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2019年10月24日 (木)

ジョッキさんにお答えして ふたつの一国二制度

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だいぶ前の記事にたいしてのコメントで一国二制度に関してのものがありましたので、こちらで答えておきます。

ジョッキ氏のコメントはこのようなものでした。

「デニーの言う一国二制度を香港と中国の関係になぞらえて批判してますが、その場合横暴な中国本土、中国共産党にあたるのは日本本土、日本政府になるのですが・・・
香港=沖縄に完全な別制度を与えよ、と言ってるのですか?香港=沖縄を独立させろ、と言ってるのですか?
一国二制度という言葉から直ちに中国を連想して左翼=売国=中国ぐらいの大雑把さで批判してませんか?」

ジョッキさん、違います。だいぶ前の記事ですから答える義務はないんですが、まぁいいでしょう。
当該記事は、2019年3月25日「デニー知事が蒸し返した一国二制度」 です。
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2019/03/post-4aa2.html

この記事では明示していませんが、私は中国が一貫して沖縄を併合しようとしていると考えています。
これは被害妄想でもなんでもなく、中国は共産党機関紙環球時報で沖縄は中国領土だと明確に言っています。

これは沖縄の地理学的位置のためです。
沖縄から中国大陸に向けて逆の二等辺三角形を作ると、その底辺の両端が福建と上海にあたります。
見事にほぼ等距離で、かつて沖縄が琉球王国時代に朝貢貿易で栄えた地理的理由が分かります。
これが沖縄の中国と日本に両属するという特殊性を生み出しています。

中国側から見れば、かつての清朝が朝貢関係をもった国はすべて属国、旧版図ですから、日本人にはおいおいですが、沖縄は「奪われた領土」ということになります。

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http://oki-park.jp/shurijo/guide/52

琉球王府のあった首里の「守礼の門」に掲げてある扁額にはこのような文字が刻んであります。
「守禮之邦」
これは一般的に思われているように「礼儀を守る国」という意味ではありません。
端的に、「中華皇帝に対して臣従の礼を守っている邦」、つまりは「我々琉球王国は中華帝国の属邦です」という意味です。

日本政府が二千円札に使っていますが、おいおい意味判って使っているのかよ、と思います。
これが「琉球事大主義」と呼ばれるものです。

守礼の門の類似の存在には、韓国の迎恩門があります。
東アジアでの中華帝国に対する地理的政治的位置が似ているせいか、沖縄と韓国にはどこか共通する歴史とメンタリティがあるようです。

さて、この国際関係は過去のものではなく現代も生きています。
中国共産党機関誌「環球時報」(2010年9月19日)は、このように主張していました。

琉球(沖縄県)は明治政府が19世紀末に清国から奪い取ったもので、日本政府は今も沖縄住民の独立要求を抑え込んでいる
中国政府は尖閣で日本と協議に入ってはならない。(なぜならそれは引き換えに)境界線外にある琉球の主権が日本にあると認めることになる。こうなれば日本の琉球占領は合法的な根拠を得て、琉球民衆の独立要求は鎮圧されることになる
http://kinbricksnow.com/archives/51481894.html

つまりここで「環球時報」が言いたいことは、尖閣で交渉すること自体が無意味で、交渉などすれば沖縄の日本の領有権を認めてしまうことになると言いたいようです。

はっきり言えば、交渉するな、尖閣や沖縄は力ずくで奪ってしまえということで、実に物騒です。
さすがこのフレーズは習近平の意向と違ったようで、いまは削除されてしまいましたが、まぁ、中国のある種の本音が思わずペロっと出たというところでしょうか。

手段は別にして、中国からみれば沖縄は台湾と一緒で「神聖な領土」であって、沖縄を併合するのは侵攻ではなく正当な権益の奪還なのです。

やり方はふたとおりで、平和的手法と軍事的手法があります。
まず軍事的侵攻をとる場合を考えてみましょう。
これはそうとうに無理筋です。在沖米軍が駐留するかぎり、米中全面戦争(つまり核戦争ですが)のリスクがあるために不可能に等しいと思われているからです。

ただし同じ沖縄県でも尖閣諸島となると微妙で、こんな岩礁の大きなものに米国青年の命を賭けられないと判断する場合も大いにありえそうです。
パンダハガーが大統領となると、そういった決断をすると思われます。

また宮古・八重山の場合は、中国の台湾侵攻時に保証占領する可能性があります。
この海域を制圧すれば、中国北方艦隊は太平洋に進出しグアムを攻撃することが可能となるばかりか、米海軍が台湾に接近することも阻止することができるからです。
この場合も、米軍がどれだけ自衛隊の離島奪還作戦に協力するかは未知数です。

そして本島ですが、ここは大きく条件が違っています。
在沖米軍が駐屯しているからです。そのためにいわゆる「ワイヤートラップ」効果が機能しています。

奥山真司氏はそれについてこう述べています。
https://ch.nicovideo.jp/strategy/blomaga/ar791990

「ひとたび沖縄が攻撃されれば、その被害は駐留米軍に及ぶ確率が高く、そうなると米軍自体は望む・望まずにかかわらず、ほぼ自動的にその争いに介入せざるをえなくなるからです。
これが、いわゆる「トリップワイヤー」(tripwire)という考え方です。
日本にとっての対中国最前線に自分たちを支配しているはずの米軍をあえて足に引っかかるワイヤーのように配置する。
これにより、仮に中国や北朝鮮のような仮想敵国が日本を攻撃してきた際には、図らずも米軍をも攻撃することになってしまう。このようなメカニズムをつくることによって、無理やり駐留米軍を「抑止力」つまり「人質」にしてしまおうというものです」

ですから、在沖米軍がいることによって「戦争に巻き込まれる」のではなく、逆に駐屯すること自体で米軍を家族もろとも「人質」としてしまっているために、米軍の抑止力に期待できるわけです。
聞えは悪いですが、米軍は大事な人質なんですから、保険を逃がしてはいけません。
本気で平和を願うのなら、米軍基地を囲んで「米軍はでていけ」と叫ぶのではなく、「米軍は逃げるな」とシュプレッヒコールするべきなのです。

このように軍事的侵攻が難しいから習はもうひとつの方法、つまり沖縄のほうから中国圏に加入したいと申し出て来る勢力を陰に日向に育ててきました。
これがいわゆる「琉球独立」派です。
この人たちはおくめんもなく、会議を中国で行っているありさまで、彼らの「独立」が実は中国圏への参加であることを隠そうともしません。
下は某国会議員が作ったパロディーです。C535780d17cabf00bc175e5230e930b3

沖縄の側から中国圏への併合を要求させること、これが理想的な平和的併合です。
しかしその場合に最大のネックとなるのは、共産中国には国民の自由がないことです。
説明するまでもありませんが、あの国は普通選挙ひとつないのです。
そんなところに包摂されて大丈夫なのか、という怯えが県民に残ることでしょう。
そのためらいを解消する妙薬が、共産中国でありながら、今までどおりの民主主義を保証されるとする一国二制度なのです。

一口に一国二制度といっても、この場合、二段階あります
まず沖縄の中の分離独立勢力(少数ですが存在します)を含んだ左翼陣営に県政を長期間握らせ、本土政府との摩擦を煽ります。
本土への不信を煽る最もいい方法は、沖縄県民を「先住民族」として規定し、それ故に支配民族のヤマト民族によって「差別されている」と思わせることです。

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「差別」どころか全国魅力度ランキングで常に3位以内をキープしている沖縄が差別されているとしたら、最下位の茨城なんてどーなるんですか(笑)。
ちなみに私は茨城県民ですが、いまや茨城は最下位を逆手にとって元気です。

そして県民投票によって「高度な自治」を本土政府に要求します。
それには住民投票方式を採用すると思います。
法的にはなんの意味もない住民投票によって圧倒的県民が「高度の自治」を要求しているという意思表示をしてみせるわけです。
今の本土政府なら無視するでしょうが、ハトさんのような首相だった場合、「琉球自治区」が誕生する可能性もないわけではありません。
ここまではオール沖縄の人たちが常々口にしていることですが、この時使われるロジックが一国二制度(国内版)です。
かつての民主党政権が言い出し、いまはデニー知事も言っていることです。

それは日本でありながら日本でない「高度な自治」を保証された特別自治区を意味します。
日本政府に対してはあくまでも日本に止まるということを強調し、県民にも独立そのものではないと安心させることができます。
いわば「半独立」状態の地域で、自治政府は中央政府に干渉されずにすべてのことを決することが可能です。
ただし、ひとつの足かせがあります。
この「半独立」では、県の当時は振興予算と呼ばれていた経済支援は得られるものの、外交・安全保障分野の権限は今までどおり中央政府にあることです。

なんのことはないこれでは分離独立勢力がもっとも重視していた米軍基地の撤去は得られないのです。
かつて沖縄が返還された時に、米軍基地もついてきたために「基地つき返還は欺瞞だ」と叫んだのとまったく同じ構図の再現となってしまうわけです。

ですから、反戦・反基地闘争は「半独立」した後もおさまるどころか、かえって激化することでしょう。
基地をなくすために高度の自治を要求したのに、米軍基地は変わらずにそこにある、これはどういうわけだ、というわけです。
やがてそれは再び本土政府との軋轢の火種となっていきます。

このイライラ感こそが「半独立」から、米軍駐留なき本格的独立へ向かうエネルギーとなります。
それを
読みながら、いかにして米軍を撤退させるかが次の焦点となります。

ここからが第2段階です。

それには本格的独立によって日米同盟から沖縄だけが離脱することです。
しかし、沖縄は本格独立するだけの経済基盤を持たないが故に、独立に躊躇することでしょう。
しかしそれをサポートします、という優しいオジさんが登場したらどうします。
もちろん下心がありますが、それはチャイナです。

この誘惑に負けると、衰退する日本圏から脱して、興隆めざましい(と思っている)超大国である中国への乗り換えということになります。
この段階が、実は今の韓国が現在進行形でやっていることです。

その場合、「沖縄自治区」は、「隣国との友好と地域の平和」の名目で中国との「新たな関係」を作ろうとします。
新たな関係とは、日本圏内から離脱し中国圏内に入り、その財政援助をもらうという意味です。
同時にそのネックとなっている在沖米軍を撤退させることを意味します。

「沖縄自治区」を握った「オール沖縄」勢力は、中国圏に入ることで初めて「平和の島」を実現できるのだと主張することでしょう。
しかしそれはたんに米国の核の傘から中国の核の傘に乗り換えた事にすぎず、中国は旧米軍基地を居抜きで租借させることを要求するかもしれません。
このことも韓国が形を変えて今まさに直面していることです。

ただし在日米軍問題は日米同盟と直結しますから、いくら弱腰の本土政府でも譲れない一線として頑なに拒否するでしょう。
この時、中国側に提案してくる美味しいエサが一国二制度(中国版)なのです。
前回の国内版とは同じ言葉遣いですが、意味がまったく違います。
ジョッキさんはここに足をとられたようです。

中国は香港のみならず台湾にも一国二制度の提案をしていますから、民主主義政体を持つ国を(段階的に)併合するには大変使い勝手がいいプランとかんがえていたようです。
これなら相手が共産国でも安心して民主主義制度を維持できる、と県民に錯覚させることが可能ですからね。
ですからこの一国二制度という考え方を持ち出すこと自体、既に中国の書いた絵図に乗っていると判断してよいと私は思っています。

以上はただの思考実験にすぎません。
ですから、シナリオは極めて単純化してあります。
本来なら、ひとつのケースについて選択肢を5ツくらい用意してそれぞれのシナリオをつくるべきでしょう。

たとえば日本政府の時の政権の性格、米国の時の政権の性格、同じく中国のそれ、あるいは国際社会の変動などは一切無視しました。
実際には、これら多くの変数の無数の組み合わせの中で国際社会は動いているのです。
ですから、「一国二制度」という概念から考えられる憂鬱な未来を考えただけだとお考え下さい。

もっとも今は香港で徹底してその欺瞞性がバレてしまいましたから、デニー氏も恥ずかしくてこんなことは当分言えないでしょうが。

 

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コメント

デニーさんがかつて衆院質問で唐突な付け足しふうに一国二制度にふれたのは、「独立論」だとか「差別論」がまだ目新しく喧しい頃で、空想好きなごく一部のアカデミー方面か、例の民間外交を標榜する団体からの要望と言われています。

そういう行為自体が中共に誤解とスキを与える愚行ではあるのですが、制度についてデニーさんに深い理解や造詣があったわけでも、それを些かでも実現できると考えたわけでもありません。

デニーさんが知事になって「一国二制度」のような馬鹿げた事を言わなくなったのは、そうした突飛な発案が県民の理解を得る事が出来ない事を知っているからです。
また、一国二制度のような事は革新系の中ですら拒否反応があり、知事が本気で実行しようとすればオール沖縄の瓦解はさけられません。

知事が政権を維持して行くには地道で保守的な道を選ばなくてはならず、かと言って全く何もやらないわけにもいかず、それで勝訴の可能性の全くない訴訟や無駄な訪米、全国キャラバンなどをやって従来からの支持者に対してのガス抜きをやっている、というのが実情です。

茨城を引き合いに出して笑うのはやめて下さい。

 デニ-知事は能力不足なんですね。県議会での答弁もできないようで、島袋県議や照屋県議の質問に答弁するのは、多くが副知事や知事公室長らしいですよ。答弁能力もないのです。前知事の翁長知事は自分で答弁することができました。だがこれは大分無理筋の論理がありましたね。

 知事の無能な答弁ぶりは、チャンネル桜沖縄版でみなさんご確認ください。自民党県議たちの追求ぶりはすごい。舌鋒鋭い。なんでこんな方たちがいて選挙には勝てないのかと思いますよ。戦術が間違っているのかもしれませんね。

結局、琉球独立論から派生する沖縄版一国二制度は「半独立」した時のメリットしか見ていないお花畑思想でしかないのですよ。
今回の記事はそれを的確に描いていると思います。

香港は併合に至る過程、琉球は独立に至る過程でのソフトランディングとしての一国二制度ですから全く性質は異なりますね。
どちらも「中国を甘く見ていた」と意味では共通点はあるのですが。

中共共産党は、一国二制度とはもともと経済制度のことであって、政治と法の制度が異なり続けることを保証していない、くらいの詭弁を弄したいのでしょうね。
特別行政区制度を裏付ける法律なんて、全人代常務委員会で都合よく好きなように解釈できちゃいますし。

沖縄への一国二制度適用の言い出しっぺはご存知の通り2008年民主党沖縄ビジョンにおけるオザーさんですが、それは「沖縄にもっと金を!永遠に金を!」が主たる内容で、安保や外交など高度な自治については、それを本気で切実に求めたわけではなく、沖縄の値段を吊り上げる道具のひとつでした。

注意を払っておくべきは、中共共産党お得意の強引な解釈と、沖縄ビジョンのオリジナル当時よりも中共に好都合な要素を強化して沖縄民意に仕立てようとする中共に喰われた人たち、耳触りの良い話をすぐ間に受ける習慣の人たち、ですかね。

昨日の朝も10時過ぎ頃だったか、安和の琉球セメント前を通りました。
県の訴訟が門前払いになったのを受けてバスで乗り付けた活動家でいつもよりかさ増ししていました。
その人たちの端に、「無防備」系のお花畑なプラカを掲げる人たちがいましたよ。

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