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2019年12月 4日 (水)

香港人権法の本質と中国のしょぼい報復


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ホー、こんなもんか、これが中国が香港人権法に対してだしてきた「怒りの報復」についての私の感想です。
結論からいえば、たいへんにショボイ内容で、おいおいこのていどのカウンターしか出せないのかと、かえって心配になるほどです。

「中国外務省の華春瑩報道官は2日の記者会見で、米国で「香港人権民主法」が成立したことを受けた報復措置を発表した。米軍艦の香港寄港拒否や、米国の非政府組織(NGO)に制裁を科す。中国側は貿易協議の決裂を避けるため、米農産品の大量購入のとりやめといったトランプ米政権が強く反発する強硬措置はとらなかったとみられるが、米側の反応次第では米中関係が緊張するリスクもはらむ」(12月2日産経)
https://www.sankei.com/world/news/191202/wor1912020025-n1.html

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国は、他国の内政には厚顔無恥に口ばしを入れるくせに、こと自分の国のこととなると決まって言い出すのが、「中国の内政に対する干渉反対」ですが、今回もこのマジックワードを取り出した以上、もっとなにかやるのかと思っていました。
たとえば、締結間近だと見られていた米中経済戦争のチャブ台返していどはやると思っていました。

これが心配でトランプは香港人権法に署名するのを逡巡していたので、署名しても「尊敬する習近平閣下」なんて書いてしまって失笑を買っていました。
むしろ米国は好景気を背景にして強気で押しまくっています。

「ロス米商務長官は2日、中国との貿易交渉で15日までに合意できなければ「トランプ大統領は関税を引き上げると明確にしている」とけん制した。米政権は合意がなければ15日にほぼすべての中国製品に対象を広げる制裁関税「第4弾」の残りを発動する予定だ。関税の引き上げに改めて言及することで、中国に一段の譲歩を促した」(日経12月3日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52883920T01C19A2000000/

ここでヘタレては、もう米国の思うままに合意署名することになるのは決まったも同然です。
いかに今、中国経済が火の車なのか、自分から米国に教えてしまいました。

ちなみにまたまた中国が使った「内政干渉」という言いぐさは、国際社会ではまったく通用しない古い概念です。
たしかに、世界190カ国の主権は尊重されねばなりませんが、それは自ずと一定の縛りがあると考えられています。
というのは前世紀末まで各国の「主権」を重視する余り、ムチャクチャな国民に対する人権抑圧を国際社会が容認してしまい、国家による自国民大虐殺を招いたことが度々あったからです。

冷戦期は米ソ二大親分が世界を仕切って睨みを効かせていましたが、その終結と共にありとあらゆる災厄が吹き出してきました。
テロ、内乱、宗教紛争、民族浄化、人権抑圧などです。
その主犯は当該主権国家だからタチが悪い。

かつてのPKOは中立的存在として、武力衝突を仲裁し、平和を監視するという消極的立場で関わっていました。
そのために、PKO部隊の目の前で行われたのが大虐殺でした。
1990年代から始まるルアンダの80万~100万人、コンゴ民主共和国の540万人の犠牲者という途方もない犠牲者が積み上がっていったわけです。

PKO部隊は、「中立的立場による内政不干渉」を前提にしていました。
あくまでも武力行使、あるいは介入ではなく、文字通りピースキービング(平和維持)ですから仲介はしても、それ以上のことは禁じられていたのです。
ところが、
国民を保護すべき国家がまともに機能しておらず、国民を殺しまくっているのがその国の軍隊というケースが頻発します。
しかも常任理事国であるロシアや中国が自ら手を染めているケースも出ました。
ロシアはチェチェンで虐殺を続け、中国はウィグルやチベットで悪魔の所業を平然と行っていたのです。
これらの国が揃って言う台詞は決まって、「内政干渉をするな」、です。

ここでやっと国際社会は、この「内政干渉」という古い概念をなんとかしないと、住民保護もできないし、歴然とした人権侵害から当該国の国民の生命や人権を守れない、そう気がついたのです。
この考えは1993年、オーストリアのウィーンで開かれた世界人権会議で採択されたウィーン宣言および行動計画で、「すべての人権の伸長及び保護は国際社会の正当な関心事項である」と文書で国際的に確認され、定式化されました。
これが現代における「主権」に関しての国際法です。

つまり国際法は、香港における著しい人権侵害を看過せずに、なんらかの対処をすることを認めているのです。
ですから、米国議会が出した香港人権法はまったく国際法上瑕疵はありません。

さらにこの香港人権法にはもうひとつの隠し味が潜んでいます。
それが人権法第5条です。
Hong Kong Human Rights and Democracy Act of 2019

結論からいえば、この人権法は香港に対する輸出管理規制なのです。

香港人権法第5条(抄)

①香港で発生している合衆国輸出管理法・国連制裁に対する違反の性質や程度②可能な限り、香港から再輸出された品目、相手国、使途がどうなっているか
③米国法に基づく輸出管理上の転用可能物資が香港で積み替えられ、顔認証システムなど「中国における社会システム」に転用されているかどうか
④中国政府が香港の独立した税関システムという制度を悪用して、米国から中国への輸出禁止品を輸入していないかどうか
⑤香港政庁が国連制裁決議を適切に実施しているかどうか
⑥香港から次のような地域に物資が転送されることで、制裁決議違反がなされていないかどうか
・北朝鮮またはイラン
国際的なテロリズム、麻薬密売、大量破壊兵器拡散などに関与している地域
⑦香港政庁による輸出管理の欠陥に対し、香港の米国領事館、財務省、商務省、国務省の人員が対応しなければならないかどうか
 
※新宿会計士様サイトの和訳によりました。ありがとうございます。

一見して分かるとおり、この5条は香港が自由貿易港であることを使って、中国がやってきた大量破壊兵器の素材、部品、武器類などに対する輸出規制管理だとわかります。
2018年8月、米国は国防権限法(NDAA)を作ります。
ついで米国輸出管理改革法(ECRA)を登場させますが、これによって米国はいままでの輸出入管理ではカバーできなかった兵器転用技術や先端産業の部品、製造機械、関連技術、AIなどまで含んだ輸出管理規制措置が取れることになりました。

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日経https://www.nikkei.com/article/DGKKZO48390380Y9A80...

メディアは香港人権法が香港に与えていた特権を剥奪する可能性があると書いていますが、それが意味するのは米国が香港の輸出管理規制強化に乗り出すゾ、という意味なのです。
具体的には、香港の人権がおびやかされていることが調査の結果明らかになったら、今まで中国が香港を抜け穴にして北朝鮮やイランに拡散させていた兵器転用技術・部品・製造機械などをガッチリ規制しますよ、ということです。
米国がやる以上、ただの人権擁護に止まらず、国益に沿った中国への痛烈なひと刺しだとおわかりになるでしょう。

では話を冒頭に戻しましょう。
結局、冒頭にもふれましたが、
中国側が報復処置は香港への軍艦の寄港拒否やNGOへの制裁です。

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CNNhttps://www.cnn.co.jp/world/35146265.html

米艦艇はいまでも香港に寄港するのは年に2回ていどですから、痛くもかゆくもありません。
そもそも、この「報復」以前の
8月にも中国は米軍艦の香港寄港を拒否していますから、いまさらナニ言ってんのか、です。

ただし、これで中国は改めて「航行の自由」を脅かす措置をとった国にリストアップされることになりました。
「航行の自由」は、南シナ海での同名の作戦があるように、海洋国家米国にとって、自由貿易を守るための重要な概念です。
これをはっきりと
が明文化して自由貿易港を特定の対象に対して閉鎖するわけですから、米国に格好の批判材料を与えてしまいました。

更に今後、香港人権法が適用された場合(たぶんそうなるでしょうが)、米国の商船なども対象に加わる可能性があります。
そうした場合、
西側社会にとっては共産圏への入り口、中国にとっては西側自由主義社会への玄関だった香港の自由貿易は事実上終わります。

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https://www.bbc.com/zhongwen/simp/chinese-news-489...

また人権NGOや言論NGOに対して制裁をかけてしまうことは、モロに悪手です。
こんなことをすれば、自由主義国に見られたくないものが多くあると自白しているようなもので、いかに中国の人権状況が劣悪なのかを自分で証明してしまいました。
これは言論NGOの後ろ楯である民主党に戦争をしかけたも同然です。

このように香港人権法は、共和党系の国防権限法と民主党系の人権というふたつの側面を融合させたものでした。
それ故に、米国議会は全会一致で高速通過させたのです。

とまれあらゆる意味でこの中国の「報復」はヘタレの上に悪手です。

 

※タイトルを書き間違えました。すいません。

 

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コメント

 デモや勇武派のような過激な運動を押さえ込みたい 中共政府は、ここでも判断ミスをやっているのだろうと思います。

CIAの策動とかがあって、人権団体を通じたデモ側への資金提供を米国がやっていて、それを絶つ事が効果的という誤解をしてます。

香港人の不満の中心は「民主主義の危機」というのもありますが、その多くは中国から流入して来る新香港人との所得格差や差別待遇こそが根本でしょう。
だからこそデモは収まらないし、命がけで抵抗する若者が後を絶つ事はないのだと思います。

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