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2020年6月29日 (月)

アンティファの三つの歴史的刻印とは

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アンティファ(Antifa) は昨日今日できた組織ではありません。
その起源は、なんとまぁ100年ちかく前1922年の「アンチファシスト委員会」です。アンチファシスト、つまりアンティファですね。
いちおう当時は「アンチファシズム」といっても実体がありました。目の前にホンモノのファシズム政権が独伊で成立する前夜だったからです。

1928年9月の頃のアンティファを撮った貴重な写真があります。
ドイツのアンチファシスト委員会が握りこぶしを上げて宣誓式をしています。
彼らが宣誓している相手はドイツ共産党で、当時はモスクワにあるコミンテルンの指令でコントロールされていました。
だからドイツ人なのに、彼らが着ているユニフォームまで、当時のソ連の人民服そっくりです。

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Fox Photos/Getty Images

コミンテルンは有名だからご存じでしょうが、ソ連共産党を中心として作られた「革命の輸出」組織です。
各国の共産党はコミンテルンの支部として作られました。
中国共産党もそして日本共産党も、このドイツ共産党もぜんぶソ連共産党の支部として生まれたのです。
カソリックのバチカンと司祭の関係と同じで、司祭には方針を決める権限は持たされていません。
すべてが世界共産党(コミンテルン/コミュニスト・インターナショナル)の合議で決める建前ですが、もちろん決定する権限をもつのはソ連共産党、つまりロシアです。

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このアンチファシスト委員会が作ったのが、今、百年の眠りから醒めた「アンティファ」でした。
1932年には、「アンチファシズム統一戦線」が出来あがり、その時の旗が下の旗です。
これを作ったのは、共産党員だった革命的視覚芸術家協会のマックス・キルソンとマックス・ゲップハルトです。
黒旗(アナーキスト)と赤旗(共産主義者)が並んで行進しているのをデザイン化したものです。

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しかし実体は、誕生したときから共産党の隠れ組織でした。
これは誹謗中傷しているわけではなく、自ら堂々と言っています。少し説明しますね。
当時、コミンテルンは「統一戦線方式」という戦略をとっていました。
これはむき出しで共産党がぶつかってもどうせ負けるから、ファシズムに反対する有象無象の人たちを集めて「アンチファシズム統一戦線」を作って、「反ファシズム世界戦争」をしようという考え方でした。

そしてそのような人たちが広く集まりやすいように「統一戦線」を作り、その指導部を裏で握ってやがては共産主義革命にもっていくんだ、そうスターリンは考えたのですね。
今の日本共産党が作る反安保なんじゃらと一緒で、表向きは誰でも入れるようにしてありますが、入っていくと実は民商や新日本婦人や民医連などの共産党の隠れ組織ばかりの集まりで、中心は全員共産党員ばかり、というなんちゃって「統一戦線」です。

この統一戦線が出来た国際事例としては、スペイン人民戦線や中国の2回に渡る国共合作などが代表的です。
戦う相手は、ヒトラーだったり、ムッソリーニだったり、はたまた日本だったりします。
ここでなんでファシズムでもない日本が入ってくるのかと言えば、世紀の大失敗であった日独伊三国同盟なんてバカ丸出しのものを結んでしまったからですが、今日は触れません。

ところでこのアンティファが掲げたのは、統一戦線だけではなく、もう一つが武力闘争でした。
下の写真はドイツ共産党の暴力部隊である「共産党赤色戦線戦士同盟」(すごいネーミング)ですが、この連中はナチの突撃隊を相手に、軍隊から盗んだ機関銃を撃ち合い、爆弾を投げ合うというような血みどろの「戦争」をしていました。
左翼全体主義と右翼全体主義のガチンコ対決でした。
結局、ナチスが勝利し、左翼は収容所送りとなってしまいました。

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ここで初代アンティファが暴力闘争を公然と掲げていることに注目下さい。
暴力礼賛と、アナーキスト、共産主義者、急進的社会民主主義者など有象無象がたむろする統一戦線、そして敵対する考えを持つ人たちを一括して「ファシスト」とレッテリングするやり方こそが、アンティファの常套手段です。

当時ドイツ最大のアンティファ団体だった「オートノーム・アンティファ」の幹部だったベルント・ランガーは、自身の回想録の中でこのように述べています。

「反ファシズムは一つのイデオロギーではなく、一つの戦術である。ドイツ共産党が統一戦線政策のもと、反資本主義を「反ファシズム」として対抗した。
そして、このレトリックを使って、他のすべての敵対政党にも「ファシズム」というレッテルをつけた」
(ランガー『80年の反ファシズム運動』)

この敵対する勢力を一括して「ファシズム」と呼ぶのはいまも変わらず、ドイツ連邦憲法保衛局(BfV)は2016年の年次報告書で、アンティファを極左暴力集団と定義したうえで、彼らが主張する「ファシズム」というレッテルは、ドイツで一般的に使われるアンチヒトラーではなく、資本主義とその文化、歴史すべてを否定する用語だと述べています。
アンティファは、このドイツ連邦憲法保衛局がいうとおり資本主義の経済政治の否定だけではなく、その歴史・文化まで含めて総体を否定する文化大革命の要素をもっています。
だから、米国アンティファは、独立の父ワシントン像を破壊し、コロンブス像を倒すのです。
アンティファはこう主張しています。

「歴史家ダニエル・E・ウォーカー氏や活動家ケビン・パウエル氏らが、アメリカ合衆国の国歌「星条旗」を変更すべきだと提唱している。国歌変更の理由について両氏は、「星条旗」の作詞家が奴隷所有者であると指摘。
1814年に「星条旗」の歌詞を書いた白人弁護士、フランシスコ・スコット・キー氏は奴隷を所有する裕福な家庭に生まれており、また法廷では奴隷制廃止主義者を起訴してきた経歴を持つようだ。「にも関わらず、アメリカ国民は国歌を口ずさみ彼の功績を称えている」と二人は問題視している」 

スゴイですね(ため息)。歴史の重みなんて言うだけ野暮。一切合切、全否定、まさしく米国版文化大革命です。

整理すれば、初代からいまに至るアンティファは三つの特長をもっています。

①暴力闘争至上主義。ともかく見境なく暴れる。火をつける爆弾を投げる。
②闇鍋軍団。有象無象のゴッタ煮の統一戦線。ただし中心は共産党がグリップ。
③レッテル主義。敵対する対象はぜんぶひっくるめて「ファシズム」。保守主義者でも自由主義者でもみんなまとめて「ファシスト」。

この3点は、今の米国アンティファを見ると、100年前の性格をそのまま継承し続けているのがおわかりでしょう。

さて彼らアンティファは、イタリアやフランスでは共産党系パルチザンという形で残り、中国では日本との戦争を回避して温存した軍隊で国共内戦に勝利し、戦後は堂々と連合国勝利者の殿堂に名を連ねることができました。
中国の場合、彼らの伝統志向の中華意識と混合し、赤い中華帝国の再興をめざすようになって、いまに至ります。

ここでできたのが「民主主義vsファシズム」という便利な史観です。
本来は民主主義を根っこから否定しする左翼全体主義も、なんと「民主主義」陣営の一角として公認されてしまったのです。

中国は当初から「革命の輸出」にすこぶる熱心でした。
アジアの国々で、中国共産党による「革命輸出」攻勢に合わなかった国は皆無といえるくらいです。
たとえば、カンボジア・クメールルージュは中国がフランス留学生を組織して作らせた組織で、数百万と言われる大虐殺を演じました。
インドネシアも危うく共産党に支配されかかって、クーデターで事なきを得ました。
マレーシアも共産党との内戦を経て、やっと安定した国づくりができるようになっています。
フィリピンはいまでも中国は共産党軍が支配している地域があります。
ネパールに至ってはいまでは中国派共産党に支配されてしまっています。
ベトナムだけは中国からの独立を勝ち取っただけに表面はニコニコ、裏では熾烈な争いをしていましたが、とうとうベトナム戦争後に直接侵攻される憂き目にあっています。

日本共産党もご多分に漏れず、一時期完全に中国派に支配されてしまい、朝鮮戦争の後方攪乱を目的とした爆弾と火炎瓶が乱れ飛ぶ「反戦闘争」を引き起しました。
そのための武装組織として「中核自衛隊」を作ったほど、暴力闘争にのめり込んでいきます。
いまでも共産党が公安調査庁から破防法監視団体となっているのは、こういう黒歴史があるからです。

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インドですら、文革中、北京の「昌平軍事学校」にインド共産党中国派を招集し、爆破技術とか手製手りゅう弾の作り方やゲリラ戦のノウハウを教えて込み、金と武器を持たせて帰国させて、1967年のダージリン・ナクサルバリの農民武装反乱を起こさせています。
このことは特に秘密ではなく、当時の「人民日報」にデカデカと「インドの春雷」と大宣伝しています。
このインド共産党はインド国内最大の武装勢力として、2004年から07年の間だけでも実に6215件の武力闘争事件を起こし、2617人を殺しています。

中国という「革命輸出国家」がアジアになければ、戦後のアジアはどんなにか平和だったことか。
そして中国が「革命の輸出」に最も力を注いだのが米国でしたが、長くなりますので別稿とします。
とまれ、このような「中国による革命の輸出」との関係で、米国のアンテファをみると別の見方ができるでしょう。

 

 

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コメント

どう見てもアメリカ版「連合赤軍」の再興ですね。。当時のあっちではブラックパンサー党でしたか。

一時的なものならともかく著名人や有名人が乗っかって(実は利用されてる)るというのがねえ。よほど浸透されてますね。コロナ騒ぎの最中に警察の失態を突いて一気に拡散するという巧妙な黒幕がいます!

2015〜2018頃の欧州はISだけでなくアンティファが跋扈し出した時代でもあり、いよいよ米国で、という感があります。
BLMとの共闘関係がどんなかたちなのか、全く知る由がないので語るのは難しいのですが、BLMのリーダー格の1人がテロ宣言に近い声明も出したようで、奴隷時代の歴史を飛び越えたむき出しの抗争に向かうのでしょうか。奴隷解放、公民権運動、ここまでは人権闘争であっても、今回のは何か違いますね。

私達はなによりも内戦を避けなければならないのよ。と、NYのおばあちゃんが語っていたのを悲しく思い出しています。
おそらく最も失われるのはBLACK LIVESでしょう。

アンティファの解説ありがとうございます。要領よくまとめられていた
ので、正体不明(例によって、マスゴミは騒動がタイヘンだと騒ぐだけ
で、国民の分断だぁーと、結局それだけを言いたいみたいです)と思
っていたアンティファがどういう団体なのか判りましたわ。コワイ奴ら
だったんですねー

ポッと出のただのバカ集団かと思っていたら、社会共産主義者達の、
ファシストのファシストによるファシストの為の政治を目指す、隠れフ
ァシスト達の由緒正しい筋金入りのバカ集団でしたわ。ソ連無き現在
は、あのファシスト丸出しになってきた中華共産帝国が後ろにいるの
は、もう想像するまでもないですわ。社会的弱者をさんざん利用して、
正義?の為という暴力で権力をブン取って、知らぬ間に社会的弱者
はおろか全国民を支配してしまうという、もう何回も何回も何回も地球
上で繰り返されてきたことにゲップが出ます。

続きの記事をお待ちしておりますわ。

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