• 20250113-081014
  • 20250114-011659
  • 20250113-133232
  • 20250113-134354
  • 20250113-134844
  • 20250113-135719
  • 20250114-062849
  • 20250112-044948
  • 20250112-050804
  • Dsc_1204

« オスプレイ不起訴は当然だ | トップページ | 日曜写真館 銀杏が散ると冬です »

2019年12月14日 (土)

英国保守党大勝、ブレグジット確定

059_20191214035201

ボリス・ジョンソン首相が賭に勝ちました。過半数を悠々と確保し、32年ぶりの歴史的大勝です。
前任者のメイ首相が、ねじれのために苦労し、その打破のために選挙に打ってでて敗北を喫し、更に求心力を失うという悪循に入った状況を、一気に解消した
ことになります。
いかに英国民がブレグジットでヨレヨレだったかのかわかります。

イギリス総選挙は12日午後10時(日本時間13日午前7時)に投票が締め切られ、与党・保守党が下院(定数650)で過半数議席を獲得した。来年1月31日までのブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)を目指すボリス・ジョンソン英首相は、「我々の『ひとつの国』保守政権は今夜、ブレグジット実現へ強力な信任を得たようだ」と述べた。保守党にとって1987年以来の大勝となった」(BBC12月13日)
https://www.bbc.com/japanese/50766470

_110130649_p07xr811

BBC

●午前8時半(日本時間午後4時半)の時点での政党別獲議席得数
・保守党・・・364議席(47増)
・労働党・・・203議席(59減)
・スコットランド国民党(SNP)48議席(13増)
・自由民主党は11議席(1減)
・北アイルランド民主統一党(DUP)は8議席(2減)
・その他が15議席(2増)

労働党はコービン党首が議席を確保したものの、大きく後退しました。こちらは歴史的惨敗でコービン党首は辞任する見込みです。
コービン党首は、労働党内からもその左翼路線に対して強い批判がでていました。

ウィルソン議員はツイッターで、「労働党首脳陣が、敗因をブレグジットのせいにするのは、うそだらけのナンセンスだ」と批判。「ジェレミー・コービン氏のリーダーシップの方が大きな問題だった。それ以外が原因だなど、妄想だ。有権者の戸別訪問では、党幹への評価は鉛の風船のようにひどいものだった。労働党の首脳陣は責任をとる必要がある」と述べた」
「労働党は、長年の支持基盤だったイングランド北部や中部で大きく後退した。何十年と、あるいは1918年以来、労働党が勝ち続けたかつての炭鉱町などで、次々と保守党新人が勝ち、スー・ヘイマン影の環境相や、ジェニー・チャップマン影のEU離脱担当相など、党幹部が次々と議席を失った」(BBC前掲)

この選挙は、争点不明で週刊誌ネタしか火種がない日本と違って、すこぶるスッキリした構図でした。
ブレグジット断固推進のジョンソン率いる保守党と、残留のためにもう一度国民投票をしろというコービン率いる労働党の対決でした。

20191212ax06s_t

ことの発端は、あのデコ助(失礼)のデービット・キャメロンという名前だけカッコイイバカ(またまた失礼)が、自分が残留だったので自信たっぷりに国民投票で上書きしようとしたことから始まりました。
結果はご承知のようにブレグジットの勝利に終わりました。
負けが判明した時のキャメロンの顔があまりおもしろいので貼っておきます。

Photo_20191214045601

https://kinyu1.com/post-1211/

じつはこのキャメロンとジョンソンは、同じ保守党内で両極を成していました。
育ちがよくは見えないジョンソンですが、イートン校からオックスフォードというエリート街道を進んでおり(彼の演説のキングスイングリッシュを聞けばわかるでしょう)、その後輩がキャメンロンでした。
よくあることですが、学校の
先輩後輩でも仲がよくないようで、立場はまったく異なっていました。

ジョンソンは英紙のEU特派員時代から「ブリュッセルのクソ官僚ども」と罵りまくっていて、政治家になるや初めはマイルドにEU改革を唱えていましたが、やがてテンションが上がって過激な離脱を主張しはじめました。
一方キャメロンは、中国すり寄り路線を進めながら、英国はEUにしがみついてこそ浮かぶ瀬もあれと考えていました。
現時点で強い者に媚び従うという意味での現実主義者のようです。

このふたりはキャメロンがやった国民投票で激突します。

Photo_20191214051401

https://www.asahi.com/articles/ASJ6X5SXSJ6XUHBI028...

このブレグジット国民投票の結果はなかなか面白いものです。

Photo_20191214051601

NYタイムス ブレグジット地域別

英国全体では残留派が48%、離脱派が52%で、離脱派がわずかに上待ったのですが、地域別では北アイルランド、スコットランド、そして金融センターであるシティがあるロンドンでは残留派が優勢でした。
これはスコットランドは、仮に独立が達成された場合、その受け皿にEUになってほしいという下心があるからです。
今回の選挙でもスコットランド独立派が票を伸ばしました。
またアイルランドの場合は、北アイルランドとアイルランド本国との国境が、離脱するとまた今までどおりの厳重なものに戻ってしまうからです。
EU離脱すると国境検問が復活し、同じ島内でEU加盟国と非加盟国が共存するという分断が生じてしまいます。
逆に、
離脱するとなると、今は治まっている北アイルランドのアイルランド統一派であるIRAがまたテロをやらかすのではないかという心配も現実にありました。

 

980846c9

ロンドンのシティは、世界的な金融センターで、恥ずかしながら今の英国はもう製造業で食ってはいません。
主要産業は金融業なのです。
ですからシティはヨーロッパの金融センターとして君臨するだけではなく、チャイナマネーを呼び込むのに熱心でした。
キャメロンのパンダハガーはここから生まれています。
というわけで、英国の銀行や金融業はおしなべて残留派でした。

ウェールズやイングランドで離脱派が勝ったのは、伝統的産業が没落し、不況に苦しむところに多くの移民が押し寄せたからです。

さてEUとひとことでいいますが、ふたつの要素があります。
ひとつは、ユーロという共通貨幣で、もう一つはシェンジェン条約です。
ユーロは、今までの個別主権国の貨幣を捨てて、ユーロという共通貨幣に移行するものでしたが、じつはこれで得したのはドイツだけ、他の諸国は盟主ドイツ好みの緊縮財政を強いられたあげく、独自の景気浮揚策が打てないという致命的欠陥が暴露されています。
エマニュエル・トッドなど皮肉たっぷりに「いまあるヨーロッパはドイツ的ヨーロッパだ」と言っているほどです。
ただし、英国はしぶといことにユーロには参加しませんでした。

今ひとつはシェンゲン協定です。
こちらは国境を自由に行き来できるとする規定で、どこかの加盟国に入獄できれば、あとはフリーパスで国境を超えられるという考えようによってはトンデモな条約です。
なにせ主権国が国境管理を捨ててしまうのですからシャレになりません。
これによってヨーロッパ域内に大量の難民が流入し、ISなどのテロリストも入り放題となってしまいました。

これに対しての国民の怒りは鬱積し、ついには残留派のキャメロンも無視できなくなって国民投票に踏み切るわけです。

Photo_20191214055001

https://kinyu1.com/post-1211/

離脱派の主張はこのようなものでした。

■EUの一員ではなく国家としてのイギリスの主権を取り戻したい!
■EUから貰えるお金よりEUへ出すお金の方が多くて損だ!(EU拠出金問題)
■移民の社会保障制度のフリーライドは許さん!
■EUの規制のせいで自国の企業が儲けられない!
https://kinyu1.com/post-1211/

このような離脱派の主張は、主に移民に仕事を奪われている低所得者層の国民や、不況で苦しんでいる地域に支持されました

今後ですが、これで英国は大陸とのしがらみから離脱することになりますが、そうことは単純ではありません。

というのはEU側は今までと同様の基準を守れる事を条件に、離脱を認めているからです。

「EU当局者は、英国がEUを離脱した翌日に、英国との関係に関する交渉を始める構えだと述べている。双方は、英国が労働や環境などに関してEUの基準の多くに従うことを条件に、「関税ゼロ、クオータ(割当枠)ゼロ」の協定を目指すことで合意している。
英国には、離脱協定をめぐる分裂を再現するようなトレードオフが生じる。現行の貿易パターンを壊さないようにするため、EUとの緊密な経済関係を望むのなら、英国は多くのEUの規則や規制を受け入れなくてはならない。その規則や規制内容に、英国はもはや関与できない。より離れた関係を望むのなら、現在行われている国境を挟んだ商業活動は混乱するだろうが、英国は経済をどう管理するかについて自分で選択できるようになる」(ウォールストリートジャーナル12月14日)
https://jp.wsj.com/articles/SB11405409923491164573304586075193891761366

ただし、ブリッセルの扉が閉ざされると同時に別の扉も開かれることになります。

「一方で、開かれるドアもある。EU加盟国としての束縛から解放され、英国は貿易協定の交渉を開始できるようになり、経済面で独自の規則を設ける余地が拡大する」(WSJ前掲)

これが米国や日本、アジアなどとの海洋国家間の新たな扉です。
かねてから英国はTPP加盟を打診してきていますから、実現の可能性があります。
またとうぜん安全保障においても、米国とファイブアイズ 、そして日本との共同が模索されることになるでしょう。

 

« オスプレイ不起訴は当然だ | トップページ | 日曜写真館 銀杏が散ると冬です »

コメント

たしかにコービンさんは、かなり変な人だったようですね。
でも、再度の国民投票なんぞやった日には、それこそ英国の民主主義に疑問符がつくし、国民は進まない政治にNOを言ったんでしょう。

これからの英国はかなりの困難も予想されますが、ジョンソン首相が言うように、これから英国はゴールデンエイジに差しかかるのだと思います。

香港政策も要注目です。
まず香港からの亡命者の受け入れをやり、マグ二ツキー法の適用まで考えているのでしょう。オランダにも同様の動きがもうあるし、EUが続くと理想のカタチになると思うのですが。

https://search.yahoo.co.jp/amp/s/www.bbc.com/japanese/amp/features-and-analysis-49917979%3Fusqp%3Dmq331AQOKAGYAfzS8LHYo_CClQE%253D
アイルランド関係はこのバックストップ削除の件でもまだまだ揉めそうですね。
来年末迄に主な取引相手国とどれだけETAが結べるのか…TPPは今のところ加入反対するような国は思い浮かびませんが、英国自身が本当に飛び込んでくるかどうかはまだ見えません。上手いことプライドをくすぐりながら招き入れる安倍外交の真骨頂を見せて欲しいものです。

米中貿易協議やEUブレグジット騒動を見ると、なんやら彼等ガイジン
達は日本人と違い、タフというか時間軸が長いというか争う事自体を
楽しんでいるというか、争議してる状態こそがフツーであって、安定し
た関係は逆に異常なんだという感覚のようです。ため息交じりに感心
しますわ。

日本人の感覚では、「争い」は大変に遺憾なことであって、可及的速
やかに「和」を持たなければならないと、そういう風に考えがちです。
国会の運営でもそうで、野党がボイコットしたら、それっ、チャンスだ
とばかりに即座に議案を決めてしまうくらいでないといけない。それで
強行採決だ!というのなら、民主主義の多数決の原則は糞同然です。

そうだからこそ、韓国などとの外交においても拙速に過ぎる「和」を求
めて自縄自縛みたいになり、フェイク新聞屋にエエように書かれたりし
てしまっています。彼等ガイジンを手本にして、日本も強面のタフネゴ
シエーターとなって「争い(非暴力の)上等!」を旨とするぐらいになって
欲しいです。

出来れば、第二次日英同盟を結んで欲しいですわ。(第一次)日英
同盟の時は主にロシアに対してでしたが、今度は中共に対して、日
米英の海洋国家で四方から囲めるのはナイスです。インドやオース
トラリアなどの旧英連邦も頼りになりそうだし。いつまでも続く第二次
世界大戦の敗戦国扱いからの脱皮も望めますし、今度は勝ち組に
なれるかも・・

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« オスプレイ不起訴は当然だ | トップページ | 日曜写真館 銀杏が散ると冬です »