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2020年6月16日 (火)

納得できない突然のイージスアショア「停止」発表

035

まったく理解できない防衛省の決定です。
河野大臣は昨日、突然、イージスアショアの配備を「停止」すると発表しました。

「河野防衛大臣は、新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の山口県と秋田県への配備計画を停止する考えを表明しました。これにより日本のミサイル防衛計画の抜本的な見直しが迫られることになります。
イージス・アショアは、アメリカ製の新型迎撃ミサイルシステムで、政府は、山口県と秋田県にある、自衛隊の演習場への配備を計画していました」
(NHK6月15日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200615/k10012471181000.html

「停止」?はて、なんのことやら。
ロジカルな物言いを好む河野氏とは思えないあいまいさですが、計画そのものを「中止」したのか、配備計画を「停止」したのかどちらなのでしょう。
たぶん完全に配備計画を放棄するということだと思われます。

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NHK

理由は、要するに地元の説得に失敗したのです。

「「イージス・アショア」は、アメリカ製の新型迎撃ミサイルシステムで、政府は、山口県と秋田県にある、自衛隊の演習場への配備を計画していました。
このうち、山口県の演習場への配備について、河野防衛大臣は15日夕方、記者団に対し、迎撃ミサイルを発射する際に使う「ブースター」と呼ばれる推進補助装置を、演習場内に落下させると説明していたものの、確実に落下させるためには、ソフトウェアの改修だけでは不十分だと分かったことを明らかにしました」(NHK前掲)

防衛省は迎撃ミサイルのブースターを演習場敷地に落とすことを地元と約束していました。
そしてこれを守るためには、ミサイルそのものを作り直す必要があり、そのコストと手間が無視できないまでにふくらんだから「停止」するということのようです。
馬鹿な約束をしてしまったもんです。ブースターなんて無誘導なんですから、演習場敷地に落せる確証なんてあろうはずがありません。元々無理な約束をしていたのです。
それは、ハッキリ言って、防衛省の役人(背広組)がイージスについてよく知らなかったから起きたことです。
管轄を、長年イージスを運用してきた海自の管轄にしておけばよいものを、なぜかMD(ミサイル防衛)の経験がない陸自管轄にするようなことをするからこんな事になるのです。

候補地選定の最初のボタンの掛け違いが、ここに来て計画全体の中止にまで及んでいます。
防衛省は秋田市内にある陸自新屋演習場を候補地としましたが、素人の防衛官僚が杜撰な調査をし、それに基づいていいかげんな地元説明をしてしまったために一気に泥沼化しました。

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NHK

新屋演習場をめぐっては、今年1月に秋田県の佐竹知事が河野大臣に対し、「地元の理解を得るのは難しい」と伝えるなどと事実上の受け入れ拒否を通告しています。
佐竹さんは、なにもわからずにとまれ反対してみる県知事が多い中、東北大学工学部で精密工学を専攻していた人物で、ミサイルなどの軍事技術や誘導技術について専門家はだしの知識を持っている首長でした。
たぶんそこいらのボンクラ防衛省官僚より詳しいでしょう。
ですから、佐竹氏と対談したことがある小川和久氏が、「弾道ミサイル防衛の重要性、イージス・アショアの立地についても、きちんとした知識を持っています」と折り紙をつけた人だったわけです。

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佐竹知事 NHK

今回の「停止」発表について佐竹氏はこう述べています。

「ミサイルのブースターの落下地点を正確にコントロールすることは周辺地域の安全確保に不可欠な重要な要素だ。この点に関し、ソフトウェアのみならずハードウェアとしてのミサイル本体の改修も必要となれば、さらに多額の費用と相当の期間が必要となり、改修が成功したとしても、その間の他のミサイル類の技術的進歩を考えれば、そもそも能力的な問題が生じる。したがって、プロセスの停止、現行配備計画を停止することは賢明な判断だと考える」(NHK前掲)

おお、なんと首長とは思えない詳しさ。こんな地元説得で手間食っていると後継のミサイルステムのほうが進化して、配備できる頃には陳腐化しちゃいますよ、との佐竹知事のコメントです。
まことにそのとおりで、他の首長のコメントが「めんどうなものが来ないで助かった」ていどなことと較べると、この佐竹氏すら説得できなかったことが失敗の最大の原因だと思えてきます。

そもそも最初のボタンから掛け違っています。
佐竹氏は小川氏に対して、「あとは周辺住民の皆さんの不安を払拭するだけの説明を防衛省がしてくれればよい」と伝え、それは小川氏経由で防衛省に届いていたと思われます。
ところが、防衛省のボンクラ官僚は、実地測量もせずに(!)地元説明会を行い、こともあろうになんとGoogle Earthで大雑把なデータを出してしまいまったために、現実の地形とは大きく異なった説明をしてしまいました。

どこの世界に、設置計画を実地測量もしないでGoogle Earthで済ませるバカがいるんだつうの。
民間企業でこんなプレゼンをしたら、立派な左遷事由になりますが、官僚には選挙もクビもありませんから、うらやましい稼業です。
そしてまだ続きがあるのですから、さすがは見上げたボンクラ官僚です。

この不始末が地元紙に報道されたために一気に問題化し、再度開かれた住民説明会で、防衛省の役人がガーガーと昼寝をしていたことが発覚。
これが全国に放映され、地元は完全に硬化してしまいました。
どんなに徹夜したのかしらないが、こんな重要な説明会で寝ていたら即刻クビです。
こいつらから既に4、5人担当は代わっていて、もう誰の責任なのやら藪の中ですから、なんともかとも。

そもそも論で言えば、住宅地に近いところに候補地を持ってくれば、必ずこういうことになります。
結果この5月には、新屋演習場を正式に断念し、再調査の対象を増やすことも含めて、引き続き秋田県内を中心に新たな候補地を検討することにしました。
実は、防衛省は失態を挽回しようと、地元対策としてブースターを民間地域に落とさないミサイル改修計画を検討していたようです。
すると今度は、ソフトの改修だけでは済まず、ミサイル本体の作り直しまでになり、もう一回新たに作るより手間がかかることが判ったようです。

「そのうえで「ソフトに加えて、ハードの改修が必要になってくることが明確になった。これまで、イージスアショアで使うミサイルの開発に、日本側が1100億円、アメリカ側も同額以上を負担し、12年の歳月がかかった。新しいミサイルを開発するとなると、同じような期間、コストがかかることになろうかと思う」と述べました」(NHK前掲)

ここまで来ると、その馬鹿さかげんに唖然となります。
いいかげんな立地選定をしてしまい、事前に実地測量を怠り、Google Earthでお茶を濁そうとして失敗し、地元に不信感を植えつけ、その上に決定的な説明会で居眠りをしてしまい、演習場敷地内にブースターを落とすという実現不可能な約束までするという二重三重四重の大ポカ。ここまで無能だとかえって爽快なくらいです。

とまれ、これでイージスアショア計画はお流れとなりました。
しかし日本を取り囲む状況はいささかも変化がなく、正恩の統治体制が揺らぎ始めた北朝鮮はいっそう不安定となり、新型コロナや米中経済戦争を受けて中国は日米同盟に牙をむき出しています。
このような時期の中止。最悪のタイミングでした。

中朝の弾道ミサイルを迎撃する装備が絶対に必要な以上、直ちにMD(ミサイル防衛)計画を抜本的に練り直さねばなりません。
それも早急に。

ちなみに辺野古と同列に比較する人がいますが(小川氏もそうですが)、防衛省官僚が満足に辺野古の水深と工事の難しさを調べていなかったのは同じですが、辺野古には代替基地が現存しています。
一方イージスアショアには、代替がありません。
防衛省はイージス艦で代行させると言っていますが、それは現況をそのまま言い換えただけです。
現況では多くの隊員が乗るイージス艦を、常に日本海にそのためだけに張り付けておかねばならず、海自は加重な負担に耐えてきました。
そもそもイージス艦艇とちがって少ない隊員で、広く日本全土をカバーできるから陸上イージス配備を決めたはずで、イージス艦では代替とはなりえません。

代替案も提示せずに、こんな重要計画を突然「停止」するなんて、河野さん無責任すぎます。

 

 

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コメント

アメリカの企業とはすでにレーダーシステム契約済みなわけで、米国政府とどこまで話を詰めた上で発表したのかが気になるところです。
なんせ北朝鮮がまたワイワイ言って来てる最中ですからね。このタイミングでか?と。

ブースター落下はそりゃ地元には大問題ですが、あれを打っ放す時というのは日本が核も含んだ弾道弾攻撃を受けている状態ですので・・・大戦末期の空襲時に、終わっても対空砲の断片がボコボコ落ちて来るからしばらくは防空壕から出るな!ってのと同じです。
ミサイルの一段目なんか、制御落下させるなんて出来なくは無いけどかなり無茶なカネがかかります。

軍事的専門知識はないのですが、イージスアショアが機能する時って、日本が標的になっている状態で、尚且つ弾道ミサイルが飛んで来ているときですよね。言えば非常事態な訳で、そのミサイル撃ち落さないと日本国内に甚大な被害が出る可能性がある事態。そんな時、我々一般人はどうしているのでしょうか?普通に生活している?ま、不意打ちで来られたらどうしようもないですけど、ある程度、その前段階があるなら、どこかに避難しているのではないでしょうか?そんな時に、一段目のブースターがどこに落ちようとも、あんまり関係ないような気がしますが?今回の議論になっているブースターの落下地点云々て、現状普通に生活している生活圏にそんなもん落とすなって話なので、ぶっちゃけ日本人の平和ボケの極みみたいな議論だと思うのですが。戦時(非常時)について、我々日本人がいかに想像力が乏しいかを表しているのではないでしょうか?自分はそんな感想を持ちました。

皆さんこんばんは

今朝のネットニュースで江崎道朗さんがレールガン(超電磁砲) について
言及されていましたが、将来迎撃ミサイルシステムに採用される日が
来るのでしょうか?

なまらさん。米海軍はそれを実用化に向けているようですが、今の話はそんな未来兵器ではなく、現存するMD技術でどう日本を守るかというのがテーマです。
イージスアシュアがダメならレールガンがあるさ、という択一ではありません。
MDは、ただ今現在必要な防空装備なのです。

江崎さんがなにを言っていたか知りませんが、焦点を絞って議論してください。

 北朝鮮は南北共同連絡事務所を爆破しました。これから半島情勢はどうなっていくのでしょうか。ミサイル防衛の計画が撤回される中で拉致被害者の救出はどのように行えばいいのでしょうか。もうどうしようもないのでしょうか。

先手必勝とか、攻撃は最大の防御であるとか、核の抑止力(私は
米国が日本の為に核兵器を使ってくれるとは思ってません、日米
が一蓮托生の状況に追い込まれるような外交工作をして、初めて
可能になるのだと思います)とか、そういう兵法を持てない我らの
自衛隊です。なら最強の防御を!という事で、私はイージスアショ
アの配備に大変期待しておりました。

配備する地元でモメると言ったって、日本国がボロボロになってし
まえば日本の一地域である地元もボロボロになってしまっているの
は小学生でも判るので、地元に金銭(お金は多くのモノを交換でき
るようにした人類の大発明ですわ)的な優位を約束すれば解決は
可能でしょ?と思ってました。それが・・ 事実上の白紙ですわ。

記事にあるように、防衛空き缶僚のヘマに次ぐヘマの後のヘマヘマ
でオジャンになっただなんて、悲し過ぎます。もう切腹に値しますわ。

ただ、会見の河野大臣を見てるとなんやら余裕があるので、良い
方に考えて、「イージスアショアを大巾に上回る防衛技術のメドが
立って来たので、ソッチで進めることにしたわ。ヘマヘマは怪我の
功名になったわ、大金をドブに捨てるトコやったで」「せやが、詳細
については何も言えんでー、超軍事機密やからな。まあ、今日の
ところは、私河野をボロクソに貶してもらって結構、結構」、そんな
河野防衛大臣の脳裏であったと、そう信じますわ、今んとこ。

ブースターは原因のひとつで、それ以外にも計画が根底から瓦解するクラスの致命的なミスが発覚して根底からの見直しが必要となったのかな?という印象です。
アメリカ側の反応を見るに根回しはしているようなので代替案は大筋決まっていると思われます。
不手際だらけの陸自から海自主導に計画を移行させる規模の大ナタが振るわれるのではないかと、そんなメンツが丸潰れになる事をそのまま発表する訳にはいかないので「停止」という奇妙な表現になったのではないかと素人ながらに妄想してます。

北朝鮮が南北共同連絡事務所を爆破したことと関連して、幸か不幸か北朝鮮からの飛翔体を気にしなくて済む状況になった、と思いました。良い理由であって欲しいです。

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