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2020年5月14日 (木)

東京都の解除を阻む三つの壁

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政府がやっと解除基準をだすようですが、日経がたぶん政府のリークを流しています。
このコロナ禍になってからというもの、誰がやっているのか政府はちゃんとした説明の前に風見鶏を回して世論を観測するのを常としています。
今回もその伝で、そもそもこんな解除基準など4月7日の宣言開始時に出しておくもので、ましてや延長すると言いながらその解除基準も出さないんですから、おいおいです。

「政府は新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言で、重点的に対応する「特定警戒都道府県」に東京都と大阪府、北海道などを引き続き指定する方針だ。特定警戒だった茨城、愛知、岐阜、福岡の各県と、特定警戒ではなかった34県は宣言の解除を検討する。解除基準の原案も判明した。(略)
宣言を解除する基準は専門家会議が作成中だ。12日に判明した原案によると「直近1週間で10万人あたりの累積感染者が0.5人以下」を解除の目安の一つに挙げた。人の往来による感染の再拡大を避けるため、近隣の特定警戒都道府県の感染状況も考慮する。PCR検査の陽性率を指標に加えることも検討している。
直近1週間の10万人あたり感染者が0.5人を上回っていても、同1人程度で感染経路が特定できている割合が多いケースなどでは解除を選択肢にするという」(日経5月13日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58992530S0A510C2MM8000/

現金給付の時にもおもいましたが、政府は一回国民をガックリさせてから、風を読んで修正かけるつもりなんですかね。

それがなんとまぁ「1週間で10万人あたりの累積患者数が0.5人以下」だそうですから、東京都の人口に合わせれば、約1千万人あたりその10倍の50人以下ということです。
しゃーない、それで考えていきます。

まずは直近(5月12日現在)の東京都の感染者数をみてみます。

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●東京都の直近の感染者数
5月10日 22人
     11日15人
     12日28人
先週平均値21人

なんとか1日平均は50人以下を下回ってはいますが、1週間にすると先週並に21人/1日で推移すると、149人です。
原案の「1日1千万人あたり50人以下」の3分の1です。
「1日50人以下」を示したのは、3月第3週の49人が最後ですから、新規感染者数が3月初めの線にまで戻らないと解除しないということになります。

では感染数の推移をみてみましょう。クリックすると大きくなります。
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青線が東京都ですから、3月1週から3週は横軸の最も右端です。
この線まで下げろと、むちゃ言わんどいて。

では大阪府はどうでしょうか。これも直近です。

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●大阪府の感染状況
5月10日11人
    11日1人
    12日6人
先週平均値10.8人
推定 61人

大阪府の人口は924万人ですから、ほぼ東京と一緒とみなすとして、「1週間で50人以下」の目標値クリアは眼前です。
おそらく大阪府は今週中にクリアする可能性がありますが、東京都は陽暮れて、なお道遠し状態に置かれます。
たぶん今月末はもちろん、1カ月先まで伸ばしてもクリアできるかどうか・・・。

北海道を別にして、都市部では東京都が今後どのようになっていくのかが焦点となります。
というのは、おそらく先述したように1千万人あたり50人以下という数値は達成が極めて難しく、これを墨守してしまうと東京という日本計さいの中枢は心肺停止状態のまま置かれることになるからです。
言い換えれば、感染拡大云々以前に経済状況が許さないところまで来ています。

となると2番目には、もうひとつの目安である、「10万人あたり1人程度で感染経路が特定できている割合が多いケースなどでは解除を選択肢にする」という点です。
ここで一気に東京都の経路不明の数が焦点に浮かび上がってくることになります。

東京都の感染経路がわからない数は、5月10日現在で感染者22人中12人と約半分です。

「東京都は10日、新型コロナウイルスの感染者が新たに22人確認されたと発表した。50人を下回ったのは5日連続。都内の感染者は計4868人となった。22人のうち感染経路が不明なのは半数超の12人だった。
感染経路が追える10人のうち、4人が医療従事者で、2人が家族間など同居する人からの感染だった。都の担当者は「感染者数は減少傾向だが、経路を追跡できない人も多い。気を緩めると、大きなクラスター(感染者集団)が発生しかねず、引き続き外出自粛などの協力をお願いしたい」としている」(日経5月10日)

推移を見るとこのようになります。

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感染経路不明というのは、ひとりの感染者の背後に多くの感染者がいる危険性をもっているとされています。

「感染源の分からない患者が、すでに判明している感染者から感染していたのなら不安は多少軽減できる。しかし、もしそれぞれバラバラの感染源から感染していた場合は、その背後に、さらに多くの感染者がいる可能性が否定できなくなる」 (ビジネスインサイダー3月27日)

この間精力的に続けられてきたクラスター潰しによって、主だったクラスターは徐々に消滅してきつつあります。
クラスターは感染経路を特定できるし、その範囲も明確な場合がほとんどです。
下は病院クラスターですが、感染者は特定可能でした。

3_20200514083901

  https://www.yomiuri.co.jp/national/20200420-OYT1T5...

一方危ないクラスターは風俗店やクラブで、入店者が誰かわからないので事実上追跡不可能です。

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https://mainichi.jp/articles/20200405/k00/00m/040/...

比較的経路がつかめた上図のライブハウスですら、出演者から感染が拡大し3名の観客にうつした後に、その家族にまで感染拡大をしています。しかも他県ですからやっかいです。
韓国のクラブですら、個人情報保護という概念自体がないこの国ですら、その経路が判らずに苦慮しているようです。

それはさておき、東京都において感染経路が判る者と不明者がちょうどフィフティフィフティの状況です。
悩ましいなぁ。感染経路不明者を潰すのは自粛以外ないのは確かですが、これが今月末までの延長でどれだけ減るかでしょうね。

三番目には、重症者用の病床が126%ということが問題となるでしょう。

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東京都は下から2段めの右から2番目の黒枠です。黒色は病床数を患者数が上回ってしまった地域です。
東京は病床を増加する必死の取り組みをしていました。
さもなければ、NYのような重症者による医療崩壊に突き進むからです。
これがなんとか凌げたのは忽那賢志医師によれば、国家の医療機関が全面的にバックアップしたからです。

「ではこれらの118を超えた分の患者さんはどこに入院しているのでしょうか?
多くは感染症指定医療機関に、規定の病床数を超えて入院しています。
例えば、国立国際医療研究センターでは規定の病床数に加えて、元々結核病床に指定されていた病棟をまるごと使い新型コロナ患者の受け入れを行っています。
都内の感染症指定医療機関も同様に規定の病床数を超えても患者を受け入れていると聞いています」
(忽那賢志 『都内の感染症指定医療機関で何が起こっているのか』3月28日)

現況で東京都のベッド数は以下です。
NHK特設サイト『新型コロナ対応のベッド数と入院患者数』
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/medical/

●東京都のベッド数
ベッド数2000人
入院が必要な数2518
ベッドに対する割合126%

●大阪府同上
ベッド数1100
入院が必要な数381
ベッド数に対する割合35%

●北海道同上
ベッド数500
入院が必要な数356
ベッド数に対する割合71%

「都道府県別に「確保できている病床数」に対して「入院患者や入院などが必要な人の数」が8割を超えているのは、前回の3都道県から今回は東京都のみとなりました。
ほかに5割を超えたのも、およそ7割の北海道、およそ6割の石川県だけで、病床がひっ迫している状況はさらに緩和されました」(NHK前掲)

大阪の解除はなんとかなるでしょう。
新規感染者も、ベッド数もクリアするでしょう。それが吉村さんの強気の背景です。

問題はあくまでも東京です。ご覧のように、東京都の解除は感染者数自体の増加には歯止めがかかるのは間違いありませんが、どこまで経路不明者を減らせるのか、そしてベッド数の不足を解消するのか、この2点かかっています。
そうとうに厳しいと考えられますので、まだ小池女史の顔をあとひと月は見ねばならないのでしょうか。

 

●国内感染状況(5月13日0:00)
国内感染者16024
 退院9868
入院治療を要する者5315
重症者259
死亡668
確認中173

●世界の感染状況

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コメント

重症者の入院は、難しい話ですね。

病院の病床数は大体人口割で配分されているのに対して、
ウイルスの流行は人口密度の2乗に比例するので、
人口密集地では入院患者も溢れてしまいます。

それと、
「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策」
で入院治療費は国費負担と決まっていますが、
これに期限を切らなかったのも、今となっては痛恨です。
入院した要介護老人が軽快しても病院に居座るインセンティブが生じてしまいました。
軽快してもウイルス消失が悪魔の証明くらい困難で、
退院先施設で再感染しようものならその施設が潰れてしまいます。
元居た施設に帰るのが最善なのですが、それも困難です。

今いる患者さんは仕方ないとして、
秋までに国費負担の期限を切ったり、
介護関連施設の感染予防に人・モノ・カネを供給することが必要でしょう。

大規模クラスターの主な原因は老人介護施設か院内感染なのでこの二つをいかに抑え込むかが今後の課題になるかと思います、東京と大阪の差もここからきているように感じます。

プーさんの指摘された「回復後も病院に居座ってしまう」ケースも大多数は上記の感染者によるものだと思われます。
今後医療施設の早期の負担解消のためにも老人向け施設等にむけた感染防止策などを個別に用意する必要があるかと感じます。

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