女系天皇と女性天皇は違います
メディアでは産経を除きほとんど無視されましたが、先日、自民党の有志議員によって男系天皇の皇位継承について具体的な提言がありました。
「自民党の保守系有志議員による「日本の尊厳と国益を護(まも)る会」(代表幹事・青山繁晴参院議員)は23日、父方に天皇がいる男系の皇位継承を堅持する具体案を盛り込んだ提言を発表した。
11月中旬の大嘗祭(だいじょうさい)が終了後、安倍晋三首相が海外出張から帰国するのを待って直接手渡し、政府の安定的な皇位継承に向けた検討に反映させたい考えだ。
提言は「女系天皇」につながりかねない「女性宮家創設」に否定的で、皇室典範改正や特例法制定によって旧宮家の男子が皇族に復帰できるようにすることが柱だ。立法府の円満な合意形成を重視し、特例法に比重を置いている。
具体的には、旧宮家の男子が現皇族の養子か女性皇族の婿養子になるか、国民の理解に基づく立法措置後、了承の意思があれば皇族に復帰できるようにする。後者に関し、提言では「10代5人、20代前半2人」の旧宮家の男子が存在するとした。現在の皇位継承順位は一切変えないことも明記した。
青山氏は記者会見で、皇位継承のあり方に関し「大嘗祭が終われば速やかに具体的検討に入っていただきたい。この提言を必ず入れろということではなく、他の意見も十分責任を持って勘案していただきたい」と政府に求めた」
(2019年10月23日 産経)
https://www.sankei.com/life/news/190620/lif1906200...
私はこの青山議員の提案を、皇位継承について一石を投じたものとして歓迎します。
産経の記事には「自民党保守系議員」って書いてありますが、そうそう自民って保守党だったんですよね(笑)。
たまに自他共に忘れそうになります。
それはさておき提言の要点は以下です。
まず前提として今の皇位継承順位の遵守が前提です。
この皇位継承順位を飛び越えようとすること自体が、天皇の伝統を棄損することになるからです。
その上に立ってですが
①男系である旧宮家の男子が現皇族の養子か女性皇族の婿養子になる。
②本人に了承の意思があれば皇族に復帰できる。
③同時に実施もありえる。
以上については現行皇室典範の変更を伴うので立法措置が必要となりますが、たいへんに現実的な改革案です。
さて、天皇が即位にともなって秋篠宮文仁殿下の地位が変化しました。
一般的には今上陛下がそうであったように次期天皇は「立太子」されて皇太子となられますが、秋篠宮様は「立皇嗣」(りつこうし)」されて
皇太子ではなく「皇嗣」という地位に就かれます。
ここで問題となるのは、今上天皇の成仁(なるひと)陛下と秋篠宮様は6歳しか違わないことです。
現実問題として、今上陛下と平行して歳をとって行くことになりますから、失礼な言い方で恐縮ですが、秋篠宮様が天皇位を継ぐことができるか微妙だと思われます。
仮に秋篠宮様が天皇位を継承されても大変に短い御世になる可能性が濃厚で、実際、秋篠宮様もそのことに不安を漏らしていると伝え聞きます。
共同通信などはこんな世論調査をしています。
「26、27両日に実施した全国緊急電話世論調査によると、(略)政府が検討する予定の安定的な皇位継承策に関連し、女性天皇を認めることに賛成は81.9%、反対は13.5%だった」(2019年10月27日)
これではまるで「女性天皇を認めないのはおかしい」といった答えに導くための誘導設問です。
似たような女性天皇容認論は、よくメディアから発信されています。
どうやらこの連中は女性天皇と女系天皇をゴッチャにして議論しているようです。
認めるも認めないも、女性天皇は現行でも認められていますし、後述しますが歴史上も多くおられます。
ですから愛子内親王が即位する可能性は、理論的にはないわけではありません。
ただし、それは現行の皇位継承順位に沿って悠仁親王にお子が生まれなかった場合で、しかも殿下が高齢という条件が揃った場合、やむをえずの「つなぎ」としてです。
もっとも現実には、そういった事態の前に愛子様はご結婚されて皇族降下しているでしょうから、現実にはありえない仮定にすぎないといってもいいでしょう。
さてここで改めて、メディアがゴッチャにしている女性天皇と女系天皇についておさえておきましょう。
日本の歴史上、女性天皇はなん人もいました。
これまで推古天皇・持統天皇など10代8人の女性がが即位していますが、すべて父方に天皇の血筋を持つ男系天皇です。
これは、次期天皇が決まらないとか、世継ぎ候補がいまだに幼少であるために一代限りの限定で「つなぎ」として即位されたのです。
ナカツギノスメラギノミコトと呼ばれています。
奈良県HP http://www.pref.nara.jp/43839.htm
有名な女性天皇は持統天皇です。この女性は女傑です。
天智(てんじ)天皇の第2皇女として生まれ、天武天皇の皇后となり、天武の死後、その遺志を継いで即位せずに政務をとりました。
そして4年後に自身も天皇に即位し、夫の遺業であった飛鳥浄御原令(きよみはらりょう)に新しい都を作ってしまわれました。
称制686‐689年,在位690‐697年。
彼女が天皇になったのは、夫の天武の死後、皇太子草壁(くさかべ)皇子が亡くなってしまったからです。
他の女性天皇も例外なく男系天皇の皇女として生まれ、即位した後も自らの子は天皇に即位させていません。
なぜでしょうか?
世界で一番古い王家といわれる天皇家は、今まで男系男子で連綿と繋がって来ました。
王朝は交代していないのです。
日本は、継体天皇の時に皇統(王朝)が代わったという説もあるようですが、初代より男系男子で皇統が守られてきました。
これはたぶん世界唯一の事例のはずです。
ヨーロッパの王室は全部そうですが、例えば今の英国チャールズ皇太子が即位すれば、ここから新しい王朝が始まります。
なんと呼ぶのか知りませんが、エリザベス王朝からチャールズ王朝となるわけです。
しかしわが国は御世替わりはしても、王朝は変化しません。
では男系天皇で継いでいくことを止めてしまったらどうなるのでしょうか。
今上陛下の皇女(内親王)が皇太子となったと仮定した場合、愛子様はいずれ即位し、宮家がない以上民間人から婿を取るということになります。
ここまではさきほど述べたように現行皇室典範でも可能です。
問題は女性天皇となられた愛子陛下と婿のソノさん(仮名)とすると、子供に男の子がいた場合、この時点で今まで数千年続いてきた王朝は消滅し、イソノ王朝に変化したことになります。
分かりやすい絵解きがあったので転載させていただきます。
https://togetter.com/li/1344383
上の絵をみながらお読みいただきたいのですが、波平さんが今上天皇だとすれば、男子はカツオくんしかいませんから、彼が皇位継承権第1位です。
しかしなにぶんまだ子供でとうてい天皇の重責を担うことはむりです。
カツオくんが成人するまで、なにがなんても波平陛下は頑張らねばならないのですが、不幸にもポックリ逝ってしまったとしましょう。
さぁ困った。そこで出てくるピンチヒッターがサザエさんです。
サザエ天皇の誕生、つまりこれが女性天皇です。
ただし、ここでサザエさんと婿のフグタさんの子供を次の天皇としてしまうと、ジャーン、ここでイソノ王朝は消滅してフグタ王朝が成立してしまうことになります。
あくまでもサザエ天皇は持統天皇と同じで、カツオくんが成人に達して、天皇位を十分に担える年齢に達するまでの橋渡しです。
私はそんな日本を想像できないし、想像したくもありません。
女性宮家も同じことです。
女系天皇よりソフトな印象があるだけのことで、やはり王朝交代を引き起こしてしまいます。
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