三カ国サミットが終わりました
中国という国は分かりやすい国です。強い者には弱く、弱い者には強いのです。
習近平は、日本と韓国双方と個別に首脳会談をしたあとに三カ国サミットをし、日本には李克強が直々に安倍氏を案内して史跡巡りをするそうです。
ムン閣下はそのままお帰りだそうです。
ムン閣下は盛んに習に尻尾をふって甘えてみせましたが、実に冷淡な対応だったようです。
なんとウィグルや香港問題はあなた様の内政の問題でございます、とまでいっちゃったと中国からばらされてしまいました(苦笑)。
「だが、会談直後、中国メディアが韓中首脳会談の内容を「速報」として先に報道しながら論争が始まった。「文大統領が、香港と新疆問題について『中国の内政』だと明らかにした」という内容だった。韓国政府が公式に中国側に回ったという趣旨だ。特に香港問題は米国と中国が対立する敏感な外交および人権イシューだ。
中国中央電視台(CCTV)は午後2時20分ごろ(現地時間)、「韓国は、香港の事務にしても新疆に関連した問題にしても、すべて中国の内政だと認識している」と文大統領が言及したと報じた。中国共産党機関紙「人民日報」も同じ内容をタイトルに選んでSMS(ショート・メッセージ・サービス)速報として伝えた。中国外交部の耿爽報道官は午後の記者会見で該当の報道に対して論評を求められると「この表現は事実に符合する。彼は基本的な事実を述べた」とし、報道が事実である趣旨で答えた」(中央日報12月24日)
https://japanese.joins.com/JArticle/260834
中央日報
韓国政府は否定していますが、ホスト国の外交部の報道官がこの容認発言を認めてしまっていますから、まちがいなく言ってしまったのでしょうね。
いまさら驚きはありませんが、それだけではなく、ムン閣下が限韓令を止めて下さいとお願いしたところ相手にされず、逆にTHAADで学習から「妥当に解決しろ」と釘を刺されたようです。
限韓令とは「THAAD事態以降、現在も進行している団体旅行の制限などのことですが、まぁ韓国が今日本におやりになっている「限日令」を中国からズッとやられているということです。
中国が言う「妥当に解決しろ」の意味は、「三不の誓い」を守れという念押しです。
「習主席はTHAAD問題に関連して「妥当に解決されるよう願っている」と言及し、文大統領は「韓国政府の立場は前回と変わりない」と答えた。文大統領は6月の韓中首脳会談当時、「THAAD問題は非核化が成し遂げられてこそ解決することができる部分」と話していた」(中央日報12月24日)
https://japanese.joins.com/JArticle/260830
「三不の誓い」を中央日報に説明してもらいましょう。
「中国は2017年10月、いわゆるTHAAD合意後、韓国が▼THAAD追加配置不検討▼米国のミサイル防衛(MD)体系への不編入▼韓日米軍事同盟発展不可--という韓国政府の立場にもTHAAD関連の制裁を緩和していない」(中央前掲)
ひとことでいえば主権の放棄です。外国に安全保障についてアレをしてはならないとか、日米韓同盟に参加するなとか言われる筋合いはありません。
これを韓国が呑んだ時点で韓国の中国の属国の地位に逆戻りしたということです。
つまり李王朝への回帰です。
当時英国エコノミストはこのように評していました。いわく「犬アプローチ」
"IT IS China’s least edifying diplomatic strategy, and it is certainly not from “The Analects” of Confucius or from Sun Tzu’s “Art of War”. Call it the doghouse approach. If China does not like what you are doing, it bullies you until you change. If you don’t, it punishes you by putting you in the doghouse. If you still refuse to change, it pulls you out again after a suitable term of punishment, pretends all is normal, and expects you to be grateful."
これは中国の最も外交的な外交戦略であり、(略) それを犬小屋アプローチと呼びます。 中国があなたがしていることを好まない場合、あなたが変わるまであなたをいじめます。また犬小屋に入れて罰します。 それでも変更を拒否する場合は、適切な罰則期間が経過した後、再びあなたを引き出し、すべてが正常であるふりをし、感謝することを期待しています。
South Korea is making up with China, but a sour taste remains(The Economist
意にそぐわなかったら、変化するまで圧迫し、それでも言うことをきかない場合、あるていど時間をおいてから正常だよといってやって感謝させてしまう、おもわずなるほどね、と思ってしまいます。
さすが異民族支配のプロの英国ならでは解説です。
中国はまさにこのとおりのことをして韓国をいじめ続け、米国に配慮してTHAADを撤去しないとみるや再び引き出して頭を軽くなでてやるということです。
とおからず、韓国は従順な属国に完全復帰することでしょう。
さてこのように中国は異民族支配には巧妙な「犬のしつけ」をしますが、いったん独立の気概を見せた国に対してはもう少し丁重なおもてなしだったようです。
今回の首脳会談では、安倍氏に対して習は香港とウィグルに対しての弾圧を「しゃべらせ」ました。
下写真がその時のものですが、こういうときの両首脳の顔っておもしろいですね。ニカニカ笑うと双方ともに国内からなんだその態度はふざけんな、とやられますが、かといってしかめつらもできないので、このようななんともいえない顔で握手だけはしました、ということになります。
たぶん、来年来る時はもう少しニカニカするんじゃないですか。こなくていいですが。
「会談後の記者会見で大鷹正人外務報道官は、香港をめぐって安倍首相が中国に引き続き自制を求め、事態の早期収拾を望むと表明したことを明らかにした。
安倍首相の発言に対して習主席は、香港は「国内問題」であるとの立場を繰り返したとされる。
また大鷹報道官によると、両首脳は北朝鮮と朝鮮半島の非核化についても協議。習氏は対北制裁緩和を提案する中ロによる国連(UN)決議案への支持を求めたという。
さらに安倍首相は、新疆ウイグル自治区における人権問題にも言及し、中国政府が透明性をもった説明をすることを望むと述べたと、同報道官は話している。(AFP12月24日)
https://www.afpbb.com/articles/-/3260897
首脳が何をしゃべるのかは事前に事務方が相当程度まで詰めます。
会談の後に共同宣言が予定されているならな、その文言の一字一句まで双方で詰めきります。
ですから、安倍氏が直接の首脳会談の場で習に「言った」という意味は、中国が今回それを容認したということです。
安倍氏と習氏の会談は2016年にも短時間ながらありましたが、その時はこんなかんじでした。
「首相と習氏の会談は、以前は設定自体が難航した。旧民主党政権による尖閣諸島(沖縄県石垣市)の国有化の影響などもあり、平成28年9月に2人が中国・杭州で会談した際は「30分の会談のために日中の事務方が直前に5時間協議しても、なかなか日程が決まらなかった」(日本政府関係者)。中国側が「東シナ海問題に触れれば会談開催が危うくなる」などと条件を付けてきたためだ。
時は過ぎ、首相は今回の会談で尖閣周辺での中国公船の挑発や人権問題にも切り込んだ。会談に同席した岡田直樹官房副長官は「率直かつ建設的な議論を行うことが可能になった」との認識を記者団に示した」(産経12月23日)
では安倍氏は習に国賓招待をカードにして「国内世論の納得が得られない」と尖閣、香港、ウィグルという苦い薬を3ツ飲ましたのですが、今後どうなるのでしょうか。
残念ですが、どうにもなりません。
その理由は日本はまだまだ弱く、中国の約束ほどアテにならないものはないからです。
中国は、南シナ海でも国際海洋条約を破って国際司法裁判所からアンタの負けといいわたされてもシカとした国です。
いままでさんざん合意文書や共同声明はつくられましたが、決してその内容を遵守しようとはしませんでしたし、、いったん都合が悪くなるか、自国の戦略的目的実現のチャンスの到来と見れば、あっさりとクズ箱に投げ捨てています。
両国関係の基礎となる日中友好平和条約にある覇権条項など、とうの昔に反故です。
そういう国が相手と思わねばなりません。
ましてや会談でこちらが言い分を「言った」ていどとなると、その有効期間はその会議の時間だけにすぎません。
最悪は媚びへつらうことで、ムンのように浮ついたリップサービスを並べれば並べるだけバカにされて「犬のしつけ」をされてしまいます。
わが国でも、民主党政権時には事前になんの戦略性もなく国有化をして怒りを買ってうろたえたかとおもうと、尖閣漁船衝突事件時には犯人をしらべもないで送り返しています。
こういう愚行をすると、たちまち「犬のしつけ」をされて大規模反日暴動をうけ、その後は口もきいてもらえないといった時期が続きます。
ですから中華皇帝に対して、日本は常に毅然と日本の言い分を述べ、彼に日米同盟という最強のカードを忘れさせないことです。
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文政権は自分が「河に落ちた犬」になっている事に気づいてませんね。だから、なんで棒で叩かれているのかわからず、あれやこれや中共におもねっているうちに、米にも見放されそうになってます。
そう言えば日本も、宮沢政権のころ、天皇訪中後から反日が厳しくなりました。中・韓相手には距離が必要です。
二階さんが千人規模のベトナム訪問団を組むそうですが、そういう事が良いメッセージになるでしょう。
投稿: 山路 敬介 | 2019年12月25日 (水) 15時01分