• 20250113-133232
  • 20250113-134354
  • 20250113-134844
  • 20250113-135719
  • 20250114-062849
  • 20250112-044948
  • 20250112-050804
  • Dsc_1204
  • Dsc_1204_2
  • Dsc_1206_2

« 新しき女王、ヨジョンの誕生か? | トップページ | 種苗法改正の目的は、新品種の違法な海外流出の阻止です »

2020年6月18日 (木)

イージスアショア あくまでも「停止」であって「中止」ではないと思いたい

     016  

イージスアショアの配備計画中止は後引きするでしょう。
なぜなら理由は、つまるところ地元の説得にやくたいもない理由で失敗したからです。
いままでいろいろな配備計画や基地建設計画はありましたが、ここまで重要、かつ緊急度がある計画がこんな馬鹿げた理由で失敗するのを見たのは初めてのようなきがします。

理由についてはおととい書きましたので、繰り返しになりますが、こんなくだらないことです。
①防衛官僚の杜撰な計画と、地元説明の失敗。
②ブースターを陸自演習場内に落下させる約束が守れなくなった。

なんだ、両方とも防衛省の官僚の度し難いミスじゃないですか。
結論だけ評せば、河野氏がこのイージスアショアの現行計画を「停止」したこと自体は誤りではなかったと思います。
山口県も秋田県も、ここまでこじれにこじれて地元自治体から呆れられ、その上に背広組がいい加減な約束をした挙げ句の失敗ですから、もうどうにもリカバリー出来る余地はありませんから。
ブースターが無誘導なのは当たり前で、あんな燃え尽きた殻に誘導装置をつける馬鹿はいません。
しかも数トンもなるならいざ知らず、たかだか75キロのものですから、人に直接当たらない限り被害は限定的です。

それをブースターを敷地内に落とすためにSM-3を全面的に作り直すなんて、バカ丸出しのことをするなら、いっそうやり直したほうがよいかもしれません。
それにしてもコメントにも何人か書かれていましたが、頭の上に原爆が落ちて来るときに、たかだかブースターがどこに落ちるか気にして計画中止したなんて、ハッキリ言って頭のネジが緩んでいるとしか思えません。

「イージスアショアと比較する候補になっていた弾道ミサイル防衛システムのTHAAD迎撃ミサイルは推進部分は一段式ですが弾頭分離式で、迎撃弾頭を切り離したらブースターが落ちてきます。
これもやはりブースター落下の問題が出てきますが、アメリカでは問題視する声がありません。 また欧州メーカーのMBDA社が開発したSAMP/T地対空ミサイルシステムのアスター迎撃ミサイルは二段式で大きなブースターが投棄されますが、配備が進むフランスやイタリアなどでブースター落下が大きな問題になったという話は聞きません」(JSF6月16日)
https://news.yahoo.co.jp/byline/obiekt/20200616-00183562/

では、なぜ日本だけがブースターの落下場所が大問題になるようなことになったのでしょうか。
その理由は市街地に近い場所を選定してしまったからです。

理由はふたつあります。
①イージスアショアの管轄を陸自にしてしまったために、陸自施設に限定されてしまったこと。
②選定された用地が、市街地に接していたこと。

候補地の秋田県陸自新屋演習場を見てみます

Photo

秋田県 陸自新屋演習場

防衛官僚はひと眼この航空写真を見たただけで、諦めるべきでした。
柵の外には住宅地が密集しており、こんな場所に作ったら反対運動が起きて当然です。

米国が海外に設置しているイージスアショアはこんな場所にあります。
ルーマニアの首都ブカレストの西140kmにあるデベセルにあるイージスアショアの施設です。 
ここはルーマニア空軍の基地施設の中にあります。見る限りは畑のど真ん中という印象です。

O0792072014014685582

ルールニア デベセルにあるイージスアショアの施設

結局、日本は陸自管轄にした都合上、陸自施設に限定してしまいました。
しかしなぜ、イージスアショアの管轄に陸自を選んだのか、さっぱり理由がわかりません。
防衛省は、抽象的に「弾道ミサイル防衛は陸海空の全てが担当して行うべき」といっていますが、意味不明です。
というのは、自衛隊における防空任務は今まで広域をカバーする長射程地対空ミサイルが空自、イージスシステムを運用してきたのが海自、そして陸自は移動可能な野戦防空の中射程の地対空ミサイルを担当してきました。

5f19f8038b959234c30f03075d8068f4

防衛省

上図が現行ですが、ズラリと日本海に高価で人員を割くイージス艦を並べているのが分かりますね。
元々機動力を発揮できるのが艦艇の利点のはずですが、尖閣が緊張しているこの時期でも、日本海に3隻も最新鋭艦を張り付けているのですから、なんともかとも贅沢というかなんというか。
それはさておき、上図に陸自の名前が入っていないことを確認してください。
この陸自に日本全国の広域ミサイル防衛をやらせようという無理をしたのがこの計画でした。

As20180115004873_comml

陸自には長距離・広域の防空任務の経験がなく、ましてやイージスシステムについての知見はゼロでした。
にもかかわらず、陸自管轄にしてしまった理由がわかりません。
そのために素人集団の背広組がしゃしゃり出てしまう余地を与えたのです。

スッキリと初めから米軍のように、海軍が運用して習熟しているから、イージスアショアもとうぜん海軍としていたらこんなスッタモンダはおこらなかった可能性があります。
空自管轄にしておけば、秋田県の男鹿半島や新潟県の佐渡島といったレーダーサイトが候補地に登っていたのですが、いつのまにやら立ち消えて陸自の演習場に併設することになってしまいました。

Photo_2

航空自衛隊加茂分屯基地

山中にあるレーダーサイトならば、後に問題とされたイージスシステムが出す電磁波問題や、ブースター落下問題などはまったく問題にならなかったはずです。
この山中のレーダーサイトが候補からはずされたのは、山のてっぺんなために大規模な土木工事がいるというのがハネられた理由とされていますが、いまにして思えばSM3の全面改修なんて馬鹿げたことをするより、はるかに簡単で費用もかからなかったと思われます。
よく比較される辺野古と違って候補地選定は容易だったはずでした。
地元土木業者との利害のすり合わせなどの手間がいらないからです。
それを自分で火種を作ってしまい、実行不能な約束を安易にしたあげく、計画全体を破綻させてしまうのですから処置なしです。

特に河野氏が「中止」する決断をしたことまでは、それ自体は理解できてもその仕舞い方が最悪でした。
こともあろうに、なぜブースター落下問題を理由にしてしまったのでしょうか。痛恨のミスです。
これにより、他の選択肢までもが自動的に消滅してしまいました。

たとえば同じ理由で、他の弾道ミサイル迎撃システムであるTHAADもダメです。

「SM-3迎撃ミサイルのMk72ブースター落下が問題だとされてしまったので、THAAD迎撃ミサイルのブースター落下問題も解決できない以上、THAADの調達はむしろ困難になってしまいました。
ブースターを空中で爆破処理したとしても残骸の破片は降ってきます。そもそも爆破処理で解決するならMk72ブースターもそうすればよいことになってしまいますが、これまでの防衛省の説明経緯では納得してもらうことは難しいでしょう」(JSF前掲)

秋田と山口を候補地にすることが困難ならば、いったんその知事に詫びを入れてから、仕切り直しすればよかっただけのことです。
この両県が不可能なのは誰が見てもわかりますし、いったん今までの積み上げをサンクコスト(回収できない投資)としてしまって、自由な眼で見直せばやりようはまだ残っていると思います。
あくまでその含みを残しての「停止」であって、計画の全面「中止」ではないと考えたいものです。

なぜなら核を使うことにためらいがない指導者によって核武装化が進んでいて、ほぼ完成の域になっている国が隣にあるからです。
一般的に「核兵器は使えない兵器」の最たるものです。いったん使えば倍返しの核報復を喰って国土が壊滅するからです。
ですから、まともな神経を持っている国は核兵器は神棚に祭って、現実的には封印してきました。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/08/post-f46e.html

中国ですら、日本に核攻撃をすればどんな結果になるのか、わかっているふしがあります。
ところが世界で唯一、本気で使用を考えている国があります。いうまでもなくわれらが隣国の北朝鮮です。
東アジアの核問題の専門家である防衛大学教授・倉田秀也氏はこう述べています。


「米国がこれらの基地を使用し、北朝鮮に-非核手段であっても-空爆などの武力を行使した場合、危殆(きたい)に瀕した北朝鮮が、これらの弾道ミサイルの使用を最後まで自制するか。
第2撃の核戦力が核による第1撃を受けない限り使用されないのに対して、軍事作戦に組み込まれた核ミサイルは、第1撃を受ける以前に使用される可能性を孕む」(産経3月17日正論)

一般的に核兵器は、巨大な「防御兵器」という性格を持っています。
核兵器は第1撃を受けた場合、直ちに報復するためにあるわけで、それによって「撃つなよ、撃つなよ。撃たれるのがイヤだったら撃つなよ」と言っているわけです。

Mad

これが「最小限抑止」という考え方です。


「だが近年、北朝鮮は「最小限抑止」の構築を目指す一方で、それとは相いれないレトリックが目に余る。「核先制不使用」とは逆行する「核先制打撃」はその最たる例だが、それは単なるレトリックだけではない。
3月6日、弾道ミサイルの連射は、北朝鮮が目指す抑止態勢がもはや「最小限抑止」だけでは説明できないことを装備の面から改めて示した」(倉田 同)

倉田氏が指摘しているのは2017年3月6日の4発の弾道ミサイル実験です。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/03/post-9d96.html

 

Photo_4

 

この時、朝鮮中央通信は「朝鮮人民軍戦略軍火星砲兵部隊による、日本駐屯米帝侵略軍基地への攻撃」が目的であると宣言しました。
また2015年2月の朝鮮労働党政治局会議の決定書には、「現代戦の要求に即した精密化、軽量化、無人化、知能化されたわれわれ式の威力ある先端武力装備をより多く開発する」としています。
しかも、「昨年9月の第5回核実験の際に「核兵器研究所」は核弾頭の「標準化・規格化」に触れ、核弾頭の量産化を示唆していた」(倉田 同)とされます。

第1撃のみを目的とする核兵器ならば、「東京のどこか」に落ちればいいわけで、平均誤差半径(半数必中命中界・CEP)が数㎞でもかまわないわけです。
平均誤差半径 - Wikipedia
しかし、日本の軍事基地にピタリと着弾させる「核先制打撃」ためには、「精密化」が必須です。
この2017年
3月の北朝鮮の弾道ミサイル実験は、北がとうとうこの「精密化」に成功したことを意味しています。

そしてこのような日本に対する弾道ミサイルを「標準化・規格化・量産化」すると北朝鮮は述べているわけです。
北朝鮮が目的とするものは、もはや一部の外交評論家がいうような政治的デモンストレーションという甘いものではなく、「軍事作戦に組み込まれた装備」(倉田)による核先制打撃を目指したものなのです。

こういう脅威が厳然としてあることを忘れて、イージスアショアを語ってはなりません。

« 新しき女王、ヨジョンの誕生か? | トップページ | 種苗法改正の目的は、新品種の違法な海外流出の阻止です »

コメント

中止でないと思いたい、に同意です。
JSFさんも仰った通り、どれだけ遅れようとも持つ戦力に変わりがない辺野古とは話が全く違いますから。

悲しいかなどの立場のどなたの言説であっても直ぐに丸呑みしない癖がついているので、参考までに、ですが。
遠藤健太郎氏の今日のエントリー
http://endokentaro.shinhoshu.com/japan/post7206/

「自衛隊の信用を守り」、「防衛省に仕切り直させる」ために、最初に国民が知る形を取りながらひとり泥を被ったのだとすると、河野太郎大臣がTwitterですら何も語らない理由のひとつにはなります。

発表をあの二階氏も聞いていなかったと憤慨していた点を見ても尋常ではない事が防衛省&自衛隊内部で起きたと思うのが普通ですね。
特に陸自は信じられないミスの連発でしたから。
「落ちてくるブースターは絶対民間地に落ちないようにする」
なんて約束は他のミサイル防衛にも関わる可能性が高いので絶対にやってはいけない類いのものです。
計画を白紙にする事でこの約束自体も無かった事にするというだけでも今回の発表の意味はあったんでないかと個人的には思ってます。
コロナ渦に加え半島情勢や中国がかなりきな臭くなっている最中という最悪なタイミングではあったのは間違いありませんが、それでもやらざろうえなかった理由があったと考えるのがスジが通っているのかなと思います。
安倍首相が二階氏に黙ってトップダウンで許可を出すなんてこの政権下では聞いたことがありませんし、そのうち色々と出てくるでしょうからそれらを見ない事には今回の事態の判断は難しいです。

 報道では、どうせロシアの低滑空高速ミサイルや、北朝鮮の軌道が変わるミサイルのは対抗できなっかっただろうという論調。
しかし、元々は30~50発に増えたとされる北朝鮮の飽和攻撃に備えたもので、期待されたMDシステム全体機能や付随するレーダー能力も達成できない事になりました。

こうした悪い前例はこれから先、日本中どこの過疎でもブースター問題で左派が騒げる土壌をつくりました。
保守派はレーザー兵器開発を言うが、それを実戦配備するまで一体どのくらい年月を要するやら。また、来年からイージス艦8隻体制になっても、それで賄えるわけでは全くありません。

北朝鮮は中国やロシアと違い、米軍による抑止力が通用しない狂気にこそ準備されるハズでした。防衛局の不首尾が悪かったのは当然の評価としても、それで不必要だという事にはならないし、代替案も言わない河野大臣には不信感でいっぱいです。

ギリギリのところで決着するものと思っていたけど、ここまで一地方に過ぎない佐竹が我を通すことが出来る日本の在り方にも疑問です。
やはり、二三発食らってからでないと正常には戻らないのかも知れず、暗澹たる気持ちになります。

いつも楽しみに拝読しております。
本日の報道で、安倍首相が国会で「敵基地攻撃能力」を検討対象とする考えを示したそうですね。パトリオットもそうでしたが、迎撃システムといっても、ピンポイントでミサイルをぶつけ合うわけでなく、迎撃ミサイルを沢山撃って弾幕を張るものだったと思います。これだと、第2次大戦で日本の特攻機の一部が米軍のVT信管をすり抜けたように、必ず着弾するミサイルが出てくと思います。
早期警戒衛星や早期警戒機、イージス艦で発射の兆候を感知できるのであれば、元から断つのが一番ですから、これを機会にぜひ敵基地攻撃を実現してもらいたいと思います。こうゆう能力はあるだけで相当な抑止力になります。
ついでに、米軍のデルタフォースのような部隊も創設して、密かに拉致被害者の救出を検討して欲しいですね。空母型護衛艦と習志野空挺団で編成できそうなので、もしかしたら日本版デルタフォースは既にあるのかもしれませんが・・・。
いずれも国民の生命と財産をまもるための自衛行為ですから、原則的に憲法上の問題はないのではないかと考えます。加えて国内の平和ボケの地域エゴと関係なく準備できますし。

河野氏がブログでアショアの経緯について説明していますね

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 新しき女王、ヨジョンの誕生か? | トップページ | 種苗法改正の目的は、新品種の違法な海外流出の阻止です »