イタリアで感染が爆発しました。まさに爆発という表現どおりで、わずか数日の開いたに日本を追い抜いて感染者数219人、死者が5名と世界3位の感染国になっています。
こういうことに順位などつけたくありませんが、ジョンズポプキンズ大学の集計によればこのような状況です。
朝日などのメディアはダイヤモンドプリンセスの数字を日本に乗せたがりますが、仮に繰り入れたいなら「旗国」の英国に入れるべきですが、とりあえず別枠としました。
1・中国・・・77345人(+409)
2・韓国・・・833人(+231)
3・ダイヤモンドプリンセス・・・691人(+57)
4・イタリア・・・219人(+106)
5・日本・・・147人(+12)
6・シンガポール・・・90人(+1)
7・香港・・・79人(+5)
8・イラン・・・61人(+18)
特に注目せねばならないのはイタリアで、イタリアを経由してEUにフリーパスで感染が移動してしまいます。
下の写真でもわかるように、今、ベネチアはカーニバルの開幕時期で、世界から観光客が押し寄せている時期にあたっていました。
国境なきEUにおいては、パスポートコントロールが廃止されたことに伴って国境検疫までもが廃止されました。
ですから、いったんEUのどこかの国にウィルスが侵入すれば、アジア以上の速度で蔓延する可能性があります。
あらためて「国境」が国民を守っていることがよくわかります。夢々ハトさんが言っている東アジア共同体なんてかんがえないようにね。
「イタリアで感染が急速に拡大、死者5人に…周辺国も警戒強める
【ナポリ(イタリア南部)=笹子美奈子、ミラノ=野倉早奈恵】イタリアで、北部を中心に新型コロナウイルスの感染が急速に拡大し、24日に214人に達した。商業活動の停止や各種イベントの中止など影響が広がっており、欧州連合(EU)の執行機関・欧州委員会は、緊急対策のために2億3200万ユーロ(約280億円)を投じると発表した。(略)
周辺国は警戒を強めている。オーストリアは23日、感染の疑われる乗客2人が乗ったイタリアからの列車を一時停止させた。フランスのベラン保健相は23日、感染に対応する病院を大幅に増やす考えを示した 」(読売2月24日)
https://www.yomiuri.co.jp/world/20200224-OYT1T50168/
「伊政府は感染者が出ている両州の11の自治体を封鎖し、対象となる住民約5万人の出入りを禁止することを決めた。警察を配備して検問を設けるなど、厳戒態勢を敷いている。週末は住民がスーパーマーケットに殺到し、食料品や日用品が品切れとなった」(日経2月24日)https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55996710U0A220C2I00000/
https://www.sankei.com/world/news/200224/wor200224...
イタリアの感染侵入経路はわかっていませんが、おそらく観光客が持ち込んだものと思われます。
常識的には空路かクルーズ船、あるいは北イタリアにある中国人が多数派だといわれる街からのいずれかです。
ただしクルーズ船から乗客を下船させていないことがわかりました。
「新型コロナウイルスに感染の疑いのある旅行者がイタリアでも発見された。クルーズ船に乗船していたマカオ出身の54歳の女性で、現在は船内に隔離されていると運営会社が発表した。
女性が乗ったクルーズ船はローマ北西のチビタベッキアに寄港。衛生当局者が現在船内に乗り込んでいるという。ANSA通信によると、当局者は女性ともう1人を隔離し、残りの乗船客約6000人についても上陸を許可していない。直前の出発地はスペインのマヨルカ島だった」
(ブルームバーク1月30日)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-01-30/Q4X64GT0AFBG01
[追記]プーさんのご指摘どおり1日後には全員下船させていました。ブルームバークの追加情報を入れて、訂正部分に消し線を入れました。
「船内足止めの伊クルーズ船乗客が下船、コロナウイルス感染は陰性
イタリアの港に寄港したクルーズ船の乗客1人に新型コロナウイルスの感染が疑われる症状が見られたとして、船内に足止めされていた乗員乗客約7000人はウイルス感染ではなかったことが分かり、下船を始めた。クルーズ船は米カーニバルが保有している。
カーニバルのイタリア子会社コスタ・クルーズによると、症状が見られたのは「コスタ・スメラルダ」号に乗船しているマカオ出身の女性(54)。同号はローマ北西のチビタベッキアに停泊中で、女性は船内で隔離されている。検査の結果、症状はコロナウイルスによるものではないことが分かった。 (略)
チビタベッキアのテデスコ市長は、完全な検査結果が明らかになるまで船の封鎖を続けるよう求めていた。イタリア沿岸警備隊によると、女性は発熱と呼吸器の症状が見られ、ローマの医療チームが診察に当たった。
31日朝に下船する乗客らからは「自由になった」との声が聞こえた 」(ブルームバーク1月31日上写真も) https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-01-30/Q4XE85T0G1L701
このようにイタリア政府は感染者が確認されたクルーズ船の乗客6000人の上陸を認めずに、船内に止まらせています。
今後イタリア当局がどうするのかわかりませんが、おそらく日本と同じように14日間の潜伏期間は留め置いて、PCR検査を実施するしか手段はないように思えます。
その場合、日本のように主権のあり所、船内のゾーニング、感染者の隔離方法など、日本とまったく同じ問題に遭遇するはずです。
下船させなかったことを見ると、イタリアは明らかに日本の対応を学んでいます。
イタリア政府は6000名ものクルーズ船の乗客を14日間の隔離検疫成しで下船させてしまったようです。
信じがたい愚挙です。このことが今のイタリアの大発生とどのように関連があるかはわかりませんが、チベタベッキア港はローマの玄関口で、多くのクルーズ船が寄港しています。
今回の船ではありませんが、参考に典型的なクルーズ船の航路をアップしておきます。
このクルーズ船がこのようなコースを辿ったとすると、イタリアは南から北までくまなくウィルスが拡散された可能性があります。
今回の感染拡大はイタリア北部を発生点とするので、感染となんらかの関係があるかもしれませんが、現時点では詳しいことはわかりません。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200214-000100...
ダイヤモンドプリンセスとほぼ同時期に起きたウエステルダム号の措置は、日本と対照的なものでした。
上の写真をみると、フンセン首相がニコニコしながらウエステルダム号の乗客全員を下船させています。まったく馬鹿としかいいようがありません。
よくネットでは「日本が中国を忖度しているから感染拡大したんだ」ということを言いたがる人がいますが、こういうカンボジアの対応こそれに値するでしょう。
媚中もここまでくるともう芸です。
「乗客の肺炎感染で波紋 下船者通じた拡大懸念―ウエステルダム号
(略)1日に香港を出港したウエステルダム号は、肺炎の感染者がいる恐れがあるとして日本やタイなどが寄港を認めない中、カンボジアが受け入れを表明。13日に南部シアヌークビルに入港し、14日に下船が始まった。
港ではフン・セン首相も搭乗者を出迎え、花束を渡して歓迎した。ところが、下船後にマレーシア入りした米国人女性の感染が確認され、不安が広がった。中でも搭乗者の多くが乗り継ぎのために向かうとみられたタイは警戒を強め、保健省当局者は「感染者が出た以上、対策を強化する」と強調した。
運航会社によると、全員が航海中に検温し、発熱がある搭乗者はいなかった。また、下船に先立ち、健康に関するアンケート調査を実施。体調不良を訴えた20人に行ったウイルス検査では全員が陰性だった。感染が確認された女性は、船内では体調を崩していなかったという」(時事 2月18日)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020021800724&g=int
ウエステルダム号は体調についてのアンケートだけとって、症状を訴えた人だけを検査したようですが、これでは潜伏期間中の感染者は洗い出せません。
潜伏期間内14日間は船内に「隔離」して経過を観察し、同時にPCR検査を実施せねばなりません。
それをせずに自己申告だけで済まして下賤させたのですから、乗客の中に相当数いたであろう潜伏期間中の感染者は世界へと拡散していき、トレースすることは不可能となります。
またカンボジア人も多数の人が濃厚接触したはずで、それが感染者1名なんてわけがありません。わからないか、しらべていないか、かかっても自然治癒したかといったところでしょう。
隠蔽というより厚生インフラがないだけのことです。
イタリア当局が下船を認めなかったのはまことに慶賀の至りで、6000人もの「感染予備軍」をヨーロッパに放ってしまったら、今頃ヨーロッパは上を下へのパニックとなっていたでしょう。
それでもなおかつ感染が侵入しているのですから、恐ろしいことではあります。
イタリア当局の対応をみると分かってきたのは、ダイヤモンドプリンセスにおける日本政府の対応は、今後作られるであろう大規模船舶の感染対策としてスタンダードなものとなりえることです。
要点は、おそらく以下です。
①防疫管理の主権のあり所。船籍国(旗国)か、クルーズ運営国か、領海主権国か。
②潜伏期間の下船禁止の徹底。
③船内の感染拡大対策。
外国メディアは、「日本人が我々をモルモットにしている」「日本の捕らわれ人だ」などという感情的な欧米人乗客の声を声高に報じて、まるで日本政府が非人道的な「長期拘留」でもしているような印象報道をしていました。
これではまるでダイヤモンドプリンセスが「代用監獄」みたいですね(苦笑)。
彼らは、日本政府がむやみやたらと外国人を捕まえては長期拘束するのが趣味だと考えているみたいです。
失笑するのは米国の対応です。無定見をさらけ出しました。
米国人乗客は日本人についで多く、その中の330人が帰国を希望していました。
当初は米国政府は、日本政府が米国人の引き取りを提案したことに対して、いやいや医療がしっかりした日本さんが船内に留め置いてくださいよと言っていたようです。
「新型コロナウイルスの集団感染が確認されたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」への対応で、日米両政府の詳細なやり取りが分かりました。日本側が当初、アメリカ人乗客の早期帰国を提案したのに対し、アメリカ側は「乗客の移動は感染リスクが高まる」として船内にとどめるよう要請していたということです」(NHK2月23日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200223/k10012297661000.html
https://jp.reuters.com/article/china-health-ship-i...
それが一転して14日間の潜伏期間が終了する直前になって、米国は何を考えたのか米国人を帰国させるためにチャーター機で引き取っていってしまいました。
それもこの中には感染が確認された者がいたにもかかわらず、強引に引き上げさせたのですからその理由がわかりませんでしたが、やはり米国政府内で激しいぶつかり合いがあったようです。
「米紙ワシントン・ポストは20日、横浜港に停泊中のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号から自国民ら計328人を退避させた米政府の対応に関し、新たな検査で感染が確認された14人を日本に残すよう主張した疾病対策センター(CDC)の反対を押し切って、国務省が全員帰還を決めた経緯を伝えた。
それによれば、下船した米国人らが17日未明、米政府のチャーター機での帰国を待って、羽田空港に停車したバスの中で不安な時を過ごしているさなか、まだ16日午後のワシントンでは、新型ウイルスに関するタスクフォース(作業部会)の電話会議で全員帰還の是非を巡って激しい議論が繰り広げられていた。
チャーター機には感染者の防疫スペースがあり、感染者には症状がなかったが、CDCの当局者は感染拡大の恐れがあるとして14人を帰国させることに反対を表明。これに対し、厚生省の当局者は、帰路で感染者に症状が出た場合などに備えがあるなどと反論し、国務省が最終判断を下した。
この決定に納得できないCDCの当局者は、国務省が用意する発表資料にCDCに一切言及することのないよう求めたという。決定に関与した米政府高官は「最悪の悪夢のようだった」と、非公開のやり取りであることを理由に匿名で同紙に語った」
(ブルームバーク2月21日)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-02-21/Q61CH7DWLU6L01
CDCは当初から日本政府のやり方に賛成していたようです。
しかし、国務省はメディアの「日本が不当拘留している」という声に押されて引き上げを決めたのですが、その際も当初は「感染者は搭乗させない」と言っていました。
しかしそれさえも出発直前に感染確認された人が出たにもかかわらず、それらの人まで含めて「症状は出ていない。機内で区分できる」と強引に主張してチャーター機に乗せてしまったということのようです。やれやれ。
怒ったCDCは、この引き上げ決定にうちの名を出すなと言ったそうです。
とまれ、時間が立つにつれてダイヤモンドプリンセスに対しての日本の対応は、おおむね間違っていなかったことが立証されつつあります。
ちちろん先日来騒がれているように、検疫のとりこぼしや作業者の感染などのミスなど失敗は多々ありますが、世界史上初めての事例のためになにひとつマニュアルもないところからの苦闘だったことを知ってから、冷静に判断すべきではないでしょうか。
いまだ保守論客の中にも、、「日本政府のダイヤモンドプリンセスの対応はまったくの失敗」と断じている人がいるようですが、その非難はいかがなものでしょうか。こういう人をみると、自分でやってからにしろよと言いたくなります。
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