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2020年1月13日 (月)

蔡英文再選おめでとう!

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1年前の蔡英文惨敗予想を完全に覆しての圧倒的大差での勝利でした。
実に得票数817万231票という台湾民主選挙史上最高得票数で、これはあの熱烈な親中派だった馬英九の得票数765万票を遥かに超える得票数でした。
投票率は74.9%で前回より9ポイント上回りました。
おめでとうございます。自由の民は、民主主義を選ぶという鉄則が証明されました。

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上の写真は最後の訴えを済ませた後の蔡英文の写真です。彼女は中央にいますが、いい写真を選びましたね。
彼女がどのような思いで戦ったのか、そしてなにを祈ったのかがよく分かる一枚です。

ただし、手放しで喜べないのは得票率です。
4割弱を国民党ががっちり握っているという現実には変わりありません。

・得票率
・蔡英文・・・57.13%(前回2016年時は56.12%)
・韓国瑜・・・38.6%
・宋楚瑜は・・・4.2%
cf.  2008年時における馬英九の得票率・・・・58.44%

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一方、同時に行われた立法院選挙はこのような結果でした。

立法院議席数
・民進党・・・61議席(△7)113議席中で単独過半数確保
・国民党・・・38議席(+3)

このように、国民党は立法院では、民進党の単独過半数を許したものの、しぶとく3議席増やして野党第一党を確保しました。
蔡英文の勝因は習近平という頑迷な中華帝国皇帝にあります。
この男なくしては蔡英文の再選はなかったはずです。

昨年1月早々に習が台湾に対していいだしたのがいわゆる「習5条」でした。東外大小笠原欣幸氏によればこのような内容です。
http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/ogasawara/analysis/xifivepoints.html

●「習五項目」の骨子
第一:統一促進と中国の夢
第二:一国二制度と民主協商の呼びかけ
第三:一つの中国原則と台湾独立反対
第四:両岸融合と同等待遇
第五:中華民族アイデンティティ

ここで習が台湾につきつけたのが例の「一国二制度」でした。
「一国二制度」を台湾に対して言ったのは、意外なことに習が初めてでした。
胡錦濤は台湾の反発が強いことを知って封印していました。
習政権となってから台湾に対して口にするようになり、馬政権時に初めて出した時にはさすがの親中派の馬もこれを拒否したという経緯があります。
中国と距離を置こうとする蔡英文政権時にこれを再び言い出したのは、「台湾を飼い馴らす」つもりではないかと東外大・小笠原氏は見ます。

「習が今回「一国二制度」を正面から主張したことについて,「習近平は台湾の状況をわかっていないから」という解説があったが,それは違うであろう。台湾社会で反発がかなり大きくなることは2014年9月の経験でわかることだ。そうではなく,正面から突きつけ繰り返していくことで,「一国二制度」への心理的抵抗感を徐々に下げていく策略であろう。台湾を「飼いならす」つもりではないか。
 国民党としては,「統一」と「一国二制度」をあまり強調してほしくない。それに構わず突き進むのが習近平流で,ここが胡錦濤との違いである。表面的には江沢民と似ている。しかし,江沢民時代は台湾の反発を押し切るだけの実力がなかった。習近平は,台湾人の反発を計算に入れ,なおかつそれを押し切る硬軟両様の手段を用意している。ここが江沢民時代との違いである」
小笠原欣幸
習近平の包括的対台湾政策「習五項目」を解読する』

つまり、習は自分が歴代政権と違って「台湾の反発を押し切る」だけの力を持ったと錯覚していたのです。

さらに、習はこうも台湾に言い放っています。
「中国人は中国人を攻撃しない」、「武力使用の放棄は約束しない」
露骨なまでの武力による威嚇ですが、この表現もいままでも「紅八点」などの党内文書では登場しますが、こうまであからさまに台湾に対して言うことはありませんでした。

このように習は、いままでの歴代政権が押えてきた本音をあえてぶつけるべき時期、すなわち見せかけの融和路線ではなく武力を背景とする力による統一のプロセスに入ったと判断したようです。

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https://www.sankei.com/world/news/200101/wor200101...

何度も書いていますが、この習が「一国二制度」を台湾に言ったその年の6月に香港で民主化デモが火を吹きました。

「台湾人は妙にリアリストでコスト主義なので、戦争の脅威があるなら、中国とうまく付き合っていける方法を選ぶ可能性はあったようです。「香港の若者たちが命と血涙を贖って一国二制度がダメだと教えたくれた」のです。香港の若者たちの抵抗運動はまだ続くと思いますが、少なくとも一つ大きな成果をだしました。台湾の民主を救ったということです」
(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.52 番外』 2020年1月12日)

習が香港民主化デモに対して何らかの現実的な融和政策をとれたならば、台湾総統選挙の構図も白黒反転していた可能性があります。
ところが習ときたら、あうことか香港警察に血の弾圧を命じ、順調に香港市民の怒りを拡大させてしまいました。
香港における市民の戦いを対岸で見ていた台湾の人々にとって、「今日の香港は明日の台湾だ」ということが、連日映し出される映像によって肌身でわかってしまったのです。

そして同時期、中国当局は蔡英文政権締めつけのために得意の「犬のしつけ」をしていました。
そのひとつが、 2019年8月から台湾への個人旅行を暫定的に停止させる制裁です。
観光収入が大きい台湾で観光客を止めてしまえば干上がり、その怒りは中国の「ひとつの中国」に反対している政策をとっている蔡英文政権に向かうに違いないと思ったようです。

しかし、習には気の毒なことに、皮肉にも中国大陸からの観光客は大幅に減ったものの、それを補って日本からの観光客が去年8月~11月の前年同期比11%しました。
また日本への観光を禁止した韓国も台湾へと向かい33%増加しています(苦笑)。
この時期に、観光資源が豊富な上に治安がよく食べ物が美味しい台湾が一気に人気観光スポットに定着してしまったのは、皮肉なことです。

また、折からの米中貿易戦争によって中国の対米輸出入製品に高関税がかけられた結果、中国への外資は逃避を開始し始めました。
この余波で台湾の対米輸出が上昇する追い風が吹き輸出産業が持ち直しました。

すると、「中国に支配されるのはイヤだが、かといって中国抜きでは商売があがったりだ。だから台湾は独立なんて過激なことを言わず微妙なバランスをとって欲しい」という多数派が、「なんだ国民党のいうように中国と組まないと経済回復ができないというのはウソだ」と気がついてしまったのです。

その上は、水に落ちた犬状態となった習に更に追い打ちをかけるように起きたのが、オーストラリアにおいて現役中国スパイ王立強が寝返って、中国の台湾工作を洗いざらい暴露してしまったことです。

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王立強は、中国当局が1月の台湾総統選挙に向けて、蔡英文を落選させる工作として、50以上のインターネット会社やメディアを買収して宣伝と扇動活動を行っており、海外の団体名義で2018年の台湾の地方選挙時、国民党・韓国瑜候補に2000万元(約3・1億円)の選挙資金を提供したと暴露してしまいました。
この王の暴露を裏付けるようにオーストラリア政府治安情報局(ASIO)は19年12月2日、外国勢力の干渉抑制とスパイ対策を強化し、8800万豪ドル(約65億円)を投じて新たな専用部隊を設置することを発表しました。

このように習はやることなすこと全部裏目。これではムン閣下といい勝負です。
とうとう習の手によっては台湾の統合は無理だということが内外に知れ渡ってしまいました。
まことに台湾紙自由時報の社論がいうように、「習近平が蔡英文の最有力支援者だった」のです。
台湾総統選の焦点を、民主主義か中国型一党独裁か、自由か隷属か、に持っていってくれた最大の功績が習にあることは疑い得ません。

 

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コメント

少し遅いですが、明けましておめでとうございます。

今回の管理人様記事へのいちゃもんでは無いですが、選挙結果における圧勝とはどの位の得票率なのか今回に限らず気になる事有ります。

投票率は「棄権は選挙結果への白紙委任状」なので極端に低い場合除き置いといて、韓氏も四割近くの得票率、更に宗氏(新中派?)も多少票取っており、大陸との商取引等色んな判断材料有るから単純な「台湾独立の住民投票」で無いの解ったつもりですが、六対四なら「戦の勝ちは六歩をもって良し」ではないですが辛勝+αかな?、個人的には少なくともダブルスコア以上って感じですが、皆様どうお考えでしょうか?

Siさん。そうですね、得票率で6割以上ではないでしょうか。
おっしゃるようにダブルスコアなら文句なしです。
ですから今回の蔡英文の57.13%は微妙な線ですから、私は「得票率としては手放しで喜べない」と書きました。

ただし高ければいいとはいえません。
たとえばプーチンは78年の選挙で78%という異常な数字をだしましたが、その影にはウクライナ侵攻というウルトラナショナリズム政策があり、反対派に対しての暗殺が横行ました。
普通の民主主義国家においては、こんなロシアのようなばかな数字はでないものなのです。
野党を根こそぎ壊滅させるような勝ち方は、かえって民主主義を危機に陥れ、自陣営の弛緩を招く可能性があるからです。

ですから比較優位くらいがちょうどいいのです。今回は勝ちすぎたと思っているくらいです。

Siさん、

圧勝であろうが辛勝であうが、記事中に得票率ないし得票数のような客観的数値が明記されている以上、書き手の主観的印象を記す事そのものに対するように見える異議は正しくありません。

そういう事ではなく、Siさんのおっしゃる真意を拝察するならば、これだけの状況のなか、韓氏への支持が38%もあった事への評価をどうみるか? という事になるのだろうと思います。

そうして見ると、いまでも台湾は「独立派」が大勢だと言う事は出来ないのであって、「一国二制度」や習体制に飲み込まれる事には非常な抵抗感があるに過ぎないと言う意見があり得ます。

たしかに、台湾は経済的に中国に依存している部分も多く、目に見えない社会的構成上も末端まで中華が侵食しています。
けれど、台湾人が「独立」を言わないのは、国家の生成や帰趨は「国際社会の承認のゆえにある」、という厳しい現実を痛いほど理解しているからでもあります。韓国とは真逆の成熟した態度です。

今回の選挙でもっとも注目すべき点は、大方の予想に反して立法院で民進党が過半数を取ったという事だと思います。
この事によって単なる賛成・反対ではなく、中国に対する拒否権や独立可能性をさぐる素地が出来たと言う事になるでしょう。

いうまでもなく、台湾が中国に飲み込まれるならば我が沖縄県としては非常にマズイ展開になるし、尖閣の領有権云々など問題にすらならなくなると思います。
立場的に難しいのでしょうが、日本政府はもっとはっきりと蔡政権を支援していって欲しいです。

山路さん、サンキュー。
お答えというわけではなく、書き添えますが、台湾においても大陸中国がなければダメだ、という人たちは半分はいます。
逆に大陸にのみこまれることを警戒する人も半分はいます。

ざっぱくないい方ですが、蒋介石と共に大陸から逃げてきた人たち(外省人)は国民党支持、つまり「ひとつの中国派」が多く、元々住んでいた人たち(本省人)は独立志向の民進党支持者が多いとはいえます。
ちなみに南部には独立派が多く、台湾語がどのていどしゃべれるかでわかるそうです。

それはさておき、台湾は中国の高度成長に伴って製造業がことごとく大陸に出て行く強依存関係ができてまいました。
これが中国に人質にとられた形になっています。
このことから、大陸中国との政治的バランスを常に考える習性が台湾人の中に生まれました。

実際、国際政治の中でも微妙な位置にあります。このへんは別に記事で書くつもりですが、どんどん国交は切られる一方です。
最大の支援国でなければならない日米ですら国交がありません。
こういうガラスのバランスの上に乗って、いまの台湾があるのだということを忘れないほうがいいでしょう。

だから勝ちすぎは危険なのです。比較優位くらいがちょうどいい。
独立派が総統も議会も独占すれば、中国は本気で武力介入を考えますから。

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