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2019年12月 2日 (月)

正恩の恫喝は何に対してだろう


B

北朝鮮がまた弾道ミサイルを発射しました。いうまでもなく国連決議違反です。
日本は当然これを非難しましたが、北の言い分が罵倒の美学となっています。

「これを受けて朝鮮中央通信は30日、安倍首相が「遠からず、本当の弾道ミサイルがどういうものか、間近で見ることになる」と警告する政府談話を伝えた。
朝鮮中央通信はさらに、安倍首相を「完全な馬鹿者で、政治的小物」と呼び、「写真つき報道を見ておきながら、ロケット連射システムとミサイルの区別もつかない、史上最も愚かな男、世界唯一のまぬけだ」と罵倒した」(BBC11月30日)

なぁに言ってんだか。

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BBC https://www.bbc.com/japanese/50615720

北が口汚く罵倒してくれたので、アベガーまでもが、いやあれは大型ロケット弾だ、アベはバカだ、マヌケだと言い始めたのには失笑しました。
ロケットとミサイルの違いは一般的にこのように定義されています。

「ロケットとは、搭載した燃料と酸化剤を燃焼させて後方にガスを噴射することによって推進力を得る装置や、装置を搭載した機体のことです。
一方ミサイルとは、推進装置と誘導装置を持つ軍事兵器を指すことが多く、日本語では「誘導弾」や「誘導飛翔体」「誘導ミサイル」などとも呼ばれます」
https://lowch.com/archives/9159

ね、つまり誘導装置の有無がこの両者を分ける点なのです。
JSF氏によれば、今回の自称「超大型ロケット弾」は、先端に誘導装置がついているのが確認できます。

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誘導装置 https://twitter.com/rockfish31

発射装置は移動式発射装置(TEL)ですが、斜めに撃っても垂直に撃ってもミサイルはミサイルです。
今回のように一本が6t(推定)もあって、しかも先端部分には誘導装置までついていたらリッパな弾道ミサイルで、わが国だけではなく英独仏も同じ意見です。

「日本政府が超大型ロケット弾を弾道ミサイル扱いしているのは、単純に大きさと性能が短距離弾道ミサイルと同等以上だからです。並みの短距離弾道ミサイルの数倍の大きさを持つ以上、例え形状が典型的なロケット弾のスタイルであっても弾道ミサイル呼ばわりして全く構わないという判断です。なお日本以外では英独仏なども超大型ロケット弾を弾道ミサイル扱いにして北朝鮮の発射は国連安保理決議違反であると非難しています」(JSF 12月1日))
https://news.yahoo.co.jp/byline/obiekt/20191201-00153142/

罵倒用語の宝庫であるコリアらしく、うちの国の首相をつかまえて「完全なバカ」とか「政治的小物」とか言っていますが、ジィ様を呼ぶ時に「鋼鉄の霊将」とつけねばならなかったように一種の枕詞みたいなもんですから無視しましょう。
むしろこういう表現に飛びついて膝を打ってしまう日本のヒダリのほうが「完全なバカ」です。

それはさておき、なぜこの時期にという疑問がわいてきます。
いくつか理由が考えられます。
まず考えられることは、米国に対する苛立ちです。
トランプに対して、「今年末までにいい回答だせよ、さもねぇとコワイぞ」と弱者の恫喝をした期限がそこに来ています。

先だっての10月初めストックホルムで米朝が実務者会談をしました。

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この実務者会談で米国は、従来のボルトン路線から軟化し、朝鮮戦争の終戦宣言、連絡事務所設置し、寧辺核施設を廃棄し、ウラン濃縮活動を中断すれば経済制裁を緩和してもよいと提案したようです。 (※内容については異説もあります)
私はよくここまで折れたな、やり方次第ではまずいな、と思ったような内容です。

ところが北はなんとこの米国提案を一蹴するのですな。
あくまでも先に
制裁を撤回しろ、さもなくば核交渉はできないという立場にしがみついています。
交渉担当官の
金明吉巡回大使に言わせると、「米国が対朝鮮敵視政策を撤回するための根本的な解決策を提示せず、情勢変化によって一瞬で反故になり得る終戦宣言や連絡事務所開設のような副次的な問題を持って我々を協議へ誘導できると打算するなら、問題解決はいつになっても見込みがない」ということのようで、はぁーとため息が出ます。

平和条約や連絡事務所が副次的ねぇ。朝鮮戦争集結宣言を出せば、次は国連軍解体・在韓米軍撤退を含んだ外国軍の去就の問題となるのは分かりきっているはずで、平和条約が出来上がってしまえば「連絡事務所」は大使館に格上げになりますから、決して北にとって悪い話じゃないはずですが。

米国が平和条約まで締結し国交を結んだら「一瞬で反故」になどしませんって。
自分がいままで約束を「一瞬で反故」にしまくってきたので、相手国もそうだと思っているだけです。
むしろ北からすれば、ここでへんに依怙地にならずに、平和条約の中身を詰めて在韓米軍撤収をなんらかの形で盛り込ませれば政治的勝利だと思うんですがね。
今のトランプなら、米国に届く長距離核の廃棄と核施設の一定の廃棄ていどのことで非核化したと認めますから、ここで制裁解除に固執すれば元も子もなくなると思うんですが、まぁ余計なお世話か。

しかし北はこの「悪くない話」までなにがなんでも制裁解除が先だ、とハードルを上げる始末ですから、逆にいえばよほどお困りのようです。
これだけ騒ぐのは、終戦宣言→平和条約→連絡事務所→大使館設置・国交回復という正常な手順を踏むだけの余裕が、今の北にはないのです。
というのは、
おそらくこの年末には、いろいろな意味でのタイムリミットが重なるからです。
北に持ち時間が限られてきたから、せっかちにミサイルをぶっ放し、直接に関係のない安倍氏を罵ってみせているのではないでしょうか。

ひとつには食糧事情の深刻化です。下の写真は北朝鮮黄海南道の子ども病院で、診察を受ける激しい栄養失調状態の子どもたちです。

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「実は近年、深刻な食料危機に陥り、国連の関係機関が世界に緊急支援を要請する事態に陥っている。 
在平壌のロシア大使館は4日、フェイスブックを通じ、ロシアによる人道支援食料約2000トンを積んだ貨物船が北朝鮮北東部清津の港に到着、先週週末に一部の荷降ろしが行われたことを明らかにした。貨物船は今後、同じ北東部の興南にも寄港し支援食料の積み降ろしを行う予定。 

北朝鮮に食料支援を行ってきた国連世界食糧計画(WFP、本部ローマ)の事業の一環で、食料は主に小麦。クッキーや混合食料に加工され子どもや妊婦向けに提供されるという」(デイリーNK2019年3月5日 太田清 写真も同じ)
https://dailynk.jp/archives/121833

また国連FAOによれば、干ばつや洪水で農業が壊滅状態なようで、食糧自給力はとうに破綻しているようです。

「国連食糧農業機関(FAO、本部同)が2月に発表した最新報告によると、北朝鮮では過去6年間、記録的な干ばつや洪水などの自然災害に加え、耕作地不足、近代的な農業設備や肥料の欠乏により食料危機が深刻化。毎年100万トン以上の穀物が不足するなど慢性的な食料不足が続いている。 
 FAOは、同国では現在、人口の43パーセントに当たる1090万人が食料不足に陥る可能性があるほか、5人に1人の子どもが「驚くべき」慢性的な栄養不良状態にあると指摘。日本も含むFAO加盟国に1000万ドル(約11億円)の緊急支援を求めている」(前掲)

北は基本的に国民がいかに飢えようと知ったことかという国柄ですが、冬から来年5月まで食糧底をつく「春窮」が約半年つづくわけですが、これを乗り切れるかどうかは、経済制裁解除一つにかかっているということです。

次に北朝鮮の財政はほぼカラッポです。
というのはちょうど
2年前、北はICBMと見られる火星15号を発射した報いで2017年9月と12月に国連安保理において対北追加制裁決議を受けました。
この賛成国には中露が入っていますが、内容的には下図にあるとおりです。

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日経

この制裁の中に「北出稼ぎ労働者の禁止」という一項があり、そこには「国外で働く北朝鮮労働者を2年以内に送還せよ」との趣旨が盛り込まれています。
国外で働く北朝鮮の労働者は、約10万人、年間数百億円の外貨を北朝鮮に送金していると見られています。
いまは石炭などの輸出も止められ、外国に売るものがなくなった北にとって唯一の外貨獲得源がこの北の出稼ぎ労働者なのです。
この出稼ぎ労働者を飢餓輸出して、上前をピンハネして北は核兵器や弾道ミサイルを作っているわけです。

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北朝鮮の隠された奴隷たち BBCパノラマ

「国連のマルズキ・ダルスマン北朝鮮人権状況特別報告者は28日までに、北朝鮮当局が海外に派遣している出稼ぎ労働者の実態などをまとめた報告書を公表した。
派遣国数は17カ国前後に上り、本国に送金された額は年間あたり12億~23億ドル(約1440億~2760億円)とみられると指摘した。 同報告書によれば、出稼ぎ労働者の総数は少なくとも5万人。派遣国はロシアやポーランドに加え、中国、モンゴル、ミャンマーなどアジア地域、アルジェリアやクウェート、リビア、ナイジェリアなど中東・アフリカ地域。
 労働者は鉱山地帯や森林伐採場、裁縫工場、建設現場などで長時間労働を強いられ、月額給与は120~150ドルに抑えられ、その大半を北朝鮮当局に送金しているという。
 労働者の旅券は現地で北朝鮮政府関係者によって没収され、職務に就いている期間中は母国への帰国が禁止されている。健康・安全面の対策についても不十分という」(産経2015年10月30日)
https://www.sankei.com/world/news/151029/wor1510290035-n1.html

この出稼ぎが最も多く働いているのが中国です。
今でも遼寧省などの工場や、ロシアでの森林伐採、あるいは朝鮮料理店では女性が外貨獲得に貢献していますが、これらは追加制裁から2年、つまり今年12月22日までに本国に送還させねばなりません。

今年6月に正恩は訪中していますが、おそらくこの時に習に泣きついたとはおもいますが、習がなんと答えたのかはわかりません。
おそらくあたりのいいことを言ったと思われますが、だとすると中国は米国に対して制裁対象をまたひとつ加えることになりかねません。
その結果、米中妥結は更に遠のき、習は民主派が勝利した香港、民族浄化を暴露されたウィグル、スパイが亡命したオーストラリア、そして自立派が勝利しそうな台湾総統選、そのうえにこの北朝鮮問題まで頭痛の種を抱え込むことになります。

いずれにしても、日本はこの短距離弾道ミサイルでいかに北から口汚く罵られようと、わが国には無関係です。

 

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コメント

日本初の人工衛星(1970年)を打ち上げる際、当時は強大だった野党社会党の「軍事技術だ!」という突き上げを避けるためにいわゆる「誘導システム」を使わずに「重力ターン方式」なんていう面倒なことをアクロバティックにやって見せて「おおすみ」を軌道投入したのが半世紀前ですね。
まあ、ある程度の軌道調整は色々あるってことですよ。
ロケットかミサイルか?「有線誘導ロケット弾」なんてのもポピュラーですしね。
議論すること自体が全く馬鹿馬鹿しい。いつの話なんだか。北朝鮮って何がしたいのやら全く分かりませんね。

まあ、当時の社会党ってのは凄いもんで、やっと単価で黒字化したYS-11プロジェクトを潰してくれたり、
先日引退したF-4EJファントム導入でも「空中給油受油口」を塞がせて、爆撃コンピュータを外したり。
どんだけ無茶苦茶行って国益潰したんだよ!と。
のちの民主党が同じでしたけどね。で、マスコミも同調しやがる構図。

ここに入れるつもりが、昨日のところにいってしまいました。ま、どーでまいいっちゃいいはなしですが。(まぬけだあ)

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