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2019年11月11日 (月)

首里城火災 電気設備技術基準違反の違法コードから発火


1812-014

首里城の火災において、決定的な証拠が見つかってしまいました。ほぼ決まりです。
整理しておきます

①火災は深夜人気のない正殿1階北東側で起きた。ここにはバックヤードがあった。

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②バックヤードには分電盤があり、そこから延長コード2本が差し込まれていた。一本は壁にそって延びており、もう一本は床下にあった。
下の写真を見るとわかるように、この延長コードは大容量のケーブルではなく一般の市販品で、その先にLED照明を点けていた。

③この写真の場所は、管理が国から県に移った2月以降に「見学可能エリア」として開放されていたが、写真でも確認されるように延長コードは漫然と床にのたくっており、見学客が踏む可能性があり、近辺に可燃物も写っていた。
通常の管理ならば、このような見学ルートに電線を敷設する場合、ケーブルを壁際に沿って敷設し、保護カバーをかけて保護せねばならない。

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④那覇市消防局の調査によれば、この2本の延長コードいずれにも30箇所の熔融痕があった。
那覇市消防局・山城達予防課長の証言。「電気設備以外に火災の原因となるものが見当たらない」 (FNN)

「那覇市首里当蔵町の首里城正殿など主要7棟が焼失した火災で、那覇市消防局は7日、市銘苅の同消防局で記者会見した。電気系統設備が最も集中している正殿北東の部屋が出火場所とみており、その部屋の分電盤の床下配線と、分電盤側面のコンセントに取り付けられていた延長コードが見つかった。その両方に、溶融痕があったことを明らかにした。今後、消防研究センター(東京都)で出火原因との関連を鑑定する。一方、延長コードは今年2月から正殿内に取り付けられていたことも関係者への取材で分かった。
 市消防によると、木造の正殿は燃え方が激しく、火の巡り方の検証が困難という。北東の部屋で火災原因の特定につながる唯一の痕跡は床下の配線と延長コードの2点だけだった。
 溶融痕は周辺の火災熱によって配線の断面が溶けて球形上の塊ができるものだが、機器が出火した際にできる短絡痕である可能性もあるとした上で、山城達予防課長は「出火原因を特定する物は出てきていない。今の状況から特定は非常に困難だ」と調査の長期化も予想されると説明した。
 市消防によると、床下配線には1カ所の熔融痕が確認された。火災前は3~4メートルの1本のコードだったとみられる延長コードは、焼けて数センチごとの細切れの状態で見つかった。30カ所以上の熔融痕が確認された。
 当時、正殿内の照明などへ配電するブレーカーは落ちていたが、延長コード側のブレーカーは通電していた。延長コードには二つの発光ダイオード(LED)ライトが接続されていた。 関係者によると、延長コードは国から県に管理が移行した今年2月以降に設置。同月に正殿裏手に位置する御内原エリアが開園し、正殿内の順路が変更されたため、足元を照らすための措置だったという。
 また、火災発生当時の様子を正殿外の2台の防犯カメラがとらえていたことも判明した。1台は正殿の北東側にある「女官居室」周辺に設置され、火災直前に白い発光体が映っていた。もう1台は正殿裏側の「世誇殿」周辺のカメラで、出火直後に正殿から炎が吹き上がる様子が映っていたという」(琉球新報11月8日)
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1022120.html

この琉新の記事にはふれていませんが、当初管理財団は9時30分に正殿を施錠し、ブレーカーが自動的に下りたために正殿には電気がなかった、また火災前に巡回していたと説明していましたが、すべて虚偽です。
実際は9時30分以降も、正殿前庭には翌日のイベント関係者(県職員も含む)が多数残って作業をしていました。
今の時点では憶測とお断りしておきますが、このイベント関係者が仕事を終了した1時43分にもう一回ブレーカーを落とす作業をしていることから、イベント関係者は分電盤から延長コードで電気をとっていた可能性が高いと思われます。
もし彼らが小型発電機を持ってきていれば、このような作業をする必要がないからです。
それは下の時系列表で確認できます。

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以下、電気に詳しい九州Mさんのコメントを参考に原因を究明していきます。

まず、このブログで当初から疑問点としてきたことは、「なぜブレーカー(遮断器)が正常に機能しなかったのか」ということでした。
常識的に考えてブレーカーが正常に作動していれば、配線がネズミによって食われるようと、あるいは分電盤自体が故障して発火しようと、瞬間的に漏電ブレーカーが落ちて火災を防ぐ仕組みになっているからです。

その理由は簡単です。
火災を起こしたコードが、漏電を遮断するブレーカーを経由していていなかったからです。

「この仮設配線は24時間通電の防犯カメラや火災報知器の電源と同じような回路からとっていたようです。
つまり、少なくとも午後9時半に自動的に落ちるブレーカは経由しておらず、仮設配線・コンセントの電源は遮断されずに通電状態であったということです」(九州M氏コメント)

上の写真で分かることは、財団には電気による火災に対して危機感が希薄なことです。
管理財団には電気管理の専門家がひとりもいなかったために、ブレーカーを経由せずに安物のコードを無造作に突っ込み、おそらくテーブルタップでそこからタコ足で電気を取ってと思われます。
ですから、平気で見学順路にブラブラと延長コードが放置させていました。
とうぜんこのような杜撰な「工事」ともいえないようなまねを、消防局の許可を得てやったとは思えませんから、管理財団の勝手な違法工事です。
これだけで管理財団は電気設備技術基準違反として追及されるべきです。

「今回の火災のステップを想像してみました。
①延長コードが何らかの原因(被覆損傷等)でショート
  →過電流で被覆が燃焼・・・分電盤内の分岐ブレーカの二次側からの仮設配線であれば、この時点で分岐ブレーカーが落ちて大事にはならないはずだが・・・もちろん近くに可燃物があればこれだけでも十分火災になる。
②延長コードがショートした後も分電盤のブレーカーは作動せず通電状態が続き、その火が分電盤内の配線ケーブルに引火しショート。
③分電盤内で過負荷になり遮断器(リミッター)が落ち、建物内のすべの電源(防犯カメラ、火災報知器を含む)が落ちる」(九州M前掲)

また九州M氏によれば、コードが破損しなかったとしても取り付けられていたLED照明の機器が故障したり、あるいはLED照明以外に別の機器が接続されていた場合、過負荷になって延長ケーブルが発熱し、被覆が燃焼した可能性もありえるそうです。

なぜか消防局は調査結果公表には時間がかかると言っていますが、現時点において因果関係は鮮明になっています。
発火箇所は分電盤から延びた延長コードであり、なんらかの不具合によって火災が発生し、ブレーカーが作動せずに燃え広がったと思われます。

この 「延長コードは今年2月から正殿内に取り付けられていた」(琉新前掲) 、すなわち国から県に管理が委譲された後に、県のお粗末な管理によって火災を引き起こしたことはほぼ確定しました。
地元紙もデニー県政を忖度せずに、その責任をしっかりと認めたらいかがでしょうか。

 

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コメント

今日の主題の発火原因とは少しズレますが、放水銃が機能しなかった理由がイベントの設備に関係してるのではないかとの指摘も出てきました(https://biz-journal.jp/2019/11/post_126633_entry.html)
詳しい調査がないと断言はできませんが、本当ならばイベント主催者の責任はかなり重大といえるでしょうね。

何故失火が起こったのか、何故初期延焼を食い止められなかったのか、何故大規模な延焼となってしまったのか等、検証作業が必須でしょうに、責任の所在をはっきりさせずなんか曖昧にしようという意図すら感じられます。

県の管理であった以上、県の責任がないはずがないのに「誰にも責任はないのではないか」などという発言が上層部から出てきたり、再建に向けての動きを強調しようするあたり、デニー知事を「再建の道筋をつけた立役者」に仕立てあげようとしているようにも見えます。

デニー知事に談合疑惑が持ち上がってますが、それをうやむやにしたくて「首里城再建を現政権で!」などと殊更盛り上げようとしてんじゃないのかと、訝しみたくもなります。

新聞の記事や火元とされる正殿分電盤付近の写真(動画)をから、現時点で明らかになっていることは以下です。

(1)分電盤側面に電源コンセントが新設(今年2月以降)されていた。
・分電盤のどこから、どういう経路で配線されていたかは不明
・少なくとも午後9時半にタイマーで切断する分岐ブレーカ(ノーヒューズブレーカ:NFB)は経由していなかった。 →火災発生時には通電状態

(2)そのコンセントに延長コードが差し込まれていた。
・写真からみて5m程度の家庭用延長コード(心線は撚線)で差し込み口(メス側)は1口、二股プラグ等を使用と思われる
・火災発生時には通電状態

(3)延長ケーブルの先にはLED照明が2個接続されていた
・写真から想像すると大光電機(DAIKO)のLEDフロアースタンドと思われる 
    [型式]DST38741(又は2)Y、消費電力約12W、異常温度防止機能付、
    平型プラグ(AC→DCコンバータはプラグではなく本体内臓)
・消費電力がわずかですので、これだけでは電源コードへの負担(発熱)は少ないですが、LED照明そのものが意外と発熱しますので要注意です。
・当然ですがLED照明以外の何らかの機器が(たこ足で)接続されていたかどうかは重要なポイントです。

(4)分電盤内の分岐ブレーカー(NFB)が、定刻(夜9時半)に自動で落ちるようになっていた。・・・すべてのブレーカーではない?
・NFBの種類にタイマー付きがあるのか不明です。通常のブレーカーは過電流時に自動的(メカ的)にOFF側に作動するので、逆にONにする場合は手動操作が必要です。常識的には分岐ブレーカの後ろ側に、別のタイマー機器を接続すると思うのですが?
  
・そもそも定刻(午後9時半)に切断するタイマーは何のために設置されていたのか疑問です。一般に建物の電源管理は、始業時と終業時に人が目で確認して手動でNFBをON/OFFするものです。建物の照明等をタイマーで・・・という考え方がそのものが???
 
・「タイマー」は建物建設時の最初からあったのか、増設されたのか?また、もしかすると照明等の電気のON/OFFは機器毎に手元で行い、建物全体の電源管理を分電盤で行うという考え方がそのものが無かった可能性すらあるように思えてきます。
   ※個々の作業者及び警備員にヒヤリングすれば簡単に判明します。


直接の火災の原因に結び付く痕跡が以下です。

[A]延長コードに溶融痕(ショート痕)が30か所以上あり細切れ状態
・心線は撚線ですので火災になれば全体が燃え”細切れ”になると思います。コードの被覆が過熱(燃焼)してショートしたのか、建物火災によって被覆が引火してショートしたのか、現品を見て区別できるのか?
・”30か所以上のショート痕”の事象はよくわかりませんが、コードを束ねていたからかもしれません。

[B]床下配線に1か所の溶融痕(ショート痕)
・一般に「床下配線」とは床の裏側にVVFケーブル等で配線したものであり、写真の  ような床上の延長コード等は指しません。
・被覆が損傷(ネズミ等)しショートする可能性はゼロではない

[C]当初TVで報道されていた”分電盤内のショート痕”は新聞記事には無いようです。”分電盤周辺でショート痕”かも


<問題点>
1、電源コンセント配線
今年2月以降に設置(新設)された分電盤側面の「電源コンセント」が最大の問題です。通常このようなところにコンセントは設置しません。コンセントを新設する場合は通常、分電盤の空きの部分から分岐ブレーカーを追加して二次側からケーブルを出し、分電盤(箱)のケーブル引き出し口から出して配線し建物の柱等に設置しすると思いますが。

※この部分の工事は誰がどのようなやったのか厳しく問われるところです。電気工事士が電気設備技術基準に沿って工事しないと違法(違反)です。

考えられるには、建物内に電源コンセントが無く、また建物の性質(文化財相当)上、コンセントだけでなく配線そのものの新設(建屋内にむき出し)が認められていなかったことが考えられます。そうするとかなり無理な状態で電源をやりくりする必要があります 

2、延長ケーブル
建物内の電源コンセントから先は個々に使用者が行うものです。延長コード(テーブルタップは家庭用のそれですから使い方としては同じです。束ねたり、物を上に乗せたりしてはいけません。もっとも重要なのは電線コードの電流容量を超えて(たこ足で)電気機器を接続してはいけないことです。先に述べたようにLED照明(数十W)程度は問題ありません。琉球新報の図の中にある「送風機」の電源がどこからとっていたのかも気になるところです。
また、延長コード(テーブルタップ)を建物に固定するのは違反です。固定する場合はVVFケーブル等(コードではなくケーブルと呼ばれる単線の電線)を使い、固定します。必要により配線カバー(ダクト)でケーブルを保護します。

3、建物の使用責任者は誰か
 日々の建物使用に関する責任者は誰だったのか。財団の記者会見をネット見て感じたのがここです。夜間の巡回に関して警備員を追求するのはいいのですが、建物の施錠や電源切断は使用者がやるもので、警備員はこれを点検し、異常有無を確認するのが仕事です。
 無責任な組織・体制でありがちなのは、使用者としての責任体制がきちんとしておらず、その自覚すらないことが多いのです。この場合、末端の立場の弱い警備員(おそらく別会社)に責任が押しつけられがです。沖縄県は財団に実務を委託をしていたにすぎず、当事者としての責任から逃れようはないと思います。
   
 この建物の所有者は国であり、それを沖縄県が借用し、その実務を沖縄県が下請けの財団に依託していたのでしょう。であれば建物の使用管理の仕組み(ルール)を作るのは沖縄県であり、ルール通りに管理されているか確認する義務も生じてきます。デニー知事が他人事みたいな態度で気になっています。

さぞや由来のある傘も燃えてしまいましたか・・・

  県は二月以降の管理体制について、「(国からの)移管後に管理方法を緩めた事はなく、火災と移管に関係があるとは認識していない」(11/10琉球新報一面)としています。

しかし、仮に事実がそうであっても、「管理責任は県にある」(県議会 自民・維新)のは当たり前で、まさに常識中の常識です。
まして、本日の記事にあるような事実(管理後に行われた配線の変更が原因)が明らかになったならば、県の責任は一層明確とならざるを得ません。

すなわち今は「再建」がどうのこのという段階では全くなく、首里城という、県民ではなく「国民共通の財産」についての損失をどうするのか?という問題がまず討議されるべき順序です。

焼けたのは国の財産です。この責任の明確化なくして、「再建」などあり得ません。他府県と著しくバランスを失するような方法は取られるべきではありません。

 山路さんのご意見に賛成です。

 「床下配線には1カ所の熔融痕が確認された。火災前は3~4
メートルの1本のコードだったとみられる延長コードは、焼けて数
センチごとの細切れの状態で見つかった。30カ所以上の熔融痕
が確認された」

私は趣味で電子工作をしていた時、電気ショートをヤラかし、上
記のように電線を溶かしたことがあります。細い二次側の小学校
のマメ電球実験に使うような細い電線は、ババッと発光したかと
思うと、アッという間に溶けてしまいました。過電流はコワイです。
細切れの電線ということで、今回もどこかでショートしたんだと思
いますわ。ショートさせた当人は、本当のウスラ馬鹿でもない限
り知っているハズです。まあ、「私が燃やしました」と、よう出て来
んでしょうが・・

今回の記事や写真が本当だとすると、これはシロートの仕業に
間違いないですわ。文化財の管理体制がシロート、家庭用延長
コード?で安全用遮断装置を通る前の段階で電気を分岐させた
シロート、電力計算することなく使い放題電気を使ったシロート。
ネズミなどの動物が電線をカジったにせよ、普通なら遮断装置
が働くハズですから。

彼らを弁護するのなら、「そんなの、誰かがキチンとしてくれてる
と思うじゃん」「オレらだって、いきなりボッワアアーと燃え出して
きてビックリしたんだぜ!」というのが真相で、それはそうだろう
と思います。

こういう件は、日本のムラ社会や中国・朝鮮の儒教社会において
は、解決がスンナリといきません。ムラ社会では「皆んなが悪い
のだ」、儒教社会では「コラ!下僕よ、おまえが全て悪いのじゃ、
どう責任とるつもりだ、おっ?」ですから。私は、これからの事の
成り行きにとても興味が湧いて来ました。これからも、この件に
ついての良記事をお願いします。

ご無沙汰しております。
建物設計者の視点から少しだけ。

1,受電設備について。
「首里城公園の電力は、沖縄電力より首里杜館(県施設)に設置されている 受変電設備にて受電し、国側は同設備の国専用き電盤を経由して奉神門の電気室より各建物等へ電源を供給している。」
とのことです。

つまり、沖電から高圧6.6kVAで受電、これを奉神門にある電気室で低圧(200V)に変圧して正殿に送られている。それを正殿で受けてるのが建物北東にある「分電盤」ということになります。
このケーブルは床下を通って分電盤に接続されているようですが、「床下配線には1カ所の溶融痕が確認された」とあるのはこのケーブルのようです(時事通信社の記事)。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191107-00000119-jij-soci

ちなみに、首里城は高圧受電をやってますので、保安管理者として電気主任技術者が選任されていたはずです。電験3種以上の資格がないとなれませんので、ド素人が管理していたということはありえません。

2.分電盤について
 この分電盤ですが、youtubeの映像では8分18秒のところで全体が確認出来ます。左側に観音開きの扉が2段、右側に電流計か何かが付いた片開きの扉が1面あるかなり大きなものです。
これは想像ですが、タイマー制御された低圧電力系、常時通電の低圧電力系、通信系(火災報知器・電話・放送・カメラ等)の3系統が一つにまとめられていたのではと思われます。

NHKが空撮で分電盤の搬出時の状況を撮ってますので大きさをご確認下さい。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191103/k10012163121000.html

この映像を見ると多数の配管が確認されますが、これがいわゆる電線管で、この中を電線や通信線が配線されています。全てが管路配線ではなかったかもしれませんが、ネズミにかじられるような露出配線は少なかったのでは?と思われます。
最近は樹脂製の可とう管(じゃばら管)が多いのですが、出火させないことも考えて金属管にしたのでしょうかね。

3.分電盤側面に取り付けられているコンセントについて。
 これもyoutubeで確認してみると、露出コンセントボックスから上に電線管が伸びていて、白く光って見えるものの下に同様のボックスがあってそこに接続されているようです。
ここで注意したいのは、ボックスと電線管が共に分電盤と同色で塗られていることです。何もしなければ金属色(銀色)のものが塗装されてるということは、きちんとした施工がなされたということです。

なので、私はこのコンセントは建設時に設置されていたものだと思ってます。
この場所は元々バックヤードで、いわゆる「設備室」的な使われ方だったと思うのです。ここに主要な電気・通信が集まってきますので、点検など作業を頻繁に行っていたと思うんですよ。
であれば、電動工具やら投光器やら使うのでコンセントは必須なのではないかと。
当然、夜間作業もやるでしょうから、タイマーで落ちる系統ではなく常時通電系統になってるのも必然だと思ってます。

ちなみに「延長コードは2月に設置された」と書かれていますが、コンセントがいつ設置されたかは書かれていません。

4.延長コードについて
 前述したように、元々あったコンセントに差すだけなら工事ではありませんから違法ではありません。使い方が悪かっただけです。なお、延長コードは「1本」のようです。

5.コンセントが既設だと思われるもう一つの理由
 もし、LED照明を設置したくて工事を発注するのであれば、なぜLEDの配線を直接、分電盤のブレーカーに繋がなかったのでしょうか?分電盤にはまず間違いなく予備ブレーカーが準備されています。タイマー系統に繋げば問題なく運用できます。
杜撰な工事で事故が起きた場合、管理している電気主任技術者が罰せられます。点検も月1回はやってるはずなので、2月からずさんなコンセントを使っているなどありえません。

6.漏電遮断機について
 漏電遮断機は、コンセント系統毎に付いているわけではありません。水回りには設置義務がありますが、乾燥しているコンセント系統には設置する必要がないからです。多分、主幹のところに大きな漏電遮断機が付いていたはずです(一般家庭も同じです)。

7.なぜコンセントのブレーカーは落ちなかったのか?
 ブレーカーは過電流と判断すれば落ちます。一般的なコンセント系統には20Aのブレーカーを付けますが、このコンセントに何アンペアのブレーカーが付いていたかわかりません。
仮に20Aとすると20A未満だと落ちません。一般的なテーブルタップ容量は15Aですので、折れ曲がったりしたコードに20Aが長時間流れて発熱・発火した可能性はあります。

発火したことで被覆がはがれショート、これにより主幹の漏電遮断機が働いたと考えれば「出火直後に電源が一斉に落ち、内部監視カメラの映像が途絶えた」ということと矛盾しません。つまり、ずさんな工事が行われていたという証拠にはならないということです。

8.イベント関係者が分電盤から電源を取っていた
 これはありえないと思います。まず、財団は9時35分に施錠後、誰も正殿には入っていないと説明を変更しています。また、出火当初から「電源は他の建物から取っていた」という証言もあったはずです。
第一、この分電盤はイベントのある庭の裏側に位置しています。わざわざこんな位置から取る必要はありません。
第二に、正殿には空調機もないそうです。照明とコンセントだけだと大容量の仮設で使うような電気は給電されていないはずです。

最初に書いたように、奉神門の電気室には変電設備がありますから大容量でも問題ありません。ここの配電盤から仮設電源を取るのが一般的です。


とりあえず気になったことだけ私なりに検証してみました。
私は電気の専門ではないので細かなところまではわかりませんが、建築士から見たらこんな感じだと思えるよってことで。

皆様。専門的な知見をありがとうございます。
いくつか修正いたします。
横須賀ヨーコ様からの、分電盤から取れていたのは2本ではなく一本だというご指摘は、私の誤読でしたので訂正します。
またイベント関連が正殿分電盤からからとられていた可能性は、私もすくないと思われます。

ひこーさんのご指摘の延長コードが違法には当たらない、というご意見は拝聴いたしました。
「違法とまではいえないが、誤った使い方」ということですね。

また事故原因については、一般のテーブルタップ15アンペアに20アンペアが流れ続けていたために主幹の遮断器が落ちたという推測には納得させられるものかありますが、素人の私には現時点ではなんともいえません。

いつもながら、専門的な知見を持つ方が多数集っていることを、嬉しく思います


ひこ〜さんへ
私も電気の専門職ではなかったのですが、一言。
11/8の朝日新聞の記事で『分電盤の側面にコンセントが追加で設けられ、延長コードが差し込まれていたという』と、はっきりコンセントは既設ではないとされています。さらに『ブレーカが午後9時半に自動で落ちた後も防犯カメラやこの照明に通電していた』となっています。

2月以降にLED照明をこの延長コードにつなぎ、この延長コードにショート痕があれば、一連の電気工事が正しく行われていたのかを問うべきことは当然のことだと思います。

また、電気工事は電気工事士が行い、電気主任技術者はあくまでその電気設備を管理する立場で電気工事そのものはできません。もっと、この程度の電気設備で電気主任技術者が常駐しているとも思えません。

私は工場にいましたが、電気主任技術者が分電盤を月に一回点検する、なんて話も聞いたことはありません。そんな義務があるのでしょうか?

それと延長コード(テーブルタップ)はよほど劣化したものや、上に物を置いたりしない限り簡単にはショートしません。可能性としてはやはり過電流の負荷(1KW以上の電気機器の接続)を疑うべきだと思います。さらに、ショートしたとして正しいコンセント工事がされていれば過電流でNFBが落ちると思うのですが。

ひこ〜さんへ
私も電気の専門職ではなかったのですが、一言。
11/8の朝日新聞の記事で『分電盤の側面にコンセントが追加で設けられ、延長コードが差し込まれていたという』と、はっきりコンセントは既設ではないとされています。さらに『ブレーカが午後9時半に自動で落ちた後も防犯カメラやこの照明に通電していた』となっています。

2月以降にLED照明をこの延長コードにつなぎ、この延長コードにショート痕があれば、一連の電気工事が正しく行われていたのかを問うべきことは当然のことだと思います。

また、電気工事は電気工事士が行い、電気主任技術者はあくまでその電気設備を管理する立場で電気工事そのものはできません。もっと、この程度の電気設備で電気主任技術者が常駐しているとも思えません。

私は工場にいましたが、電気主任技術者が分電盤を月に一回点検する、なんて話も聞いたことはありません。そんな義務があるのでしょうか?

それと延長コード(テーブルタップ)はよほど劣化したものや、上に物を置いたりしない限り簡単にはショートしません。可能性としてはやはり過電流の負荷(1KW以上の電気機器の接続)を疑うべきだと思います。さらに、ショートしたとして正しいコンセント工事がされていれば過電流でNFBが落ちると思うのですが。

○九州Mさん
> 朝日新聞の記事
でしたか。すみません。ネットニュースでしか見てないので。

ならば、なぜコンセント増設工事ではなく「LED照明器具設置工事」を発注しなかったんですかね?タイマー回路のブレーカーから直接LED照明器具を繋げば、コンセントの必要なんか全くないわけですよ。工事の手間はそんなに変わらないし、ケーブル配線であれば固定してカバーだって付けられます。。
安全面を考えれば、コンセントを付けてテーブルタップで繋いでなんて怖くてできない。

なので、元々コンセントがあったから工事を発注せずに器具だけ買って繋いだと推理したわけです。


> 電気主任技術者の業務
 おっしゃるとおり、電気主任技術者は工事はしません。が、電気設備全てに責任がありますから、工事監理をしなければなりません。工事前に図面のチェックも行わなければなりませんし、当然、工事が終われば確認検査を行う必要があります。
首里城は高圧受電だそうなので、電気主任技術者は常駐しているはずです。

点検ですが、厳密に言えば各事業所毎に定められた「電気保安規定」によります。
停電せずに行う「月次点検」と停電して行う「年次点検」があって、点検場所と頻度は保安規定で定められているはずです。

外注だと「自家用電気工作物の標準的な点検項目について」(経済産業省)を参考に契約しますので、月1回は月次点検として分電盤の目視点検くらいはなされてると想像するものです(うちの職場も外注ですので、毎月管理業者が分電盤を開けて点検をやってます)。


> 過電流について
札幌市消防局の実験映像です。
https://www.city.sapporo.jp/shobo/shokai/gakko/labo/movie/denki.html

折り曲げや半断線があれば、1600W(16A)のドライヤーの使用でも発熱・発火します。
過電流だと判断されなければブレーカーは落ちず、発火した瞬間にショートして漏電遮断器が作動するという感じでしょうか。
正しくブレーカーを設置していても、テーブルタップの使用方法が間違えていれば発火するということです。


もし、コンセント工事が杜撰で発火したなら、それは工事業者とそれを監理した電気主任技術者の責任問題、損害賠償請求の対象となります。
まだ原因究明もなされていない時に、想像で「工事が杜撰だったからだ」と決めつけてしまうのはどうかと思って私見を書かせていただいただけです。

私は電気の専門家ではありませんから、これ以上、仮定と想像だけで議論をしても何も得るものはないと思いますので、この件についての書き込みは控えさせていただきます。

ひこ〜さん、九州Mさん

貴重なお話、ありがとうございます。大変参考になりました。

今、報道されている内容のほとんどは6日の国、県、財団の合同説明会見と7日の那覇消防局会見からですが、消防はともかく、財団の発表が二転三転するせいもあり、わからないことも多いですね。

↓ご参考に、会見ノーカット動画です。
https://youtu.be/J0S-_35x6EQ

これを見る限り、上層部が安全管理に普段から配慮していたとは思えませんし、電気まわりについては、ほとんど理解していないというか、考えたこともなかったのではないでしょうか。
沖縄は、技術系が弱い典型的な文系社会ですけど、財団が管理している美ら海水族館など、まさにプラントそのものなんですから、首里城の設備についてももう少し理解があっても良いだろうに、と悲しく思います。

警察や消防の調査は、実際の担当者にきちんとなされているでしょうから、今後原因究明がきちんとなされる事を願うのみです。


個人的には、跡地に大きな亀甲墓でも建てればいいじゃん、と思ってます。

お城はまた燃えるし、亀甲墓なら今集まってる寄付金で足りるし。
石にとぅーとぅー、沖縄らしくていいと思うんですけどw


貴殿の記事をいつも楽しみにしている一人です。
沖縄在住です。
貴殿の記事が素晴らしく、シェアーしたいことがよくあります。
Face Bookなどでのシェアーは容認されますでしょうか?
状況分析を分かち合えると良いのですが、、と思っております。
ご返信の程、よろしく願いいたします。

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