習近平、独裁権力を行使して慈悲なき取り締まりを実施せよ
NYタイムスが11月16日にウィグル人権抑圧の中国内部文書を暴露しました。
これは大きなスクープで、「米国の朝日」ですらやる時はやります。
なんどか書いてきていますが、今香港の青年たちが戦っているのは自分たちの未来はウィグルの現在だと考えているからです。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191118/k1001218...
NYタイムスは、中国共産党の恐怖のウィグル支配を白日の下にさらす403ページにのぼる内部文書をスクープしました。
続いて11月24日には、この国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が入手した文書を、英紙ガーディアン紙、BBC放送など欧米メディアがほぼ一斉にその内容を報じました。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO52677580X21C1
ここには過去3年間、新疆ウイグル自治区で行われたウイグル族やカザフ族ら約100万人の強制収容所や刑務所への収容などの弾圧政策の実態が生々しく記されています。
中国は従来までこのウィグル人の強制収容所のことを「職業訓練施設」と呼んでいて、独自文化や宗教の自由も認めていると言ってきましたが、まったくのでたらめでした。
https://www.bbc.com/japanese/50542004
習近平の行った発言が記録されています。
2014年4月、習はウイグル族過激派い テロが起きた後に新疆ウイグル自治区を訪問し、ここて習は「独裁権力を行使して慈悲なき取り締まりを実施し、過激派によるテロ、浸透、分離主義を一掃しろ」と演説しています。
その言葉どおり、ウィグル民族はいまやエスニック・クレンジング(民族浄化)の対象とされています。
習はこの「無慈悲な取り締まり」を実現するために、2016年8月に陳全国を新疆ウィグル自治区の党委員会書記に任命しました。
この陳の任命された時から、この民族浄化は急速に拡大しました。
陳がとった政策は、一切の人権を無視し、ウィグル人を強制収容所に収容し、共産党支配に服従する社会を作ることです。
この根拠となったのが14年の習演説文書で、これを陳はウィグル人に大量に配布しました。
この強制収容所の内情がこのウィグル文書で暴露されています
「文書は、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が入手した。
ICIJにはBBCパノラマや英紙ガーディアンなど17の報道機関が参加。今回流出した中国政府の公文書を「中国電報(The China Cables)」と呼んでいる。
文書には、2017年に新疆ウイグル自治区の共産党副書記で治安当局のトップだった朱海侖氏が、収容施設の責任者らに宛てた9ページの連絡文書も含まれている。
その連絡文書では、収容施設を高度に警備された刑務所として運営するよう指示。以下の点を命じている。対に脱走を許すな」・「違反行動には厳しい規律と懲罰で対応せよ」
・「悔い改めと自白を促せ」
・「中国標準語への矯正学習を最優先せよ」
・「生徒が本当に変わるよう励ませ」
・「宿舎と教室に監視カメラを張り巡らせて死角がないことを(確実にしろ)」
(BBC11月25日)
https://www.bbc.com/japanese/50542004
https://the-liberty.com/article.php?item_id=14810
地方当局者はこの陳の民族浄化政策に対して、漢民族とウィグル族との間の緊張を激化させ、経済成長を鈍化させると消極的だったのですが、陳は強制収容所政策に抵抗して数千人を解放するなどの融和政策をとった地方幹部を解任し、投獄刑に処しました。
この陳全国という男は、中国におけるいわばSSのヒムラーに相当します。
陳全国の経歴について、チベット自治区の人権問題と民主化に取り組む国際団体「チベットのための国際キャンペーン(ICT)」のHP(英文)に経歴が載っています。
河南省出身。2011年、胡錦濤国家主席(当時)にチベット自治区の党委書記に任命され、1989年の大規模デモに対して戒厳令を敷いた胡と同じようにチベット弾圧で頭角を現し、チベット自治区と新疆ウイグル自治区での強硬姿勢で注目を集めるようになりました。
陳全国の暗黒の経歴はこのようなものです。
陳はチベット自治区党書記に就任するやいな、わずか数カ月でチベット民族の隅々まで監視する「グリッド管理」を導入しました。
https://www.youtube.com/watch?v=eZ_IGY9-vEc
・2011年5月、チベット自治区の党委書記に任命
・同年8月、革新的な治安システムとして300~500メートルごとに簡易警察署を導入。碁盤の目(グリッド管理)のように配置した簡易警察署を拠点に地域社会を完全に管理下に置く
・同年10月、2500人の警察官を募集。このうち458人はラサに新設された新しい警察署に配置
・11年秋~16年、1万2313人の警察関連職を募集。それまでの5年間に募集されたポストの4倍以上
・11年から15年、チベット自治区の「傑出」した7000人以上の党員が1787カ所のチベット仏教の僧院に送り込まれる。
・2万人以上の党員と幹部をチベット自治区の村と町に派遣
このような陳がチベットでやったことをICTはこう述べています。
「血統の破壊、ルーツの破壊、社会的な連帯の破壊、起源の破壊」
そして陳はこの実績を習に買われてウィグルに転任します。
陳はチベット自治区で実施したこの社会監視システムを、更にバージョンアップして新疆ウイグル自治区に移植しました。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/2019...
「国際人権団体はIJOPがテロ撲滅の名目で人工知能(AI)による顔認証など最新技術を駆使して情報を収集、独自のアルゴリズム(計算手法)で標的となる人物を抽出すると指摘していた。
「職業教育訓練センター」と称した収容所でウイグル語でなく中国語を使わせ、民族文化を事実上捨てさせている運営指針も文書で分かった。
二〇一七年六月二十五日付の自治区共産党委員会の文書は、IJOPが同月十九~二十五日に南部四地区で約二万四千人の「疑わしい」人物を特定したと記載。うち約七百人を刑事手続きで拘束し、約一万五千人を「教育と訓練」のため収容所に送った。
IJOPは外国籍を取得したり、海外に渡航したりしたウイグル族も監視。一七年六月十六日付文書は、国外の新疆出身者を特定し、テロ関与の疑いがあれば「国境を越えた瞬間」に拘束するか、収容所に送るよう要請した。
当局が問題視する携帯アプリを使った人物について同様の措置を指示した文書もあった」(東京11月25日)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201911/CK2019112502000118.html
また収容所内部の状況も暴露されました。それは職業訓練」とは似ても似かないものでした。
「イスラム教の中国化政策の一環として各地に設置されたのが、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)によってその実態が判明した「職業技能教育訓練センター」である。 中国語を中心に法律や職業技能の授業が行われているとする同センターでは、(1)中国語以外の使用や、礼拝を禁止された(2)中国国歌や共産党をたたえる歌を繰り返し歌わされた(3)イスラム教が禁じる豚肉を食べるよう強要された-と元収容者たちは明かしている」(産経11月28日)
https://special.sankei.com/a/international/article/20191128/0001.html
ウィグル文書の別な部分からは、ウイグル人の拘束と収容の規模がわかります。最低で181箇所存在すると考えられていますが、実態はもっと多いでしょう。
この強制収容所の規模は、現代においてはナチスドイツのユダヤ人に対するジェノサイド以外、比較する対象が存在しません。
「(トルコに亡命したウィグル人権団体が持ち出した資料による)拘束者数がいつの段階のものかはわからないが、収容が大々的に始まった17年に作成されたと考えて間違いない。データは1212万人いるウイグル人口の71%をカバーしているが、県レベル以外のデータが明らかになれば、収監者数はおそらくさらに増える。
89万人を超す拘束者数は新疆全域のデータではないとはいえ、この数値からは多くを読み解くことができる。色で囲ったアクス地区、カシュガル地区、ホタン地区はいずれも住民に占めるウイグル人の割合が極めて高い土地で、データ上で明らかになった収監者数の約8割は、こうしたウイグル人密集地域から連れ去られている(アクス地区合計12万6306人、カシュガル地区合計24万8747人、ホタン地区合計31万5755人、ウイグル人密集地域合計69万808人)」(ニューズウィーク2013年3月13日)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/03/89-3.php
「ある文書は、2017年のわずか1週間の間に、新疆ウイグル自治区の南部から1万5000人が収容施設に入れられたとしている。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの中国担当責任者ソフィー・リチャードソン氏は、流出文書は検察当局に活用されるべきだと話す。
「これは訴追に使える証拠で、甚だしい人権侵害が記録されている。収容者は全員、少なくとも精神的拷問を受けていると言っていいと思う。自分がいつまでそこにいるのか、まったく分からないからだ。
政府文書が示すところによれば、こうした「職業訓練センター」の周囲には有刺鉄線が張り巡らされ、赤外線カメラも設置されている。内部では、催涙ガスや、テーザー銃などのスタンガン、「狼牙棒(ろうげぼう)」と呼ばれる、とげの付いたこん棒などを与えられた大勢の警備員が、「研修生」を厳しく管理している。
ある文書には、自治区トップの陳全国共産党委員会書記の次のような発言が引用されていた。いわく、センターは「学校のように教育し、軍隊のように管理され、刑務所のように警備され」るべきだ。
また、別の文書にはこう記されている。より優れた中国公民を生み出すために、センターではまず、入所者の「血筋を打ち壊し、基盤を打ち壊し、つながりを打ち壊し、出自を打ち壊さ」なければならない──」(AFP2018年12月30日 上地図も)
https://www.afpbb.com/articles/-/3204613?page=2#default
さて、NYタイムズがスクープしたウィグル文書からは、中国共産党がSNSを使いこなす学生を中心にして監視対象にしていることがわかります。
中国共産党は学生たち知識人に、共産党に忠実な公務員や教員に養成しようとしているのが見て取れますが、それは彼らがSNSを通じてツイッター(微信)やミニブログサイト(微博)の扱いに慣れているからです。
SNSに1回でも共産党が見せたくない現実が乗れば、それは瞬く間に世界をめぐってしまいます。
そのために予防的に学生の家族を強制収容所に閉じ込めて人質としたり、そのような情報を流した場合の想定問答まで作っていました。
おそらく中国は全力を上げて香港の民主派を監視下に置き、実態を押えて支配下に置こうとしていることでしょう。
一国二制度が破壊されたなら、チベットから始まり、ウイグルで完成されたこの「一体化統合作戦プラットホーム」は間違いなく香港にも作られるはずです。
香港の青年たちが戦うのは、まさにこのような「1984年」型超管理社会を許さないためなのです。
そして台湾が強く香港民主派を応援するのもまた、「香港の次」が自分たちだと分かっているからです。
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アメリカは200年前くらいまでに、インディアンを絶滅させましたが、現代では許されない暴挙となりますね。
トランプさんが中国の主権を完全に無視した香港人権法に署名し、もう明白な宣戦布告を行ったので、マスコミももう容赦ないでしょう。中国の真珠湾の危険性は高まると思います。
香港、台湾がウイグル化すれば、次は朝鮮、日本ですね。
情勢が緊迫化してると思いますが、日本では呑気な雰囲気ですね。
原発防備は警察の特殊部隊でなく、自衛隊の精鋭を配置してもらいたいです。
投稿: オイラー | 2019年11月29日 (金) 07時49分
「ここで招待を取り消したらたいへんに失礼な行為」
「国賓で招く事で中国側が襟を正す切掛けになるはず」
「むしろ国賓で招いて首相にガツンと言って欲しい」
…この何をいってるのかわからない国内親中派の方々の常軌を逸したコメントの数々。
トランプ大統領が香港に関する法案に署名した事で完全に風向きは変わっており、ウイグル&チベット問題はこれをはるかに上回る深刻な人権侵害である可能性が濃厚になった以上、今回リークされた物証の内容が正しいのか否かを国連にかけてそれがクリアになるまでは「国賓招待は無期延期」とするのが一番正しい対応だと思うのです。
天安門事件の時のように目先の金と引き換えに全世界に中国の人権侵害を「問題無し!」と宣言するかのような行為を再びやらかすのでしょうか?
そんな中、野党の皆様は国会の審議拒否ですか…
もうそのままお辞めになった方が日本のためではないでしょうか?
投稿: しゅりんちゅ | 2019年11月29日 (金) 17時06分
香港の民主派の方々は周近平が香港をウイグルの様に統治あれることをを恐れている、だからデモの民主派大衆は必死に抵抗するというのは正しい見方かもしれない。
しかし私たち日本人にはそんなことは考えることができない。多くは他人事のように香港情勢をを見ているだけである。それは、日本の政治家は国会で香港問題を論じることもせず国内の些末事の論議に明け暮れるだけであり、安倍首相には周近平を国賓待遇で招待するという計画があり、マスコミも大きく問題として取り上げないので、日本国民の反応は著しく鈍くなるしかないのだろう。
じれったい思いである。思い切って、周近平に香港問題が平和裏に解決できないようであれば日本訪問を延期していただくということを伝えるぐらいの気概が安倍首相にはないのだろうか。そんな気概がないのであれば、即刻首相は退陣してもらいたいな。
安倍首相には私たち庶民の分かり得ないような思惑があるのだろうか。色々と高等な判断があるというのだろうか? それが分からないのだ。
投稿: ueyonabaru | 2019年11月29日 (金) 22時33分