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2020年3月

2020年3月31日 (火)

自分が無症状感染者であることを恐れなさい

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いかなる伝染病も必ず終了します。終りがなければ、人類は『復活の日』よろしく滅亡するということになります。
なぜ終わるのかといえば、ウィルスは単独では生きられないからです。
ですからウィルスは絶対に宿主、つまりひとときの宿が必要で、宿主の遺伝子に介入していいように変えてしまいます。
まったくとんでもない奴ですが、宿主を乗っ取るのはいいのですが、ヒトの過半数が大なり小なり罹ってしまうと、宿主が集団的に抗体を体内に作り出してしまいます。
つまりワクチンを打ったのと同じことで、もうこうなるとウィルスは体内で悪さをできません。
これで感染拡大はお終いです。ざまぁ、です。うまくできていますね。

さて、それを見る一つの指標に、実効再生産数(R1) という難しげな概念があります。
小難しくいえば「感染症の流行が進行中の集団の、ある時刻における、1人の感染者が生み出した二次感染者数の平均値」のことだそうです。
要はひとりの感染者が何人にウィルスをうつすかという感染力の強さを見た指標のことです。
ひとりがひとりにうつせば1で、1を下回り続ければ、感染者はひとりの人にもうつせないのですから縮小再生産していき、おっつけ感染は終息に向かっていくということになります。
ちなみに中国のように感染拡大がひどい状態になると、実効再生産数がドーンと3になったりします。

「中国で流行が続く新型コロナウイルスによる肺炎について、ウイルスの感染力は1人の感染者からうつる人数の目安となる「基本再生産数」が当初推定より大きいとする分析結果が世界の研究機関から相次いでいる。いずれも3程度としており、世界保健機関(WHO)が見積もる1.4~2.5を上回る」(日経2月20日)

一方日本は2月6日前後には2に近づきかかりましたが、2月下旬からは1を切り、3月からは1以下で推移しています。

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https://www.businessinsider.jp/post-209900

上図のオレンジ色の棒グラフは日本における新規の感染者数(左軸)ですが、青色の実線は実効再生産数の推定値(右軸)です。
2月末までは実効再生産数が1を上回る日が続きましたが、3月上旬には1を下回るようになったのがわかります。
ただし、また増加の傾向にあります。
このところ首相や都知事は「ぎりぎり持ちこたえている」という表現を使いますが、それは実効再生産数がまた1を超えるような増加が随所にみられるようになったからです。

K1

https://breaking-news.jp/2020/03/24/053402

日本人は喉元過ぎると安心してしまう悪い癖があるので、ここでやや弛みが出たでたようで、大規模なイベントをする大馬鹿野郎も出ました。
この時期に大規模イベントをしたら巨大クラスターを作る可能性があります。
しかも格闘技でしたからタチ悪い。密閉された室内で、ワーワー喚いて飛沫感染をするわ、隣とは肩がふれんばかりに密集するわ、何時間も大勢で一緒にいるわ、と見事なまでのクラスターを作る条件を作ってしまいました。
このK1主催者は感染爆発が引き起こされたら、損害賠償してくれるんでしょうね。

いいでしょうか、ここが肝心なことですが、今回の新型コロナは無症状者が多いのです。
格闘技観戦に来る若い人たちは特に症状が出にくいという特徴があります。
しかし影の感染者だったとしてもなんの不思議もありません。
彼らが無意識にうつすのです。彼らがうちに帰って、おじぃちゃんやおばぁちゃんにうつさない保証はなにもありません。

永寿総合病院は巨大クラスターになってしまい、院内はおろか他の病院にまで感染を拡大しました。

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クラスターが分かるのはまだしも救いがあります。問題は、上図でもわかるように永寿クラスターの感染者の4割が感染経路不明なことです。

「都はまた、10~70代の男女17人が新型コロナウイルスに感染していることを新たに確認したことも明らかにした。このうち半数を超える9人は、現時点で感染経路が分からないという。重症者はいない」(読売3月24日)

この記事にあるように、新たな感染者のうち半数を超える9人はうつされた記憶がないし、外国にも渡航していませんでした。
つまり無症状者からうつったのです。ゾっとしますね。「見えない感染者」からうつされるなんて!

京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸准教授はこう叫んでいます。

「今回のウイルス、感染しても多くの人は気がつかない。無症状なんだよ!でも、それが危うい。他人に知らないうちにうつしちゃう。そして、中には発症して、死んでしまう人がでる。まずは、意識改革だ!」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200330-00000030-asahi-sctch

だからひとごみに行くな、イベントには行くな、この時期はクラブも居酒屋も我慢しろといわれているのです。
感染がうつるリスクよりも、自分が無症状感染者で、うつすかもしれない可能性を考えなさい。

「「自分は今、感染している!(無症状で!)」「誰にもうつしちゃいけない!」そう考えるとこから始まる。コペルニクス的転回。パラダイムシフト。考えをひっくり返せ!うつらんようにするより、「うつさんこと」に意識を集中する」(宮澤前掲)

症状がでない人も、自分が感染者であると思って行動しましょう。
手洗いやマスクは自分のためではなく、隣人のためなのです。

 

※お断り テーマが二つになってしまったので、無症状者以外については別記事に回して改題しました。

 

2020年3月30日 (月)

新型コロナ対策の「日本方式」とは

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土曜日の首相の会見はこんなもんだろうな、きっとこんなだよ、でもねなんて思いながら見ていましたが、やっぱりこんなもんでした。
あの人は、自由にしゃべれんのですよ、だからたまっているもんがつい野次にでる(やめなさい、みっともないから)。

首相が記者会見で述べたことは煎じ詰めて超訳すると3点にすぎません。
都市封鎖と非常事態宣言をやると言うかと思っていましたがなかったようです。
今週いっぱい見てやるかやらないかを決断するのでしょう。

①ウィルスとの戦いはいまが瀬戸際だ。長期戦になることを覚悟しろ。
②現金給付させるところまでは財務省を折れさせたが、一律給付には反対しているので国民のみなさん応援してね。
③消費税減税は財務省がこれだけは死守すると言っているから、同じく頑張ろうね。

こんな国民全体が溺れかかっている時はスピードが生命です。
こんな時期に、やれ所得制限だの、貸し付けだの、政府金融機関へ行けだのと言っている奴は死ね。
給付対象を絞っていたらいつの話になるのかわかりませんし、貸し付けではなく返さなくていい給付にしないといまの急激な経済の落ち込みで苦しんでいる人が救済されません。
そもそもNZなんか黙って50万弱を普通口座に振り込んできたそうです。
日本政府も黙って50万くらいを納税者に一律に還付すればいいのです。

消費税もなくす千載一遇のチャンスですから、いま消費減税できないでいつやれるつうの、です。
一回なくしたら戻せないって言う奴もいますが、なくなりゃ結構なんですが、あえて戻す条件ならば日銀のインフレ目標率3%の時点でいいじゃないですか。

財務省に家庭教師されたような岸田政調会長など、消費税をなくすまでに駆込みがあるからっていうのを反対理由にしているようですが、そんなもんは期限付き給付にすればいくらでも解消できます。

それにしてもバカな記者がいつになったら終わるんだ見通しは、なんて聞いていましたが、首相がサラっと答えたとおり、いまそんなことを言える首脳なんてひとりもいやしません。バカですか、こいつ。
米国は一日1万人で感染者を増やしているし、イタリアの死亡数は1万人を超える勢いです。
むしろ感染拡大は、ヨーロッパの小国まで容赦なく押しつぶしながら、アフリカ、東南アジア、南アジア、そして中南米にまで拡大の一途です。

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いろいろな指標の見方がありますが、おそらく100万人あたりの死亡者数でみるのがもっとも客観的でしょう。
というのは国の人口が多ければ感染者はそれに比例して大きく出ますし、死亡者を見ればおおよその感染拡大の状況の目やすがつきます。
それも100万人にあたりに換算しなおさないとダメです。
また感染の伸びを見るには前日からの増加数を見ます。グラフの伸びの角度です。

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クリックすると大きくなります。

米国は上図の上から4番目の赤線ですが、累積数ではなくその角度に注目下さい。2月19日頃(横軸に英語表記●が1日)から直角に近い角度で上昇に転じました。
上から2番目のフランス(緑線)の伸びにも恐怖を感じます。
日本は最も下の青線ですが、上昇基調なことは同じですが比較的なだらかな曲線で上昇し続けています。
これらの国での感染拡大は、もはや政府のコントロールが効かなくなっていうことを意味しています。
一方日本は感染拡大は続いていて終息フェーズではありませんが、コントロールされています。

では100万人あたりの感染者数と死亡者数を見てみましょう。
これを見ると、感染の地域がヨーロッパの小国にまで及んでいることが見えてきます。

●100万あたりの感染者・同じく死亡者数・前日からの増加数(3月27日現在・感染者の上位から)
・イタリア・1332.人・135.87人・6203人
・スペイン・1235.9人・93.26人・8271人
・スイス・1364.7人・22.07人・914人
・オーストリア・767.1人・25.33人・1321人
・ノルウェー・621.4人・2.58人・285人
※米国・252.8人・3.65人・15461人
※日本・11.1人・0.37人・94人

単に感染者数だけでみると米国がトップに躍り出ますが、これはニューヨークに感染爆発が集中しているためで、全米的な流行ではかならずしもないことがわかります。
またヨーロッパの小国であるスイス、オーストリア、ノルウェーが100万人あたりの感染者数・死亡数でも上位に入ってきています。
あまり報じられることがないヨーロッパの小国ですが、感染状況は極めて厳しいことが察せられます。

ようやく日本の感染拡大に一定の歯止めが効いていることが、国民全体にも理解され始めたようです。
日本がとっている感染爆発防止戦略はこのようなものです。

日本は感染者の発見に比重を置きませんでした。これが初期にメディから叩かれまくった最大原因でした。
それはなんども書いてきていますが、医療インフラを守り、社会・経済機能への影響を最小限にとどめるためです。
医療インフラが解体してしまうと、新型コロナ感染者だけではなく、一般患者まで医療を受けられなくなり傷口を拡げてしまうからです。

その代わり、日本が世界一保有するCTやMRIを用いた診断で感染者を疑う人をふるいにかけて、怪しい影が肺にあるとPCR検査をする方式をとりました。
下図をみるといかに日本が突出してCT・MRIを有しているかお分かりになるはずです。日本が別次元のように右端にポツンと図抜けているのが見えますね。
しかもCTが新型コロナを見つける感度は9割でPCRの7割を凌いでいるのです。

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中国の武漢で医療活動していた医師が、「いかに重症患者を見分けるかが大事だ。重症患者に対してタイムリーに治療を行うことで死亡率を下げる」と述べていましたが、まさにこれは日本がとった方法のことです。
日本は元来持っていた世界有数の医療システムと、人的、設備的水準の高さで患者を殺しませんでした。
これが日本がPCR検査一本に頼る諸外国との差として大きく違った理由です。

また一方でこのようなウィルス防衛戦略を打ってきました。

水際作戦に重きを置かず、クラスター(患者集団)の早期発見・早期対応に努める
日本は中国への渡航制限をかけるのが欧米よりも遥かに遅かったために、まるで発狂したように保守論客が騒ぎ出しました。とくに百田、門田、長谷川の各氏に猛省を求めます。
彼らは日頃の中国嫌いで加速されてしまって、中国に渡航制限をかけさえすれば日本にウィルスが侵入することはなかった、「遅かりしアベ」(某保守言論誌のタイトル)というようなイッちゃった言説を吐きちらしました。
この人たちは国が前面に立ったガツンという政策をとるのがお好きなようで、防疫の全体の流れを理解していません。
水際には水際の役割があって、流れで見ないとわからないのです。。
この人たちは事実の推移によって破綻し、言論人としての信用も喪失しました。

また1日5回も6回もテレビで顔を見た岡田晴恵氏のデマッターぶりは、福島事故時の武田邦彦に優るとも劣らないものでした。
おい、テレビ局、まだ使うのか、あのうさんくさいオバさんを。

彼らが根本的に間違えていたのは、渡航制限などは粗い篩いにすぎず、いかに水際で構えていようと必ずウィルスは侵入してくるという厳然たる事実です。
ですから水際でどうのこうのではなく、これは医療体制の整備や国内クラスター探しのためのただの時間稼ぎでしかないのです。

日本は早期からクラスターを探し出し、そこからの感染者の動向を調査し、そのラインをたぐって拡大を阻止しようとしました。
これはニューヨークでも行われ始めたことで、ジョンズポプキンス大学が毎日下のようなグラフクラスターマップをアップして警戒を呼びかけています。

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患者の早期診断・重症者への集中治療
日本は軽症者、あるいは無症状者に対しては「冷たい」対応を選択しました。
おかしいと思ったら病院や保健所に相談し、自宅で静養すること、これだけです。
これもメディアは狂ったようにバッシングして煽ろうとしましたが、いまになってやっとその結果がみえたようです。
この戦略により医療提供体制が確保され、医療機関の能力と秩序が保全されました。
このことが日本の死亡率が群を抜いた低く抑えられた最大の原因です。

市民の行動変容をうながす

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新型コロナの特異性はそのすさまじい感染力の強さです。
接触感染と飛沫感染によって感染拡大します。
接触することによって拡散していきますから、いちばんいよい方法はうがいなどより(それもしてね)手洗いの励行です。
シンガポール政府は、他人に触らせたスマホ画面はアルコール綿で消毒しろと注意を呼びかけているほどです。

またマスクはウィルス防御としての効果は低いのですが(あんなもんではスースーにウィルスは透過しますから)、自分がウィルス感染者だった場合に周囲の人に飛沫感染させることを防止します。
他人がいる場所でくしゃみをするような奴は引っくくられてもしかたありません。飛沫は2メートルは飛びますからね。

え、オレは罹っていないよといっても、今度のコロナがコワイのは無症状者が大量にいると推測されることです。
そういう隠れた感染者が、外出して知らないうちに周囲にウィルスをバラ撒いています。

そうそう、都市封鎖というと「入る」ほうばかり言われますが、「出る」ほうもダメですから念のため。
いま空いている地方都市に行くのも好ましくありません。
観光業者には申し訳ないのですが、あなたが無症状者にすぎないという証拠はないからです。

ですから、小池さんか行っていた「三つの密」、つまり「密閉・密集・密接」をなくそうというのはとりもなおさず、無症状者対策でクラスターを作らないためでもあるのです。 
これは高い公衆衛生常識を持つことを誇りとする日本ならではのものともいえますが、外国でもやってやれなくはないはずです。

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これらのことが私が「日本方式」と名付けているものです。
日本をまねできるかできないかは、自ずと別問題ですが、わが国はこれで戦っています。

 

2020年3月29日 (日)

日曜写真館 菜の花屋敷

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この屋敷が一年でいちばんめかしこむ季節です

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菜の花と桃の花のプロムナードです

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ようこそ、一緒に春を愛でませんか

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私が敬愛する司馬遼太郎さんの好きな花は菜の花でしたっけ

●NZ警察のツイート・歴史上で初めて、テレビの前で寝転がり何もしないだけで、人類を救えるんだ。ヘマするなよ

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https://twitter.com/nzpolice/status/1242644889751285760/photo/1

 

2020年3月28日 (土)

「ポストコロナ」時代のイニシャチブを中国から取り上げねばならない

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実に暗い春となってしまいました。なんというのか、この世の無情をかんじる今日この頃です。
私もこの1週間、ずっと喉が痛い、頭痛がする、だるいという志村ケンのようになっております。
いままでは季節の変わり目です、ご自愛下さいで済んだのですが、今やコホンとしようもんなら周囲からジロリとにらまれる世情となってまいりました。
ああ、コロナブルー。

われらがボリスは新型コロナの感染者だったことが判明し、赤恥をかいています。
たぶん持論の集団免疫をリーダー自らが高めようという自己犠牲精神なのかもしれませんが、説得力がなくなりました。
といってもトランプよりは数段ましで、米国はとうとう中国を追い抜いてしまいました。

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●米中感染拡大比較
・米国83672人・100万人あたりの感染者331人・死亡者1207人・100万人あたりの死亡者3.65人・回復者1864人・現患者80599人・重症者2122人
・中国(同上)81285人・56.5人・3287人・2.28人・74051人・3947人・1235人

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問題なのは累積感染者数ではなく、前日比で1万人の大台を超えたことです。
これはまだまだ感染ピークが先だということを現しています。
特に全米でニューヨーク州(青線)が激増しているのが下のグラフからもわかります。

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全米の傾向としてはニューヨークを除いて頭打ちとなっているのがわかります。

「NYを入れると他の州が見えなくなるので、NYを除いた上位10州の感染者数のグラフ。目立つのはNJの急激な増加、WAの抑え込み、その他の州の着実な増加。人口2位のTXが上位10州にも入ってこないのが特徴的」(白石賢司ツイッター・上グラフも)https://twitter.com/Knjshiraishi/status/1243707898225512448

ニューヨークではあらゆる手を尽くして病床を確保しようとしているようです。
下の画面を見ると必要とされるベッド数は14万床、確保しているのは半分にも満たない5万3千床のようです。
武漢のように体育館やコンベンショホールまで臨時の病室にしています。

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「ニューヨーク州の新型コロナ感染者数は1日で7千人以上増えて4.5万人になった。一方で、コンベンションセンター、市立大学の寮や体育館を病院に改装してキャパシティを拡大している。スピード勝負だ。」(白石前掲)

こういう感染激増があると、米国民は銃を買いにはしります。銃器の売り上げが6倍となったそうです。
社会不安のポテンシャルがたまってきているようです。

一方日本は米国に対して渡航制限をかけました。たぶん平時においては歴史上初めてではないでしょうか。

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この感染拡大は安全保障面にも及び、米国の海外最大の戦略拠点である横須賀軍港は感染者を出して閉鎖に追い込まれました。

「米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)に配備されている原子力空母ロナルド・レーガンの乗組員2人が新型コロナウイルスに感染したことが確認され、米軍は横須賀基地を封鎖した。FOXニュースが27日、米軍当局者の話として伝えた。
ロナルド・レーガンは横須賀基地に入港中で、基地は少なくとも29日まで封鎖される見込み」(日経3月28日)

また太平洋上の空母においても感染が出てしまい、ダイヤモンドプリンセス状態になってしまったという報道もでてきています。

「米国のモドリー海軍長官代行は2020年3月26日に記者会見し、太平洋に展開中の米原子力空母「セオドア・ルーズベルト (USS Theodore Roosevelt, CVN-71)」で新たに複数の乗組員の新型コロナウイルス感染を確認したと発表した。24日に発表した3人に加え、更に5人を船外に搬送し、他の感染者は艦内で隔離している。乗組員約5000人全員にウイルス検査を行うという。多数の船員が長時間にわたり共同生活を送る空母や潜水艦などでは、集団感染のリスクが高いと指摘されてきた。民間のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」などで感染者が多数確認されたのと似た状況だ」(読売3月27日)
https://www.yomiuri.co.jp/world/20200327-OYT1T50125/

ウォールストリートジャーナルはこの空母の感染者数を23人と伝えています。
徹底的な検査をすると海軍長官が言っていますから、ダイヤモンドプリンセスの経験をしている私たち日本人の眼から見れば、まちがいなく相当数の感染がでるはずで、この2隻の空母はとうぶん戦力外となります。
軍隊は厚労省が言うところの感染3条件である①屋内の閉鎖的な空間、②人と人とが至近距離、③一定時間以上交わる 、といったすべてを揃えていますから、陸海空軍どの軍隊にも似たようなことがおきても不思議ではありません。
そうなると、米軍は一時的戦力を落とすばかりでなく、その後遺症にかなりの期間悩まされることになります。

ところで思い出していただきたいのですが、わずか1カ月前まで、新型コロナは黄色人種特有のものだなんて珍説がまかり通っていたのです。
黄色人種を下目にみる白人のイヤったらしさ満開ですが、本気で言っていましたからね。

麻生氏は2月22日のリヤドで開かれた会議で、各国へ新型肺炎に対する財源確保を促していましたが、その時の反応です。
迫り来るコロナ恐慌に対する危機感のなさは絶望的ですが、こういう毒舌吐かせるとウマイね、この人。

「2月の終わりにサウジアラビアのリヤドでG20の財務大臣・中央銀行総裁会議が始まった時にこの(新型コロナウイルスの)話は出たんですが、もう全く反応ありませんから。『だって俺のところ感染者いねえから』みたいな。ヨーロッパはそうだったんですよ、あの頃は。
それが1週間したらいきなりG7の財務大臣会合の電話会談をやろうと申し込んできましたので、何考えてんだって。イタリアがいろいろ言うから、つい1週間前隣の席で『何の関係もない』って、『あれは黄色人種の病気で俺たちの病気じゃない』って誰が言ったんだって。お前が言ったんじゃないのかって。何考えてんだって言ったのが、この間の第1回の会議です」と述べた」(ロイター2月23日)

実際に、欧米の危機感はゼロでした。欧米メディアが言いたい放題日本をクサしていたのはこの時期です
そしてこの妙な自信を覆しておつりがくるような感染の欧米における大爆発。
しかし最近になって、中国発生前に既に新型コロナの発生がイタリアで始まっていたのではないか、という新説がミラノ大学から出ています。

「伊ANSA通信は同日、感染者数が最も多い北部ロンバルディア州で、「1月初めからウイルスの感染が始まっていた」とする研究論文が出たと報じた。同州の保健総局やミラノ大学などの研究チームが発表したもので、英科学誌ネイチャーは25日、「非常に印象的だ」とする感染症専門家の言葉とともに紹介した。
 研究は、陽性が確認された約5800例をさかのぼって調査したもので、2月20日に同州内の町で、イタリア国内最初の患者が確認された時には、ウイルスはすでに同州南部の広い範囲に拡散していたという。またこの時期には、1人が平均3人を感染させる強い感染力があり、約3日ごとに感染者数が2倍に増えていたと指摘している。
疫学の専門家の間では、新型コロナウイルスによる肺炎に似た症状がイタリアで昨年秋から確認されており、欧州での感染がもっと早く始まっていたとの見方がある。陽性患者の追跡調査に基づく今回の研究は、こうした指摘を裏付けるものと言えそうだ」(朝日3月26日)

つまりこの説によると、テドロスが中国にご機嫌伺いに行った1月28日の時点では既にイタリアにおいてはその1カ月前の1月から感染が始まっていたということになります。
その説を取ると、おそらく米国でこの時期猛威を奮っていた新型インフルエンザ患者の中にも、相当数の新型コロナの感染者が混じっていたと考えても不自然ではありません。

中国はいち早くこの新説をプロパガンダ戦に利用しています。
というのはこの説が正しいとするなら、イタリアや米国の感染発生の原因は、中国人が外から持ち込んだのではなく、そもそも内部に存在して、中国の感染拡大期と米国・イタリアの発生はただ時期がズレて発生が起きたにすぎなくなるからです。
中国に都合よく解釈すれば、発生源は武漢ではなく、欧米だということです。
したがって中国は加害者ではなく、いやむしろ米国やイタリアからウィルスを持ち込まれた被害者であるということになります。
そのうえに既に中国はこれに打ち勝ち、勝利のためのノウハウと医療器具を持っておるぞ、専門家と器材を提供してやってもよいのだがな、うふふ、というわけです。

だが、そうはいってもなにもなければ何をおっしゃるウサギさんでしょうが、今の国際社会は体力を喪失し、混乱の極にあります。

「新型コロナ肺炎で先進国までが医療崩壊に直面し、自信を失い、心細くなってきているところに、この中国の「大外宣」はわかっていても、すがってしまいたくなる巧妙さがある。
この大外宣の大舞台の一つが、26日のサウジアラビアをホストとしたG20新型コロナ肺炎への対応に関する特別サミット。この特別サミットはG20としては初のテレビ電話を使ったサミットで、感染症が発生して以来、習近平が初めて出席する国際会議でもある。習近平は北京から参加した。
習近平は「ウイルスに国境はない。感染症はわれら共同の敵。各国は手を取り合って立ち上がり、最も厳密な共同防衛ネットワークをつくらねばならない。中国はすでにネット上で知識センターを立ち上げ、各国に開放している」「中国が最も困難な時、国際社会は中国に真心と支援をくれた。私たちはこの友誼を終始心に刻み、この友情を尊く思っている」
「新型コロナ肺炎がパンデミックを起こしているなか、国際社会にとって最も必要なのは堅い自信、心を一つにして協力すること。団結して対応し、国際協力を全面的に強化し、結集してこの感染症との戦を勝ちぬき、そしてこの人類と重大感染症との闘争に勝利するために手を取り合いましょう」と、重要演説をぶった」(福島香織の中国趣聞 番外:習近平大外宣とG20)

残念ですが、国際社会はまんまとこの中国の甘言にひっかかる脇の甘さ全開なのです。
冷静に考えれば、中国が嘘八百をこいているのは明々白々ですが、今のイタリアや中東諸国、そしてアフリカや中南米はこのプロパガンダにモロに屈することでしょう。
そしてこれにWHOなどの国際機関が追随します。というか主導してしまうかもしれません。
これらの国連機関のトップは新興国から選ばれると決まっていて、その票を握っているのは他ならぬ中国だからです。
だから何度事務局長が替わっても、延々と親中国派が実権を握り続けています。

本来、これに対抗して自由主義陣営の結束を図らねばならない米国がこのていたらくですからどうしようもありません。 
この情勢が続くと、いち早く回復した(うそつけ)の中国に対して、トランプは口先でどなり返すのがせいいっぱいです。
経済は半身マヒ、社会は大混乱、頼みの軍事力もダイヤモンドプリンセス状態ではとうにもなりません。

となるとこのまま推移すれば、ポストコロナ時代は中国が主導権を握ることになります。
自由主義陣営の次の勝機は、米国と日欧が協力して、ワクチンと特効薬を開発し、大量供給できる体制を一刻も早く整えることです。

これについては日本は大いに力を貸す用意があります。
なんせ日本は世界のどの国もしなかった「日本方式」、すなわち検査を抑え、重症患者をケアするための医療機関保全に医療リソースを集中させて感染爆発を凌いだからです。
おまけにアビガンなどの特効薬はわが国オリジナルです。

もしこの世界のやり方と全く違う「日本方式」で感染をおさえこんでしまったことが明確になれば、日本の知見と体験はポスト・コロナ時代の新しいゴールドスタンダードとなり、日本は戦勝国組となる有資格者となりえるでしょう。

ああ、こういうポジティブなまとめ方しないとやりきれないっすよ(笑)。

 

 

2020年3月27日 (金)

首都閉鎖が必要なわけ

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東京でロックショーをやって皆んなでダウンしよう、という野心的な試みを小池都知事が発表しました。
小池氏に言わせると、現況の政府の方針はオーバーシュートなので、ロックショーをするくらいパーっとやったるわ、ということのようで、さすがパーフォーマンスの女王は違うと感じ入りました。
え~小池さん、河野太郎さんじゃないが、こういう都民の生き死に関わることは、お願い日本語でやって下さいね。
なにかあの人、ひどい知的コンプレックスでもあんのかしら、さもなくば横文字でいうとなんかご大層なことを言ったような気がするという日本のインテリ特有の悪い癖がでたのかしら。

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ま、それはともかく、東京都は緊急事態宣言を準備します、というノロシを上げたことになります。
おそらく知事が都民に要請した今週末の外出の自粛がスッポ抜けて、頭の軽い人がk1大会に殺到し、感染者が増えるようだと、伝家の宝刀を抜くかもしれません。
と言っても哀しくや現段階ではただの要請、つまりは「お願い」にすぎず法的拘束力はありません。
法的拘束力をもつのはコロナ新法を持つ政府ですから、今後今週末の動向を見ながら、緊急事態宣言と首都閉鎖をする決断をするようです。

では東京都で感染爆発が起きているかどうかみてみましょう。
問題は数そのものよりも、カーブの角度が深くなっていることです。
感染爆発の兆候が出たのです。

●東京都の感染状況(3月26日現在)
259人
26日の感染者数47人
1日では最多
詳しくは東京都新型コロナウィルス感染症対策サイトをご覧下さい。
https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/

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松重克洋氏による

 ●東京都の感染数推移
3月19日時点・入院86名・死者2名
1週間後の25日・入院170名・死者5名と倍増

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現時点で感染が確認された人は、いまから2週間前の3月上旬に感染した確率が高いといえます。
東京都は世界有数の巨大都市ですから全国・全世界から人が流入しますが、今回の大型のクラスターとみられた場所は明らかになっています。
3月25日までに患者や医療従事者15人の感染が確認されている台東区にある永寿総合病院で、ここからの感染者が今回も10人でています。
またこの病院から慶應大学病院に転院した患者からも今回感染が明らかになりました。
なお慶応病院の新規感染者は、永寿総合病院から転院した人と同じ病室に入院していました。
もう東京都はやっているでしょうが、永寿総合病院の感染者の動向を洗い出せば、そうとうに感染ルートか見えてくるはずです。

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朝日

永寿総合病院は基礎疾患持ち高齢者がひとり死亡していますし、感染者には看護師も含まれています。
感染者が持病もちの高齢者と医療関係者に集中する構図がここでも鮮明になりました。

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「東京都は24日、永寿総合病院(台東区)に入院中に新型コロナウイルスの感染が発覚した70代の男性が死亡したと発表した。糖尿病などの基礎疾患があった。同病院では、他に患者と医療従事者の計3人の感染者が確認されており、外来診療を中止した。都は院内感染の可能性もあるとみている。
都はまた、10~70代の男女17人が新型コロナウイルスに感染していることを新たに確認したことも明らかにした。このうち半数を超える9人は、現時点で感染経路が分からないという。重症者はいない」(読売3月24日)
「東京都台東区の「永寿総合病院」で、入院患者や看護師十数人が新型コロナウイルスに感染していたことが発覚した。都によると、院内での集団感染が疑われるケースは都内初。同病院は、外来患者が年間20万人を超える同区最大の病院」(朝日3月26日)

発生源が永寿総合病院とそうとうにはっきりしている上に、ここからの転院先で出たのですから、この25日、26日の感染増加の原因は特に驚くに値しません。
また、海外から帰国した人が6人ほどいて、これらの人はいまから潜伏期間の2週間ていど前の渡航制限がかかる寸前に日本に帰国した人たちだと考えられます。
したがって感染源がわからない人は半数ていどの20人くらいです。
この「覚えがない」ということは、感染者との接触で出た可能性があります。
実は分かっている感染者より、このほうが怖い。
無意識でうつし、うつされている可能性が高いからです。
全国事例では夜の繁華街の少人数の会食がクラスターになった場合もみられるそうです。

さて、ニューヨークはいい反面教師となります。
ニューヨークはよせばいいのにスクリーニング、つまり白黒つけたい声に押されてPCR検査をしまくったあげく 医療崩壊の危機に直面しています。
そりゃこんなテントでやれば結果は見えています。

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感染者は全米で世界2位の3万人超え、ニューヨーク州だけで実に約1万5800人に昇ります。この責任はクオモ・ニューヨーク州知事が負わねばなりません。

「ニューヨーク州のクオモ知事は「どこよりも多く検査をしている」と強調した。すでに6万1千人が検査を終えたという。ただ、検査の拡大とともに判明した感染者の数も急増。重症患者を受け入れる集中治療室(ICU)のベッド数が足りず、病院に緊急でない手術を控えるよう要請した」(日経3月23日)

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日経

クオモの馬鹿っぷりは冴え渡っていて、なんともっと検査をしたいから、一般患者の手術をひかえるようにというお達しまで出しています。
もはや馬鹿というより一種の狂人です。医療崩壊してもいいと言っているに等しいのです、この男。
医療崩壊を避けなければならない最大の理由は、現代医療で救えたはずの命が失われるからです。

この人物の浅はかさは、検査を増やせば助かると思っていることです。
逆です。検査を感染者探し(スクリーニング)目的で使えば、当然感染者は積み上がっていきます。
そしてここがやっかいなのですが、新型コロナはただの病気ではないことです。
非常に強い感染力を持ったワクチンが存在しない、言い換えれば抵抗する術が対処療法しかない感染症なのです。
ですから、陽性判定を受けると日本の場合は指定感染症として隔離の対象となって感染症病床に入れねばなりません。
日本には感染病床数は1758床しかありません。

もちろん足りません。なにを政府はやっているんだと怒らないこと。
指定感染症のためだけに多くの病床を用意しておくと、一般病床が不足して、通常の医療の妨げになるからです。

ですから厚労省は2月9日付の通知で、「緊急その他やむをえない場合は一般病床でも入院可」と告知し、「感染者同士なら相部屋にしても良い」と方針を示しています。
また、病床だけではなく、特殊な感染症用
マスクやゴーグルなど院内感染防止器具も確保せねばなりません。
重症者のための人工呼吸器も必要ですから、いきなり感染者が増えるとこれらの感染症用医療器具がすべて不足します。
それだけではなく、今回の病院内の院内感染であきらかのように、感染するリスクが最も高いのは医療関係者ですから、感染者が急増するに比例して医療関係者がバタバタ倒れていき、医療の水準が更に落ちていくという悪循環に陥ります。

いまニューヨークで起きているのは、この医療崩壊の現在進行形なのです。
しかしニューヨークで起きたことが東京で起きないという保証はありません。
頭かどうかしているとしかおもえないk大会をやるような馬鹿者がまた出ないとも限りません。
だから、終末の徹底した自宅待機を東京知事はお願いしているのであって、これが不発に終わって、25、26日のような著しい増加傾向が見られた場合、とうぜんのこととして非常事態宣言となります。

その場合、一定期間の首都閉鎖はセットです。
東京に通勤すらできなくなりますから、影響は大変なこととなります。

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だから、首都閉鎖にならぬように、今週末くらいおとなしく家に居て下さい。

なおつけ加えて起きますが、この非常事態・首都閉鎖措置は感染者ゼロを目指すものではありません。
感染者は2週間から3週間前には東京都に既にいるのです。
しかし症状が出ずに日常生活を送っている人が大多数のはずです。
それでいいのです。きがつかないまま治るに超したことはありませんから。
問題が出るのはこういう無症状の人が外出して、無意識にウィルスを拡げてしまうことです。

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厚労省

外出制限はこのリスクを回避して感染者が急増する条件を取り除く事にあります。
厚労省がいう①屋内の閉鎖的な空間、②人と人とが至近距離、③一定時間以上交わるという条件が揃えばクラスターとなりえます。
外出制限は、
この条件が揃うことを減らすことで感染のピークの山をズラして、なだらかな山にしてそのことで「時間稼ぎ」をするのです。
それで稼いだ時間で必要な特殊医療器具や隔離ベット、施設などを整えることができます。

東京とその近辺の皆さん、今週末に東京にはよほどの用事がない限り行かないように。
東京をニューヨークにしてはいけません。
 

 

 

 

2020年3月26日 (木)

中華帝国は不滅なのだ

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武漢が4月8日に封鎖解除だそうです。なんとメデタイことでしょう。

「北京時事】中国湖北省政府は24日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、1月23日から実施していた同省武漢市の封鎖措置を4月8日に解除すると発表した。武漢市以外の都市は3月25日に封鎖解除を実施。武漢市は最初に感染が広がったが、封鎖から2カ月を経て沈静化に一定のめどが付いたと判断したもようだ」(時事3月24日)

理由は感染ゼロだからです。

「中国のニュースサイト「財新網」は23日、中国疾病予防コントロールセンター(CCDC)関係者の証言として、新型コロナウイルスの感染が最初に拡大した湖北省武漢市で、無症状の感染者が「毎日数人から十数人確認されている」と報じた。中国政府は無症状感染者を統計から除外しており、23日の政府発表では、武漢市の新たな感染者は5日連続でゼロだったが、実質的には新規感染者の確認が続いているもようだ」(時事3月23日)

下の写真は全患者が退院したことを喜ぶ武漢の病院関係者だそうで、おお、なんと感動的風景でしょうか。溢れ出る涙と鼻水。

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https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E7%BF%92%E4%...

ところがいつもは安定した中国の「友人」である共同もこんなことを書いています。

「 【北京共同】新型コロナウイルス感染症の被害が最も深刻な中国湖北省武漢市で、10日に行われた習近平国家主席による視察に合わせ、症状の残る多数の患者が隔離を急きょ解除され、一部の感染検査も停止されたことが19日、分かった。隔離施設の医師が共同通信の取材に、武漢市の状況改善は欺瞞だと告発した。
 医師は、習氏への配慮から対策成功アピールのため治療中の患者数を意図的に減らしていると指摘した。中国で現場の医師がこうした告発を行うのは異例。中国政府は武漢で18日に新規感染者が0人になったと発表したが、医師は政府の集計は「信頼できない」と断言した」(3月20日共同)

なにが「政府の集計は信頼できない」だ。
誰がこんな流言蜚語を流しているのかニュースソース教えろ、教えないと共同、日中記者協定に違反で特派員を追い出してくれるわ。
真実は、新規感染者はキッパリゼロです。なぜなら、あえて言うのもバカバカしいですが、われわれ共産党が「いない」と決めたからいないのです。
それ以外理由がありますかって。
3月中旬に全国で操業再開と政府が決めれば、ほれこのとおり感染はピタリと止まり、習同志が武漢に降臨されるとなれば、武漢の新規感染者はゼロとなり、4月から武漢を開けるぞと宣言すればきれいさっぱり終息しするのです。
毛沢東同志も言っています、愚公山を移す、あれ違ったか。

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https://ironna.jp/article/14517

それに西側のメディアは報じていませんが、武漢市民は封鎖解除と共に移動許可を得るといいますが、当局が発行する移動許可アプリを貰わねば移動できない仕組みなことを忘れています。
携帯にこの移動許可アプリをいれなければ、移動できないのですから、必携です。
何でこんなアプリを作ったのかって。

そりゃ分かりきっているでしょうが、武漢は封鎖すると宣言されたらたちまち500万人もの市民が市外に逃げやがった土地なんですよ。
この自分のことしか考えない自由主義分子が中国全土にウィルスをまき散らしやがったわけで、ヒッ捕まえて新疆の「職業訓練所」送りにしてやりたい、ギリギリ(歯ぎしりの音)。
こいつらが、中国の各地で「武漢人狩り」にあっているのはその報いというものです。

こういう自由主義に毒された行動を二度とさせないために移動許可アプリがなくては武漢市外にでられなくしたんですよ、なんという神の眼!
武漢市民は争ってこのアプリを携帯に入れているようですから、全市民の動向はたちどころにGPSでバッチリです。
このようなデジタル共産主義の技術では、世界一の技術があるんですからね(胸を張る)。

ただし、ほんとうにウィルスが死滅したかどうかは、神の如き眼を持つ共産党にもわかりません。
正直いえば、たぶんひとりやふたりの、(段々声が小さくなる)いや二桁、三桁の感染者がいても不思議ではないのですが、大丈夫みんな軽症者か無症状者にちがいありません。
だって「年寄り風邪」ですから、風邪なんですよ、風邪。

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なになに新型コロナのウィルスは人獣共通感染症だから野生動物に残存して野外にのこり続け、条件が整えばまた感染拡大の地雷となるだろうって。
新鮮市場で売られていたコウモリやヘビから始まったんだろうって。
まったくデタラメです。ソンナ証拠はありません。
あれは、生物兵器なのです。

新鮮市場から200m離れた武漢ウィルスラボから逃げた実験動物だろうだなんてデマを飛ばす反中分子がいるようですが、証拠がないだろうが、ざまぁ味噌漬け。
ウィルスサンプルは西側には渡さない、これが鉄則でしたから、感染初期に米国が調査にきたいなんて言ってもきっぱりと断ったのです。
ウィルスサンプルを持っていかれてたまるもんかって。
海外どころか国内の研究機関でも勝手に調べないように、ウィルスサンプルはしっかりと廃棄するように命じていたのです。

「独自の調査報道で知られる中国メディア「財新」は、昨年末、中国の複数の検査機関が未知のコロナウイルスの存在を確認しながら、中国政府が情報を公開しないよう命じていたと伝えた。感染が始まった当初に情報統制をしていた疑いを指摘するもので、ウイルスのサンプル廃棄も指示していたとしている。 対応に当たった医師らへの取材や公開情報の分析に基づく記事は、2月26日にネット上で公開されたが、まもなく削除された」(朝日2月28日)

ん、朝日も同志だと思っていりゃこんなこと書きやがって。どいつもこいつも、まとめて国外追放だ。

当初はひょっとして武漢ラボのバカが(たぶん作業員)新鮮市場に実験動物を売ったか、逃がしたかしたのだと、政府も考えていました。
なんせ農業大学でほんとにやった実績があるからねぇ。
米国留学して英語ペラペラの研究者と、貧しい農村出の下働き、まるで別の国民が同居しているのがあの武漢ラボなんですよ。
だからひょっとしてと感じてウィルスサンプルを隠匿したのですが、ここまで全世界に拡がっちゃぁね、処置なし。
今や各国がワクチン作りのために自国の患者からウィルスを分離して調べまくっていますから、もうこうなっては致し方がありませぬ。

だから、わが国は断固として被害者だと宣言することにしたのです。
米軍が武漢の軍人オリンピックに持ち込んでまき散らした、初めから結論は出来ていますからね。
しかし我が中華民族は新型ウィルスとの闘争に14億人民が一丸となって自力更生・刻苦奮闘の甲斐あって輝かしい勝利をおさめたわけで、今や西側のほうがパニックです。
米帝の中枢がボンボン燃えておるぞ、わ、はは。これが武漢ラボの「作品」なら勲章のひとつふたつやりたいくらいですが、いちおうわかんないということになってますんで。

いえ判っているのは、米国が新型インフルと新型コロナを取り違えて、すでに米国内が先に発生しているにかかわらず、中国が発生源だときめつけてぬれ衣を着せたことです。
わが有能な外務省報道官はスルドクそのことを指摘しています。

「中国外務省の趙立堅報道官は22日夜、ツイッターに、アメリカCDC=疾病対策センターが、新型コロナウイルスの患者をインフルエンザの患者と誤って診断したことを認めていると指摘したうえで、インフルエンザの流行時期を念頭に「新型コロナウイルスの感染が去年9月ごろに始まったとするならば、どれくらいの人が感染したのか。
アメリカは最初の患者がいつ現れたのか明らかにすべきだ」などと書き込みました。
新型コロナウイルスの感染は中国で去年12月ごろに確認されたとされていますが、今回の投稿は、それより前にアメリカで感染者が出ていた疑いがあるのではないかと指摘する内容で、中国が感染源ではないと主張するねらいがあるとみられます」(NHK3月23日)

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https://www.newsweekjapan.jp/satire_china/2020/03/...

なに?トランプが怒るって、バーカ、怒らせるために言ってるんですよ。
ポスト・コロナの世界の覇権闘争はもう始まっているんです。
グチグチャになった国内、そしていい線行ってた一帯一路を再建するには、米国との闘争にうち勝たねばならないのです。
これだけの危機は、米国と戦争との戦争も辞さないという対外緊張でしか乗り越えられませんからね。

それにしてもイタリア、マスク送ってやろうか。防護衣送って欲しいか、なんならアビガンもあるぞ、土下座すれば送ってやるぞ。
一帯一路やめるなんていいだすなよな。米国と縁を切れよ。感謝声明くらいだせな。

日本だけがすましているのがシャクですが、東京が危なそうで、わくわく。
というわけで、とりあえず中華帝国は不滅なのだ。
世界は中華帝国に感謝しろぉぉぉ!(エコーかけてね)
世界の人民は我が五星紅旗の下に団結せよ!

書いてて気持悪くなりましたので、今日はこのくらいで。

 

 

2020年3月25日 (水)

中国の言い分 米軍がウィルスを撒いたんだそうだ(笑)

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いやー、ここまでスゴイと思わず笑ってしまいます。今日のタイトルは始まって以来最初の(笑)つきです。
習近平が米軍犯行説を調査せよと命じたそうです。

3月10日、習はやっと武漢の現地入りをしました。李克強にはとうに入らせているのですが、自分はずっと後回しにしたというところが、さすが習大人。
日本の為政者なら、例の作業服来て真っ先に飛んで行って、現地の食品のひとつも食いまくってくるんでしょうか、さすがは中国。
ここまで中国共産党トップが臆病だと、きっと「首席、もうゼッタイ大丈夫ですから」とでもいわれたんでしょうかね。

もちろん武漢当局は、患者の新規発生なしが大号令ですから、患者がでようとでまいと、死のうと死ぬまいとナシとなったらナシなんです。
かつての北京五輪では、汚らしいというので路上生活者が辺境に捨てられたそうです。
権力者が終息と決めたら終息、来るとなると状況のほうを合わせてしまう、これが共産主義体制というものです。

この感染者ゼロは3月中の生産再開との関係でも進められていました。その仕組みはこうです。

「まず、上部組織は下部組織に対して「新規感染者は1人も出すな」と指令を出した。そして、実際に新規感染者を出した下の単位や地方政府の責任を追及して処分を行う。そうなると、中国各地の地方政府や末端の単位の責任者たちは上からの追究と処分を恐れて、何としても指令された通りの「新規感染者数ゼロ」を達成しなければならない。その際、中国の幹部たちの一貫としたやり方としては、実際に新規感染者が出ているかどうかは関係なく、数字上「新規感染者ゼロ」にして、上に対して「ゼロ」と報告すれば良い。
そして上部組織もそれが嘘だと分かっていながら、さらに上部組織へ報告していく。その結果、2月末あたりから、湖北省を除いた31の省・自治区・直轄市のほとんどで、「新規感染者数ゼロ」が連日のように報告されることになった」
(石平『新型コロナ中国「新規感染者数ゼロ」の怪』3月19日ニューズウィーク)

ただし根がすこぶる臆病な習ですから、せっかく「新規感染者ゼロ」の武漢まで行っても病院に見舞いにも行かず、患者とはテレビでの面接という腰の引け方で、中国人民にブーイングを食らっているようです。

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https://www.fsight.jp/articles/-/46652

ゴリゴリの毛沢東主義者の習としては、ここから人民戦争でいう戦略的反攻期ということになるわけで、いままで守り一辺倒だったが、さぁ者共行けぇ、米帝に目にモノ見せてやれぇというわけでしょうが、裏返すと習の政権基盤はグラグラであります。

今までも習の暗殺未遂事件は過去に繰り返し起きているうえに、今回の新型コロナで党内に反習派が作られたようです。
習は反腐敗闘争という名で他派閥を粛清しまくってきましたから、習を殺したいほど憎んでいる者はゴマンといます。
実際に彼は、いままで知られているだけで4回ほど暗殺されかかったことがあるそうで、元々子供の頃に父親の下放に連座して辺境に飛ばされた経験がある習は、人並み以上にナーバスになっているそうです。

武漢の視察までこの体たらくです。

「習近平が暗殺を恐れていることは、武漢視察のときに、視察地の小区(居住区)の全世帯に警官を二人ずつ配置し、住民の自由な行動を完全に制限したり、広範囲のマンションの屋上に狙撃手を配置したり、その重警備の布陣を見ても推察される。ウイルス予防に狙撃手は必要あるまい」
(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.58  2020年2月10日)

この新型コロナ事件の混乱によって、国民の不満は自分の村を外部から閉鎖してしまう事件という形で散発しています。

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「ある鎮の出入り口にはバリケードが築かれ、見張りの人員がたてられ、武漢人、湖北人が入らないように警戒している。江蘇省のある地域では、武漢から里帰りした人がいる家を外から施錠して強制隔離。地元紙によれば、食料は縄に結び付けて、バルコニーから引き上げる形で提供しているという」
(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.58  2020年2月10日)

中国の歴代王朝は「大疫」、すなわち悪性伝染病のパンデミックと、その後に必ず発生した「大飢」(大飢餓)で崩壊しています。
中国の王朝は疫病、今風にいえば感染症によって交代してきた歴史があります。今回のコロナの「大疫」とほぼ同時に飛蝗、つまりバッタの大群が農村を襲っています。
また中国人にとって死活的な食品である豚肉は豚コレラと、それに続くアフリカ豚コレラで大打撃を受けたまま回復していません。
まさに今の中国には、「大疫」、「大飢」というお膳立てが揃ってしまったことになります。

こんな落ち目の習がすがっているのが、「ウイルス米軍散布説」です。
おもわず私もご冗談をと思ったのですが、ネットの無責任な噂などどではなく政府の報道官がこう言っています。

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中国外務省の趙立堅報道官/Andy Wong/AP

「香港(CNN)
 中国外務省の趙立堅報道官は14日までに、新型コロナウイルスの問題に触れ、発生源は思い込まれているような湖北省武漢市ではなく米軍が持ち込んだ可能性があるとする見解をツイッターに投稿した。
米疾病対策センター(CDC)のレッドフィールド所長が今月11日、米議会委員会で示した発言に言及し、そのビデオ映像も掲載した。同所長は米国内で発生した一部のインフルエンザの犠牲者と新型コロナウイルスの関係が後で判明したと述べていた。ただ、死亡の時期などには触れていなかった。
趙氏はこれを受け、米国で「いつ感染が始まったのか? 何人が感染したのか? 病院名は? 透明性を! データの公開を!」などとツイートした。ただ、米軍の持ち込み説に関するさらなる根拠は明かさなかった。
米軍兵士の数百人は昨年10月、武漢市で開催された軍のスポーツ選手の国際競技大会に参加していた」(CNN3月14日)

武漢に真っ先に乗り込んだのも人民解放軍の生物戦担当の将軍でした。
中国は「超限戦」という名で、新しい戦争の扉を既に開けています。
これは従来の古典的武器、たとえば航空機や大砲、軍艦などにばかり頼るのではなく、積極的にサイバー戦争や生物戦争を位置づけていこうとするものです。
これはまともに戦ったら米国に勝利する可能性が全くない人民解放軍にとって福音となりました。
この超限戦の考え方は既に20年以上前に打ち立てられています。
喬良・人民解放軍国防大学教授・空軍少将が『超限戦』(邦訳KADOKAWA)としてまとめています。
その一説にはこのような文章があります。

サイバー戦争についてはこのような記述があります。

「人類に幸福をもたらすものはすべて、人類に災難をもたらすものでもある。言い換えれば、今日の世界で、兵器にならないものなど何一つない。このことは、われわれの兵器に対する認識の上で、すべての境界を打ち破るよう求めている。技術の発展が兵器の種類を増やす努力をしている時期こそ、思想上の突破によって一挙に兵器庫の扉を開けることができる。われわれから見ると、人為的に操作された株価の暴落、コンピューターへのウイルスの侵入、敵国の為替レートの異常変動、インターネットに暴露された敵国首脳のスキャンダルなど、すべて兵器の新概念の列に加えられる」(『超限戦』)

そして生物兵器に関してもこう書かれています

「言うまでもなく、人為的に作った地震、津波、災害をもたらす気候、あるいは亜音波、新生物・化学兵器などは新概念の兵器で、通常言うところの兵器と大きな違いがある。しかし、これらの兵器もやはり軍事、軍人、武器商人とかかわる、直接的な殺傷を目的とする兵器だ。こうした意味から言うと、これらの兵器は、兵器のメカニズムを変え、殺傷力や破壊力を何倍にも拡大した、非伝統的な兵器にすぎない」(同上)

新型コロナは既に去年の11月下旬には武漢で発生していましたが、それを告発した医師はデマの散布として拘束されてしまいました。
この武漢の状況を見て人民解放軍の生物戦担当官は、それが何らかの理由で人為的拡散されたと考えたことでしょう。
なぜなら、このような低毒性でありながら感染力が強い新しいタイプの生物兵器こそ、他ならぬ武漢ラボで研究していた超限戦用生物兵器だからです。
武漢には突貫工事で2600人を収容する野戦病院が作られ、数百人の軍医もそれに投入されました。
これらを管理していた人民解放軍の念頭には、「超限戦」を仕掛けられたという認識があったと思われます。

そこででてくるのが、中国政府の「ウィルス兵器にやられた論」です。
あんがい言い訳ではなく、真剣に米軍がウィルスを選手団に持たせて持ち込んだと中国政府は考えているのかもしれません。

「中国が新型コロナウイルスは外部から武漢に持ち込まれたとする説を唱え始めたのは、2月下旬頃のことです。最初は、確か中国の政府系研究機関が発生地は武漢の海鮮市場ではないとする調査結果を発表したと記憶していますが、発言者のレベルは段々と上がり、今では、中国の頂点に君臨する習近平国家主席が起源を調査するように命じております。そして、中国外交部の趙立堅副報道局長が米軍持ち込み説をツイートしていますので、習主席の指令も、米軍起源説を下敷きにしていることは容易に推測されます」(福島前掲)

中国は明確に米軍と名指しており、軍事攻撃を受けたと示唆しています。
なぜならこのような超限戦こそ、中国が米国にいつか仕掛けてやろうと武漢ラボで準備していたものだからです。

 

 

2020年3月24日 (火)

日本は開催都市契約という不平等条約をはねのけられるか

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首相が東京五輪の延期を容認するとのことです。「容認」ですか、なんとも意味深な言葉使いを。
なんと首相が言ったのか、確かめてみます。

「安倍晋三首相は23日の参院予算委員会で、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国際オリンピック委員会(IOC)が7月の東京五輪について開催延期を含めて検討すると22日に発表したことに理解を示した。首相は「(完全な形での実施が)困難な場合にはアスリートのことを第一に考え、延期の判断も行わざるを得ない」と述べた。 
また、首相は「トランプ米大統領をはじめ先進7カ国(G7)首脳も私の判断を支持してくれると考えている。判断を行うのはIOCだが、中止は選択肢にない点はIOCも同様だ」と強調した。
首相は「全ての国のアスリートが万全の準備のもとに参加できる。安全で安心な大会とする。規模は縮小せず、観客も一緒に感動を味わってもらう方針のもと、準備を着実に進めていく」と、16日のG7電話首脳会議で述べたことを説明した。この考えを22日夜に大会組織委員会の森喜朗会長に話し、森氏がIOCのバッハ会長に伝えたことも明らかにした」(産経3月23日)
https://www.sankei.com/tokyo2020/news/200323/tko2003230009-n1.html

テレビのワイドショーなんかでは簡単に「アベは延期すると言った」なんて報じていますが、そんな単純なことは言っていません。
首相は日本から中止ないしは延期するとは言わず、あくまでも「判断を行うのはIOC」であって、ここが要請するならば、しょうがない、アスリートファーストで延期することも選択肢だ、と言っているのです。
この意味は、このブログをお読み頂いている方にはご理解頂けると思います。
首相はIOCのほうに中止ないしは延期を「言わせよう」としているのです。

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毎日新聞

それはIOCの開催都市条約がからんできます。これがトンデモの不平等条約なのです。

開催都市契約
 東京都オリンピック・パラリンピック準備局(Adobe PDF)
https://www.2020games.metro.tokyo.lg.jp/taikaijyunbi/taikai/hcc/index.html

ここには明瞭にだれが中止ないしは延期した場合に責任を負うのか記してあります。

●開催都市契約2020
9
IOC に対する請求の補償と権利放棄
a)
開催都市、 NOC 、および OCOG による補償: 開催都市、 NOC 、および OCOG は、 IOC 、IOC テレビジョン・アンド・マーケティング・サービス SA ((※訳注 IOC の子会社 、第 54 条 a 項にて詳細が定められるオリンピック放送機構 OBO 、およびその役員、メンバー、理事、従業員、コンサルタント、代理人、弁護士、受託者 IOC 、各国の国内オリンピック委員会、およびオリンピック 大会組織委員会の スポンサー、サプライヤー、ライセンシー、および放送機関などとその他の代表者 以下、「 IOC 被補償者 」という を、以下の事項に起因して、直接または間接を問わず、 IOC または IOC 被補償者 が被るすべての損害、申し立て、訴訟、損失、費用、支出 外部弁護士の報酬と費用を含む 、および/またはあらゆる性質の責任 人または財産への被害を含む これには、 IOC または IOC 被補償者 が第三者 オリンピックのスポンサー、サプライヤー、ライセンシー、放送機関などを含むが、これらには限定されない に支 払うべきすべての費用、収益の喪失および損害賠償を含む 以下、総称して「 本件申し立て 」という から、常に補償し、防御し、かつ害が及ばないようにし、また免責する。


一読して青ざめるような条項で、なんとIOCには免責特権があるのですよ。
よくもまぁこんなもんをJOCと東京都(当時猪瀬知事)が呑んでしまったもんです。
こんなもんを結んでしまったら、その時点で負けです。

オリンピックはサマランチ以降、巨大な国際ビジネスと化しました。
IOCはとうにアマチュア精神などゴミ箱に投げ込んで、巨額の放映権の上にアグラをかいた世界有数の金権団体です。
その収益の根幹である放映権はオリンピック放送機構というIOCの子会社が仕切っていますが、(都市契約では「IOC被補償者」と呼んでいますが)これに損害が生じた場合どうなるのでしょうか。
「直接または間接を問わず、 IOC または IOC 被補償者 が被るすべての損害、申し立て、訴訟、損失、費用、支出 、外部弁護士の報酬と費用を含む 、およびあらゆる性質の責任 人または財産への被害は免責」されるのです。

まったくおいおいな片務的条項で、明治日本ではありませんが不平等条約の極みです。
IOCはこの都市契約を読むと、やるべきことは極少で、得る利益は「永久に独占できる」のですから、こりゃたまりません。こんないい甘い商売はない。

●知的財産権に関連する事項
41
大会に関する IOC の独占的権利、条件付での権利の移転
a
IOC の独占的権利 開催都市、 NOC 、および OCOG は、オリンピック憲章の規定を限定することなく、 本大会 、ならびに 本大会 に関するあらゆる種類および性質の権利、権原、利権が、全世界を通じて永久に IOC の独占的な財産であること、ま た、以下を含む ただし 、それらには限定されない 本大会 に関するすべての権利およびデータを、 IOC が全世界を通じて永久に所有することを認め、これに同意する。

●財務上および商業上の 義務
44
剰余金の分配
本大会
開催の結果として生じた剰余金があれば、以下のとおり配分するものとする。
a
NOC に 20
b
OCOG に 60 %。 NOC と 協議のうえ で OCOG が決定する開催国におけるスポーツの全般的利益のために使用することを目的とする
c
IOC に 20

余剰金がでたら分けてもいいよとのありがたいお言葉であります。その場合もIOCはしっかりと2割ピンハネします。
もちろん肝心な大会の運営や、選手村作り、苦しい資金繰りなど一切合切やるのは開催都市と受託国オリンピック組織委員会(OCOG)です。
今回は東京都と日本国です。
IOC様は、オリンピックから上がる放映権を「永久的に独占」できるのですから、国際機関貴族がわらわらと湧いてこようってもんです。

では今問題となっている開催については、どのように決まっているのでしょうか。

●競技プログラムの策定
33
競技プログラム、大会開催日程
本 大会期間中の競技スケジュールは、 OCOG が 本大会 の 2 年以上前までに I OC に提出し、事前に書面による承認を受けるものとする。
c
競技日数ならびに開会式および閉会式のスケジュールを含む 本大会 開催に関する最終的な日程は、 IOC が、 OCOG と 協議のうえ 、決定するものとする
d)
現時点で本契約にこれと矛盾する規定があるか否かにかかわらず、 IOC は、オリンピック憲章に基づき、また、 IOC がその単独の裁量にて 本大会 にとって最も利益になると考えた場合、いかなる時でも、競技、種別および種目に変更を加える権利を留保する。上記第 6 条の規定に基づき、 OCOG は、 本大会 プログラムに関する 競技、種別および種目の追加および または削除を含め、これらの変更についての全費用を負担するものとする。

競技日程については当該国のオリンピック組織委員会とIOCが「協議できる」とあります。
それは「予測できない不当な困難」が起きた場合です。

71
●予測できない、または不当な困難
本契約の条項により、
OC OG に影響する本契約の締結日には予見できなかった不当な困難が生じた場合、 OCOG はその状況において合理的な変更を考慮するように IOC に要求できる。 ただし 、当該変更が、 本 大会または IOC の何れに対しても悪影響を与えず、さらに当該変更が、 IOC の行使する裁量に委ねられることを条件とする。 IOC は、当該変更につき考慮、同意または対応する義務を負わないことが理解され同意されてい
る。

「不当な困難」とは、まさに今の新型コロナの世界的感染爆発などが該当するでしょうが、この場合IOCに当該国オリンピック委員会に「変更を要求できる」ことはできますが、IOCに「同意する義務はない」としています。
どこまでも責任を追わないIOCの無責任体質は「不当な困難」の時期にも一貫しているのです。
もちろんそれで生じる損害賠償請求については、9項に則りそのIOCは免責されるのはいうまでもありません。

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NHK

さてさてこの開催都市契約を読む限り、日本には打つ手はありません。
中止などは論外。延期以外に選択肢はありません。
延期をIOCと協議して延期してもらうことは可能ですが、相手が契約書を振り回して免責を叫ぶと、日本の負けは必然で、金銭的損害賠償(一説で3兆円とか)やその他もろもろの不利益は一切合切日本か被ることなります。
おまけに消費増税ショックに加えて戦後最大級の恐れが出たコロナ恐慌、そしてわが国のみがオリンピック延期をかぶるとなると、もうメも当てられません。

では、救いがないかといえば、多少はないこともありません。
それは日本が簡単に中止・延期を言い出さないで、IOCから「お願い」にさせることです。
うんにゃやりますよ、ゼッタイにやります、しかしIOCから中止・延期要請があれば考えなくもない、というスタンスを取り続けることです。
そうは言ってもIOCは、そのことによる損害賠償は免責条項を楯にしてくるでしょうが、日本としては延期の責任は日本にはないことを主張し続けるしかありません。

だから高橋理事のように日本側から中止・延期の可能性についてしゃべるなど、ナニ考えてるんだこのノータリンめがです。
山下会長から注意が飛んだのは当然で、今、日本がせねばならないのは国際世論を味方につけてあくまでもIOCが土下座して頼むからしょうがないという流れを作ることです。
そしてその上で、延期の場合の日本免責を勝ち取ればめっけもんです。
勝ち目が薄い勝負ですが、それしか残されていません。

それにしても、7月解散・都知事選とダブルだなんて予測を立ててはしゃいでいる保守論客をみると、この人たちの愛国心の底の浅さが知れて寂しくなります。
そんな矮小な国内政治なんぞどうでもいいのです。
問題は国際社会の真っ只中で、いかにわが国が毅然とこの困難を乗り越えるのかを示すことではないでしょうか。

 

 

 

2020年3月23日 (月)

よもやの米国感染爆発

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正直、頭では可能性はあるかもしれないと思っていましたが、よもやの米国本土の感染爆発です。
しかも爆発した地域が米国経済活動の心臓部のニューヨークです。やや長めですが日経から引用します。こんな長いもん読めるかという人のために引用下に要約をつけておきました。

「【新型コロナ感染者、米で2万人突破 NY州で1万人超     
ニューヨーク=高橋そら】米国内の新型コロナウイルスの感染者数が21日、2万人を突破した。米ジョンズ・ホプキンス大学によると、全米の感染者数は東部時間同日午後4時(日本時間22日午前5時)時点で2万4148人となった。死者数は285人に増えている。感染者数はわずか2日間で倍増しており、政府は対応に追われている。
感染者が最も多いのはニューヨーク州で、すでに1万人を超えた。同州のクオモ知事は21日の記者会見で「どこよりも多く検査しているため、陽性患者が増えている。もっと見つけることが目標だ」と強調した。クオモ氏は20日、同州の全事業者を対象に、全従業員の在宅勤務を義務化すると発表。感染防止策を強化している。
すでにカリフォルニア州やイリノイ州も外出禁止などの強制措置に踏み込んでおり、米国内総生産(GDP)の約3割を占める主要州の経済圏が機能不全に陥る恐れがある。ニュージャージー州も同様の措置を検討中だ。今後、他の州も追随する可能性が高い。影響を大きく受けるのは外食や小売りのほか、宿泊、観光などのサービス業だ。
米商務省の個人消費支出額の内訳を見ると、2019年時点で航空や鉄道など運輸サービスは4780億ドル(約53兆円)、娯楽サービスは5860億ドル、飲食・宿泊は1兆200億ドル。これら合計で年間約2兆1千億ドルと、全体の約14%を占める。雇用や企業活動への影響も甚大だ。全米レストラン協会(NRA)の推計によると、今後3カ月で外食業界は2225億ドルの売上高、最大700万人の雇用を失う可能性がある。米調査会社テレシー・アドバイザリーのボブ・デリントン氏は「家族経営店などは資本が脆弱で最も大きな打撃を受ける」と指摘した。

要約します。

①米国の感染爆発2万人を突破、死亡数340人に到達
②感染の中心はニューヨーク州で1万人を超えた
③ニューヨーク州は従業員に自宅待機を義務化
④カリフォルニア州、イリノイ州も外出禁止措置
⑤米国経済の中枢が大打撃

米国は州知事権限で外出禁止令を発動させることができますし、州兵まで動員出来る権限があります。
一方、日本の県知事には県所有施設の使用すら止められません。
ただし、州知事は止めても補償義務はありません。

ニューヨークが事実上の封鎖に入ったことで、パリ、ロンドンなどのヨーロッパに次いで世界の主要都市が活動を止めた事になります。
世界で閉鎖されない大都市は東京と上海(ウソだろう)くらいなものとなりました。
このままいけば、ヨーロッパ各国は深刻なモノ不足、特に人工呼吸器などの医療機器、薬品などの不足が深刻化すると思われます。
既に、ヨーロッパではモノ不足→買い占め→さらなるモノ不足という悪循環が始まっているようです。
米国はいざとなれば、連邦軍が物資を押さえて物流まで強制的に動かすことが可能ですが、ヨーロッパはEUで国際分業が進んだ上に、軍の統制権は各国が持っていますから、どうなるのか不透明です。

また米国は日本で慎重に運用されているPCR検査を活発化させており、なんとあの韓国で精度がデタラメ、偽陽性続出、医療機関パンク、おまけに感染ハブとなるので悪名を馳せたドライブスルー形式での検査機械まで導入したようです。

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このような医療体制の整備を優先せずに検査のみ増やすと、ご承知のとおり韓国やイタリアがやった轍を踏むことになります。

下写真はツイッターで送られたイタリアの病院内部の様子ですが、「黙示録的」と書かれています。
こうなってしまってからでは遅いのです。

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検査を増やした事による医療崩壊について、米国病院勤務がある津川友介医師はこのように述べています。
https://twitter.com/yusuke_tsugawa

「例えばUCLA病院では、検査用の車両を出したり、それ専用のテントを用意することで、患者の導線を隔離する予定です。予約外来はそもそも大部分が遠隔診療に切り替えられており、予定手術も半減していますので、新型コロナ以外の理由で病院にいる患者さんの数は減っていると思います」

あるいは軽症者には自宅療養させることでセーフティネットが張れるから医療崩壊はしないと言っています。
う~ん、いかがなものでしょうか。津川氏はUCLA病院のような理想的タイプを想定して考えているようですが、米国には病院にすらこられない無保険者層が一説でかつては4千万人(オバマケア以降減って2千万人台)もいると言われています。
彼らはどこの病院に行くのでょうか?彼らの恐怖はどこで解消されるのでしょうか?
下層階級やブルーカラー階層は、このコロナパニックで職場から放りだされ、ウサを晴らしに出かけることもできずに自宅で雪隠詰。
レイオフされるわ、補償はないわ、くしゃみは出るわ、なんとなく熱っぽいわ、医療保険には入っていないわとなると、引き出しから銃を取り出しかねません。

津川氏は米国エリート層特有の、この下層階級の心理的パニックが起きた場合を想定していないような気がします。
私は、イタリアで破綻したPCR検査優先方針を進めると、確実に軽症者と無症状陽性者の隔離ばかりが増えていくことになりはしないかと心配です。

一方、日本はPCR検査の使い方は、ドライブスルーなどしてガンガン検体を増やすことはしませんでした。
なぜなら新型コロナをPCR検査した場合、感度(その病気にかかっている人が、陽性と判定される確率)は70%、特異度(その病気にかかっていない人が、陰性と判定される確率)は99%で、偽陽性を大量に出してしまうし、偽陰性もわずかですが出るからです。
むしろ無闇やたらと検査をすることは有害でもあるのです。
それに米国と違って、国民が安く医療を受けられる皆保険制度は心強いですしね。

ですから日本は、難しい重症肺炎と思われる患者には何回かCTを撮って、その結果ウイルス性肺炎の疑いが出ればPCR検査にかける二段仕立てでのぞんで医療崩壊を防ぎました。
その端的な結果が、36人という世界の中でも少ない数字です。

米国はまだ判っていないと見えて、増加を想定してニューヨークなどで、米軍工兵隊まで投入してホテルを改造した隔離施設の改造に着手したようです。

「アメリカで、新型コロナウイルスの感染者が最も多いニューヨーク州の医療態勢を強化するため、アメリカ国防総省は、現地のホテルの客室や大学の寮の部屋など、1万室以上を病室に改装する計画を検討していることを明らかにしました。
これは、アメリカ軍で建物や道路などの建設にあたる陸軍工兵部隊のセモナイト司令官が20日の記者会見で明らかにしたもので、ニューヨーク州で現在、使われていないホテルの部屋などを改装し、室内の気圧を低くして、空気が外に出ないようにして感染者を隔離する計画だということです。
ニューヨーク州では、感染のさらなる広がりに伴って、医療施設が今後、不足することが懸念されており、国防総省は、すでにニューヨーク市の港に病院船を派遣することを決めています」(NHK3月23日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200321/k10012342941000.html

米国はなまじパワーがあるだけに、隔離施設を用意すりゃ済むとでも思っているのでしょうか。
陰圧室まで作るということですから重症患者用ということもあるのでしょうが、病院船まで向かわせているというのですから、スゴイというべきか、そもそも初めのボタンを掛け違っているとおもうんですが・・・。
このところウォーキングデッドをズッとみていたので(シーズン9で挫折しましたけど)、あたしゃマジでコワイ。

とまれ、ニューヨークタイムスの感染爆発のアニメーションを見るとゾっとします。日本の対策を散々嘲笑していたNYタイムズのお尻に火が点いたことがわかるでしょう。
See how the virus spread across America.

米国の感染爆発のすさまじさは下の爆発速度のグラフにも現れています。USの線はヨーロッパをしのぐ爆発速度を見せているのがわかります。

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もう一枚爆発速度を見てみます。
AFPが作った米国の感染拡大のグラフでも90度の角度を描いて感染が爆発的に増加していることがわかるでしょう。

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米国と日本を1万人あたりで比較してみます。感染者数だけでは人口が米国は2倍あるのでわからないからです。
米国の感染者は26,747人で死亡数340人、1万人あたりで0.81人(世界3位)、日本は感染者1046人、死亡者36人、1万人あたりで0.08人(世界16位)です。

ちなみに「オーバーシュート」という言い方をメディアは好んでつかいますが、どうも専門家会議で使ったのをカッコイイのでマネしているようですが、パンデミックという一般的な用語がある上に、「感染爆発」という日本語もあるのですからそちらを使って下さい。
ちなみにオーバーシュートは、世界的には下図右のような意味で使われています。

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米国は既に日本に2月25日にCDCアラートがクラス2に引き上げました。
当時は日本が世界3位の感染国で、クラス3に引き上げられると、原則と渡航・滞在禁止地域となります。当時は中国と韓国が指定されていました。
クラス3となった場合、ビジネスマン、観光客だけではなく在日米軍の軍人とその家族も中国同様の引き上げ勧告や引き上げ命令が米国政府から出る可能性がありました。
https://wwwnc.cdc.gov/travel/notices/watch/coronavirus-japan

これは経済問題にとどまらず、国防問題にも直結しかねない事態で、日本政府が休校・イベント自粛などのクラスター潰しを必死でしたのはこの背景があったからでした。
防疫は国防の別の言い方なのです。

ところがいまや、日本がなんとか感染爆発を抑え込んでいるに対して、米国のほうがクラス3に該当するような事態となってしまったのは皮肉な結果です。
日本政府は米国に渡航制限をかけました。
日本がホットスポットだとして、チャーター機を使って引っさらうようにして自国民を帰国させたあの頃が遠い昔のような気がします。

恒例の各国データーを掲載しておきます。                                                                

おなじみのジョンズポプキンス大学のサイトから 3月23日現在)の 感染状況を見ます。さまざまな偽情報が錯綜する中、JHUと厚労省サイトは信用がおけます。一日一回でいいですからのぞいてみてください。
くだらないテレビのワイドショーなどばかり見ていると、コロナブルーになっちゃいますよ。
Modeling the Spread of 2019-nCoV/ The Center for Systems Science and Engineering (CSSE) at JHU

●世界の感染状況(3月23日午前4時30分現在)

81,397 China
59,138 Italy
31,057 US
28,603 Spain
23,974 Germany
21,638 Iran
14,485 France
8,897 Korea, South
7,014 Switzerland
5,071 United Kingdom
4,216 Netherlands
1,378 Canada
1,314 Australia
1,306 Malaysia
1,209 Brazil
1,086 Japan

●死亡者数
イタリア・5476人
中国・3261人、
スペイン・1720人、
イラン・1685人
日本・36人

●各国の感染者数 左から感染者数 ・死亡数・1万人あたりの感染者数・死亡率(2020年3月22日現在)
https://medley.life/news/5e390f2d6158e140a8122862/

中国 81,346 3,265 0.57 4.0
イタリア 53,578 4,825 8.84 9.0
スペイン 25,496 1,381 5.43 5.4
ドイツ 22,364 84 2.68 0.4
イラン 20,610 1,556 2.49 7.5
アメリカ合衆国 26,747 340 0.81 1.3
フランス 14,485 562 2.16 3.9
韓国 8,897 102 1.74 1.1
スイス 6,652 80 7.79 1.2
英国 5,067 234 0.77 4.6
日本(クルーズ船を除く) 1,046 36 0.08 3.4
クルーズ船 696 7 - 1.0
その他 40,294 577 - 1.4
総数 307,278 13,049 - 4.2
 
東京五輪の延期を容認すると首相が表明しました。これについては明日に。

2020年3月22日 (日)

日曜写真館 あやかしの里のお嫁入り

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暗がりの中に続く提灯の列はなに

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あやかしの里の住人たちのめでたい列のようです

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今夜はこの人が仕切ります

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2020年3月21日 (土)

内科医プー様寄稿 集団免疫を可視化する

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管理人様 皆様 大変お世話になっております。
メタボ系内科医 プーです。再びで申し訳ありません。

イギリスのジョンソン首相が集団免疫に言及した演説を行い、大反響とのことです。
集団免疫がどういうものか、数字や計算式だけでは難しいのではないかと思い、紙筆で再現できるワークを提示したいと思います。
もう1回だけお付き合いいただければ幸いです。


基本再生産数(R0)の分かっている感染症が、36人の学級に侵入したときに、週ごとにどのように流行してゆくか、というものです。
66
(6×6表.gif)
ここでは、R0 = 2 の感染症とします。日本での新型コロナウイルス、ワクチンのない状態でのインフルエンザ、くらいの感染力です。
感染しうる範囲は、飛沫感染で2 mと言われているので、隣の席までです。
どっちに感染するかは、「8面ダイス」に任せます。
多くの人は持っていないと思うので、
http://cthuwebdice.session.jp/dice/ (クトゥルフWEBダイス)の「1D8」の「ダイスロール」をクリック、などを使ってください。

ダイスの出目と反対側( 5 が出たら 5 と 1 の方向)に感染します。元の感染者は治癒して免疫を持ちます。

Week1_20200321013601
(week1.gif)
感染先が空白なら感染して次の数字を記入します。
感染先が既に記入されている(=免疫を持つ)、または端の場合は感染できません。

Week3
(week3.gif)
これ以上感染出来なくなったら終了となります。
さて、流行の終息までに何割くらいの人が感染するでしょうか。

次に、ある程度の人達がワクチン接種を受けて免疫を持っていたとします。
ここでは、3割の人が免疫を持っていたとして、36人の3割で11人、「R」(Resistant)を予め記入してください。実効再生産数は(36/25 =)1.44で、管理人様の3月18日の記事の日本の現況に相当します。
 
Resistant-11 
(Resistant 11.gif)
そして同様に流行させてください。

どのような結果になったでしょうか。
②予め何割感染するかを予想してから臨むと、より効果的です。

ダイス運にもよりますが、おそらく、①では6-7割、②では1-2割が感染したと思います。
これが、同じ感染力を持つ病原体相手でも、ワクチンのあるなしの違いです。
自然に集団免疫を付ける、というのがいかに大変かということを分かって頂けたでしょうか。

もしまだ時間があるようでしたら、
欧州の新型コロナウイルス(R0は4くらい、ダイスで奇数が出たら奇数の4マス、偶数が出たら偶数の4マスに感染)風疹(R0は約6、ダイスの出目とその反対「以外」に感染)、さらに予防接種で予防してみる、といった形で試していただけると、インパクト大です。

そして、現在のイタリアの惨状です。
目下中国に次ぐ感染者・死者を出して、まさに地獄と思われます。
しかしあえてポジティブなことを言いたいです。

3月18日の管理人様の記事より、3月11日~16日の感染増加率は

スペイン 4.78倍
イタリア 2.438倍

スペインはイタリアの倍です。
何の違いでしょうか。

感染増加率は、ほぼ実効再生産数と同義です。
経済状況や医療システムなど、両国の間に大雑把には違いが無いと仮定します。(両国に失礼だと思いますが)
感染拡大が進めば、免疫を獲得した人も増えて、政府が何もしなくても実効再生産数は減少してゆきます。
違うのはフェーズです。管理人様の3月11日の記事では、スペインの流行はイタリアに対して10.5日遅れだそうです。

新型コロナウイルスが、3月11~16日の間にスペインでは1人の感染者が4.78人に感染させました。
しかしイタリアでは2.438人にしか感染させませんでした。ということは、残りの2.342人は既に感染して免疫を持っているのです。
従って、その時期にはイタリア国民の半分は既に免疫を持っていたということになります。

再生産率と集団免疫率の関係はこのような関係です。
(基本再生産数 - 1)/基本再生産数 = 集団免疫率

しかし、「1」というのは、「これが1以下なら次第に感染者が減少してゆくので流行は終息する」という境目です。

広義には、「実効再生産数」を当てはめることが出来ます。
(基本再生産数 - 実効再生産数)/基本再生産数 = 集団免疫率
として、どれか1つが未知数の場合には他の値から求めることが出来ます。
基本再生産数をスペインでの感染増加率4.78として、イタリアの2.438をイタリアの実効再生産数とすれば、イタリアの集団免疫率は0.49です。

感染や診断、統計処理のタイムラグを考えれば、集団免疫率はさらに増えていると推定されます。

一方で、イタリアでの新規感染者数も、まだ増えています。

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イタリアにおける2019年コロナウイルス感染症の流行状況
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B2019%E5%B9%B4%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%87%E3%81%AE%E6%B5%81%E8%A1%8C%E7%8A%B6%E6%B3%81

これが減少に転じたら、上記の式の実効再生産数は1ということで、国民の約8割が既感染となって終息してゆきます。

思えば、武漢も韓国も、大流行は一ヶ月足らずだったのです。

今は地獄のイタリア対し、プーは、Ci sei quasi. Forza Italia!もう少しだ。頑張れイタリア!とエールを送ります。

逆に、いつまでたっても終息宣言しない極東2国には、アディッショナルタイム長くない?
審判を●●してるんじゃないの?と言っておきます。

最後に、小ブログでは、先日のSEIRモデルに、季節変動と免疫失活の要素を加えたモデルを用意しました。
夏に向けて、あるいは来年以降に向けて流行はどうなりそうか。
興味があったらお越しください。
http://ayoshidamd.cocolog-nifty.com/

最後までお読みくださいまして誠にありがとうございます。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
メタボ系内科医プー

2020年3月20日 (金)

日本がPCRに頼らずに検査できている理由とは

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まずは恒例の世界の新型コロナの拡散状況からいきます。

中国・81,102人
イタリア・35,713
イラン・17,361
スペイン・13,910
ドイツ・12,327
フランス・9,052
韓国・8,413 
米国・7,769
スイス・3,028
英国・2,642
オランダ・2,056
オーストリア・1,646
ノルウェイ・1,550
ベルギー・1,486
スウェーデン・1,279
デンマーク・1,115
日本・889

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日本はヨーロッパ38カ国に渡航制限をかけました。これだけホットスポットとなっては致し方ないでしょう。
いままで感染処女地だった茨城もイタリアからの帰国者が持ち込んでくれました。やれやれ。
といっても、今のご時世、どうやっても外国からのウィルスは侵入するときにはするもので、この渡航制限だって、迂回経由されたらわかりませんからね。
入国制限なんて気休めといっては言い過ぎですが、防疫の流れのオードブル程度の役割しかないのです。

中国は、新たな感染者がないと言っています。もちろんウソに決まっています。
ただ、共産党国家らしく、体育館みたいな場所に感染者を収容して強制隔離しましたから、ピークアウトしたことは確かなようです。
共産党国家って、初動では政府に不利なことは隠蔽する情報統制体質が仇となりますが、感染拡大期には強権的に強制収容所まがいの「病院」に入れてしまったり、武装警察を使って都市封鎖できる強みもあります。

いったん抑えこんだとなると、習は米軍がウィルス撒いたんだなんて珍説を主張して、トランプを激怒させていますが、この強気の背景は、いかに習の権力基盤がグラグラになったかということの裏返しなんですがね。これについては別の機会に。

それはさておきわれらがボリスは「赤信号、皆んなで罹れば怖くない」という路線を引っ込めてしまったようです。残念、突き進んでウィルスとの戦いに新次元を開いて頂きたかった

●ボリスの戦略
①市中で感染が拡がり健康で抵抗力がある若年層に感染させ、健康な人たちに免疫を成立させる。
②その間に高齢者や持病持ちの弱者を隔離し、治療をする。
③国民の6割が感染するとウィルスとの共存状態となるので終息する。 めでたし、めでたし。

うーん、渋い。まさに集団免疫理論をじっさいにやったらこうなるという見本のようなものでしたが、ボリスは国民からの大ブーイングで引っ込めてしまいました。
なぜでしょうか。
その理由は、よく考えてみればわかるんですが、国民の6割が免疫を獲得したって、どうやって計るのって問題です。
現状では国民という巨大集団を正確に計る方法がないでしょうが。

「これらの免疫学的調査のためには、コロナウイルスに対する抗体検査の樹立がまず重要である。有効な抗体検査ができれば、どのひとに免疫が成立したかがわかるようになり、その免疫は長期に維持されるのか、多少ちがうDNA配列に変化したウイルスに対しても有効な免疫なのか、など重要な知見がえられるようになる。蛇足ながら、PCR検査はこの役には立たない」
(免疫学者小野昌弘『英首相の「降伏」演説と集団免疫にたよる英国コロナウイルス政策』)
https://news.yahoo.co.jp/byline/onomasahiro/20200315-00167884/

ボリスの野心的というか、ヤケッパチというか、この新方針が引っ込めざるをえなかったのは、ひとつにはこんなに沢山のケアするべき高齢者や持病もちを収容するような隔離施設がないことです。
先進国は、中国のように人権無視して体育館に閉じ込めるなんてできっこありませんからね。
先進国の最大の弱みは、民主主義と人権でもあるのです。それを頭から無視できる中国はだから「強い」。

そしてもをひとつは小野氏も指摘していた検査方法が確立していないことです。
一頃テレビに出てくるアホなコメンテーターたちが口を揃えてPCR検査をさせろ、なぜさせない、国がインペイしているなんて叫んでいましたが、もう大部分の国民が分かってしまったように、PCRは誤りが多いのです。
実に3割は偽陽性を出してしまうのですから、これを盲信して感染者が出たからとそのつど隔離していたらいくら隔離病床があっても足りません。

 日本がPCR検査の数を抑えているために、「検査しないから感染者数がミラクルに低いんだ」なんてことを韓国あたりや海外メディアも言っていました。
確かに少ないことは事実です。

●各国CR検査数
・日本3月12日までに厚労省発表2万4666件(人口100万人当たり80.5件)
・韓国・3月13日までに24万8647件(同4831.3件)
・台湾・1万6089件(同676.6件)
※韓国台湾はOur World in Dataによる

なんと韓国は日本の13倍ですぜ。スルー型PCRなんて新発明もできて(感染ハブになりましたが)もあるそうで、スゴイぞ、コリア。、バカだなコリア。
だから韓国のほうが検査数が多いから感染者数も上がるんだというのがムン閣下の言い分ですが、ちがうんです。
日本がPCRに頼らなかったのは、別の検査方法があったからです。
それがCT(コンピュータ断層撮影)です。皆さんも病院でやられた経験がある人も多いでしょうが、あのトンネルみたいなやつです。

Abdominal_ct

日本の医療機関は、PCRを使わなければならない場合、一回CTで胸部をスキャンしてみておかしな影があれば確定診断のためにPCRにかけるという二段仕立てで臨んでいます。
つまり、外来患者をすぐにPCRで、はいアーンしてなどといいながら咽喉に検査棒を差し込んでなどという苦しい真似をしなくてもいいのです。
簡単に一回CTでふるい落としてから、怪しい影が肺にある人だけをPCRにかけるだけで済みますから、当然その数は激減します。

このCTの事前検査でウイルス性肺炎でない受診者をふるい落とせますから、PCRが持っている最大の欠陥である偽陽性を減らし、陽性判定の信頼性(陽性的中率)を上げることが可能です。
したがって、偽陽性者の隔離・治療に医療ソースを無駄に浪費することを防ぐことができます。

そのうえにCTはPCRより新型コロナを見つけ出す感度が非常に高いのです。
中国の温州医科大学附属台州医院などの医師による「COVID-19に対する胸部CTの感度」の分析の成果によれば、患者51人にCTとPCRを行った結果、CTの感度は98パーセント、PCRの感度は71パーセントだったといいます。
『ラディオロジー(放射線医学)』誌は2月19日)

またPCRは偽陽性よりも少ないですが偽陰性も生み出してしまいます。この偽陰性の人が、自分は罹っていないと思い込んで周りの人にウイルスを広めてしまうこともありえます。
たとえば先日韓国の少年に起きたような陰性判定をうけたが、41度の熱が出て慌ててもう一回計ったらこんどは陽性で、処置が遅かったので死亡したなどという悲惨なケースもあります。

そしてわが国は世界一のCT保有国です。
日本の国民1人当たりのCT保有台数は、欧米諸国の3倍、国によっては実に10倍も保有しています。

●CTの保有数
・一位日本・人口100万人当たり107台
・2位豪州・63台
●CTの撮影回数
・日本・人口1000人当たりの231回
OECD保健統計2017

日本はだいたいの街の病院にはほぼCTがあって 肺炎などを簡単に診断してくれる、実に世界でも珍しい国なのです。
CTが過剰装備で医療の足を引っ張っているという指摘もあたってはいるのですが、こういうウィルス検査にも役立ち、しかもそれが今回の新型コロナ対策の大きな柱になっているわけてす。

ちなみにWHOのテドロス事務局長が、3月16日の記者会見で「疑わしい症例の検査徹底」を求めたために日本のメディアはそれ見たことかとばかりに「WHO検査検査検査だ」と報じましたが、ちょっと違います。
これはなにもPCRだけを指しません。
正確にはWHOが言ったのは、「確定診断された患者に接触した人の検査は、COVID-19の症状を示した場合のみ推奨する」とすぐに修正の追記をしたように、感染者との接触感染した人の検査であって、なにもPCRを増やせなんて一言も言っていませんから念のため。

いずれにしても、日本政府は海外メディアから「検査を少なくしているから感染者の過少発表ができるんだ」なんていわせないようにCTによる事前検査も宣伝して下さい。

 

 

 

2020年3月19日 (木)

東京オリンピックはやると決めたらやる

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子供の頃に経験した東京オリンピックに、またガキだった私は胸踊らせたものです。
小学生は五輪音頭で盆踊りまでしましたし、絵を描いて外国選手に贈ろうなんて子供らは盛り上がっていました。
復帰前の沖縄を通った聖火リレーには、日の丸を振る沖縄県民に国民は素直に涙しました。

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一転、今の日本国民にはこのオリンピックを待ち望むワクワク感がありません。
あるのはなんともやりきれない落ち込んだ気分、このオリンピックが開催できるかはなはだ不透明になってしまったことによる不透明感です。
それでもこの新型コロナが始まる前には、底々あるにはあったのです。
たとえば、「東京オリンピックまでは景気は持つ」とか、「オリンピックが経済の起爆剤となりはしないか」みたいな、あいまいであるが一条の光みたいな国民の気分がちっとはありました。

この底々のワクワク感すら新型コロナで吹き飛びました。
新型コロナの感染拡大が、東アジアに止まらず、ヨーロッパ・米国に拡がり終息の気配がありません。
これでは5カ月先のオリンピックに、いや5月の開催のIOCの最終判断に間に合うかどうか・・・、おそらくそうとうにキツイはずだと誰でも思います。

しかし、だからこそ言うのですが、やろうじゃないですか。やったろうじゃありませんか、東京五輪。
できない理由なら百もあります。やるべき理由はひとつしかしかありません。
日本人の意地です。冗談ではない、ここでやらなきゃ誰がやる。

いや中止じゃなくて延期にしたらどうかという、日本人好みの現実主義というか、右と左があってどちらかを選べと言われたら真ん中をとるような発想もあります。
で、大部分の国民は延期になびいているのは確かでしょう。
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ちょっと待った。
だいじなことをわすれちゃいませんか、仮に出来ないとした場合、どこがその費用負担をすると考えているのでしょうか。
日本なんですよ。いや、正確には「言い出した者」が払うのです。
日本が「無理ですから中止はよして延期してください」なんて言おうもんなら、ハイその請求書は日本に届けますからね、ということになります。
反対にIOCが「こりゃ無理だ」と言い出せば、IOCに請求書が回ります。

いや、ちゃうちゃう中止じゃなくて延期だからといっても同じです。
延期しても、たとえば米国のテレビ会社がガッチリ払って押えている膨大な放映権料を払うのは、「言い出した者」が全額負担するのです。

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AFP

今、ありがたくもIOCは「中止にはしない」なんて仰せです。

「IOC オリンピック予定どおり開催へ 準備進める考えを確認
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて東京オリンピックへの影響が広がるなかIOC=国際オリンピック委員会は臨時の理事会を開き「大会まで4か月あり、今は抜本的な決定をすべき時ではない」として予定どおりの開催に向け準備を進めていく考えを確認し各国際競技団体のトップとの会議でもこの方針が了承されました」(3月18日NHK)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200318/k10012336731000.html

まったく涙がでますな、IOCの友情に、いえいえあの国際機関貴族の連中のエゴにです。
彼らは日本に「延期してください」と言わせようとしています。
そうすれば、自分は残念であるがとかいいながら、影でペロっと舌をだしているでしょう。
ああ、これでIOCがカネ出さずに済んだ、ニッポンさん、カネのほうよろしくね。

だから日本政府が現時点で絶対にやってはならないこと は、こちらから延期やましてや中止など口の端にも乗せないことです。
そんなことを日本政府が言ったら最後、膨大な違約金の請求書の準備が始まることでしょう。
おそらく兆のケタです。
そして今年10月でも、来年でもいいですが、それをもう一回やるためにかかる追加費用の全額は日本政府が支払うことになります。

もちろん開かれなかったことによる国内経済の7兆円と試算されているありうべき利益の損失はありますが、ソンナもんは可愛いもの。
これでそれでなくても新型コロナでうちのめされかかっている国民の意気阻喪によるデフレマインドへの回帰は、もはや決定的となります。
この落ち込み心理はプライスレスです。

だから、日本政府はゼッタイにオリンピックはやるという決意を、非現実的だのなんだのとメディアに叩かれようと言い続けねばなりません。
また、おかしな妥協もしてはなりません。
たとえばIOCは、選手団の渡航制限の緩和や観客・メディアの検疫の緩和などを言いだしてくる可能性がありますが、ぜんぶ蹴飛ばしましょう。
そんなものを飲んだら最後、彼らの中から患者が出た場合、一切の責任はわが国が負わねばならなくなりますから。

ダイヤモンドプリンセスの時、英国船籍であろうと、米国籍クルーズ会社が運営責任を持っていようと、はたまた横浜港に到着するまでに発症していようとも、いっさい関係なくあげて悪いのは人道的救助をした日本だと言われたことをお忘れなく。
なにかあったら、ぜんぶわが国が悪いですからね。

患者を出さない義務は一義的に送り出した国にあります。
選手団なら、それを出した国が来日前に14日間しっかりと隔離された環境で待機させ経過観察をした者のみを送り出して下さい。
観客もしかり、メディアもしかり。
その協定をいまのうちから結んでおきましょう。

その約束が守られずに、日本に来て感染が確認された場合、早急に国外退去処分にし、送り出し国の負担で帰国させる法的根拠も作っておく必要があります。
これも国外退去であって、日本国内の隔離は最小限にすべきです。
ダイヤモンドプリンセスをケタ違いにしたような数の人が来るのですから、それを受け入れる指定医療機関などありっこないですから。

妙に現実的に考えないことです。
そして日本人の美質である親切心で物事を決めないことです。
そんなことを言い出したら誰も来なくなるとか、国際社会を敵にするのかとか、外野はなんでもいうでしょう。
しかしここで妥協すれば、莫大な違約金を払わされた上に追加費用も負担し、かつ、国のディグニティも吹き飛び、国民には失望感と請求書だけが回されることになりかねません。

冗談じゃない、やったろうじゃありませんか、東京五輪!

 

 

 

2020年3月18日 (水)

ヨーロッパ全域封鎖へ

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イタリアから始まった感染の爆発がとうとう全ヨーロッパに飛び火してしまいました。
EU委員会はヨーロッパ全域を封鎖し、外部からの入国を禁じる措置に入りました。

「【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は16日、新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するため、EUへの第三国からの渡航を30日間、原則禁止する方針を表明した。域内の感染者数が急増する中、欧州全体を事実上「封鎖」する異例の厳しい措置に踏み込み、早期収束を図る。
先進7カ国(G7)首脳が同日開いたテレビ会議で各国に説明した。17日に予定するEUの臨時テレビ首脳会議での承認を経て導入する。
 AFP通信によると、欧州で事態が最も深刻なイタリアは感染者が2万7000人以上、死者は2158人。世界では約17万5000人が感染し、死者は7007人に達した。
 フォンデアライエン氏は記者会見で「ウイルスをEU内でこれ以上広めないよう不必要な渡航はすぐに減らさなければならない」と強調した。期間中は、EU市民や長期在留者、外交官、医療従事者らを除き、渡航が禁じられる。必要に応じて期間延長も検討する。
 EU加盟国のほか、欧州各国間での出入国審査を撤廃した「シェンゲン協定」締約国であるスイスやノルウェーなども域内として扱う。1月にEUから離脱した英国市民は従来通り渡航できる。」(時事3月17日)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020031700043&g=int

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会見する欧州委員会のフォンデアライエン委員長(2020年 ロイター/JOHANNA GERON)

これは政治的ジェスチャーです。
いうまでもなく新型コロナの脅威は既に域内にあって、域外から侵入してくるものではないからです。
既に取り込まれてしまっているのですから、あらためて封鎖してもなんの意味もありません。
もっともフランスのマクロンは「これを戦争状態」だと呼び、ジョンソンはチャーチルの戦った第2次大戦と同じように耐えろと言っているのですから、リーマンショックと較べているような日本とは本気度が違います。
このEU封鎖措置は、この本気度を国民にアピールしているのだとかんがえましょう。

「EU当局者は匿名を条件に「脅威はすでにEU域内にあり、域外から入ってくるものではないことはすでに分かっている通りだ。今回の措置は政治的なメッセージに過ぎない」と指摘。シンクタンクの欧州改革センター(CER)のディレクター、チャールズ・グラント氏は「EU加盟国が相互に国境を閉鎖する恥ずかしい事態を隠すための隠れ蓑」とし、「効果があるとは思えない」と述べた」(ロイター3月17日)
https://www.newsweekjapan.jp/headlines/world/2020/03/267432.php

ただしこの入域禁止措置はシェンゲン協定加盟国30カ国にのみ適用され、加盟していない英国、アイルランドには適応されません。
ですから、わが国や米国などからは入域可能ということになります。

それにしても政治的パーフォーマンスだとしても、思い切ったことをしました。
なぜならこれで事実上EU精神のキモとでもいうべき「国境なきヨーロッパ」の理念を一時凍結したことになるからです。
ヒト・モノの自由な交通こそがEUを作った神髄だったはずですが、これでは医療機器や薬品の流通までもが阻害されかねません。
一部の国では既に医療機器の不足が叫ばれている中、ここまで追い込まれたということになります。

たぶんこのようなEUの状況は一過性で終わるのではなく、ウィルスと同じように別の形で爆発しそうな予感がします。
「ポスト新型コロナ」の時期には、一度見えたものは同じようには見えてこないはずです。
EUはその存立理念そのものを疑わしめる事態に直面したのです。

それにしても英国はいい時期にブレグジットをしたものです。
英国がボリスの新方針を打てたのもEUから離脱したからであって、EUに残留していたらいやがおうでもEU委員会の決定に従属するしかなかったからです。
このような自国民を守るウィルスとの戦いさえ、自由に組めないようでは一体EUとはなんであったのか、機動的に動けないじゃないか、ということになりかねません。

いまさらながらですが、「国境」が国民の健康と安全を守っていることに肌感覚で気がついた人も多かったでしょう。
「地球市民」の皆さん、イマージンやっちゃったらどうなるのか、国境の検疫やイミグレション・コントロールの意味が少しはわかりましたか。

さて世界の感染状況です。感染の中心は東アジアから完全にヨーロッパと米国にうつりました。  

世界の感染者数(上位から)
・中国・81,033
・イタリア・27,980
・イラン・14,991
・スペイン・9,942
・韓国・8,236
・ドイツ・7,272
・フランス・6,650
・米国・4,632
・スイス・2,200
・英国・1,551
・オランダ・1,414
・ノルウェイ・1,333
・スウェーデン・1,103
・ベルギー・1,058
・オーストリア・1,018
・デンマーク・932
・日本・825

国民の数が違いますから数だけではわからないので、100万人あたりでみます。
あらかじめ申し上げておきますが、ジョンズポプキンス大のサイトを見ればわかるように、数字はまさに一分ごとに時々刻々と変化しているために、集計数の表によるバラつきはご了承下さい。

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上の集計表に100万人あたりの死亡者数がでていますので見て下さい。
死亡者数で見るのは、感染者のうち回復して退院した人がいるからで、また100万人あたりに換算しているのは人口差を考慮しないと感染の国ごとの実相が見えてこないからです。

 

●100万人あたりの死亡者数(上位から)
・中国・2.24人
・イタリア・35.69
・イラン・10.16
・スペイン・7.31
・フランス・2.27
・スイス・2.20
・韓国・1.58
・英国・0.81
・ベルギー・0.86
・デンマーク・0.69
・ドイツ0.20
・米国・0.28
・日本・0.229

※感染者数でアップしていましたので、100万人あたりの数字に修正しました。表も2枚あげましたが食い違うので一枚に集約しました。

100万人に換算すると、意外にも北欧やベネルックス3国が上位にきました。
特にノルウェイの248.7人はケタを間違えたのかと思ったほどです。
中国を別扱いとしたのは、56.2人という数字に信憑性がなかっからです。イタリアは分かったら記入します。
イタリアは医療インフラがEUの緊縮財政で締めつけられている上に、高齢化が最も進んだためにそうとうな数が出ているはずです。

それにしても米国の崩壊ぶりには眼を覆います。

米国の死亡数
・死亡数・93人
内訳
・ワシントン・48人
・ニューヨーク・10人
・カリフォルニア・7人
・ルイジアナ・3人
・フロリダ・5人
・その他

この米国の惨状を見ていると、米国がとった中国への入国制限がなんの役にも立っておらず、かえってそれで満足してしまって弛緩したのかと思えるほどです。
入国制限だけがキモだ、さっさと中国に全面入国禁止にしろとバカデカイ声で叫んでいた百田さん、坊主になって下さい。いやとっくに坊主だったか。
百田さん、入国制限、つまり水際作戦はほんのわずかの時間を作るためのものでしかないのです。
大事なのはその後にいかに重症者を死なせないか、そのために貴重な医療機関をいかに守るかです。
防疫を流れで見ないで、入り口だけ叫んで批判のみを繰り返すあなたはひどく醜態でした。

それはさておきこの米国の感染の増加の速度はハンパではありません。
次は増加率でみます。
https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/country_count.html

●感染増加率(3月11日~16日 上位から)
・スペイン・4.78倍
・英国・3.729
・米国・3.733
・スイス・3.286
・ドイツ・3.284
・フランス3.04
・オランダ・2.971
イタリア・2.438
・イラン・1.733
・日本・1.433

この増加率に着目すると、あるていど今後の感染拡大が予想できます。
スペインは4.78倍で、このままいくとイタリアと並ぶかもしれません。
他の欧米諸国もおしなべて2.4〜3倍以上という感染拡大期をしめしていますから、今後まだまだ拡大は続くことだと占えます。

逆に中国と韓国をみます。中国の数字はにわかには信じられませんが、とりあえずの目安として。

●中韓の増加率
・中国・1.001倍
・韓国・1.062

信じるか信じないかは別にして、ピークアウトしたことはほぼ間違いないようです。
問題はうちの国です。1.433倍です。
わが国の増加率は決して低くはありません。
政府はクラスターを作らないようにと努力していますが、それにもかかわらず増えていることは否定できません。

この傾向は極論すれば、かつての季節性インフルエンザがそうであるように、感染が全国に染み渡ると抗体が共有されて集団免疫に近い効果が現れます。
皮肉にもウィルスにとっては、感染が少ない国は未踏の沃野そのものなのです。
感染者を低く押える今の政府の政策は、国民の不安を払拭するうえでは有効ですし、政府としては間違っていないのですが、自ずと限界があるということはいえます。

かといって英国のように、集団免疫を宣言することはためらわれますので、結局のところ感染拡大とのバランスを見ながらの綱渡りとなることでしょう。
いずれにしても、そういつまでも休校・イベント自粛は続きませんからね。

 

2020年3月17日 (火)

さすがはボリス、大丈夫か、ボリス

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ヨーロッパはボリス・ジョソン英国首相の演説でもちきりのようです。

「イギリスのジョンソン首相は12日、国内でも新型コロナウイルスの感染が拡大していることを受けて、記者会見を開き、今後は、感染を抑え込むのではなく、感染が拡大するスピードを遅らせることに力を尽くすと強調しました。
そして、せきが続いたり、高熱が出たりする場合には、少なくとも7日間は自宅で過ごし、外部の人と接触しないよう国民に求めました。
一方、学校の休校やスポーツイベントなどの中止は科学的にみて大きな効果はないとして、現時点では行わないとしています。
イギリスでは、12日時点で、590人の感染が確認され、10人が亡くなっています。
また、記者会見に同席した専門家は、さまざまなデータを総合すると、5000人から1万人がすでに感染している可能性があると述べました」
(NHK3月17日下写真も)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200313/k10012329131000.html

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よく言った、さすがはボリス。しかし、大丈夫か、ボリス。
日本で言ったら、今頃は国会審議はストップですね。
なんせボリスが言うには、6割の感染で集団免疫を得るのだから、政府は極端にいえば「なにもしない」、重症患者をしっかりケアするということですから。
日本の首相が同じことを口にしようもんなら、今頃はまず間違いなくメディアと野党は、脳天から火花を散らして「アベは国民を見捨てた。国民全部が新型コロナに罹れと言っている」なんてワーワー言うことでしょう。

もちろん、ボリスはテキトーに言ったのではなく、左右に主席医務官と主席科学アドバイザーを控えさせてしゃべっていますし、メルケルも似たようなことを同じ日に発言しています。たぶん英独でなんらかのアコード(合意)があったみたいです。
もちろんボリスは腰だめで言ったのではなく、科学的根拠はあります。

ウィルスの感染拡大の度合いを計る目安に再生産率という指標があります。平たく言えば、ヒトからヒトへ移る力です。

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「ウイルスごとに違い、感染力が強い麻疹(はしか)は12~18、通常のインフルエンザは2前後とされる。WHOは新型コロナを1.4~2.5と推計している。ただ、これは何も対策を取らなかった場合の理論値だ」(メディカルトリビュヒーン3月13日)
https://medical-tribune.co.jp/news/2020/0313524657/

つまり、この実効再生産率が1未満になれば、ヒトからヒトへ移らなくなる、つまりめでたく終息ということになります。
現時点ではWHOは1.4~2.5とみていますが、実際は3前後ではないでしょうか。
ではこれはと集団免疫とはどうかかわるのでしょうか。

その前に「免疫」という概念について、知っておかねばなりません。そこからいきます。
分かりやすい解説を、英国在住の免疫学者小野昌弘氏が解説してくれています。今日は多々教えられました。
(『英首相の「降伏」演説と集団免疫にたよる英国コロナウイルス政策』)
https://news.yahoo.co.jp/byline/onomasahiro/20200315-00167884/

「ここで免疫の意味を明確にしなければならない。ある感染症に免疫とはどういうことかというと、その感染症に一度かかったか、あるいは(ワクチンが存在する場合には)ワクチンを打ったことのおかげで、同じウイルスが体の中に入ってきても、ウイルスが増殖し症状がきつくなる前に病原体を排除できることである。
ウイルスのほうからみると、相手の人間に、そのウイルスに対して免疫がある場合には、その人間を利用して増殖することができないのである。
ウイルスに対する免疫は、リンパ球などの白血球を中心とした免疫系の細胞のはたらきで成り立っている。逆に免疫がないと、初めて出会う病原体に対して、体内の免疫細胞はどのように対応したらよいかをまだ定めるのに時間がかかってしまうため、この遅れのあいだに病原体が体内で増殖し、様々な病態を引き起こしてしまう。ウイルスからみると、免疫のない人間は理想的な培養器になってくれるということである」(小野前掲)

つまりヒトの体内に免疫ができると、ウィルスは今までのようにヒトを野放図に倍容器にできなくなってしまって、あえなく消滅するしかなくなるということのようです。
逆にいえば、免疫がないヒトほど宿主として理想的なものはないということになりますから、新型コロナが怖いのはその致死率ではなく、ヒトはまだ免疫を獲得していないということなのです。

そしてヒトは社会的動物ですから、社会生活を営んでいるために、免疫は集団的に作られます。
ここで面白いといってはナンですが、感染速度が早いほど集団免疫(herd immunity) が生まれやすくなるのです。理論的にはこう説明されています。
バレス首席医務官の発言です。

「集団免疫の用語はジョンソンの演説の中にはでてこないが、主席科学アドバイザーのサー・パトリック・バレスがこの方針作成を主導したといわれている。バレスはBBCラジオにおいて、集団免疫の効能を説明している。彼によれば、コロナウイルスに罹ったひとの大多数はごく軽微な症状しかおこさないが、免疫は成立するため、ウイルスのひとからひとへの伝染が減少する。そして、感染に弱い人たち(老人やある種の持病をもつひとたち)を守ることができるという。
すなわちコロナウイルスにかかっても普通の風邪の程度ですむひとたちが圧倒的多数なのだから、そのひとたちが増えれば自然と流行はおさまり、かつ感染して免疫をもっているひとたちが盾になって弱者を守ってくれるという理論である。理論上、人口の60%程度が免疫をもつようになれば、流行は収束すると考えられている」(小野前掲)

プーさんから専門家としてのコメントをいただいています。

「集団免疫率と基本再生産数(R0)の関係ですが、(R0 - 1)/R0 = 集団免疫率という式が成り立ちます。
R0 が大きいほど高い集団免疫率を要します。
仮にR0 =  3を代入すると、集団免疫率は 2/3 となります。
R0 が3程度の場合、社会の2/3の人々が感染すれば、感染者が周囲の3人に感染させるところを1人以下しか感染させないようになり、感染症は終息する、ということになります」

え~かえってわからなくなったという方もいらっしゃるでしょうが(すいません)、要はRO=再生産率が大きいほど集団免疫率が上がるのです。
ここでプーさんはやや高めの推定値である3をROに代入されていますが、すると集団免疫率は3分の2となると計算されています。
いいかえれば、ボリスが言っていたように国民の6割が新型コロナに罹ってしまえば、集団免疫が生まれて、感染は終息に向かうことになるわけです。

こう言うとかならず、お前は国民を殺すつもりかという声が上がってきますし、実際に英国でもボリスの会見がでるやいなや同じ反応が沸き起こりました。

「政府の方針が人口の60%の感染で流行が収束する見通しであることから、テレビのニュースは、全英の人口5%にあたる200万人が感染により重体となり、0.7%にあたる27万人が死亡する予測を伝えた。この衝撃的な数字は、英国内に確実にパニックを引き起こしている」(小野前掲)

 騒ぎすぎは日本のメディアばかりとおもったら、ブリテンも一緒のようです。騒ぎすぎです。
あいにく新型コロナごときでは簡単にヒトは死にません。
致死率については、既に2%ていどという数値がWHOからでています。
よく新型コロナと比較される重症急性呼吸器症候群(SARS)は9%、中東呼吸器症候群(MERS)は10%ですから、それに較べればはるかに致死率は低いということになります。

ただし季節性インフルエンザの1%(わが国は0.1%未満)ていどですから、これよりも高いとは言えます。
ただし日本でも、季節性インフルエンザの高齢者致死率は0.3%、若年者0.01%と高めに出ます。
これは新型コロナも一緒の傾向をもっていて、永江一石氏が提唱されている「年寄り風邪」という言い方は、年寄り差別だなんて元クラリオンガールがいいそうですが、言い得て妙です。

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ならば、社会をどのラインで守るのかを明確にして、その線を防衛する手だてを考えればよいということになります。
この社会の防衛ラインが、新型コロナに罹りやすい階層、つまり老人層と疾患を持っている人たちということになります。
下の厚労省のグラフをみると、致死率、重症化率共に70代で高くなるのがわかります。
すなわち、ここが新型コロナに対する社会の防衛ラインです。

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http://karadajiku.livedoor.blog/archives/21779454....

ボリスはこのように述べています。

「英国内での流行を封じ込める段階から、流行の拡大を遅らせ、流行の時間を引き延ばすことで、病院(NHS)への負荷を減らしていく時期に入ったことを告げる。ジョンソンは続ける。「主席医務官が(複数の)防衛手段(lines of defence)を実行していく。我々はそれらの防衛効果を最大にすべく、適切な時にこれらの防衛手段を展開する(deploy)」(小野前掲)

英国は新型コロナに対して薄く広く防衛線を敷くのではなく、医療機関という拠点をしっかりと守って、手を差し伸べるべき階層を絞り込んだ戦略シフトを敷いたことになります。

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これに対して英国免疫学会から公開質問状が出されています。

「また、現在のところコロナウイルスに対する免疫がどのように成立し維持されるのかは不明であるゆえ、この集団免疫理論は慎重に考慮される必要がある。実際、この集団免疫理論に対して英国免疫学会は、公開質問状を政府に提出している。
1)集団免疫が成立するまでのあいだ、弱者を社会的隔離など何らかの方法で守らないと甚大な被害になる。
2)コロナウイルスにはまだわからないことが多く、長期的な免疫が成立するかどうかはまだ不明である」(小野前掲)

まことにもっともな意見で、ボリスは英国空襲を引き合いに出すようにやや精神論のようなところがあって、具体論に欠けるところがあります。
日本政府の案が、休校・イベント自粛など具体的なのに対して、英国案はいまだ具体性がみえません。
重症化した人をいかなる施設に、いかなる法律を使って隔離して治療するのか語られていません。

また、英国は緊縮財政でぼろぼろになった医療拠点を守るということに重点を移したわけですが、では目標とする集団免疫がいつどのように獲得されるのかについての道筋が見えてきません。
それは検査する手だてが今の時点ではPCRしかないからですが、これは極めて専門的な採取技術を要求される上に精度に問題があります。
ですから、英国の6割の国民が免疫を獲得したとにPCRは使えないわけで、では一体どうやって判定するのでしょうか。

おそらくボリスが言っていることは持久戦に持ち込むということではないでしょうか。
感染の速度を落としながら医療拠点を守り、重症者をケアしつつ、その間に簡易検査キットやワクチンを製造できるように整えていこうという遅滞戦略のようにみえます。

日本の場合、指定感染症として隔離することになるのですが、これは陽性判定を受けた者を収容する法的根拠がなかったです。
指定した当座はやむを得なかったものの、本来は結核などを対象とした法律のために無症状者・軽症者も含めて一括隔離せねばならないことになり、陽性無症状入院だけで57人もが指定医療機関に隔離せざるをえなくなっています。
すると当然、かぎりある指定医療機関の隔離病床のキャパが足りないという問題に遭遇してしまいました。
わが国の指定医療機関の病床数はすでに満杯となりかかっていて、肝心の重症者を救えなくなる可能性があります。
これはこれで、早急に指定感染症の法改正を行う必要があります。

とまれボリスの英国案は、大きな一石を投じました。

 

2020年3月16日 (月)

新型コロナウィルスのゲノム解析でわかったこと

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まずは感染の全体状況から見ていきます。

感染の世界状況(2020年3月15日:午後1時13分現在)
・累積感染者156396人(以下累積人数)
・死亡者5833人
・回復者73968人

●各国感染者数・死亡者・回復者数(2020年3月15日:午後1時13分 )
・中国・感染者80995人・死亡者3199人・回復者66911人
・韓国・感染者8162 人・死亡者75人・回復者534人
・イタリア・感染者21157人・死亡者1441人・回復者1966人
・イラン・感染者12729人・死亡者611人・回復者2959人
・スペイン・感染者6391人、死亡者196人、回復者517人
・ドイツ・感染者4585人
・フランス・感染者4480人・死亡者91人
・米国・感染者2951人・死亡者57人
・スイス・感染者1359人・死亡者13人
・英国・感染者・1143人・死亡者21人
・ノルウェー・感染者1090人
・スウェーデン・感染者961人
・ダイヤモンドプリンセス・感染者696人・死亡者7人・回復者325人(WHO分類では日本ではなくOthers扱い)
・日本・感染者773人・死亡者22人・回復者118人
・フィンランド・感染者225人
・ブラジル・感染者151人・死亡者0人
・台湾・感染者53人

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https://gisanddata.maps.arcgis.com/apps/opsdashboard/index.html#/bda7594740fd40299423467b48e9ecf6

●各国死亡率グラフ

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John Burn-Murdoch

日本の詳細な状況(3月15日12時現在)
・国内感染者780 人
 ・退院157
・入院中537
・軽中度299
・人工呼吸/ICU36
・確認中190
 ・待機中12
・陽性無症状入院57
・症状有無確認中7
・死亡22

53896991

●非常事態宣言を出した国
▽イタリア・全土商店閉鎖
▽パレスチナ暫定自治政府
▽フィリピン
▽ハンガリー
▽チェコ
▽スロバキア
▽モルディブ
▽スペイン
▽アメリカ
▽ブルガリア
▽リビア
▽カザフスタン(暫定政府)
▽レバノン
▽セルビア
▽南アフリカ
▽ドイツ・国境封鎖
▽フランス・全土食品、薬局を除く商店閉鎖


                                                                      ~~~~~

遠藤誉氏が中国ウィルス研究者による新型コロナウィルス研究結果を報じていますので紹介します。
(『新型コロナ日本感染ルーツとウイルスの種類:中国のゲノム分析から』3月10日)
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20200310-00166933/

遠藤氏の出典は以下です。
2月21日、中国科学院の学術論文プレプリント・サーバーChinaXivに投稿された
中国科学院シーサンパンナ熱帯植物園(雲南省)郁文彬博士(Wen-Bin Yu Ph. D)
『新型コロナウイルス肺炎の進化(変異)と感染を全てのゲノム学的なデータに基づいて解読する』

あらかじめ言っておきますが、これは震源地である中国科学院の研究者のものであること。
したがって中国における現在最もデリケートな政治問題である新型コロナウィルスについて、政治的脚色がありえることです。
また世界でわずか93例しかウィルスのサンプルがないので暫定的なものです。
郁氏も世界の研究者にデータの提供を呼びかけていますが、現時点では研究素材が少ないということを頭に置いて下さい。
そのうえに立って、現時点で公表されたもっとも詳細な研究論文ですので、日本と関わりのあるさわりだけを見ていくことにします。

ちなみに日本の国立感染症研究所は、日本で見つかった新型コロナウィルスは、武漢生鮮市場のものと遺伝子配列が99.9%一致しているという報告を出しています。
現時点で、一部で言われていた生物兵器を証拠だてる遺伝子改変の証拠は見つかっていません。

さて、この郁氏の研究論文によってが新型コロナウイルスのゲノム配列が解析され、日本で感染をひろげているウイルスのルーツが見えてきました。
ウィルスの類似性を見るために、識別番号をつけGroup AからEに大別しています。

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日本は青色で区別され、Group AのH53(2例)とH52(1例)、Group CのH51 (1例)とH32(1例)が日本の患者だ。論文の詳細なデータによれば、

    ●Group AのH53とH52:東京(計3例)
    ●Group CのH51(1例):京都
        ●H32(1例):愛知

郁氏はこのように述べています。日本の新型コロナウィルスのルーツです。

「Group Aは(武漢滞在歴がある)深セン経由のウイルスなので、先ずは広東省を日本は入国禁止地区に入れなければならなかったことが分かる。
Group Cは湖北省武漢市の海鮮市場由来のウイルスなので、湖北省を入国規制区域にしたのは正しいが、しかし「H51」は、「広東省」で突然変異した亜種なので、やはり広東省を入国禁止地区に指定していなければならなかったことが分かる。
愛知県の「H32」は武漢の海鮮市場由来のものである」(前掲)

Group A

「「H13」を中心として広がったウイルスで、これは深セン(広東省、緑色)においてのみ発見された種類だ。深センで家族感染したが、東京と行き来していたらしく、広東省由来の東京の患者が3人もいる(2月12日時点で)。「H13」はどのようにして生まれたかというと、コウモリから発見されたウイルス「bat-RaTG13」が、何やら確定できない動物を介して「mv1」ウイルスとなった。
ここは明確には辿(たど)られてないので、細い線で結ばれている。もっと薄い線で結ばれているのが「mv1」と「H13」だ。目を凝らして、可能なら画面を拡大して確認して頂くと見える。
おそらくだが、ベトナムから密輸して食べるか、あるいは鱗を漢方薬に使う野生動物(センザンコウ)が中間宿主になっているのではないかとされている(華南農業大学の研究者もコメント)。「H13」はこの「mv1」が進化(変異)したものと考えられている」(前掲)

Group B

「中心は「H3」。これは武漢でのみ1例発見されている。しかし海鮮市場に行った事はないという。「H3」は、4つの4分の1の大きさの円から成り立っており、その小さな4色の円の右上(座標軸の第一象限)に注目するとHubei(湖北)の赤色だ。武漢市は湖北省の省都なので、赤になっているが、これは「1点」で、武漢のみである。
その斜め右上の方向に線があり、濃いピンクの少し大きな丸がある。これはアメリカのワシントンである。「H38」というウイルスが、ワシントンでのみ発見されている。ところが「H13」(深セン)も「H38」(ワシントン)も、武漢に滞在した経験があるという。
となると、やはり武漢に関係していることになる。 一方、残りの3つの「4分の1の大きさの円」は、「台湾、オーストラリア、ベルギー」なので、逆に、「H3」型ウイルスは、武漢では流行っていなかったことにもなる」(前掲)

Group C

「これこそが爆発的に伝染していった感染源だ。図の下半分にある赤い色などを中心とした円の真ん中に「H1」と書いてある。少々不鮮明だが、「H1」は「武漢市華南海鮮市場」で見つかったウイルスだ。大規模感染を起こし、世界中に広がっていった。「H1」が形成された変異経路には大きく分けて以下の二つの可能性が大きい。●bat-RaTG13→H13→H3→H1 ●bat-RaTG13→H38→H3→H1 だ。ここからが怖い。「H1」はGroup Cに所属するが、ここから進化してGroup DGroup Eなどの、言うならば「亜種」に変異している」(前掲)

そして郁氏はウィルスが世界に拡散する家庭で、航空機の乗客を宿主としたことから放射線を浴びてゲノム配列が変わってしまった可能性を指摘しています。
またこの変異によって今後どうなるのでしょうか。

「変異は最終的には毒性が弱くなり、宿主となる人間が死なない方向に動いて長く人間と共存していく方向(人間界に定着する方向)に変異してウイルス自身がいつまでも生き延びるようになる傾向にあるだろうが、しかし「H3」から「H1」のように、爆発的に強力化する場合も途中ではあり得る。
多くの人間(宿主)が死んでも、それを遥かに上回る数の人間に宿って(感染させて)、そこで生き延びていくという方法だ。これが武漢の大規模感染である。その意味では武漢の海鮮市場の野生動物という宿主は、やはり強力だったということが言える」(前掲)。

とまれ現時点は、感染がウィルス変異をしながら拡大を続けていく分岐点にいます。
ひとつは人間と共存するために弱毒化する道、もうひとつは死ぬ宿主を上回る新たな宿主を作るために強力化する、このふたつの道の瀬戸際にいるということになります。
前者はいわゆる集団免疫といって当該集団の6割が感染すれば免疫が獲得され、事実上無毒化されます。
メルケル独首相やジョンソン英首相も口にしていますが、専門家会議はこう言っています。

「感染症のなかには、大多数の人々が感染することによって、感染の連鎖が断ち切られ、感染していない人を保護する仕組みが機能できるものもあります。(略)
ウイルスに感染し、治癒した人は免疫を獲得して、少なくともある期間は再び感染することはない。新型コロナウイルスについては、60~80%の人が感染して免疫を獲得すれば、それ以上の感染はなくなると考えられている。逆に言えば、現在の状況では、国民の60~80%が感染する可能性があり、そうなったときに感染が終わることになる」(唐木英明『新型コロナ「収束のカギ」にぎる集団免疫とはなにか』)
https://webronza.asahi.com/science/articles/2020031400002.html?page=2

現在人類は集団免疫を持っていないので、持つためには国民の6割が感染してしまうか、あるいは人工的にワクチンで抗体をつくるしか方法はないわけです。
ところが各国で鋭意ワクチン作りは進んでいるものの、おそらく国民があまねく接種できるには1年以上かかるでしょう。
そこででてきたのが、英独の考え方です。

「新型コロナ騒動は、集団免疫を得るまでは終わらない。そうであれば、厳しい対策により感染者をゼロに近づけようと努力するのではなく、ドイツや英国に倣つて、医療崩壊を起こさないように注意しながら、ある程度の感染を容認して、集団免疫を得ることを考えるべきではないだろうか。そんなことをしたら死亡者が増える、という反対がある。
しかし、感染の速度に関わらず、感染者が国民の最低60%にならないと新型コロナ問題は終わらないのだ。重症者の治療法を早期に確立して、死亡率を低下させることが最重要の課題である」(唐木前掲)

ひとりの感染者も見逃さないというゼロリスク的方法を取った場合、いままでなんども書いてきたように確実に医療崩壊が起きてしまいます。
そこで英独政府は、軽症者は自宅で静養してもらい、重傷者に適切な医療を与えるために医療インフラを使って死亡者を減らそうとする方針に切り換えました。
それは国民の6割に集団免疫が獲得されるに任せるという方法です。
え、それでは死者が出る、政府は国民を見放したと日本のメディアは発狂するでしょうが、いいのです。
新型コロナの症状はせいぜい風邪かインフルエンザていどのものだからです。
だから医療ソースを、重症患者にのみ集中して使うのです。
そのような「集中と選択」をしている間に稼ぎだされた時間で、新型コロナウィルス対応のワクチンや薬剤を作り出し、おそらく1年先ていどには国民に投与可能になるでしょう。

わが国の方法もこれに近い方法ですが、指定感染症にしてしまったために手足を縛ってしまいました。これについては次回に。

 

 

2020年3月15日 (日)

日曜写真館 おはよう、クロッカスさん

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クロッカスは春告げ花です

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朝の彼女は寒いせいか朝露をまとわせた花弁を縮こませています

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さて、身体も温まったので大きく伸びをしましょうか

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いつ植えたのか覚えていませんし、ふだんは雑草の中なのですが、毎年春になるとかならず挨拶に来てくれます

2020年3月14日 (土)

愛知県大村知事、愛知県を大邱にしかかる

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本題に入る前に簡単に先日来の言い争いについて書いておきます。
これは九州M氏の私への反駁から始まったものですが、語調が過度に強すぎました。
また氏のいい意味でも悪い意味でも一直線な主張は、いわゆる「原則的には正しいのだが、それをやると必ず失敗する」という類のものに私は見えました。
これに多くのコメンターが議論に加わって行く中で、九州Mさんが去って行きかねない嫌な展開となりました。
ここで私は介入すべきかどうか迷ったのですが、結局流れにまかせたところで九州M氏が「N」氏として復活され、正直ホッとしました。
彼のような優秀な論者を失うことは損失以外なにものでもないからです。

しかしこのいきさつに見て怒ったのが、九州Mさんと同じ古くからの常連さんのひとりの山形氏でした。
彼のコメントは私にとって「気分はわからないではないが、そんなことを言ってどうなるのだ」というようなものでした。
九州N氏はこの間の混乱に対して頭を下げているのですから、これでお終いにさせるべきです。
それを蒸し返しても、コメントコーナーが本来議論したい筋からどんどんと離れていくばかりですから、ブログ主としては困ります。

一定の逸脱は議論の展開上いたしかたがないのですが、このようなまったく本題から逸れたある種の個人攻撃を強い語調でやることには、さすが非介入主義の私も注意を呼びかけたわけです。

さてこの間の新型コロナウィルスにまつわる保守言論陣の分裂ぶりは、百田氏の必要以上に過激なトランプ調によって始まりました。
これに引きづられたのか、普段は冷静な議論を展開するはずの門田、有本、長谷川各氏などが一斉に政府批判に走ってしまったのには驚かされました。
そしてこの人達に感化されたのか大部分の保守系SNSもそれに追随してしまい、一時は百田節が保守言論のメーンストリームとなっていたのは記憶に新しいことです。

この検査・中国入国規制論争は、韓国と同じく大量の検査をして医療崩壊を起こしたイタリアや、入国規制をかけても日本の倍も感染者をだしてしまった米国の例を見て一気に決着を迎えたわけですが、あれだけ強く政府批判をしてしまった保守論客のみなさん、このまま頬かぶりする気でしょうか。
とまれ、ミギからヒダリまでが妙に一致した意見を吐く時は気をつけましょうね。

ところでこの雪崩を打った保守の自壊現象に対して、言論界で敢然とただひとり噛みついたのが上念氏でした。
ただツイッターであったとしても、百田氏を公然と口汚く罵ってしまいました。
私は当初から上念氏の論説は百田氏よりはるかにまっとうだと評価していましたが、この感情的反駁はいただけません。
結局、上念氏は百田氏に謝ったもののしこりは残り続けているようで、保守言論界には亀裂が入ったまの状況です。やれやれ。
新型コロナの脅威と重なって、憲法改正の前段で保守がもっともまとまらなくてはいけない時期に内ゲバやっている暇があるのかと思います。

とまれ、このような不毛な「論争」は私のコメント欄では止めて下さい。
礼節を守る、HNをつけて責任をとった発言をする、個人攻撃はしない、これがこのコメント欄のルールです。
宜しくご理解下さい。

                                                                     ~~~~~

前置きが長くなりました。本題に入ります。
信じがたいことには、愛知県が韓国の追随をしようとしています。
日本の自治体首長で韓国のようなことを仕出かすとしたらあのあいち反日博覧会(ちがったか)をやった大村知事かデニーさんくらいしか思いつかなかったのですが、やはり大村さんだったようです。

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大邱の慶北大学病院に搬送された新型コロナウイルス感染が疑われる患者
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59456

愛知にふれる前に韓国の状況についておさえておきます。

●韓国の感染状況
・感染者数・7979(+224)人
・死亡者・67人(+7)
・回復者510人
・重症者・93人

問題とすべきは国のサイズがありますから感染者数そのものよりも死亡率ですが、韓国の感染の特徴はこの人口あたりの患者数の多さと死亡率の異常な高さです。

●1万人あたりの感染者数
・韓国・1.53人
・日本・0.05人

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https://www.esrij.com/news/details/124546/

この人口当たりの感染者数が多いのは、地域的に猖獗を極める地域が出た証拠です。
中国では武漢、韓国ではテグ(大邱)、イタリアではロンバルディア地方などです。
このようなレッドスポットがあると、全体の感染が頭打ちになっても、感染者と死亡者が増え続けることになります。

人口100万人あたりの新型コロナによる死者数
・韓国(全土)・ 1.31人
テグ(大邱)・ 19.7人
・韓国(テグと慶北を除く)・ 0.06人
日本・ 0.12人
イタリア・ 16.8人

このようにテグは韓国全土の約7倍もの死亡率を出してしまっています。
ムン閣下が「検査を求めに応じてやったから多いだけだ」と強気なのは、韓国全体ではテグと慶北を除くと日本と変わらないか、むしろ少ない数字がでてしまうからです。

ただしテグは小さな地方都市ではなく、人口は244万人、名古屋232万人とほぼ同じサイズです。
名古屋で仮に死亡者が50人も出たら、知事と市長の首が飛んだだけではと終わらないはずですが、それが今テグでは起きているということになります。

なんとテグに続こうとしているのが、愛知県です。
愛知は全国で群を抜いて多いことがわかるでしょう。

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しかも指定感染症ですから、受け入れ病院もどこでもいいというわけにはいきません。
当然指定感染症の指定医療機関は少ないのです。

「愛知県新型コロナウイルスの感染者が増える中、県や名古屋市が入院先の確保に苦慮している。県によると、患者を受け入れられる県内の病床数は11日時点で161だが、半分以上が埋まった。感染拡大にブレーキがかからないままだと入院先がなくなり、感染者への対応策の見直しを迫られる可能性がある。
今日の5人どうするんだ」。9日午後、名古屋市で新たに判明した感染者の受け入れ先を巡り、愛知県庁内の一室で緊迫したやりとりが続いた。県内の感染者数は11日午後9時時点で104人にのぼり、都道府県で北海道に次ぐ多さだ」(朝日3月11日)
https://www.asahi.com/articles/ASN3C5SBSN3BOIPE00K.html

 整理すると名古屋の指定医療機関の状況はこうです。

新型コロナの感染者のための指定医療機関
愛知県・161床
指定医療機関・ 12病院72病床
協力医療機関・ 33機関89病床
3月10日時点で計96床を利用中

かんがえるまでもなく、6割を超えていますからこの勢いだと遠からず満杯になります。
指定医療機関に隔離病床が少ない、だから安易な検査を増やせば隔離病床はすぐに軽症者で埋められていってしまい、ほんとうに緊急の医療ケアをすべき重症患者から死んでいってしまう、これを避けるのが先決だというのが、国が検査を隠蔽だなんだかんだと罵られながら検査を渋った理由でした。

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さすがは大村さん、反日博覧会(しつこい)で慰安婦像を展示した反骨の士だけあります。
この新型コロナにおいて、検査は控えて下さいという厚労省の指導に真正面から逆らってムン閣下の後追いをしようとしています。

3月10日、大村知事は政府方針に反対して検査をどんどんしていくと表明しました。 

新型コロナウイルスの感染者が99人となった愛知県では、11日、大村知事が会見を開き、民間の検査機関を活用し検査の数を増やす考えを示しました。
 愛知県と名古屋市は、10日、県内に住む男女13人が新型コロナウイルスに感染したと発表しました。
 このうち1人と、これまでに発表されていた1人のあわせて2人が、10日死亡し、愛知県内の感染者は99人、亡くなった人は3人となっています。
 「愛知県と名古屋市の衛生研究所で検査しているがフル回転。民間にも声をかけて協力いただけるよう話をしている。お願いして広げていく」(大村秀章・愛知県知事)これまで愛知県内では、新型コロナの検査を1500件実施していますが、会見で大村知事は今後、民間の検査機関などにも依頼し、態勢を拡充する考えを示しました」(3月11日CBC)

これは厚労省の指導の真っ向から反している愛知独自のものです。厚労省は3月1日の指導でこう言っているからです。
https://www.mhlw.go.jp/content/000601816.pdf

「(2)状況の進展に応じて講じていくべき施策
地域で新型コロナウイルス感染症の疑い患者が増加し、全件PCR 等病原体検査を実施すると重症者に対する検査に支障が出るおそれがあると判断される場合においては、PCR 等検査は、重症化防止の観点から、入院を要する肺炎患者等の診断・治療に必要な検査を優先する」
「必要に応じて 、 新型コロナウイルス感染症が疑われる方の外来 診療を原則として行わないこととする医療機関を設定するとともに、新型コロナウイルスへの感染を疑う方が受診しないように周知を行う」

つまり厚労省はこの3月1日の指導の中で、一般医療機関においても予防措置をして必要な病床を確保し、高齢者や基礎疾患保有者などといった重症化しやすい人たちを別にして、無症状者や軽症者は仮にPCR検査で陽性であっても、自宅での安静にしていてほしい、感染をうたがう人は一般医療機関は受診しないでくれ、と言っているわけです。
これに対してしわが
大村知事は公的機関の衛生研究所だけではなく、民間の検査機関もフル回転させて検査しまくると言っているのですから、大丈夫でしょうか、この人。

しかも、これを表明した10日の時点で、既に6割の隔離病床が埋まっているのに、さらにフル回転させて調べまくるというのですから、もはやイっちゃっています。
新型コロナ新法で非常事態宣言でも出せば、こういうイっちゃった知事に対して一定の指導力を政府は持てるのでしょかが、いまはただの「お願い」(要請)なのでなにもできません。
愛知県は「日本のテグ」になりたいのでしょうか。
大村知事の暴走を止めることができるのは愛知県民だけです。河村市長、出番ですよ。

 

 

 

2020年3月13日 (金)

米国ヨーロッパに渡航禁止を通告する


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イタリアが「第2の武漢」とまで言われるような状況になっています。正直だれもここまでの感染拡大を予想したものはいなかったはずです。
ヨーロッパに弱いWHOは慌ててパンデミックを宣言しました。
あそこは日米がなんといってもうんにゃですが、中国とEUには妙に弱いのです。
それにしてもなにを今さら、パンデミック。とっくになってるよ。
今出したら、中国が制圧したと発表したので安心して出したと疑われるに決まっているでしょうが。

では、恒例の世界の感染状況からいきます。
Coronavirus COVID-19 Global Cases by the Center for Systems Science and Engineering
3月13日午前4時50分現在

中国・80,932人
イタリア・12,462 
イラン・10,075
韓国・7,869 
フランス・2284
スペイン・2,277 
ドイツ・2078 
米国・1,323
※日本639 (日本はWHOの区分基準に従ってDPは入れず)

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https://twitter.com/EARL_Med_Tw

米国はとうとう千人のオーダーを超え、日本にダブルスコアをつけてしまいました。
そして米国はEUに対して入国制限をかけたんですから、なに考えているんだか。
トランプはCDCの言うことを聞いているのでしょうか。こんなことしてもただのパーフォーマンスでしかありません。

この間私がなんども書いてきているように、入国制限は今のような感染爆発期にはまったく無意味です。
日本がいま中韓に入国制限をかけたのは、休校・イベント中止措置の時期に入ってこれ以上クラスターを増やしたくないからですが、米国は拡大のま最中です。
それは後述するグラフをみていただければわかるように、米国はイタリアとそっくりな上昇カーブを描いているのですから、今さら入国制限しても焼け石に水ってもんです。

そもそも入国制限が有効な対策ならば、米国は発生源の中国を世界に先駆けて入国禁止にしたのですから、なぜ千人を超える感染者を出してしまったのか、説明がつきません。
そもそも入国制限は、ザルを承知で感染の足止めができたら僥倖ていどの意味しかありません。
ただインパクトが強いために、国民向けパーフォーマンスとして為政者が使いたがります。
トランプもそうでしたし、
イタリアのコンテ首相も初めは自信たっぷりでした。

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コンテ首相 。鼻デカイ。ハグが好きそう。ブルームバーク 

「ジュゼッペ・コンテ首相は1月31日、記者団に対し、「イタリアが実施した感染予防体制は、欧州で最も厳しいものだ」と自信ありげに語った。だがその自信は裏切られた。
2月21日、ロンバルディア州は、ミラノ南東60キロにあるコドニョ出身の38歳のイタリア人男性が新型ウイルス陽性と診断されたと発表した(「マッティア」という名だけが発表されている)。それから1週間以内に888人の感染が確認され、そのうち21人が死亡した」
(ロイター3月5日)

これのコンテ首相の自信は、イタリアが初期に中国に対して入国制限をかけたからですが、見事にスカでした。
いまやイタリア経済は壊滅状態に陥っています。

「イタリアの事例は、西側諸国の経済が予想外の外的事象に対していかに脆弱かを示している。封鎖された「レッドゾーン」とその周辺地域は、イタリア経済の縮図である。この地域では、企業の倉庫や物流センターから、チーズ・酪農加工センターに至るまで、あらゆる事業活動が見られる」(ロイター前掲)

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観光客はおろか市民もいないローマ市内   ロイター

トランプもコンテも思い違いをしていたのです。
感染拡大に
大事なのは入国制限ではなく、医療システムを守り、重症者を集中的にケアして死亡者を押さえ込みつつ、国内のクラスターを減らしていくことなのです。
入国制限が意味があるとすれば、感染国からの訪問者を足止めすること自体にあるのでなく、その動向をモニタリングすることによって、感染侵入動向をあるていど予測することです。
この動向調査によって、後の国内のクラスターの発見につなげることができます。

また入国制限の効果としては、流行のピークをズラすことで「時間稼ぎ」が可能になり、それが稼ぎ出した時間で重症患者の治療に集中することができます。
日本のウィルス対策は初期の武漢の春節客を入れたことを除けば、おおよそこの戦略が成功しています。

一方米国やイタリアは、入国制限に傾いて安穏としているうちどこからか侵入され、今や手がつけられない状況となってしまっています。
その上に、何をトチ狂ったのかEUを新たな発生源と見たのか、ヨーロッパを今日から入国禁止の対象としてしまいました。
友好国だからこそハッキリ言ってやりますが、トランプさん、あんたバカですか。

こんなことをすれば、効果がないどころか、間違いなく世界経済に取り返しのつかないダメージを与えます。
ただし、英国は373人なので例外だそうですが、遠からずここも倍増するでしょうから、さてその時はどうするんでしょうか。
現時点においては入国禁止対象は旅行客限定だそうで、貨物は入れないとのことですが、この新型コロナウィルスは接触感染でうつるのはよく知られた事実です。
ウィルスは貨物にもついて来るのですが、いいのかな。

逆に米国のほうからはヨーロッパに渡航するのは自由だそうで、米国の市民権、永住権などを所持している人には適用されませんから、米国籍を持っているとなぜかウィルスに感染しないということのようです。
米国人の渡航先はヨーロッパがメーンで年間7240万人も渡航しているので、おそらくウィルスはヨーロッパからの迂回ルートで侵入した可能性があります。
ウィルスには国籍がありませんから、米国人から侵入したかもしれないのですよ。

とまれ、この中国に続くヨーロッパの渡航禁止措置によって、世界経済の心臓部である米国発の大動脈が二本切断されたことになってしまいました。
世界経済は激震に見舞われることは火を見るより明らかです。
ここまで世界経済に衝撃が加わると、もはやコロナ恐慌は避けられないものになりそうな気配です。

さて、いまや中国が勝手に鎮火宣言を出してしまったために(わけねぇっしょ)、イタリアはとうとう残された「ヨーロッパの武漢」になってしまいつつあります。
感染者数はとうに1万人の大台を超えて1万2千人となり、いまだ感染は拡大し続けています。
次はグラフでそれを見てみましょう。
https://www.esrij.com/news/details/124546/

Graph_suii1

  中国、イタリア、イラン、韓国を除いた各国の感染者数はこのように推移しています。

Graph_suii2

感染者そのものの数より、その伸び方のラインに注目してください。
厚労省の専門家会議のサイトのグラフと比較してみましょう。
感染増加曲線が急上昇しているようなカーブを見せているうちは、感染が急激に進んでいる証拠です。
たぶん米国やヨーロッパでは、接触感染を中心として濃厚な感染をもたらすクラスターが市中にバラ撒かれてしまっていると見るべきです
昨日紹介した厚労省専門家会議の曲線が、この急カーブを抑制することに力点を置いていたことを思い出して下さい。
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専門家会議が意図したゆるやかなカーブに日本はなってきていますが、ヨーロッパ・米国には衰えがないようです。
ちなみにヨーロッパは日本の半分ていどの人口しかない国が多いので、単純に感染者数だけては比較できないので1万人あたりの人口で見てみます。

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もう比較するのが気の毒なくらいで、日本が1万人あたり0.05人、イタリアが2.07人とケタが違います。
ちなみに韓国は1.52人と、これもわが国とはケタが違います。
これらを見ると、今後日本では小規模なクラスターが発見され、そこから感染者が何人かでることはありえますが、大規模な感染拡大は考えにくいと思われます。
総じて、わが国のウィルス対策は80点をつけられる一方、欧米は失敗していると見てよいのではないでしょうか。


 

2020年3月12日 (木)

「時間稼ぎ」戦略とは

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春の甲子園が流れました。大相撲は白けきっています。東京ディズニーランドは閉園を延長しました。
政府は自粛期間を10日ていど先延ばしにするように要請を出しました。
なぜでしょうか。この先1週間か2週間がヤマ場だと言ったじゃないか、ということを言っているメディアもあるようですが、こんなことを言うのはなぜ休校・イベント自粛をしているのか理由が分かっていないからです。

今政府がやっているのは、感染クラスターをできる限り減らすことです。
クラスターとは葡萄の房のようなものを想像してください。ひとつのまとまりのある群落ていどの意味です。
学校も小群落の集合体、東京ディズニーランドも多数の群落の集まりです。
パチンコ屋も甲子園もみんな同じです。あ、そういえばパチンコ屋も自粛しろよな。

クラスターをなくすことは出来ませんが減らすことによって、感染拡大のスピードを遅らせることができます。
ゼロリスク的思考だと、全部止めろということになるのでしょうが、そんなことをマジにやったら日本という最も大きなクラスターが死んでしまいます。
あくまでも「感染拡大の速度を落とす」だけで充分です。
これで「時間を稼ぐ」ことができるからです。

なんのための時間でしょうか。
それは一時に検査を要求する人や軽症者が病院に殺到されてしまっては、病院のほうがもたずに医療崩壊を起こすだけではなく、今一番医療の力が必要な重症患者に医療が届かなくなるからです。
それはこの間の韓国やイタリアでよくわかりましたね。
この悲惨な外国事例を見ても、まだ眼が醒めずに検査をさせろなんて今でも言っている人がいたら、その人はよほどの愚か者か、意図的に日本を危機にさらそうとしている危ない人ですからご用心。

いま最も感染拡大が拡がった北海道を例にとりましょう。
厚労省専門家会議はこのように述べています。厚労省は地道に日曜日でも情報発信してくれています。ヘンなサイトやテレビのどーしようもないくずニュースを見るくらいなら、ぜひこちらをご覧下さい。
(
新型コロナウイルス感染症対策専門家会議『新型コロナウイルス感染症対策の見解』)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00011.html

専門家会議がもっとも重視しているのは、感染拡大の温床となるクラスターを減らすことで、そのためにはヒトとヒトが接触する場を減らすことしかありません。

感染を急速に収束の方向に向かわせるためには、人と人との接触を最大限に避けることが必須です。これを、いま集中して実施すべきです」(厚労省前掲)

専門家会議は図入りでその意図を説明しています。

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専門家会議はこのように説明しています。

「もし、こうした対策が行われず、人々が何も行動を変化させない場合、感染者数が急増し(赤い上昇線)、一定の潜伏期間後に発症者数も急増することが予想されます(青い上昇線)。その一部の方々は、重症化する可能性があります。こうした事態に至ると、多くの人々に健康被害をもたらすほか、医療提供体制に甚大な悪影響を及ぼす事態を招きます」(厚労省前掲)

休校やイベント自粛をしないとグラフ赤線のように早期に感染カーブが上昇し、その対応で医療機関は崩壊の危機にさらされます。
しかもその時だけではなく、1週間から2週間ていどの潜伏期間の後に地雷のように発症が爆発する場合もあります。
この初期の感染拡大のピークを起こさせない、仮に起きてもそのピークをズラせるためにするのが、この休校・自粛要請です。
初期の感染爆発さえ抑え込めれば、感染が起きても青点線のようになだらかな曲線で済ませることができるために、医療機関は保全され、重症者を充分にケアできることになります。

これと同じ論理で、初期の水際作戦があります。
勘違いしている人達は、水際対策が万能だと信じて政府が中国に対して全面渡航禁止としなかったことばかりワーワーと批判していますが、まったく見当違いです。

水際防疫をするほんとうの理由は、水際で万全のブロックをかけることにあるのではなく、これもまた「時間稼ぎ」戦略にすぎません。
米国の研究では、水際防疫が感染をブロックできるのはせいぜいが3%に止まるとされています。
つまり大部分は水際の壁を乗り越えて浸透してしまうのです。そりゃそうでしょう、無症状の人が圧倒的で、彼らはせいぜいがサーモグラフィの検温検疫には引っ掛かりませんからね。
たとえ中国だけをブロックしても侵入されるのは、米国をみればわかるはずです。

ですから、ザルを承知で水際対策をとって初期の渡航者によっていきなり感染者が急増することを避け、感染ピークをもう少し後に延ばす「時間稼ぎ」をしているのです。

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http://vox.hatenablog.com/entry/2020/02/26/180242

ではその「時間稼ぎ」をしている間に何をするのかといえば、感染を迎え撃つ体制を作っているのです。
たとえば個人に対しては手を洗えとか、人ごみには行くなといった啓蒙活動もその一つです。
そして医療体制を整備して、重症者を中心に医療ソースを投入していくわけです。

ここで頭が不自由な某国の大統領閣下(あえて名を秘す)は、ゼッタイやってはいけない国民皆検査なんてやらかし、検査希望者と軽症者によって病院のベッドを埋めつくしてしまいました。
イタリアも一緒で5万件以上大量検査をした結果、大量の偽陽性を生み出し、この人たちで病院のベッドが空かず、重症の老人たちは手当てもうけられずに死んでしまうというシャレにならない状況となりました。
やっとわかりましたか、PCR検査の最大の欠点は、宿命的に偽陽性が大量にでてしまうことなんですよ。

ちなみに、このPCR検査論争が終わった今頃になって、何をトチ狂ったのか100万人の検査を提供するなんて言い出した大富豪がでましたっけね。この人、馬鹿ですか。悪質な売名行為です。
偽陽性は今のPCR検査では3割近くでるという説もありますから、100万人やれば30万人もの偽陽性を出してしまいますから、ナニ考えているんですか。
彼は福島事故の時も、カン首相とつるんで再生可能エネルギーの超高価固定買い上げ制度(FIT)なんて下策を無理やり通してしまいましたっけね。ああいやだ。出たな妖怪!

それはさておき日本政府は賢明にも、野党とメディア、一部保守系文化人のいうことに耳を貸さず、検査をわざわざ保健所をパイパスさせることで医療機関を保護しました。
たいそう国民受けが悪い政策でしたから、メディアにはさんざんくさされたものですが、しかしこれが正解なのは今のヨーロッパや韓国の医療クラッシュと比較すれば明白でしょう。

感染対策は必ずタイムラグを伴います。潜伏期間があるからで、休校・自粛措置にしても2週間ほどの時差が生じてしまいます。
だから、また自粛が延びるのか、アベの無能なんて言わないように。

「ただし、潜伏期間があるため、患者数の減少が確認できるまでにはタイムラグがありますので、人々の行動が大きく変わってから2週間ほど経過しないと、その効果を評価することはできません」(厚労省前掲)

現時点で分かっていることを、整理しておきます。

●感染者の状況
風邪やインフルエンザと同じ症状を呈し、重傷化すると肺炎となる。
②特効薬はない。抗ウィル剤アビガンがほぼ唯一だが、催奇性が指摘されているために、国際的治験試験をする予定。
③解熱などの対処療法しかない。
④ほぼ大部分の感染者は、自覚症状がなく、自然治癒する場合も多い。
⑤子供や若年層は感染するが軽症で終わる場合が多いが、老年層・持病がある人は重症化する場合がある。
⑥ワクチンはない。米国は新しい方法で早期に作ると言っている。
⑦死亡率平均は3.87%。

●感染経路
①飛沫感染と接触感染が主で、わずかの接触で感染する場合がある。
②空気感染は確認されていない。
③クラスターが感染の温床であることから、休校・イベント自粛措置をとった。。

●検査方法
PCR 検査しか存在していない。
②簡易検査キットも米国が作ったと言っており、一部では使用しているが精度は分からない。
③PCR検査は時間がかかるうえに精度が悪く、偽陽性を大量に作り出してしまう。
④感染者をあぶり出すために検査をすれば医療崩壊につながる。

●医療機関の現況
①首都圏の隔離施設はダイヤモンドプリンセスの感染者で埋まっている。
②検査を一般医療機関が受け入れれば、医療崩壊となるのは必至である。
③医療機関は中韓、イタリアの例からも、感染拡大のハブとなる可能性が高い。

●日本政府の対策
①初期の水際対策は武漢と湖北省に限定したために批判を浴びた。
②検査よりも重症者対策を重視した。
③ダイヤモンプリンセスを受け入れた。
④休校措置・イベント自粛を要請した。
⑤非常事態宣言を含む新法作って非常事態に備えた。

●今後
①感染拡大はヨーロッパ、米国に拡がり、何カ国かで医療崩壊を起こした。
②中国はピークアウトしたと(自分では)言っている。
②韓国では感染が拡大し続けている。
③WHOはパンデミックを宣言した。
④日本はあと数週間で抑え込めたどうかの判定ができる。
⑤抑え込めたなら、日本方式が世界のスタンダードになる。

 

2020年3月11日 (水)

死亡率から見る各国感染状況

067

まずは、本題に入る前に日曜写真館にあって象のような面妖な生き物は、漠(ばく)でした。あの夢を食う神話的ないきものです。
それが極彩色でさりげなく飾られているのがお稲荷です。

さて、昨日は落ち込み加減なものを発信してごめんなさい。
私が驚いてしまったのは、欧米先進国の危機に対する耐性のなさでした。
彼ら今まで日本に対してなんと言ってきましたか。「感染大国」「デタラメで未熟な日本政府の危機対応」「日本に入国制限をかけろ」などなど、まったく今思い出すといいきなもんでした。
ああ、既視感ありありです。あの3.11の福島事故時にヨーロッパ人は全員があっと言う間にいなくなりましたもんね。
そして帰国してからドイツを中心に、それはひどい悪口雑言、デマの嵐を送ってきていただきました。

それはさておき今回も、日本でも某新聞の論説副主幹だったH氏などは、「日本はもう世界から危険国扱い受けている。日本の対応は遅い」と、中国との渡航制限を大声で主張していまた。
帝国憲法への回帰論で有名なウルトラ保守のK氏なども、「アベに較べればカンのほうがよほど危機対応が出来ていた」なんてのたまうていました。
中間的な結果が見え始めた今、改めてこれらの諸氏のご意見を拝聴したいものです。

さて、日本だけがデタラメをしまくって感染をバラ撒いている、と言っていた欧米がいまやこの有り様です。

下グラフは日本(赤線)とヨーロッパ(イタリア紫線)、韓国(黒線)の感染者数を見たものですが、日本の増加は頭打ちで危機的状況を脱しつつありますが、ヨーロッパはまだ増加を続けています。

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新型コロナの感染者数(Mark Handleyのツイートより)

他人の不幸をあざ笑う気はありませんが、今まで欧米メディアは自信たっぷりに日本の危機対応に嘲罵を浴びせていたのですから、そりゃ言われてもしゃーないよね。
現在の感染の拡大状況です。中国と韓国を除けばズラリと欧米の先進諸国がガン首を並べて壮観です。
典拠 ジョンズホプキンス大学

●世界の感染状況(3月10日現在)
・中国本土・80,735 人
・イタリア・9,172
・韓国・7,478
・イラン・7,161
・フランス・1,209
・ドイツ・1,176
・スペイン・1,073
・米国・607
・日本・511
・スイス・374
・オランダ・321
・英国・321

イタリアが1万人の大台にのせるのは時間の問題で、日本とは2桁の差が出ました。
追記・感染者の数が新たに977人増えて1万149人となりました。また、亡くなった人は168人増えて631人に上りました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200311/k10012324471000.html?utm_int=news-international_contents_list-items_001

イタリアが深刻なのは、ただ感染者数が増えていることではありません。死亡率が異常に高いことです。
驚いたことには死亡率で中国を上回ってしまいました。
感染者数は、韓国の言い分のようスクリーニングを多くすればそれに比例して応分に増えますが、では死亡者はどうなのでしょうか。
死亡率を見てみます。
篠原彰氏がツイートでよいグラフをアップしていただいていますので転載させて頂きました。
https://twitter.com/akiran0723

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上図の死亡率の欄にご注目下さい。先ほどの感染者ランキングに照応してみます。

●各国の死亡率(3月10日現在)
・中国・3.86%
・イタリア・5.05
・韓国・0.71
・イラン・3.31
・フランス・1.74
・ドイツ・0.17
・スペイン・2.61
・米国・3.73
・日本・1.76
・スイス・0.53
・オランダ・0.93
・英国・1.25

続いて死亡者数のランキングをみてみます。

各国の死亡者数(3月10日現在)
・中国・3119人
・イタリア・463
・韓国・53
・イラン・237
・スペイン・28
・米国・22
・フランス・21
・日本9
・クルーズ船・7
・英国・4

まだこの統計自体が流動的な状況でとられたもので、時々刻々変化していますから結論めいたことはいえませんが、平均的死亡率が2%前後なので、イタリアの5%台、米国とイランの3%後半という数字は突出しています。
米国とイランで多いというのは、この両国の犬猿の仲を考えると苦笑しますが、この両国とも医療衛生システムに重大な欠陥があると思わざるをえません。
一方面白いのといってはナンですが、韓国は死亡者数は53人と世界3位ですが、死亡率としては1%を切っています。
この国は国民皆検査なんてことをしなければ、もっと安定した対応がとれたのにね。

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問題なのはイタリアです。感染者数も世界2位、そしてなによりなんと死亡者数463人、死亡率5%という信じがたい数字を示しています。
明らかな医療崩壊が起きてしまっているとしか思えません。
これは新型コロナウィルスのスクリーニングなんかを、よせばいいのに大規模にやった報いです。
この結果、有限な医療ソースが検査に振り向けられ、しかも軽症と重症をトリテージせずに隔離したのですから、結果は見えていました。

「感染者が急増した理由に挙がるのが医療現場の混乱だ。イタリアは、これまでに新型コロナの検査を5万4千件以上してきた。感染者を確定させる狙いだったが、軽症の患者も徹底的に検査したため、病床が満杯に。医師や看護師の不足に拍車がかかり、感染が一気に広がった可能性がある。
米ブルームバーグ通信は世界保健機関(WHO)関係者の話として「検査をやり過ぎて害を及ぼしたようにみえる」と伝えた。無症状の人は自力で回復できた可能性があると指摘した。
イタリアは欧州連合(EU)が求めた財政緊縮策として医療費削減を進め、医療機関を減らしてきた。政府は引退した医療関係者の現場復帰を呼びかけ、軍事施設の活用など対策を急ぐ。
中国人観光客の多さも新型コロナのまん延のきっかけになったとの声もある。イタリアを訪れる中国人は年320万人を超え、国別では5番目に多い。イタリアは2019年3月、主要7カ国(G7)で初めて中国の広域経済圏構想「一帯一路」に参画する覚書を締結し、その後に中国人は一段と増加した 」(日経3月10日上写真も)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56642800Q0A310C2910M00/

ここで日経はイタリアがこれほどの惨状をしめした原因をいくつか上げています。

①過剰な検査によって軽症者と検査によって病床が占拠され、病床、医師、看護士が不足した。
②EUによる緊縮財政によって医療インフラの弱体化が進んだ。
③中国人観光客の多さ。

危険な兆候を示し始めたのが英国で、この国の医療衛生環境は褒められたものではありませんでした。
英国も今週中に日本を抜くことでしょう。あの国の医療インフラは緊縮財政によって脆弱化しているのは前から知られていましたから、重症患者に医療ソースを振り向けないとイタリアのようになりますよ。  
重症者が出た場合、どれだけの患者をICUに入れられるかわからないそうです。
今のところスクリーニングをしているという情報はないので、かろうじて医療システムは保たれているのでしょうが、いったん感染が大陸から大規模に拡大してくると要注意です。

この過剰なスクリーニングこそが、危機的状況において医療崩壊を起こすということにやっとヨーロッパは気がつき始めたようです。
上氏はいまだ先日の公聴会でもスクリーニングをしないから日本の感染者は少なくでているだけだ」なんて言っていましたが、彼の言うとおり国民皆検査なんかしたら今頃は日本も韓国・イタリアの医療崩壊に追随していたはずです。
この上氏のスクリーニングをしない日本政府が悪いという説に、ヒダリ方向のメディアと野党が乗っかって、その上に習訪日がらみでミギも乗ってしまい、「そうか、アベが検査しないのは感染者数を過少に見せたいインボーなのだ」なんてと言いはじめたわけです。
やれやれ馬鹿な人たち。

この過剰なスクリーニングこそが、危機的状況において医療崩壊を起こすということにやっとヨーロッパは気がつき始めたようです。

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フランスはこのような対策をとっています。

「PCR検査について、検査の対象は現在の日本のものと近く、重症のかぜ症状がある患者のみとしています。オリヴィエ・ヴェラン保健大臣は「軽症や無症状の陽性者を探すスクリーニング的なテストはしない」と発表しました。なお、これまで検査は指定医療機関のみで行われていたのですが、市中の開業医・診療所でも行える体制を整えています。
医療体制の再編成も進められています。軽症者は、プライマリ・ケア(町の開業医やかかりつけ医)が主に対応することになり、検査キットやマスクが配給されました。一方で重症者は治療設備の整った病院に行くことになります」
(奥田七峰子 日本医師会総合政策研究機構フランス駐在研究員 3月8日 上写真も同じ)
https://news.yahoo.co.jp/byline/mamoruichikawa/20200308-00166630/

フランスがとった対策は要約すると

フランスの対策
①無症状や軽症の人を探すスクリーニングはしない。
②重症者を重点に入院させる。
③検査キット・マスクを配布する。

なんだ日本と同じじゃないですか。
だからフランスは隣国が惨状を呈しているのに、死亡率で日本とまったく同じ1.7%を維持できているのでしょう。
このように限られた医療リソースを重症者に集中する、そして医療崩壊を防ぎながら社会全体でウィルスと戦っていくしかないのです。

この時期、3.11の追悼もままならぬほどの重い空気が垂れ込めていますが、日本人ほど脅威に強い民族はいません。
落ち着いて左右のデマに惑わされずに日常生活を送っていきましょう。

 

2020年3月10日 (火)

オリンピックは無理かもしれない

073

いきなり不吉なことをいうようですが、オリンピックは無理かもしれません。
というのは、これだけ世界に拡大してしまっては、日本だけで開催条件をウンヌンできる問題でなくなってしまったような気がするからです。
オリンピックができるかできないかの主導権は既に日本の手を離れてしまったということです。
ですから、この夏のオリンピックがなにごともなく開催出来る条件とは、日本における感染の終息など大前提であって、世界規模における感染の完全な終息が必須条件なのです。

それを度外視して、夏までにはわが国の感染は止められるだろうなどと言っているのは、オリンピックが世界最大規模の国際大会であることを忘れている証拠です。
7月までにわが国での感染が止まっているのは当たり前。
もう今の時期には、各国選手団の先行グループは日本でキャンプを張っている時期なのです。

このまま今燃え盛っているヨーロッパ全域の感染爆発が残り火まで完全鎮火してもらわねば、無観客試合にするしかありません。
というのは現実問題として、数万人規模の外国人観客を、ひとりひとり検疫にかけることは不可能ですから、発熱の自己申告程度でお茶を濁すしかないでしょう。
これがザルだというのは今回の教訓で、新型コロナウィルスにはこれといった自覚症状がなくとも感染者である可能性があるのです。
オリンピックの性格上、中国、韓国、イタリアといった国のみに入国制限をかけるわけにはいかないでしょうし、仮にそうしたとしても入国制限の効果が極めて限定的なことが今回わかりました。
米国など中国に対して入国制限という戸締りをしても、いまや感染者数・死亡者数共に日本を軽く追い抜いてしまいました。

あ、そうそう、ロンドン市のタコ市長候補が英国でやるぞなんて言っていましたが、ヨーロッパでやれるもんなら、どうぞどうぞ(笑)。

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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47633860S9A72...

したがって水際防疫は事実上不可能ですから、感染が発覚した場合に機動的に対処するしか方法がなくなるでしょう。
しかしそんなことが出来ますか?仮にひとりの感染者がでれば、そのクラスターを全部検疫せねばならないのですよ。
今、私たちが経験した最大規模の感染クラスターはダイヤモンドプリンセスですが、3千人規模ですら大変なことでした。
オリンピック時には一体何隻のクルーズ船が押しかけ、一体何機の旅客機が日本に訪れるのか、考えただけでも憂鬱になります。

SMBC日興証券の試算では、経済損失は7兆8000億円に上るとしています。

「新型コロナウイルスの感染拡大が収束せず東京オリンピックが中止になった場合、経済損失は7兆8000億円に及ぶという試算が公表されました。
 SMBC日興証券は新型コロナウイルスの経済に与える影響について試算しました。このなかで、東京オリンピック・パラリンピックについて「感染拡大が7月まで続くなら中止となる可能性は高い」と指摘し、オリンピックの中止による損失は大会運営費に加え、観戦客の食事やグッズ購入など6700億円と見込んでいます。国内の消費の落ち込みや中国との貿易の減少などの影響と合わせると経済損失は7兆8000億円に上ると試算しています。また、来月中に感染拡大が落ち着いたとしても日本経済へのダメージは4兆8000億円に及ぶとしています」(テレ朝3月7日)
https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000178305.html

ただし私がいま書いたのは最悪シナリオで、治療薬や簡易検査キットが登場して、制御方法が確立すれば、あるいは予想を超えて早期に治まるかもしれません。

そしてオリンピック中止による大打撃の前段で、世界はリーマンショック級の「コロナ恐慌」に見舞われると思われます。
現時点でも、中国発のコロナ禍は、人間の動きのみならず、サプライチェーンを寸断して、世界規模の余波を招いています。
ヨーロッパの感染拡大が進めば、製品や部品、資源、材料の不足し、物価高騰や製造業の後退を招くでしょう。
既に中国にサプライチェーンを持っている製造業では、部品の供給停止により生産に影響が出始めています。

そして既にコロナ禍とは無関係に、わが国の経済の6割を支えている個人消費は、去年の消費増税によって壊滅的な打撃を受けています。

「1月の景気動向指数が発表され、景気の基調判断が6カ月連続で「悪化」となりました。新型コロナウイルスの影響はまだ見られないとしています。
 内閣府が発表した1月の景気動向指数で、景気の現状を示す指数は4カ月ぶりに上昇しました。自動車などの生産が伸びたほか、マイクロソフトの基本ソフト「Windows7」のサポートが終了したことでパソコンの販売が伸びたということです。しかし、景気の基調判断については景気後退の可能性が高い「悪化」に据え置きで、6カ月連続となりました。感染拡大が続く新型コロナウイルスの影響はまだ見られないとしていますが、影響が表れる2月以降、基調判断が「悪化」から改善するのは難しいものとみられます」(テレ朝3月7日)
https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000178288.html

日銀の景気の基調判断が悪化の時に、今回のコロナショックによるイベント中止が重なりましたから、目も当てられません。
かくしてコロナ禍は政府の消費増税手当てなどというチャチなものを一気に吹き飛ばし、一気に恐慌の入り口にまで差しかかっています。
結果論ですが、こんな時期に消費増税などという馬鹿なことをしてくれたもんだと思います。
まぁいちばんホゾをかんているのは首相官邸の主でしょうが、責任をもってコロナショックに対して経済対策をしてもらわねば困ります。

ところがこれが大スカでした。
政府の経済対策が余りにショボかったために、昨日9日の東京株式市場は目も当てられないナイアガラでした。

●3月9日終値
19698.76円
前日比-1050.99円( -5.07%)
ドル円相場・104円の円高

いきなり日銀が設定していた実質的為替ターゲットの1ドル105円~110円を切って円高に大きく振れ、連動して輸出関連株が売られて、円高と株安がシンクロして進むという最悪の展開となっています。
株式市場というものの性格はただ今現在の景気判断ではなく、あくまでも景気の先行きを予想して売り買いがされます。
このような日本売りは、とりもなおさず政府がこの「コロナショック」に対してなにもしないだろうという正直な判断です。

だって、今の政府の対策はこのふたつなんですから、そう見られたとしてもなにも言えません。

「中小資金繰り支援で「無利子・無担保の貸付」首相表明
安倍晋三首相は7日、首相官邸で新型コロナウイルス感染症対策本部会合を開いた。個人事業主を含む中小・小規模事業者を対象に、金利などの条件を大幅に緩和した貸付制度を創設すると表明した。日本政策金融公庫などを通じて「実質無利子、無担保の融資をする」と述べた。
政府は2月13日にまとめた新型コロナ対策の第1弾で、資金繰りが悪化した中小企業向けに5000億円の低利の緊急貸付・保証枠を設けた」((日経3月7日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56537480X00C20A3MM8000/

中小企業者への融資を楽にしてくれるんですとさ。鈍いんですか、さもなくば馬鹿ですか。
この時期にいまさら融資枠を拡げてみても彌縫策にもなりません。
そもそも市場がコロナションクによってリーマンショック級の縮小を開始している時に、金を借りるもなにもその前に潰れていますって。
借りても設備投資をするための融資ではなく、せいぜいがつなぎの運転資金を借りるていどに利用するのが関の山です。
これでみんなの退職金払えるかな、なんて考えた零細企業主もいたんじゃないですかね。
それもおそらくは2年ていどで返済せねばならないんですから、話にもなりません。

そしてもう一つは、無職の人に金を融資するそうです。

「政府、フリーランスに10万円を融資 新型コロナ拡大で
政府は新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、低所得者の生活を支援する「生活福祉資金貸付制度」の対象を拡大する方針だ。フリーランスや非正規職員などが感染症の影響で収入が減った際に、無利子で最大10万円を借りられるようにする。10日にまとめる緊急対応策に盛り込む方向で調整する」(日経3月7日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56537250X00C20A3EA3000/

ぶはは、もはや私、笑いだしちゃいましたね。なんですか、これは。
フリーターに金を貸してくれる、それも100万くらい貸してくれるのかと思えば、1カ月分の生活費にもならない額だそうで、いっそ支給してしまいなさいよ、そうすればヘリコプターマネーの代わりていどにはなるかもしれないからと思いました。
ところがこれも渋チンなことには返さねばならないのです。

ああ、なにもかもショボい、ショボすぎる!
いやだいやだ。まるで財務省か野党好みの緊縮的発想そのものじゃないですか。
今、政府がマクロ的に緊急にせねばならないのは、市場がぶったまげるような規模の補正予算を組んで景気浮揚策をとることです。
そして日銀は国債買うと言っているんだから、どんどん国債発行しなよ。
政府と日銀が協定を結んで、財務省的発想から抜け出さないと、ホントこの国はデフレに回帰どころかリーマンショック後に戻りますよ。

とたあえず今できることは、補正予算を限度いっぱいに組むこと。
そしてオリンピック中止ショックに備えて、消費増税の撤回をするべきです。
いや、いっそう5%にまで戻すくらいのことをしたら、少しは明るくなるかもしれませんね。

 

2020年3月 9日 (月)

感染は欧米に拡がる

033

大相撲の初日は、無観客試合なためになんとも無味乾燥なものになりました。
そうか、相撲はいわば生もので、音楽と違ってスタジオ録音がありませんからライブ一本です。
ですから相撲は観客があってナンボのもんだと改めてわかりました。あ~あ、白ける。

さてそんなノンキなことは言っていられません。感染は世界に拡がっています。
皮肉にもそれは予想されたいわゆる開発途上国ではなく、先進地域であるはずのヨーロッパ、米国においてです。

特に米国の感染拡大は予想を超えており、既に死者数が11名に登る事態となっています。

●北米地域の感染者数(2020年3月8日現在)
※数字はJohns Hopkins University・thewuhanvirus.com 以下数字の出典は同じ
Coronavirus 2019-nCoV Global Cases by Johns Hopkins CSSEhttps://gisanddata.maps.arcgis.com/apps/opsdashboard/index.html#/bda7594740fd40299423467b48e9ecf6
()内は前日比増加分

・米国:437人(+99)
・カナダ:60人(+6)
・メキシコ:7人(+1)

感染者数の日米差は24人ですから、おそらく今週中に追い抜かれはずです。

※追記  あっさり抜かれました。
最新感染者・死亡者数(3月9日9時30分現在)
・米国・537 人
・日本・502人

感染死亡者
・中国湖北省・2,986 人
・イタリア・366 人
・イラン・194人
・韓国・50 人
・中国河南省・22 人
・フランス・19人
・スペイン・17 人
・米国ワシントン郡・17人
・中国黒竜江省・13人

●日本の感染状況(3月5日現在)
厚労省https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10022.html
・感染者・696人
・退院者・242人
・集中治療室・34人
・死亡者・6人

米国はまだ感染拡大初期であり、今後、国民皆保険制度の欠落や不法移民などといった医療制度の欠陥に祟られるはずです。
それに対してわが国は初期の衝撃的時期を過ぎ、ダイヤモンドプリンセスの修羅場もくぐり、やっと眼を覚ました首相の全国休校・イベント自粛措置、そしてコロナ新法というやるべき手当ては出尽くしているからです。
あ、経済対策は別枠ですから念のため。まったくしょぼい。なにが学校給食費の減免だ!しっかりしろ。

一方、米国においては、NY、カリフォルニアとクルーズ船という大きな火薬庫の扉が開くのはこれからです。
世界最強・最大を自他ともに認める米国CDCのお手並みを拝見しましょう。

※追記 CDCは感染が乗船以前だったとして、クルーズ船乗客のオークランド下船を認めました。

「米カリフォルニア州のニューサム知事は4日、新型ウイルス感染拡大で非常事態を宣言した。同州では53件の感染例が確認されている。
 同知事によれば、非常事態宣言によって規制緩和などが可能になる。同州は米連邦議会で審議中の78億ドル(約8400億円)の緊急歳出法案から3700万ドルを受け取る見通し。
ニューヨーク州のクオモ知事は4日、新型ウイルスの感染が確認されていたニューヨーク市郊外ウエストチェスター郡在住の男性の知人の家族5人も検査で陽性が判明したと明らかにした。先に、男性の家族3人と隣人1人も感染が確認されていた。同州の感染者は別の1件を合わせ計11人となった」(ブルームバーク3月5日)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-03-04/Q6OQ4ODWLU6R01

●2020年3月8日現在の世界の感染者数上位10国
・中国:80,695人(+44)
・韓国:7,313人(+272)
・イラン:6,566人(+743)
・イタリア:5,883人(+1,247)
・フランス:949人(+296)
・ドイツ:939人(+247)
・ダイヤモンドプリンセス:696人
・スペイン:589人(+200)
・日本:461人(+26)
・米国:437人(+99)

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また、今回特徴的なのは米国と並んでヨーロッパ圏の感染拡大です。
いうまでもなく、イタリアの惨状はひどいもので、ミラノを含む北部全域が封鎖される勢いです。
しかし一日で1200人の増加という事態は、まったくこの地域封鎖も歯止めになっていないことを現しています。
※追記 さきほどの感染者数 7375人へ

おそらくローマ港で6000人も下船させたクルーズ船が発火点ではないかと憶測されますが、バカなことをしたものです。
イタリアの医療システムは慢性的に集中治療室(ICU)が足りず、若年層のみを優先してICUに入れています。
隔離病棟も不足しているために、残された老年層や持病持ちの人は後回しとなって一般治療室に入れられ、死亡数を増やしていまったようです。
また隔離が不完全なために、感染が拡大しているようです。
どうやら検査の優先もしてしまったようで、なんだ韓国と同じ轍を踏んだんですか。
かくしてイタリアが韓国に並ぶのは時間の問題のようで、医療崩壊の声さえ聞えてきます。
イタリアを絶賛していた上昌広さん、なんと言うでしょうか。

そのうえイタリアを震源地として、シェンゲン協定締結国に広く拡散されてしまいました。
ドイツは1日で+247人、フランスは+296人で、一方日本は26人と一桁違っています。
イタリアは言うに及ばず、独仏も日本を軽々と追い抜きましたので、日本を「感染大国」とディスっていたヨーロッパのメディアの顔を見たいものです。
いまや日本は感染対策の優等生となってしまいましたものね。

●シェンゲン協定主要国の感染状況
・イタリア:5,883人(+1,247)
・フランス:949人(+296)
・ドイツ:939人(+247)
・オランダ:188人(+60)

シェンゲン協定とは、ヒトモノカネの国境を超える動き認めた協定で、EUの基礎的協定のことですが、国がパスポート管理と検疫措置をとれないということがいかに国民無防備にさらしているかがあらためて確認できる事態となってしまいました。
「国境なき夢」は今や「国境なき悪夢」と化しています。

●ヨーロッパ地域の感染者数
・イタリア:5,883人(+1,247)
・フランス:949人(+296)
・ドイツ:939人(+247)
・スペイン:589人(+200)
・スイス:268人(+52)
・英国:209人(+45)
・オランダ:188人(+60)
・ベルギー:169人(+60)
・スウェーデン:161人(+25)
・ノルウェー:157人(+23)
・オーストリア:104人(+30)
・アイスランド:50人(+5)
・チェコ:26人(+7)
・サンマリノ:26人(+3)
・ポルトガル:25人(+10)
・アイルランド:19人(+1)
・ロシア:13人(+2)
・エクアドル:15人(+2)
・ルーマニア:13人(+4)
・ジョージア:13人(+4)
・スロベニア:12人(+4)
・クロアチア:12人

一方、中国に近くに位置し、医療インフラに懸念があったアジア地域の感染者数はこのようなものです。

●アジア地域の感染者数
・中国:80,695人(+44)
・韓国:7,313人(+272)
・日本:461人(+26)
・シンガポール:138人(+8)
・香港:114人(+5)
・マレーシア:99人(+6)
・オーストラリア:76人(+12)
・台湾:45人
・インド:39人(+8)
・香港:114人(+5)
・タイ:50人
・インド:39人(+8)
・ベトナム:21人(+3)
・ マカオ:10人
・インドネシア:6人(+2)
・フィリピン:6人
・カンボジア:2人(+1)
・スリランカ:1人
・北朝鮮:0人

北朝鮮のゼロは腹をかかえますが(あるわきゃないっしょ)、韓国は北を助ける用意があるなんて言っている場合じゃないでしょうに。
中国は+44人で、3月中の全国の操業開始を目指して、なにがなんでも押さえ込むつもりのようです。
東南アジアは、この世界的パンデミックに耐えて健闘していると評価してよいでしょう。

中東はイランが震源地となりました。
これはコムなどの巡礼地が感染ハブとなったのですが、これから帰る巡礼者たちのその後が心配です。
人口比でいえばバーレンのような小国が85名もだすのは危機的で、エジプトは今までの感染者数と増加人数が同一で、倍増の勢いです。

●中東地域の感染者数
・イラン:6,566人(+743)
・バーレーン:85人(+25)
・クウェート:62人(+1)
・イラク:54人(+6)
・エジプト:48人(+45)
・UAE:45人
・レバノン:28人(+6)
・イスラエル:25人(+4)
・パレスチナ:22人
・オマーン:16人
・カタール:12人
・サウジアラビア:11人(+6) 

このような世界の拡散傾向は、今週いっそう明瞭に見えてくるはずです。
欧米は先端医療を有していましたが、今回のような新型ウィルスの襲来においては一般国民を守る医療の「基礎体力」のようなものが問われています。
それは国民が安心してかかれる皆保険制度や地域医療の充実でした。
日本はまだまだ不足していているという指摘が強いのですが、それですら欧米と比較すると案外優等生だったのかもしれません。
日本は優れた医療保険インフラを背景にして、以下の新型コロナウィルス対策をとりました。

①PCR検査に重点をおかず、重症者を見つけ出して治療することに注力した。
②クルーズ船からの下船は許さず、潜伏期間一杯まで船で隔離した。
③全国的休校とイベントの自粛で、人が集まることを止めさせた。
④コロナ新法で政府の権限を強化した。

私はこの日本政府の方針はおおむね正しい方針だったと評価していますが、いずれにせよ、そう遠くない時期に日本がとった措置が正解だったか否かが分かってくるはずです。


2020年3月 8日 (日)

日曜写真館 異界へようこそ

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ほとんど伊藤若冲の『鳥獣花木図屏風』の世界です

 

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稲荷のキツネがくわえているのは巻物で、知恵の象徴だそうです

 

476どう見ても象です

 

436 まるであやかしの世界

 

2020年3月 7日 (土)

武漢ではピークアウトし、拡散は拡がる

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感染の震源地である武漢を中心とする湖北省においてはピークアウトしたかもしれません。
出典はJETROです。
(3月3日 JETRO 『新型コロナウイルス感染、中国ではピークアウト、専門家は4月末までの感染抑制に言及』ビジネス短信 下グラフ2枚も同じ))
https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/03/eac25bbaa209faa5.html

「3月1日、中国の新型コロナウイルスの新規感染者数は202人、新たに回復した人は2,837人となった」

感染状況を見るには、ただ感染者数を上積みするメディアのやり方は適当ではありません。
なぜなら、回復した患者数を計上していないからです。
プラスマイナスの増加分だけ取り出すと、まるで感染がいかにも拡大の一途を辿っているように錯覚してしまいますが、実は治癒して退院した人も多いのです。

下の図表をみると中国においてすら、黄色線の新規感染者の数は2月中旬をピークにして減少傾向にあり、一方新規回復者数(青線)は順調に右肩上りしています。
これを見る限り、中国においてはピークアウトしたとみてよいと思われます。

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震源地の中国では峠を超し世界へと拡散したが、今後武漢のような劇症のケースが出るのは稀なはずです。
国によってもバラぎつきはあるでしょうが、薄く広く拡散するはずです。
それは中国国内の感染者数をみればあるていど推定できます。

「これまでの累計でみても、3月2日午前0時時点で累計感染者数は8万26人、うち現在の感染者数は3万2,652人、累計回復者数は4万4,462人となっており、回復した人数が現在の患者数を既に上回っている。中国での新型コロナウイルス感染拡大の勢いがピークアウトしている様子がうかがえる。
足元で新規感染者の9割以上は湖北省内で発生しているが、湖北省でも感染者の増加ペースは鈍化しており、新規感染者数は3月1日に196人となり、500人以下となる日が増えてきた」

これは感染症の拡大で一般的にいえることですが、発生源の封鎖と隔離がされるために、ウィルスは宿主を失って拡大を止めます。
ただしそのぶん中国の他の地域へと拡散の魔の手を伸ばすわけですが、それも中国全土においては停滞傾向が見られるようになりました。
それを表したのが下の湖北省以外の患者数グラフです。

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これを見ても2月13日近辺を境にして、明らかなピークアウト傾向が見られます。
中国当局は3月以降はほぼ完全に押さえ込みが成功し、いわば残敵掃討戦の段階に入ったと判断していると思われます。
掃討戦となった以上、外国から新たなウィルスキャリヤーを入れたくないということで、日韓の入国制限をすると言っています。
まぁ、世界に大迷惑をかけておきながらどの口で言うかですが、立ち直るとシラっとして大国の威厳をつくろうのが、このチャイナという国です。

その代わり世界に拡大しているのは、ご承知のとおりです。
とうとう米国本土でも出ました。
カリフォルニアが非常宣言を出した折も折、なんとあのダイヤモンドプリンセスと同じクルーズ会社の船で感染者が発覚し、ただいまサンフランシスコ港沖で立ち往生中です。
他人の不幸をニヤニヤするのはいかがなものかですが、日本がダイヤモンドプリンセスを押しつけられた時に「日本は第2の感染国」とか「デタラメな日本の対応」なんて日本バッシングでお祭りしていた米国メディアがなんと報じるか楽しみではあります。ああいかん、下品になるぞ。

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 NHK

「アメリカでは最多の53人の感染者数が確認されているカリフォルニア州で、深刻な事態が発生している。
 2500人乗船(半数がカリフォルニア州の住民)のクルーズ船「グランド・プリンセス」号で、新型コロナウイルスによる集団感染が起きた模様で、船はサンフランシスコ沖に停泊を余儀なくされている。
 カルフォルニア州知事ギャビン・ニューサム氏は、米国時間3月4日、このクルーズ船で「11人の乗客と10人の乗員が症状を見せている。その数は非常に少なく見積もられている可能性がある」と説明した。
現在、州衛生当局により乗船者の検査をする準備が進められている。サンフランシスコからメキシコまで乗船し、引き続き、メキシコからハワイへも乗船した62人の乗客は自室に留まるようCDC(米疾病対策センター)から指示されている。
サンフランシスコからメキシコまで乗船した71歳の男性が新型コロナウイルス感染により死亡したためだ」(飯塚真紀子)『米サンフランシスコ沖のクルーズ船で新型コロナの集団感染 カリフォルニア州が「非常事態宣言」』3月5日)
https://news.yahoo.co.jp/byline/iizukamakiko/20200305-00166234/

船は、乗客の検査(検査対象は、前述の62人と感染症状を示している乗客、乗員など100人未満と発表)が終わるまで沖合に停泊させ、着岸させない模様ですが、CDCはヘリで検査キットをとどけたそうです。日本の時は簡易検査キットなんてこの世になかったんですがね。

さて既報のように、日本政府も中韓に対して厳しい渡航制限をかけました。

  • 在中韓日本大使館発行のビザの効力停止
  • 香港・マカオ・韓国のビザなし入国特例停止
  • 中韓に、観光客の来日自粛要請
  • 韓国滞在歴のある外国人の入国を制限
  • イランのコム州、テヘラン州、ギーラーン州を入国制限の対象化
  • 中韓からの入国者に対して政府指定の施設などでの2週間隔離措置
  • 中韓からの航空便の到着空港を成田空港と関西空港にだけ限定
  • 中韓からの船舶による旅客運送の停止要請

やっとかい、という声も聞えるでしょうが、はい、やっと1週間前になって首相が実権を奪い返したということです。
政権もここまで長期化すると、ポスト安倍をめぐっての綱引きが盛んとなり、派閥均等人事と総理候補を閣僚や党の重職に起用しないわけには行かなくなったのです。
政権は「その後」が見えて来ると急速にレイムダック化します。
一強と呼ばれた安倍氏ですらその宿命から自由ではありませんでした。
今の厚労大臣の加藤氏もその首相候補のひとりでしたが、これでそのメはなくなりました。
茂木さんや河野さんあたりが厚労大臣だったら、ひと味違った展開となったのにとは思いますが、まぁしかたがない。
今の安倍氏には外務・防衛といった重要閣僚を突っ込むのが精一杯で、結局オール派閥人事をしてしまったのです。

党内統治も二階さんが仕切り、派閥均衡・官僚重視・親中・公明重視・財界重視といったオールド自民党体質にすっかり戻ってしまいました。
今回の政府自民の対応の遅れはこの体質がバックにあります。
かくして政権から本来得意野はずの危機管理の果断さが消え、状況に追随する場面が多々あったのは確かです。

これが解消したのがほんの先日です。
官邸がイニシャチブを奪い返し、官僚の頭越しに直接指示を与える方向に切り替わりました。
おそらく来週にはコロナ新法が成立するでしょう。

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さて、この新方針に対して韓国がいたくお怒りのようです。
この措置で事実上渡航はゼロとなることに怒って、報復すると息巻いておられます。

「外交部の康京和(カン・ギョンファ)長官が4日、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大で韓国に対する入国制限措置が相次いでいることに対し、「自らの防疫能力がない国々は入国禁止という無粋な措置をしている」と話し非難を浴びた。
康長官はこの日国会外交通商委員会の全体会議で、「共に民主党」の朴炳錫(パク・ビョンソク)議員が「韓国の航空機が出発した後で急に入国制限措置を取るなど極めて不当な措置に対し外交当局はどのような努力をしているのか」と質問するとこのように明らかにした。康長官は続けて「すでに出発した飛行機を引き返させたことに対しては、とても非友好的で一方的な措置だと考え強力に抗議した」と付け加えた」(中央3月4日 上写真も)https://japanese.joins.com/JArticle/263297?sectcode=210&servcode=200

どうやら青瓦台は政治問題にしたいようで、対抗措置をとるんですって。

「青瓦台が「相互主義に立った措置」を検討すると言及したことに伴い、一部では政府が日本人の訪韓を制限するなど「応戦対策」を取る可能性があると見通した。この他、常任委員は韓国人が海外滞在または旅行中の不便と不利益を解消するための対応措置を点検したと青瓦台は付け加えた」(中央3月6日)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200306-00000037-cnippou-kr

しかしそもそも日本に対して、なにもない平時に渡航制限かけたのはどちらの国でしたっけね。
今まで日本に行くなと政府が命令していたんですから、いまさら日本から渡航制限をかけられても痛くもかゆくもないでしょうに。
そのくせ韓国は同じ渡航制限をかけている中国には音無しというのも、失笑しちゃいますね。
なんて分かりやすい国、もう精神症的ナニカですな。

すいません、あんたの国で感染がボンボン燃え盛っているのは世界で知らぬ人とていないわけで、だからほとんどの国で韓国人の渡航は制限されているはずです。
むしろわが国など制限をかけたのは遅いほどです。
恨むなら、自分の国の検査大幅拡大→軽症患者隔離→隔離病床満杯→重傷患者と他の疾患患者死亡激増→医療崩壊、なんていう愚か極まる政府方針を恨むのですな。
ちなみにこの韓国の方針がステキと飛びついて、検査促進法なるものを作ろうというのがわが国の野党ですけど。

それにしても、こういう協調してウィルスの脅威に立ち向かわねばならない時期にも、日本が相手となると政治紛争化する、というのがスゴイといえばスゴイ。
韓国ネタで少し気分が明るくなったところで(笑)、今週はここまでとします。

 

 

2020年3月 6日 (金)

為政者の仕事とは政治判断することだ

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昨日のコメント欄は盛大に盛り上がっていました。ありがとうございます。

さて、昨日の議論の中心にいらした九州Mさんに反論ということではなく、話を進めたいのですが、おっしゃりたいことの8割は私と同じです。
違うのは一点。一連の措置は首相の「政治的判断」に属すると私が考えていることです。

ご存じのように、このブログはこの新型肺炎の発生の当初からひとつのポリシーをもっていました。
私は煽りません。むしろ落ち着けとばかり言っています。
ですから九州Mさんの怒りは大変によく理解できます。
新型肺炎といっても、しょせんは「風邪」(やや違いますが)のようなものです。
重症化する条件も限られています。
だから休校措置など不要だ、ましてや新型インフル特別措置法改正など不要だという主張も、そのとおりだと私も頭の半分では同意しています。

ただし一般論としてはです。
これらの政府の措置は「政治的」には正しいのです。
狭い意味でいわれる、安倍政権が持つの持たないの、習が来るの来ないの、オリンピックがどーたらという意味での「政治的」という意味ではありません。
休校措置や特別措置法改正の決断をするのは首相であっていいのです。
なぜなら危機的状況において、最終決断は首相が孤独でするもので、下からのボトムアップでする性質ではないからです。
専門家は防疫の知見を伝えることは可能ですが、最終決定とそれに伴う政治責任はあげて首相個人が引き受けるべきものです。

今回メディアはほとんど報じていませんが、チャーター機を飛ばした判断、指定感染症にした判断はことごとく官僚の頭越しに首相がしたものです。
今回の全校休校も萩生田文科大臣の反対の意向も押さえつけて、批判覚悟で踏み切ったということです。

首相が休校措置を野党やメディアは発言直後から科学的根拠はなんだぁとか、野党は聞いてないぞなんて言っていました。
まったく緊急事態を分かっていないひとたちです。
野党に根回ししてご意見拝聴などしている暇があれば、それは既に緊急事態ではないのです。
現に今回の特別措置法改正でも、福島党首などは「緊急事態法の準備だ」なんて違憲だと言いかねないトンチキなことを言っていましたから、この人らに聞いていたら決まるものも決まらなくなります。

専門家会議の知見も参考にはするが、もはや専門家の守備範囲を超えたところまで拡がっていて、今、手を打たねば状況そのものがクラッシュする可能性まで出てきたから、政治的判断をしたのです。
九州Mさんが前に休校措置には法的根拠がないと言っていましたがまったくそのとおりで、そんな法律を作っていたら緊急事態が終わってしまって、焼け跡になってしまうからです。

逆にいえば、初動の遅れとして散々言われている武漢から春節の中国人を入れたことは、入国管理法に伝染病による入国禁止条項がなかったからです。
指定伝染病にすればそれが根拠となったのに、官僚たちには省を超えた判断はできないために判断が遅れました。
官僚は入国制限する法的根拠がありませんとか、周知期間が足りませんとかグズグズ言っていたようで、大臣もそれに引きずられました。
それを超えるのは政治家の政治的判断でしかなかったはずですが、残念ながら首相がイニシャチブを握るまで時間がかかったのは事実です。

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https://www.kantei.go.jp/

メディアは、後手後手だと批判するくせに、首相がイニシャチブを持って能動的に状況を把握することに嫌悪を示します。
一体どっちなんでしょうかね、官僚のいうがままなのがいいのか、それとも緊急時には指導力を発揮するほうがいいのか。
遅いといい、やればやったで暴走という、メディアというのはまったく気楽な稼業です。

休校措置の時も、専門家会議の識者から「私らには意見を聞かれていていない」などというコメントをとって、「アベ暴走」だと書き立てました。
今週号の文春あたりをご覧ください。スゴイですよ。私は触っただけでバカが接触感染するから見ませんけどね(笑)。
そんなに首相を断罪したいのなら、この新型コロナウィルス事件が終わって最終的な感染者数と死亡者数が出て、国民を守ることに成功したのかどうかを総合的に総括してからでも遅くはないはずです。

首相もここまで踏み込んだのなら、失敗したら全責任をとって潔く辞任し、回想録でも書くんですな。
だから走り続けている途中経過でワーワー言うな、というのが私の気分です。
なんせ今はウィルスとの戦いの真っ最中ですから。

首相は防疫のみならず、経済、社会、国際社会まで視野を拡げて判断する立場です。
しかも緊急の手当ての必要があるという大前提に立ったうえに、そのような判断材料があるということです。
ここがしょせんは、よく言えば観察者、悪く言えば傍観者の私たちと違うところです。

一方、科学者には知見はありますが、いまのように正体が突き止められたとは言い難い新型ウィルスについては意見が別れていますから、彼ら専門家会議に全権委任してしまえば両論併記してなにも決まりません。
決まっても恐ろしく時間をロスすることでしょう。

その間、新型コロナウィルスは感染を続け、社会の動揺はいっそう激しくなっていきます。
メディアは1時間ごとに「〇〇県で感染者3名新たに発見」とニース速報まで出して騒ぐことでしょう。

また世界的な新型コロナウィルスの拡散で、国際社会が大揺れしている時に、日本政府がなにもしない、風邪と同じだから、うちで寝ていなさい、なんて政府が言えるかどうか考えてみれば分かることでしょう。
今の状況でそんな「正論」を政府が言ったなら、それは国家が国民を保護しないと言ったに等しいことになります。
それも単に国内的なだけではなく、国際社会の中でも同様に評価されます。

これらの措置によって生まれる副作用的な混乱、国民生活や経済の支障に対しては、特別措置法の枠をいっぱいに使って政府を挙げて手を打つしかないのです。
そのために自治体任せではなく、政府自らがそれに当たるということを宣言したわけです。
たとえば今大騒ぎになっているマスクの不足、消毒薬の不足などは、政府が直接に企業のケツを蹴ってでも吐き出させ、大増産させるべきです。

なお政府は中韓などに対して入国制限をかけまた。

  • 在中韓日本大使館発行のビザの効力停止
  • 香港・マカオ・韓国のビザなし入国特例停止
  • 中韓に、観光客の来日自粛要請
  • 韓国滞在歴のある外国人の入国を制限
  • イランのコム州、テヘラン州、ギーラーン州を入国制限の対象化
  • 中韓からの入国者に対して政府指定の施設などでの2週間隔離措置
  • 中韓からの航空便の到着空港を成田空港と関西空港にだけ限定
  • 中韓からの船舶による旅客運送の停止要請

 

 

 

 

2020年3月 5日 (木)

首相、新型インフル特措法改正に言及

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首相は新型インフル特措法の改正に言及しました。
首相もそう認識しているようですが、これは最悪の事態が起きた場合の切り札を用意しておくものであって、今直ちに実施するということではないようです。
私もまだ休校・イベント自粛措置の効果がみえない時期ですから、早いとは思います。

「新型コロナウイルスの感染拡大への対応を巡り、政府・与党が成立を目指す改正案の概要が分かりました。
 政府・与党は新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正を目指しています。ANNの取材で、現行法で規定される感染症に加えて今回の新型コロナウイルス感染症の規定が追加されることが分かりました。ただし、その期間は区切られていて、今年の2月1日から最長で2年間としています。この期間であれば、政府は今回の感染症による緊急事態宣言を出すことが可能で、不要不急の外出自粛などを求めることができます。安倍総理大臣は改正案を来週にも成立させるため、野党側に党首会談で協力を呼び掛けています」(テレ朝3月4日)
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20200304-00000025-ann-pol

緊急事態宣言というとなにか物々しい響きで、まるで明日から戒厳令でも始まるようなかんじですが、違います。
これは前々からあった新型インフルエンザで出来た「新型インフルエンザ等対策特別措置法」の新型コロナウィルスへの適用にすぎません。
新型インフルエンザ等対策特別措置法

この新型インフル特措法は2013年に出来た法律で、従来あった感染症法、検疫法、予防接種法などを根拠にして、その円滑な実施を進めるものです。
この法律は第2条-1で、「新たな感染症が発生した場合」も想定されていますので、今回適用を準備しているわけです。
だから法律名に「等」がついているんですね。

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では「新たな感染症」とはなんでしょうか。これは感染症法に既定があります。

 ●感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 (平成10・10・2・法律114号)抜粋
http://www.kanazawa-med.ac.jp/~mri-cfak/yobou.html
6条 7   この法律において「新感染症」とは、人から人に伝染すると認められる疾病であって、既に知られている感染性の疾病とその病状又は治療の結果が明らかに異なるもので、当該疾病にかかつた場合の病状の程度が重篤であり、かつ、当該疾病のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるものをいう。

つまりこの新型インフル特措法を発動するには、感染症法に従って以下の条件をクリアせねばなりません。

①人から人に伝染すると認められる疾病であること
②既に知られている感染性の疾病とその病状又は治療の結果が明らかに異なるものであること
③罹った場合の病状の程度が重篤であり、かつ、まん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあること
④全国的かつ急速なまん延のおそれのあるものであること

①②はいいとして、③の「罹った症状が重篤」というのが今回の新型コロナウィルスで適当かどうかは悩ましいところです。
「重篤になる人も、条件次第では発生する」ていどではないかと思いますが。
④の全国的蔓延も、そりゃ「恐れ」はあるでしょうが、北海道のような地域とパラパラの地域が混在しています。
沖縄などダイヤモンドプリンセスが乗客を降ろした地域なのに感染者はわずかです。
つまりこの新型インフル特措法の要件を満たしきっているとは言い難いのではないでしょうか。

そして感染症法をよく読めばわかりますが、この法律に書かれてあることの基本は地方自治体の住民への「要請」にすぎません。
ですから、感染症のキモとでも言うべき隔離入院についても、行政の勧告に従わないときには入院させることができるが、ただし72時間以内だ、と書いています。
いい意味でも悪い意味でも、手ぬるいことは確かです。

感染症法
(入院)
第19条  都道府県知事は、一類感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該感染症の患者に対し特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関に入院し、又はその保護者に対し当該患者を入院させるべきことを勧告することができる。ただし、緊急その他やむを得ない理由があるときは、特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関以外の病院若しくは診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるものに入院し、又は当該患者を入院させるべきことを勧告することができる。

 2   都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、当該勧告に係る患者を特定感染症指定医療機関又は第一種感染症指定医療機関(同項ただし書の規定による勧告に従わないときは、特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関以外の病院又は診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるもの)に入院させることができる。

 3   前2項の規定に係る入院の期間は、72時間を超えてはならない。

晦渋な法律用語ですが、一読すればおわかりのように、この新型インフル特措法はいわゆる「非常事態宣言」ではありませんし、ましてや「戒厳令」などではまったくありません。
ちなみに、戒厳令とはマーシャルローと呼ばれるように、マーシャル(元帥)が実権を掌握することですから念のため。
それはさておき首相は改正を口にしていますから、どこをどう変えるのかはわかりませんが、検査・隔離などに一定の強制力を持たせて、政府が今まで「お願い」(要請)で乗り越えて来たことに法的根拠を与える必要はあると思われます。

たとえば、政府チャーター機で帰ってきながら検疫を拒否したような不心得者がでないような、政府が認めた対象に対する検疫する権限を明示することは可能なはずです。
今回武漢からの観光客の入国拒否が遅れたことが批判を浴びていますが、それは入管法に感染症についての定めがないからですが、これもするべきです。
ダイヤモンドプリンセスのような、英国船籍でありながら米国クルーズ会社が運営し、日本の領海内にいるという複雑な事態についても、日本が主権を行使できることを明示すべきです。
今なされている休校やイベント自粛の要請も、現行では法的根拠がないのですが、これに一定の法的強制力を持てるようにするべきかもしれません。
またマスクなどの備蓄をする、売り惜しみを制限することも必要です。

いまの時点ではこのようなことを考えているようです。

「緊急事態宣言によって、都道府県知事は不要不急の外出自粛を要請できるほか、学校や老人福祉施設、興行施設の利用制限を要請・指示することができる。マスクなどの品薄が続く中、業者に対し必要な医薬品や食品などの物資の売り渡し要請や収用、保管命令も可能だ。従わなかった場合などは30万円以下の罰金といった罰則規定もある。臨時の医療施設用に土地や建物を強制的に使えるようにもなる」(産経3月4日)
https://www.sankei.com/politics/news/200304/plt2003040037-n1.html

新型インフル特別措法改正は改正の時期に当たっているとはいえるでしょう。
しかし為政者か留意せねばならないのは、これをいわゆる「国家非常事態宣言」として誇大に受け取る人たちが多くいることです。
日弁連などは集会の自由がおかされるといまから反対を宣言していますし、右サイドの人たちはまるで戒厳令が出てバリバリ国家が統制を強めることが可能となったかのような言い方をする者がでるでしょう。
この人たちはもういまから国家非常事態宣言を出せと叫んでいますからね。

いずれも間違いです。極めて制限つきの特別措置法であって、今までにあった感染症法、検疫法、予防接種法、そして新たに入管法などにまたがって新型コロナウィルスに対処できる法律を作るというだけのことです。

ただひとこと首相に忠告しておけば、このような法律は社会を萎縮させ、いっそう暗くさせる効果が強いということです。
パリ同時テロが起きて、非常事態が宣言された日々を現地で送った経験のある大野舞氏はこう書き記しています。

「テロが起きるたびに「またか」という気持ちになり、同時にそう思ってしまうこと自体に絶望的な気分になる。社会が理性を失い、一気に感情的な状態になることは目に見えている。理解を超える事態に対し、人はなんとか理由を付けたくなるし、自分の感情を正当化しようと焦る。だから安易な言説が蔓延り、社会にまた亀裂が走る。毎回その収拾のつかない事態を思っては暗澹たる気分になった」(大野舞『』非常事態が日常になるということ』2016年11月29日)https://blogos.com/article/199840/

まぁいずれにせよ、「非常事態宣言」なんて出したら、オリンピックは諦めることですな。

 

 

2020年3月 4日 (水)

トリアージを忘れた韓国、遵守する日本

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今よく騒いでいるPCR検査を盛大にやれという意見には困ったものです。 
いろいろな人が言っていますが、典型的にはこんなところです。

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 医療関係者にも少数ですが、同調者がいますが、このような方々です。池袋大谷クリニック、多摩境内科クリニック、岡田晴恵氏、そしてなんといっても文春にまで登場してしゃべりまくっているのが上昌広氏です。

特にこの上という人物は、福島事故時の武田邦彦に当たるタイプで、一見専門家の知見でしゃべっているようでいてトンデモです。
こういう状況にはこのテの人は必ず登場するようです。やれやれ。
たぶんこれらの医院では検査を求める人でごった返していると思いますが、後から書きますが陰圧設備あるんでしょうね。ないと感染ハブになっちゃいますよ。

この人たちはなにかと韓国と比較して、韓国スゴイと言いたがりります。こんな調子です。
ろうそくデモの礼賛者が多いのは、なにかの偶然でしょうか。

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はいはい頭痛がしてきますね。
韓国が医療崩壊コースに完全に乗ってしまったことを知らないのでしょうか。

「韓国はどちらか。我々は中国の凄じい感染状況と混乱に恐れをなしたためか、最初から症状の軽重とは関係なく、とにかく感染者を捜し出して隔離した。全体的な病床規模や医療陣状況などを綿密に考慮することもせずにだ。その結果、格別な症状のない軽症者は病院の食事を食い減らして重症者用陰圧病室に横になっている場合が多い。当の重傷者には病床がなく自家隔離中に死んでいくということだ」
【時視各角】今のコロナ対策ではダメだ=韓国(中央日報)

この「すさまじい混乱」の原因は、ムン閣下が終息を焦った余り、トリアージ(救急時治療順位) を忘却してしまったからです。
検査のために医療ソースが吸い上げられて、今至急に手当てが必要な肝心な重症患者が放置されてしまいました。
だって病院のベッドが軽症の隔離患者で埋まってしまったからです。
なんのことはないそもそも有限の医療リソースを、検査と軽症に占拠させてしまえば、こりゃほんとうに必要な人は死ぬよな。

その上に、怪しいとおもったらすぐに検査をとやったもんですから、殺到する検査の人や軽症患者で、医療スタップがバタバタ倒れていきました。
こんな生々しい声をハンギョレが伝えています。

「15日連続で勤務を続け、今、疲れて何がなんだかわかりません。若い看護師らが気の毒で、できれば追加勤務をさせないようにしていますが…家に帰って横になった瞬間、爆睡ですからね」
 2日、大邱(テグ)のある選別診療所で働く看護師のキム・ジュヒョンさん(仮名・48)は「問い合わせの電話が殺到し、なかなか電話がつながらず、直接訪ねてきたり、病床不足で入院できない患者さんを見るのが残念でならない」としながら、このように述べた。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応で目が回るほど忙しく、大変な現場で働いているが、いつも超緊張状態を維持しなければならないせいか、「事態が収束したら疲労で倒れるかもしれない」と話した」
15日間の死闘で医療陣の疲労も限界に…交代者の防護服がなく、待機もする人も(ハンギョレ)

この過酷にすぎる医療現場の惨状のために、看護士が一斉退職する騒ぎにまで発展して、もうメタメタです。
あーあ、ムン閣下はポピュリズムに走ったために、緊急時医療の基本原則であるトリアージを忘れてしまっていたのですね。
トリアージは緊急時にきわめて重要な概念ですので、いい機会ですから押えておきましょう。

「トリアージとは、多数の傷病者が発生した場合に、傷病の緊急度や重症度に応じて、治療の優先度を決めること。トリアージを実施することで、重傷者から優先的に治療することができ、ひとりでも多くの人命を救うことができます」(豊島区 災害時の医療救護体制 下図版も)
https://www.city.toshima.lg.jp/208/1902281416.html

保坂さんも東京のどっかで区長やってんだから、区の医療関係者に聞けば教えてくれるのに。
通常トリアージとは、医療関係者が事故緊急時にかすり傷の人の手当てに没頭したり、逆に即時に病院にお送らねばならない人を見逃したりするのを防ぐために考えられたけが人の分類方法のことです。

Kinkyuiryou_1

・第1順位(最優先治療群・赤色タグ)・・・比較的簡単に治療できる重傷者
・第2順位(準救急治療群・黄色タグ)・・・手術が必要だが、緊急性がない負傷者
・第3順位(治療保留群・緑色タグ)・・・軽傷者
・第4順位・・・(不搬送者・黒色タグ)・・生きているが救出不可能者 

今の日本全体がそうであるように緊急時には、重症患者を最優先します。そりゃそうでしょう生死の瀬戸際の人と検査の人を一緒にしたら眼もあてられません。その一緒にしたのが韓国です。
よく戦争映画で戦友が死にかけているのに軍医が一目見てよそにいくのに激昂するシーンがありますか、あれは軍医が正解で、助かる見込みのない人は黒タグ(救出不能)を貼られてしまいます。
非情のようですが、こうすることで医療秩序の崩壊を防ぎ、より医療が必要な人に医師が対応できるようにしているのです。

最近ではダイヤモンドプリンセスの緊急医療チームがこのトリアージに従って医療をしています。
彼らはよりケアが必要な重症患者をえり分けるために検査と治療の両方を並行しておこなっていました。
[追記]プーさんのご指摘で以下の部分を削除します。

彼ら医療従事者や厚労省派遣者がもっとも後回しになって当然なのです。
そこから検査漏れがでたと鬼の首でもとったようにメディアは騒ぎましたが、あたりまえでしょう。
緊急医療チームが自分を率先してケアしてどうするんですか。

このトリアージを無視したのが韓国で、国民皆検査みたいなことをムン閣下が口走ったために病院は検査してくれぇという人と軽い風邪程度で隔離されている人で溢れてしまいましたとさ。まったくバカ丸出しです。
今やぜったいに日本をよくいわないことで有名な韓国紙のほうから日本方式のほうが正解だったと言い出しています

「米国と日本では、相当期間の高熱と乾いたせきおよび咽喉痛などがないととコロナ検査は行わない。これに対して「米国大統領選挙と日本オリンピック(五輪)開催を意識した消極的対応」という陰謀説も出ているが、それぞれ明確な論理がある。「手当たりしだいに軽症コロナ患者まで入院治療すれば医療システムが崩壊して、寸刻を争う急病患者が治療できなくなる」という主張だ。」(中央前掲)

PCR検査をしたいという理由はみっつあるでしょう。
① PCR検査をすることで白黒つけたい。
② 患者さんが求めているから、検査してあげたほうがよい。
③ 検査を拡充させて発熱の人全員に検査を行えば、新型コロナウイルス感染者を速やかにみつけることができる。

①の白黒つけろという気分はわかりますが、残念ですが今のPCR検査では白黒がつきません。
その理由は、PCR検査精度が低いからです。
陰性だからといってホッとしたのもつかのま発症したり、逆に陽性と出ても実は偽陽性の誤爆だったということも多々あるのです。
ですから、特に陰性と判定されて、そうかオレは非感染者なんだと濃厚接触しまくって2次感染を拡げるというケースがでます。
逆に陽性と判定されて隔離されたが、ほんとうは偽陽性だったりすると限りある隔離病棟が満杯になってしまいかねません。
メディアで一回入院したが、陰性と判定されたがまた発症した、なんでなんだ、謎のウィルスだ、なんて騒いでいましたが、これもPCR検査につきものの判定ミスにすぎません。
これをHIVのように抗体が上がらないなんて、メディアが吹くからおかしくなるだけのことです。

現時点でPCR検査の検査精度は低く、標準基準となる検査方法が確立しているとはいいがたい状況です。
あの世界に冠たる米国CDCすら配布した検査キットが使い物にならずに回収に追われ、ハワイ州は日本に検査キットを回してくれるように頼んできたほどです。
それを頭に置かないから、すぐに国民皆検査だなんてイッちゃったことを言い出すことになるのです。

②は医療関係で皆検査を言う人の心理ですが、韓国で実際にやって分かったでしょうが、これをすれば病院は即座に韓国のようにパンクします。
それどころか、陰圧施設がない病院にまで殺到された場合、医師や医療スタッフにまで感染し、そこから医療クラッシュが起きてしまいます。
また待合室は新型コロナの絶好の餌場と化してしまいますから、病院が感染ハブになるという最悪のケースも招来しかねません。
そしてなにより、もっとも医療が必要な重症患者の手当てが遅れます。

③の速やかに感染者を見つけても、かんじんの治療薬がありません。
あるのはアビガンなどの抗ウィルス薬ですが、これは重症患者にのみ限定して使うべきもので、催奇性が疑われています。
ですから、いくら感染者を選別できても無意味です。
病院でも新型コロナの治療といっても、対処療法で症状を和らげてやるかないのが現状なのです。
無症状の人は自宅でうまいもの食って、ストレスなく暮らし、手洗い励行をし、いつもの生活リズムで生活するのが抵抗力をつけるためにもっともよく、軽い症状人は市販の頭痛薬や解熱剤でも飲んで会社を休むべきなのです。

なんども繰り返し書いていますが、新型ウィルス襲来・世界に蔓延、なんていうからゾっとするので、風邪に毛が生えるか生えないかといったものにすぎません。

今行われている検査は、あくまでも重症者を選別し、そこに集中して医療支援を与えることなのです。
メディアと一部のことあれかしの人たちの言うことに耳を傾けず、自分の自然治癒力を信じましょう。
そしてどうしても37.5度がつづくようなら、決められた相談窓口に相談してみることです。



2020年3月 3日 (火)

感染者の8割は感染拡大と無関係

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学校閉鎖が始まりましたが、おおむね平静といってよいと思います。
休校措置については、マクロ的には政府がこの時期に取りうる最大の手段であって、やむを得ぬと私も考え直し始めています。

さてさてゲンナリするのは、またもや起きたトイペやティシュの買い占め騒ぎです。
マスクくらいならわからんでもありませんでしたが、これがトイペや果てはコメや納豆になるにおよんで、ダーっという気分です。
おい、しっかりしろよ、ニッポン人!自分で自分の首締めているのがわからないのか。
農業関係者として忠告しておきますが、コメは全国民が3、4年毎日食べてもまだおつりがくるくらいダブついてますから、じゃんじゃん買っていただいて農水省とJAを喜ばしてやって下さい。
トイペの原材料も自給ができているので、在庫は製紙会社の倉庫に積み上がっているはずで、来週くらいドっと出るはずですから、その時になって我が家の買い込みすぎたトイペの山を嘆かないように。製紙会社も沈鬱な日本経済の中、コロナ特需で社員に福袋を出さねばならないとホクホクでしょう。

東日本大震災や福島事故とは本質的に全く状況が異なります。
3.11の時は、東日本全体の経済が一時壊滅状態に陥り、部品供給のサプライチェーンが寸断されて、日本の製造業が半身マヒとなりました。
生活インフラも発電所と送電網や水道が罹災し、石油ターミナルも損壊したために、電気は来ない、自動車のガスはない、水もない、コンビニの棚はガラガラといった始末でしたが、こういう状況に日本国民は耐えたのです。

これから見れば、と被災者のひとりとしてつい思ってしまいますが、今回のコロナ禍などかすり傷にもなっていません。
経済は無傷で消費物資は潤沢、社会インフラは健在ですから生活になんの支障もないはずで、特に医療インフラはピカピカです。
あるのはメディアと一部SNSが流布させている風評による「漠然たる不安」だけです。

この不安も大元を辿れば人工的産物で、もっとも悪質なのが一部メディアが煽りに煽った「新型コロナを検査してもらえないのは、政府がほんとうの患者数を隠蔽したいからだ」などというデマから発しています。
これには一部保守系もなびきました。 失礼ながら、保守にも情弱が多いと見えます。
こういう時こそ保守の名に羞じぬようにデンっと構えて情報を整理し、メディアの煽動に対抗して正確な情報を伝達せねばならないはずなのに、自分から率先してパニくっているのですから困ります。

あ、私も反省ひとつ。すぐに訂正を出しましたが、空気感染するなんてやらかしました(汗)。
しません。その科学的証拠は何一つ存在せず、新型コロナウィルスの拡大は接触感染、飛沫感染が主です。
エアゾル感染を中国当局が可能性として示したことで、これをエアがつくので空気感染とゴッチャにする人が出ましたが、まったく別物です。

そもそもエアロゾルとは、「気体中に浮遊している微小な液体または固体の粒子」という意味で、作られ方で粉塵やミストなどとも呼ばれます。
よく家庭でも使うスプレー消臭剤のようなものを考えてもらえばいいと思います。
日本エアロゾル学会のHP
『エアロゾル感染(エーロゾル感染)とは』 https://note.com/eule_der_minerva/n/n29acaf866715

コロナウィルスがエアゾル化すると、飛沫よりは軽いが空気よりは重いという性格から、病院のような密閉された限定的空間において広がります。
エアロゾル感染が空気感染と決定的に違うのは、空気感染は長期間かつ広範囲に拡散することです。
しかしこのエアロゾル感染も病院の院内感染の原因となりえるので、警戒を要します。
武漢の医療関係者の感染事例はこのエアロゾル感染が疑われています。


整理すれば
・空気感染は「長期間・広範囲」
・エアロゾル感染は「(空気感染より)短期間・限定的範囲」

厚労省はこのように回答しています。

問5 空気感染は起きているのでしょうか?
国内の感染状況を見ても、空気感染は起きていないと考えられるものの、閉鎖空間において近距離で多くの人と会話する等の一定の環境下であれば、咳やくしゃみ等がなくても感染を拡大させるリスクがあります。

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この厚労省のサイトは密閉された環境について警鐘を鳴らしています。
有意義な情報が満載なので、怪しげなツイートで心配するより、こちらをぜひご覧下さい。
厚生労働省Q&A

厚生労働省Q&A問12
「これまでの感染発生事例をもとに、一人の感染者が生み出す二次感染者数を分析したところ、感染源が密閉された(換気不十分な)環境にいた事例において、二次感染者数が特徴的に多いことが明らかになりました」 

今までの感染事例を分析すると、密閉空間において一人の感染者から多くの人に感染が拡大したことがわかります。
厚労省はこう述べています。

(2)一定条件を満たす場所からの感染拡大
これまでに国内で感染が確認された方のうち重症・軽症に関わらず約80%の方は、他の人に感染させていません。」

この記述には驚く方も多いのではないでしょうか。感染者が咳や熱がないに関わらず検査すると陽性のケースがあることから、広範に感染しているかもしれないという恐怖があるようです。
そこから今は症状がなくても、国民全員に検査を受けさせろ声が上りました。
しかし
違うのです。
仮に症状が出ずに感染している人であったとしても、その
8割は感染拡大とは無関係です。
感染していても特定の条件がなければ感染を拡げません。

しかも軽度の感染ならば自然治癒してしまって、自分が罹ったことすら分からないまま終了してしまうことでしょう。
新型コロナウィルスとは、しょせんその程度の感染症なのです。
それをテレビで「速報です。〇〇県で新たに感染者が2名出ました」なんて、まるでエボラかなんかのように大げさに騒ぐから国民が過敏になっているだけのことです。

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ではその感染を拡大する「特定の条件」とはなんでしょうか。
それは密閉された風通しが悪い空間が作られている環境です。

「一方で、一定条件を満たす場所において、一人の感染者が複数人に感染させた事例が報告されています。 多くの事例では新型コロナウイルス感染者は、周囲の人にほとんど感染させていないものの、一人の感染者から多くの人に感染が拡大したと疑われる事例が存在します(屋形船やスポーツジムの事例)。また、一部地域で小規模患者クラスターが発生しています」(厚労省前掲)

ここでいう「小規模患者クラスターとは、感染経路が追えている数人から数十人規模の患者の集団のこと」と厚労省は定義しています。
クラスターとは葡萄の房のような集団を想像してください。
この小規模患者クラスターの発生を捉えるか、作らせなければ感染拡大は阻止できるわけです。
厚労省はこう警告しています。


「換気が悪く、人が密に集まって過ごすような空間に集団で集まることは避けてください。
また、イベントを開催する場合には、風通しの悪い空間や人が至近距離で会話する環境は感染リスクが高いことから、その規模の大小にかかわらず、その開催の必要性について検討するとともに、開催する場合にあっては、風通しの悪い空間をなるべく作らないなど、その実施方法を工夫するようお願いします」(厚労省前掲)

このように考えると、社会で小規模患者クラスターとなりえる存在はいくつか考えられます。
ひとつは職場、もうひとつはイベント、病院、そして学校です。家庭もそうです。
職場は締めるわけにはいきません。電通よろしく職場閉鎖をしていたら日本経済というより日本国が死んでしまいます。
イベントはせいぜい1カ月我慢すればいいのですからしてください。
病院や家庭を閉めたらシャレになりません。
そこで残るは学校です。

学校は児童というもっとも活発な世代が、特定の密閉空間に集合し、街を往来して家庭に帰ってきます。
児童にはうつりにくいだけであって、発症するのが限定的ですが感染する可能性があります。
それが自覚症状のないまま家庭に帰り、抵抗力のない人に感染をうつすことがありえます。
その意味で、私は当初は反対しましたが、学校の一時休校措置は致し方がない社会防護だと考え直しました。

またこういう表現をすると語弊がありますし、医療関係者に失礼を承知で書きますが、病院ほどリスキーな場所はないのです。
平たく言っても、病気の人が集まってくるところですからね。
そして清浄に保つように努力がなされていますが、密閉された空間です。
すると心配なのが密閉された空間こそ、新型コロナウィルスの大好きな環境だということです。
感染ハブに転化する可能性が高く、そんな場所になにを好き好んでか、軽い症状でも検査してもらおうなんて行く神経が私には理解を絶します。
また陰圧設備がない病院に、予約なしで押しかけて新型コロナ検査を要求すれば、医療関係者まで感染が拡がり、病院が感染ハブと化す可能性がありますから、絶対に止めて下さい。

 

2020年3月 2日 (月)

現役医師プーさん寄稿 続 2週間イベント中止・休校の意味を考える

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内科医プーさんの寄稿2回目です。貴重な専門家の知見を賜ることができました。
心から感謝いたします。

                                                                                        ブログ主

プーさんリンク先
メタボ系内科医プー
http://ayoshidamd.cocolog-nifty.com/

 

管理人様 皆様
再びお邪魔いたします。
前回の問いに対する自分なりの解答です。

感染者数や新規発症者数の「ピーク」は、医療機関や社会に対する負荷に直結します。
武漢の状況は悲惨です。
もう一度グラフを貼ります。

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(SEIRモデル 武漢の例.png)

武漢モデルのピーク時は人々の4割が感染して働けないという状態で、社会は麻痺しています。自力では解決出来ず、軍隊・医療チーム・カネ・物を全力で投入して何とか持たせています。

一方の日本は、中国との生活習慣の違いから、「1回接触あたり感染数」を0.02、「1日あたり接触者数」を15と仮定します。R0は半減して2.1になります。すると、ピーク時の感染者数は15%程度です。それでも社会は苦しいです。医療機関はパンクすること必定です。

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(SEIRモデル R0 2.1.png)

ここで思い切って接触者数を10、R0では1.4にまで下げると、ピーク時の感染者数は4%に下がります。時間軸が9ヶ月という点に注意してください。

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(SEIRモデル R0 1.4.png)

これくらいだと季節性インフルエンザと同等の負荷になります。東京オリンピック開催時には余裕で終息です。
注目して頂きたいのは、免疫なしの人たちの半数近くが、感染することなく流行を乗り切っていることです。感染症の流行を穏やかにすることは、高齢者や持病持ちの人たちを守という効果があるのです。これを集団免疫効果と言い、とても大事な考え方です。
感染症対策は、そのような状況を目指します。

しかし現在日本は、マスクや消毒が不足しており、「1回接触あたり感染数」を減らすことは難しくなっています。
ならば「1日あたり接触者数」を頑張って減らすしかありません。それが、「イベント中止」「休校」なのです。

これをずっと続けられれば感染対策の観点からは満点ですが、我々はただのグラフ上の数字ではなく、それぞれに生活があります。そのケアのために首相は釈明に追われました。2週間でも時間を稼いで流行を遅らせれば、あとは検査・治療体制は整い、マスクも供給され、気温は上昇し換気出来るようになり、日本国民の心理も落ち着いてくるので、乗り切ることが出来ます。


さて、今度はダイヤモンドプリンセス号の状況の推定です。
船内では、1日あたり接触者数は多かったはずです。しかし、いくら接触者数が多かったといっても、乗船時点で1人または少数者しか感染していない場合、1か月足らずの間に感染者が700人超に膨れ上がることの説明が不可能です。特に、後半の2月5日からは検疫が始まり、感染機会は大きく減ったのですから。
また、
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/94
10-covid-dp-01.html (国立感染症研究所 最終閲覧日2020年3月1日)では、船内の診療所に発熱で受診した患者は2月1日がピークだったとのことです。
さらに、通りすがりのプリンセスさんからの情報で、
https://kakaku.com/tv/channel=10/programID=74091/episodeID=1337259/ (価格.com
ニュース 最終閲覧日2020年3月1日) 香港で中国人団体が乗り込んできたという話がありました。
同様に、
https://funwayroad.com/cruse-who/ (れんらくちょう 最終閲覧日2020年3月1日)では、乗客に香港人が470人乗っていたとのことでした。よく考えると、出港の横浜で香港人が乗って香港で下りたら帰着時にはカウントされないかもしれません。

これらの条件に合うように色々試してみましたが、1月20日に少し、1月25日に数百人規模の感染者と免疫ありの人たちが乗り込んで(橙色塗り部分)、人口密度の高い船内でR0=8.4と武漢の倍程度の早さで感染が広がったとすると、何とか辻褄の合うグラフが出来ました。少なくとも、出港時点の日本が真っ白かと言えば、限りなく疑ってかかるべき
だと言えると思います。

Photo_20200302070301

(SEIRモデル ダイヤモンドプリンセス号.png)

今後さらに情報が出てくれば、かなり明らかになりそうです。
もっとうまく説明できる人がいらっしゃったら、教えて頂けましたら幸いです。

そうなると憂慮されるのは、香港の状況です。
このあたりは自分より管理人様や皆様にお任せしたいと思います。

以上、後半はグダグダになってしまいましたが、プーの感染症数理モデルでした。
政策の立案・実行は生きている人たちの生活を考慮しなければいけませんが、感染症予防の理論は、接触者数を出来るだけ減らすことで社会の負荷を軽減し、弱者を守ることが根底にあるということをご理解頂けましたら幸いです。


自分は2011年東日本大震災・福島の原発事故の時にこのブログに出会い、以後、管理人様と皆様のおかげで様々なことを勉強させて頂きました。
本件が落ち着けば自分はまた一介のROMに戻ることになると思いますが、引き続き勉強させて頂きたく存じます。

管理人様・皆様に深く感謝申し上げると共に、今後ともご指導・ご鞭撻の程よろしくお
願い申し上げます。

メタボ系内科医 プー

2020年3月 1日 (日)

日曜写真館 春が几帳面にやって来ました

007

約束どおり春が来ました。画面デザインも今日から春です

090 里は梅が満開です

 

149 梅の香というのをご存じでしょうか。淡々ですが凛としています

 

112 民家の屋根がよく似合います

 

089 梅が桜ほど国民的花にならないのは、咲く期間が長いからでしょうか

 

097

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