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2019年10月 4日 (金)

「凡人」さんにお答えして 正恩はクソがつくリアリストです

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HN「凡人」さん、コメントありがとうございます。
内藤陽介さんのご意見ですね。私もちょっと違いますが、おおむね似たかんじかな。
今までに何度か書いてきていますが、正恩にとってのプライオリティ(優先順位)は南北統一なんかではありません。
南北統一なんぞ、ムン閣下が自分の若き日よりの積年の妄想に入れ込んでいるだけのことです。
妄想と現実の差に気がつかない人によくありがちですが(まぁ、だから自分の妄想にハマっちゃうんですがね)、相手のことなんか見ないわけです。

北朝鮮が今なにを欲しているのか、といえば端的に「体制の護持」以外ありえません。
「白頭山の血脈」で結ばれた聖家族が永遠に
あの国を支配し続けたいということで、それ以外のことはそのための手段という技術的問題にすぎません。
どちらが幹でどちらが枝葉か、かんがえてみればわかります。

南北統一は初代イルスンが言い出した「高麗連邦」構想から始まっているのですが、それはジィさまにとっては南進する大義として必須のイデオロギーでしたが、今の3代目にとってはただの重荷にすぎません。
通常兵器による南進など、今の石油なき鉄の箱を大量に抱える彼にとっては夢のまた夢だなんて、分かりすぎるくらい分かっているはずです。

だって、そもそも通常兵器で南北統一できると思っているなら、核兵器なんかいりませんもんね。
自分でもよーく分かっているから国民に飯を食わさずに核兵器を作り、正面戦では勝てそうにないから特殊部隊を世界最大規模にまで増やすという異常なことをしているのです。

では核兵器はなんのために持ちたがっているのでしょう。
ここで元の設問に戻ります。
北朝鮮にとっての最優先課題は「体制の護持」、言い換えれば金日成主義による一国革命の永久固定化なのです。
いつまでもダラダラと金一族で国を支配し続けて、何十年後かには4代目に手渡したいという「ささやかな」望みです。
決してジィさまが夢見たような朝鮮半島内「世界革命」ではなく、あくまでも小さな辺境の国の中で延命することです。

そう考えると分かるでしょう。
正恩にとってムンが妄想する「南北統一」なんか、ジィさまの頃から対南工作のプロパガンダで散々やってきたあげく、今や言っていた当人がシラけきってしまったような過去の遺物なのです。

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http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/knews/00...  韓国名物ろうそくデモ。いまや反ムン側も百万人デモをするので、双方あわせりゃスゴイことに。

北朝鮮にいわせりゃ、そんなことして何になるの。
ろうそく革命とやらで何百万人かがデモして、政権をほんとうにひっくり返す快感を覚えてしまった韓国国民なんか統治したくありませんよ。
危ない、危ない。そんな「革命的人民」なんか、正恩が統治したら真っ先に粛清して労働改造所送りです。
実際朝鮮戦争時には、南朝鮮労働党員は北に逃げて、その後全員が消息不明となりました。殺されたんでしょうね。
生まれた時から王子サマの正恩にとって、生理的に嫌いなんですよ、そんな既成秩序を破壊するような「革命的」な連中って。
その意味で、北はバリバリの現状維持的「保守」なんです。

それにかつてはサムスンやヒョンダイに象徴されるような工業力があるていどはありましたが、今は見る影もありませんし、南北統一がなる頃には揃って海外逃避しているかもしれませんしね。
ドンガラとなった工場に残っているのは、権利意識だけは世界一で、世界一働かない凶暴な民主労総たちです。
こんなもん欲しいですか。

ですから北朝鮮にとってかつての冷戦時代がベストでした。
資本主義の魔の手から社会主義陣営を守る防波堤ということで、東側諸国からまんべんなく支援を得られてヌクヌクと暮らせ、軍事的緊張感も適度にあって楽しく軍事優先政治をやっていられましたからね。
いまや南北統一なんて、この時代の懐古的イデオロギーにすぎないのです。
少なくとも、北朝鮮はそう思っています。

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https://biz-journal.jp/2018/05/post_23204.html  そんな時代もあったねと・・・

思っていないのはムン閣下とその愉快な仲間たちだけで、彼は自己形成期に頭から対南プロパガンダの洗礼を受けてしまった、日本でいえばいわば日教組世代に相当するからです。
この人たち日本でも歳とっても変わらないでしょう。変われないのです。
それと同じで、韓国のムン閣下の世代もまた変われないのです。

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https://share.america.gov/ja/us-north-korea-summit... 

しかし正恩は違います。彼は親譲りのクソリアリストです。
中小企業の社長みたいなもんです。
でなければ瀬戸際戦術なんて、ひとたび匙加減を誤ると亡国になるような危険な戦術は取れません。
韓国大統領なんかはぬくぬくと在韓米軍の庇護の産着にくるまっていられますが、北は一本どっこで外国軍に依存していませんからね。

一方韓国は親会社の系列でいつも仕事を貰えます。
いつも助けて貰っておきながら文句を垂れて、嫌がらせさえ働くんですからしょーもない。
いまや親会社からも嫌われて、系列からはずそうかと思われている始末です。
だから社長がクルクルと何人変わってもいいが、北はそういうわけにはいかないのです。
昨日の記事にも書きましたが、トランプとの漫才のような掛け合いは馬鹿ではできませんからね。

で、こんな正恩にとってムン閣下などただの駒にすぎません。頭から見下しています。
駒は駒なりにトランプを直接会談に引き出すまでは有効でしたが(といってもトランプはムン閣下など頭から無視しましたが)、今は邪魔なだけの愚か者です。
なんせなまじ、元南朝鮮労働党員だっただけあって(そういう疑惑がでていますが)、ムン閣下は北朝鮮と同じような言葉を使ってしゃべ散らすだけにいっそう始末が悪いのです。
コミュニストは似た言葉を使う奴を最も警戒するのが性分なのです。
「黙れ、お前」というのが、この間の短距離ミサイル実験に込められた北の暗喩なんですが、わかんないだろうな、あの男には。

で、ご質問の在韓米軍についてですが、北はやはり撤退してほしいことは確かでしょう。
在韓米軍は見かけ倒しの韓国軍と違って、真に戦える軍事力ですし、しかもなんといっても北朝鮮専門部隊ですからね。
在韓米軍、ハリス大使が司令官
をしていた太平洋艦隊、横田にある第5空軍、すべてが北朝鮮を半世紀かけて研究し尽くしていますから、北にとってヘナチョコ韓国軍とはまったく違う真の脅威です。

だからシンガポール会談でも「朝鮮半島の非核化」という文言を使って、在韓米軍の撤退を盛り込んだのです。
当時はボルトンがいましたからはっきりとは文字化出来なかったのでしょうが、彼がいなければもっと鮮明に在韓米軍の撤退と非核化を取引材料としたことでしょう。
この部分は内藤さんとは違うかな。

今後ですが、年内と見られる第3回会談はいわば「二国間核軍縮交渉」となるでしょう。
長距離弾道ミサイルと短距離ミサイルについては、ほぼ合意ができているはずです。
長距離は廃棄で決まり。短距離は現状維持です。

米国にとって米本土に対する脅威を取り除くのがプライオリティで、撃つか撃たないか分からないような短距離なんて、どうせ降っても青瓦台が吹き飛ぶだけだ、くらいに思っています。
核施設はどこまで小規模分散している現状をしらみ潰しにできるかですが、そうとうまで北は譲るでしょう。
どうせいくつも隠し核製造施設がありますしね。廃棄ショーなんておてのものです。

在韓米軍については、おそらく何らかの合意は既にあるのではないかな。
私は「体制護持」と「非核化」のバーターの切り札として使うと思います。
戦時統制権の移管と同時に撤退です。

ただし、在韓米軍に撤退については、国防総省と国務省は否定的なはずです。
在韓米軍撤退はとりもなおさず米韓同盟の廃棄のことですから(中途半端に安保だけ残しておくというテはないわけでもありませんが)、同盟関係を基軸として考える彼らは基本的に反対です。
また、在韓米軍の烏山(オサン)空軍基地は、中国との有事に際しては中国北方艦隊の根拠地・青島や旧満州地域に集中するミサイル基地、あるいは中国工業の心臓部である天津や旧満州の沿岸部を空から狙える絶好の位置にあることから押さえておくべきだと考えているでしょう。

Far_east

https://www.jacar.go.jp/nichiro/map.htm

このような理由で、かつてのマティスもボルトンもそうでしたが、安全保障関係者は揃って在韓米軍撤退には反対なはずです。

しかし一部にはトランプなどのように、韓国を朝鮮戦争の残した不良債権と見て、投入コストに見合わないとする人たちもいます。
彼らはGSOMIA廃棄という自傷行為を平気でする韓国の態度を見て、もはや潮時だと判断したでしょう。

先日、米国は韓国に駐留費を5倍の50億ドルにしなければ、韓国人基地労働者9000人を無給休暇にするとメチャクチャな通告をしました。
この韓国人基地労働者の仕事は調理や清掃、クリーニングなどで軍事部門には関わっていませんが、基地労働者がいなくなれば、そのぶん米軍兵士がせにゃなりませんから、つまりは在韓米軍そのものの縮小ないしは撤退を意味します。
つまり、米国は駐留経費を5倍にしろ、さもなく出ていいくがいいのか、と脅しているわけです。

さてさて在韓米軍を巨悪と見て、撤退が政治目標のはずのムン閣下ですが、なんと答えますか。

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https://www.cnn.co.jp/world/35143494.html  「北極星」中距離水中発射弾道ミサイル

となると問題はいつにかかって中距離弾道ミサイルなのです。
先日のように中距離弾道ミサイルはグアムまでは届かないが、在日米軍はしっかりと射程内に収めています。
米軍の世界戦略の要(策源地)は日本列島です。
横須賀がなければ米海軍は動きが取れませんし、空軍の三沢は中国とロシアに睨みを効かせるために絶対に外せません。
沖縄は台湾防衛の要です。

これを射程に入れられては、大いに米国にとっても困るのです。
もちろんわが国にとっては論外です。
だから中距離核については認めないとは思います、というか思いたい。
常識的に言って、中距離を容認するというのは日米同盟に対する重大な信義違反ですからね。

だけど、トランプだからなぁ・・・。
最大の不安要因はトランプなんですよ。
正恩は合理主義者ですが(褒めているわけではない)、トランプは違いますからね。
今、この人は議会で弾劾決議を受けそうですから、この窮地から脱するためになんとか外交得点をお手軽に上げたいと考えているかもしれません。
すると、北朝鮮の核の脅威から米国を守ったゾ、朝鮮半島に縛られていた米兵を国に帰してやったゾ、なんて妥協をしてしまうかもしれません。

おお、コワ。

 

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コメント

正恩はトランプに「朝鮮版・旧慣温存政策」を望み、トランプは「核の矛先を北京へ向けさせ」、高麗連邦へまっしぐらの韓国は「香港パターンの一国二制度化」へ移行し「美味しいところを北に吸い続けられる」という姿を予想してます。何せ正恩とトランプンのお互いの「敵」は「五星紅旗」なんですから。トランプの対日本への言動や姿勢が注目されます。

要は、どこの時点でトランプさんが制裁解除に踏み切るか?って事ですが、まぁ滅多な事はないと思うのですけれど。

というのは、これまでの米政権は「交渉」と引き換えに制裁解除して北の欺瞞にさらされましたが、正恩はトランプの下では「交渉」そのものを制裁解除のカードに使えませんでした。

これは正恩の焦りもありますが、トランプさんもここで効果なくして制裁解除すれば、これまでの米政権と同じ轍を踏み、比較優位を失う自覚はあるハズなんですが。

まだまだトランプにアドバンテージがあるし、韓米軍事訓練はなくしても、アラスカやモンタナの方では朝鮮半島有事訓練は怠りなくやっているようでもあります。

しかし、トランプさんの個性というものもありますので、そこは安倍さんもキッチリ言う事は言ってほしいものです。


習近平は正恩に対してほとんど影響力はないようです。
しかし、上海閥(江沢民派)には非常な恩義を感じているでしょう。

北の対中観は相手によって変わってくると考えられ、内藤氏やよもぎ猫さんの見方は一定の理解はするものの、可変要因が多すぎて一朝一夕では言えないと思います。

凡人ごときの為に大変親切に回答頂き恐縮です。知らないことだらけで大変勉強になります。有難うございました。

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