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2019年12月12日 (木)

バランスシートで見る米韓同盟の崩壊

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トランプが韓国には5倍の駐留経費負担を要求しています。

トランプに言わせれば、同盟が双務的ではないということですが、果たしてどうでしょうか。
政策提言シンクタンクの笹川平和財団が、先だっての10月に「日米同盟は不公平か?」と題したパネル講演会を開きました。
ここには米国となんらかの形で同盟を結んでいる
アジアと欧州の6カ国・地域の対米同盟を比較した結果が報告されています。
興味深いのは、これをバランスシート形式でまとめたことです。

「2018年度、笹川平和財団安全保障研究グループでは、ポーランドの「カシミール・プラスキー財団」との協力により「同盟国のバランスシート」事業を行い、アジアと欧州における同盟国6か国の米国との関係における強みと弱みを分析した「比較論文」と、それを反映した「バランスシート」を作成した」
(パネル講演会「日米同盟は不公平か?」ーアジアと欧州の同盟を比較するー(2019.10.24開催)
https://www.spf.org/spfnews/information/20191108.html

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このような見方をすることで、オレの国はこう思う、だけではなく米国にとってどうなのか、米国から見た「資産」と「負債」が釣り合っているのかいないのかがわかります。
このシンポで取り上げられた「資産」と「負債」
の項目はこのようなものです。

・「資産」の項目
①共通の脅威認識
②地政学的位置
③米軍との相互運用性
④軍事以外の協力関係
⑤同盟を維持する意志

・「負債」の項目
①当該国の固有の紛争に巻き込まれる懸念
②当該国の固有の政治事情の制約
③同盟への財政負担の制約

このシンポには取り上げられていないのですが、米国との同盟が破綻したケースとして歴史書に載りそうな韓国の場合をみてみましょう。
すでにバランスシートは
大きく崩れていますが、韓国政府だけはそれに気がついていないようです。

そもそも「資産」の第一位にある①「共通の脅威認識」が乖離し始めています。
当然ですが、同盟とは、共通の対象国があってこそ結ばれるものです。
共通の仮想脅威が失われれば、同盟を持つ意味はなく、それなりのしっぺ返し
を覚悟せねばなりません。

②の韓国が地政学的要衝であるという点がポイントですが、敵に寝返ってしまってはオセロの駒が逆になって、一気に「負債」の項目と化してしまいます。

③の「米軍との相互運用性」では、いままで米国の武器体系に従ってきたのに、いまや独自兵器体系へと移行し、輸出まで狙って米国と競合しています。
米国は大前提の「脅威の共通認識」が崩れ始めた韓国との共同訓練を打ち切ろうとしています。

④の「軍事以外の協力関係」にいたっては、サムスンに典型的なように韓国企業は米国企業のシェアをダーティに削り続けてきたという苦々しい認識を、米国は持っているはずで、これも「負債」の項目行きです。

⑤の「同盟を維持する意志」に至っては、ムン政権要人が「共通の脅威」であるはずの中国の核の傘に入りたい、北と融和して統一したいというようなことまで口走るありさまです。

「もし、北朝鮮の非核化が行われていない状態で在韓米軍が撤退したら、中国が韓国に『核の傘』を提供し、その状態で北朝鮮と非核化交渉をするという案はどうだろうか?」(文正仁大統領安全保障補佐官 朝鮮日報(日本語版12月5日)

では続いて韓国の「負債」の項目を見ましょう。
まず①「当該国の固有の紛争に巻き込まれる懸念」ですが、GSOMIAやレーダヒ照射事件で明らかになったように、韓国は日本に対してファナティックな反日政策を取り続けています。
今や韓国にとって日米韓の三カ国連携どころか、あからさまな「仮想敵国」こそ日本です。

米国からすれば、裏切りの意志を示さなかった前政権時までなら仲介の労をとらないではありませんでしたが、いまや匙をなげています。
日韓軍事衝突という事態を日本側から惹起することはありえませんが、韓国は民族の「恨」を晴らすために機会を狙っているかにすら見えます。
これは日米韓国三カ国連携で、中国・北朝鮮と対峙しようという米国にとって許しがたい裏切りの所業のはずです。

②の「当該国の政治事情の制約」ですが、韓国は変形な「直接民主主義」が公然となされる国です。
正統な政権を街頭デモで倒すことが常態化し、議会制民主主義が機能していません。

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崔章集(チェ・ジャンジプ)高麗大学名誉教授

崔章集(チェ・ジャンジプ)高麗大学名誉教授は、2019年12月9日の「運動圏民主主義は全体主義と似ている」とした講演でこのように述べています。
今の韓国にも、まともな知識人がいることに胸をなで下ろした次第です。

「崔教授は、1980年代に民主化を主導していた、いわゆる「運動圏」勢力が主軸になっている現与党に対し懸念の声を上げた。崔教授は「(かつての)運動圏の学生が(現在の)韓国政治を支配する『政治階級』になった」として「軍部独裁を『絶対悪』と規定していた過去の経験に基づき、『民主主義対権威主義』『善と悪』など、イデオロギーの形で民主主義を理解する傾向がある」と語った。
その上で「結局、多元的統治体制としての民主主義が抜け落ちて直接民主主義を真の民主主義だと理解し、全ての人民を多数派の『総意』に服従するよう強制する枠組みは、全体主義と同一の政治体制になっている」と指摘した。386(1990年代に30代で80年代に大学に通った60年代生まれの世代)運動圏の政治家について「もはや進歩といえるかどうか疑問」とも語った」(朝鮮日報12月10にに)
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/12/10/2019121080094_2.html

このような自省が見られない限り、韓国の民主政治の崩壊現象には歯止めがかからないことでしょう。
私はそうとうに悲観しています。

最後の③の「当該国の財政負担」ですが、韓国はいまでもたっぷりと出しているという勘違いをしています。
下のグラフをご覧ください。

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韓国は米陸軍第2師団を、もっとも危険な38度腺すれすれのワイヤートラップの位置に置かせていました。
米軍を北が攻撃すれば同盟が機能して自動参戦となるわけですが、よくもまぁここまで頼りきりになっていたものです。
それでいて日本の半分ほどしか駐留経費の負担をしてこなかったのですから、米軍がどう考えてきたのか推して知るべしです。

日本はアジア全域から中東までの地球の半分をエリアとする第7艦隊に母港を提供し、米海軍の海外最大の石油ターミナルと弾薬庫も日本にあります。
また沖縄には有事即応部隊として、海外に展開する唯一の海兵隊基地も置いています。
つまり米国にとっての日本はいわばアジア本社のようなもので、日本なくしては米軍の世界戦略が成立しません。
 
それに対して韓国は、米国が世界各地に持つ前線のひとつにすぎません。
言ってみればただの出張場で、米軍人が米韓合同司令部の指揮権を握っていたのは当然ですが、いまや一転、戦時統制権は返せ、在韓米軍は南北統一の敵だと言い切っています。
文正仁補佐官は9月9日、講演でこのように述べています。

「韓米同盟を生かそうとして、南北関係がダメになっている。北関係で最大の障害物は(在韓米軍を指揮する)国連軍司令部だ。国民が実態を知れば、『司令部は撤退せよ』と言うはずだ」(中央日報・日本語版、11月26日)

このように「資産」筆頭の「共通の脅威認識」からしておかしくなり、ムン政権は「三不の誓い」までして日米同盟には協力しないと中国に一札入れてしまいました。
中国にはラブコールを送り、北とも片思い路線を貫いていますから、米国から5倍くらいの駐留経費の増額を迫られてもまだバランスシートは回復しないことでしょう。

このように検討してくると、韓国への駐留経費5倍要求は、同盟のバランスシートが大きく「負債」に傾いた結果としての米国のペナルティ要求だと考えられます。

 

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コメント

韓国は北朝鮮に5億ドルの「人道支援」とやらを行うとの報道もありましたが、それって明らかに国連からも逸脱してますよね。

まあ、前の国連のトップが韓国人で、国連本部にやたらと韓国人ばかり増えたとか。


昨日の記事でも「朝鮮総連潰すチャンスは今」だと最後に書かれていましたが、全くその通りです。
旧民主系はもちろん、自民にもパチンコ利権とかで儲けている国会議員や警察官僚が少なからずいるみたいですからねえ。。

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