびえる共産党の意志によって自在に動かすことができます。
それを動かすのは中国共産党中央軍事委員会で、その委員長は代々共産党トップが握ってきました。

ではこの唯一の主権者たる習近平が、巨万の軍隊を前にして穏やかな気分で今日を過ごせるかといえば、気の毒にもノーです。
なぜなら、台湾と香港という二つのまつろわない地域が健在で、更に力をつけているからからです。
たぶん今日の香港には、怒れる香港の市民が街頭に溢れることでしょう。

「『人民解放軍は戦争に勝つ軍隊でなければならない』、と習は就任以来、軍を視察するたびにそう強調してきた。解放軍の最大の任務は「台湾解放と祖国統一」だ。
しかし、その台湾では民主主義体制が定着し、台湾人の自己認識も「中国人」から遠ざかっている。武力による威嚇では台湾人を屈服させることができず、逆に独立志向の民進党の支持率を高めつつある。南シナ海を占拠して島しょ部を要塞化したのには台湾包囲網を構築する狙いもあったが、こちらは米軍やイギリス軍、それに自衛隊による「航行の自由」を招いた」(楊海英ニューズウィーク9月30日)

中国共産党にとって「祖国統一」を妨げているのが台湾と香港である以上、中国共産党にとってこの二つの地域を完全に平定するのがいわば悲願でした。
台湾は落城寸前に見えました。
中国は、2010年まで延々と続いた国民党政権の間で、1992年には「ひとつの中国」で合意しました。
「92共識」と呼ばれ、2015年には習と
馬英九がシンガポールで直接会談をもつところまで外堀を埋めていました。

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https://blog.goo.ne.jp/hiroharikun/e/a30162bbb8f71

それには背景があります。この時期、台湾は巨大な中国市場に眼がくらみ、われもわれもと一斉に中国へと進出していたのです。
進出した台湾資本は外貨を持ち帰ることもできないまま、態のいい人質と化していきます。
それだけではなく、中国人旅行者がもたらすインバウンドは無視出来ないほどの規模となっていきます。

つまり台湾は内側から中国マネーによってとろかされて、自ら中国化しようとしていたのです。
しかし習は焦りりすぎました。ここで一気に台湾を「ひとつの中国」とすべく中台サービス貿易協定を馬に強行させようとしました。
これは民主主義の大原則である通信の自由を奪うものとして、青年の大反発を受けます。
ここで起きたのが2014年の「ひまわり運動」でした。

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https://www.excite.co.jp/news/article/Jpcna_CNA_20...

「ひまわり運動」によって、馬の支持率は一気に10%にまで落ち込み、とうとう2016年の総統選挙では民進党に政権を譲ることになります。
中国に抗して民主社会を守るという強い気持が台湾の国勢選挙を動かしたわけです。
これが香港デモへとつながっていく伏流となっていくわけです。

蔡英文は馬が残した「ひとつの中国」という「92共識」の存在自体を否定し、「独立」という刺激的な言葉はつかわずに、今までの国民党政権とは一線を画した「台湾」をめざしました。
これに激怒したのが習です。彼は
ありとあらゆる方法を使って台湾に嫌がらせをしました。

台湾と国交がある国をカネの力でしらみつぶしに引き剥がし、続々と断交を迫っていきました。
これによって台湾は、いまや世界でたった17カ国にしか承認されていないという国際的孤立を味わうことになります。
これにとどまらず、大人げないことには、中国人の台湾旅行にも制限をかけるようなまねまでやっています。
中国進出した財界は常に蔡政権を揺さぶり続け 、シャープを買収したホンハイの郭台銘は、国民党から総統選に出るといって注目を浴びました。
中国資本に買われたメディアも蔡政権を執拗に攻撃し続けます。
ちなみに中国はメディアの重要性を熟知しており、香港でもほとんどすべての新聞が中国系資本となっています。

このような経済低迷によって蔡政権は支持率が低迷し一時は30%を切る水準にまで追い込まれており、再選は絶望的だとすら言われていました。
皮肉にもこの蔡政権を救ったのが、中国が香港に押しつけようとしていた移送法でした。
台湾で澎湃として起きたのは、「今日香港、明日台湾」(今日の香港の姿は、明日の台湾だ)という声だったのです。

国民党は「92共識」で既に中国に魂を売っているという事実が、台湾の人から、国民党への支持を奪い、蔡政権への再度の支持へと向かわせたのです。


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http://taiwan2020tokyo.org/2019/06/16/1589/

この蔡への国民的支持は、2019年1月に習が台湾へした「一国二制度」の提案したときから始まります

「中国の習近平国家主席は1月2日の演説で、中国と台湾が統一に向けて取り組むため「徹底的な民主的協議」を開始することを提案し、中台双方が「一つの中国」に属するとの立場を堅持するとの合意が守られなければならないとした。想定されるモデルとして、英国からの返還後の香港に適用された「一国二制度」に触れた。
」(ブルームバーク2019年9月12日)

これに対して蔡の対応は見事でした。 直ちに「一国二制度」提案を拒否したばかりか、9月に入ると中国が最も嫌がる香港の民主派のリーダーたちと面会して励ましたのです。

「蔡氏はフェイスブックへの8月の投稿で、自身が総統にとどまる限りにおいて、台湾は決して香港のようにはならないと明言。9月に入ると2014年の香港民主化デモ「雨傘運動」を率いた活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏が台湾を訪れ、民進党の幹部らと会談した」(ブルームバーク前掲)

その時から蔡はやや頼りないオバさんから「辣台姉」 へと変貌します。

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 「台湾の人々は香港で起きていることを不安を抱きながら注視しており、特に地下鉄で抗議参加者を殴打する警官の様子などデモ隊に対する取り締まりに強い関心が集まる。蔡氏最大のセールスポイントは中国に対するぶれない姿勢だ。中国側が譲れない一線としている「一つの中国」という考え方を蔡氏は拒否している」(ブルームバーク前掲)

台湾と香港は連動して動いています。
台湾に刺激されて香港は戦い、今、戦い続ける香港を支えているのが台湾なのです。

加油、香港、台湾!がんばれ、私たちの友!

 

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