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2019年10月19日 (土)

なぜ二子玉川で洪水が発生したのか

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もう少し今回の洪水について続けます。今回の洪水は広範囲、かつ大規模なものとなりました。

「国土交通省によりますと、台風19号による豪雨で川の堤防が壊れる「決壊」が発生したのは、18日午後3時の時点で、7つの県の合わせて71河川、128か所に上っています。国が管理する河川で堤防の決壊が確認されたのは、7つの河川の12か所です」(NHK10月18日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191018/k10012138251000.html

堤防の決壊という治水管理上あってはならない現象だけで実に128箇所、うち国管理のものが12箇所です。
いうまでもなく、原因は多岐にわたるはずで、上流域から中流域、下流まで丁寧に検証せねばなりません。
これについては、後の国交省による原因調査の結果を見たいと思います。

現時点でできることは、たとえば利根川という首都の防災に直結する河川で、なにが首都を守ったのか、どこで氾濫を招いたたのかを比較検討すれば、あるていど何が起きたのかという外輪くらいはつかめるのではないかと思います。

昨日の記事で、私は首都の治水は幾重にも守られているな、とあらためて感嘆しました。
郡部に住む私にはうらやましいほどです。
上水域の治水ダム、中流域の遊水池、下流域の放水路、そして地下宮殿とまで言われた外郭放水路に至るまで見事に組み合わされて、首都を水没から防いでいたことがわかりました。

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しかしその一方で、首都で決壊を起こした地点がありました。それが世田谷区二子玉川です。

「12日夜に多摩川が氾濫した東京都世田谷区玉川には、下流部で唯一、堤防が整備されていない区間があった。国土交通省によると、12日は多摩川の水位が刻々と上昇し、午後10時10分頃には堤防未整備の区間(約540メートル)から濁流があふれたことが確認された。川と市街地の境界となっている道路も越え、二子玉川駅周辺の広い範囲が浸水した。
 この地域を巡っては、2007年の台風9号で2000袋以上の土のうを積んで浸水を防いだケースもあった。同省京浜河川事務所はこれまで、「大雨が降ると多摩川では最初に浸水する」などと周辺住民に説明。堤防整備計画を進めようと説明会なども度々行ってきたが、「景観を大切にしてほしい」「家をのぞき見られる恐れがある」といった声が根強く、同意を得られていなかった」(読売新聞10月15日)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20191014-OYT1T50094/

位置を確認します。下図にある堤防未整備とある箇所ぃおいて堤防が越水しました。

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読売新聞前掲

浸水範囲が他県とは違って比較的小規模だったのが救いですが、この原因が「景観が壊れる」という理由で反対していた反対運動によるものなのだったことは既に人口に膾炙しています。
このような公共事業に対して起こされる反対運動の理由の多くは、この人たちも使った景観権(眺望権)です。

いい風景を残したい、その風景の中に抱かれて生活をしたいというのは自然な欲求であって、これ自体はなんら否定されるものではありません。
しかしそのことによって周辺住民の生活までもが危険にされされてしまっては、次元の違う話となってしまいます。
周辺住民の生活とは、すなわち公共の利益のことです。
この公共の利益と、いい風景を残したいという個人の欲求のどちらが社会的利益となるのか、較べて見なければなりません。

考えるまでもなく、優先されるべきは公共の利益に決まっています。
今回の洪水によって多大な損失と迷惑を周辺住民は受けたわけですし、それを復旧させるためには個人的支出や、社会的コスト、つまり税金を投入せねばなりません。
これを反対運動が全額補填してくれるというならいざしらず、反対運動はサイトすら削除して音無しの構えのようです。
こういう対応を社会的無責任といいます。
金銭保証をしろとまでは言いませんが、
やったことの責任くらいとりなさい。

この反対運動の主張を検索しましたが文春デジタルにある「われわれは堤防に反対していたわけではなく、中州の樹木を切れと言っていただけだ」という意味不明な反論しか残されていませんでした。
今回の19号洪水についての説明をされんことを望みます。

いちおう景観権の法律的立て付けについても押えておきます。

「眺望権とは、建物の所有者などが、そこからの風景等の眺望を他の建物などに妨害されることなく、これまで享受してきた一定の景色を眺望できる権利のことをいいます。 しかし、眺望権は法律上に規定されている権利ではなく、裁判においてもほとんど認められていないのが現状です」( 判例で学ぶ眺望権 )

要するに、自分が愛した自宅からの風景が損なわれるという恐れに対して訴訟を起こす権利のことですが、この場合「眺望地役権」(ちょうぼうちえきけん)を使うようです。
ところがこれは設定した相手にしか有効とはなりません。
たとえば自宅の目の前にマンションを建てられて富士山が見えなくなったと言う場合、この当該マンション所有者に対してしかこの眺望地役権をつかえないのです。
ですから、堤防のように多くの住人の安全と暮らしを守る堤防のような明らかな公共の利益に対して、景観を理由に訴訟を起こしても、絶対に勝てません。

実際に彼らは、2010年の1月末に建設差し止めを求めた裁判で敗訴しています。
しかしこのような裁判沙汰になると
、行政は説得に当たりますが強制執行するわけにもいかないため、多くは腰が引けた対応のまま放置される場合があります。
役人は自分の任期の間に住民とトラブルを起こしたくありませんからね。

かくして二子玉川のこの未整備箇所は未着工のままで、堤防の空白地帯が生まれてしまいました。
結果
、今回の大きな被害に繋がってしまったというわけです。
ひとことでいえば、環境保全運動の名を借りた住民エゴに忖度して引き起こされた不作為による人災です

また今回の二子玉川洪水の原因を作ったひとりが、この世田谷区選出国会議員だったことは皮肉なことです。
ご存じのとおり、その議員の名前は蓮舫氏です。
この人物は2010年10月に、民主党政権における事業仕分け第3弾で堤防の整備計画を葬りました。
その記録が残っています。

あらかじめ言っておきますが、ほんとうの仕分人は民主党議員ではありませんでした。
彼らはただのダシ。この仕分人たちに、自分たちが潰したい事業の膨大なリストを手渡したのは他ならぬ財務省でした。
事業仕分けの会議においても、他の国交省の役人が財務省からなにか言われるたびに引っ込む姿が見えます。

河川整備について仕分けされたのは第3回でしたが、財務省はいきなりこの調子で大幅にカットしろとねじ込んできます。
行政刷新会議ワーキンググループ「事業仕分け」平成22 年(2010年)10 月28 日
http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9283589/www.cao.go.jp/sasshin/shiwake3/details/pdf/1028/gijigaiyo/b-7.pdf

「○財務省 河川事業の選択と集中ということで、1例挙げさせていただいております。別に御議論いただいたB/Cにあわせまして、以下のような大型公共事業ないしは独立行政法人向けの支出等も中にございます。こういったものの見直し、圧縮を図っていただくべきではないかと思っております。(略)
このままのペースでは400 年かかるのではないかといった御指摘がございます。
これまで24 年間の累計事業費が6,943 億円、整備率が5.8%でございますので、このペースで計算をしますと、今申し上げたような数字になるのではないかといった御指摘がいろいろ行われております。
それから、事業費が1km 当たり137 億円ということで非常に多額ではないかと、それから、実施個所はどのように選定しているのか。(略)
スーパー堤防自体は河川の、言わば洪水を防ぐ能力、より高くするといったものではなくて、堤防の質的強化を図るというものなので、なおさら地元住民から見た、どれだけ被害の軽減効果があるのかが難しいといったものでございます。」

こういう財務省の緊縮要請の呼び水に答えるように、岡田克也議員は愕然とするようなことを平気で言っています。

 

「○岡田衆議院議員 スーパー堤防のことで、私も映像を見て画面で愕然としたのですが、淀川の方のスーパー堤防は、多分地元の整備局の方が答えておられていたと思うんですが、32,000 年に1回のものに耐えられるんだと誇らしげに答えられていたのですが、まず、それ1点確認です。32,000年後って私たち、生きているどうかもちょっとわからないなと、正直、思うわけですが」

馬鹿か、この人。これは説明役の官僚が3200年に一回の大災害にも耐えられると言ったことの揚げ足をとって、そんなもんがくる前にとっくに我々は死んでるぜという浅はかなご意見です。
治水などのインフラ整備事業は、百年、二百年先の子孫のことまで考えてやるものなのですが、その肝心のところが判って言っていないようです。
現実には3200年後どころか、19号台風はすぐにきました。

極め付きはやはりこの人です。この人はやっぱりスターなんだなと思います。キラキラと輝く負の華があります。

「○蓮舫大臣 この話、早く終わらせましょう。
200年に1回の災害が来るかもしれないからスーパ ー堤防を整備したい。 200年に1回というのは明日来るかもしれないから、百歩譲ってその前提は納得するんですが、 そのために 400年かからないと全部完成しない、それで今から12兆かかる。 これは、現実的な話だと本当にお考えでしょうか。
今、スーパー堤防をやろうとしているところは、二子玉川沿いを視察に行かせていただきましたけれども、既に堤防が整備されて、その上でまちづくりという機会があれば、更にスーパー堤防化しよう、ダブルで大切にしている。
 
つまり、住宅、人口密集地だからやりたいという思いはわかるんですが、優先順位が違うと私は思うんですが、いかがでしょうか

この人は本質的にはポピュリストなんだろうな。だからろくな知見もないくせに、わずかの自分の経験を10倍、100倍にしてしゃべってしまいます。
仕分け会議でも得意気に言っていた
二子玉川の視察が下の写真ですが、いまや国民的に有名になったハイヒール視察をなさっています。

 

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今の大臣が現地視察に長靴を履かないでいったとワーワー言っているご当人がこれです。
ま、正直言って、どーでもいいのですが、他人に言うなよということです。
毎度この調子で、今や「ブーメランの女王」という異名を奉られてしまいました。
それはともかく、蓮舫さんは仕分け会議で、「視察に言って十分だと思った」と言っているわけですが、視察に行ったのは2010年のことで、この時点では 河川整備事業はまるで終わってはいませんでした。
だって工事が終わったのは、その視察の4年後の2014年のことだからです。
しかも冒頭に述べたように反対運動による未着工地域が存在しました。

つまり蓮舫さんの認識は認識不足をしているうえに、事業仕分けの影の主役であった財務省の緊縮誘導に乗ってバッサリと切ってしまったことになります。
その意味で、この二子玉川洪水には人災的側面が濃厚とはいえます。

 

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コメント

全く同感です。
何もなければあの辺の景観は最高ですよ。多摩川の花火大会なんか特等席ですしね。
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO51090290X11C19A0L83000?s=3
保坂区長は今頃こんな要請を出していますが、彼が9年弱もの間区長として脱ダム推し堤防反対派擁護をしていたんです。一言謝るなり頭を下げるとか、ホントにないんだと唖然。

堤防のない場所の坂を降り野川に掛かる橋を渡って、毎週息子の少年サッカーの試合に通っていました。
数年前の夏の大雨の際は野川が溢れる寸前くらいで治りましたがグランドは泥々。その時「もしもっと降ったら、川っぷちのマンションやお店、水没すんじゃね?」と子どもが言っていました。2年後に実現してしまうとは当時思い至りませんでしたが…この雨量はこれっきりではなく、また降ると今は思います。

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