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2019年12月 3日 (火)

ルトワックの朝鮮半島の4つの未来

 

042

エドワード・ルトワックが面白い見方をしているのでご紹介します。(hanada12月号)
彼にかかると、今の混沌とした朝鮮半島情勢を整理してみることができます。 

Photo_20191203045901

https://yutakarlson.blogspot.com/2018/11/e.html

まずルトワックは「朝鮮半島の未来」を4ツの象限に分けることから始めます。
2本の縦軸横軸を引きます。

・左右の軸・・・「核保有」と「非核(保有)」
・上下の軸・・・「統一朝鮮」と「分断朝鮮」

するとこのような分け方が可能です。

①北が核保有して統一
②北が非核化して統一
③北が核保有して分断
④北が非核化して分断

では現状はどうかといえば

・北のみが核保有している
・朝鮮半島は分断されている

では北がなぜ核保有をすすめるのでしょうか?
ルトワックはその理由を、「北朝鮮は核が中国からの自立と存続を保証している」からだ、としています。
したがって、このまま④のように朝鮮半島が分断されたまま非核化された場合、北は「中国に完全に取り込まれ、植民地になるだろう」と考えられます。

では逆に①のように核兵器を北が持ったまま統一されたらどうなるのでしょうか。
ルトワックは「日本は核武装した半島統一国家と対峙・直面する」ことになり、それは北一国よりも更に危険な敵性国家を誕生させてしまうことになると考えます。

逆に②の「非核化された統一朝鮮」というシナリオはどうでしょうか。
これは「米軍が韓国に駐留しないかぎり、統一朝鮮は中国に取り込まれる」ことになります。
なぜなら在韓米軍が撤退して力の真空が生じた場合、それを埋めるのは中国以外ないからです。
その場合、「朝鮮半島全体が中国の支配下に置かれたら、日本にとって大災厄になり、こめかみに銃をつきつけられた状態となる」でしょう。

朝鮮半島統一というのは、北が南に侵攻する可能性がなくなるということですから、DMZ(非武装地帯)はなくなり、在韓米軍の仮想敵国がなくなることですから、もういてもらう必要がなくなります。
すると
在韓米軍が消滅し、非核化された状態の「朝鮮半島統一」は、イコール中国圏への吸収だということになります。

日本の保守系のネット言論には、在韓米軍が撤退しようとすることをやんやの喝采で迎える風潮がありますが、それは大間違いです。
彼らは同時に北の非核化も支持していますから、つまりこれでは非核化+在韓米軍撤退=中国圏への吸収、という構図が成立してしまいます

それだけでは済みません。ルトワックは指摘していませんが、中国はロシアと戦後最良の関係を結んでいて、極東の軍事的連携を強めています。
すると、中国-統一朝鮮-ロシアという軍事同盟が作られる可能性が生まれます。
その場合、日本は南西方面からは中国、対馬側からは統一朝鮮、沿海州側からはロシアという三正面で対峙せねばならなくなります。
中国一国でも勝てる保証がないのに、その上に二つの核保有国がそれと同盟してしまった場合、もはや日本の運命は定まったようなものです。

話を戻します。
在韓米軍撤退という事態は、とりもなおさず韓国が米国の核の傘から抜けることを意味します。
では
、韓国はどこの核の傘に入るのでしょうか。

核の傘はいらないというローマ教皇の言っているような選択肢は無効とします。
いかに「核なき世界」を夢見ても、現代が核の均衡でなりたっている現実は変わらないからで、価値観の問題ではありません。
ですから現実に韓国が米軍撤退と朝鮮半島の非核化をセットで掲げる場合、次にどこの核の傘に入るかを選択せねばならなくなるのです。

世界の「核の傘」は基本的に2つしかありません。
核保有国はまだありますが、他国に核の傘を提供できるとなると米中の2国に限定されるからです。
ただし、韓国の場合もうひとつありそうです。それが北の核です。

そこで先の4つの象限を思い出してほしいのですが、米国の核の傘から抜けた場合、北の核の傘に入るのが最もスムーズでしょう。
多くの核兵器を持ち、多種多様な弾道ミサイルを保持する北は、韓国にとって憧れです。
北の核を「統一朝鮮の核」とすることができれば、これ以上いいことはない、これがムンの考えです。

では統一朝鮮はどの国と友好関係を結ぶのでしょうか。
同盟なしで自立した国をめざすという北の主体思想は、従属を続けた先祖に対する屈折した心理の産物でしかありません。
韓国にしても米国と喧嘩別れした状態でしか「統一朝鮮」は出来ませんから、自動的にその同盟の対象国は限られます。
いうまでもなく、それは中国です。

しかし中国は「核武装した統一朝鮮」を絶対に認めないでしょう。
そんなぶっそうなものを認めたら首都北京や、北方艦隊の根拠地青島、工業の中核都市天津が、「統一朝鮮」の核ミサイルの射程距離に入ってしまうからです。
統一朝鮮が国際的に承認されるためには、隣国であり常任理事国である中国の承認が必須ですから、「統一朝鮮」にとって核の存在は悩ましいこととなるでしょう。

ところでルトワックは韓国の行動の基本は、「従属相手を切り換える」点にあるとしています。
その時その時で、地域でもっとも強い相手に従属するのが、行動の基本パターンです。
かつては日本に従属し、その後には米国に従属し、そしていまは地域覇権国にして米国を凌ごうという野心を隠さない新興の中国に従属しようとしています。

ルトワックは日韓問題が外交では解消できない、韓国民族固有の心理的問題だとしています。
それは日本民族に対して「恨」を抱き続けているからで、一度も日本とまともに戦ったことがないというコンプレックスが原因だとしています。

ルトワックは、この韓国人の「恨」心理を、ドイツと戦った国と戦わなかった国の心理と重ね合わせています。
戦わずナチスドイツにむしろ「従僕のようにドイツに協力した」国、たとえばスウェーデン人オランダ人が「超がつくほどの反ドイツ感情を保持している」のと同じ心理構造だとしています。

戦後生まれの韓国人からすれば、かつて日本に従順だった父親や祖父の世代を「恥」だと思っていて、消し去りたい過去だと考えています。
この屈折心理が、日本とは交戦関係にあったという「1911年独立政府」というファンタジーを生み出したわけです。
ルトワックは、このような韓国人の屈折した心理は彼ら自身では解消できないので、日本による客観的な歴史研究を公的にするべきだとしています。

自分が代表をしてもいいとすら言っていますが、この部分は私は聞き流しました。
というのはかつてそのような試みは何度もされたからであり、ことごとく失敗しているからです。
いくらこちらがまともに資料を積み上げて、多方面から日韓の歴史を分析したとしても、かの国は聞く耳を一切持ちません。
ですからあの国は変わりません。百年たっても、千年たってもあのままだということを前提にして対応するしかないのです。

今日の韓国は、いやおうなしに李王朝の時代に逆戻りしようとしています。
李王朝とは、自立する国力を持たず、中華帝国の属国であることを自ら望んだ従属国家でした。
そして次に再現されるかもしれない「李王朝」もまた、中華帝国の辺境に位置する属国なのです。
ただし、その時に彼らが核を持つのか持たないのか、国際社会が持たせるのか持たせないのか、それによってもシナリオは変化していくことになるでしょう。

 

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コメント

いつも楽しく拝見しております。
アメリカが内向き政策に走る中、日本は自主独立へと舵を切るべきではないでしょうか。
アメリカの軍事力評価機関グローバルファイヤーパワーによれば、日本は世界8位の軍事力があるとのことで、これをもってすれば可能なのではないでしょうか。

「中国-統一朝鮮-ロシアという軍事同盟が作られる可能性が生まれます。」
これを考えると、韓国が米国と一応でも同盟を結んで米軍が駐留している状態が、現状では一番マシな状態なのだろうと思いました。
事あるごとにあのクソ鬱陶しい嫌がらせを続けられる我々としてはたまったものではありませんが、将来的にもし「中国-統一朝鮮-ロシアという最悪のグループ」に対峙する羽目になった暁には、今の状態を「あの頃のほうがまだ大分よかった」と思うに違いありません。

中国-統一朝鮮-ロシアの同盟が強固に続く可能性はとても低いのですが、低さをを理由に「自壊するからたいした事ない」とはならないと思います。
その間自衛に払うコストは人金物時間、どれにおいても莫大で、おそらく犠牲も出ます。
①爪先ちょこんとでもこっちに乗っけて裏切りを重ねる韓国
②レッドチーム側から杜撰な攻撃を仕掛けてくる韓国(杜撰さと内ゲバの為チャイナのコントロールも不完全)
①で今のように冷たく厳しく細かくやって内ゲバさせる方が得策です。
TKさんお書きの「今が一番マシ」に同意見です。
分断状態でボロボロになっている半島南部で草刈場としての価値を保つ体力が、韓国保守派に残っているのか疑問ですが…。

日本の自主独立、今の装備を十分メンテできて訓練用の実弾をケチケチさせて、弾の置き場が危険だとか騒いでいる状態ではあり得ないと思います。

いつも楽しく拝見しております。

> 中国一国でも勝てる保証がないのに、その上に二つの核保有国がそれと同盟してしまった場合、もはや日本の運命は定まったようなものです。

今まさに、似た状況にあるのが韓国です。
日本は大陸と海で隔てられている上、国力は世界屈指です。その日本の運命が定まったようなものならば、大陸と地続きで国力も中堅程度の韓国の運命は言を俟たないでしょう。

そう考えると、朝鮮半島が統一するかしないかに関わらず、中国-朝鮮-ロシアの軍事同盟に日本が包囲される可能性は高いと思います。

将来の日本を考えた時、第二次世界大戦が良い教訓となると思います。
当時の日本と中国は、軍事的には日本が優位でしたが、戦争に負けたのは日本です。
勝敗を分けた要因は、個々の国の軍事力ではなく、同盟の有用性でした。

よって、いかに同盟を構築するかが、日本の運命を左右すると思います。

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