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2019年10月18日 (金)

八ッ場ダムだけ見ていてもわからないこと

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19号台風について、ダムが機能したかどうかについて意見が別れているようです。
ある者は八ッ場ダムが利根川流域を洪水から救ったといい、ダム無用論論者は無関係であると主張しています。

実は私は八ッ場ダムという名前が出てきた瞬間、やれやれと脱力しました。
八ッ場ダムという名が出れば、まちがいなく連想ゲーム風にかつての民主党政権当時の「コンクリートから人へ」というグロテスクなスローガンを思い出し、ダム廃止令からスーパー堤防廃止といった愚行にいきつくのはわかりきっています。
しかもかつての民主党が砕け散って、今また性懲りもなく再統一するような気配ですから、政局がらみでなおさらメンドーです。

しかしいまさら当時の民主党政権のことを悪しざまに言っても、せんないことじゃありませんか。
彼らがやっことは、「事業仕分け」という新しい風味づけしたただの緊縮財政路線、デフレ大好き政策であって、仕分け人たちは財務省が渡した緊縮メモどおりに踊っていただけのことだからです。
しかし当時の、いやいまもそうかもしれませんが、公共投資を悪玉に見立ててダムや堤防などの治水事業をバサバサ切ったのは、自民も一緒です。

残念ながら安倍政権においても公共事業はいささかも増えていません。麻生氏が財務大臣に座っているかぎり不可能でしょう。
ただ、自民は公共事業、なかでも治水事業を削減することに一定の後ろめたさがあったのに対して、民主党政権はまるで鬼退治のように得意満面で治水事業を切り捨てまくったので、強烈に印象されているだけというだけのことです。

それを見ていた治水の専門家である土屋信行氏は、このように回想しています。

「仕分け委員の方がニコニコしながら"スーパームダ使いですね"、とおっしゃっていたのですが、あんなふうに笑われた時にぞくっとしました。その事自体が、人間の"命の仕分け"になっているのが判らないのですから。国民1億2千万人の命のうちのどれだけか分を仕分けたことになるのが判っているのか?」

ゾッとしたのはこの私もそうです。
しかも当時の民主党政権には自民党政治を粛清するという意識だけあって、中身が空っぽだったからたまりません。
治水になんの知見もなければ経験もない、いや関心すらなかった素人同然の政治家が、いままで長期間積み上げてきた事業を一括して葬るんですから無能に権力を握らせるほどコワイものはありません。
ただしこれを許してしまったのは当時の日本国民で、民主党政権のやることなすことに喝采を叫んでいたのが、メディアでした。

さて、焦点となっている八ツ場ダムですが、10月1日に来年の運用開始を見据えて貯水試験を始めたばかりでした。
本格運用前のダムの安全性確認のための「試験湛水(たんすい)」段階だったので空っぽから3、4カ月かけて満水にする予定でした。
ところがいきなりぶっつけ本番となってしまいました。
それが台風19号の豪雨です。このために水位が1日で54mも上昇し、瞬く間に満杯となってしまいました。

満水となった八ッ場ダムは、限界までほんの10mていどと迫っていました。
完成時の空の状況と今回の19号があった10月13日を並べてみます。いかにダムが大量の水を受け止めたのか分かります。

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今回19号台風に対して治水関係者は、八ツ場ダムが利根川流域の氾濫を救ったという表現はしないものき、一定の効果を上げたと評価しています。
一方、ダム反対運動家たちは効果がなかった、あるいは薄かったとしています。
たしかに八ッ場ダムが空で容量を目一杯使えたのは幸運でした。
いつもはここまでの容量がないのは当然で、今回の豪雨で八ッ場ダムに貯留した洪水は7500万㎥。
八ッ場ダムの洪水調節容量は6500万㎥ですから、1000万㎥も上回っていました。
試験湛水の初期段階であったので、1000万㎥オーバーの貯留が可能だったのです。

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八ッ場あしたの会HP https://yamba-net.org/48964/

とはいえ、今回、上流域で降雨を7500万立米もの水を蓄えてしまえたことを低く見積もるべきではありません。
また反対運動の人たちは、今回下流域で水量を減らしていないことをただの偶然と片づけ、さらには八ッ場ダム無用論の根拠にしています。
「ダム建設への反対運動に取り組む「水源開発問題全国連絡会」の遠藤保男共同代表によると、八ッ場ダムの治水効果は、河川の下流に行くほど「どんどん薄れる」という。「本当にどのくらい効果があったのか数値的に言うのはなかなか難しい」とした上で、「今まででわかっていることからすると、何トンぐらいの流量で放流したかにもよるが、せいぜい首都圏に対しての効果は、3パーセントぐらいしか調節した効果にしかなっていない」と指摘する。「ダムの直下あたりなら、それなりの効果はあったと思うが、恒常的にあんな効果が出るかと言ったら全く大間違い」(JCAST10月17日)
https://news.livedoor.com/article/detail/17247389/
今とられている治水事業は長い期間の経験によって作られてきました。
利根川は家康の行った利根川の掛け替え(東遷)というたいへんな大工事を経て、暴れ側だった大河を前胸のように銚子方面に流しています。
実にそこからざっと400年、営々と関東の治水に汗水ながしてきたのです。
この八ッ場ダムも構想から実に50年以上かかっています。なぜそんなに時間がかかったのでしょうか。
それは八ッ場ダムだけ見ていてはわからないのです。下図をご覧下さい。

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http://damnet.or.jp/cgi-bin/binranB/TPage.cgi?id=508

八ッ場ダムは見にくいかもしれませんが、左端の利根川上流に位置しています。
利根川に限らず上流域には八ツ場ダムのようてな「ダム群」が建設され、中流域には渡良瀬遊水池のような「遊水群」が受け止め、さらに下流では荒川放水路のような「放水路」や川沿いの「堤防群」で抑えています。
上流では八ッ場ダムが7500万立方メートルの水をせき止め、更に中流では遊水池が大きな働きをしました。
立命館大学環太平洋環太平洋文明研究センター・高橋学教授はこのように延べています。
「国土交通省関東地方整備局の発表(速報値)によると、渡良瀬遊水地は、台風19号に伴う雨で、約1.6億立方メートルの洪水をためた(下野新聞によれば最大貯留量の95%)。朝日新聞の報道(10月14日)によると、識者が上空から河川の氾濫状況を分析。渡良瀬遊水地に大量の水が流れ込んだという。
高橋氏は、「関宿で川が2つに分かれていて、1つが江戸川になって東京湾にそそぐ。渡良瀬遊水地が一杯ということは、少しでも利根川支流の吾妻川(八ッ場ダムの方の水)が増えると、江戸川水系に水が流れ込んでしまうことが考えられる」とみる」(JCAST前掲)
高橋氏はこのように見ています。
今回の19号では渡良瀬遊水池が今回満杯になりかけていました。
一般時には上写真のハート型の渡良瀬川が、19号で下写真のように溢れる寸前でした。


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この渡良瀬遊水池は関宿で利根川支流の吾妻川と合流して東京に流れ込みます。
そしてこの吾妻川の上流にあるのが八ッ場ダムなのです。
ということは、八ッ場ダムがないとするとすると、想像を超える水量が江戸川水系に流れ込んでしまうことが考えられました。
下写真は台風19号時の江戸川放水路です。

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「そうした(流れ込んだ)場合、荒川や江戸川にしろ、東京の下町は危険水位まで達していました。危険水位に達していない時であれば、大した問題ではない。問題は、デッドラインまで達していた時です。渡良瀬遊水地が一杯一杯で使えないとなると、利根川上流からもう少し水が流れてきていたら、現在の利根川水系ではなくて江戸川水系に水が流れ込んで、東京の下町をほとんど水没させただろう。デッドラインぎりぎりのところまで水が来ていたことで、八ッ場ダムの果たした役割は重要」と八ッ場ダムを評価する」(」(JCAST前掲) 。
そしてさらには、首都圏外郭放水路の地下宮殿のように壮大な地下放水路がゴールキーパーをになっています。
「地下約50mに建設された全長6.3kmの治水施設『首都圏外郭放水路』。『地下神殿』とも呼ばれ、中川、倉松川など5つの中小河川から水を引き込み、江戸川へと排水します。今回の台風19号では、5つすべての河川で水位が上昇したため、首都圏外郭放水路がフル稼働したといわれています。投稿者さんが見学した際には、70mの高さがある立坑に55mもの水が溜まっていたそうです。今回の台風19号では、5つすべての河川で水位が上昇したため、首都圏外郭放水路がフル稼働したといわれています」
(By - grape 10月17日)

これも通常時と今回の19号時をならべてみます。

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このように上流のダム→中流の遊水池→下流の堤防→外郭放水路が組み合わさって一本の河川の氾濫を防ぐ、これが「総合治水」と呼ばれるかんがえ方でなのです。
ですから、八ッ場ダムだけが防いだという言い方には誇張が含まれています。
それは単独にダムだけで防いだのではなく、中流域の遊水池や堤防・放水路と一体となって防いだからです。
一方、ダム不要論(悪玉論)も、ダム反対のあまりに総合治水の中で果たす上流ダムの重要性を見ない暴論です。
もっと広い眼で治水を考えて、トータルに上流から下流まで補強していかねばならないのです。
※扉写真 水を蓄えた4月の田んぼです。田んぼは小さなダムとよばれるほどの治水能力を持ちます。

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コメント

国はしっかり検証してこれからの治水について示してほしいです。

一次的には、自己責任だと思います。テメーの命はテメーで守れ!
というか、死んじまったら誰がワルイとか言っても手遅れですわ。

何はともあれ、三十六計逃げるに如かずで、とっとと逃げて我が命
を確保してから、各方面に文句をタレても遅くありません。気象庁が
なんやら遠回しに、「ホントにヤバイんだけどさ、皆の者逃げろー、
なんて言えないから、文学的表現を使ってアリバイ作り的に言っち
ゃうからね」と、そんな風な事を言い出したらスグに非難するべきだ
と思いましたわ。

とにかく大水害の起こる数時間前には、どこかの流域でドシャブリ
になっているのは確かなのですから、その時「これは非日常だわ、
いつもと違う」と、アタマを切り替えられるかどうかがキモのようです。

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