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中国が全国人代で国安全法を通すという暴挙を働きました。
「北京=西見由章】中国の立法機関、全国人民代表大会(全人代)は28日、香港に国家安全法を導入する議案を圧倒的多数で採択した。習近平指導部は2012年の発足以降、敵対する政治勢力の党高官を反腐敗闘争で政治的に葬るなど、異論分子を摘発・投獄することで集権化を進めており、一国二制度の香港にもこの手法を本格的に拡大する。国際社会の批判や香港市民の反発といった“返り血”を浴びても統制強化を推し進める構えだ。
議案は「香港が国家安全を守るための法制度と執行メカニズムに関する決定」。昨年10月に開催された共産党の重要会議、第19期中央委員会第4回総会(4中総会)の閉幕後に公表したコミュニケは、香港などの特別行政区が「国家安全」を守るための「法律制度と執行メカニズム」を確立する方針を明記していた。
北京の政治研究者は「4中総会後、今回の全人代で国家安全法に関する議案を採択することは既定路線だった」と説明する。
4中総会は「党中央の権威と集中統一指導」を擁護する制度を整えるとする決定を採択した。「集権化という国家統治の方向性が示された」(先の政治研究者)形で、その対象は香港にも向かうことになる」(産経5月29日)
なぜ私が暴挙と呼ぶのかといえば、内容はもちろんのこと、国安法の前提そのものが、中国が英国と結んだ協定に反しているからです。
国安法をいくら作ろうと、それは中国というひとつの国家が、英国と調印した協定を覆すものの以上、それは国際法上の違法行為ですから無効です。
国内法は国際条約を超越できないのです。
ウイーン条約は国家間協定について取り決めた国際条約ですが、こう記してあります。
「■条約法に関するウィーン条約
「第27条 当事国は、国内法を、条約の義務を行わない理由としてはならない。ただし第46条の適用を妨げない。
第46条 当事国は、条約を承認する行為が、条約を承認する能力に関する国内法に違反するとの主張を、当該違反が明白でかつ国の最も重要な法に違反する場合でなければ主張してはならない。
「違反が明白」とは、通常の慣行と善良さに合致して活動するどのような国家にとっても客観的に明らかであることを言う。」
中国と香港行政府が深く勘違いしているのは、「一国二制度」は中国が香港に与えた「恩恵」でもなければ「特典」でもないことです。
香港に民主主義と自由を与えることは、中国政府が国際社会に誓った「義務」、あるいは「約束」なのです。
再度確認しておきます。
●1984年12月19日「香港問題に関する英中共同声明」
第一付属文書
十三 香港特別行政区政府は法律にもとづき香港特別行政区の住民その他の人の権利と自由を保障する。香港特別行政区政府は、香港の既存の法律に定められている、人身、言論、出版、集会、結社、労働組合の組織と参加、通信、旅行、移転、罷業、デモ、職業選択、学術研究、信仰の自由、住宅不可侵、婚姻の自由、自由意思による出産の権利を含む権利と自由を保持する。
一読すれば判るように、中国は英国との間で言論・出版・集会・結社・集会・デモ、ストライキなどの権利といった民主主義的自由のすべてを保証しているのです。
これが「一国二制度」の神髄であって、これこそが条約の根幹です。
これを遵守する義務を中国政府に、そしてそれを誠実に保証する義務を香港行政府に課しています。
いいですか、これは国際条約上の義務であって、恣意的に中国が改変できないのですよ。
それを中国は無効にしようとしています。
今回、中国が勝手に通した国家安全法第15条は、「人民民主主義専制政権を転覆、またはそれを扇動するいかなる行為も防止・阻止し、法に基づいて処罰する」ことを定めています。
ここで言う「人民民主主義政権」とは、「最も広範な人民の代表である中国共産党政権」のことです。
この国安法は、この共産党政権の安全を損なうような、民主主義制度を求めるあらゆる活動をすべて「違法行為」として処罰の対象としています。
いや、それだけに止まらず、国安法にはそのような民主活動を未然に防止することすら含まれています。
いわゆる予防検束です。
ただデモをすることが処罰されるだけではなく、それを準備し、企図するだけで予防検束の対象となります。
ここまで認めてしまっては、該当デモだけではなく民主活動家の「存在」それ自体を逮捕拘禁することが可能となります。
習政権は、今までの共産党主流だった共青団派閥や江沢民の上海派閥と無関係に誕生した脆弱な基盤しかもたない政権でした。
それがゆえに、習はミニ文革とでも言うべき反腐敗闘争を強引に展開し、これらの派閥の大物政治家を逮捕してきました。
裏返せばきわめて脆い政権基盤しかないために強権発動せねばならなかったのです。
朝日 江沢民前総書記(右)と胡錦濤総書記
共産党4中総会は、「党中央の権威と集中統一指導を擁護する制度を整える」とする決定を採択しましたが、このよう権力集中をわざわざ書き込まねばならなかったのは、権力基盤が薄いためにほかなりません。
昨日、「指桑罵槐(しそうばかい)」という中国人を解くキイワードを紹介しましたが、今回の国安法において「桑」に当たるのが香港だとすれば、「槐」に相当するのが共青団や上海閥です。
「習氏はさらに、言論統制が比較的緩かった胡錦濤前国家主席時代に活発な動きをみせた民主活動家や人権派弁護士を相次いで投獄。新疆ウイグル自治区でも宗教弾圧に反対するウイグル族らを「テロリスト」として摘発し、「職業技能教育訓練センター」には100万人以上を強制収容したとされる」(産経前掲)
習は香港民主闘争が燃え盛るのは、民主化に甘々だった前任者の胡錦濤のせいだと考えています。
オレは胡錦濤の尻ぬぐいをさせられているだけだ、ここで香港を締めれば、最大の敵である胡たち共青団派に痛打を与えられると見ています。
もちろん習の眼中には国際社会なんてコジャレたものはなく、唯一あるのは泥臭い共産党宮廷劇だけなのです。
さて、今後どうなるでしょうか。
米国は、中国と対決の姿勢を強めていき、香港人権法を適用することにためらいはないでしょう。トランプは記者との座談の形式でこのことに言及していました。
「後藤達也(日経新聞記者) @goto_nikkei
トランプ会見③
・米投資家を保護するため、中国企業の米国上場についての研究をワーキンググループに指示。
・中国は香港の安全保障で、1984年の中英共同宣言を明確に違反
・香港への優遇措置を取り消すプロセスに入るよう指示
・香港への旅行勧告を改定する。
・香港の自治権への侵害に関与した香港当局者に制裁措置
ロイターも同様の記事を配信しています。
[ワシントン 29日 ロイター] - トランプ米大統領は29日、香港に対する優遇措置を撤廃するよう政権に指示したと明らかにした。香港の統制強化に向けた中国政府の「国家安全法」制定計画に対抗する。
トランプ大統領はホワイトハウスで行った記者会見で、中国が香港の高度な自治に関する約束を破ったとし、香港国家安全法制定は香港や中国、世界にとって悲劇だと批判。「香港に対する優遇策を撤廃する措置を取る」とし、香港の自治の阻害に関与していると見なす人物に対し制裁措置を導入すると表明した」(ロイター5月30日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/ce9d7c06fca5413a20c3abf2c93ca86ad05366ba
また、トランプは中国と事実上の断交に等しい政策を打つと言われています。
「米政府が中国人留学生の学生ビザ(査証)取り消しを計画していることが、関係筋の話でこれまでに明らかになっている。米国の大学院で学ぶ中国人3000─5000人に影響が及ぶ可能性があるという。
トランプ氏はまた、米国民が中国企業に投資するリスクを回避するための方法を検証すると表明。「投資会社は、共有する規則の下で運営されていない中国企業に投資する不当な隠れたリスクに顧客をさらしてはならない」とし、政権内の金融市場に関する作業部会に「米国の投資家保護を目的に、米株式市場に上場する中国企業のそれぞれの慣習」を検証するよう指示したと明らかにした」(ロイター前掲)
ただトランプは香港に投資している米国企業にも配慮しており、どこまで香港民主派を守るれるか不透明です。
「トランプ大統領は厳しい姿勢を示しながらも、中国との対立が一段と精鋭化すれば、難航した協議の末にようやく得られた第1段階の通商合意が覆されると認識しているとみられる。香港には約1300社の米企業がオフィスを構え、約10万人を雇用。大統領はこうしたことにも配慮しているとみられる。」(ロイター前掲)
一方トランプよりもしがらみの少ない議会のほうがより強硬から、満場一致で人権法は適用されます。
民主党がこの香港の民主派に対しては、トランプよりも強い姿勢で望んでいるためです。
これらの制裁で香港の特権的地位は剥奪され、香港を使ったドルの獲得は不可能となります。
しかし、そのていどのことはとっくに習は想定済みであって、国安法を準備する段階でそのていどの障害は百も承知二百も合点のことにすぎません。
中国は現時点で、米国は米中貿易戦争以上のことを仕掛けられないとみています。
つまり関税引き上げ、ファーウェイなどの通信産業のいっそうの排除ていどのことしかできず、ならば大中華共栄圏で対抗してやるまでだと考えているはずです。
ただし、共栄圏づくりのための仕掛けだった一帯一路が空中分解寸前で、今や不良債権の山と化したことが、当初の思惑と大きく違った点かもしれません。
しかしここまで至っては、習に選択肢は二つしかありません。
このまま強い国産社会の抵抗を覚悟で、強権発動し、香港に第2次天安門の再現をするか、あるいは自由主義に屈するかです。
後者を捨てた以上、習は早ければ次の日曜日に予定される民主派デモに対して血の雨を降らせ、おびただしい逮捕で臨むことでしょう。
彼らは本土に移送され収容所に送られることになることでしょう。
ここで焦点は、中国が人民解放軍を投入するかどうかですが、現時点ではわかりません。
する可能性もあります。その場合、香港と大陸を結ぶ唯一の道路を封鎖し、通信も遮断して密室状態を作り出します。
外国人記者は全員を予防検束し、国産社会から見えなくした上で大虐殺をするでしょう。
ただ、香港は第2次天安門事件の舞台となった北京と違って街路が複雑なので、そうとう手こずるはずです。
長引けば長引くほど中国に不利になります。
次に考えられるのは、香港警察の制服を着せた武警や人民解放軍の兵士たちを使うことです。
むき出しの人民解放軍ではなく、「警察」の顔した軍隊のほうが言い訳がしやすいので、こちらを使うかもしれません。
いずれにしても、香港の最後の戦いが始まろうとしています。
Save Hong Kong!
感染拡大が一時休止に入って、やっと中国問題を書く機会ができました。
たぶん習は第2次天安門をする気でしょう。
常識ではありえませんが、今の中国は噴火直前の休火山を見ているようです。
朝日や二階氏たち親中派の皆さん、ほんとうの友人なら説得するなら今しかありませんよ。
国家安全法を香港にかけたら終りですからね。
※追記 昨日、全人代表で通したようです。これについては明日に回します。
さて、感染の第二波ですが、当然来るでしょう。
来なかった例は世界的にも稀で、日本にも必ず第2波は到来すると覚悟してください。
ただし、メディアが煽るようなものではありえません。
だって、今年始めに中国から新型コロナウィルスが襲来した時と違って、今はおおよそこの悪魔の正体は分かってきていて、しかもその対策もしっかり取られているからです。
最大の感染源であったクラスターは洗い出されており、医療機関のベッド数も一部を除いては充足しています。
いわば私たちは第二波を備えて待っているのです。
どなたでしたかうまい表現をしていましたが、私たち日本人は新型コロナとの戦いの8合目まで登ってきて、今は山頂下の山小屋で一服しているような状態です。
頂上はすぐそこに見えますが、まだもう少し登らねばなりません。
ひょっとして嵐も来るかもしれませんが、既に私たちのポケットには天気図もあるし、装備も充分ですから慌てることはありません。
仮にもうひと嵐来ても、今年始めの入山口にまでまっさかさまに転落だ、なんて思う必要はありません。
かつての(といってもほんの半年前ですが)私たちとは違うのです。
淡々と最後の行程を上り詰めればいいだけのことですが、ひとつ老婆心で言うならば、感染数が増えて表示されるのは当然だということです。
だって、西村解除基準は10万人に0.5人という世界で最も厳しい数値でした。
諸外国の解除基準はおおよそわが国の10倍前後。
それでも都市封鎖をどんどん解除していますが、なぜかもっとも死亡数が少なかったわが国だけが特出して厳しい基準値を作ってしまったことになります。
こういうことをすれば、経済の再開が遅れるだけに止まらず、第二波が大きく表示されることになります。
というのは、今日本では感染初期のPCR検査を抑えて医療崩壊を回避する戦略を切り換えて、できる限り実施する方針にしたためです。
となると検査数の分母が倍増していくことになりますから、必然的に感染者数は見かけは増えて現されます。
これは異常に厳しい数値で解除基準を作ってしまったゼロリスク的発想の報いです。
ですから解除したらどんどん感染がぶり返したように見えるかもしれませんが、落ち着いて受け止めましょう。
そしてクラスターも一掃されたわけではありません。
昨日も北九州の病院で医療クラスターが発生したようですが、一回クラスターが出るとまとまってドンと大きな感染者数が掲示されることになります。
「国内では28日、新型コロナウイルスの感染者が新たに63人確認された。このうち21人は北九州市で、同市の1日あたりの感染者としては、4月1日と並んで最多となった。
市によると、21人には2病院の医療スタッフら計11人が含まれており、両病院でクラスター(感染集団)が発生したとみられる。感染経路不明は4人だった。
市内では先月30日から感染者ゼロが続き、今月14日には福岡県の緊急事態宣言が解除された。その後の23、24日に各3人、25日に6人、26日に2人、27日に8人が確認され、6日間連続の感染者の累計は43人に上った。
西村経済再生相は25日の記者会見で、宣言の対象地域に再指定する際の判断について、「4月7日に宣言を発令した時よりも厳しい目で見ていく」と述べ、「直近1週間の新規感染者が人口10万人あたり5人以上」などの目安を示した」(5月28日 読売)
こういう11人ものクラスターがでると、見かけは大きいのですが、語弊がある表現をすれば、脅威は限定的です。
クラスターは感染経路は辿りやすいし、感染遮断も容易だからです。
むしろ怖いのは、感染経路不明が4人いることで、おそらく無症状者からの感染でしょうから警戒が必要です。
「北九州市は、28日までの1週間の新規感染者が人口10万人あたり4・59人。28日に記者会見した市幹部は「第2波の入り口で、非常に厳しい状況だ」と述べた」(読売前掲)
西村さんの頭の固さは変わらないな。自分が作った5人という数字に呪縛されています。
5人だろうが、4.9人だろうがただの数字です。
むしろ問題は感染経路不明者数なのですよ。
非常事態宣言は一回止めたらお終いではなく、期間や方法を変えて何度も繰り返される性質です。
今回の北九州のケースは、クラスターによる感染者数増大ではなく、むしろ感染経路不明者数の推移で判断すべきだと思います。
経路不明者は飲食店や風俗店で出やすし、いったんでてもどこのだれら分からないのが難点です。
出た場合の追跡調査を考えると、状況が終息するまで、これらの店での現金支払いをいったん中止し、クレジットカードに一本化するのも方法だと思います。
もう岡田晴恵のようなデマッターの言うことに耳を貸す人も減ったと信じたいのですが、メディアの馬鹿さかげんは不滅ですから、決して煽られないで下さい。
中国という国の悪い癖が全開になっています。
香港に国家安全法を押しつけたことに対して、国際社会から一斉に批判を受けるとキレて自己正当化に走ります。
責任は自分にはない、悪いのはあいつだ、と自分より弱い者を名指しして罵倒してみたり、露骨に恫喝をかけたりしてしまいます。
日経 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59459800S0A520C2MM8000/
批判を浴びたのは全人代の李克強政府報告です。
●全国人代・政府報告結語
・習近平強軍思想と新時代の軍事戦略方針を深く貫徹し、政治建軍・改革強軍・科技強軍・人材強軍・法治強軍を堅持する。
・国防動員システムを完備させ、軍と政、軍と民の団結を終始、盤石のものとさせる。
・香港特別行政区の国家安全を維持、保護する法律制度と執行機構制度を健全に打ち建て、香港特別行政区政府の憲法制度の責任を根づかせる。
・広範な台湾同胞と「台湾独立」反対で団結し、統一を促進する。
・富強・民主・文明・和諧の素晴らしい社会主義現代化強国を建設し、中華民族の偉大なる復興という中国の夢を実現させるため●要約
①習の強軍思想に従って軍拡に邁進する。
②国民を有事に動員できる国防動員法を完備させる。
③香港に国家安全法を適用する。
④台湾統一をめざす。
⑤中華帝国を復興する。
これでは中国がハリネズミのように、外にも内にも準戦時体制に突入するプロセスに入ったと受け取られかねません。
こんなもの騒がせなことを全人代で基調報告としたら、そりゃ国際社会から、お前、頭大丈夫かと言われるに決まっています。
国産社会はひとことくらい、「すいませんでした。ご迷惑おかけしました。故意にやったわけじゃありませんので、今後も協力してがんばっていきましょう」くらいは期待していたのでしょうが(わが国なら言うよな)が、案の定「戦狼モード」に突入してしまったわけです。
これは下っぱの外交官も、外相も同じで、上から下まで「戦狼」のようです。
記者会見の席で、王毅国務委員兼外相は、こんなことを息荒くしゃべっています。
王毅国務委員兼外相
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/2017032...
「香港国家安全法は一刻の猶予も許されない。必然的な流れだ」
香港だけではなく台湾についても、米国による台湾への武器売却についても、「台湾の統一は歴史の必然で、いかなる勢力も阻むことはできない」として、ここでも大仰に「必然」という言葉を持ちだしました。
ほー、「必然」という大仰な言葉をもちだしましたか。
王さん、あんた馬鹿ですねぇ。頭を冷やしてみなさいよ、世界に新型コロナで真犯人と目されている時に、外相まで「戦狼モード」になってどうしますか。
この「必然」という言葉を一般人が常識で解釈しては間違えます。いちおう王さんはこれでも共産主義者なんですからね。
ですから、コミュニストが口にする「必然」とは、「歴史法則に基づいた必然的結果」くらいの意味なのです。
こういう表現をしてしまうと、もういかなる妥協も「歴史的必然」に反する悪行となってしいますから、やれやれ、外相のくせに政治的妥協の余地を自ら閉ざしてしまいました。
こういう外交の下手さが中国の特徴です。
なぜなら、中国で成り上がるためには共産党内部の熾烈な党派闘争に勝ち抜かねばならないからで、それに8割のエネルギーを投じてしまいます。
トップのチャイナ7(政治局常務委員7人)にになればなったで、追い落されないように他派閥を切り崩しておねば、いつ寝首をかかれるかわかったもんじゃありません。
習の「反腐敗闘争」とは他派閥潰しでした。
あまりにもやりすぎたために習は何度も暗殺されかけています。
というわけで内部闘争に8割、あと1割が内政、残り1割が外交で、彼らの念頭には国産社会とか外交なんて概念自体がすっぽり欠落しているのです。
一見外交方針に見える今回の香港・台湾への方針も、実は強気に出ないと党内部の反習派から袋叩きに合うからで、内向けの宣伝みたいなもんです。
ちなみに中国人の行動原理を表わす言葉に、「指桑罵槐(しそうばかい)」というものがあります。
桑を指して槐(えんじゅ)を罵(ののし)る)、という意味で、相手を倒すために別の相手を叩くという意味だそうです。
「中国人が怒っているとき,その言葉を鵜呑みにしてはいけない。中国人は、どんなときも表立って誰かを批判したり,攻撃することはけっしてない。当事者を直接批判することはほとんどなく,この「桑を指して槐を罵る」というやり方を採る。つまり、ある相手を攻撃しているように見せて、実は別のところにいる人を批判しているのである」(池内の読書録)
https://ameblo.jp/heisei-socrates/entry-10662981652.html
1996年の台湾初の総統直接選で、中国はミサイルを台湾近海に発射する暴挙をはたらきました。
実はこれも指導部に反対する反主流派の牽制だったと言われているようです。
このように中国の外交は内政の続き、外交を舞台にした内政の争いである場合が大部分です。
ですから、政府報告にもわざわざ「習近平強軍思想と新時代の軍事戦略方針を深く貫徹し」なんて個人崇拝もどきのことを書きこんだり、台湾を併合する、香港を平定するというのは、「別の誰か」に向けて言っているのもしれません。
「中国の政治制度上、大方針を修正する場合、再び共産党大会を開く必要がある。それは5年に一度しかなく、次回は2年後の22年秋だ。だが、習近平が事実上のトップの地位を維持するなら大方針は変わりようがない。もし大転換するなら失敗の責任をとって習近平が退く時である」(5月27日日経)
次の共産党大会までなにがなんでも権力にしがみつくためには、香港の民主化デモを平定し、コロナで作られた国際包囲網を打ち破り、台湾にもグーの音もでないようにせねばならないのです。
そうしないと、次の共産党大会までの残り2年間を乗り切れません。
対外的緊張を高めて、国内的に自分に権力を集中する仕組みを作らねばならないのです。
習は、「戦時国家首席」となろうとしているようです。
といっても、それは習の勝手。
もちろん「歴史的必然」であろうとなかろうと、そんなことは中国共産党内部のスラングみたいなもんで、国際的にはまったく通用しましせん。
ではかんじんのそこに住む人に「お前らは中国領土になることが必然と思うか」と聞いてみたらどうですか。
香港基本法は英国と中国が結んだ香港の地位を定める協定に基づいて50年間民主制度が維持され、その間中国は香港の内政に干渉し得ないのです。
ですから、仮に香港において、自由選挙を求める市民たちの要求が通っても、それは香港の自治権の範囲の決定であって、中国には口ばしを突っ込む余地は寸分もありません。
「歴史的必然」と言いたいなら、むしろ一国二制度で保護されていにはずの民主主義を徹底させようとする市民の側にあります。
また台湾は、日本統治を経て、国民党政府が実効支配し、後に自力で民主化を行って自由選挙によって選ばれた政権が今の合法政府です。
米国が台湾を中国領土と認めたことは一度もなく、米中が国交回復した時に台湾に対して使った表現は「聞き置いた」("take note ")です。
これは中国の台湾に対する主張があることはわかったが、同意はしませんよ、という意味です。
だから米国は中国と国交を結びつつも台湾関係法を作って、中国が侵攻した場合には防衛することをうたっています。
このように台湾の中国による併合には、何らの「必然性」も認められません。
もし「必然」をいうなら、国家の三要件である「領土」「国民」「政府」のいずれも具備しているにもわらず、中国の札束で頬をたたくが如き切り崩しで国際的に孤立した現状を、正常な地位に復することです。
香港に対する国家安全法が、準独立地域である香港に対する主権侵害に当たるなら、台湾併合もまた事実上(de facto)の独立国家である台湾に対する侵略にすぎないのです。
このように中国は自分から進んで国際社会を敵に回しています。
それは習が権力を維持したいからにすぎません。
そのためにはコロナ禍の時期にあえて火種を作る、これが内部闘争だけでのし上がってきた習近平という人物の限界、というか性なのです。
かつて王は日本に歴史問題で「心の病を治せ」と言っていましたが、その言葉そのまま今の中国にお返しいたします。
中国全人代で初めて成長率が示されなかったので波紋が拡がっています。
まず李克強の政府活動報告の前半は、退屈な「コロナ勝利宣言」なので、無視してよいでしょう。
偉大な領袖・習近平同志の英雄的奮闘のかいあって制圧したものの、防疫の最高指揮官だった李克強はこんな本音もチラリととのぞかせていたようです。
「感染予防コントロールにおいて、公共衛生応急管理などの方面で、少なからぬ弱い部分も暴露してしまったので、群衆から出た意見や提案は重視されるべきだと、全体のトーンとしては、政府の力不足をにじませており、弱気な印象だった」
(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.75 2020年5月26日)
https://www.jiji.com/jc/p?id=20200522182050-003478
リアリストの李としては、かんじんな防疫作戦にはまるで役に立たないくせに、武漢の感染が終わったとなると真っ先に飛んで行ってエエカッコしいの習に辟易していたのかもしれません。
たぶん共産党としては「コロナにうち勝った偉大なる中国共産党」という部分だけを強調したかったのでしょうが、ではダメージを受けた経済をどう建て直すかになるといきなりショボくなります。
「復興の柱は財政出動と金融政策の2本立てで、早期の平常モード復帰を目指す。ただ、中国を巡る経済情勢は国内の需要不足に加え、依然としてコロナ禍が収束しない海外の混乱による輸出の先行き不安が強まっている。米国との対立が再び先鋭化するというリスクも抱えるなど極めて流動的なため、通例となってきた成長率の目標値提示を今回、初めて避けた」
(5月22日 日本経済研究センター湯浅 健司 首席研究員兼中国研究室長 下グラフも同じ)
https://www.jcer.or.jp/research-report/20200522-2.html
な、なんと「成長率命」の中国が初めて成長率の目標値をだしませんでした。
ご承知のように、中国は「右肩上りでどこまでも経済が伸びている」というフィクションがあって、いくら牢獄のような国であろうと、農民暴動が頻発しようと、貧富の格差がひどかろうと、民主的権利のかけらもなかろうと、少数民族が民族浄化されようと、はたまた香港で火が吹いていようと(以下略)、生活がよくなるんだからいいじゃん、とでもいうような成長率神話がありました。
この成長率神話は「保八」と呼ばれて、成長率8%という高度成長成長をズッとキープしてきた、今後も任しといて、と中国は言い続けてきました。
実に景気のいい話で、永久エンジンじゃあるまいに、永遠に続く高度成長なんてこの世にありません。
この「保八」が初めて破れたのが2012年上半期のことです。しかし、やぶれたといえど公称7.8%ですから、誤差の範囲です。
もちろん、李克強自身が認めていたように、中国の統計数字は電力消費量、輸出入以外ぜんぶウソの塊で、ハナから8%すると政府が決めたから8%なのです。
でなければ14億人のGDP統計が、わずか1週間で出てくるなんてできっこありません。これじゃあ統計数字なんか意味ねぇだろ。
それはさておき、中国はいわゆる「中進国の罠」と呼ばれる、いかなる国も遭遇する通過儀礼を頭から浴びている真っ最中でした。
この「中進国の罠」とは、高度成長が終わって安定成長に移行する際に、どの国にでも現れる社会現象で、今までの中国の驚異的成長を支えていた若年層の労働力人口が急速に減少しました。
特に中国は人口抑制政策のために一人っ子政策を基本にしていたために、恐ろしい勢いで少子高齢化が進んでいきます。
結果、労働力不足による賃金の高騰を招き、それが労働市場を圧迫し、外国企業は中国に生産拠点を置くことにメリットを感じなくなります。
このような少子高齢化が進み、生産年齢人口(15~64歳)に対する従属人口(14歳以下の年少人口と65歳以上の老年人口の合計)の比率が上昇することで社会保障費などがかさみ、経済成長を阻害する現象を「人口オーナス」(重荷)と呼びます。
しかし高度成長を続けているという政府の甘い声に従って、中国の現役世代は我も我もとシャンパンを抜きまくりました。
個人消費もけっこうですが、国がきちんとした老齢化に備えた制度設計をせねばならなかったのです。
労働人口の過半を占める国有企業や役所、教育機関が今までの「鉄碗」に馴れて、ゆりかごから墓場まで国が面倒を見て当然だという社会主義的意識を変えられなかったのです。
「鉄碗」意識を変えられないまま、シャンパンを抜き放題でつっ走れば、結果は見えています。
「より根本的な問題として、中国は途上国のままで高齢化を迎える(未富先老)可能性が高い」
(2012年8月3日 大和総合研『—成長は保八から破八へ、そして高齢化へ3つの懸念』)
https://www.dir.co.jp/report/asia/asian_insight/120803.html
話を全国人代に戻しましょう。今回の全国人代の要点は以下です。
●全人民代表の李克強報告の要点
①GDP目標設定しない理由
②赤字率(インフレ率)3.6%で1兆元出動、特別国債1兆元、地方債1.6兆元の3.6兆元出動(GDP比3%)という小粒経済刺激策
③投資は限定的。リーマンショック後の4兆元の反省。
(福島前掲)
GDP目標設定しない理由はこのようなことが原因だと見られています。
「GDP目標が設定されなかった理由について、李克強は「グローバルな感染状況と経済貿易情勢の不確定性が非常に大きく、わが国の発展への影響が予想しがたい。このようにした方が(目標を設定しないほうが)各方面は精力を集中して“六穏”“六保”をしっかりしていくのに有利だろう」とした。
中国のエコノミストたちによれば、理由は主に三つほどある。
1)感染状況の見通しが不明であり、経済に対する影響の不確定性が大きいこと。
2)目標を設定すると逆に、マクロ政策に手法に枷をはめてしまう可能性がある。状況によっては、“水をじゃぶじゃぶ灌ぐ”式の経済刺激策をとらざるを得ない。
3)もし目標が実際的でなければ、地方政府は“データを捏造する”などの対応をやりかねない」(福島前掲)
まぁ、ざっぱくに説明すれば、李は地方政府があげてくる統計数字をまったく信用していません。
彼は上が目標を決めれば、下はかならずそれに表面的には従うそぶりをみせて、内実はただの数字合わせをしまくってきたことをよく知っているからです。平時ならいざ知らず、こんな恐慌の淵で、そんな目標なんか立てても無意味なばかりか逆効果だとすら考えているようです。
俗に「上に政策あれば、下に対策ある」といわれるように、下手に中央政府が目標を口にすれば、地方政府は数字上だけで達成しようとするでしょう。
そして地方政府がやることはひとつです。
リーマンショックの時のように、銀行に放漫融資をさせて、結局山のような不良債権を作ってしまうに決まっています。
いったいリーマンの後に、全国に無人の幽霊都市の廃墟がいくつ出来たとおもってんだか。
ところが地方政府はこんな不良債権を山ほど作っても平気です。
要は、共産党の連中が融資に際して袖の下をどれだけ取れるか問題で、最後の帳尻は「鉄碗」の国が面倒をみてくれるとなめてかかっています。
この面従腹背を知り抜いているから、李は虚しい目標なんか示さなかったのです。
このような上は下を信ぜず、下は上にオベッカばかりいうくせに腹では舌を出してワイロを取る、これがこの中国という国の文化です。
そしてもう一つの理由は、リーマン移行に天文学的に膨張した不良債権を放置し続けたために、ここで金融緩和のアクセルを踏もうもんなら、一気に強インフレとなる可能性があるからです。
だから、金融緩和という景気浮揚の特効薬をとれないのです。
「グラフは中国の銀行融資残高と銀行不良債権の推移である。銀行融資は2008年9月のリーマン・ショック以降、年率15%前後、一直線で増加してきた。不良債権のほうは12年から徐々に増加し始め、15年から前年同期比50%前後のペースで急増中である。
融資残高に占める割合は今年3月末時点1・4%で、日本の13年当時の水準並み(16年3月は0・97%)である」
(田村秀男『深刻さを増す中国の“債務爆弾” IMF分析では中国当局データの10倍 』上図も同じ))
その全貌すらつかめぬほど巨額な不良債権ですが、どのくらい積み上がっているのでしょうか。
「IMFが4月中旬に発表したグローバル金融安定報告によると、融資残高に対する中国の不良債権比率は14%、国内総生産(GDP)に対する比率は20・7%に上る。円換算の不良債権額は中国当局データから算出すれば、3月末23兆円だが、IMF報告ではその10倍、230兆円へと膨れ上がる」
(田村前掲)
不良債権額・推定で230兆円・・・!(絶句)。
日本がバブル期に作った不良債権はいかにも多そうにみえますが、45兆円ていどです。
これを公的資金を投入して約16年で解消させています。
https://news.mynavi.jp/article/heiseieconomy-6/
しかもこの中国の不良債権の推定値は、親中派のラガルド専務理事が弾いた数字ですらこうですから、実際はどれだけあることやら。
こんな自由主義経済ではやりたくてもできない不良債権を山積みできるのは、貸す方も借りるほうも共産党だからです。
「ここで気をつけなければならないのは、中国の不良債権認定基準のいい加減さである。日米欧の場合、企業など借り手が90日以上返済を延滞すると不良債権として分類するのだが、中国の銀行は銀行が担保などを高く評価して「回収できる」と認定すれば、不良債権に計上しなくても済む。
大手国有商業銀行は主な貸出先が国有企業であり、共に党官僚が支配している。党の裁量がものを言う。貸し倒れはありえないと国有大手銀行は判断すれば、当局が追認するというわけである」(田村前掲)
このような共産党官僚が共産党官僚に巨額融資をしてきた積年の弊害が、一帯一路において爆発したのは、昨日見てのとおりです。
そしてそれは国外だけに止まらず、中国国内の不良債権という火薬庫にも誘爆していくことでしょう。
なんとか経済が回ってさえいれば、マネーフローでやりくりできたのかもしれませんが、いったん数カ月間完全停止したらどうなることやら。
だから武漢をまだ余燼くすぶる中に解除したのでしょうね。
中国の失速はこの国だけにとどまらず、大きな世界経済の地殻変動をもたらします。
それにしても、コロナ制圧も中国が勝った、その後の世界も中国が真っ先に復興すると、チャイナ総取りのようなことを言う人、どこを見て言ってるんでしょうか。
●お断り 本日から感染者数速報を停止します。また感染拡大があれば再開します。気を引き締めていきましょう。
中国は分かりやすい国です。
分かりにくいのはアチラさんが内部分裂を起こしてポジションによって得手勝手なことを言うからで、基本は単純です。
要は、参ったチャイナは喚くから判ります。
情勢が不利に傾くと、今まで大人然としていた仮面を脱ぎ捨てて、やにわに「戦狼」モードに突入してしまいます。
この「戦狼」とは、チャイナの国営メディアが名付けたランボーのような剛力の戦士のことだそうで、目下中国はこの「戦闘モード」に入っています。
ただし口だけで、戦争を仕掛けてくるという意味ではありませんから、ご安心を。
たとえば、この間、中国の外交官が世界各国で中国外交官が人が変わったように、外交官らしからぬ非友好的振る舞いを見せ始めました。
ウォールストリートジャーナルは、こんな中国外交官に呆れたようにこう書いています。
「中国が世界に対する自己主張を強める中、世界各地の同国外交官らは、相手の大小を問わず、敵への攻撃を仕掛けている」
(WSJ 5月20日『中国の「戦狼」外交官、戦闘モードに入る 』
https://jp.wsj.com/articles/SB10571912443155804525404586395022988049988?shareToken=st411348d3c0cd4944b05b702ee6ef064f
これが米国相手ならいざ知らず、新型コロナくらいしか紛争案件がないヨーロッパや、アジアの親中国とみなされてきたスリランカでもこの調子です。
「中国の駐仏大使は、フランスが中国の利益を侵害した場合には争いも辞さない立場を表明し、その後、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)をめぐってホスト国のフランスと言い争いを開始した。
中国の在スリランカ大使館は、フォロワーが30人にも満たないツイッター上の活動家に対し、中国政府のパンデミック対応の素晴らしさを豪語した。中国政府は、チェコ・プラハ市の市長と台湾問題で争った後、プラハ市フィルハーモニー管弦楽団の中国全国ツアーをキャンセルした」(WSJ前掲)
まだ蜜月時代の2019年3月にフランスで会談した仏マクロン大統領と独メルケル首相、中国の習近平国家主席 日経ビジネス
外交官が一般人のツイッターに怒ってみたり、コンサート訪問をキャンセルしてみたり、まぁなんて大人気ないこと(笑)。
中国ベッタリだったフランスは、自国の感染爆発を受けて、自分がかつてウィルス研究施設P4を中国に提供したことを悔いて、このような対応を見せています。
「欧州経済は外需でもインフラ投資でも中国への依存度が高いため、これまでは多分に遠慮があったが、新型コロナの感染拡大を受け、風向きが変わりつつある。
4月、フランスのマクロン大統領は厳しい言葉で中国を批判した。英フィナンシャル・タイムズのインタビューで「中国がこれ(新型ウイルスの流行)にうまく対処していると、バカ正直に言ってはいけない」と語った。(略)
だが、新型コロナで国家が「戦争状態」(マクロン大統領)になり、多くの死亡者を出したため、発生源である中国に対してより厳しい姿勢を鮮明にしている 」(日経ビジネス5月8日)
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00122/050700021/
ヨーロッパ最大の親中国のドイツですら、メルケルがこんなことを言い出す始末です。
「ドイツ経済を支える自動車産業はその象徴で、独フォルクスワーゲンの全世界での販売台数のうち約4割を中国が占める。メルケル首相もこれまで非常に慎重な発言に終始してきたが、さすがに今回は苦言を呈さざるを得なかった。 メルケル首相は20日、記者会見で「中国が新型ウイルスの発生源に関する情報をもっと開示していたなら、世界中のすべての人々がそこから学ぶ上でより良い結果になっていたと思う」と述べた」(日経ビジネス前掲)
なんのこたぁない、フランスのエアバス、ドイツのフォルクスワーゲン、ついでにいうならうちの国のトヨタが人質にとられているようなもんで、いままで対中発言は口に綿を詰めて我慢してきたが、もう我慢できん、ということのようです。
英国はファーウェイを5Gから排除する方向に転換しました。まぁ、首相を殺されかかったんですから当然です。
ボリスは激怒モードで、状況が落ち着いたら手厳しいリベンジをするでしょう。
あと主要国で、中国批判を封じているのはうちの国ですが、これにはまだ時間がかかりそうです。
なんせ自民党と財界主流、連立の公明は親中派で占められていますから。
菅さんと首相でも温度差がまるで違います。
一方、発展途上国はと見ると、スリランカのちっぽけなSNSにまで中国大使館が噛みついて呆れられています。
空港や港まで借金のカタでとりあげた国ですが、今回の新型コロナで立ち行かなくなっています。
この返済不能状況は、スリランカにかぎらず、一帯一路で多額のカネを貸しつけたほぼすべての途上国に共通しています。
中国は今まで、習の途上国訪問のたびに大盤振る舞いをしてきました。
たとえば2018年7月の訪問ではこんな調子で手形を切りまくっています。
信用の裏付けがなく、返済できなくても、鉱山、空港、港湾をカタにしているから取りっぱぐれがないと思ったようです。
まさに街金のカードローン顔負けのやり口ですが、これが一帯一路のほんとうの顔で、特に資源を狙ってアフリカ諸国に投資されました。
「アジア・アフリカ諸国の習近平国家主席は25日までの中東・アラブ首長国連邦(UAE)とアフリカ3カ国への公式訪問で、経済圏構想「一帯一路」を旗印にインフラ整備などの経済支援を相次いで打ち出した。ただアフリカ諸国の政府債務が膨張する中、中国マネーへの過度な依存は事実上の「植民地」化につながるとの見方も出ている」(産経2018年7月25日 上図も同じ)
この巨額な放漫貸し付けは、中国の外貨準備にも大きな影を落としてきました。金融負債が天井知らずになってしまったからです。
「一帯一路は中国のマネーパワーによって推進される、とは一般的な見方なのだが、だまされてはいけない。上グラフを見ればそのパワーは張り子の虎同然であることがはっきりする。
外貨準備など中国の対外資産は外貨が流入しないと増えない。流入外貨をことごとく中国人民銀行が買い上げる中国特有の制度のもと、中国当局は輸出による貿易黒字拡大と、外国からの対中投資呼び込みに躍起となってきた。ところが、2015年以降は資本逃避が激しくなり、最近でも3000億ドル前後の資本が当局の規制をかいくぐって逃げている」(田村秀男2018年9月8日)
しかし、それでも新型コロナ以前は、習は泰然としていられました。
その秘密は、資金援助はいわゆる「ひも付援助」で、融資するのも中国国有銀行、受註者も中国国有企業、現地で働くのも中国人だったからで、決済が元でまかなえると踏んだからです。
「負債はすべて現地政府に押し付けられ、しかも全額外貨建てとなる。中国はこうして「一帯一路への支援」を名目に、外貨を獲得するという仕掛け」(田村前掲)だったからです。
途上国にとってはチャイナからの借金はGDPの過半を占めるものとなった理由は、いい加減な返済計画でも元建てだったことにあります。
通常の先進国の借款はドル建てですが、中国のみ元建てでいいと言われたために、一気になびいたのです。
「外国企業は「ドルでよこせ」と要求するだろうが、中国企業なら人民元で構わない。グラフの国内総生産(GDP)を見ても、融資を受ける国の経済力は弱く、人民元でなくてもカネは欲しい。人民元建て債務返済に縛られる政治的代償を払う羽目になる」(田村秀男2017年5月19日)
結果、それは開発途上国が一斉に政治的に中国に従属することへとつながっていきました。
それが端的にあらわれたのが国連です。
一国一票の国連機関はみるみる中国一色で染まっていきました。
たとえばWHOのような国際医療機関においてすら、テドロスのようなかつてテロ組織に属していた疑惑のある者すら事務局長の椅子に座れたのは、ひとえに途上国票田は中国の指定席と化していたからです。
この中国のビジネスモデルが狂いだしたのは、新型コロナの世界的感染からでした。
アジア・アフリカ・中南米の途上国は、ガン首を並べてもう鼻血も出ませんと北京に泣きついてきたのです。
ニューヨークタイムス(5月18日)はこのように述べています。
(原文英語 "Poor Countries Borrowed Billions from China. They Can’t Pay It Back." 『貧しい国々が中国から数十億を借りた。しかし彼らはそれを返済することができない』)
仮訳「コロナウイルスが世界中に広まったため、パキスタンの外相は先月、北京のカウンターパートに緊急の要請をして電話をかけた。国の経済は急落しており、政府は数十億ドルの中国の融資を再編する必要があった。
同様の要求は、キルギス、スリランカ、およびアフリカの多くの国から北京に殺到し、借金の再編、返済の繰り延べ、または今年予定されている数百億ドルのさらなる融資を求めている。
現在、世界経済が減速するにつれ、国々は北京にお金を返済することはできないと言い始めた。
中国は難しい選択に直面している。これらの国々へのローンを再構築したり、また許すならば、それは自分も経済の減速で苦しんでいる中国の人々を激怒させるかもしれない。
しかし、中国のパンデミックへの対応をめぐってすでに多くの国が北京に腹を立てているときに返済を要求すると、世界的な影響力の喪失は避けられない可能性がある」(NYT前掲)
返済が元建てであろうとドル建てであろうと、ないものはない、払えないのだから、なんとか救済してくれ、という悲鳴がすべての貸し付けを行った国々から噴出したのです。
これは習にとってまったくの想定外だったはずです。彼は先述したように二重の安全装置をかけていました。
ひとつは元建てだから中国の外貨を圧迫しない、もうひとつが鉱山資源や港湾の現物のカタを押えてある、というわけで野放図に貸しまくっていたわけです。
よもやすべての案件が、しかも一挙に支払い不可能になるなんてありえないと思っていたのでしょうね。
お気の毒。そのありえない悪夢が現実となってしまいました。
NYT前掲記事によれば、中国の途上国向け融資額は実に5千200億ドル(約60兆円)、世界銀行よりも大きいにもかからわず、これがこの数年で一気に振り出されています。信じがたい規模の放漫貸し付けです。
ところがそのプロジェクトのすべてが停止し、再開の見込みがたたないとするとどうなるでしょうか。
放漫貸し付けが必ず陥る不良債権の山、それも富士山並の高山です。
しかもあろうことか、今までさんざんエアバスやワーゲンを買ってやって恩を着せていたお得意さんのヨーロッパまでもが、コロナ禍で牙をむきだしたのですから、中国はとうとうブチキレてしまいました。
カネの切れ目が縁の切れ目。
繰り延べなんかもってのほかだ、なんて言おうもんなら途上国の反乱が起きるでしょうし、それはいままでカネををバラ撒くことで作ってきた「友好国」が一挙にガラガラと崩れる事になってしまいます。
世界の街金中国の終焉、すなわち中華共栄圏の崩壊です。
これが環球時報が公然とけしかけている、世界各国の中国外交官の「戦狼モード」突入の原因です。
そして当然のことながら昨日とりあげた香港への国家安全法の強制も、習に心理的余裕があれば、なにもこんな世界各国から糾弾を浴びているまっ最中を狙わなかったでしょうに。
一杯一杯なんですよ。なにせ習の看板政策でしたからね。
仮に一帯一路に失敗すれば、共産党内ではただ済まないはずです。
というわけて、中国はピンチになるとキレる国だということを覚えておきましょう。
一帯一路の破滅、これは中国経済と政治体制に大きな衝撃を与えることでしょう。
緊急自体宣言が終了しましたので、今日で感染状況報告はいったん終了します。
●国内感染状況(5月25日0:00)
国内感染者16581
退院13612
入院治療を要する者2121
重症者165
死亡830
確認中21
世界全体を巻き込んだ中国発の新型コロナのパンデミックが終わる気配もないにもかかわらず、中国は香港に対して国家安全法を導入すると言い出しました。
【5月22日 AFP】(更新、写真追加)新型コロナウイルスの流行を受けて延期されていた中国の全国人民代表大会(National People's Congress、全人代、国会に相当)が22日に開幕し、中国政府に対する「反逆、分離、扇動、転覆」を禁止する「国家安全法」の香港への導入を検討する議案が提出された。国営新華社通信が伝えた。
国家安全法が導入されれば、中国が香港の支配を強化し、市民の自由がさらに損なわれると懸念されている。香港の民主派議員や活動家は「香港の終わりだ」と反発。米国も、香港の自由への攻撃だとして中国政府を非難している」(AFP5月22日)
https://www.afpbb.com/articles/-/3284278
つまり、中国は香港行政府にこういっているのです。
もうお前ら香港の親中派には任せられない、時間切れだ、オレが全人代で作ってやるから、香港市民に強制的に呑ませろ。
https://newsphere.jp/politics/20191003-2/2/
ところで中国国家安全法とはこのような法律です。
「同法第15条は、「人民民主主義専制政権を転覆、またはそれを扇動するいかなる行為も防止・阻止し、法に基づいて処罰する」ことを定めている。
ここで言う「人民民主主義政権」とは、指摘するまでもなく、「最も広範な人民の代表」であるところの中国共産党による現行政権を意味する。
したがって、この規定に基づき、政権交代につながる民主主義制度を求めるあらゆる活動は、「違法行為」として処罰の対象となることが考えられる。
ここで注意すべきは、同法によって正当化される執法行為の範疇には、そうした活動を(未然に)防止することも含まれていることである。つまり、実際に民主を扇動する活動を行ってはいない国民も、同法に基づく「予防的」取り締まりの対象になる可能性があるということである。
いずれにせよ、この規定は、「国家安全法」に基づき、中国の現行の政治体制、すなわち中国共産党政権の「安全」のために、国民の安全が犠牲にされる場合が有り得ることを示している 」
(角崎信也(日本国際問題研究所研究員) 『China Report』Vol. 1中国「国家安全法」の要点-』)
https://www2.jiia.or.jp/RESR/column_page.php?id=252
恐ろしい法律です。日本においてこのような法律など想定することさえ難しいでしょう。
この国家安全法が守ろうとしているのは、一般的な国家を指しません。
共産党は国家すら超える至高の存在であるために、守るべきものは共産党です。
共産党は国を支配するために、彼らの「安全」を脅かすすべてを排除することができます。
その中には、国家が「犯罪」と定めた反政府活動を処罰するだけに止まらず、活動を未然に防止することさえ可能です。
つまり法治国家が発生した犯罪行為を処罰するのに対して、人治国家の極であるこの国は意図しただけで犯罪なのです。
したがって言論の自由などなんの価値もない、踏みつぶすべき「自由主義」にすぎないわけです。
さて香港にはミニ憲法とでもいうべき1997年にできた「香港基本法」がありました。
一国二制度の枠組みを作ったのがこの基本法です。
ところがこの基本法には大きな欠陥がありました。
ひとつは完全な普通選挙が認められていないことです。えっ、去年民主派が地滑り的勝利をしたじゃん、とお思いの方、甘い。
あれは直接選挙で選ばれる区議会選挙にすぎません。
区議会選挙は、香港で唯一認められた直接自由選挙で、全479議席のうち452議席は、1人1票の直接選挙(小選挙区制)で選出されますから、ほぼダイレクトに「民意」が反映されます。
ところが、国会に相当する立法会は、定数70のうち直接選挙(比例代表制)で選ばれるのは35議席のみで、後は大陸とのつながりが深い「職業枠」が握っています。これは親中国の指定席として作られています。
香港政府トップの行政長官は、この職業別団体の代表と立法会議員らで構成する選挙委員会(定数1200)の投票で選出される間接指名制であり、民意は反映されません。
つまり、いまのままの立法会の仕組みが温存されれば、立法会において確実に親中派は半数を確保でき、行政長官指名でも絶対に親中派が勝てる仕組みでした。
そしてもうひとつが、香港民主化デモによってあぶり出されたもうひとつの欠陥です。
基本法には、中国政府に対して反乱が起きた場合、どのように対処するのか決めがなかったことです。
基本法第23条に政権転覆や国家分裂を禁じた条項があるにはあるのですが、これがトンデモの内容でした。
習から勲章をもらう董建華 自由時報
これは香港の初代行政長官だった董建華(とうけんか)は、2002年9月、立法会(議会)での条例制定を目指していましたが、その内容があまりにも中国ベッタリで、これを認めると香港の言論すべてが否定されてしまうと強い反対が起きてそのままになっていました。
●基本法第23条がもくろんだ違反行為
①中央政府転覆の意図をもって中国と交戦する外国の武装部隊に参加。
②武力によって中国の安定に危害を与える
③扇動的な文書を出版する。
スゴイでしょう。「中国政府転覆の意志」にしても「中国の安定」という概念にしてもどうとでも解釈可能です。
中国政府の出先の香港行政府が「これは中国の安定を損なう」と判断すれば、いくらでも拡大解釈が可能で、しかもその範囲は「煽動的な文書の発行」という言論・結社の自由まで否定することができてしまいます。
おそらく董としては、中国に逆らう奴らは第23条を使って、全員牢獄にぶち込んでやる、実力で歯向かえば殺害もやむなしと思っていたことでしょう。
ちなみにこの董はまだ存命で、民主化デモにいたたまれずに、パンデミックの真っ最中を狙って親中組織を立ち上げています。
「董建華、梁振英の初代・前行政長官や、中国全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会の譚耀宗常務委員(香港選出全人代代表)ら「親中派」の大物政治家が中心となり、香港の立て直しを目指した新たな横断組織が近く結成される」
(アジア経済ニュース2020年4月20日)
当然のこととして市民から「香港の自由を殺すつもりか」と強い反発が起きて、この案を発表した翌年の03年には50万人もの人々が抗議に駆けつける事態にまで発展し、頓挫したまま今に至っています。
去年の激しい香港民主化デモを見ていた中国は、香港行政府に自力で基本法第23条を作る力はないと見て、中国全人代が国家安全法を導入するという頭越しの策に走ったというわけです。
この中国の国家安全法の導入は、中国国内法においてのみ合法であって国際法上は違法です。
なぜなら香港は1984年12月の英国と中国の協定によって、主権が保護されているからです。
国際協定とは国際法を意味します。
1984年12月19日「香港問題に関する英中共同声明」
ここにはこうあります。
●英中共同声明
第一付属文書
十三 香港特別行政区政府は法律にもとづき香港特別行政区の住民その他の人の権利と自由を保障する。香港特別行政区政府は、香港の既存の法律に定められている、人身、言論、出版、集会、結社、労働組合の組織と参加、通信、旅行、移転、罷業、デモ、職業選択、学術研究、信仰の自由、住宅不可侵、婚姻の自由、自由意思による出産の権利を含む権利と自由を保持する。
ご覧のとおり、言論・結社・出版・信仰の自由という自由主義社会の根幹は完全に保証されていました。
中国のような全体主義国家においては、これらすべての民主的諸権利を奪うことからすべてが始まっています。
中国の憲法に民主的権利のキレイゴトが書いてありますが、いうまでもなくただの飾り物で、国家は国民を権力者に縛りつけ、口を塞いで窒息させようとする牢獄の中の「自由」だけを認めているにすぎません。
それも今やデジタル共産主義は最先端ITによって、ひとりひとりの国民を生活の隅々まで監視し、それに得点をつけてスコアがなくなれば辺境の「職業訓練所」送りとなるという人類最悪のディストピアを完成させてしまいました。
香港はこの全体主義国家の誇り高き「異物」であり、中国大陸唯一の自由の砦でした。
香港に住んでいれば、あるいは香港に来れば自由にしゃべれて、自由に意見を公表することが可能だったのです。
香港の民主化デモの戦いは、この民主主義の「自由」を奪い返す戦いです。
いままさに砕け散ろうとしている自由を守ろうとする市民の戦いでした。
その意味で、香港こそが全体主義対自由主義の最前線でした。
今回、全人代による国家安全法の適用は、いよいよ香港行政府の影に隠れていた中国が自らの姿を、香港市民の前に露わにしたことになります。
「この法案は全人代最終日の28日に採決され、来月に再び開かれる会議で詳細が詰められる見通し。常務委員会の王副委員長は、香港での新法施行はその後になるとしており、同市では抗議デモがさらに激化する可能性がある。
昨年の騒乱のきっかけとなった大規模デモを主催した市民団体「民間人権陣線(Civil Human Rights Front)」のリーダー、岑子傑(ジミー・シャム、Jimmy Sham)氏は香港市民に対し、再び数百万人規模の街頭デモを行うよう呼び掛けた」(AFP前掲)
香港の熱い夏が再びやってきます。
このような時期に習の秋の訪日など問題外です。新型コロナの責任と合わせて絶対容認できません。
●国内感染状況(5月24日0:00 )
国内感染者16550
退院13413
入院治療を要する者2287
重症者168
死亡820
確認中32
以下ねこおぢ3より引用させていただきました。
2020/5/23
今日は+41
前々週70⇒前週23⇒今日41
累計感染者数16,570(+41)
累計死者数 840(+15)
累計退院者数13,340(+34)
現在患者数 2,390(▲8)
北海道+15
東京+14
神奈川+5関東+19
静岡+1
愛媛+1
福岡+3
検疫+2
以上+41pic.twitter.com/GzWTJdp88W
昨日で、この拙いブログも12周年となったようです。常日頃ご支援を賜りまして心から感謝いたします。
ろくに確かめもしないで、ずっと10年間くらいかなと思ってたんですが、始めたのか2008年5月22日ですから、もうそんなになるのか。
気負わずに日々是好日といったかんじで続けていければと思っています。
さて、書かなきゃ書かなきゃと思いつつ気が進まず、そのくせ情報は連日大量にネットから流れてくるのでとうとう観念しました。
なんせ疑惑の大保管庫といったありさまで、やれ寄付金から子供を大学に行かせただの、飲み喰いに使っていただろうとか、はては家買ったとか、細かいカンパも抜いていたとか(笑)、あるわ、あるわ、汲めねど尽きぬき疑惑の泉。
公金横領まで暴露されるに及んで、さすがに司法も黙っているわけにはいかなくなったと見えて、慰安婦団体にとうとう司直の手が伸びたようです。
「不良会計処理および横領などの疑惑で論争となっている慰安婦被害者支援団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連)」事務室に検察が家宅捜索に入った。
ソウル西部地検刑事4部〔崔智錫(チェ・ジソク)部長検事〕は20日午後、麻浦区城山洞(マポグ・ソンサンドン)に位置する正義連事務室に捜査官を派遣し、会計および各種事業関連の資料を確保した。検察は具体的な容疑内容に対しては明らかできないという立場だ。
これに先立ち、今月11日にある市民団体が正義連の元理事長である尹美香(ユン・ミヒャン)氏(共に民主党当選人)を横領・詐欺疑惑で告発して以来、関連告発が相次いだ。19日には正義連のイ・ナヨン理事長、ハン・ギョンヒ事務局長なども業務上横領・背任、詐欺などの容疑で告発された」(韓国中央日報5月21日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/5cdd97adfad91bce...
挺対協、今は合併して正義連(名前もスゴイね)となった慰安婦運動の総本山のユン・ミヒャンの逮捕も間近でしょう。
その理由がこれまたケッサクで、存命している慰安婦の象徴的存在だったイ・ヨンスばぁちゃんに内部告発されたのがきっかけでした。
それから、連日出るわ、でるわ、水に落ちた犬は叩けという中韓の教えどおり、叩かれまくっております。
この挺対協は、ムン閣下の政権を、暴力デモで有名な民主労総と共に支える二大柱、いわば神様団体です。
方やイばぁちゃんもこの団体が作り出した神格化されたキャラでした。
覚えていますか、イばぁちゃんはあのトランプ訪韓の折りに、ムンが無理矢理にトランプにハグさせた女性ですよ。
朝日 https://www.asahi.com/articles/photo/AS20171107005...
イばぁちゃんを仕立てたのもユン、ムン閣下に仕向けたのもユン、日本大使館前にあの慰安婦像をつくったのもユン、毎週水曜日にその前で集会を開いて日本を糾弾しているのもユン、つまり慰安婦問題の総合卸元がこのユン・ミヒャンという女性だったのです。
ユンミヒャン挺対協代表
韓国国内ではこのイとユンの両名の言うことは神の声、逆らったり疑問を述べただけで天罰が下ると思われていたような存在でしたから、この両名の争いは神様vs神様の戦いだったんですね。
ただし、ユン代表の権力は元慰安婦のイばぁちゃんによって権威づけされていたのです。
いわば権威がイばぁちゃん、権力がユン代表という配分でしたが、権威が権力に食ってかかったのですからこりゃ大変。
イばぁちゃんが慰安婦にされたという証言はこのようなものでした。
①「慰安所を経営している男」に楽な生活ができると言われて家出をした。
②韓国政府が言う「日本軍の強制連行」はなかった。
ところが、「日本軍の強制はなかった」にもかかわらず、日本軍が暴力で性奴隷にしたという虚構によって慰安婦問題ができあがってしまいました。
韓国政府はこれを日本ディスカウントに利用し、わが国は30年有余年に渡って苦しむことになります。
ちなみにこの問題を火のないところに煙をたて、扇ぎまくって大火にしたのは、日本の福島瑞穂氏と朝日新聞だったことは記憶に止めておきましょう。
日本人が火をつけたのです。
この神格化された慰安婦イ・ヨンスが、ユン・ミヒャンを告発したのは、一にも二にも、膨大な寄付金や政府からの公金を得ていながら、自分はカネを少しも受け取っていないという怒りからでした。
そしてふたつめは、自分は日韓慰安婦合意をまったく聞かされていなかったということです。
まず、ひとつめの疑惑は、元慰安婦にほとんど寄付金が行っていなかったようです。
挺対協は毎週水曜日に日本大使館前の慰安婦像の前で集会を開いては、「日本政府から渡されたお金などは受け取らない。我々が寄付を募り彼女たちに渡す」と言って 常に寄付金を集めていました。
毎日
この寄付金は生活に困っている元慰安婦の老人たちを助けようという趣旨で集めたにもかかわらず、まったくもらっていないというのがイばぁちゃんの怒りの発端でした。
実際に正義連(旧挺対協)は4年間で49億ウォンの寄付金を集めたとされながらも、そのうち元慰安婦に手渡した金額は全額のわずか18.5%にあたる9億ウォンにすぎませんでした。
28年間で元慰安婦に支援金を振り込んだ回数は3回だけで、うち2回は100万ウォンと250万ウォンにすぎませんでした。
おばあちゃんたちに集めた寄付のに... いざ受けたのは106万ウォン(朝鮮日報・朝鮮語)
そして4~5%の元慰安婦支援事業(4~5%)も、その経費の大半は葬儀支援費用にすぎず、それも計上された葬儀費用(1170万ウォン)は実は葬儀会社が厚意で負担していたことも判明しています。なんだ、ぜんぜん身銭切っていないじゃん。
また寄付金だけではなく、未来統合党の調査によれば、ソウル市や関係官庁から提出を受けた資料では正義連(挺対協)は、16年から19年にかけ約13億4300万ウォンの国庫補助金を受給していました。
しかし挺対協はこの政府補助金を毎年受け取りながら、決算書類上の「補助金」項目に0ウォンと記載し続けています。
一方正義連も18年に1億ウォン、19年に約7億1700万ウォンの補助金を受給しましたが、公示上の「補助金」項目には18年0ウォン、19年5億3800万ウォンとだけしか記載されていませんでした。
この二団体は統合を前提としており、事実上、同一の二つの団体がそれぞれ政府補助金などを受け取った重複受給による公金横領疑惑がもたれています。
そのうえに使途が不明ときていますから、まったく救いがありません。
また、慰安婦の住む「ナヌムの家」にも公金横領疑惑もあがっていますが、とりあえず置きます。
もうひとつの日韓慰安婦合意については、 挺対協のユンは「被害者が合意に加わっていないものなど無効だ」と言い出したにもかかわらず、自分は事前にその内容を知っており、意図的にイばぁちゃんなどの慰安婦には知らさずに潰そうとしたようです。
この日韓交渉経過については多くの証言があり、挺対協にも原案を提示していたが、慰安婦が知らないことを口実にして反対したされています。
もちろん、元慰安婦に知らせなかったのは、知られると生活に貧窮している彼女たちが賛成してしまい(実際大部分の元慰安婦は賛成に回りましたが)、自分らがやっている被害者ビジネスができなくなってしまうからです。
しかし、イどぁちゃんの告発以降、韓国マスコミの報道が噴出し、あまりの余罪の多さにユンは謝罪に追い込まれました。
これもスゴイですよ、なんせ土下座して赦しを請うたようです。
ユンからすれば、カネも渡さない、合意も知らせない、いいように看板だけで使ってきたのですが、元慰安婦がいての挺対協。
元慰安婦から縁切りされれば生きていけません。
それでなくても天寿をまっとうする年齢になりかかっている希少な元慰安婦資源。
ユンは恥を忍んでここは懺悔することに決めたようです。
しかしそれも裏目に出ました。
「当時ユン氏は、イ祖母が滞在する大邱のホテルを訪れた。二人は5~10分ほど会話した。ユン氏は、イ祖母の前に膝を屈したまま、「申し訳ない」と許しを求めたという。
ただし、Aさんは「ユン氏は『申し訳ない』と跪くと彼女を抱いたものの、イ祖母が記者会見時と異なる立場を明かしたものでもなかった」とした。また、Aさんは「このおばあちゃんは、『法によって審判をつけるべき』とし、近いうちに記者会見をするから、といった言葉だけだった」と説明した。このおばあちゃんは、去る13日月刊中央のインタビューでも、正義連やユン氏と和解する気がないのかは、数回の質問に「和解はしない。することができない」と述べた」
(中央日報 和訳楽韓様)
韓国の風習では、争っている相手に出向いて、ひざまずいて赦しなんかを請うたらもうオシマイです。
和解に向けた儀式をユンは狙ったという説もありますが、イばぁさんは頑としてそれを拒否したと言われています。
「当時の出会いで祖母はユン氏に「あなたが謝ったとしても私が許すことがあるはずない。どの道、ここまで来てしまったのだから」と話したと伝えられた」(中央前掲)
かくしてこの時点で、この神様頂上決戦はユンの負けに決定しました。
ユンは、正義連(挺対協)の代表という私的権力だけでは足りず、与党の国会議員にまでなろうというあくなき権力欲が自滅への引き金となりました。
韓国メディアにとっては、野に置いてこその挺対協。
民間の篤志家だと思われていたからアンタッチャブルでしたが、いったん議員になれば、ただのヒトなのです。
いままで慰安婦関連人脈に手がつけられなかったメディアは、我勝ちにとユンたたきに狂奔しました。
保守の朝鮮日報くらいならまだしも、極左のハンギョレからも、「ユンはひとりでやっているからこんな事になるんだ」と切り捨てられるありさまです。
ここから司直の捜査までは一気加勢でした。
これで慰安婦運動という国教は、事実上の終焉を迎えることになります。
これでムンの対日カードは徴用工一枚になりましたが、あれを切ったら最後、日韓断交だと日本政府はあらかじめ言い渡してありますから、さてムン閣下どうなさるおつもりでしょうか。
●国内感染状況(5月22日0:00)
国内感染者16513
退院13005
入院治療を要する者2652
重症者176
死亡796
確認中62
以下ねこおぢ3より引用させて頂きました。
北海道+5
群馬+1
埼玉+1
東京+3
神奈川+7関東+12
石川+2
大阪+1
愛媛+3
以上+23pic.twitter.com/jUJ3BwsknH
国家公務員定年延長法案は見事、廃案となりました。
「政府は21日、検察官を含む公務員の定年延長を盛り込んだ国家公務員法改正案を廃案にする方針を固めた。検察庁法改正案の今国会での成立見送りを受け、秋の臨時国会での継続審議を目指していたが、新型コロナウイルスの感染拡大で雇用環境が急速に悪化する中、公務員の定年延長の必要性は薄れたと判断した」(産経5月21日)
これで秋の再提出もなくなりましたから、枝野の旦那のお顔を拝見したいものです。
ああ、なんでアベは「強行採決」してくれないんだ、テレビ用プラカードまて準備していたのに(苦笑)。
立憲民主にとって最良の流れは、与党国対がいつまでたっても新型コロナの予算が通らないので、検事部分だけ分離して本体の国家公務員定年延長部分だけ通すという妥協してくれることでした。
実際、その線は見えかかっていたのに、官邸の「もうやめたから」の一声でオジャンになってしまったわけです。
最悪でも、「強行採決」してもらえば、テレビカメラの前で「三権分立を守れ」「アベファシズムに屈しないぞ」みたいなプラカードをかかげてアリバイ作りができたものを、全部廃案ですから、処置なしです。
そのうっぷんを晴らすつもりか、ご承知のように黒川氏がとんだところで失職しました。なんと賭け麻雀だそうです(また苦笑)。
おまけに一緒に麻卓を囲んでいたメンツが面白い。産経の社会部記者と朝日の社長室長だといわれています。
呉越同舟ですが、ではこの爆弾を誰が文春に漏らしたのでしょうか。
もちろん、黒川氏本人なわきゃありませんから、麻卓を囲んでいた3名の新聞記者の誰かです。
一貫して検事定年法騒動を批判的に報じてきた産経が文春に漏らすことははまずありえないので、消去法で朝日の幹部社員しか残りません。
たぶん漏らした見返りに、朝日のほうの追及はお手柔らかにとでも頼んだのでしょうか。
もちろん文春の独自調査だった可能性もないわけではありませんが、週刊誌の取材方法は一貫して垂れ込み情報が下敷きです。
特に政治家がらみの情報は密告をもとにするのが通例ですから、今回もまた築地の新聞社が漏らしたとかんがえるのが妥当です。
ではなぜこの時期に黒川氏の首を取りに行ったのでしょうか。須田慎一郎氏がうがった情報を披露してくれているのでご紹介しておきます。
https://www.youtube.com/watch?v=IyvlDNS7eEg
「朝日新聞というメディアが、火のない所に煙を立てています。(略)
朝日新聞の司法記者クラブを中心とする一部の社会部の記者が林名古屋高検検事長にずっぽり乗っかってるからなんですよ。あれ覚えてますかね?ゴーン被告が逮捕された時に、羽田空港に帰ってくるゴーン被告、そのスケジュールをばっちり押さえて、その逮捕に居合わせたメディアが1つあります。
それはどこか? 朝日新聞ですよ。朝日新聞が、なぜその情報をキャッチすることが出来たのかというと、これは言うまでもありません、検察からリークを受けたから。検察と朝日新聞はもたれ合いの構図、協力関係にあるんですね」
須田氏によると黒川さんをなんとか追い落としたい勢力があったようです。
その背景には、検事総長の座をめぐって黒川氏と、林真琴・名古屋高検の検事長という同期生同士の隠微な争いがあったからのようです。
毎日https://mainichi.jp/articles/20200520/ddm/012/010/...
朝日は林押し・黒川落とし勢力の筆頭でした。
というのは林氏と朝日は抜き差しならない深い仲だったからです。
林氏と朝日は、一種の「共犯関係にあった」と、須田氏は指摘しています。
「朝日新聞と協力関係にある法務検察の中のグループがあって、その中の筆頭が、もうハッキリ言っちゃいますよ、林名古屋高検検事長なんですよ!だからそういった意味で言うと、朝日新聞は自分たちにとってやり易いような環境・状況を作るために、何が何でも林名古屋高検検事長に検事総長になってもらいたいんですよ。
それが証拠にですね、実はもう11月の段階で、いやこれで林さん(検事総長に)決まったね、黒川さんの退任決まったね、という状況が流れたんですよ。それを受けていち早く、朝日の記者が名古屋までお祝いに駆けつけてるんですよ」(須田前掲)
例のカルロス・ゴーン事件で羽田にプライベートジェットで帰ってくる場に居合わせたメディアは、実はひとつだけしかありませんでした。
それが朝日です。もちろん教えたのは、それを知り得る立場にいた検察、それも個人的にも朝日社会部記者と深い関係にあった林名古屋検事長です。
官僚は気に入ったメディアに内部情報を耳うちして、アドバルーンに使ったり、時には政治工作に利用しています。
メディアはそれを得て特ダネにしたり、時には自らの政治工作にも利用するという持ちつ持たれつの関係ができあがっています。
この林名古屋検事長と朝日社会部とは、この相互依存関係にあったようです。
「朝日新聞社が男性社員から聞き取った内容によると、産経新聞社の次長を加えた4人で3年間にわたり月2~3回程度マージャンをしており、1回の勝ち負けは1人当たり数千円~2万円程度だった。
社員は東京社会部の司法担当だった2000年ごろに取材で黒川氏と知り合い、4人は5年ほど前に黒川氏を介して付き合いが始まった」
(共同5月21日)
ですから朝日としてはなにがなんでも林氏に黒川氏を追い落として検事総長になってもらい、桜、モリカケをもう一度追及してもらいたかったのです。
そこでこの検事総長人事にも朝日は介入しはじめるのです。
よく朝日は「官邸に忖度して」という言い方をしますが、実は官邸以上に検事総長人事に頭をつっこんだのが朝日だったのです。
「黒川さんが検事総長になって林さんが退官してしまったら、朝日新聞にとってその美味しい構図が崩れてしまう、崩壊してしまう。
だから何が何でも林さんに検事総長になってもらいたい。我が身大事で、今回の人事に介入してきた。
いいですか、検事総長人事に介入してるのは、朝日新聞なんです。この構図を見誤ってはいけないということなんですね」(須田前掲)
政府としては、黒川氏だろうと林氏だろうと、新型コロナの対応で手一杯で、それどころじゃなかったといったところでした。
黒川氏が民主党政権と癒着してその手代を勤めていたのを野党だった自民は見ていますから、特に黒川氏を推すわけでもなく、まぁあえていえば朝日が推す林氏はちょっとね、ていどはあったかもしれませんが、そのていどです。
官邸からすれば、まぁどっちでもいいから、このコロナの時期につまらない内政問題で騒がないでくれ、というのが本音だったのでしょう。
しかし朝日が検事総長人事に積極介入して、それに毎日などの左翼メディアが我勝ちに相乗りしてきて、支持率を急落させた結果、馬鹿馬鹿しい倒閣劇にまで発展してしまいました。
それにしても防疫をやっている時に倒閣スキャンダルやるか、フツー。
とまれ官邸からすれば、もっとも避けたかった忖度劇第3幕の開幕となっってしまったわけで、さぞかしやれやれと天を仰いだことでしょう。
これで黒川氏のメは完全に消え、稲田氏は退官ですから、確率的には朝日押しの林氏が総長になる可能性はあります。
日刊ゲンダイなど、今日見出しだけ見たら(馬鹿が接触感染するので触りませんけど)、「林検事総長誕生で政界へメス入る!」ともう勝った勝ったの大はしゃぎでしたっけねぇ。
ただし、こういうことまでされて安倍氏が黙っているとも思えないので、はたして朝日の大願成就となりますかどうか。
それにしても雨にも負けず、風にも負けず、コロナにも迫り来る大恐慌にも負けぬ強い意志を持ち、いつでもどこでもアベ憎しを貫き通す朝日、アッパレです。
●国内感染状況(5月21日0:00)
国内感染者16424
退院12672
入院治療を要する者2917
重症者195
死亡777
確認中58
以下「ねこおぢ3」より引用させていただきました。
2020/5/21
今日も+38
前々週96⇒前週99⇒今日38
累計感染者数16,434(+38)
累計死者数 799(+15)
累計退院者数12,892(+313)
現在患者数 2,743(▲290)
北海道+5
埼玉+1
千葉+3
東京+11
神奈川+10関東+25
石川+2
静岡+1
大阪+3
愛媛+1
検疫+1pic.twitter.com/ayB3EKvz4w
納得がいきません。書かなければならないことはいくつもありますが、やはり書いておくべきでしょう。
なぜ甲子園を中止にしたんだ!
やりようはいくつもあったはずです。そもそも真夏の甲子園でやること自体が異常だったのです。
それについてはかつて記事を書いているので置きますが、その時感じたことは、主宰者の高野連と朝日新聞は責任をもって高校生と向き合っていないということです。
関連記事『高野連と朝日新聞は、「運動絶対禁止」、ないしは「厳重警戒」下に多くの高校球児と観客をさらしています』
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2019/08/post-48303a.html
炎天下で熱中症を続出しながら商売のうまみで止められない朝日新聞、「教育」とうそぶきながらまったく球児の健康を考えていない高野連のお歴々。
あの時もこう私は書きました。
「全国高校野球大会を止めろなどという気は毛頭ありません。長く残すべき、日本の誇るべきスポーツ競技大会です。
だからこそ、なぜ真夏の炎天下、年間最も暑い8月にするのかを問うています。秋にできない理由でもあるのでしょうか。
日本が一番暑い時によりによってやることはありません」
今回も私の意見は変わりません。8月にだけ固執する理由はないはずです。
中止にしてしまうことで、高校野球、いや野球というスポーツ全体にとって埋められない「空白の1年」が生まれてしまいました。
「戦時中を除けば初めて、今年は春夏ともに甲子園大会が開かれないことになった。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためにはやむを得ない決断だが、その影響は大きく、このままでは高校野球にとって“空白の1年”になりかねない」(産経5月20日)
https://special.sankei.com/a/sports/article/20200520/0001.html
「なりかねない」と産経はぼかして書いていますが、なることは確実です。
なぜなら、すでに現時点で高校野球は息絶え絶えの状態だからです。
春から部活は制限され、本来なら地区大会へとせめぎ合うべき時期を丸ごと失い、ろくな部活すらできず、自宅で自主トレだけで体力低下をなんとか凌いでいるようなあり様でした。
それすらもあと数カ月たてば地区大会が開かれる、そしてその先には甲子園が待っているという切ない希望があったから耐えられたのです。
その夢が無惨に砕け散りました。
彼らの心情を思うと、声もありません。
緊急事態宣言は、今日甲子園のあるに近接する大阪府においても解除されました。(※大阪ではなく兵庫県だそうですので訂正いたします)
高野連と朝日はなにを恐れているのですか。
吉村知事はこう述べています。
「大阪府の吉村洋文知事は20日、今夏の高校野球の全国選手権大会(甲子園)が中止されることについて、「本当に甲子園を夢見て、小学生くらいからずっと一生懸命やってきた選手、学生の気持ちを考えたら、本当に断腸の思いだと思う。ぜひ高野連には、考え直してもらいたい」と話した。
進路にも実は甲子園も非常に大きく関与しているところがある」と指摘。「リスクを高野連がとってやるべきなんじゃないのか。(大会を)なくせばリスクはなくなるが、そこで失われるものは非常に大きい」と述べた」(朝日5月20日)
時事
大会主催者の朝日は昨日の記者会見で「リスクを排除できない」などとうそぶいていました。
なにを言っているのでしょうか。あたえまえじゃないですか。
高野連と朝日は、大会においてどのような「リスク」が想定されるかしっかりと数値化して説明すべきでした。
いわゆる三密が甲子園でどこのシーンでどれだけ形成され、それに対してどのような想定をしたのでしょうか。
そももオープンエアで行われる野球大会は三密ができにくい構造なのです。
たとえばグラウンドは吹きっさらしですから、ウィルスは風邪が吹き飛ばしますから感染拡大はありえません。
スタンドも一定の距離を置きさえすればいいだけのことです。密室の室内スタジアムではないのです。
これで収容人数が減っても文句をいう奴はいないはずです。
行き帰りの交通機関や宿泊施設なら、現行で大阪府がしている対処方法は8月頃にはそうとうに練れてきているはずです。
それらを一切説明せずに「リスクが排除できない」とはよく言えたものです。呆れてものが言えない。
そんなものは、批判を恐れて責任をとらない小役人の言い訳にすぎません。
あるいは、朝日が好きなゼロリスク信仰じゃないですか。
野球だけは他のスポーツと違って夏の甲子園に照準を絞って作られてきました。
サッカー、ラグビー、バレーボール、バスケットボールなどの他の球技はことごとく全国大会は真冬です。
しかし野球のみはどのような歴史的経過があったのか知りませんが、綿々と真夏に開催されてきました。
その是非は今は問いませんが、とまれ高校野球は秋から春にかけて夏の甲子園をめざしたチーム作りに入っていきます。
つまりこの今の時期は夏の大会をめざした最終決戦の時期であり、ここを逃すと三年生はいうまでもなく、二年生すら活躍のチャンスを与えられることなく、部活を終わることになってしまいます。
そして一年生も、うなだれた先輩を頂きながら後の部活に励まねばなりません。
これが与える高校野球に対する負の精神的インパクトははかり知れません。
高野連はこの甲子園大会が教育の場であることを忘れています。
やりようはいくらでもあったはずです。
百歩譲って甲子園は無理だとしても、なぜ多くの県が熱望したように、地方大会だけでもやろうとしないのか。
「一方で、地方大会の中止については、驚きが大きいという。「地方大会はやると信じていた。このまま、公式戦を1試合もやらずに引退をするなんて考えられません」。代替大会開催の可能性が残されていることから「やってくれることを期待します。(開催可否を)県の高野連が発表するまで、信じ切りたい」と訴えた」(日刊スポーツ5月20日)
そしてそれだけではなく、球児の多くにとって甲子園はプロへの登竜門なのです。
プロ野球選手で、甲子園を経験しなかった者、あるいはたどりつけなかったものの目指さなかった者は皆無です。
「影響は生徒の進路にも及ぶ。全国からえりすぐりの選手が集まる甲子園大会は、プロ野球のスカウトが集う場でもある。パ・リーグ球団のスカウトの一人は「甲子園は高校球児を成長させる場であり、3年生になってこちらが期待していた以上に力を伸ばす選手も多い」と高校生の伸びしろの大きさを指摘する。
昨秋のドラフト会議では高校生35人(育成選手を除く)が指名を受けたが、このままでは地方の選手がスカウトの目に留まらないまま埋もれてしまうケースも考えられる。今季のプロ野球は大幅な試合減が確実で現有戦力の見極めも難しく、セ・リーグのある球団幹部は「ドラフトは小規模にならざるをえない」と指摘。このため、今年は高校生の指名が減少することは十分に予想される」(産経前掲)
毎日 https://mainichi.jp/koshien/articles/20200521/ddm/...
育成選手を別にして、大部分の「大会がなければ目に止まらなかった選手」、たとえばあの金足農の吉田輝生などはあの大会があってこそ見いだされた逸材でした。
今年も静岡商業の高田琢登投手はせめてスカウトに練習を見に来てもらえないかと語っています。
「プロ入りへの意思が固い高田は、アピールの機会が限られた状況でも、その思いは捨てない。「今後、スカウトさんが練習を見に来てくれると聞いている。少ないチャンスですが、最大限のアピールをしたい」と、前を向いていた」(日刊スポーツ前掲)
しかし今回の大会中止によってこのような隠れた逸材の大部分は、見いだされるチャンスも与えられることなく埋もれていくことになります。
それが高校野球のみならず、日本の野球というスポーツ全体にとってはかりしれないマイナスとなることは、かんがえるまでもないことです。
おそく後の世で、彼らは「失われたコロナ世代」と呼ばれることになるでしょう。
●全国の感染状況(5月20日0:00 )
国内感染者16385
退院12286
入院治療を要する者3165
重症者210
死亡771
確認中164
以下「ねこおぢ3」より引用させていただきました。
前々週103⇒前週53⇒今日38
累計感染者数16,396(+38)
累計死者数 784(+11)
累計退院者数12,576(+270)
現在患者数 3,036(▲243)
北海道+1
栃木+2
埼玉+5
千葉+1
東京+5
神奈川+21関東+34
大阪+3
以上+38
昨日、「安倍氏の勝負師の勘が鈍ったのではないか」と書きましたが、「党内力学で鈍ることもあるが、彼の政治の師匠・純ちゃん譲りのエグサはいまだ健在だ」、と謹んで訂正させていただきます。
勝ちに奢って、やーい、やーい支持率下がったぜぇ、政権大揺れだぁ、とブイブイいわせていた野党・メディア連合軍は顔面蒼白のご様子です。
首相はイケシャーシャーとこんなことを仰せです。
「検察庁法改正案断念 首相、不毛な消耗戦回避 先週末に判断
安倍晋三首相が検察官の定年を引き上げる検察庁法改正案の今国会成立を見送る方針を固めたのは、先週末だった。世論の反発を考慮し、新型コロナウイルス対策に全力で取り組むためだが、首相には改正案の今国会成立にこだわる理由もなかった。
「法務省・検察側に頼まれてやった話だ。どうしても(今国会で)やらないといけない法案ではない」(産経5月19日)
https://www.sankei.com/politics/news/200519/plt2005190040-n1.html
首相からすれば、「法務省から頼まれていたしかたなく提出したが、こんな騒ぎになるなら止めるよ。こだわる理由なんてないもん。廃案もありえるね」ということです。
メディアは「今国会では」と書いていますが、そんなことは野党の希望的観測にすぎません。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60496
一方、自民の執行部は野党と妥協して改正案を採決する予定でいたそうです。
え、違うだろう。妥協して「強行採決」するのか、といわれそうですが、野党もメディアも強行採決こそがお望みだったのです。
気の早い「市民」の皆様は、ご苦労さまにも早々と国会前で待機されておられました。
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E6%A4%9C%...
「一方、与党は当初、改正案を先週のうちに衆院通過させる想定だった。ただ、野党が15日に武田良太国家公務員制度担当相の不信任決議案を提出するなど反発したため、令和2年度第2次補正予算案の審議を円満に進めることを優先し、採決を今週に持ち越した。 それでも自民党内では不信任案を否決した上で、いかに週内に改正案を採決まで持ち込むかについて協議を重ねてきただけに、官邸サイドの突然の方針転換に「そんなことがあるのか」(幹部)と衝撃が走った」(産経前掲)
他のメディアと違って官邸に太いパイプを持つ産経だけは(なんせ官邸の元キャップはあの阿比留さんでしたからね)こういう書き方をしています。
「政府は表向き、改正案を秋の臨時国会で再審議する構えを見せているが、首相は「もうやらなくていい」と本音も漏らす。
国家公務員法改正案が成立しなければ、国に準拠して定める地方公務員の定年引き上げも据え置かれる。困るのは、立憲民主党最大の支持団体である自治労だからだ」(産経前掲)
この法案は昨日私も書いたようにどーでもいい法案にすぎませんでした。
今早急に是正をかけねばならないことでもないし、利害関係者が、国家公務員、及び彼らが作る自治労、そしてそれを大黒柱とする連合しかないからです。
なんのことはない、そもそも首相からすればいわば敵に塩を贈ってやったような法案でした。
それを立憲民主が反対してしまうんですから、なんのことやらです。
というのは立憲民主の「雇用主」である自治労は方針案にこのように定年延長をデカデカと掲げているからです。
自治労中央委員会の報告にはこうあります。
第158回中央委員会~春闘方針を決定 「参加する春闘」の実現を
「定年延長の実現、人員確保
県本部からは、定年延長を見据え、交代制勤務などがあり加齢により就労が難しくなる「困難職種」への対応などについての質問があった。
本部は「雇用と年金を確実に接続させるためには定年引き上げが必要であり、困難職種だとしても年金支給を早めることは困難な中、延長される定年年齢まで働き続けられる職を作り上げるしかない。まずは、フルタイムの再任用の職を増やす取り組みをお願いする」と答えた」
(自治労中央委員会)
自治労にとって今深刻なのは、組織率の低下に歯止めがかからないこと、そして若者が加入しないために高齢化がイヤでも進行しまっていることてす。
そりゃ減るわさ。
私はリーマン時代、とある零細企業の労組の書記長していたことがありますが、自治労は殿様組合と言われていました。
賃金は景気なんか関係ない親方日の丸(死語)、権利要求だって民間と違って死活問題がないので優雅なもの。
で、やっているのはヘノコがどーした、アンポがどーたらといった政治闘争ばかり。
組合と思ったら、実は政治党派だったんですから、しょーもない。
しかも年寄りばかり。
これじゃ若い人は入らなくて当然ですよ。入ったら奇跡。
「自治労の組織率は危機的状況
自治労本部の「2017年自治労組織基本調査(6月30日基準日)」によると、自治労組合員総数は前回調査の2015年から2万人減少し78万9,859人となり、年1万人近いペースで減少している。(略)
組織率は全国で67.8%、自治体労組で68.2%であるが、自治体労組では組合員対象者は増加したものの、組合員数は大きく減少している。一方、未加入者は年々増加しており、自治体労組だけで約24万2,000人が未加入の状態である」(自治労)
http://www.chihoujichi-center.jp/jichiro-fukuoka/main/kiji/1438/1438-03.html
上の自治労文書には、「自治体の職員は増えても組合員はまったく増えていない、残っているのは定年が近づく者ばかり」と苦衷を吐露しています。
つまりここで公務員の定年を引き延ばさない限り、自治労はこの先自然消滅しないまでも職場内絶対少数派に転落する危険性が濃厚です。
だから国家公務員の定年延長法案は、ぜったいに通さねばならない法案のはずでした。
それを親の心子知らずで、政局にしたい一心で立憲民主が検事定年法と共に葬ってしまったのですから怒るまいことか。
首相からは「もうやらなくてもいい」という声さえ漏れてくる有り様で、枝野氏が自治労からなんて言われたのか、想像に難くありませんね。
ちょっと解説しておきましょう。
よくある誤解に、立憲民主のセンセイがえらくて、自治労、あるいはその集合体の連合はその手足にすぎないという見方がありますが、実は真逆です。
ニワトリか卵かでいえば、ニワトリが連合、卵が立憲民主です。
え、労組のほうがエライのかって。
はい、もちろんそうです。立憲民主のタニマチは連合なのです。
立憲民主は悪くいえばただのパシリ、優しい言葉で言ってあげれば「労組の政治部」でしかありません。
これは社会党の昔から変わらない力関係で、選挙マシーンは連合、選挙対策本部すら組合事務所にあることすらザラです。
というのは立憲民主は、自民と違って地域の組織的拡がりがありませんから、選挙に欠かせない地盤・看板そして金庫といった足腰が弱いのです。
となるともっぱらすがるのは、連合の持つヒト(組合員)・モノ(宣伝カー・事務所)・カネ(選挙資金)です。
ところが金属労協などの大規模民間産別の離脱によって、連合の民間労組部門はもはや解体状態です。
残っているのは、自治労・教組といった、お役人労組ばかり。
かつては総評というひとつ屋根にいましたが、共産党を排除してできたのが連合です。
いや、この表現は正確ではありません。共産党を労組内部から追い出したくて、連合を作ったです。
だから連合からすれば、「なにをいまさら、全野党共闘だっつうの」というのが本音で、決していい顔はしていません。
このような本家・連合の事情を知ってか知らずか、蓮舫さんが代表になって以来、共産党との選挙協力して連合を怒らせ、「原発ゼロ」を言い出して電力労連を激怒させ、連合がやって欲しくない政策ばかりやってきたあげく、肝心要の春闘すら政府に主導権をとられて「官製春闘」といった有り様でした。
そこにもってきて、自治労があれほど熱望した国家公務員の定年延長すら危機にさらしてしまいますから、知らんっぺ。
枝野氏はこんなツイッターをしていますが、首相の苦笑いが目に浮かぶようです。
「私たちが異議を唱えていたのは、幹部検察官の恣意的な職務延長。
一般の公務員などの、一律の定年年齢引き上げは与野党一致して賛成です。
定年年齢一律引き上げの準備のため、法案審議を急ぐと与党は言っていました。
問題部分を切り離して、一致している部分の審議は進めるべきです」
(5月15日枝野氏ツイッター)
わきゃないでしょうに、なに言ってんだか今さら。
もはや首相は検事定年法だけを分離することはありえません。
元々「束ね法」でパッケージなうえに、今回の騒動で廃案という選択肢があっても分離はありえません。
政府からすれば、ボールは投げ返した、共産党やメディアとつるんで騒ぎ続けるか、丸ごと呑むかの二択しかない、ということです。
イヤなら定年法自体を丸ごと廃案としてしまうでしょうし、パッケージを呑むならなんで今まで反対していたんだとワイドショーで言われるだけのことです。
おそらく政府は、立憲民主の動向を見定めながら、廃案としてしまう確率が高いでしょうね。あえてやる意味ナッシングですから。
すると自治体職員の定年は国家公務員の待遇に準じますから、検事定年コケたら一般職の国家公務員もコケ、さらには自治体公務員の定年延長もぜーんぶまるごとコケるのです。
そうなったら自治労は遠からず自然消滅です。
さぁどーしましょう枝野さん、ハッシュタグを機能を悪用して偽造ツイッターを大量濫造してまで調子こいたツケは大きいですよ。
自治労や連合の労働貴族の皆様方は、今頃、無能な味方は、敵より怖いと苦虫をかみつぶしておられることでしょう。
というわけで、この一連の新型コロナ後の野党の軸は、立憲民主から維新へとシフトチェンジしていくと思われます。
●国内感染状況(5月19日0:00)
国内感染者16365
退院11884
入院治療を要する者3566
重症者213
死亡763
確認中163
以下集計数・図表は「ねこおぢ3」より引用させていただきました。ありがとうございます。
前々週119⇒前週81⇒今日27
累計感染者数16,358(+27)
累計死者数 773(+5)
累計退院者数12,282(+474)
現在患者数 3,303(▲452)
北海道+3
栃木+1
群馬+1
東京+5
神奈川+8関東+15
石川+3
山梨+2
大阪+3
愛媛+1
以上+27
pic.twitter.com/510Navx3UL
政府は定年法を今国会では見送るそうです。やれやれ、馬鹿か、いえどっちもです。
「検察官の定年を延長する検察庁法改正案の今国会成立を見送る案が、政府・与党内で浮上していることが17日、わかった。野党や世論の批判を押し切って採決に踏み切れば、内閣にとって大きな打撃になりかねないためだ。安倍首相は与党幹部らと協議し、近く最終判断するとみられる」(読売5月18日)
出す方も出す方だし、これを倒閣のネタとばかりに奔走する野党やメディアも、今回に限っては同じ穴のむじなと呼んで差し上げましょう。
ひとことで言います。どっちもこんな時期にヒマネタやってるんじゃないよ、まったく。
そもそもお役人の定年に関心持ってた国民が何人いたの、黒川さんなんか知ってた国民がどれだけいたの。
国民の最大かつ唯一の関心事は、新型コロナをどう終息させるか、予想されるコロナ恐慌にどう政府が手当てするのか、それに尽きます。
はい、これでおしまい、といいたいところですが、これではなんぼなんでも不親切なのでもう少しお話しましょう。
法案はいわゆる「束ね法」という一括して公務員の定年を延長するための法律で、その中に検事の定年も含まれていたという「だけ」のことです。
「改正案は、国家公務員の定年を65歳に引き上げる国家公務員法改正案などと一本化した「束ね法案」として国会に提出された。検察官の定年を63歳から、ほかの国家公務員と同じ65歳に引き上げることが柱だ。内閣や法相が必要と判断した場合、検察幹部の定年を最長で3年延長できる特例規定も盛り込まれている。」(読売前掲)
定年を延長したのは年金給付が75歳になったことを受けてのことで、これ自体は至って地味な法案にすぎませんでした。
改正案は主に3点です。
●国家公務員法改正案要旨
①現在63歳の検察官の定年(検事総長のみ65歳)を段階的に65歳に引き上げること。
②役職定年の導入
③役職定年に検事総長、次長検事、検事長は内閣が、検事正は法相が必要とされれば特例で3年延長できる。
まぁこんな内容です。
民間でも定年を60歳から65歳にしようという流れになっているので、国家公務員も民間並に揃えたらどうかということにすぎません。
また焦点となっている黒川弘務・東京高検検事長とも無関係です。だって、改正された時点では辞めてんですから。
「今年の2月8日が誕生日で、その日に退職する予定であった黒川検事長は、定年が半年延びました。8月に検事総長になられているかどうかは分かりませんが、検察庁法改正法が成立すれば2022年4月1日が施行予定日です。つまり、そのときには黒川検事長は65歳をすぎているわけで、実は改正法の恩恵は受けられません。だから、今回の改正は、黒川問題とは一応関係はないといえます」(園田寿)
https://news.yahoo.co.jp/byline/sonodahisashi/20200512-00178051/
実にジミーな案件で、こんな時期にワーワーやることとは思えません。
そもそもこんな定年延長なんて、官僚階層にしか利害がないような法律はいまさら浮上したわけではなく、2年前から人事院が「意見の申し出」という形で示されていたのです。
この法案は俗にいう「束ね法」ですから、本筋は安倍氏が黒川氏を身近に置くことではなく、トータルな法案のごく一部にすぎなかったわけです。
ですから、タレントの皆さんがよほど暇をもてあましているのか、アベがぁアベ友の定年を延長させてぇ司法を支配しようしているんだよぉ、専制君主みたいだよぉ、というのはいささかお門違いのいいがかりにすぎません。
朝日 黒川弘務・東京高検検事長
時の首相も逮捕できる検察を、政府が自由に任命できるようにするのはけしからん、三権分立の破壊行為だと叫ぶなら、検事長の任命権なんてハナから政府がもってますから、念のため。
三権分立うんぬんと言っている人は、最高裁長官を指名するのは内閣、最高裁判事の任命権も内閣という具合に司法という行政機関に対して人事権を持っていることを知らないとみえます。
立法府議長や各種委員会は与党から選ばれますから、これも一種の人事権を政府が握っているといえなくはありません。
つまり、人事権を持つか持たないかは三権分立のキモではなく、現実に司法の執行に対して政府が介入できるのかどうかをみねばわからないことなのです。
立法に関しても、本来は質問時間は持ち議席で配分すべきものを大幅に野党に譲るなど、気を使い過ぎですらあります。
私が知る限り、時の政権による司法へ悪しき介入事例としては、2010年、尖閣における中国漁船体当たり事件の主犯の船長を、検察に圧力をかけて逮捕しなかったことくらいていどしか思い当たりません。
あのようなことを官邸がするなら、それは日本国の法律を政府がいくらでも曲げられることになりかねませんからね。
この黒川氏はただのヒラメ型の能吏にすぎません。あ、ヒラメって上に眼がついていていますんで、上役ばかりをみている奴のことをこう呼びます。
黒川氏を昔から知っていた江川紹子氏は、彼を「安倍政権の番犬」と呼ぶのは違うのではないかと、こう述べています。
(ビジネスジャーナル江川紹子が解説【検事長定年延長】は何が問題か…正当化できない“脱法的人事”の果てには
「当時は民主党政権である。この会議の座長は、前法務大臣(当時)の千葉景子氏が務めた。その千葉氏を、黒川氏が常に寄り添うようにして補佐している姿は、今も強く印象に残っている。千葉氏も、何かと黒川氏を呼び寄せて相談するなど、その信頼の厚さは、傍目にもよくわかった。愛煙家の千葉氏のために、タイミングを見計らって会議場から外に連れ出すなど、黒川氏のきめ細やかな気配りには、舌を巻いた覚えがある。
だから今、黒川氏が「官邸の番犬」「安倍政権べったり」と罵倒されているのを見ると、いささか気の毒な気がする。おそらく彼は、現政権に限らず、その時々に所属する組織と仕えるべき(と彼が考える)相手に尽くし、期待に応える仕事ぶりで上司を満足させる、忠実なる能吏タイプなのだと思う」(江川前掲)
黒川氏は霞が関に多数生息するヒラメのスタンダードで、内心の主義主張はあるのかもしれませんが、前川さんなんかと一緒で面従腹背を決め込みます。
権力にすり寄り、その補佐役に徹することを使命と心得ていて、牙をむくのは退職金を貰ってからと決まっています。
かつての前川氏や今回の元検事総長のように、辞めてから現在の官庁の案件に首を突っ込む輩です。
このように新型コロナの補正予算を1日でも早く通さねばならない時期に、こんな瑣末なことでアベの首を取れると浅ましく騒ぐほうも騒ぐほうですが、それ以上にこんな時期にやるなよ、政府!
安倍さん、勝負師の勘が鈍ったンじゃないですか。
今回のコロナ対応は結果オーライなものの、ひとつひとつがなにかピリリっとしないのは確かです。
典型的なのは、給付の一律給付問題や非常事態宣言とそのズルズルの延長。
そこにもってきて、こんな今やらないでもいい検事定年のゴタゴタ。
しっかりしてくれと言いたくもなります。
●国内感染者数(5月18日0:00)
国内感染者16305
退院11564
入院治療を要する者3823
重症者228 死亡749
確認中169
私が住む茨城県は今日18日から制限解除です。
茨城は5月6日から12日間感染者ゼロが継続されています。
たまには茨城県の状況を見てみます。
現在の茨城県の入院者数はこのようになっています。
●茨城県の感染状況
重症者1人
中等症5人
軽症15人
自宅待機6人
施設療養2人
ベッド数はNHK特設サイト『新型コロナ対応のベッド数と入院患者数』 によれば200床で、現時点では軽症・中重症をまとめても1割に満たない21人ですからまったく余裕がある状況です。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/medical/
おおみごとだ。文句なく解除ですね。
というわけで、私も昨日たまたま土浦のイオンモールにでかけたのですが、各レストランには既にスタッフが入って下準備に余念がありませんでした。
一日千秋の思いで待ちかねた解除の日、今日はどのような一日になるでしょうか。
一方、各店舗は今までにない「社会的距離」の試みが始まっていました。
たとえば私がよくコーヒーを買いに行く食品雑貨チェーンのカルディでは、ひとりが出ると「おひとりお出になりましたぁ」と叫ぶ、すると入り口が「お待たせしました」とひとり入れる、なんて入店制限をしていました。
レジは距離をあけて並ばせるためにすさまじい長蛇の列ができてしまって、かえって店内には長いトグロが出来る結果に(苦笑)。
やれやれ、これではかえって密ができちゃいますね。
このように今後走り出しながらあれこれと改善していくことになるでしょうが、わが民族の民度の高さをもってすれば、案外1カ月もあれば「社会的距離」の取り方も自然に出来るようになるんじゃないかな。
案ずるより馴れるべしです。
いちばんダメなのは、あーだのこーだのとインテリぶった悲観論をぶって、復興しようとする人たちの足を引っ張る連中です。
さて今や地方のほうが面白い。特にトップランナーの大阪がだんぜん面白い。
吉村さんの「出口戦略」は国が採用したほうがいいのではないかというアイデアに満ちています。
まずは有名になった大阪モデルです。クリックすると大きくなります。
大阪府『府独自の基準に基づく自粛要請・解除及び対策の基本的な考え方について』
http://www.pref.osaka.lg.jp/iryo/osakakansensho/corona_model.html
大阪府は闇雲に解除しろと言っているのではなく、解除基準を明確に「見える化」しながら、モニタリングをしていこうという方針です。
ですから、これで制限がなくなったのではなく、モニタリング基準を上回れば、また制限が強化されます。
この時に大阪府が注目しているのが、たんなる感染者数の増加数だけではなく、「新規の感染者で経路不明者」が何人出たかで自粛要請を緩めたり、強めたりします。
また重症者用病床のキャパを60%にしています。クリックして下さい。
第2波なんか知らないよ、ウリを世界は見習え、なんて言っていたらいまや160人を超える大クラスターを出してしまったどこぞの国とは違います。
それにしてもバカだね。あれだけの感染爆発出して余震が来ないなんてありえねぇっしょ。
第2波、第3波は必ず来ます。来ない方がおかしい。
しかしそれは最初のなにも分からなかった第1波と異なって、こちらに知見も備えもあるのではるかにたいしたことはないのです。
ですから、この解除以降をハンマー&ダンスを適時に使い分けて、凌いでいこうと日本はしています。
それだけではなく、大阪府は「新型コロナトリアージ病院」 を設けて、救急患者を簡易検査してから仕分ける方針が13日から開始しました。
「新型コロナウイルス感染の疑いがある救急患者に対し、大阪府が、簡易検査で感染の有無を確認して搬送先を振り分ける「トリアージ(選別)病院」の運用を試験的に始めたことが13日、府関係者への取材で分かった。搬送時に5カ所以上の病院を「たらい回し」になった患者をいったん受け入れ、陽性か陰性かによって患者を振り分ける。治療の遅れを防ぐとともに、病院側の院内感染のリスクを減らす狙いがある。
府関係者によると、トリアージ病院は府内数カ所の病院を指定。発熱や肺炎の症状があり、救急搬送の際に5カ所以上の病院で受け入れられなかった患者をいったん受け入れる。
そして、PCR検査の半分以下の2~3時間以内で検査が可能な簡易検査「LAMP(ランプ)法」を使って感染の有無を確認。陽性の場合は新型コロナ患者の受け入れ態勢が整っている病院へ、陰性の場合は一般の病院へと振り分ける」(5月13日 産経 上図も同じ)
なるほどね、これは良い考えです。
先日の力士の痛ましい死亡例のように、数日間発熱しても診察を受けられずたらい回しになったあげく、落ち着いた病院ではもう手遅れという例も出てきています。このようなたらい回しのケースはかなりの数存在しています。
国のいうとおりこれを保健所に任せるのは荷が重すぎますし、一般病院に至ってはいきなり来院されたら迷惑です。
新型コロナの前から言われてきたことですが、日本の救急医療体制はパンク寸前で、一般的病気・怪我でも2件3件とたらい回しされることがよくありました。
まして発熱があり、肺炎の症状出た人を救急車で搬送し、後にそれが陽性者だと判明した場合、目が当てられません。
その救急車と救急隊員丸ごと厳重な消毒と検査をさせねばなりません。
このようなことが続くと、各消消防署に2台ていどしか配備されていない救急車は使用不可能になってしまい、新型コロナ以外の救急搬送の要請をうけられなくなってしまいます。
「府が新たな取り組みに乗り出した背景には、全国の病院で新型コロナの検査態勢が十分に整っていない現状がある。肺炎症状の救急患者を搬送する際、新型コロナの感染の有無がただちに判断できず、院内感染のリスクを懸念して受け入れを拒否せざるを得ないケースも発生。たらい回しとなった過程で症状が悪化してしまうこともあり、問題視されている」(産経前掲)
ならばむしろ初めから「窓口」に当たる専門の新型コロナ用受け付け病院を作ってしまったほうが、保健医療機関や救急搬送する側にとっても、そしてなにより市民にとってもありがたいことです。
その「受け付け病院」に行けば簡易検査を受けられ、それでその先の病院を手配して貰えるんですから安心感が違います。
大阪府はこの「トリアージ病院」の活動を開始したそうです。
またここで問題となるのがその検査方法です。
従来のPCR検査の難点は、採取に専門技術がいることでした。
よくバカなメディアは、一般人でも容易にできるだろうからジャンジャンやれ、なんて無責任なことを言っていますが、とんでもない、あれは鼻孔から綿棒を入れて(その挿入する角度が難しいそうですが)丁寧に採るわけですが、やられるほうも経験者はおわかりでしょうがそりゃ苦しいに決まっています。
そしてその後数段階にも及ぶ検査行程を経て結果がでるまで4、5日もかかってしまいました。
これができるのは医療検査技師で、それをなんとか簡単にできないかということでタカラ・バイオが作ったのが唾液によるPCR簡易検査キットでした。
「タカラバイオ株式会社は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を、検体からウイルスRNAを精製する前処理工程を必要とせず、反応時間が1時間未満で、迅速、簡便に検出可能なPCRキット(製品名: SARS-CoV-2 Direct Detection RT-qPCR Kit、以下、本キット)を、本年5月1日より販売開始します。
新型コロナウイルスのPCR検査では、鼻咽頭ぬぐい液などの検体から、市販のRNA精製キットを用いた、ウイルスRNAの精製を行う工程(約1時間)が必要です。本キットでは、独自技術により簡便な前処理操作のみで、この工程を省略することが出来ます。さらに、当社の高速PCR技術の採用により、PCR反応時間が大幅に短かくなり、トータルの検査時間が従来の方法に比べ半分以下の約1時間に短縮できます」
(タカラバイオ ニュースリリース 下図も同じ)
https://ir.takara-bio.co.jp/ja/news_all/news_Release/newsr_202767212m006ta13941635_200430.html
大阪府はこの検査の受け皿として「トリアージ病院」を設け、簡易検査キットと抗原検査をあわせて実施することで、精度と迅速性を増そうと考えています。
このような構想はむしろ国が先にやるべきでした。西村さん、また先を越されましたね。
まったく吉村さんのような新鮮なアイデアを持ち、行動力と発信力を兼ね備えた(しかも若い!)人物に、担当大臣をやってほしかったものです。
大阪と同じ二大都市の東京都の小池さん、7ツ解除基準出して、「全部クリアでもダメな場合も、いい場合もある」なんてワケ分からんこと言ってんじゃありませんよ。
それじゃあ数値基準出す意味がないでしょうに。
かつての豊洲移転問題みたいに「科学的には安全だが安心ではない」なんていわんで下さいね。ああ、言いそうでこわい。
●国内感染状況(5月17日0:00)
国内感染者16285
退院11415
入院治療を要する者3943
重症者230
死亡744
確認中183
まぁどーでもいいといえばいいのですが、書いておかないと時期を失するので書き留めておきます。
新型コロナの「戦勝国」宣言をムン閣下がしてしまいました(爆笑)。
す、すいません、ハナからお腹で茶が沸騰しておりますが、民族的ナルシズムに浸るのは勝手ですし、自分ひとりでやっているぶんにはオカシナ国だなぁで済むのですが、この国はすぐに日本を横目で見始めるから困ります。
日本が我々をリスペクトしないと怒っております。中央日報(5月15日)からです。
14日の緊急事態宣言一部解除についての首相会見がいたくお気に召さなかったようです。こんなことをのたまうておられます。
https://japanese.joins.com/JArticle/265960?sectcode=A10&servcode=A00
「韓国関連発言は冒頭発言の序盤部分で出てきた。
安倍氏は「どんなガイドラインも感染リスクをゼロにすることはできない」とし、一旦は新型コロナを収拾したが再び感染が広がった国内外の事例を次々と取り上げた。まず、2月末~3月初めに感染が大きく広がったあと一時減少に転じたが、自主的に発令した緊急事態宣言を解除してから2~3週で感染者が再び増えた北海道の事例に言及した。
続いて「ドイツでも、行動制限を緩めた直後、感染者が増加に転じ、再びロックダウンをせざるを得なくなった地域がある」「当初、抑え込みに成功したと言われたシンガポールでも、感染者が大きく増えた」とし、ドイツとシンガポールを言及したあと、「韓国でも、先週、ナイトクラブで集団感染が発生したというニュースを御覧になった方も多いと思う」と紹介した」
はて、このどこが腹が立ったのでしょうか。うちの国の首相はただ第2波がくることに備えよ、としごくあたりまえのことを言ったにすぎません。
その現実事例として解除した後に再び感染拡大が始まり、今や実効再生産数が1.5にまで戻ってしまったドイツなどを上げています。
この流れの中で韓国において、ゲイクラブがクラスター化して第2波が始まったことをとりあげただけのことで、ことさら韓国をあげつらったわけではありません。
しかし敏感に反応しちゃうんですな、この国は。
日本人には理解を絶しますが、韓国人の頭の中にはこう写ったようです。
「安倍氏は今までただの一度も「韓国防疫」の長所については具体的に言及したことがない。そのような安倍氏が梨泰院(イテウォン)クラブ内の集団感染を公式的な記者会見で取り上げたことは非常に異例だ。安倍氏は会見の途中にも同じような脈絡で「韓国」をもう一度取り上げた」(中央前掲)
要するに、オレを褒めてくれなかったのに失敗だけ取り上げるなんてなんてヒドイ奴、ってことのようで脱力します。
褒めるも褒めないも、そんなことはこの新型コロナの世界的パンデミックが終息した後の整理・総括の季節にすりゃいいだけのことです。
おそらくは年内にはおさまらないでしょうね、まだ鎮火したとはいえない国も多数ありますし、いったん鎮火してもその後に第2波、第3波が来た国もあります。
下図は5月14日現在の世界の感染状況ですが、世界中では1日に感染者が7万4千人の規模で増えており、死亡者も毎日4千5百人増え続けています。とうてい終息にはほど遠い状況です。図はクリックすると大きくなります。
この中で毎日1千5百人も死亡者を増やし続けている米国がいち早く解除に動いたのは、ほかでもないこのままでは経済がもたないからにすぎません。
こんなまだ世界中で火がボンボン燃えているのに、オレんちは鎮火したから褒めて、ね、お願い褒めて、なにオレ様を批判すんのかナローと言うほうがどうかしています。
これを「K防疫」とよぶんだそうで、もちろん自称です。
「文大統領「韓国が防疫で世界をリード」 就任3年の演説
文氏は、韓国の感染症対策を英語の国名コリアの頭文字を冠して「K防疫」と呼び、「世界の標準になった。韓国の国家としての地位と誇りが高まっている」と語った。そのうえで「油断しなければ韓国の防疫はウイルス拡散をコントロールできる。予期せぬ集団感染があっても速やかに対応できる」と述べた」
(朝日5月10日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/57553d13bcf05ff7a53e97cc7dbca80b3bc712ae
自分で「オレの国は世界標準になった」なんて言う国はなかなかないと思いますが、さすがは小中華、世界はウリの周りを回るのです。
では韓国の致死率をみてみましょう。
なぜ致死率かといえば、死亡者は解釈次第でどうにでもなる数値ではなく、絶対値だからで、それも比較する場合分母を揃えるために10万人あたりで見ねばなりません。
人口数百万の国の100人と、人口1億の国の100人では自ずと意味が異なってくるからです。
●致死率の日韓比較
日本0.3
韓国0.5
日本のほうか致死率において韓国を凌いでいますから、日本も韓国のようなことを言えるんですが、それどころかアベはダメだダメだと国民から怒られっぱなしのようで(それもそれでちょっと問題かとは思いますが)、少なくともに日本人はこんなことで韓国を上目線で見たりはしません。みっともないしね。
奥ゆかしいというより、そんなこと言うとる場合かという時期なのですよ、まだ。
しかし、世界でもっともシャンパンを早く明けるのがお好きな韓国では、大統領自身が自惚れ鏡を見ながら、うっとりとした声で「世界よ、あたしの国を見習いなさい」と言っているのですからスゴイね。
ムン閣下は韓国を「世界標準にしろ」と仰せですがどだい無理です。
●韓国の感染拡大阻止の方法
①巨大クラスターを作った宗教組織に名簿提出をさせるような強権的手法。
②徴兵制を使って、軍医と公保医(準軍医)をテグに集中投入。
③個人の海外渡航歴やカルテまでが国が管理し、感染者の動向はGPSで管理。
このすべてが日本では使えません。というか国際社会でここまでおおっぴらに民主主義の原則を踏んづけてもいい国はほとんどありません。
①は、宗教団体が大型クラスターになったからといって名簿提出をしたり、信徒の行動履歴を警察が調査できる国はそう多くないはずです。
②は、わが国には公保医という準軍医の存在自体ありません。シンシアリーさんがかつて経験したそうですが、これは徴兵義務の代わりに4年間僻地で医療活動をする義務を負う制度です。
これをまねできるのは徴兵制がある国にかぎられます。
③はマイナンバーカードすら普及していないのですから、いっそう無理です。
ちなみに、政府がマイナンバーカードを推進すると(あれば臨時給付金支払いなんてあっというまに終わっていましたが)左翼陣営が国民総背番号制はファシムズムの足音と騒ぐからです。
しかし彼らは韓国の左翼全体主義はお好きなようで、PCR検査を徹底したことを韓国見習え論の理由にしたいようです。
いや、そもそもテグで医療崩壊は起きていなかったという珍説を韓国は言うようになりましたが、今回は置きます。
実際の韓国のPCR検査の内情はこのようなものでした。
鈴置さんがこう述べています。
「鈴置:韓国のPCR検査体制は素晴らしい――というのは神話です。「積極的に大量検査し、感染者を発見した」と日本でも称賛されていますが、大いなる誤解です。
「感染の疑いのある人が大量に発生したので、大量に検査せざるを得なかった」というのが実態です。巨大なクラスター(感染者の集団)の出現を許したツケを払わされたのです。
巨大クラスターの母体となったのは、信者数が約21万人の新天地イエス教会というキリスト教系の新興宗教。2000人が集まった大邱の祈祷集会が発生源でした。
この2000人は全員を検査しました。大邱の集会に参加しなくとも幼稚園、病院などで働く全国の信者はすべて検査対象に。多くの地方自治体が、地元の信者はすべて調査。症状のある人にはもちろん検査しました」
(新潮デジタル 鈴置高史『「防疫で世界を先導」と胸を張る文在寅、「反面教師に」と冷ややかな安倍晋三』)https://www.dailyshincho.jp/article/2020/05111445/?all=1
巨大クラスターを見落としていたために、新興宗教の信徒ばかりにPCRをしたためにテグで感染爆発が起きてしまい、遅ればせで市民にもやったということのようです。
このていどのことをわが防疫戦略がピタピタと的中したのだぁ、というところがさすがはムンちゃん。
ところが皮肉な現実社会は、ムン閣下が「世界標準」宣言したその日には既にゲイクラブで感染が発生してしまいました。
しかも行方知らずの者だけで2千人ほどいるといいますから、大型クラスターです。、
いや、たぶん演説の前には発覚していたはずですが、ムン閣下の耳は調子が悪かったんでしょう。
「警察官8559人投入して連絡取れないクラブ客追跡…GW前後に梨泰院にいた1万人の名簿も確保
梨泰院関連感染者106人に増加…防疫当局、感染防止に総力戦
韓国防疫当局が警察官8559人を動員してゴールデンウィーク期間中にソウル・梨泰院のクラブを訪れた人のうち、所在が把握されていない1982人を追跡することにした。12日までで106人の新型コロナウイルス感染者を出した梨泰院クラブ集団感染の拡散の勢いを止めるためだ。
中央事故収拾本部の尹泰皓(ユン・テホ)防疫総括班長は12日、「警察庁で全国的に8559人規模の迅速対応チーム運営システムを整え、クラブに出入りした人物のうち、カード情報や基地局情報で所在が確認できない人物について確認する計画だ」と明らかにした。連絡がつかない1982人は先月30日から今月5日までキングクラブ、クイーン、トランクなど梨泰院のクラブ5店を訪れた5517人のうちの36%に当たる」
(朝鮮日報5月13日)
注意すべきは2点です。
まずクラスターが夜間営業の風俗店だったことです。
日本にも例があるのですが、韓国ではクラスター化した場合やっかいな風俗店を野放しにしてしまいました。
これはありがたく学ばせて頂きます。日本でも解除を行う場合、細かく業種別に分けるべきで、一括解除方法をとると韓国のようなことになります。
安倍さんじゃないですが、反面教師としては優秀な国なんですよ、韓国は。
もう一点は、クラスターの客の追跡に警察権力が登場するというところです。いかにもこの国らしさが味わえます。
日本でも病院や老人施設、あるいは韓国と同じような風俗店でもクラスターが多数発見されましたが、その追跡を警察がしたという話はついぞ聞きません。
それは日本においては警察権力が民事に介入するのは、事件化してからだという大原則があるからです。
ところが韓国は違うのですね。なにごとにも警察権力が首をだします。
というか、国民監視の主力は警察なのです。
今回の梨泰院の風俗店を訪れた者のうち、まだ連絡がつかない者が2千人もいるとか。それを警官8559人を投入してしらみつぶしに調べているそうで、ご苦労なことです。
さてさて、我々をリスペクトしないとすねちゃうぞ、と韓国は仰せですが、どうしたもんでしょうか。
まぁ、ファンタジーをこよなく愛するお国柄は承知していましたが、防疫は国民の命に直結しますんで、ほどほどに。
カレンダー3枚は「ねこおぢ3」からのものです。こういう地道にデータを収集し分析するのが日本の保守の底力だと感じます。
それにひきかえアチラ方向は、揃いも揃ってオカダPCR真理教に入信してしまって・・・。
「ねこおぢ3」https://twitter.com/necoodi3
●世界の感染状況(5月16日現在)
●国内感染状況(5月15日0:00 )
国内感染者16193
退院10809
入院治療を要する者4493
重症者237
死亡710
確認中181
大阪がスゴイ。ついにひとけたです。よくやった!
昨日首相の会見が行われました。まぁご承知のとおりです。
質問にはまったく出なかったようですが、今後にほんはどのような基準で渡航制限を復活させるきなのでしょうか、それが気にかかりました。
中国が既にわいのわいのと渡航制限を解除するように言ってきているのは知られていますが、なかなか巧妙な言い方をしています。
というのは中国は陰性証明書を申請書類に貼付したらどうか、と言っているのです。
「新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための入国制限について、中国が感染していないことを示す「陰性」などの条件付きで日本側にも緩和を打診したことがわかった。中国は韓国にすでにビジネス目的の入国を認め、正常化を徐々に進めている。日本は緊急事態宣言の延長などに踏み切っており、中国側の提案に慎重姿勢を崩していない。 (略)
出張者はまず出発の72時間以内に韓国内の保健当局が指定する医療機関でウイルス検査を受け、陰性を証明する確認証の発行を受ける。中国への入国後に再びPCRなどの検査を受け、再び陰性と判断されれば入国が認められる。中韓が「ファスト・トラック」と呼ぶ仕組みだ」(日経5月11日)
なるほどね、さすがチャイナは馬鹿ではありません。闇雲に制限解除を呼びかけるのではなく、PCR検査の結果で陰性が出た者に限って確認書を発行するからね、オレの国にお前の国の駐在員はゴマンといるんだから戻させにゃならんだろ、ならば出発の前72時間以内の陰性証明書を出せば入国させてやるぞ、どうだいい話じゃねぇか、というわけです。
既に韓国とはこの方法でやっているそうです。まぁあの国はチャイナに頭があがらない国ですからね。
それにしてもどう対応するきでしょうか、わが日本政府。
あんな発生源の国とはとうぶんの間、疫学的距離をあけておくのが妥当なことはいうまでもありませんが、ではどう答えたちいいんでしょう。
お前の国の簡易検査キットはいいかげんなことは世界中で有名だ、とでも答えるんでしょうかね。
となると、チャイナがなにを言うのかも予想できてしまいます。こんなとこかな。
お前の国こそPCRをネグリ続けてきた結果、正確な感染者数が把握できておらず真の陽性率すら明確ではないじゃないか、ホントは感染者隠しをしているんだろう、ってね。
これは岡田晴恵尊師が率いるPCR真理教(正大師青木理・玉川徹・ラサール石井)の言い草と一緒ですが、残念ながら国際的にはこの言い分のほうが通りがいいのは確かなんです。
わが国はPCR検査をあえて遅らせることで戦略的時間稼ぎをし、医療機関の崩壊を防ぐ手法を取りました。
日本以外の国では、ニューヨークに典型ですが、まず大々的に希望者全員にPCRをやってやってやりまくったあげく、擬陽性がでまくり、その人達によって病院が埋めつくされるという悲劇を起こしてしまいました。
なんせ、知っての通りPCRの正確度は7割、仮に1千万人規模の都市で全員にPCRをしたら、300万人もの擬陽性者がでるんですよ。
そんなナンチャッテ陽性者まで病院で隔離収容したら、どこの国でもそりゃパンクして死人の山作るわな。
クオモさん、あんたリスクアナウンスの能力は当代一流だが、護民官としては最低だね。
ま、中国からすれば国際的に特異な、しかし正しい方法乗り切ったわが国の渡航制限を解除してやるんだから、ありがたく思え、というわけです。
ありがたくおもわないんだったら尖閣で日本漁船を海警が蹴散らしてくれるゾ、といったところです。
片手で一見妥当なカードをちらつかせつつ、一方で露骨な武力による脅しをかけて追い込む、これが中華帝国の常套的やり口です。
それはさておき、日本としては擬陽性が3割もでるようなPCRは絶対的基準にならない、そのうえにそれが中国製検査キットなら正確度はおみくじ以下だろうと答えるしかないでしょう。
どうしてもやりたいならわが国の国産検査キットを使うか、あるいは完全に終息したと豪語し勝利記念切手(笑)まで発行した中国との封鎖解除基準をすり合わせようということを持ち出すのも手です。
応じないのを承知で、「10万人あたり0.5人」という世界一厳しい解除基準値を中国に示してみたらいかがですか。
ともかく無敵なんですから、この西村解除基準は。
いかに馬鹿げて厳しいかは既に解除に踏みきった8位のドイツと比較してみればわかります。
ドイツの現況です。
ドイツの100万人あたりの感染者数は約2000人で、日本が約120人。
「10万人で0.5人」とすると、ドイツは200人ということになりますから、現況では解除基準をかすりもしません。
いや日本国内ですらこの体たらくで、解除不能な自治体がゴロゴロ出ました。
「解除目安「10万人に週0.5人以下」8都道府県未達
2019年10月時点の人口推計と日本経済新聞の感染者集計データを基に47都道府県を分析すると、5月6~12日の1週間の人口10万人当たりの感染者数は、1.6人の北海道をはじめ、東京、神奈川、埼玉、富山、石川、京都、大阪の計8都道府県で「0.5人」を上回った。特定警戒都道府県以外で上回ったのは富山(0.6人)だけだった」日経5月13日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59058650T10C20A5EA2000/
大阪が0.7人ですから、大阪を解除させないためのイヤガラセでしょうか。西村さん、ずいぶんとやるね。
これがいかに馬鹿げた数値であるかは、同じコロナウィルス類の季節性インフルエンザの感染者数と較べるとわかります。
季節性インフルエンザの感染者数は、東京都でこのようなものです。
2018年9月3日~2019年1月13日は1週間で236人ですから、解除基準50人以下だと箸にも棒にもかかりません。
西村大臣は国内問題として解除基準を出したつもりでしょうが、実は問題は国内だけに止まらないのです。
一度こんなハチャメチャに厳しすぎる解除基準を作ってしまうと、遥かに緩い世界各国の解除基準と次元が違いすぎて、わが国だけが渡航制限を解除できなくなる恐れが出るのです。
そりゃそうでしょう。日本よりも感染者数が桁違いに多く、死亡者も大量に出している国、たとえばその典型的なのが米国ですが、こことの渡航制限をどうかんがえるのかという問題が浮上してしまうからです。
世界経済の活動を再開するには、米国との渡航制限を解除するのは当然ですが、その解除基準をどうするのかという問題に突き当たってしまいます。
米国からすれば日本のほうが感染者数も少なく、解除基準も厳しいのですから認めて当然ですが、いったん米国が日本の渡航制限を解除してしまうと、日本としても外交の相互主義でこちらも米国を認めねばならないのです。
となると、米国より感染が少ないと言っている(信じるものは救われる)中国なんぞ、文句なしに渡航制限の解除せねばならなくなります。
発生源国の中国から言われてもナニ言ってるんだかで済みますが、米国に外交の相互主義を楯にされたらキツイですね。
いずれにしても、ポストコロナの時代において、パスポートは2種類いることになるでしょう。
一つは通常のそれ、そしてもうひとつは陰性証明です。
これは各国で健闘中ですが、まちがいなく実施されます。
なぜなら、いまのような渡航前2週間の隔離観察などいつまでもできっこないからで、それに代わる証明書が必須なのです。
だからそもそも突出して世界基準を大きく上回るような解除基準なんて作るべきではなかったのです。
仮にそれでまた感染がでたとしたら、その時はまた締める、減ったら緩める、この継続がハンマー&ダンスのダンス期のやり方なのです。
国際社会とすり合わせが不可能なようなものを作ってどうするんでしょうか、西村さん。
本日+99
前々週188⇒前週96⇒今日99 累計感染者数16,173(+99)
累計死者数 713(+17) 累計退院者数10,338(+470)祝!1万人突破
現在患者数 5,122(▲388)
「ねこおぢ3」より引用グラフ上の説明も同じ。
●国内感染状況(5月14日0:00)
国内感染者16079
退院10338
入院治療を要する者4886
重症者245
死亡687
確認中168
政府がやっと解除基準をだすようですが、日経がたぶん政府のリークを流しています。
このコロナ禍になってからというもの、誰がやっているのか政府はちゃんとした説明の前に風見鶏を回して世論を観測するのを常としています。
今回もその伝で、そもそもこんな解除基準など4月7日の宣言開始時に出しておくもので、ましてや延長すると言いながらその解除基準も出さないんですから、おいおいです。
「政府は新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言で、重点的に対応する「特定警戒都道府県」に東京都と大阪府、北海道などを引き続き指定する方針だ。特定警戒だった茨城、愛知、岐阜、福岡の各県と、特定警戒ではなかった34県は宣言の解除を検討する。解除基準の原案も判明した。(略)
宣言を解除する基準は専門家会議が作成中だ。12日に判明した原案によると「直近1週間で10万人あたりの累積感染者が0.5人以下」を解除の目安の一つに挙げた。人の往来による感染の再拡大を避けるため、近隣の特定警戒都道府県の感染状況も考慮する。PCR検査の陽性率を指標に加えることも検討している。
直近1週間の10万人あたり感染者が0.5人を上回っていても、同1人程度で感染経路が特定できている割合が多いケースなどでは解除を選択肢にするという」(日経5月13日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58992530S0A510C2MM8000/
現金給付の時にもおもいましたが、政府は一回国民をガックリさせてから、風を読んで修正かけるつもりなんですかね。
それがなんとまぁ「1週間で10万人あたりの累積患者数が0.5人以下」だそうですから、東京都の人口に合わせれば、約1千万人あたりその10倍の50人以下ということです。
しゃーない、それで考えていきます。
まずは直近(5月12日現在)の東京都の感染者数をみてみます。
●東京都の直近の感染者数
5月10日 22人
11日15人
12日28人
先週平均値21人
なんとか1日平均は50人以下を下回ってはいますが、1週間にすると先週並に21人/1日で推移すると、149人です。
原案の「1日1千万人あたり50人以下」の3分の1です。
「1日50人以下」を示したのは、3月第3週の49人が最後ですから、新規感染者数が3月初めの線にまで戻らないと解除しないということになります。
では感染数の推移をみてみましょう。クリックすると大きくなります。
青線が東京都ですから、3月1週から3週は横軸の最も右端です。
この線まで下げろと、むちゃ言わんどいて。
では大阪府はどうでしょうか。これも直近です。
●大阪府の感染状況
5月10日11人
11日1人
12日6人
先週平均値10.8人
推定 61人
大阪府の人口は924万人ですから、ほぼ東京と一緒とみなすとして、「1週間で50人以下」の目標値クリアは眼前です。
おそらく大阪府は今週中にクリアする可能性がありますが、東京都は陽暮れて、なお道遠し状態に置かれます。
たぶん今月末はもちろん、1カ月先まで伸ばしてもクリアできるかどうか・・・。
北海道を別にして、都市部では東京都が今後どのようになっていくのかが焦点となります。
というのは、おそらく先述したように1千万人あたり50人以下という数値は達成が極めて難しく、これを墨守してしまうと東京という日本計さいの中枢は心肺停止状態のまま置かれることになるからです。
言い換えれば、感染拡大云々以前に経済状況が許さないところまで来ています。
となると2番目には、もうひとつの目安である、「10万人あたり1人程度で感染経路が特定できている割合が多いケースなどでは解除を選択肢にする」という点です。
ここで一気に東京都の経路不明の数が焦点に浮かび上がってくることになります。
東京都の感染経路がわからない数は、5月10日現在で感染者22人中12人と約半分です。
「東京都は10日、新型コロナウイルスの感染者が新たに22人確認されたと発表した。50人を下回ったのは5日連続。都内の感染者は計4868人となった。22人のうち感染経路が不明なのは半数超の12人だった。
感染経路が追える10人のうち、4人が医療従事者で、2人が家族間など同居する人からの感染だった。都の担当者は「感染者数は減少傾向だが、経路を追跡できない人も多い。気を緩めると、大きなクラスター(感染者集団)が発生しかねず、引き続き外出自粛などの協力をお願いしたい」としている」(日経5月10日)
推移を見るとこのようになります。
感染経路不明というのは、ひとりの感染者の背後に多くの感染者がいる危険性をもっているとされています。
「感染源の分からない患者が、すでに判明している感染者から感染していたのなら不安は多少軽減できる。しかし、もしそれぞれバラバラの感染源から感染していた場合は、その背後に、さらに多くの感染者がいる可能性が否定できなくなる」 (ビジネスインサイダー3月27日)
この間精力的に続けられてきたクラスター潰しによって、主だったクラスターは徐々に消滅してきつつあります。
クラスターは感染経路を特定できるし、その範囲も明確な場合がほとんどです。
下は病院クラスターですが、感染者は特定可能でした。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200420-OYT1T5...
一方危ないクラスターは風俗店やクラブで、入店者が誰かわからないので事実上追跡不可能です。
https://mainichi.jp/articles/20200405/k00/00m/040/...
比較的経路がつかめた上図のライブハウスですら、出演者から感染が拡大し3名の観客にうつした後に、その家族にまで感染拡大をしています。しかも他県ですからやっかいです。
韓国のクラブですら、個人情報保護という概念自体がないこの国ですら、その経路が判らずに苦慮しているようです。
それはさておき、東京都において感染経路が判る者と不明者がちょうどフィフティフィフティの状況です。
悩ましいなぁ。感染経路不明者を潰すのは自粛以外ないのは確かですが、これが今月末までの延長でどれだけ減るかでしょうね。
三番目には、重症者用の病床が126%ということが問題となるでしょう。
東京都は下から2段めの右から2番目の黒枠です。黒色は病床数を患者数が上回ってしまった地域です。
東京は病床を増加する必死の取り組みをしていました。
さもなければ、NYのような重症者による医療崩壊に突き進むからです。
これがなんとか凌げたのは忽那賢志医師によれば、国家の医療機関が全面的にバックアップしたからです。
「ではこれらの118を超えた分の患者さんはどこに入院しているのでしょうか?
多くは感染症指定医療機関に、規定の病床数を超えて入院しています。
例えば、国立国際医療研究センターでは規定の病床数に加えて、元々結核病床に指定されていた病棟をまるごと使い新型コロナ患者の受け入れを行っています。
都内の感染症指定医療機関も同様に規定の病床数を超えても患者を受け入れていると聞いています」
(忽那賢志 『都内の感染症指定医療機関で何が起こっているのか』3月28日)
現況で東京都のベッド数は以下です。
NHK特設サイト『新型コロナ対応のベッド数と入院患者数』
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/medical/
●東京都のベッド数
ベッド数2000人
入院が必要な数2518
ベッドに対する割合126%●大阪府同上
ベッド数1100
入院が必要な数381
ベッド数に対する割合35%●北海道同上
ベッド数500
入院が必要な数356
ベッド数に対する割合71%「都道府県別に「確保できている病床数」に対して「入院患者や入院などが必要な人の数」が8割を超えているのは、前回の3都道県から今回は東京都のみとなりました。
ほかに5割を超えたのも、およそ7割の北海道、およそ6割の石川県だけで、病床がひっ迫している状況はさらに緩和されました」(NHK前掲)
大阪の解除はなんとかなるでしょう。
新規感染者も、ベッド数もクリアするでしょう。それが吉村さんの強気の背景です。
問題はあくまでも東京です。ご覧のように、東京都の解除は感染者数自体の増加には歯止めがかかるのは間違いありませんが、どこまで経路不明者を減らせるのか、そしてベッド数の不足を解消するのか、この2点かかっています。
そうとうに厳しいと考えられますので、まだ小池女史の顔をあとひと月は見ねばならないのでしょうか。
●国内感染状況(5月13日0:00)
国内感染者16024
退院9868
入院治療を要する者5315
重症者259
死亡668
確認中173
●世界の感染状況
山路さんの論考を読んで、もちろん私の見方とは異なる点がいくつかあるのですが(特に武者さんへの評価はそうとうに違いますが)、もっとも氏から教えられたのは、「萎縮するな」ということでした。
そう、それに尽きます。なんどとなく自分でも言っておきながら先日のような「失われた45兆」のような絶望散布型の記事を書いてしまって申し訳ない(汗)。
そうなんですよ、日本人は今、まちがいなく下向き加減になっています。
うつむいた視線の先にあるのは自分の爪先くらいなもので、背中は丸まっています。
コメントには、今や老人の繰り言のようになってしまった九州N氏のコメントも来ていました。
まがいなりとも私は彼を論客として遇していたのに、なんですか、あのざまは。
はっきり言ったほうがいいようです。九州Nさん、あんなものを入れてくるならもう来ないで下さい。
今、必要なのは絶望はただの灰にすぎないということを知ることです。
怒りを安直に国に転化しないこと。
「自粛を言うなら金をくれ」というような、まるで労組の権利闘争のような要求を国につきつけないこと。
保護してもらって当然だという発想に立たないこと。
結局、無数の「私」が集まって作るこの民族でこの国難を乗り切るしかないのです。
自分の家族を守ろうとする自分の力を信じて下さい。
あなたが小さな商店の店主ならばいくらでも愚痴って下さい。家賃くらい2カ月間凍結しろっと。
零細企業の社長なら、社員の収入を2カ月間くらいは国が面倒みろと主張してもよい。
各種の支援政策を、もっと使いやすく迅速に審査しろ、と国にぶつけてもいい。
それで気が済むなら。
今の政府は妙に国民の意向によってブレるところがありますから、案外効くかもしれませんしね。
さて新型コロナによる景気の後退は、おそらく1930年代に匹敵するものになるだろうという予測がでています。
BBCはこう述べています。
「新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるためのロックダウン(都市封鎖)が世界中で敷かれ、各国が緊急事態に陥っている。1930年代以来で最悪の景気後退が予想される中、その打撃を和らげようと大規模な経済支援を打ち出している。国際通貨基金(IMF)によると、4月7日時点で、世界中の国々が合わせて4兆5000億ドル(約478兆9000億円)相当の緊急措置を承認している。この額は、その後数週間は増加傾向にある」(BBC5月8日)
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-52586299
では各国の景気後退対策の規模はどのようなものでしょうか。
日本の対策はダメだダメだ、世界で最も遅れているというメディアの声ばかりがうるさいほどですが、客観的に自分の国の支援策がどのていどのものか、突き放して眺めるのもいいかもしれません。
「米コロンビア大学経済学部のセイハン・エルジン教授は、世界中の同僚と連携し、166カ国の対応を追跡してきた。
エルジン教授の試算によると、最も積極的な対応のひとつが日本政府が打ち出した、同国の国内総生産(GDP)の約2割にあたる108兆円規模の政策パッケージだ(日本を上回っているのは、欧州連合の基金からの利益を受けるマルタのみ)。
他国と比べると、アメリカはGDPの約14%、オーストラリアは同11%、カナダは同8.4%、イギリスは同5%、コロンビアは同1.5%、ガンビアは同0.6%にあたる救済支出を打ち出している」(BBC前掲)
新型コロナウイルスをめぐる経済政策パッケージの規模をGDPにおける割合でみた場合の上位20カ国
マルタとは人口も経済規模も違いすぎますから、事実上支援の財政規模において日本は世界トップと言ってかまわないでしょう。
日本の手厚さは、ほとんど社会主義的と評してよいほどです。
国民への直接支払い現金給付の規模ではどうでしょうか。
「世界中の救済計画の中には、現金振り込みなどのいくつかの戦略が見受けられる。
多くの国では、貧困層や非公式経済部門で働く、ほかの救済プログラムでは援助を受けられない可能性が高い人、あるいは仕事が封鎖措置の影響を受けている人を対象としている。
例えばカナダは新型ウイルスのパンデミック(世界的流行)で収入が途絶えた人に対し、月々2000カナダドル(約15万2000円)を最長4カ月間支給している」(BBC前掲)
新型ウイルス経済対策における国民1人あたりの給付金額(出典:経済協力開発機構)
そしてその財源として、日銀は金融緩和に上限を付けないと言っていますから、国債の買いオペに天井なしということになります。
財務省のドケチぶりは相変わらずですが、それですらこの巨大な景気後退をどうするのか、国民を殺すつもりかという声に包囲されてしまいました。
また各省庁は、今まで営々と省益のためにだけ作ってきた各種規制を撤廃せざるをえないところにまで追い込まれています。
ペーパーレスといいながらいっかな進まなかった行政の効率化、各種申請に大量の文書とハンコがいるという前時代的感覚、省庁を横断したデータの共有がなされずに東京都のような感染者の集計の修正をせざるを得なくなるようなデータ収集の仕方、国民の諸情報がマイナンバーカードに一元化できない不都合など、これら平時なら規制緩和特区でも作らねば実現しなかったことが、この数カ月間で一気に進みました。
「エルジン教授によると、最大規模の支出がなされたのは、より裕福で歴史が長く、病床がより少ない国だったという。投資家が債権購入に意欲的で、低い借入コストの恩恵を受けるアメリカや日本などの国もまた、新たな財政支出を調達する上で有利な立場にあるという。
一方でエルジン氏は、支出規模が有効性に結びつくと勘違いしてはならないと指摘する。
『これらの政策パッケージに含まれるすべての異なる項目は、異なる乗数効果を生み出し、異なる結果を生み出す可能性がある』
IMFのパオロ・マウロ財政局副局長は、企業向けの救済措置は「先進国」でみられる傾向だと指摘する。
マウロ氏によると、救済総額は膨大になる可能性はあるものの、多くの企業は計画通りに融資を返済できることから、このような救済プログラムは比較的リスクが低いという」(BBC前掲)
エルジンが指摘するように、この政府の巨額の緊急支援投資は、投資家による旺盛な国債買い入れによって支えられており、政策パッケージ全体で互いに刺激しあい効果を高めていく乗数効果が期待できるのです。
このように日本は主要国でもっとも感染死亡者が少なく、国の経済・物流インフラが丸ごと無傷で保全されており、自粛による陰りはあるものの世界主要国でもっともゆるやかな「都市封鎖」で済ましたわが国は、世界に先駆けて復興する力をもっています。
だから下を向かない、うなだれない!
●国内感染状況(5月12日0:00)
国内感染者15874
退院8920
入院治療を要する者6065
重症者243
死亡643
確認中246
「自粛」はしても、「委縮」する必要なし!
~「新しい生活様式」から経済活性化へ
山路敬介
■ 報道される「コロナ関連倒産」情報は事情が各個異なる点を注意すべき
ここから一つ目の議論に入ります。
5月6日にWBF&リゾーツが160億の負債をかかえ、報道では「コロナ関連倒産としては、これまで最大級」との見出しがおどりました
。少しコメント欄でもふれましたが、この会社の親会社とその他の子会社群はまだ経営がしっかりしていて、もともと「インバウンドブームに乗り遅れるな」と沖縄や北海道で甘い事業計画と過大な投資をして債務超過に陥っていた同社が整理されるのは自然の流れで、コロナ禍により集客の見通しが立たなくなった事が背中を押しました。
倒産整理は「損切り」の判断で、本社と他の関連子会社を活かすための銀行団の意思も当然あるでしょう。
5月9日の本ブログの中にもロイヤルオークリゾート㈱や、秋芳観光ホテルの倒産問題が扱われています。
こちらの方の詳細は知りませんが、記事中にもあるように「コロナ発生以前から債務超過・売り上げ減少といった経営難の状態にあった」となっていますから、コロナ禍が背中を押したという事は言えるでしょう。
ただ、こう言った種類の倒産整理は、関係者には申し訳ないが、問題となる従前の負債を帳消しにし、新陳代謝の効用も大きくあるという事を忘れてはならないと思います。
例えば先のWBF&リゾーツですが、所有する3700室のほとんどが築浅の優良物件であって、資金ポジションの良い同業他社が取得する事によって再生されます。
もちろん従業員は一旦解雇されますが、「コロナ関連倒産」という事で通常の倒産の場合でも有利になるでしょうし、新規ホテルとして開業した時点で雇用が再び発生します。
我々が積み上げられた倒産情報を見る場合、ともすれば「新しい変化」に着目する事無く、ただがっかりしてしまいしがちです。
けれど本当の問題は倒産自体にはなく、行き詰った会社資産をだれが引き受けるかの方が現代的課題です。沖縄の観光業は日本人経営の不動産業者などを利用して、かなり中国資本が入っている事がささやかれていて、彼らがこういった物件に触手を伸ばさないはずはありません。
■「新しい生活様式」は実態経済にどの程度の影響を与えるのか
緊急事態宣言が終了したあと、ワクチンや特効薬の運用が始まるまでの期間は政府が提唱する「新しい生活様式」が引き続き求められます。
新しい生活様式とは、①身体的距離の確保 ②マスクの着用 ③手洗いを基本原則として、厚労省のHPにおいて注意点が細かく推奨されているとおりです。
①から③までの基本はともかく、以外は中々置かれているその人の立場よって難しい面もあります。
韓国では再びクラスターが発生したようで、緊急事態宣言が終了した後の日本でもそういう事が起こる可能性があると思っておいた方がいいでしょう。その予防のためには「新しい生活様式」を取るようになるべく努力すべきで、上記大原則は少なくとも実行し続けるべきです。
「新しい生活様式」がどれほど経済に与える阻害要因となるのか、それを数値化したデータはありません。
ただ、エコノミストたちは「新しい生活様式」そのものから発生する要因よりも、「感染を恐れた自衛行動」(BNPパリバ証券)から来る要因の方を重要視しているようです。日本人特有の過度の委縮が実体経済の回復を遅らせる事になり得る、という注意喚起は重要な指摘だと思います。
■ 先行き経済を予見する目安は株価に始まり株価に終わる
日本経済センターがまとめた民間エコノミスト28人による令和2年度のGDP予測平均値は、5.2%減のマイナス成長となったようです。「年度後半から徐々に回復にむかう」(りそな総研)としていますが、「急激な回復はのぞめない」というのが大方の一致した見方だと思います。
ただ、よく考えれば5.2%減という数字は決して高くはないのではないでしょうか。コロナとは関係なかった消費税の影響を受けた令和元年10~12月期の1.9%減を単純に年率換算すると6.3%減でした。
つまり、私たちはここ3月、4月の状況からのみ将来を判断しがちで、あるいは「5.2%減程度で収まるハズがない」とまで考えがちなのだと思います。
ところで、日経平均株価は先週金曜日5月8日には2万円代を回復しました。
今から考えれば1万7千円代にまで下がった時が底入れした時期だったと思います。悲観論が先行する世の中にあって、実体経済の先行きを占う最良の指針は株価です。これからも小規模で上下はするでしょうが、投資家は政府の経済対策に信頼をおいていて、企業の旺盛な資金需要を好感している事に間違いありません。
民主党政権下における株価はたったの8千円代だった事を考えると、とても今の状況が「日本経済、崩壊の危機」などとは言えない事がわかります。
■ 政府の経済対策はほぼ万全と言える
政府は107兆円規模の緊急経済対策を実行していて、最終的には90兆円以上が使われる事になるでしょう。リーマンの時が57兆円ですから、その規模の大きさは安倍総理が言う以上の成果です。
異論のある向きには、どうか経産省のHPの「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」というレジュメを見ていただきたい。70Pにもおよぶ内容を確認するのは手間ですが、目次だけでも確認して頂きたいと思います。
微に入り細にわたり網羅されている内容を見るならば、「世界有数の手当て」という言葉が決してホラではない事がわかると思います。
叱られるのを覚悟でいえば、これですぐ倒産する企業はコロナとは別の要因だったにすぎないと言いたくなります。これ以外にも県や市、各種団体からの補助や融資が加わるので、もはや「経営者天国」とでも揶揄した言葉を投げつけたくなる社長さん方も現にいます。
もちろん、沖縄の観光業などは外国人観光客数の回復までは時間がかかり、さらに倒産する企業が出るでしょう。京都や北海道も同じかも知れません。そういうところで第二次補正の必要があると理解できますが、もともと観光業は社会的要因に左右されやすい業種なのでただ補助をするにとどまるのではなく、県や経営者の側でも一定の方向転換の努力がなされるべきです。
くわえて「真水が少ない」との批判のゆえでしょうが、「家賃補助」だとか「学生に10万円」だとか、私など「おいおい~、やりすぎじゃないの。大丈夫かよ?」とでも言いたくもなります。麻生大臣など卒倒しそうな状況なのだろうと心配してしまいます。
ただ、欠点はあって、それは決定から支給までの時間が多くかかった事です。
しかし、ようやく10万円の方は支給がはじまり、中小零細企業経営者が窓口に押し寄せ始めました。ちなみに、窓口に押し寄せる姿の報道をみて、私たちは状況の深刻さを感じるでしょう。
でも、それは逆じゃないでしょうか。会社を存続させ、雇用を守るために意志の塊となって行動する姿は頼もしいし、旺盛な資金需要こそがあすの日本を背負っているので、安倍さんも安堵して見ているはずです。
■ 結語
この4月単月だけのGDPを年率換算した場合、ある経済評論家の試算ではマイナス20%減だという事です。これは感染が止まらない限り、経済遮断は続き、深刻な景気の落ち込みが続く事を警告していると言えます。しかし、感染が止まり経済活動が正常化すれば、急速に景気は立ち上がり株価はさらに上昇するでしょう。
これからやって来るのは、その端境期の「新しい生活様式」期間です。
この「新しい生活様式」が云々というよりも、自主自衛傾向の方が足を引っ張るだろうと思われます。
だから、上述のエコノミストたちは、ここでは急速な回復は見込めないとしています。
ですが、今年中にはそうした傾向は収束するだろうとみられ、今しばらくは以前のようではない事は確実です。ですが、それが過ぎればV字回復は間違いないと思います。
今回の危機は天災であり、経済と金融はほぼ健全な状態の中で起こった事であって、リーマンショックの時とは全く違います。
リーマンの時には株式の暴落のあと、銀行の破綻、貸し渋り、貸し剥がし、貸倒などの金融収縮がおこり、あげく不良債権処理や不良資産が山のようにありました。
それだけに処理に手間取り、回復までに時間がかかって結局もとに戻らなくなってしまいました。
今回の場合、銀行も企業も家計も財務は健全で、経済はいつでもスタートダッシュできる状態にあります。
麻生大臣が言うように、特に銀行にはふんだんに金があり、日本ではなく成長株のサムスンなど韓国籍の企業に貸し付けているような状況が続いていました。それが国内での資金需要が見込める事になるだけでなく、さらなる金融緩和も用意されているのが現状なのです。
また、財務省のケチケチ路線も30万→10万給付金さわぎで砕け散ったようです。じゃぶじゃぶの金融緩和と緊急経済対策などの積極財政により、企業破綻と失業は救済されると考えてよいでしょう。
(了)
文責 山路 敬介
●国内感染状況(5月11日0:00 )
国内感染者15798
退院8531
入院治療を要する者6225
重症者249
死亡621
確認中421
感染推移
●世界の感染状況
ロシアの感染拡大が止まりません。
山路敬介氏から寄稿を頂戴しました。
氏の論考を読むと、私がなまじ毎日感染推移を追っているために、視野狭窄になっていることを改めて感じました。
おもえば、ポストコロナの時期には悪いことばかりではないわけです。
たとえば、内政的には各省庁の岩盤規制が急速に崩壊し、その根幹をなす財務省の緊縮財政もまた倒壊の危機にありますし、外交的にも自民や財界の中に根強くあった中国傾斜が払拭されつつある、という見立ても成り立ちます。
改めて感謝いたします。
ブログ主
~~~~~
「自粛」はしても、「委縮」する必要なし!
~「新しい生活様式」から経済活性化へ~
山路敬介
はじめに
安倍総理は現行の緊急事態宣言について、5月14日の専門家会議の分析のもと2月15日からでも要件を満たしている場合は、各個都道府県毎の段階的解除を行う意向を示しました。また、15日に解除される分以外でも31日を待たずに、解除出来るものは随時解除するとしています。
当初の緊急事態宣言はもちろん、医療体制づくりと経済活動再開までの助走期間としての「延長」が無意味だったワケではありません。
ただ、ちょうど日本と同程度の感染状況と死亡者数であった米ノースカロライナ州では、すでに半月以上前からさながら経済活動再開にカジを切っています。
事情が異なるため容易に比較する事は出来ませんし、近視眼的に「日本政府の判断が遅かった」という事は単純にすぎ、「異なる事情」のその中身の方が恨めしく感じます。
コロナ禍にまつわる経済問題と見通しは、次の二つに分けて論じる必要があるように思います。
一つは現在の緊急事態宣言中から宣言解除を経てワクチンなり特効薬が開発される時期までで、この時期は「新しい生活様式」が必要な時期です。医療環境がゆるす限り医療機関においてのPCR検査も増やしていく必要があるでしょう。
もう一つは、コロナ後の経済見通しです。1~2年先にコロナ騒動が沈静化したときから、世界経済はコロナ以前にも増して活力を高めているはずであり、日本国もまたそのけん引役のひとつになっていなければなりません。この事は決して自国ひいきの感情論を含むわけではなく、コロナ後の自由主義社会の変化をリードする緊急経済政策を日本政府がきちんと取っている事に由来します。
安倍政権のコロナ経済政策は米のそれと平仄があっていて、他の先進自由主義社会も同じ方向性でありながら、これよりむしろ強力で広範に行き届かせています。
本稿の目的は先の一つ目を書く事でしたが、当座をしのぐための今の緊急経済対策の中にこそ、コロナ禍終結後の日本経済の方向性が含まれいると思われるので、長めになって申し訳ないですが取り上げていきます。
順不同になりますが、まず二つ目の観点から論じてみたいと思います。従来から安倍政権のスタンスに近い(必ずしもそうは思わないですが)と言われる、エコノミストの武者陵司の言説を借りて説明してみます。
巷間、二つ目の時期に関しての新聞やテレビの経済専門家の見通しとしては、まだ不十分で部分的な域を出ていません。
お茶の間で人気者の三浦瑠璃氏は「コロナ後の世界は中国の一人勝ち」といった、誤った見立てをしています。
また、保守論客と言われる方々はいつから日本的リベラルに早変わりしたものか、悲観的に「今現在の苦境をどうしのぐか」しか議論しません。
こうした物言いのほとんどの原因は、世界経済の復活を「元の鞘にもどる」という地点からしか見られず、コロナ後に「どう変化するか」の見通しを持たないからであろうと考えます。
私とて「すべて納得」という事はできませんが、この点で武者氏の着眼と論点整理は明快です。何よりも、政府の現在の緊急対策がポピュリズムでないとすれば、その方向性が示しているのは武者氏の言説的な「変化」であると思います。
■ コロナ後の世界
「この歴史的な惨事を前に、人々が悲観にとらわれ、後ろ向きになるのは自然のことである。しかしよく考えれば、コロナパンデミックは障害物・抵抗勢力によってせき止められていた歴史の流れを一気に推し進め、経済と株価を押し上げる方向に働くことが分かる。コロナという稀有な天災が奇しくも引き起こす、大きな機会(チャンス)を見過ごすことはあまりにももったいない。」 武者陵司
武者氏は、コロナ禍が始まる以前から世界の趨勢としてこれらのことをあげています。
ひとつめは「社会の全分野をつなげてカバーするIT・ネット化」、ふたつめは「財政・金融の拡大を目的とした大きな政府への企図」、三つ目は「現在の中国依存の国際分業体制の再構築」そして最後に「自由主義的な株価を軸とする経済・金融運営への動き」です。
これらが渇望されていた事は明らかで、それを阻害する要因として、既存の習慣・制度・システム、健全財政化信仰・緊縮金融信仰、対中協調習慣、バブル批判・資産価値軽視指向があったと言っています。
これらの弊害がもたらした結果として、デフレがあり、ゼロ金利政策(=資本余剰)、格差拡大など、社会や経済に与え続けてきた「負の影響」は甚大だとし、「コロナ禍がこうした阻害要因をことごとく壊し、歴史的趨勢を加速させるだろう」と見立てています。
本来なら既得権者の反対やとめどもない議論や失敗を経て、途方もなく時間のかかるこれらの「是正」をコロナ禍は舜時にして成し遂げてしまうだろう事の意義は大きい、と言っています。
一定人口当たりの死者数が他国に比して著しく低い我が国において、安倍政権は積極的に警鐘を鳴らし、マスコミは過ぎた報道で不安を煽り続けています。
私見であり、お叱りを受けるかもしれませんが、この程度の被害で当初宣言はともかく、その延長に踏み切ったり、緊急経済対策を通じてここまで国民に大盤振る舞いをするとは、他国では考えられないと思います。
下火になりつつある今も家賃補助だとか、学生に新規10万円案など対策の拡大は引きも切りません。これは批判ではなく、そのように出来た理由の方が知りたいと考えた次第です。
財務省悪玉論をとなえる保守言論人は多いですが、このような湯水の如くの財政出動は一旦でも財務省的緊縮財政論を突破したと言えるレベルにあると思えます。
金融のさらなる拡大も用意されていて、資金でじゃぶじゃぶになった銀行から既に自動車各社は製造の滞りと販売低迷に資するためとして、「向こう一年分の巨額の運転資金を借入済」との報道がされています。
これまでの金融緩和の問題点として財務省シンパ側からは、市中でマネーが活用されない点を反論材料としていましたが、これを一気に払拭した恰好になるし、「国民への支援」名目では従来の論法も通じにくくなっているようです。
池上彰氏はテレビ番組で、「このような財政出動の結果としては、国民の借金として増税などを通じて返す事になる」と気持ちの悪い言っています。
しかしそうではなく、安倍政府はそのような事は視野に入れていないと思われます。
この池上発言について、MMT理論提唱者の西田昌司議員は自身のビデオレターにて真っ向から否定しています。
私は財政規律派ではないですが、上念さんの言うように円札はいくら刷っても国民の借金にはならないとは思わないし、MMT理論にもちょっとは懐疑的です。
ドル交換に制限のない日本のような国の金融の拡大には、おのずと他の国際決済通貨を有する先進諸国の了解が必要との立場です。
で、今回のコロナ禍においての金融緩和は日本だけでなく、アメリカをはじめ他のハードカレンシーを持つ国々はすべて行っているので、一気に緩和了解の枠組みが拡大したケースと言っていいのだと思います。
つまり、先に武者氏の言うように巨大な政策を通じて国家の「大きな政府」へのカジ切り、財政・金融緩和への変化が先進民主主義国の間で世界的に起こっているという事が言えます。
また、安倍政権の対策では中国からの日本企業の撤退について、国内回帰する場合や東南アジアなどの国々へ移転させる場合において2500億円の補助金を支給する決定をしました。
安倍総理はその趣旨を三月初旬には国会で答弁しています。
2500億ではちょっとしょぼい感じですが、この事は米国や台湾・欧州においてかなり大きなトピックとして報道されました。
日本での報道の扱いはほぼなく、中共がこれに反発して日本政府を非難した段階でようやく記事として扱われたのみです。このような変化は世界的なもので、日本の報道のように「米中対立」だけに話を矮小化する事は出来ません。コロナ禍はここでも、岩盤の「対中協調」という従来の路線を突き崩すチカラを持っていると言えます。
そのほかにも安倍総理はしつこくテレワークを言い、はんこ行政からの転換、緊急支援にITやテレワーク導入補助金を設けるなど、コロナ対策を奇貨とした「コロナ後の変化」を念頭に入れ目論んででいると言っていいのではないでしょうか。
(続く)
国内感染者の退院数が、患者数を上回っています。大変に素晴らしい傾向です。
・累計死者数633(+9)
・累計退院者数 8,293(+166)
・現在患者数 6,896(▲105)
●国内感染状況(5月10日0:00 )
国内感染者15747
退院8293
入院治療を要する者6399
重症者267
死亡613
確認中442
緊急事態宣言をどう終りにするか、についてもう少し考えて行きたいと思います。
というのは、この「終り方」、吉村知事風にいえば「出口戦略」で出た政府と大阪府とのズレは大変に象徴的だからです。
政府側の西村大臣も吉村知事も仲直りしたそうですが、まぁあたりまえで、双方ともこの緊急事態宣言のダメさをよく知って言っているからです。
そもそも何度か書いてきてはいますが、この緊急事態法自体が政府の地方自治体への権限委譲法制です。
関連記事 『緊急事態法でできることとは』
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2020/04/post-98a16e.html
たとえば、第45条-1にはこうあります。
「都道府県知事は、期間と区域を限定して、生活の維持に必要な場合を除き居宅から外出しないことその他感染防止に必要な協力を要請できる。(第45条1)
ね、主語は「都道府県知事」でしょう。国でもなければ政府でもなく、自治体首長なのです。
だから知事が解除の基準をいわない政府がおかしいと噛みついたことに、西村大臣は「違和感を覚えた」のは当然で、元々その権限は自治体首長が持っているのです。
したがって法の建て付けからだけいえば、吉村氏が西村氏に筋違いのイチャモンをつけたというにすぎませんが、私は一種の掛け合い漫才みたいなもんだと思って見ていました。
つまり、政府としては「なぜ解除基準を出せないのか」、その理由を聞いて欲しかったのです。
政府の宣言を出しても内容はスカスカ、自治体に丸投げしたかっこうになったのはなぜか。
外出自粛といっても何ら法的罰則がないのはなぜか。
非常識なクラスター作りをしている業種の取り締まりひとつできないのはなぜか。
などなど上げればきりがない、このいかにも戦後日本らしいユルユルの「なっちゃって都市封鎖」となった理由はなにか。
で、吉村氏はあえてわかりきったことで喧嘩を売り、西村大臣も分かりきった答えを出し、そして予定調和的に和解しただけのことです。
吉村さんはこれで「大阪モデル」を推進することの政府の合意をとりつけたも同然と考えたから今日にも発令するみたいですし、西村氏からしてみてもそれをした結果について政府は関与できないことをはっきりできたのですから、ウィンウィンですね。
そしてなにより、これで国民の目にも多少は緊急事態法の本質的欠陥が見えたはずです。
おそらく両者(この場合安倍政権と維新)は共に緊急事態法は政府が推進すべき国家事案だという認識で共通していて、ポストコロナのいずれかの時期に憲法に緊急事態法を入れることに協力するという暗黙の合意が背景にありました。
それは憲法記念日の首相メッセージに、憲法の緊急事態条項盛り込みについてふれたことでもわかります。
さて将来のことは置くとして、政府としては本来は欧米型の都市封鎖をしたかったのだと思います。
なぜなら、そのほうが日本のような「なんちゃって都市封鎖」よりはるかに効率的で、短期間で終了できるからです。
「劇薬」だからこそ短期で終わることが可能なのです。
これがわからないと、こんなトンチンカンなことを言い出す人がいます。
「“劇薬”であるロックダウンは短期的収束のケースには向いているが、長期化すると経済は疲弊し、自由を求める市民の反動が起きる。
法制上、ロックダウンができない我が国の自主的行動変容を求めるやり方は、生ぬるく見えるが、比較的問題は少なく、持続可能なコロナ対策と言える」
(細谷雄一氏(慶應義塾大学教授 読売4月30日)
言っていることが逆でしょうに。長引かせないために「劇薬」治療をする、それが都市封鎖です。
自粛と補償は一体だって共産党は言っていましたが、まぁそのとおりなんですが、それが簡単でないのは先述したように自治体を権限者にしてしまったからで、法制の立て付けの失敗です。
だから自治体が補償に当てるべき財源が枯渇しないように「劇薬」的効果を持つ都市封鎖をすべきだったのですが、出来なかったのです。
だから制限による補償をするためにも、国がしっかりとした主体となった緊急事態法がふさわしかったわけでした。
するととうぜん、緊急事態宣言による都市封鎖とは、本来は私権の政府による一時的制限のことを指します。
国民の生命を直接脅かす伝染病だからこそ、国家に「できることをすべてやる」権限を一時的に与えるのです。
もちろん政府が恣意的に使わないように一定の制限を設けますが、こんなことを政府が言いだそうものなら憲法違反だ、ファシズムだなんて叫んで議論さえさせなかったのは野党とメディアだったはずです。
その彼らが後述しますが、独裁政権型都市封鎖のの韓国に学べというのには苦笑しますが。
ですから日本の緊急事態法は、自衛隊が「軍隊」ではないようにほんとうの「都市封鎖」ではないのです。
かくして都市封鎖とはただの「自粛」であり、その期間中でもオオッピラにパチンコ屋がチンジャラやっており、暇人たちが押しかけてクラスターを増産するような珍事が起きたのです。
おまけにそれを制限するのも、「自粛警察」という私人なんですから、なんともかとも。
こんなことを後述する台湾でやろうもんなら、パチンコ屋は1000万近い罰金を食らって営業停止、取り締まるのも警察の管轄です。
つまり日本の緊急事態宣言そのものが欠陥であって、民主党臭ふんぷんたる新型インフル特別措置法の上に屋上屋を架したものにすぎなかったことに問題があります。
本来ならば時間さえ許すなら、法的建て付けの主語を「政府が」に書き換えて執行すべきでしたが、それをするとまた憲法論議の神学論議にふける輩が野党に大量に出ることは目に見えてましたから、それをあらかじめ回避したのです。
ですから公明に配慮した形をとって、矛盾を承知で論点回避した結果の産物がこれです。
つまり、初めから欠陥法なのです。
ところでよく韓国に学べというヒダリ方向の人たちがいますが、あそこがまがりなりとも感染拡大を止められた理由は三つです。
●韓国の感染拡大阻止の方法
①巨大クラスターを作った宗教組織に名簿提出をさせるような強権的手法。
②徴兵制を使って、軍医と公保医(準軍医)をテグに集中投入。
③個人の海外渡航歴やカルテまでが国が管理し、感染者の動向はGPSで管理。
おそらくこのどれひとつとして日本では不可能なものばかりです。
①の宗教団体の名簿提出など、いかなる宗派も同意するはずがなく、憲法の根幹の信教の自由に真っ向から抵触します。
②はわが国には公保医という準軍医の存在自体ありません。韓国のような徴兵制がある戦時国家だからできる仕組みにすぎません。
③はマイナンバーカードすら普及していないのは、国民総背番号反対運動が根強いからです。
ちなみに、どうやらヒダリの人はPCR検査を徹底したことを韓国見習え論の理由にしたいみたいですが、韓国はテグでそれをやりすぎて医療崩壊を引き起こしてしまったので、慌てて医師の要請があってからという日本式に切りかえたのを知らないようです。
またミギの人たちは「台湾に学べ」と言っています。
確かに、5月5日の時点で感染者438人、死者6人ですから、台湾はコロナの抑制に成功したとみてよいでしょう。
台湾と韓国と共通しているのは、国全体を「都市封鎖」したことです。
●台湾の感染拡大阻止の方法
①素早い外国との入国遮断。
②帰国者や感染者の自宅隔離を携帯電話のGPS機能を使って管理。
③違反者には高額の罰金。
蔡英文.陳建仁.賴清德
台湾政府のナンバー2の陳建仁副総統は、元々公衆衛生学の専門家でSARS対処の経験者ですから、そこまでしないと狭い島の中でウィルスが蔓延しし、医療崩壊が起きると考えたようで、これが台湾を防ぎました。
私は「外国に学べ」と安易にいうならば、どこから修正をかけねばならないのかしっかり見定めてから言うべきだと思います。
こんな状況が進行している状況で、どこそこの国に学べなんてよく安易に言えたもんです。
とくに台湾、韓国は準戦時国家ですから、欧米型よりさらに強力なので、そのままのわか国への移植はむりで、学びようがありません。
韓国は北朝鮮と休戦状態であり、台湾もまた常に「神聖な領土」と主張してやまない中国と対峙している関係です。
だから素早く戦時体制に入れる国の仕組みが備わっているのであって、そのような準戦時国家の例を日本が学ぶことは不可能です。
かといって台湾・韓国型はおろか欧米標準にすらなれない日本型がこのまま続けば、さらに脅威が重複した場合、政府の対応が今回のようなあいまいなものに終始し、リスクは長期化するでしょう。
今回もコロナ禍の真っ最中に中国が宮古海峡に空母を入れてきましたが、脅威は重複し輻輳するものなのです。
もう日本人は、東日本大震災と福島原発事故が同時に発生し、そしてその時の国の為政者が民主党だった悪夢を忘れてはいませんか。
国が国の力を存分に発揮できず、その力の半分もだせないでいることが果たして健全な国家のあり方なのかどうか、日本人はもう一回真面目に考える時てす。
●国内の感染状況(5月8日正午)
国内感染者17897
退院5906
入院中11434
軽中度・無症状5122
人工呼吸/ICU 287
確認中621 待機中270 症状有無確認中5134
死亡557
少し感染拡大から目を転じてみましょう。
感染拡大をどう封じるかばかりに気をとられすぎると、私達の足元の地面が大きく瓦解しかけていることに気がつきません。
私たち医学の素人にとって感染拡大について語ることには、どこか抽象論の部分が残り続けますが、倒産・人員整理・失業などは考えたくもないリアルな現実です。
多くの経済関係者の意見が立場を超えて一致している見解は、日本経済はこのまま進めば大恐慌に確実に突入するという見通しです。
それも史上空前の規模で、おそらく昭和恐慌にも匹敵する規模となる可能性があります。
今日はそれを報じた産経の記事をご紹介します。
「政府が4日に決定した緊急事態宣言の期間延長は、新型コロナウイルスの感染拡大で体力を奪われていた日本企業の経営環境を一段と悪化させそうだ。事業の縮小・休業で収益が入らない一方、人件費などの固定費が出続けるためで、延長による経済損失は45兆円ともされる。一部で生産活動を再開する動きなども出てきたが、正常化に向けては予断を許さない状況が続くとみられる」(産経5月4日 『経済損失45兆円の試算、そぎ落とされる体力…宣言延長、予断許さず )
産経前掲
上の倒産件数グラフに感染者数のグラフを重ねてみます。見事にシンクロしているのがお分かりになると思います。
横軸は日付ですが、1月14日の日本における第1例から始まって、3月下旬に入ると拡大が右肩上りになり、4月12日頃をピークとして、4月7日から緊急事態宣言が開始されます。
不運なことにはこの時期は、ちょうど春休みから新入学、そしてゴールデンウィークという年間をとおしてもっとも消費が伸びる時期にあたっていたことです。
「春休み、大型連休と、年間で最も単価の高い書き入れ時を2回も逸した。単に数カ月を失ったわけではない」。政府の緊急事態宣言に伴う外出自粛要請が全国で続く中、あるホテル経営関係者は窮状を訴える」(産経前掲)
恐慌の影はホテルなどの観光業界から始まりました。
「東京商工リサーチによると、新型コロナ関連の破綻は1日夕時点で114件。訪日客も国内旅行者も消えた宿泊業は26件と突出する。4月30日には大型連休期間にもかかわらず、ロイヤルオークリゾート(大津市)、秋芳観光ホテル秋芳館(山口県美祢市)の2事業者の破綻が発覚した」(産経前掲)
観光業はその地域にとって(沖縄が典型ですが)、地域の基幹産業です。
ホテル業という幹に、航空業界、バス会社、みやげ物、飲食店などの枝が連なり、その従業員たちが使う地域スーパー、小売り店にまで暗い翼を伸ばしていきます。
「業種別では、旅館・ホテルなどの宿泊関連をはじめとする「観光関連事業者」が21件、居酒屋、バイキングレストラン、ビアレストラン、ラーメン店などの「飲食関連事業者」が16件。両事業者で全体の7割を占める。
これら53件の経営状態を分析すると、ある共通点が浮かび上がってくる。それは、新型コロナが発生する以前から、債務超過、赤字決算、売り上げ減少といった経営難の状態に置かれていたことだ」(ニュースイッチ4月7日)
ホテル業界は最も最初に、もっとも大きな打撃を受けた業界でした。
「ホテルの月次データを公表している3つのREIT(上場不動産信託)のRevPER(平均客室単価に客室稼働率を掛けた経営指標)を集計したのが下図だ。新型コロナのあおりをもろに食らった今年3月の下落が突出しているものの、業績自体は昨年中頃から軟調に推移していることがわかる」(東洋経済5月4日下図も同じ)
当初、この影響は武漢からの観光客、やがて中国全体の観光客へと拡がり、そして一気に世界すべての観光客がひとりも来ないという今まで想像すらできなかった極限状況が生まれました。
当初はインバウンド頼みの業界だけのことさ、と彼岸視していた他の業種もこのような状況の悪化で足元に火が着くようになってきます。
「新型コロナ」の影響による倒産20件は、インバウンド需要の落ち込みだけでなく、大学休校により教科書販売の減少、材料仕入困難、イベント中止などで業績悪化で倒産に至ったケースもあった。準備中は25件で、宿泊業や飲食店のほか、管材・住宅設備機器卸売、陶磁器卸など、幅広い業種で、3月後半に行き詰まりが急増したとみている。
都道府県別にみると、「新型コロナ」関連の経営破たんは、最多が東京都の6件で、次いで北海道5件、兵庫県4件、大阪府・福岡県が各3件など、25都道府県に広がっている。
業種は、宿泊業12件(倒産5件、準備中7件)、飲食業7件(同3件、同4件)、食品製造業6件(同3件、同3件)、アパレル販売など、インバウンド需要と消費者対象の小・零細企業が圧倒的に多いという。
サービス業や小売業だけでなく、出版業、卸売業、製造業など、経営破たんは幅広い業種に広がっている」(流通ニュース4月8日 上図も同じ)
経営状況でもっとも危惧されるのが、運転資金のショートです。
当初はいままで運転資金がが厳しかった企業が、一気に倒産に追い込まれたケースが多かったのですが、4月以降からは本格的にコロナの影響による消費落ち込みが原因となっていきます。
この時期を乗り切る体力があるかどうかです。中小零細企業主にとってつなぎ資金を借りる理由は支払いと、従業員の賃金支払いです。
ここで固定費を軽減するために従業員を削減していいものかどうか、仮にいったん解雇したら人材がまた来てくれる保証があるのか、つい最近まで人材難で苦悩していた企業経営者は悩みに悩んだはずです。
「目下、企業にとって喫緊の課題は資金繰りだ。日本商工会議所が4月、感染拡大が経営へ影響しているという中小企業に資金繰りについて尋ねたところ(複数回答)、「金融機関への相談を行った」が4割弱を占めた。雇用関係では「雇用調整助成金の検討・申し込み」「従業員の休業実施」「採用・派遣労働者の人数を縮小・見送る」も約2~3割を占めた」(産経前掲)
緊急事態宣言が発せられたのは4月7日で、これは一カ月で終わると想定されていましたが、結局延長されて5月14日まで続きます。
しかしこの10日間の延長は痛恨でした。
連休明けまでと歯を食いしばってきた無数の企業がここで息絶えました。
心理的にも精一杯がんばってきてゴールを切る寸前、ゴールが1カ月先に延びたのですからむごいにもほどがあります。
政府は支援制度があるといっていますが、申請が煩雑で、そんなものを書けるのは専任の経理がいるような企業だけです。
潰れるのはそんな経理もおけないような零細からなのです。
「民間の信用調査会社、帝国データバンクによりますと、新型コロナウイルスの影響で売り上げが減少するなどして経営が行き詰まり、破産などの法的手続きをとって倒産した企業は、7日午後3時の時点で全国で77社となりました。
また、すでに事業を停止して弁護士に対応を一任するなど法的整理の準備に入った企業も42社となり、新型コロナウイルスの影響で倒産した企業は合わせて119社に上っています。
業種別では、ホテルや旅館などが最も多い32社、次いで居酒屋やレストランなどの飲食店が12社、婦人服や靴、雑貨などが10社となっています。
5月始めの時点では倒産件数は114件でしたが、この期間よくて大幅減収、悪くすれば収益ゼロで人件費や敷設費などの固定費が肩にのしかかってくることになります」(NHK月7日)
緊急事態宣言前から一部地域では営業自粛が始まっており、それでなくても消費増税の影響で消費は落ち込んでいました。
それで体力をそぎ落としていた所に、全面的な営業の凍結が丸々2カ月間も続くのですから、一気に倒産する企業が激増して当然です。
鉄板だと考えられていた大企業にも及んでいます。
「製造業の現場では従業員に一定の給与を支払いつつ一時的に休ませる「一時帰休」が広がる。世界的な需要減で工場の一時操業停止や生産調整に追い込まれた自動車メーカーでは、ホンダやマツダ、三菱自動車が生産現場の従業員に対し一時帰休に踏み切った。日本自動車工業会の豊田章男会長は「技術と人材を失ったら回復への基盤すら壊れる」と危機感を語る。(略)
企業も対応を模索する。国内全拠点を6日まで原則休業としていた東芝は7日から事業活動を再開する。工場では6月以降、週休3日制を導入する方向で労働組合と協議する。大丸松坂屋百貨店は7日から全館休業中の8店舗で食料品売り場の平日営業を始める」(産経前掲)
大企業が揺らげば、傘下の下請け、孫請けが揺らぎ、そして地域経済自体が崩壊の危機に瀕します。
これによる経済損失について第一生命経済研究所の熊野首席エコノミストはこう述べています。
「緊急事態宣言の延長は、窮状を深めかねない。第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは、宣言が5月6日から1カ月間延長された場合の経済損失額を累計45兆円と試算する。6日までの損失額(21・9兆円)から上積みされ、ほぼ倍増となる見通しで、政府は経済活動を部分的に容認する姿勢を打ち出した」(産経前掲)
現状で政府が出している支援策は焼け石に水です。
今後、田中秀臣氏の試算で9割にも及ぶ企業の利益損失、未曾有の倒産ラッシュ、そしてその結果起きる70%もの失業の嵐がくる可能性があります。
これに対応するには百兆規模の持続可能給付金、そして個人への直接交付金が必要となるでしょう。
そしてこのコロナ恐慌は世界規模に及んでいます。
かつてのリーマンショック時のようなように中国市場の成長や米国の景気拡大で助かる可能性はありません。
「三菱総合研究所の試算によれば、コロナの影響で経済活動が大幅に制限される状況が6月まで続くと、2020年の世界の成長率は0.5%(19年は2.7%)にまで落ち込み、12月まで続けば、09年以来のマイナス成長に陥る。日本も例外になるわけがなく、19年度、20年度ともにマイナス成長を予測する」(日経ビジネス4月15日)
このような八方塞がりの状況で、今後の影響について、沖縄のアンケートによれば影響がないと答えた企業はわずか3%にすぎませんでした。
「東京商工リサーチ沖縄支店は3月27日~4月5日にかけて実施した新型コロナウイルスに関するアンケートの結果を15日発表した。企業活動への影響について54%が「すでに出ている」、43%が「今後出る可能性がある」とそれぞれ答え、合わせて97%に達した。3月の売り上げが前年同月比で減少した企業は63・49%に上った」(沖縄タイムス4月17日)
とまれ、地獄の釜は開きかかったばかりです。
ほんとうにその悪魔が姿を見せるのは、自粛明けが期待される5月末からです。
●国内感染状況(5月7日正午)
国内感染者17481
退院5146
入院中11784
軽中度・無症状5433
人工呼吸/ICU 300
確認中650 待機中267 症状有無確認中5134
死亡551
西村大臣が大阪モデルについて「違和感がある」そうです。
おいおい、「違和感がある」のはこちらのほうですぜ。
まずは西村さんの弁。
「西村康稔経済再生担当相は6日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う民間事業者への休業要請や外出自粛要請を段階的に解除するための府独自の基準「大阪モデル」を決定した吉村洋文知事について、「何か勘違いをしているのではないか。強い違和感を感じる」と述べた」(産経5月6日)
西村康稔経済再生担当相 産経
西村大臣が吉村知事に「違和感がある」というのは、大阪府が「休業要請を解除する基準を国が示さなかった」と批判しているからだそうです。
「西村氏は休業要請などは新型インフルエンザ等特別措置法に基づく知事の権限であることを踏まえ、「休業要請し、解除するのだから説明責任を果たすのは当然だ」と強調。さらに「知事の権限や裁量を増やしてほしいと主張しながら『休業要請を解除する基準を国が示してくれない』というのは大きな矛盾だ」と不快感を示した」(産経前掲)
西村さん、な~に言ってんだか。順番が逆でしょう。4日の記者会見で基準を国が示さなかったのが、そもそもおかしかったのです。
「吉村氏は自粛解除に向け、「本来は国に(基準を)示してもらいたかったが、示されなかった」と国の対応を批判していた」(産経前掲)
だから大阪府は、何も基準を示さない国に業を煮やして独自の解除基準を作らざるを得なかったのです。
それを独自基準が出来上がってから「オレに解除基準を聞いてくるな」はないもんです。
そもそも言わなかった、あんたがおかしい。
4日の首相会見自体は、いわゆる安倍節で格調がないわけではなかったのですが、肝心要のさまざまな解除の目標値についてはなにも言っていないに等しかったわけです。
それが国民に大きな失望を生みました。
そりゃそうでしょう、国民にとって、なんだこれではどこまでがんばったらいいんだ、どこまでこの半失業・半閉店状態を続けたらいいのかって、目標が定まらなければがんばりようがありませんものね。
しかもわが国より遥かに深刻な感染拡大をした他の主要国は、軒並み制限解除に舵を切りましたからなおさらです。
では首相が何を言ったのか、もう一回この4日の会見から確認することにします。
(首相官邸令和2年5月4日 『新型コロナウイルス感染症に関する安倍内閣総理大臣記者会見』)
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0504kaiken.html
4日の首相会見 産経
●5月4日首相会見要旨
1)首相の現状認識(肯定的側面)
①終息に向けて着実に前進している。
②一時は1日当たり700名近くまで増加をした全国の感染者数が現状では200名程度の3分の1まで減少した。
③実効再生産数の値も直近の値で1を下回った。2)首相の現状認識(否定的側面)
①現時点ではまだ感染者の減少が十分なレベルではない。
②全国で1万人近い方々がいまだ入院などにより療養中である。
③この1か月で人工呼吸器による治療を受ける方は3倍に増えた。
④重症者は治療に長期間を要し、医療ソースを重症者に集中する必要がある。3)今後の対策
①1日あたりの新規感染者を100人未満に減らす必要がある。
②医療機関に余裕を持たせるために、感染した患者の別途収容による退院を進める。
③以上に1ヶ月程度の時間を要する。4)今後の展望
5月14日を目処に専門家に状況評価を求め、可能ならば期日満了を待たずに解除する。
・状況評価の指標
・①地域ごとの感染者数の動向
②医療提供体制の逼迫状況の動向
首相も前進しているとは認識してはいるようです。
感染者数も実効再生産数も減ったというのはそのとおりです。
なら、現状の数値を公表すべきでしょうに。
感染拡大がピークアウトして終息傾向にあることは、毎日転載させて頂いている「ねこおぢ3」様のカレンダーにも明らかです。
今週は、残りが先週1日平均の234人に登ったとしても週計が1300人台に止まるはずです。
実効再生産数も0.37を切るはずです。
国民からすればここまで自粛に協力したんだ、がんばったんだという実感があります。
しかも他国のように政府から強権的に強いられてしたのではなく、国民が自らの自律心で行ったのですから価値が高いではありませんか。
このようなことは民度の高さ世界一を自負するわが国でなければできないことでした。
だからこそさらにどれだけ感染者数を減らしたらいいのか、それはさらに1000人台を切ればいいのか、それとも3月1週のように200人台にまで減らさねばならないのか、そこが分からないからイライラするのです。
もし3月1週レベルなら、5月末ですら解除はむりでしょう、思う存分自粛やっていて、日本人揃って総日干しになって下さい、の世界です。
しかし1000人台ならもう目前。ひょっとすると今週にも達成可能です。
ですから、首相も西村氏も感染者数の解除基準を言わない理由は別にあるのです。
それは重症者が増えているという認識です。
だから重症者の医療ソースのキャパに余裕をもたせるために、無症状・軽症者を病院から移して別途に管理するための時間にあと1カ月はかかるということのようです。
政府も分かっているはずですが、ネックは無症状・軽症者が大量にいることです。
●国内感染者数(5月6日正午)
国内感染者17337
退院4918
入院中11876
軽中度・無症状5541
人工呼吸/ICU 308
確認中652 待機中260 症状有無確認中5115
死亡543
首相は「入院中だけで1万人」という言い方をしていますがウソとまではいいませんが、フェアな言い方ではありません。
なるほど入院中は1万1千人いても、その半分は軽中度・無症状の5千5百人で占められているのです。
そしてさらにそのうち人工呼吸を必要とする重症者に至っては300人ていどにすぎません。
したが ってこの無症状者・軽症者の5千5百人が、病院のベッド数を圧迫している最大の原因です。
首相はこれを動かすのに「1カ月かかる」と言っているのです。
まったく馬鹿な話です。
若くてピンピンしている人たちが大量に入院させられているわけで、当人も早くさっさと退院したいでしょうに。
しかし退院させたくとも指定感染症という法的建て付けが故にできない、宿泊施設も善意のホテルの申し出がないかぎり退院もさせられないというわけです。
一般の国になら国家がどんどんと有償徴発しているでしょうに、国家が非常時ですらいささかも強制力を執行できない、そんな緊急事態法法制なき日本の悲劇というか喜劇です。
こういう現実があっても、緊急事態法ハンタイ、憲法を守れなんて言っていられる野党の図太い神経に乾杯。
誤解を招く表現を覚悟でいいますが、医療を真に求めているのはこの重症者の300人ていどにすぎません。
この重症者300人を理由にして、政府が自粛という名の国民日干し政策を月末まで続けることのほうがおかしいのです。
お前は重症者を見殺しにする気かといわれそうですが、違います。
日本の医療の粋を集めて医療措置を取るべきです。
しかし医療を必要としない無症状者・軽症者は一刻も早く、特定の宿泊施設なり、自宅に帰っていただいて病床を明けてもらいたいということです。
具体的には、各自治体の保有するベッド数との関係で見ねばなりません。
たとえば大阪府の独自基準ではこうなります。
●大阪府の解除基準
病床使用率
・ベット数と入院患者数から算出
・重症者向けには50%未満
・軽症・中等症者向けには60%未満
ただただ「病床が足りない」と言っているのではなく、大阪府のように数字で明確に指標を可視化するべきなのです。
政府がそれをする権限者でありながら、なぜか不透明にして、一カ月延長、月末までガンバレなんて言うから、精神論を言うなと言われてしまうのです。
その上に専門家会議の一部識者のように、他人との接触を「8割削減しろ」という実現不可能な「新社会生活」を押しつけられたら、いくら我慢強い日本人でもキレますよ。
こういう分かりにくさが、世界の主要国で群を抜いて感染拡大の抑制に成功しているわが国政府の支持率の低さに反映しているのではないでしょうか。
首相は14日に解除基準を明らかにするといっていますが、なぜそれが今でそれができないのか不思議です。
そもそもそんなことは4日の記者会見で言うべきだったんですよ。
・世界の感染状況
今の状況について、 絶望論にも、かといって安直な経済論だけにもならない議論がしたいと思います。
世界に新型コロナのウィルスが蔓延している状況の中で、絶望することほど容易な姿勢はありません。
「新しい生活様式」についても不安はぬぐえないでしょう。
なぜならこの社会的距離をおくことが前提となった社会において、今までのように社会が活気をとりもどせるのか分からないからです。
いわば国民が1億総鬱病になってしまうからで、これでは従来の社会を活気づけてきた景気浮揚策の相当部分があらかじめ湿ってしまうことになりかねません。
だからなおさら思うのですが、もういいかげん極論は止めませんか。絶望論を振りまくのはよしてくれませんか。
極論を考えて鬱病に罹ることこそが、今せねばならない社会の再起動を難しくさせる最大の原因となるからです。
ではなにが大事かといえば、それはバランスじゃないでしょうか。
常識と言い換えてもいい。
たとえば、ウィルス制御と経済の活性化とのバランス。
三密を守ることと、ウィルスがいて「あたりまえ」の社会とのバランス。
経済と防疫とのバランス。
専門性と政治とのバランス。
あるいはまた、恐怖と楽観とのバランス。
明と暗とのバランス・・・。
いくらでも思いつきそうですが、これら双方を見渡せる専門家はいないのです。
感染症の研究者は経済を知らず、経済の専門家は防疫を知りません。
お互いに判ったような顔をして罵り合っているだけです。
言い換えれば「全体の専門家はいない」のです。
中西準子先生は『リスクと向きあう』の中で、原子力事故にふれてこのように述べられています。
中西準子氏https://www.ynu.ac.jp/hus/koho/10536/detail.html
「ひとつの環境影響を削減しようとすると、別の影響がでてくる、したがって、その二つの影響を比較する必要があり、そのためにはリスクをできるだけ共通の尺度で比較することが必須だ」(中西前掲)
この考え方の中から、中西先生は「リスク評価」という手法を作り出していくのですが、これはひとつのリスクを削減すると、別のリスクが出てくる「リスク・トレードオフ」の関係だと考えます。
あるリスクを減らしたら、新たに生まれたリスクのほうが大きいこともあると、中西先生は警告します。
この考え方から「リスク学」は生まれました。
簡単に「リスク評価」について説明します。
リスク評価は環境アセスメント(環境影響評価)に使われる考え方です。
ひとつのことをやった場合(あるいはやらなかった場合)に受けるリスクと、そのことによる利益を測って、その双方を天秤にかけてみます。
この軽重で、現実の意思決定するという方法です。
今回の新型コロナによる緊急事態宣言の延長については、おそらくこんなことになるでしょうか。
変数をもっと増やすことはいくらでも可能ですが、モデル化するためにあえて単純化しておきます。
①リスク特定・・・①宣言を延長した場合の経済・社会的リスク
②解除した場合の感染拡大のリスク
②リスク分析・・・①延長した場合、社会が経済的損失をどの程度受けるのかを量る。
②解除した場合どのていど感染拡大リスクが進むのかを量る。
③リスク評価・・・ 延長することによるリスクが、そのことにより受ける経済損失のリスクと比較して、どちらが重いのか、重要なことなのかを決定する。
メディアが文字どおり24時間ぶっ通しで言っているのは、このうちの最初の①「リスク特定」だけにすぎません。
彼らが言うのは、ワンパターンで、「また感染者が出た」「政府は後手後手でなにもしていない」という二つのことを繰り返し手を変え品を変えて言っているだけです。
岡田某に至っては専門家というのもおこがましい悪質なアジテーターで、この人物はかつての原発事故時の武田邦彦にそっくりです。
しかし、岡田某のようなマスコミの寄生虫は置くとして、専門家会議までもが自らが「助言」する立場でしかないことを忘れて、まるで権限者であるかのようにふるまうからおかしくなります。
本来は助言機関にすぎないにもかかわらず、西浦教授に至っては、②のリスク分析も③のリスク評価も飛ばした極論を吹きまくっています。
「新型コロナウイルスの流行対策を何もしなかった場合、国内の重篤患者数が約85万人に上るとの試算を、厚生労働省クラスター対策班のメンバーで北海道大の西浦博教授(理論疫学)が15日、公表した。また、重篤患者のうちほぼ半数の約42万人が死亡すると予測。外出自粛に代表される行動制限によって、感染被害を軽減できるとしている」(毎日4月16日)
当人は「荒野に叫ぶ預言者」気取りかもしれませんが、これでは「ゼロリスク論」の亜種です。
ゼロリスク論とは、あくまでも白い手袋じゃなきゃダメという安心原理主義です
こういう考え方は、原発事故においても、豊洲移転問題においても、はたまたオスプレイでも、日本が分岐点に立つたびに必ず登場し、メディアがその強力な援軍となりました。
このような専門家会議に権限をもたせてしまった政府の責任は重大です。
その中で可能なかぎり極論を中和しようと「値切った」結果が、先日の自粛の中途半端な延長でした。
大阪モデルは、この時期でるのが遅すぎたくらいの政治の側からの対抗軸でした。
コメントにありましたように隣の県の影響など複雑な条件は常につきまとっていますが、まずは発起した大阪府が先行し、大阪圏として発想するべく話あいをもてば解決できないことではありません。
今ほどリスクをトレードオフの関係として見る姿勢が求められている時期にもかかわらず、それをすべき政府の「政治」が見えないのは日本の不幸です。
●国内感染状況(5月5日正午)
国内感染者17188
退院4587
入院中12080
軽中度・無症状5710
人工呼吸/ICU 309
確認中681 待機中279 症状有無確認中5101
死亡521
●世界の感染状況
昨日、首相が緊急事態宣言の延長を説明しましたが、どうやら2週間ていどで見直すといっていましたから、16日前後には専門家会議が詳しく判定するようです。
今の状況において急激な感染悪化は考えにくいですから、中旬には事実上の終了が宣告されることになると思います。
「政府は4日、基本的対処方針の改定に伴い、全国の都道府県知事に、イベントの開催や営業自粛の要請を緩和する際の目安などを通知した。
重点的な対策が必要な13の「特定警戒都道府県」でも、図書館や屋外公園の再開を容認。ゴルフ場ではロッカールームでの接触を避けるといった対策が取られれば、自粛要請の緩和を含めて判断するよう求めた。
それ以外の34県ではイベントの開催を認める。想定するのは最大50人程度で、歌唱を伴わない演奏会や茶会、野外イベントなど。集団感染が起きていない劇場や映画館、百貨店、学習塾なども再開できるとした。いずれも感染症対策を講じていることが前提だ」(朝日5月4日)
34自治体は制限つきでイベントもやっていいし、飲食店の営業自粛も緩和します。
残った13の特定警戒都道府県も、図書館や公園は再開ですから、首長判断で多くの公共施設が再稼働すると思われます。
これを聞いたらまた日本をなにがなんでも貶したい欧米のメディアは、「なにが宣言の延長だ。またデタラメだぁ」って怒りますよ。
ま、そのとおりスカスカです。というか、スカスカにしたんです、あえて。
それにしても歯切れが悪い。なんなんですかね、このモゴモゴ感は。それについて考えてみました。
たぶん首相が欲しかったのは、メディアの一面見出しに「緊急事態宣言延長」と書かせることだったのではないでしょうか。
新聞がデカデカと「宣言延長」と書けば、国民はああ、そうかと思いますわな。
しかし内実は先に書いたとおりあえてスカスカに骨抜きにしてあるし、首長判断で柔軟に(別な言い方をすれば狡猾に)運用してもかまわないのです。
しかしあえてここで「宣言延長」と言うことによって、国民に対して「まだ安心するなよ、北海道のようにまた悪くなることもありえるのだから」というメッセージとなります。
ここで終了を宣言したらさぞかしセイセイするでしょうから、一気に今夜の夜の街はガオォーとなっちゃいますからね。
特にいまでも微妙なところにいる東京でそれをやったら、3密解禁のドンチャン騒ぎのツケを2週間後に払うことなりかねません。
だからそうはさせずに、いまでも安全な自治体から段階的に解除していったのです。
中央で発言しているのが尾身茂副座長 時事
次にメンツです。なんだと言わないで下さい。
政府は昨日の記者会見にも専門家会議の座長を同席させていたほど彼らを高く買っています。
たしかにそれだけの働きをしました。彼らの知見の提供なくしてはここまで来られなかったでしょう。
彼らは世界屈指の感染症のエキスパートです。
しかし彼らの任務の大部分は終わりつつあるのです。
吉村大阪府知事風にいえば「出口戦略」(普通は中央銀行が金融緩和を止める時に使うんですが、ま、いいか)を策定するときに、彼らいかにも専門家らしい完全主義は障害物になりかねないからです。
憶測に過ぎませんが、この会見でも詳細な数値を言わなかったのは、専門家会議と政府の意見が一致しないからではないでしょうか。
ハッキリ言って、政府は一刻も早く日本経済を殺しかねない自粛なんか解除したいのです。
昨日も首相は「中小業者の苦しみは痛いように判る」と言っていましたが、それは正直な吐露だと受け取りました。
たぶんこのまま自粛が続けば、失業者は70万人に達し、失業率は田中秀臣さんの試算で70%にも達し、収益の損失は90%。
リーマンショックなどほんの風邪くらいの大恐慌に突入するとみられています。そして恐慌は多くの自殺者を生みます。
掛け値なしに戦後最悪の経済危機が確実に眼の前に来ています。
ですから政府は、実効再生産数が目標の1を切ったのだから、自粛は解除するべきだと思っていてもいささかも不思議ではありません。
それに強く抵抗したのが、おそらく専門家会議です。
彼らの使命は「コロナ根絶」であって、国民経済の救済ではありませんから。
それは首相がとうとう最後まで解除の基準となる具体的数値を言わなかったことでもわかります。
いえば専門家会議のメンツを潰すからです。
たしか実効再生算数が1を切ることと、どこかで言っていた記憶がありますが、ついぞそれからそれについては言及しなくなりました。
その理由は、とうに1を切っているからです。
おさらいになりますが、実効再生産数についておさえておきましょう。
「ある感染症にかかった人が、免疫をまったく持たない集団に入ったときに平均で何人に直接感染させるかを表す数値を「基本再生産数」と呼ぶ。それに対して「実効再生産数」は、手洗いや接触機会の削減といった対策が取られたうえで、1人の感染者が平均で何人に直接感染させるかを表す数値のことを指す」
https://graph-stock.com/graph/covid19-effective-reproduction-number-in-japan/ 下グラフも同じ
ひとりがひとりに感染をうつせば実効再生産数は1となりますが、これが1を割り込むと感染力が弱まって言っているということになるわけです。
専門家会議に提出された資料によれば、国内全体の実効再生産数は、3月25日は2.0だったが、その後は減少しており、4月10日の実効再生産数は0.7となりました。
また東京の実効再生産数は3月14日は2.6だったが、宣言が発令された以降の4月10日には0.5まで減少し、今は0.37と推定されています。
発表しないんだから推定するしかないのです。発表してしまえば、じゃあ目標を切ったんだから解除しろという世論が強くなりますからね。
このように政府と専門家会議との間にズレが生じており、しかも政府としてもまだ専門家会議の意見を否定するには早すぎるデリケートな時期にあるからです。これが具体的数値を言わない理由だろうと、私は思います。
そしてもう一つは自治体首長への配慮です。
ここで宣言を全面解除してしまったら、首長たちが打つ対策の法的根拠を奪うことになります。
たとえばもっとも意欲的に「出口戦略」を考えている吉村大阪府知事の外出自粛要請解除の基準はこのようなものです。
●大阪府が使用を検討している解除のための指標
①病床使用率
・ベット数と入院患者数から算出
・重症者向けには50% 未満
・軽症・中等症者向けには60% 未満②PCR 検査の陽性率
③実効再生産数1以下なら感染が終息に向かっていると判断
大変に現実的な解除指標です。
医療機関の病床数に余裕があれば、新たに感染患者が出ても対応可能ですし、余裕がないなら医療機関を守るために終息を控えるべきなのです。
このように各自治体で目標が鮮明になれば、いかにしてベッド数を増やすのか、いかに重症者のための人口呼吸器などを確保するのか、医療従事者を保護していくのかなど目標が見えてくるはずです。
小池知事もパクったらどうですか。
とまれ、ただただひたすら自粛では1億総鬱病になりかねませんからね。
●全国の感染者カレンダー
毎日、ねこおぢ3より引用させていただいております。ありがとうございます。下も同じ。
●大阪の感染カレンダー
●国内感染者詳細(5月4日正午)
国内感染者16974
退院4496
入院中11968
軽中度・無症状5672
人工呼吸/ICU 308
確認中691 待機中276 症状有無確認中5021
死亡510
今日、首相から正式に発表されるので、 詳しくは そこまて待たねばなりませんが、おおよその政府の非常事態宣言についての考えがわかりました。
一部の厳重監視地域を除いて段階的緩和です。「宣言延長、特定警戒都道府県とそれ以外分けて考える必要-西村再生相
西村康稔経済再生担当相は3日の記者会見で、4日に緊急事態宣言を延長することに関し、東京など「13の特定警戒都道府県とそれ以外の34県は分けて考えるべきだ」と述べ、感染防止策を取った上で社会経済活動を徐々に容認する方向で検討していることを明らかにした。
西村再生相は13都道府県では「まだ収束に向けての新規感染者の減少の仕方が8割削減前に比べ緩やかになっているので、延長して引き続き8割接触削減をお願いする」とする一方で、それ以外の県は感染防止策をしっかり取った上で「一定の緩和を容認していく方向で調整している」と語った。
13 の都道府県についても、公園や美術館、博物館、図書館などでの社会的な活動を一定程度認めてもよいのではないかとの提言が専門家から出ていることを受けて、「明日の専門家会議の議論を踏まえてしっかり対応していきたい」と述べた。
政府の専門家会議は4日に会合を開く。西村再生相は感染予防を重視する新しい生活様式について「より具体的な例示、提案が行われる見通しで、基本的対処方針でもしっかり明記していきたい」と述べた。
緊急事態宣言の延長は「7日からあらためて1カ月程度で調整するが、それぞれの地域の感染状況を例えば2週間程度置いたところで評価をいただくとか、特にこの点は専門家の皆さんも是非行いたいと意見もいただいている」と語った。
(ブルームバーク 2020年5月3日)
私は妥当だと評価します。
当初は全国の都道府県がベタで月末まで延長でしたから、34の自治体ということは3分の2は解除方向だということになります。
これらの段階的解除に向かう自治体は、2週間ていどおいてから再評価するということにするようです。
また残りの13の都道府県についても公園・図書館・美術館などの公共施設については制限つきで開放するようです。
日本全国で見た場合、明らかに感染拡大は下降トレンドに入っています。
ねこおぢ3様より引用
●国内感染状況(5月3日正午)
国内感染者16746
退院4385
入院中11869
軽中度・無症状5667
人工呼吸/ICU 321
確認中667 待機中284 症状有無確認中4930
死亡492
さらに神奈川(オレンジ)・北海道(濃オレンジ)・大阪(グレイ)・東京(青)・日本全国(赤)で表示されています。
クリックすると大きくなります。
はるさまツイートより引用https://twitter.com/RZbrIk87AeuxoJy
注目の東京(青線)ですが、宣言前の3月下旬には4.6倍だったものが、4月下旬には0.7倍となって明らかにピークアウトしていることを示しています。
横軸に見にくいですが日付が刻んでありますが、中央よりやや右の4月11日から14日にかけてが感染のピークでした。
このピーク時は感染カレンダーを見るとわかりますが、4月2週、3週にかけて週計で3千人を超える感染者を出していますが、現在はその半分の1600人ていどです。
このピークアウト傾向は木走氏の作った「5日移動平均」でも同じ結果がでています。
5日移動平均とは、曜日だけでみると1週間の集計が出る金曜日がもっとも高くなる一方、日曜・月曜の両日が極端に低く出てしまうのをならすために、「時系列データにおいて、ある一定区間ごとの平均値を区間をずらしながら求めたもの」(木走日記)だそうです。
https://kibashiri.hatenablog.com/
まずは5日間移動平均でみると全国の感染推移はこのようになります。クリックすると大きくなります。
木走日記から引用
「5日移動平均』の動きを見れば、4月12日567.8人という値のピークから、5月2日252.8人まで半減以下の減少が続いているのがわかります。
着目いただきたいのは『5日移動平均』の動きで、東京都のピーク4月12日174.6人と、日本全体のピーク4月12日567.8人が、同じ日であることです。
ここに数学的に必然性はまったくないのですが、日本の中で最も母数のウエイトの高い地区東京がピーク値を記録すれば当然その値は日本全体に波及するということであります」(木走前掲)。
このような全国の感染状況を俯瞰した場合、全国知事会の結論には疑問がでます。
「この中では、緊急事態宣言について、「感染者数の推移は予断を許さず、一部の地域で宣言を解除すれば新たな人の動きを生じさせ、感染が拡大するおそれがある」などとして延長を求める声が相次ぎました」(NHK4月29日)
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20200429/7000020684.html
このような言い方をすれば、仮にひとつの自治体で感染が増加しようものなら、「人の動き」で全国が再増加するということになってしまいます。
こういう言い方は一種のゼロリスク論で、こんな言い方をしていれば「感染はなくなることがない」のですから、永久に解除は不可能となってしまいます。
地域経済や社会の疲弊を睨みながら感染拡大を防止する立場の自治体首長がとるべき立場ではないはずです。
結局、首長たちは政府に判断を預けてしまいたいことなかれ主義なのでしょうか。
一方、このような反対意見もあったようです。
「これに対し、佐賀県の山口知事が「大型連休でメドをつけたいという強い気持ちで取り組んでおり、住民も疲弊している。いまの段階で延長を求めることは違和感を感じる」と述べたほか、愛媛県の中村知事は「宣言の延長は国が総合的に判断すべきもので、地方側から一律の延長を求めるべき問題ではない」とする意見書を提出しました」(NHK前掲)
まさに佐賀県知事のいうとおりです。住民の疲弊はピークに達しつつあるのです。
これは実感でおわかりでしょう。こんな雪隠詰がいつまでも続けば、守らないという形で内部から自粛が崩壊していきます。
吉村大阪府知事
一方、吉村大阪府知事は大阪府で独自基準を作るとしています。
「大阪府は緊急事態宣言に伴う自粛を段階的に解除するための府独自の基準について、5日に公表すると明らかにしました。
大阪府の吉村洋文知事は対策本部会議で、自粛の長期化によって大阪の経済活動が停滞し続けることへの懸念から府独自の解除基準を作る方針を示しました。
吉村洋文大阪府知事:「大阪の指標としてはまず重症、それから中等症の医療体制がどのくらい整っているのか」
基準の一つとして、15日時点で確保できているベッド数あたりの入院患者数が一定の割合を下回ることを挙げました。一方、専門家からは「感染者数の減少のスピードはそれほど速くないため、自粛を緩めるのはリスクが大きい」として自粛解除に慎重な意見が出ていることから、府はさらに検討して5日に基準を公表するとしています」(朝日放送5月3日)「大阪府の吉村知事は、1日夜、記者団に対し、「きちんとした客観的な出口戦略がないと、何を目指したらよいかわかならい。国がやらないのならば、府として客観的な数値基準を決める。府民全員が共有する基準を大阪モデルとして作っていく」と述べました」(NHK5月1日)
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20200501/2000029226.html
まったく正解です。そもそも緊急事態宣言は国から自治体への権限委譲なのですから、最終的には自治体首長が自分の地域を見て、独自の判断基準を設けていけばいいのです。
吉村知事は、「確保できているベット数あたりの入院患者数が一定の割合を下回っている」ことなどを基準にするとしています。
この大阪のように医療機関のキャパとの関係でみるのが現実的です。
たとえば一例を上げると
①感染者全体に対する軽症者・無症状者用施設の収容数
②入院者数に対する確保できるに病床数
③重症者に対しての人工呼吸器数
もちろん基準は地域独自の特性を折り込んでいくものですが、国がなんの数字的根拠を示さないのが間違っているのです。
実効再生産数すら出さないなんて、いったいなに考えているのか。
今回の政府の対応はおおむね正しいと思いますが、リスクコミュニケーションについつては反省してもらわねばならないことが多々あります。
だからテレビのコメンテーターの煽動に負けて、支持率を落すのですよ。
閑話休題。
では政府の役割とはなんなのでしょうか。ひとことでいえば、それは「調整」です。
各方面の意見を聞きながら「政治的結論」を出すことです。
この場合の各方面とは専門家会議、全国知事会そして経済・社会などですが、これらを「調整」しながら政府の政策に結論に落としこむことです。
それが政治家の仕事です。
その意味で、この吉村知事の政府批判はあたっています。
「今回の新型コロナウイルスに対する国の動きを見ていると、時にもどかしく思うことがあります。非常事態に直面しているにもかかわらず、官僚が言っていることをそのまま受け入れ、政治判断を躊躇しているのではないか。僕にはそう見えてしまうのです」
https://bungeishunju.com/n/naed0d941ef15?gs=7433e09d4196
私は金曜日の専門家会議の意見を聴取した後の首相の短いインタビューに大きな危惧を感じていました。
ああまで専門家の言うことに従順でよいのか、と。
というのは、専門家が政府から聞かれていることは、あくまでも「新型コロナ感染の撲滅」であって、自粛による経済・社会の影響ではありません。
ですから専門家は政府から問われれば、かならず「感染による死亡者がゼロとなる方法」を進言します。
それが専門家会議の使命だからです。
また専門家会議は研究者の集まりですから、死亡者数の絶対値を小さくするほど是だとかんがえますから、緊急事態宣言は年末までやってもいいくらいに考えているはずです。
更に同じ医療関係者でも、コロナの最前線で戦っている医師、看護師、検査技師が、現在どのような過酷な状況に置かれているのかを代弁する立場でもありません。
一方、政府の役目は必ずしもそうではありません。
政府の役割は国民の「最大幸福」です。そのために、今、国民に「最大不幸」をもたらしている経済・社会の仮死状態を防がねばなりません。
ここで宣言が長期化すれば、経済の心臓が止まり、経済的理由によって命を絶つ国民が激増するはずです。
コロナの死亡者は減ったが、自殺者が激増してしまったでは政府は失格なのです。
●世界の感染状況
●NO!「集・近・閉」
首相が非常事態宣言を今月末まで引き延ばすなんて言っています。
なんちゅうこった、大丈夫ですか、安倍さん。そんなことをしたら日本は間違いなくとりかえしのつかない仮死状態になります。
首相がなにを考えているか月曜の記者会見まで待たねばなりませんが、月末までするなんてもってのほかです。
ただちに段階的解除に踏み切るべきです。
そもそも緊急事態宣言の目的はなんだったのでしょうか。感染症専門医の忽那(くつな)賢志氏はこう端的に述べています。
忽那医師は、テレビでヨタ飛ばしている自称「公衆衛生専門家」とは違って、コロナとの戦いの最前線で戦っている医師です。
「緊急事態宣言の目的は実効再生算数を1未満に抑えることです。
実効再生算数とは、1人の患者から何人に新型コロナがうつるのかということです。
実効再生算数が1未満になれば新型コロナは自然と収束していきます。
緊急事態宣言という積極的介入(ハンマー)を行うことで、実効再生算数を大きく下げて1未満にすることが今求められています。
そして、新規症例数が減り実効再生算数が1未満を達成した後は、緊急事態宣言のような強力な介入は必要ではありません」
(忽那賢志 『緊急事態宣言 私たちにできること』4月9日)
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200409-00172039/
感染症医はこれを「ハンマー&ダンス」という表現で説明しています。一瞬なんのこっちゃと思いますが、説明されるとなるほどです。
「非常事態宣言の狙いは流行のピークを抑えることです。
これまでに学校の休校、三密を避けるなどの対策が行われてきましたが、今回さらに人と人との接触の機会を減らすためにより積極的な介入が行われたという訳です。
Thomas氏はこのような積極的介入によって流行曲線の頭を積極的介入(ハンマー)で叩き新規患者数を抑え込み、持続的介入(ダンス)によって流行を防ぐという考えを提唱しています(Hammer and Dance)」(忽那前掲下図も同じ)
上図は韓国の感染者数の推移(COVID-19 Global Cases by CSSE at JHU)ですが、実は中国も韓国も意図的かどうかわかりませんが「ハンマー&ダンス」をしています。
感染拡大が進んでいる状況の場合、上図でいえば左3分の1あたりの状況ですが、ここで政府がすべきはハンマー、つまり積極的介入です。
この時期にはもっとも厳しい措置としては都市封鎖(ロックダウン)をしてなにがなんでも三密の芽を積んでしまうことが大事です。
実は武漢も同じことをやっています。(忽那 前掲)
中韓の例は、全体主義的統制や数字の偽造が指摘されているので簡単にうなずけないかもしれませんが、彼らも「ハンマー&ダンス」手法を採用したことは間違いないのです。
実は日本でもいち早く緊急事態宣言を出した北海道では同じような方法をとっています。
上図は専門家会議の「北海道における感染者数と実効再生算数(「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(2020 年 3 月 19 日)です。
「北海道は、2月中旬から新型コロナ患者の急激な増加がみられていました。
しかし、2月28日に北海道知事による緊急事態宣言(ハンマー)が出されることにより、北海道での症例数は減少傾向となり、現在も散発的な症例は報告されていますが、爆発的な増加は抑えられています。
北海道は日本でもハンマー&ダンスが実行可能であることを示してくれました」(忽那前掲)
日本の場合も、お国柄で緊急事態宣言という「自粛のお願い」がとられましたが、意図は一緒です。
ハンマー期(積極的介入期)で大事なことは、死亡者を増やさないために医療機関を守ることです。
よくテレビでは「PCR検査をしていないから感染者数が低く抑えられているだけだ。政府にだまされるな」なんて言っている人が大勢いますが、違います。
なるほど確かに診断されていない新型コロナの感染者は多くいるでしょう。
「感染者が爆発的に増加していたニューヨーク州で3000名に行われたところ13.9%が陽性であったと発表されており、診断されているよりも実際にはずっと多くの感染者(おそらく無症状~軽症)がいたことが分かります」(忽那前掲 下図も同じ)
では、ニューヨークのようにPCRをやりまくったからといって致死率が下がったのか、といえばそうではありません。
致死率はPCRの検査率とは別なのです。下図を見てください。
上図は各国の新型コロナウイルス 感染症患者の致命率 (John Hopkins大学COVID-19 Dashboard)ですが、日本はPCRを積極的にしたシンガポールと並んで最下位に位置しています。
ではニューヨークはといえば140.0という悲惨極まる致死率となっています。
このように、致死率とPCR検査率は比例しないのです。検査論者がいうように潜在的感染者が多数いたとしても、致死率が少なければよいのではありませんか。
医療の目的は検査をすることではなく、生命を守り死亡者を少なくすることですから。
検査はその一つの手段にすぎないことを忘れて、白黒をつけたい国民心理に忍び込んで検査しろと騒いでいる人がいるから困ります。
どこぞの国のように棺桶と政府公表の死亡者数のケタが違うならいざしらず、「それで都市封鎖しているつもりか」と海外から言われ、「検査もしねぇで感染者隠ししてるんだろう」と悪罵をなげられながらも、死者は少ない、これが日本の感染症対策が諸外国よりうまくいっているなによりもの証拠です。
この日本の致死率の低さはもう何度も説明していますが、 感染拡大初期にあえてPCRを保健所へと迂回させ、確定診断にのみPCRを使ったことです。
PCRは枯れた技術ですが、検査方法が煩雑で時間がかかりすぎるうえに、検査技師がせねばならないために医療が圧迫されます。
ですからPCR検査によって陽性者が一気に増加すると(しかかもその3割は偽陽性だから困ったもんですが)、患者が多すぎて救える人も救えなくなる事態を回避したのです。
「これは横軸が時間(日)、縦軸が重篤患者数(人/10万人あたり)のグラフですが、赤線は日本国内の使用可能な人工呼吸器台数(人口10 万人あたり)です。このまま新型コロナの流行が拡大を続け、患者数がオーバーシュートすると、肺炎がひどくなって本来人工呼吸器が必要な人も、人工呼吸器の数が足りないせいで使うことができなくなってしまいます」(忽那前掲)
これを実際にやっちまったのがイタリアやニューヨークです。しかも新型コロナの患者だけでICUや人口呼吸器が占有されてしまうために、他の疾患の患者までが助からなくなります。
岡田女史がいうとおりやったら、今どき東京はニューヨークと化していたことでしょう。この人の口からでまかせの煽動は国民の命に直結するだけに悪質この上ありません。テレビ局はこんなアジテーターをダラダラ使うのをいい加減やめてくれませんか。
さて、以上の対処方法において日本政府はおおむね及第点をつけてもいい対応でしたが、ここで緊急事態宣言解除の時期になってなぜかたたらを踏んでいます。
確実に感染は減少しています。下図は全国の新型コロナ患者発生数の推移(都道府県別新型コロナウイルス感染者数マップ ジャッグジャパン株式会社より)です。
また、東京都の新型コロナ患者発生数の推移(東京都 新型コロナウイルス感染症 対策サイトより)をみれば一目で感染者数が減少に転じているのがわかります。
もう一枚「ねこおじ3」が毎日アップされている感染者数の日別カレンダーです。前の週からの増加数が1000人を切るまであと一歩です。
河野太郎氏か毎日アップしている国内感染状況です。
●国内感染状況(5月1日正午)
国内感染者15981
退院3981
入院中11568
軽中度・無症状5670
人工呼吸/ICU 328
確認中675 待機中287 症状有無確認中4608
死亡432
ヨーロッパは日本以上に凄惨な状況でしたが、すでに都市封鎖の解除を開始しています。その基準はドイツを例にするとこのようなものです。
たしかドイツの例だったと思うんですが、、、
①基本再生産数が1未満
②PCR検査能力の増大
③ICUの確保
①の実効再生産数は、とうに1を切っている。3月末の東京の実効再生産数は1.7、4月10日は0.53にまで下がり、現時点で0.37。
②のPCR検査は、国の対処方針が違うので一概には較べられませんが、忽那医師によればそうとう充実してきています。
③は、軽症患者・無症状者のホテルへの移送を開始していますから、医療従事者にかかる負担は大分軽減されたはずです。
このように考えると、政府があと緊急事態宣言を一カ月延長するという真意がわかりません。
重点監視クラスターと老齢者を残して、解除に踏み切るべきです。
これ以上の自粛は、日本を殺します。
ハンマー期(積極的介入期)を解除して、ダンス期(持続的介入期)に入るべき時です。
●世界の感染状況
ところで、このところ日本では忘れられたキャラとなっていますが、ロシアさん、いかがなさっているのでしょうか?
ほとんど日本では報じられていないのですが、ロシアの感染拡大もなかなかのものがあります。
「ロシアの感染者10万人超に 段階的な外出緩和探る
【モスクワ=小川知世】ロシアで新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない。感染者数は中国やイランを上回り、30日に10万人を超えた。3月末から続く外出制限で経済への打撃も深まり、5月半ば以降の外出制限の緩和を探る。緩和を急げば感染拡大を招きかねないジレンマに直面し、国民の不満増幅を避けたいプーチン政権は正念場を迎えている。
「感染拡大との闘いの最も厳しい段階にある」。プーチン大統領は28日に開いた地方首長らとのテレビ会議で語った。冒頭で同氏は人工呼吸器の増産や病床の増設などを列挙して成果を強調した。30日までとしていた外出制限を5月11日まで延長する一方で、同日以降の段階的な制限緩和に向けた計画をまとめるように各地方に指示した」(日経4月30日 下写真も同じ)
なかなか厳しい状況ですから、5月の戦勝パレードは取り止めるそうです(あたりまえだ)。
戦勝パレードクラスターなんて悪い冗談ですからね。
それはさておき、これは「もらいコロナ」であることははっきりしていて、中国から国境を超えてシベリアに感染拡大してきました。
すでに2月の時点で、ロシアは中露国境を閉鎖し、沿海州に非常事態宣言を出していますが、感染は拡大の一途を辿り、とうとう10万人を超えるような事態になりました。
そのために病床不足が深刻化し、ロシア海軍の病院船「イルティシュ」まで、ウラジオストクに急遽回航しています。
ちなみに米海軍はNYに1000床保有する病院船「マーシー」を回航しましたが、現在使用されているのはわずか8床だけにすぎず、市民をがっかりさせています。
というわけで新型コロナでロシアは都市閉鎖に追い込まれているわけですが、同時にロシア経済の背骨である原油相場が、ご承知のようにバキバキと折れていこうとしています。
下図は原油国際市場価格の推移ですが、ひところはバレル・マイナス40ドルとなるなど、すさまじいものがありました。
マイナスというのは、買うほうが「油を保管にもコストかかるからもう一滴もいらねぇよ」と言っているのに対して、売るほうが「そんなこと言わんで、40ドル出すから引き取ってくんねぇか」と言っていることになります。
なんじゃ原油は産業廃棄物か!?日本のGSでも100円台ですもんね。
https://www.asahi.com/articles/ASN4P6HPNN4PULFA01H...
これは新型コロナの影響による航空産業の需要減、各種経済活動の抑制による需要減、市民生活の低迷による自動車燃料の需要減と三重苦が重なり、世界の石油需要量は30%減という状況となっています。
これを反映したのが今の国際原油相場で、これではもちろん中東のOPEC諸国は干上がってしまいます。
中東諸国は金融と観光に力を注いでいますがやはりなんといっても原油からの売り上げが国家財政を支えていますから、この相場が続けば遠からず国家倒産に至ることでしょう。
それではマズイということで、急遽2020年3月8日と4月9日にOPECとOPECプラスが会合を持ちました。
この「OPECプラス」というのは、ロシアや米国がOPECに加盟していないからです。
実は米国もこの原油安に衝撃を受けていて、バレル40ドルを切るとシェールガスは採算に合わなくなってしまうために、米国自慢の「世界最大の原油生産国」のメッキがポロポロと剥がれ落ちていくことになります。
まぁ、まだ力が残っている米国は一時的に国有化してでも救済するでしょうが。
困っているのは、第2位のサウジと第3位のロシアです。
当初はロシアが減産に大反対し、それに怒ったサウジが怒りの増産を表明するなど、産油国感の内ゲバの様相を呈していたのですが、あまりの暴落ぶりにハタっと我に帰ったロシアが歩み寄って協調減産となりました。
約1000万バレル/日の減産で話がまとまったのは、実は会合には呼ばれなかったものの第1位の生産国のトランプが舞台裏でロシアとナシをつけたようです。
まぁトランプとしてはこの両国が米国のシェール潰しで手を握っていたのは百も承知ですが、もうそんなことは言っていられなくなったというお家の事情のようです。
結果、合意した23か国の減産量は、世界生産量の13%以上、日産970万バレルとなりました。
日産1000バレルとさらっと書いてしまねましたが、これはサウジの日量に匹敵するものすごい量です。
ところがこれだけ生産を落とせば、相場が落ちつくかとおもいきや、まったくダメ。
かえっていまや日産1000バレルていどの協調減産では焼け石に水だ、ということがはっきりしてしまう結果となってしまいました。
つまり新型コロナの感染拡大の大波を真っ向から浴びてしまったのは、欧米にとどまらず、中東、ロシアなのです。
ポストコロナの時代は、中東のキイマンだったサウジ、ロシアの二国の足元がガタガタで、他の産油国も首を並べて討ち死にですから、どうなりますことやら予想もつきません。
ところでロシアが何で食べているかご存じでしょうか。
ズバリ原油です。これ以外にロシアが売るものは、キャビアとイクラくらいなもんです。
ウラジーミル・プーチンは、1998年のロシア金融危機で打撃を受けた経済を建て直し、大きく経済成長させましたが、それは原油・天然ガスの輸出に徹底的に依存したからです。
そのためにプーチンはガスブロムなどの大手石油関連公社を垂直統合させ、独占体制を作り上げ、そこに国が集中投資をしました。
この原油生産体制の再編により、ロシア政府の財政収入の半分はいまや石油・天然ガス輸出収入に頼っています。
ロシアには原油以外に輸出して外貨を稼げる商品がありませんから、もはや原油なくしては生きられない石油中毒体質というわけです。
プーチン支持率はやや低下傾向にあるもののいまだにすさまじい高さを誇っていますが、その理由は一にも二にもロシア経済を発展させたからです。
ロシア経済はプーチンが首相になった1999年から7%程度の経済成長を続けています。
ソ連崩壊による国家存亡の危機とその後の金融危機から、一転して中国並の高度経済成長に突入したのですから、国民が民主主義を踏みにじられようと、言論を抑圧されようと、はたまたイランと結託して中東で火遊びをされようと、つい支持してしまうのはわからないでもありません。
西側の制裁を招いてしまったウクライナですが、あれは民族主義をくすぐる材料にこそなれ、マイナスにはならんのですよ。
つまりプーチンの権力基盤は原油そのものなのです。原油なくしてプーチンなし、プーチンなくして原油なしです。
プーチンは政権掌握翌年の2000年には経済成長率8%を叩き出し、以後おおよそ7%台前後を推移しています。
この時期にプーチンはガタガタになったロシア軍を再建して、再び米国と並ぶような精鋭な軍隊に建て直しています。
ソ連帝国を再建し、西側をギャフンといわしてやる、これが彼の政治的理念のすべてです。
前掲
このようなロシアが今陥っているのが超原油安なのです。
おそらくポストコロナにおいて、「中東の三悪人」ことサウジ、イラン、ロシア三国の激しい衰退と混乱は、中東情勢を大きく塗りかえるかもしれません。
またこのような急激な国家の富の崩壊は、かつてのソ連崩壊時しかなかったことで、意地が悪くて恐縮ですが、北方領土問題をかかえるわが国としては待ってましたの時期であることは間違いありません。
●世界の感染状況
国内感染状況(4月30日正午)
国内感染者15608
退院3466
入院中11727
軽中度・無症状5855
人工呼吸/ICU 308
確認中692 待機中310 症状有無確認中4562
死亡415
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