武漢肺炎いっそう拡大
中国政府は1月27日、発症者は中国本土だけで2744人、死者80人と発表しました。
米国やフランスでも感染者が報告されて、世界規模の感染の序章の様相を呈しています。
国外はともかくとして、中国国内の数字はまったく信用するに値しません。たぶん中国人が一番信じていないでしょう。
お定まりの隠蔽体質もあるでしょうが、中国で患者認定されるには、病院だけではなく地方政府衛生当局の御墨付きが必要ですが、いまのような患者が我がちに病院に押し寄せるようなパンデミック初期にすんなりそんなものが出る道理がありません。
むしろ患者認定されると移動できなくなってしまうので、逃れたいくらいでしょう。
ですから少なめに見積もっても、北大研究チームの推定数で5000人以上です。
「中国の湖北省武漢市で広がっている新型コロナウイルスによる肺炎の患者数について、北海道大の研究チームは25日、武漢市内だけで5千人を超える可能性が高いとの推計をまとめた。
現地の診断・報告システムは不十分とみられることから、中国国外での患者数に着目。統計モデルを使って算出した結果、中国国外で患者1人が発生した場合、背後には武漢市内で数百人に上る未報告の患者がいるとの結果になった。欧州医学誌に発表した」 (共同1月25日)
最大では現地中国人医師による10万人説もあります。
「湖北航天医院の医師が、意を決して外界に訴えたという記事。「湖北省で感染者数は10万人を超え、病院が地獄と化し、助けを求めパニックになっている。が、湖北省政府は事実隠蔽のため、物資は十分あると語り、外部からの援助を拒絶している」と。これが殺人鬼と同義語の中国政府の真実の姿です」
(河添恵子ツイッター1月26日)
https://twitter.com/kawasoe0916/status/1221330194968920065?ref_src=twsrc%5Etfw
いずれにしても、当局発表とは桁が違います。
感染症専門医の忽那賢志氏は ひとりの感染が15人に移したという現地医師の情報を「コロナウイルスの共通する、ある特徴に由来する」としています。
「これまでの患者の発生状況などから、新型コロナウイルスの基本再生産数は1.4-2.5と暫定的に見積もりされています。(略)
元々同じコロナウイルスによる感染症のSARSやMERSは、病院の中で広がりやすいという特徴があります。(略)
もう一つ、SARSコロナウイルスとMERSコロナウイルスに共通する特徴としてスーパースプレッダーの存在が示されています。(略)
スーパースプレッダーとは、感染症を多くの人に拡散してしまう患者のことで、SARSでもMERSでもこのスーパースプレッダーの存在により流行が広がった経緯があります。
今回、医療従事者15人に感染させたのがスーパースプレッダーであったのかはもっと詳細な情報が必要ですが、その可能性はありそうです」
(忽那賢志 『新型コロナウイルス感染症の「感染力」はどれくらい強いのか?』)
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200126-00160384/
ここで忽那氏が触れられた基本再生産数とは、簡単に言うと「1人の感染症患者から何人に感染させるか」を表す数のことで、1 人の感染者が生み出す2次感染者数の平均値のことを指します。
この基礎再生算数が多い場合、下図のようなスーパースプレッダーが既に発生している可能性があります。
https://allabout.co.jp/gm/gc/455815/
さて、いままでさんざん後手後手を非難されて、権力基盤が危ういとみた習は前面に出てトップダウンで号令を発するようになりました。
これにより中国は、そう名付けてはいないものの事実上の国家非常事態を敷くことになります。
この鶴の一声で、遅きに失しましたが武漢が封鎖されました。
しかも封鎖範囲は、感染源の武漢のみならず湖北省全体13市に拡大して、4000万人以上が移動禁止になっています。
https://note.com/nanaehasegawa/n/n34c66e8fbf9e
武漢は、中国大陸の交通の要衝で、いわば北海道における富良野のような「ヘソ」の位置にあるために、遮断されると中国大陸の陸路の交通に大きな障害が出ます。
北京への陸路も封鎖され、鉄路と空路のみとなりました。なんとしてでも首都には武漢肺炎をいれないという意志表示したわけですが、たぶん無駄でしょう。
既にウィルスキャリヤーは入ってしまっているからです。言っているそばから北京でも出ています。
ひとりの確定患者の後ろには15名の既にうつした人たちがおり、それがひとりひとりまた別の人にうつしていきます。
「中国で新型コロナウイルスへの感染が広まっている問題で、首都北京の当局は27日、同市で初の死者が出たと発表した。
北京市の保健当局によると、亡くなったのは50歳の男性。今月8日に流行の中心地である中部・武漢を訪れ、7日後に北京に戻った後に発熱。21日に入院し、27日に呼吸不全のため亡くなった」(AFP1月28日)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200128-00000001-jij_afp-int
衛生当局は確定患者が移動した鉄道、バスなどに乗り合わせた人を探しているようです。
中国国民は国民監視体制の一環として電子マネー使用を事実上義務づけていますから、こういう患者の遡及調査が可能となります。
日本では監視システムといえるのは防犯カメラくらいですから、まねできません。
藤田康介ツイッートhttps://twitter.com/mdfujita
また春節という年に一回のゴールデンウィークにもかかわらず、中国からの団体旅行と航空券とホテルのセット販売を禁止し、海外旅行に事実上の制限をかけ始めました。
大型イベントや遊園地の閉鎖が始まるようです。
ブルームバーク
さぞかし庶民は怒りを鬱屈させているでしょう。なぜなら、本来、春節は中国最大の爆買いシーズンで、庶民は一年間コツコツ貯めたカネを惜しげもなく買い物や旅行に投じる季節だからで、すべてをキャンセルさせられて家にいろというのはムゴイ。
当局は移動を禁止してしまえば、連休はかえって自宅に封じ込めるいいチャンスだと考えたのでしょうが、このまま春節の無期限延長もするとなると個人消費の落ち込みの影響は巨大になります。
これにより、確かにウィルス拡散は多少抑制されるでしょうが、庶民はもう春節の前から移動を開始していますから、当局がかんがえるような効果がでるかどうかは疑問です。
更に500万人が既に武漢から脱出したという噂も出ました。
これは武漢市長談として中国メディアが報じたものですが、武漢の人口は1100万人ですから、ほんとうならその半数が逃げたということになります。
にわかには信じがたい話で、もしその半分でも事実ならば習の武漢封鎖令は頭から無視されて、市民は脱出してしまったということになります。
そうなった場合、ただ習のメンツの問題にはとどまらず(そうでなくても事後には党内反対派から厳しい追及を受けることでしょうが)中国の全体主義支配そのものが揺らぎかねない話です。
確実なことは、個人消費が極度に落ち込み、減速傾向が明らかな中国経済にとって大きな障害がまたひとつ増えたことです。
連鎖して海外貿易もまちがいなく鈍化するはずですから、株式の急落、それによる資金の枯渇などを招来するでしょう。
たぶん国際経済にも大きなマイナス影響をおよぼすでしょうから、日本経済も無事では済みません。
朝日
また、武漢市の封鎖に続いて、突貫工事による仮設の専門病院建設が進められることになりました。ベッド数は1000だそうです。
スゴイね。習の号令ひとつで、病院もカップ麺みたいに即席で作っちゃうんだ(唖然)。
医療機材はかき集められても、今中国は医師が絶対不足ですから、医師が集められるかどうか。
中国は、生物兵器の攻撃を受けた国家非常事態だと認識した、ということでしょうね。
生物兵器といえば、武漢肺炎生物兵器説というものがあります。
結論から言いますと、私は9割デマだと思いますが、長くなりましたのでそれについては明日ということにします。
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コメント
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武漢の病院の動画を見ましたが、もう気の毒過ぎて見ていられません。
市当局は当初、「人から人への感染はしない」とウソをつき、市民はそれを信じてマスクなどしていなかった、とか。
すでに市長は逮捕拘束されているようですが、中共政府はこうした現在でも、SNSの監視削除や動画投稿規制など言論弾圧を行っているようです。急ごしらえの「病院」と称するものは、このような対応のなかでは例によって隔離施設であるとしか市民にとらえられていないようで、棄民同然の扱いをされていると感じさせるもの。
日本はマスク100枚など適宜に則した援助をやっているようですが、こうした場合なので、医療チームを派遣するとか、もっと援助をしてやれないものかと思います。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2020年1月28日 (火) 17時53分
初めて拝読させていただきました
PM2.5で肺にダメージを受けていたため新型コロナウイルスの影響が大きかった可能性も考えられるのではないでしょうか。
MERSも韓国だけでしたし・・・
投稿: 木津神 | 2020年1月28日 (火) 20時45分
あまり煽るつもりも無いですが、日本も安穏としていられる状態じゃ
ないですわ。武漢からの旅行客は、今現在も日本じゅうを観光して
います。その中には、ウルトラスーパースプレッダーがいるかも知
れません。厚労省ってまったくアホなのかと思いますわ。政治家の
センセイは選挙のプロであって、未知のウィルスの専門家ではあり
まん。御ヤクショが、最悪を想定して対応するべきですわ。
少なくとも最近の武漢からの訪日客らは、送還するか2週間病院
に缶ヅメにするべきです。バイオハザードを阻止するとしたら、簡単
なことですわ。もちろん缶ヅメのお客様には、日本のグルメのフル
コースでおもてなしをして、リピート客になってもらいます。
投稿: アホンダラ1号 | 2020年1月28日 (火) 22時10分
管理人様
お心遣いありがとうございます。
本件でも大変勉強になります。
しかしながら、感染症流行の実数の把握は難しいです。
日本でも季節性インフルエンザについては全数把握を諦め、定点観測結果から実数を推測しています。
https://www.carenet.com/news/general/carenet/45503 (2020年1月28日閲覧)
長年の経験から、推計受診者数は定点観測総数の10倍程度と考えられています。
中国にとっては当然初めてのことですから、全数把握は絶対不可能です。事後でしか正確な感染力や患者数を把握できないでしょう。
しかしまずは、情報の出所ごとに患者数の推移を纏めることが鍵になります。同じ集計方法なら、大体同じ割合で把握できそうだからです。
このデータを「微分」すれば流行の勢いが分かります。
そして、もし基本再生産数が3と言うほど感染力が強いならば、流行ピークまでは患者増加(微分)はネズミ算式の計算結果(指数関数)とほぼ一致するはずですが、発表数が計算結果より少なくなりだしたら、多くの人民が免疫を獲得して終息に向かうサインです。基本再生産数が高いほど終息も早いです。
推計が桁違いに甘いと思いますが、発想は近いし計算が高度なので、高橋洋一氏の予想も参考になればと思います。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70061?page=4 (2020年1月28日閲覧)
山路さん
自分も同意見です。棄民と言えば、今日本に旅行している中国人も、軽くそんな感じなのでしょうね。滞在延長となると、3月のクレジットカードの残高不足が本気で心配です。
木津神さん
そうですね。肺が弱いと、重症度(肺の予備能が低い)も感染力(いつも痰が出ている)も高くなってしまいますね。
アホンダラ1号さん
奈良県で観光客のバス運転手が発症してしまいましたね。缶詰で歓待って、孫子の兵法にありそうですね。
投稿: プー | 2020年1月28日 (火) 23時22分
初めて拝読させていただきました
PM2.5で肺にダメージを受けていたため新型コロナウイルスの影響が大きかった可能性も考えられるのではないでしょうか。
MERSも韓国だけでしたし・・・
投稿: 木津神 | 2020年1月29日 (水) 00時10分