人為的炭酸ガス説の怪しさ
炭酸ガスが地球を金星のようにくるんで、温室みたいにしてしまうというのが温室効果ガス説です。
さらにこの炭酸ガスが、工業化によるもので20世紀になって初めて登場した人類の脅威だとするのが、炭酸ガス人為説です。
ご承知のように、いまや疑うことを許さない絶対真理と化した存在です。
すこしでも疑うと、16の子供から「あたしたちの未来を殺すのか」「政治家たちを処刑の壁の前に立たせろ」とまで罵られることになります。
いきなり脱線しますが、今話題となっているグレタ嬢の発言ですが、こんなものです。
"We will make sure they, that we put them against the wall, and that they will have to do their job and to protect our futures. "
この"put them against the wall"は、ヨーロッパ社会ではアウシュビッツの処刑の壁の前に立たせろという意に解釈されます。
というか、それ以外に解釈のしようがないそうです。
アウシュビッツの処刑の壁 https://twitter.com/ynwataiga/status/1109082251248
グレタ嬢がこのトリノ処刑発言の後に、ドイツ鉄道で床に座らされたと書いて写真までツイートしたために、まるでいまでもユダヤ人の輸送もどきをしていると思われてしまったドイツ鉄道が、「いやお嬢様は、一貫して一等車にお乗りしでしたよ」と柔らかく反論したのです。
なんのことはない上のツイート写真はやらせらしく、じつは一等車にお乗りのようで、大西洋ヨット横断といい、いったい誰がこれを支払ったのでしょうか。
ま、いいか、話を戻します。
CO2が海洋や植物に吸い込まれることを、自然界の緩衝作用といいますが、いったいどのくらいの時間かかって吸い込まれているのかも大事なポイントです。
というのは、海洋や植物に吸収されるまでに長い時間がかかるのです。つまりですね、今この世界にあるCO2は、ただいま現在のものではなく、過去に由来して蓄積しているのです。
この蓄積期間にも説がいろいろとあるようですが、最短で5年間、長いもので200年間という学者もいるそうです。
このCO2が自然界に吸収されるまでの期間を、「滞留時間」と呼びますが、これを最短の5年間ととると、モロに人間の活動によるという証明となります。
一方、200年ととると、真逆に人間の活動とはなんの関係もないということになってしまいます。
では、5年~15年間の短期滞留期間説を取るとすれば、CO2が気温上昇の疑惑の真犯人扱いですから、思い出されるのが、CO2と気温上昇がパラレルで上昇するという、あのホッケースティック曲線です。
最大の地球温暖化の根拠とされた資料でした。ちなみにこれを採用したのは、マイケル・マンの盟友であり、クライメイトゲート事件の主役であるCRSのフィル・ジョーンズ教授です。
しかしあいにくと、このホッケースティック曲線には大きな誤りがありました。最大の誤りは、19世紀以前の気温をほぼ一定だとしてしまったことです。
これでは10C~14Cの中世温暖期は無視され、19世紀の小氷河期もなかったことになってしまいます。
実はそのことはいまやIPCCですら認めているのです。ただし小声で。
「だがIPCCの第5次評価報告書(2013年)の示した過去の温度のグラフでは、中世(1000年前後)の温度は、現在とあまり変わらない高さまで上がっている。(略)
政策決定者向け要約では(略)
In the Northern Hemisphere, 1983-2012 was likely the warmest 30-year period of the last 1400 years (medium confidence). Continental-scale surface temperature reconstructions show, with high confidence, multi-decadal periods during the Medieval Climate Anomaly (year 950 to 1250) that were in some regions as warm as in the late 20th century.訳 「北半球では、1983年から2012年の30年間は、過去1400年間で最も暖かかった可能性が高い」「幾つかの地域において、中世気候異常(950年から1250年)の内の数十年間は、20世紀末期と同じぐらい暖かかった(高い確信度)」となる。(略)
ホッケースティック曲線の発表の後、古気候を巡った論争が起きて、結局、IPCCはホッケースティック曲線の使用を止め、最新の第5次評価報告書では北半球において中世の温暖期(今のIPCCの言葉では中世気候異常と呼ばれているけれども)が存在したことが明記されている」(『中世は今ぐらい熱かった:IPCCの最新の知見』杉山大志IPCC第6次評価報告統括代表執筆者)
上図のIPCC(2007) 第4次評価報告書においてはホッケースティック曲線は消滅しています。
つまり20世紀に入って特異な気温上昇が見られたという説は、科学的信憑性が低いとIPCC自身が認めているということになります。
また上のグラフは、中世温暖期は地球規模で見ても、中世の温暖期は現在よりも暖かかったとする複数の温度再現研究結果をまとめたものです。
中国においても同様の中世温暖期があったことが記録に残っています。
また、このホッケースティック曲線が衝撃を与えた20世紀からの極端な気温上昇の中にも、下図のように1940年から1980年まで続いた「寒冷期」が存在します。
そういえば思い出しました。1970年当時の世界の気象学会はどんな警鐘を鳴らしていたのでしょうか。「来る小氷河期に備えよ!」でしたっけね(苦笑)。
そのわずか20年後に真逆ですか、まさに「君子ハ豹変ス」の見本ですな。
それはさておき、上の地球の気温変化グラフに、下図のCO2の排出量グラフを 重ねてみましょう。1940年~1980年にかけて、大気中のCO2濃度に低下が見られたのでしょうか、下図をご覧ください。
一目瞭然ですね。1940年のCO2排出量は50億トン弱、1980年には180億トン弱、つまり3.6倍になっているにもかかわらず、実際には寒冷期が来ているのです。
これをどのように、CO2の増大が地球の気温上昇につながったと整合性をもって説明するのでしょうか。
下は極地における氷床ボーリングによる二酸化炭素とメタンの資料ですが、左端の現代と2万3千年前を較べれば同じだとわかります。
さらには1万3千年、3万3千年前にも高い時代がみられます。
The Vostok Ice Core: Temperature, CO2 and CH4
http://euanmearns.com/the-vostok-ice-core-temperature-co2-and-ch4/
CO2は20世紀以前にも大量に存在しました。あたりまえです。突然20世紀になって登場したわけでもなんでもありません。
たとえば、日本の古代縄文期、古代ローマ時代、そして中世など、人類がこの地球上に現れてからもなんどとなくその増大をみました。現在のCO2濃度以上の時などザラなほどです。
ではCO2増大と気温上昇には相関関係があるのでしょうか?そう、確かにあるにはあります。
ただし、一般に流布されているように「CO2増大によって気温上昇が起きた」のではなく、その真逆のプロセスによって、ですが。
それでは次の図をご覧ください。
上図の破線がCO2です。実線が気温です。一見パラレルですが、よく見ると面白いことに気がつきませんか。そうです、CO2の増大は気温上昇した「後」に発現していることが分かります。
この現象はちょうどサイダーを温めるとブクブクと炭酸の泡が出てくるように、海水面の温度上昇により海水に含まれていたCO2が空気中に放出されるからです。
現在の気温ですとCO2放出が支配的ですが、0.6℃低下するとCO2濃度の上昇は止まるとの説もあります。
つけ加えれば、CO2は自然界からも放出されており、人間活動由来なのは、そのうちたかだか3%でしかないのです。
このように考えると、大気中の質量比0.054%にすぎないCO2が、その6倍もの0.330%の質量比をもち、5.3倍の温暖化効果をもつ水蒸気より温暖化効果があるというのは不自然ではないでしょうか。
なんらかの原因で地球が温暖化した結果、海水温が上昇し膨大な水蒸気が発生し、それに伴ってCO2も放出されたと考えるのが素直だと思われます。
また、そのCO2排出量のわずか3%ていどしか人間由来でないとすれば、人間活動由来のCO2「こそ」が地球温暖化の主犯であると決めつけるのは、あまりに飛躍がありすぎるように思えます。
私は人為的炭酸ガスが増大していることは事実だと考えていますし、それが温暖化の一因となっていることも確かだろうと考えています。
また歯止めのない工業化が自然環境を破壊していることも事実だと思っています。
さらに現在なにかしらの複合的原因で、地球温暖化が進行する時期に当たっていることも事実だとおもいます。
ここまではいわゆる地球環境派と一緒です。
ただしここからがちがうのですが、地球温暖化の原因とおもわれるのは、太陽黒点の変化などたぶん片手の指の数では足りないほど存在します。
そのうち黒点の変化説はこのようなものです。
太陽の黒点の数はガリレオの時代から観測されています。黒点数と地球の気候に相関があることは以前から知られていました。
黒点数はおよそ11年の周期で変動していますが、17世紀のマウンダ―期とよばれている時代にはほとんど黒点がありませんでした。
太陽黒点数の変動 「気候変動とエネルギー問題」深井有
この時期にはロンドンのテームズ河が冬に凍り、氷の上でスケートをする絵が残されています。19世紀初めにも黒点数の少ないダルトン期があり、それ以降現在まで黒点数は上昇傾向にあります。
黒点数の変動周期と地球の平均気温をプロットしたのが下図で、太陽黒点と地球気温は相関性を示しています。
黒点数と平均気温の相関 深井前掲
つまり太陽の黒点が減り、その周期が伸びると地球は寒くなり、その反対は暖かくなるのです。
しかしこの太陽黒点の変動だけでも説明しきれず、宇宙線による変動説(スヴェンスマーク説) や地球規模の海流の変化など諸説があります。
これらをバッサリ切って視野に入れない、議論すらさせないでは、あまりに非科学的というもんではありませんか。
にもかかわらずその原因を一面的に人為的炭酸ガスのみに求めていき、経済や社会生活に大きな打撃を与えかねない現在の信仰にも似た風潮には疑問をもたざるをえません。
現在のグリーンファンドなどは巨額な資金を運用しており、いまや世界経済にも影響を与えるまでになっています。彼らの野望とこの人為的炭酸ガス説は無縁とは考えにくいのです。
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私は元々天文マニアですので気温変化は太陽活動の変化が1番大きな原因だと思っています。なにしろ数百年レベルでは毎年のブレ幅が大きすぎます。
CO2濃度に関しても、もちろん最近のアマゾンの山火事のような森林破壊や砂漠化という要因も考慮すべきですし、工業どころか農業(中国のような化学肥料の使いすぎ)や酪農までが要因となり得ると思ってはいますが、
なんでもかんでも化石燃料使うのが悪い!
というのは・・・全くもって賛同できませんね。。
記事中にもあるように、70年代の環境や生物(食料問題)系の学者は「今は温暖期だが、いかに次の氷河期に備えるのか!?」がメインの議論してましたよね!
人口が増えすぎたから悪いんだと「人類1/8サイズ化計画」なんて、ヤック・デカルチャー!なことを本気で考えていました。。
投稿: 山形 | 2019年12月18日 (水) 06時57分
太陽黒点の変動とほとんど相関してると思います。普通の論理で考えれば、二酸化炭素説は詐欺のような作り話です。そんな漫画のような話で、つい最近までクリーンエネルギーの…を推進しようとしてましたよね。ウラン鉱石や原発関連利権者にとっては、スリーマイルやチェルノブイリのマイナスイメージを覆す企みがあったように思います。
太陽黒点の変動は、宇宙線の量にも相関してますが、マントルも活発化してますよ。江戸時代の小氷河期には、隅田川が氷結したり、地震が連動、火山が大噴火してます。
これは都市伝説ではなく、事実を調べれば分かると思います。
今後、数十年以内には、間違いなく南海トラフ地震や連動する活断層地震、火山の大噴火があります。富士山は300年ほど噴火してませんが、これまでの歴史の中では異例な状況です。
原発は軍事研究用や立地設備的に完璧なもの以外は、安全保障上の最大のリスクになると思います。
311で、もし風向きが内陸部にずっと吹いていたら、今のような議論にはならないと思いますが。
投稿: オイラー | 2019年12月18日 (水) 08時23分
put them against the wall発言、グレタさんは後に謝罪して取り下げましたが、母国スエーデン語では壁に立つのはそんな意味じゃなかったとか言い訳をくっつけてます。香港デモを支持するようなツイートもして、なんだか世界の疑いの目を避けるような、焦った風に感じるのは私だけでしょうか。
本題について、
>太陽黒点の変動だけでも説明しきれず、宇宙線による変動説(スヴェンスマーク説) や地球規模の海流の変化など諸説があります。
こういう本来の議論を押しのけて儲け話に終始したCOP。自傷しながら人間がCO2を減らしても減らさなくても、ツケを最も払うのは人間です。何故かこういう人達は地球が死ぬ死ぬと嘆くんですよね…。最近は人類が減って地球を救う方向に燃えている人もいますが。
アルゴア著の不都合な真実でずーっと情報更新が止まっている義父をどうやっても宗旨替えできない私の無力感といったらないです。。。
投稿: ふゆみ | 2019年12月18日 (水) 17時16分