米国の紅衛兵・アンティファ
昨日のアンティファについて続けます。
実は中国は最大の主敵である米国と戦うために、ありとあらゆる手練手管を使っています。
そのひとつが、なんとソ連に対抗して米国と統一戦線を組んでみせるという離れ業でした。
これは中ソ対立といういわば国際共産主義運動の内ゲバが背景にありました。
元来が「世界革命」に消極的で、ともすれば各国共産党を自国の国境警備隊としてみているソ連に対して、第3世界(発展途国)の代表を任じていた中国は不満を持ち続けていました。
毛からすれば、後にフルシチョフとのモスクワ会談での発言のように、「東風が西風を圧倒している」社会主義陣営は資本主義陣営よりも強大になったとの認識がありました。
まったく夜郎自大もいいところです。ろくに国民を食わせられず、鉄鋼生産すらままならぬ発展途上国の分際で、ナニ言っていやがると、フルシチョフは内心思ったことでしょう。
当時のフルシチョフは、スターリンを批判するという思い切った開放路線に踏み切っており、外交においても米国と共存していこうという平和共存路線に踏み出していたからです。
ところが中国はこの時期を世界革命の好機と捉え、一方ソ連は待て待て今米国と対決すれば核戦争になる恐れがあると認識していました。
1957年11月、共産国家首脳会議での毛沢東の脳みそのヒューズが飛んだとしか思えない発言が残されています。
「われわれは西側諸国と話し合いすることは何もない。武力をもって彼らを打ち破ればよいのだ。核戦争になっても別に構わない。世界に27億人がいる。半分が死んでも後の半分が残る。中国の人口は6億だが半分が消えてもなお3億がいる。われわれは一体何を恐れるのだろうか」
(人民網2011年1月17日)
おいおい、毛のおっさん大丈夫か。核戦争で世界の半分が死んでも、最後には共産主義陣営のほうが人口が多いから勝つんだというトンデモ理論です。
人の命なんぞ塵芥。日本の護憲派の皆さん、中国ほど平和憲法の精神に反した国はありませんぜ。
それはさておきさすがの各国首脳も凍りつき、ソ連は絶対にこんな国に原爆サンプルなんぞやってたまるものか、と思ったことでしょう。
毛沢東信者で、毛の生霊のようだと称されている習近平がここまで極端な核戦争待望論を持っているかどうかわかりませんが、潜在的にはこれが中国の核戦略の基調にあることをお忘れなきように。
さてこの中国がなんとソ連憎しのあまり、敵の敵である米国と手を組むという仰天の裏技をしてみせたのが、1969年のニクソン政権時の米中国交正常化でした。
ニクソンの意図はこのようなものでした。
「ニクソンは、毛沢東思想に支配され鎖国している核保有国は、このままでは周辺諸国にとって脅威となる、だから米中接近によって、鎖国に風穴を開け国際社会へ引きずりこむ、それが太平洋国家であるアメリカの国益を守ることになる、と考えたのだ」(土野繁樹の21世紀探訪)
ちなみにトランプが外交の師と仰いでいるのは、レーガンであるよりニクソンだと思われます。
ニクソンは、当時泥沼化していた北ベトナムの背後に中国という存在があることを見抜いていました。
だから、ベトナムの泥沼から抜け出すためには、中国を取り込まねばならず、そのことによってソ連を孤立させることもできると考えたわけです。
今、トランプが北朝鮮との直接会談という思い切った手を打ったのも同じ理屈で、北を中国から引き離し、核を手放させることで国際社会に復帰させることでした。
ところで、こうして中国は米国の支持の下に国連常任理事国となったわけですが、革命輸出を諦めたわけではありませんでした。
いやむしろ表向きかつてのように大ぴらに左翼ゲリラへの武器援助ができないぶん、より陰湿な浸透工作を図っていくようになります。
特に力を注いだのがやはり永遠の主敵である米国でした。
中国が目をつけたのが、アフロアメリカン、すなわら黒人階層でした。
1966年にブラックパンサー党という黒人最初の武装闘争組織が誕生しました。
今まで公民権運動とかブラックムスリムなどといったものはあったのですが、ガチガチにマルクスレーニン主義で身を固めた革命党が生まれたのは最初です。
彼らブラックパンサーが手にしていたのは毛沢東語録で、それを売りさばいたカネで銃を買ったという話もあるくらい、毛沢東主義に頭の先から爪先まで染まっていたようです。
ブラックパンサーはこの後、ベトナム戦争の終結と共に、よくある左翼分裂劇を演じて自然消滅していきます。
ただし、その後は中国はこのような先鋭な革命党建設路線から、米国リベラル層に浸透していく政策に転じます。
それは米国民主党政権が、鄧小平が掲げた開放改革経済による自由経済路線に過大な期待を寄せたことも背景にあります。
彼らは安価な労働力と14億市場のニンジンをぶらさげられて中国におびき寄せらたあげく、ミイラ取りがミイラになっていきます。
米国リベラルは、中国が経済発展すれば中間層が誕生し、民主主義を望むようになっていくだろうといううすら甘い幻想を持っていました。
今、問題になっている香港の一国二制度も、そもそも50年間の内に中国が民主化されて、香港と同じ二なるだろうという当時の自由主義陣営の甘い見通しがあったから出来たのです。
そしてその甘い夢は、ブレジンスキーに象徴されるように中国を戦略的パートナーとまで考え、世界を米中二国で仕切っていこうとするG2路線すら生み出しました。
中国はこの甘い幻想に酔って、トランプに太平洋を二分割しようと真剣に提案したほどです(笑)。
この米中蜜月時代を代表するのがクリントンとオバマという民主党親中政権でした。
中国はチャイナロビーを使って米国政治に介入し、その筆頭はかつての米中国交正常の立役者のキシンジャーでした。
こうして中国は米国政治に大きな影響力を持つようになっていきます。
2014年3月、オバマはなんと大統領夫人と子供たちを中国に差し出すということまでやってのけましした。
オバマ夫人は習という超大国の「皇帝」に叩頭しにきた敵国皇后として、習が用意した中国皇帝のプレステージ(威信)を拝謁しました。
初日の午後には黒い豪華な中国古来の衣装に身を包んだ彭麗媛「皇后」に案内されて、一般観光客をすべて締め出した皇帝の宮殿を堪能させました。(上写真参照)
この政治的寓意は露骨なまでに明らかです。
世界の中心、すなわち「中華」はどの国なのか、そしてその中華帝国の富と権力を独占しているのが誰なのか、を米国大統領に見せつけたのです。
またクリントン夫妻の中国利権はあまりにも有名です。
クリントン夫妻は人民解放軍系の企業から献金を受けていました。
「中国共産党と人民解放軍は、クリントン夫妻に対して多額の贈賄をするパイプとして、インドネシア・香港・中国に拠点を持つリッポ・グループ(力宝集団)を使用した。
リッポ・グループはインドネシアの華僑財閥・リアディ家が所有する企業集団であり、銀行業・不動産業・流通業・観光業等を経営している」
ヒラリー夫人が上級パートナーを務めるアーカンソーの法律事務所は、この時期から、リッポグループの「顧問」として高額の報酬を得ている。FBIは、「クリントン夫妻と人民解放軍スパイ機関との協力関係が始まったのは、たぶんこの頃だろう」と推定している。
クリントン夫妻は1992年の大統領選に出馬したとき、リアディから少なくとも(後に判明しただけでも)125万ドルの賄賂(違法な政治資金)を受け取っている。
1996年の大統領選挙では、リアディ(リッポ・グループ)からクリントン夫妻へ、はるかに巨額な賄賂が動いた」
(伊藤貫『中国の「核」が世界を制す』)
1992から96年にわたるFBIとNSAの盗聴活動により、中国政府が米国政界に対して大規模な贈賄工作を実行してきたことが暴露されましたが、国務省・ペンタゴン・司法省・CIAはこの大規模な贈賄工作を取り締まることさえできませんでした。
それほど米国政界官界におけるチャイナマネー汚染はひどかったのです。
また米国文化にも浸透し、ハリウッドのプロダクションでチャイナマネーから自由な所は絶無なほどです。
「財源(制作費)と収益(観客動員)をちらつかされたハリウッド大手のディズニー、パラマウンド、マーブルなどは対中接近にのめり込んだ。 中国の思惑は、一にも二にも世界に広がる中国に対するネガティブ・イメージの払拭にハリウッド映画を利用することだった。
当初は露骨な手法はとらなかった。ハリウッドが作る作品から中国に対する偏見や誤解をやんわりと消そうとした。
これが成功すると、徐々に作品の筋書きやキャラクターの選定にも口を挟んできた。
ハリウッドが知らず知らずのうちに中国のプロパガンダ・エンターテインメントになっていくことに米議会をはじめ、各分野から批判の目が強まってきたのはここ数年だ」(20105月2日高濱賛 『JBpress米国で最も中国と濃密な関係にあるハリウッド コロナ禍で変化訪れるか』)
今や米国映画会社で中国資本なしで経営できるところはないありさまです。
そういえばやたらとハリウッド映画に中国人が善玉ヒーローで登場しませんか。
なんと米国文化のプロパガンダ装置だったハリウッドは、いまでは中国の宣伝機関となっていたのです。
このように全身を覆い尽くすガン細胞と化した中国が、トランプが仕掛ける中国包囲網に対して仕掛けたのがBLM・アンティファです。
私はこの時期に黒人差別問題が爆発したのは偶然ではないと考えています。
なぜなら、黒人牧師もいうようにオバマ時代にも白人警官に殺された黒人は多数いたからです。
「黒人でもあるオバマ前大統領が在任中、シカゴだけでも、数千人の黒人が亡くなった。なのに、BLMの抗議デモを見たこともないし、メディアも報道していなかった。しかし今回、黒人が白人に殺されたとなると、BLMが活発に抗議運動を始めるのだ」(大紀元6月25日)
https://www.epochtimes.jp/p/2020/06/58678.html
BLMグローバルネットワークの共同創設者であるパトリッセ・カラーズはこう述べています。
「カラーズ氏は過去、ネットメディアのインタビューの中で、BLM運動について「私たちは実際にイデオロギー的な枠組みを持っている」と語っている。カラーズ氏によると、彼女自身や他の組織管理者は「訓練されたマルクス主義者」と付け加えた」(大紀元2020年6月22日)
https://www.epochtimes.jp/p/2020/06/58466.html「ブラック・ライブズ・マターにおける思想的方向性がことによると欠如しているために、立ち消えになってしまうのでは」というものだ。その質問に答えてカラーズは、同団体には「思想的な骨組み」があると述べた。
「特に私とアリシアは熟練の組織者です。我々は熟練のマルクス主義者なのです。我々はまあ言ってみれば思想的な理論に精通しています」と彼女は話し、同団体の創設者は、「非常に数多くの黒人に役立つような運動を作り上げ」ようとしたのだと続けた」
JustTheNews 2020.6.20
ここでカラーズは、BLMには思想がないじゃないかという批判に答えて、いや自分たちBLMの思想の核心にはマルクス主義があり、われわれ中心メンバーは「マルクス主義で教育された者たち」だと堂々と認めています。
ここて彼女が口にする「マルクス主義」とは、オーソドックスなそれではなく、かつて黒人活動家に深く浸透した毛沢東主義であることは疑い得ません。
ですから、彼らの毛沢東風にいえば「作風」がきわめて文化大革命に酷似しているのは当然なのです。
米国在住の中国人ジャーナリストの何清漣はこう語っています。
「私は最近、自分の原稿の中に、この運動(BLM運動)と中国文革にはよく似たDNAがあると書いた。なにかって?みなさんご存じのように中国の文革の核心はマルクス主義であり、マルクス主義の核心理論は暴力革命。
既存の国家メカニズムを破壊し、新たな国家メカニズムを打ち立てること。これはなぜ民主党が首長の各州で警察機構がマヒしているかの理由でもあろう。
文革期の公安、検察、裁判所で同様の打ちこわしがあったことと同じだ。このようにして初めて、法執行機関の介入なしに、すべての“四旧”を好きなようにできるのだ」(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ) NO.103 2020年6月28日)
BLMは米国版文革運動であり、アンティファは紅衛兵だ、そうかんがえると分かりやすいのではないでしょうか。
もちろんこの紅衛兵たちを仕掛けた者がいるのです。竹のカーテンの向こう側に。
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