首里城炎上は原因不明という茶番
なにか気の抜けたサイダーといった趣ですが、首里城火災の原因が特定されないまま幕引きとあいなりました。
なんと退屈な予定調和だこと。
当たっても嬉しくもありませんが、私は当初からデニー県政にとっての「理想的解決は誰のせいでもないことにすることだ」と考えていましたが、そのとおりになってしまいました。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2019/11/post-dd5f37.html
まずは琉球新報から。
「昨年10月に発生した首里城火災の捜査終結を発表した県警は29日の発表で「火災の刑事責任は問えない」とも明かした。火災原因が判然としない状況に、県民は「次の防火対策に生かせるのか」と疑問を呈し、国や県、沖縄美ら島財団の責任を問う声も上がる。同時に一定の区切りが付いたとして、十分な防火対策で再建に注力すべきだとの見方もある。
■「国、県、財団に責任」
那覇市のパート女性(50)は「そもそも燃えやすい木造建築にスプリンクラーを設置しようと考えていなかった時点で、多かれ少なかれ国や県、財団に責任がある」と話す。沖縄のシンボルである首里城は「ぜひ再建すべきだ」とした上で「再建しても火災の可能性がゼロでない以上は、防火対策を徹底してほしい」と語った」(琉球新報1月30日)
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1065670.html
見出しからして琉新は「首里城火災なぜ? 原因特定できず捜査終結 県民に戸惑い「防火対策生かせるのか」と、天を仰いで地団駄踏んでいます。
感情量豊富にパートの女性まで引っ張り出して、スプリンクラーの設置しなかったことなとで財団の失火原因の追及がないことを批判させています。初めてこの新聞と意見が一致してしまいました(笑)。
産経
一方沖縄タイムスですが、異様におとなしさが目立ちます。気のせいか、お義理に書きましたという気分が行間から滲んでいるようです。
ゲスの勘繰りですが、火災当時の深夜までなされていた作業が沖縄タイムス主催のイベント準備だったこととなにか関わりでもあるのでしょうか。
「県警は火元とみられる正殿北東側から配線などの資料を収集。科学捜査研究所で調べたが激しく燃えた状態で、原因特定に至らなかったという。
那覇市消防局は昨年11月8日に実施した会見で、火元とみられる正殿北東側の電気配線にショート痕の可能性がある破断が見つかったが、損傷が激しく「原因特定は非常に困難」との見方を示した」(沖タイ1月29日)
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/528217
沖タイは見出しからして、「原因特定できず 首里城火災 収集資料の損傷激しく 沖縄県警が捜査終結」と、まるで全国紙の埋め草記事のような雰囲気です。
今、全国紙は新型肺炎記事で覆われていますから、首里城火災の原因などどこかの埋め草でチョロと書くていどでしょう。
この時期を狙ったとしかおもえない、タイミングのよさでした。
こういうことを官庁はよくやります。なにか都合の悪い発表をせねばならない時には、朝刊の締め切り間際とか、金曜日の夕方、はたまた連休前に押し込んだりもします。
報道がミニマムになるか、うまくすれば蒸発してしまうからです。
県警が県政への忖度をしたいのなら、豚コレラと新型肺炎のこの時期はうってつけのチャンスでした。
どうやら沖縄司法・消防には上司である県知事に対して忖度体質があるようです。
かつての翁長県政だった時は、辺野古警備はユルユルで反対派のやりたい放題に任せ、高江では違法な私的検問を長期間放置したばかりか、そのことによるトラブルに対しても一方的に地元住民にのみ罪が被せ、原因を作った私的検問は不問に付すような裁きを平気でやってきたという「実績」があります。
それはさておき、あれだけ「沖縄の心が燃えた」とまで騒いだ首里城炎上事件も、喉元過ぎてしまえば忘却の霧の彼方であるうえに、いまさら原因が特定できなかったからと言ってナンだつうの、ということです。
デニー氏は談合疑惑で百条委員会の設置を求められていた窮地を救ったのがこの首里城炎上事件でしたから、この原因をうやむやにするのもまた大事件の時にかぎるなんて思っていたかもしれません。
デニー知事は真っ先に国に再建を要請しに行ったあげく、一方で集めた募金が巨額となり、その使途すら決められないありさまですから、いまさら炎上の原因などどうでもいい、というか県の責任だけは回避したいと思っていたのでしょう。
かといって国にも再建のカネをせびった都合上あちらにもいかないことがベスト、強いていえば当夜の警備員に問題あり程度でお茶を濁してもらえればナイスってところです。
そんな県の隠微な思いを知っていた県警察にとって、豚コレラや新型肺炎といった大きな事件が続けざまに起きたことは僥倖でした。
この時期にこんな発表をソっとだしてやるというのが官僚の粋な計らいというものです。こういうことを「忖度」と呼びます。
「県警は火元とみられる正殿北東側から配線などの資料を収集。科学捜査研究所で調べたが激しく燃えた状態で、原因特定に至らなかったという。
那覇市消防局は昨年11月8日に実施した会見で、火元とみられる正殿北東側の電気配線にショート痕の可能性がある破断が見つかったが、損傷が激しく「原因特定は非常に困難」との見方を示した」(琉新前掲)
火災当時から那覇消防局・山城達予防課長は、「(電気設備以外に)火災の原因となるものが見当たらない。証言においても、火源になるようなものが置かれていたとか、そういったものは、証言でいただいていません」(FNN11月8日)と明言していました。
つまり当初から消防は火元が正殿の東側の配電盤周辺であると特定し、しかもショートした箇所が30箇所もみつかっていたにもかかわらず、焼け方が激しいために詳しいことはわからないということにしてオシマイだということです。
そんなことは初めから予防線よろしく警察・消防は言っていたのであって、なにをいまさらです。
こんな子供だましの報告書書くくらいなら、原因調査なんていらない。
私は当時こう書いています。
「ところで沖縄県にとってもっとも望ましい火災の原因は何でしょうか。
それは人災ではなく、不可抗力な自然災害のような事故です。
焼け跡の調査をしている最中に県幹部はこんな恥知らずのことをうそぶく始末です。
「県幹部は、出火原因が法的な不備や設備の点検不足などに該当しない不可抗力だった場合、責任の所在は「誰にもないのではないか」との認識を示した」(沖タイ11月2日)
そのとおりです。国は文化財にはスプリンクラー設置を義務づけていなかったから法令違反ではなかった、県も県とて国の指示がなかった以上、法令遵守違反にはならない、もちろん管理財団にいたっておや県の指導はなかったと知らんぷり。
では何を原因にするかといえば、分電盤をネズミがかじってショートして燃えたというストーリーが、最良です」
しかもそのショーと痕も調べたが燃えてしまって分からないですから、もはや誰のせいでもない、ただの天災だということになります。
これにて、美ら海財団はおとがめなし、県の管理責任も不問、あとは一直線に再建だぁ、ということになります。
常識ある為政者なら、再建する以上は出火原因が特定されなくとも、消火体制の不備、警備体制の手抜かり、今後どう新たな消火システムを構築するのか専門家委員会を作って詰めていくのでしょうが、さてデニー知事どうしますか。
サポートする官僚がこれでは、期待しろというほうが無理というものです。
いずれにせよ、私はバカバカしくてこれ以上書く気にもなりません。
とんだ茶番です。大山鳴動、ネズミ一匹も出ず。
デニー知事はこうやって逃げ回って責任回避するだけで任期が終わるのでしょうかね。
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