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2019年12月19日 (木)

ツバルは沈んでいるか?

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この記事は2008年9月に書かれたものを原型として加筆修正しております。
おもえば、これは私の温暖化懐疑論シリーズ最初のものでした。
いまでもそうですが、当時保守論陣はこのテーマに総じて無関心だったことを記憶しています。
地球環境テーマというのが、いかに対抗軸をつくりにくい性格なのかわかります。

それから10年。
いささかも状況はかわらないどころか、いっそう深刻になっています。
これを書いた時はただの「大予言」の類でしたが、いまや世界の経済に打撃を与えるモンスターへと「進化」してしまいました。
しかし、ここまでなっても日本においての反撃は微々たるものです。
昨今でもグレタがどうしたのこうしたのという現象レベルに終始し、腰を据えた検証作業は遅々として進んでいません。
そんな風潮に一石を投じるべく過去記事を再録した次第です。

 

人為的炭酸ガス温暖化論者はこう言います。どこかで必ずお聞きになったはずです。

ツバルは先進工業国のCO2排出のためにおきた海面上昇で沈没の危機にある。
海水面上昇によってバングラディシュは国土が沈み、東京もまたほとんど全域が沈没する。
オランダの国土は温暖化により55%が既に海抜ゼロになっている。
北極は後退し続け、そこに住むホッキョクグマは絶滅寸前の危機に瀕している。
ヒマラヤの氷河は2035年までに消滅し、キリマンジェロの冠雪は毎年溶けている。
アマゾンの熱帯雨林はこのままだと40%消滅し、アフリカの農業も生産は20年後に半減する、いわく、北米大陸を襲う巨大ハリケーンは温暖化が原因である。

・・・・そのほか黙示録的災厄の情報が山ほどお茶の間に届けられました。

朝日新聞は例のしたり顔で「科学者がこれほど強いメッセージを国際政治に送ったことがあろうか」(2007年11月24日)とまで激賞し、IPCCの第4次評価報告書はノーベル平和賞まで受賞しました。

ところがIPCCはその「予言」のうちアマゾンの熱帯雨林、アフリカの農業生産、ヒマラヤの氷河後退、そしてオランダの沈下について自ら、「科学的根拠はなかった」、「ミスだった」と認めています。
残りの北極における氷河後退、ホッキョクグマの絶滅危惧、ツバルの沈下、キリマンジェロの冠雪後退などに関しても、現地で観測する科学者たちから異論が多数出ており、撤回する日は遠くないでしょう。

地球温暖化説を唱えるIPCCは、北極やヒマラヤの氷河が溶けているだけではパンチに欠けると思ったのか、既に海水面上昇で南太平洋の島々が沈下して住めなくなっている、難民が沢山でるぞと叫びました。
この話は、やがてオランダは水没,東京も半分水没、バングラディシュ水没と、どんどんと尾ひれ、腹ビレ、背ヒレがついて膨らんでいきます。

その最初の人間の住む地域の水没の例としてIPCCが訴えたのが、「沈み行くツバル」でした。
いつの間にかツバルは、地球温暖化の悲劇のシンボルになっていたわけです。環境省はHPで大きくツバルが載せています。
環境庁HP 「進行する地球温暖化」http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h19/html/hj07010100.html

そこにはこのような記述があります。

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「IPCC第4次評価報告書第1作業部会報告書によれば、20世紀を通じた海面水位上昇量は約0.17(0.12~0.22)mとされています。熱による海水の膨張や氷床の融解が主な原因として指摘されています。
南太平洋諸国では、既に多くの海岸沿いの地域が海岸侵食・水没の危機に瀕しています。
ツバルは、南緯5~10度に点在する9つのサンゴ礁から成る面積わずか26km2の島嶼国で、約1万人の国民の半分が首都フナフティに住んでいます。
フナフティのある平均標高1.5m以下のフォンガファレ島では、近年、潮位が高くなる1~3月に、浸水被害が激しくなっていると言われます。海岸線に並ぶヤシの木の一部は、海に投げ出されるように倒れています」

ではほんとうに温暖化による海水面上昇によってツバルは沈んでいるのか、具体的に見ていきましょう。
結論から言いましょう。していません。
上がったのは海面ではなく、逆にツバルが珊瑚礁の圧壊で沈んだのです。

Photo

SPSLCMP(South Pacific Sea Level and Climate Monitoring Project)

まずは上図のオーストラリア政府SPSLCMP(South Pacific Sea Level and Climate Monitoring Project)のデーターをご覧頂きたいのですが、ツバルでは1mどころかわずか75㎜の海水面上昇しか計測されていません。
この記録は、ツバル近海のフナフチ環礁で1993年5月から2006年5月までの13年間の記録の累積の総計です。

つまり表の右から2番目のトレンド(傾向)の毎年の観測数値を13年間分足してみると75㎜となったというわけです。
1年間に75㎜だとすると、確かに危険な数字ですが、あくまでも13年間の総計です。1年にすると1㎝にも満たないわけです。
ですから、このデーターの見出しの書き方は、やや誤った印象を私たちに与えてしまいますので、ご注意のほどを。くどいですが13年間のトータルの数字です。

もうひとつグラフを出しましょう。オーストラリア気象庁の公表データがあります。これは1993年からツバルの首都フナフチを測ってきた16年間のデータです。

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どう見ても横ばいです。これを見てどうしてツバル周辺海域で海水面上昇が発生したといえるのでしょうか。 

次に3枚目にハワイ大学の観測記録を載せておきましょう。
これも1977年から99年までの23年間の計測データですが、上昇は0.9㎜で1㎝にも満たない数値です

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科学の世界では、複数の公的機関が10年以上の長期で継続して計測したデータが、一致して同じ結論を出した場合にはそれを有意として扱います。

ところでTuvaluを英文で検索するといくつかの英文の論文にヒットしますが、その中でサリー・バリューナス博士の「ツバルは沈んでいるのか?」という論文をご紹介します。 
Tuvalu Really Sinking?: Man-Made Problems, Sallie Baliunas and Willie Soon, Pacific Magazine, February, 2002

この論文はふたつに分けられ、前半でツバルの海水面のデーターを見ています。そして後半はその原因を考えています。博士は、ポセイドン観測衛星の記録から海水面は約10㎝落ちていると報告しています。 
また1978年以来の潮位記録から、1997年~98年のエルニーニョ(4年に一回発生します)には約30㎝も潮位が落ちているそうです。 

このようにエルニーニョは、太平洋を取りまく島々の海流や気圧に大きな影響を与えている最大のものです。  
また博士は、オーストラリアの潮位観測の責任者であるウオルフガンシェーファーさんの意見も取り上げています。
この中でシェファーさんは「海水面の上昇があるという観測データーはどこにもない」と断言しています。
 

このように見てくると、どう考えても13年間で最大58㎜、最小で0.9㎜ていどの海面上昇でひとつの島の沈下が引き起こされると 考えるほうが無理があります。 
1㎝にも満たない海面上昇で、いかに海抜1mのツバルといえど果たして海に沈むでしょうか?
考えるまでもなく、ありえません。

ツバル沈降の主要な原因は隆起珊瑚礁の浸食です。
これは沖縄にも見られる現象で、沖縄の八重山の先島に行くと、隆起珊瑚礁が少しずつ削られていくのが目でみえる地点がいくつかあります。
これは別に隆起珊瑚礁のみならず、海岸淵の岩場に行ってみれば同じような浸食が見られます。
海の潮位が上がったのではなく、逆に島が沈んだのです。
こういう浸食地点を図れば、年間70㎜ていどの浸食などザラでしょう。

ツバル沈降の原因について、大阪学院大学教授で、太平洋諸島地域研究所理事の小林泉先生は以下のように指摘しています。このミクロネシアを知悉した小林先生のご意見は、私にもしごく妥当かと思われます。

①日本より稠密な人口密度が、狭いツバルの、しかももろい隆起珊瑚礁を圧壊している。
②アメリカ型の生活スタイルの定着によりペットボトルなどのゴミの散乱など島の環境破壊が進んでいる。
③滑走路の水没は、かつての米軍のいいかげんな工事のためである。

また、この調査をしたSPSLCMPのプロジェクト・マネージャーのフョリップ・ハル氏は、このような海水面上昇は10年ではまだ短く、20年以上といった長期の観測が必要であると語っています。

また、原因として、エルニーニョなどの異常気象を挙げています。
2002年のオーストラリア政府の発表によると、1978年~2001年の期間に、ハワイ大学とAustralian National Tidal Facility (NTF)の共同研究では、データーの欠損を認めつつ、ツバルの首都フナフチ環礁での海面上昇は約1㎜程度であり、危惧する必要はないという意見を出しています。

沈下面積が増えるツバルの皆さんには大変に言いづらいことですが、公平に見て、島民の苦難とは別に、その原因は地球温暖化にはないと思わざるを得ません。

なぜこんなばかなことが起きたのでしょうか。それについて海水面研究の世界的権威であるストックホルム大学メルネル教授はこう言っています。

「第3次、第4次IPCC報告書には海水面上昇の専門家がひとりもいなかった。報告書を書いたのは、現地の観測者ではなく、ただのコンピュータ計算屋があらかじめ決まった南太平洋諸島水没モデルにあわせてモデルを作っただけだ」

なんのことはない、その原因は、IPCCがもったいぶって出した報告書づくりの過程で、ツバル現地で計測していた人間はおろか海水面の研究者がひとりもいなかったからです。
まったくひどい話です。
このような現場で長年観測をしてきた科学者の知見を無視して、コンピュータのモデル計算だけで済ますという悪しき体質がIPCCの気象屋にはあるようです。
そのために、局地観測者や海洋観測者の中はIPCCに強い不信感を持っている人が多いようです。

たとえば、オーロラ観測の第一人者であるアラスカ大学赤祖父俊一教授や海水面研究の第一人者ストックホルム大学メルネル教授は共に、地球温暖化説の強い批判者です。

IPCCはほんとうにツバルで観測したのではなく、世界の海水面の推定平均上昇0.17mをツバルの標高から引いて騒いできたのです。
IPCCが描いた初めに結論ありきのデマゴギー、それがツバル水没危機の正体です。

実はIPCCはいまさら引っ込みがつかないのです。
彼らは、多くの科学者の批判を受けて第4次評価報告であげた事例の多くを修正し続けてきましたが、もはやこの説は科学とは無関係に一人歩きしてCOPなどという国際的枠組みまで作られてしまいました。
IPCCからすれば、いまさらいやーあれはプロパガンダでした、まちがいだらけでしたから取り下げさせて下さい、とは言えないのでしょうが、よく科学者としての良心が痛まないものです。

 

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コメント

 昨年の6月23日に東大安田講堂で行われた「温暖化で沈む環礁国のディレンマ」 茅根 創 理学系研究科教授の講演で、
①元々の住民は住まない不敵な土地にも、人口増加により人が住むようになったこと
②トイレの浄化槽の多くが意図的な欠陥品で、有機物が大量に海に流出しているためにサンゴ礁が死滅した場所が増えていること
がツバルの危機の主因であるとおっしゃっていました。教授は、公的調査団の責任者だったそうです。

不敵⇒不適でした

上記の講演は以下のサイトで公開されております。
https://www.u-tokyo.ac.jp/publiclectures/127.html

IPCCの怪しい報告書、海面の専門家がいないのは論外ですし、コンピュータでも「気温上昇のシミュレーション」ではなく「島が海没するモデルに合わせた計算」って・・・
それってただの捏造ですよね。。

管理人様、先日の故中村氏記事でのよもぎねこ氏在特会疑惑?への返信に気が付かず失礼しました。

炭酸ガスによる地球温暖化について個人的に全くのデマとまでは思いませんが、かなり大袈裟に言われてると考えてます。

実家関連で大分(日田杉は有名)の林業関係者と話しますが、安い輸入木材に押され山林(要は材木畑)の管理が疎かになり林業関係者の高齢化と共に山林の保水力が衰えて行く、一例としての一昨年の福岡県朝倉水害。

川の側の堤防の横など元々水はけ悪く蓮根畑(要は遊水地)だったが宅地として造成され、梅雨や台風の時期年中行事のように水に浸かる、多分地価安かった模様だがそもそも人が住む所なのか?
尚、実家は暴れ川筑後川(筑紫次郎)の近く、利根川は坂東太郎(お兄様?)と言われてますが、流域は似たような状況でしょうか?

上記の件は地球温暖化云々以前の国土開発の誤りと考えてますが、特に大都市で生まれ育った方は全て温暖化による異常気象と考えてる感有り、地方(農村)出身者としては都会人?の感覚に違和感感じてます。

人為的炭酸ガスが諸悪の原因であるならば、その根本的解決策は、全ての産油国は直ちに石油の採掘を止める、量の多寡にかかわらず全ての炭酸ガス排出国と地域は少子化を奨励して世界人口を減らし、地球上の人類は貧乏質素に暮らしながら、必要なエネルギーを人為的炭酸ガス排出無しに得るシステムをつくりあげる、ということになる。
なぜそこまでカバーする議論はないのだろう?
人為的炭酸ガスが地球温暖化・海面上昇の「 原因のひとつ 」ではあるかもしれないが、「原因の全て、または主たるものである」とするのは仮説に過ぎず、従って他の仮説にも注目すべきだが、なぜ他の説は取り上げられないのだろう?
黒点の数だけでなく、太陽の磁気活動と気温の相関関係に着目した仮説もあるし、気温を決める最大要因は雲の量、雲の量を決める要因は宇宙線量、宇宙線量に干渉するのは地球磁場という説もある。
https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2019_06_28_01.html

岩手県二戸地域の前期中新世最後期とされる地層からはマングローブのメヒルギ属の花粉化石が見つかり、それについての検討から、当時の二戸地域の1月の平均気温は現在より約11℃またはそれ以上高かったと推定されている。
1600万年くらい前だから当然ヒトはまだいない。
ヒトがいようがいまいが、ヒトが何かをしようがしまいが、地球の気温は変動している。
なぜそこは考え合わせないのか。
海水面の高さが水温によっても変わるのはもちろんだが、陸地が沈む原因に浸食や地盤沈下要素を考え合わせないのはなぜなのか。

今の時代調べれば見つかる「見ておいたほうがいいこと」の数々を、口うるさい人たちはなぜこうも見落とすのか。
不思議だなあ(棒読み

その昔、遺跡の類についての本などを読んでいる時に、「縄文海進」
というのを知りました。縄文時代の日本の貝塚は、現在の日本の海岸
線よりずっと内陸部に点在しています。そばには縄文人の住居の跡が
ありますし、海の幸を採って生活していた民が、わざわざゴミを山の方
に捨てに(貝塚)行くのは考えにくいので、縄文の海の民が暮らしていた
汀は、現在よりずっと奥に入り込んでいたのです。

今から約6000年前の海進のピークには、日本の海面はは5・6mほど高
かったというので、こりゃ、結構アブナイ高さで、現在騒いでいる地球
温暖化など可愛いベイビ-ですわ。原因はやっぱり諸説あって特定
出来ていないようで、太陽活動の隆盛とか、地磁気の変動だとかが、
言われているそうです。しかし、縄文人を含む世界の人類の数が増え
て、より多くの焚き木をするようになったのが主因だ、とは言われてい
ません。

私は、やっぱり温暖化がコワイですわ。海面が5・6mも上がると私の家
は、マジ海底に沈みますので。しかし、原因を曖昧にしたまま結論を出
して突き進むのは、まったく的ハズレに終わる可能性が高いです。もし、
CO2の削減の為に大きな犠牲(金持ちは中流に、貧乏人は乞食同然に)
を払ったあかつきに、結局、海面が10m上がりました!ではシャレにな
りませんわ。

まず、海面変動の調査に、カネと労力を惜しまずブチ込んで欲しい。
でないと、なんやら政治利用されたり、知恵のまわる商人が丸儲けす
るだけだったりしそうです。

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