種苗法改正の目的は、新品種の違法な海外流出の阻止です
種苗法改正が流れました。
まともな議論もないままファシスト・アベガーの「空気」とコロナで葬られてしまったようなものですが、とりあえず継続審議なので、次回国会ではもう少しまともな議論をしてほしいものです。
それにしても柴崎コウさんの「気分は自然派」といったようなツイートのひとこでふっ飛ぶんですから、いかに国民にとって農業なんて浮世離れした分野かわかろうというものです。
私は一般論としては芸能人が政治向きをしゃべるのは好きではありません。
別に国民としてしゃべるぶんにはどうぞご自由になんですが、ならば自分が提起した問題に最後までつきあうのかといえば、しない。
言ったきりで、マスコミに有名人のなんとかさんはこんなご立派なことをおっしゃられていましたぁ、ていどのことで世論形成が出来ると思う軽さがイヤです。
有名人というアドバンテージでしゃべっているのですから、芸能人も言論に関わるなら責任を負え、というだけのことです。
それはさておき、柴崎さんのご心配とは裏腹に、有機農業をやらせないための法律じゃないし、農水はこの分野に対して冷淡だったとしても敵対するほど悪趣味ではありません。
JA系、特に果樹系は諸手をあげて賛成ですし、農業界で反対しているのは共産党の息がかかったようなところばかりです。
あとは農業とは無関係な人たちばかり。
いつもエキセントリックに叫ぶ三橋貴明御大や、思いこんだら命懸けの頑固親父・山田正彦氏くらいなもんです。
窮地におちいると柴崎さんが心配する、かんじんの「日本の農家さん」はまったく反対していないというのが、何よりもの答えだと思いますが。
では、なにがこの種苗法改正の目的なのでしょうか。
ひとことでいえば、育種者が作り出した野菜や果物、花の新品種の知的財産権を保護するための法律だから、農業界は好意的なのです。
日本は農業の知的財産権の重要性にようやく目覚め始めていて、従来のままでは「植物の新品種の保護に関する国際条約」(UPOV条約)に対応して、日本の知的所有権を守りきれないからです。
さて、新品種を作った育成者の権利のことを「育成者権」と呼びますが、これは一般の特許法で付与される特許権などと同様な知的財産権であり、権利の形態も特許権などを想像してもらえばいいと思います。
ちなみに「育成者権」が成立する条件は以下です。めんどうだったら読み飛ばして下さい。
●育成者権が認められる要件
種苗法3条,4条,11条
①区別性
優先権。品種登録出願前に日本国内又は外国において公然知られた他の品種と特性の全部又は一部によって明確に区別されること。つまり、出願時点で新しい品種しか登録できません。ただし、UPOV条約の締約国で外国出願し、その翌日から1年以内に日本に出願した場合には、この外国出願時点で新しければよいことになります。
②均一性
同一の繁殖の段階に属する植物体のすべてが特性の全部において十分に類似していること。つまり、個体差が大きい品種は登録できません。
③安定性
繰り返し繁殖させた後においても特性の全部が変化しないこと。つまり、繁殖させて変化するような品種は登録できません。
④未譲渡性:
日本国内において品種登録出願の日から1年さかのぼった日前に、
外国において当該品種登録出願の日から4年(永年性植物は6年)さかのぼった日前に、
業として譲渡されていないこと。ただし、試験若しくは研究のため又は育成者の意に反する場合を除く。
⑤名称の適切性:
出願品種の名称が既存品種や登録商標と紛らわしいものでないこと
まぁ、あたりまえのことばかりで、明確に他の品種と区別でき(できなきゃ新品種じゃありませんもんね)、一定の安定した品種で(植えるたびにバラバラだったらシャレになりません)、誰がどこで育てても再現性がある(うたったようにできてあたりまえですから)、ということですな。
なおこの育種権は品種登録から25年間(永年性植物では30年)存続させることが可能です。
この権利によって育成者は正当な利用者に登録品種の利用許諾を与えて、見返りに利用料を得ることができます。
反対に権利を犯された場合には、不正利用者に対して侵害行為として民事訴訟による損害賠償を請求できます。
ただし、この育成者権の効力は、「一般品種」には及びません。
●一般品種とは、
①登録されていない在来種
②登録されていたものの登録料が支払われずに登録が取消された品種
③品種登録の日から25年が経過した品種
よく世情騒がれた自家採取するのは、すべてこの一般品種に属しますから、自分の家で種採りしてもなんの問題もありません。
今回の法改正でも、この一般品種は改正の対象に入っていませんから、どうぞ今後も自家採取をお続け下さい。
原種がどうのと一知半解なことを言っていた人もいましたが、農業の世界でいう「原種」とはそこらの山野に生えている自生種じゃなくて、あくまでも農業利用可能な在来種、つまり法区分でいうこの「一般品種」のことですから、念のため。
自家採取ができなくなるぅ、なんて叫んでいた人たちは、よく法律読んでから反対していただきたいもんです。
なお、日本ではこの一般品種が種苗市場の9割近くを占めます。
さて、今回改正される目的は、育成者権の盲点を埋めるためです。
農林水産省:種苗法の一部を改正する法律案について
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/shubyoho.html
従来の種苗法では、仮に登録品種であっても、農業者による自家増殖には育成者権は及ばず、農業者が収穫物の一部を次期の種苗に利用できます。
●種苗法の盲点とは
種苗法21条
2. (略)登録品種の種苗を用いて収穫物を得、その収穫物を自己の農業経営において更に種苗として用いる場合には、育成者権の効力は、その更に用いた種苗、これを用いて得た収穫物及びその収穫物に係る加工品には及ばない。ただし、契約で別段の定めをした場合は、この限りでない。
3. 前項の規定は、農林水産省令で定める栄養繁殖をする植物に属する品種の種苗を用いる場合は、適用しない。
条文はほとんど暗号ですが、市民語で書けば、現行法では特許登録された登録品種でも、種苗、収穫物には及ばないのです。
なんと人がいいというか、日本人らしく性善説丸出しの法律です。
近年、このようなことでは対応できなくなる事態が生じました。
その最たるものが、わが国の種苗家や農業試験場が丹精こめて長年の努力で作り上げた優良品種が海外に流出して、勝手に栽培されていることが判ったのです。
そしてその国、あえて名は秘しますが仮にK国、あるいはC国としますが、それらの国は日本に来て種を苗、時には銘柄牛の精液を国外に持ち出し、それをせっせと増産し、あまつさえそれを自国特許で保護させて第三国どころか、わが国に逆輸出するなんてことを堂々とやってのけていることが常態化したことです。
有名な事例では、2018年に韓国のピョンチャン五輪で、カーリング女子日本代表選手たちがハーフタイムにイチゴなどを頬張る「もぐもぐタイム」が話題になりましたね。
あそこで彼女たちがおいしいーと食べていたのは、韓国でポピュラーなイチゴ品種の「雪香」で、これは日本の登録品種の「章姫」あるいは「レッドパール」のコピーだと推測されています。
宮崎などの銘柄牛の種も盗まれたという噂が絶えません。
韓国人が不正に持ち出し、韓国で掛け合わされて生まれた品種で、自分の国だけで消費すればまだしも、ウリナラ・イチゴとしてアジア各国に輸出されて大儲けをしています。
こういう違法輸出により、日本農業はあり得るべき市場を奪われています。
農水の試算では、日本産いちごが被った被害額は最大で220億(2017年林水産省「農林水産省における知的財産に係る取組」)と見られています。
こんなことは氷山の一角で、やりたい放題です。
柴崎さん、日本農業がそんなに心配なら、日本の誇る特産種を守れと言っていただきたいもんです。
ところがなぜかそれを守ろうという法改正に反対なんだから困ります。
いやまったく、K国やC国の傍若無人ぶりは、たまったもんじゃありませんでした。
汗もかかずに優良品種を盗み、勝手に増やして、外国に輸出までされたら、馬鹿馬鹿しくってやっちゃいられません。
いったい、一つの優れた品種を作るのにどれだけの時間と手間と多くの人々の知見がいるのか分かっていてやっているのか、と怒鳴りたくなります。
そのうえにこちらが提訴するとなると、育成者権侵害の立証のために、品種登録時の種苗との比較栽培が必要とされる判決が出てしまいました。
特許侵害されたことを、こちらが証明するためには手間隙かけねばならない育種者に不利な判例がでてしまいました。
これではそれでなくても、元々さほど新品種を作っても儲からない育種者は減り続けていました。
今や県試験場が品種改良の主力となっているのは、民間の育種者がいなくなりつつあるからで、このほうがよほど日本農業の危機です。
農林水産省「農林水産省における知的財産に係る取組(平成29年12月)」
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kensho_hyoka_kikaku/2018/sangyou/dai2/siryou3-3.pdf
このように今回の種苗法改正は、従来の法の盲点だった「自家増殖に関する例外規定」を廃止し、特許権の侵害を阻もうとするものです。
自家増殖に関する例外規定の廃止によって、登録品種の自家増殖を育成者権の許諾によってのみ行えるようにし、農業者によって自家増殖されている登録品種の実体の把握を可能にします。
そしてそれによって登録品種の種苗の不正な海外持ち出しの抑止を可能としています。
農林水産省食料産業局「種苗法の一部を改正する法律案について」
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/attach/pdf/shubyoho-2.pdf
このどこが改悪なのかさっぱり私にはわかりません。
反対している人たちが眼目にしている「自家採取が禁止される」というのは、この登録品種についてであって、在来種を含む一般品種に関しては今までどおりどうぞおやり下すってかまわないのです。
こういう意図的なのか、ただ読まなかっただけのかわかりませんが、一部を切り取って歪曲したような批判が一人歩きして、増幅していくのですからイヤになります。
柴崎さん、反対するのはけっこうですし、農業を愛していただけるのは嬉しいのですが、もっと農業の現実を見てしゃべって下さい。
お気持ちだけ頂戴しておきます。
蛇足ですが、三浦環は藤田嗣治と同棲していたというのはNHKのフィクションです。
同時期にパリにいましたが、環には三浦氏という夫がいました。
« イージスアショア あくまでも「停止」であって「中止」ではないと思いたい | トップページ | 米国第二波到来と「自治区」騒ぎ »
コメント
« イージスアショア あくまでも「停止」であって「中止」ではないと思いたい | トップページ | 米国第二波到来と「自治区」騒ぎ »
柴咲某とかの女優さんが無知で誤りを言うのは仕方ないと思いますが、共産党あたりのデマに乗せられて拡散するのは止めてほしいですね。
保守派で「外国企業に日本の農業が乗っ取られる」とか言っているのも非常にイタイ気がします。
むやみに河野大臣の始末を歓迎したり、保守派など名乗っているだけにタチが悪いと思います。
安倍首相は最近何を考えているのか。
端から必要な法案まで棚上げにして、防衛政策すらブレています。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2020年6月19日 (金) 07時39分
海外流出を防ぐという目的は理解出来るのですが登録品種の自家増殖を制限しても種をポケットなどに入れてしまえば海外に簡単に種を持ち運べてしまうのではないのでしょうか?そこらへんの細かい運用の問題はどう整備していくのでしょうか?
また登録品種に許諾料を設けることは種苗代がかかり農家の経営を圧迫することにはならないのでしょうか?
また海外での品種登録をするというのも海外流出を止める方法だと聞くのですがそれだと今回の改正案に比べてどれくらい手間がかかるのでしょうか?
投稿: hum | 2020年6月19日 (金) 08時15分
> これではそれでなくても、元々さほど新品種を作っても儲からないから育種者は減り続けていました。
今や県試験場が品種改良の主力の一部となっているのは、民間の育種者がいなくなりつつあるからで、このほうがよほど日本農業の危機です。
おはようございます。この経緯を逆にして理解している人から私が力説されたのは以下の通りです。
だいたい新品種を作っても儲からないから育種者なんてもうほとんどいない。
今や県試験場が品種改良の主力なのに民間の育種者を守るような建てつけで税金で支えている知財を守るのはおかしい。今に自治体が登録品種以外もコントロールしようとするのではという疑念はあって当たり前。守らなきゃいけない民間育苗者なんて法律で守るほど人数いないんだよ。面倒になる育ててる農家の方がずっと多い。
まあ、この人は私の「じゃあ県はどうやって流出を守るの?県税でなら品種改良代は捨て金になってもいいの?農家は作った果物が安値でしか売れなくても別にいいの?」という質問には「それはまた別の話だよ」という驚愕の答えをくれましたが。
共産党の息がかかってなくともこういう認識の人がどれくらいいるのか、どよーんとなりました…。
投稿: ふゆみ | 2020年6月19日 (金) 08時20分
hum さん、農家は育種者である特許者から直接買うのではなく、種苗会社などから購入しています。
ですから特許料を支払うのは種苗会社で、薄く広く種代に乗せられます。
種は簡単にもちだせますが、それを自家菜園用にするならめこぼしにするでしょうが、これを商用で自家増殖させる場合には、特許者の許可が必要です。
実際は韓国は日本をなめているので、今までどおり剽窃しつづけるでしょうが、日本は国際法(UPOV条約)を根拠にして、裁判を提起し、損害賠償請求することになります。
ふゆみさん。そういうどどこかで耳学問したような御仁がいるから困るんだなぁ。
テーマは「日本の優良な種を守る」です。そのためには、別に主体が民間の育種者でなくても、県試でも種苗会社でもかまわないのです。
要は「メイドインジャパン」の優れた種を守れればよいだけのことです。
ただ県試だけでは弱いし、限られた者になりがちなので、民間育種者とのコラボが要るのです。
それを自治体が特許以外をコントロールするってなんです、それ?
自治体がなに斜めに見ているのか、県が種を一元支配するっていうことでしょうか。意味不明です。
被害妄想というか、そんな意図は自治体にはないし、能力もありませんよ。
実際に県試とつきあってみればわかります。
だいいち、民間と県試は競合関係ではないし、ましてや敵対関係なんかじゃありませんからね。
むしろこの時代、がんばってメイドインジャパンのいい品種を公共の力で守りきっていただきたいくらいです。
投稿: 管理人 | 2020年6月19日 (金) 08時54分
品種は知財である認識の無さ・低さから善意で譲ってしまう人もあれば、国内に少なからずブローカーが存在すると考えるのが妥当な例もあるようですね。
一度に何もかも解決して万人を不安にさせないとか無理ですから、我々側の意識・水際・できるだけ海外での品種登録を実現するには…など、C国K国の人々も大好きな日本の優良品種を守るために、やれるところから複数の対策で穴を塞いでいかないと、ですね。
ご参考に、SMART AGRIさんをお借りして
種苗法改正を考える緊急連載第1回
「種苗法改正は改悪か、農家と消費者の視点から考える」
https://smartagri-jp.com/agriculture/1406
連載第2回
「育成者権を尊重することによる農業・食生活への影響」
https://smartagri-jp.com/agriculture/1436
連載第3回
「歯止めが利かない日本種苗の海外流出の現実」
https://smartagri-jp.com/agriculture/1450
投稿: 宜野湾より | 2020年6月19日 (金) 09時43分
今回の騒ぎを見ていて、あくまで個人的感想ですが気になったのが大半の方の知的財産に関する誤解です。
今回種苗法の条文を一通りざっと読みましたが、特許法を元に作られており特許権
(意匠、商標権も)にかんする某資格を受けた者としては理工系にも関らずすらすら読めました。農作物だって技術の端くれなので特許法で言われる「新規性」ようは目新しくないと権利として保護されず、権利化後も一定の登録料を払わないと最高で原則20年の権利が途中で消滅します。
ようはそう簡単に権利が与えられるものではなく、更に技術の陳腐化等により、その後の登録料を支払う旨味が無くなれば権利は消滅、その後は自由技術です。
兎に角特許権等の知財の権利化は特許権は特許庁、種苗は農水省の違いは有っても極めて厳しい物です。
所が今回反対意見表明された方のご見解は著作権法(女優には馴染み深い?)を元にされてると思われますが、あれは管理人様のブログ記事や我々のカキコ等々、ありとあらゆる物が著作物として保護され、特に料金の支払いも無く、著作者の死後原則50年保護(特許権は出願から20年)されます。
もちろん審査を経た特許や種苗と比べ権利自体は弱いですが、外資系企業が簡単に種苗の権利を取得可能みたいな意見を聞いてるとデイズニーが一連の映画の権利を50→70年に引き伸ばした「ミッキーマウスの延命」と混同してる?と思わざるを得ません。
特許関係の資格取得で特許法勉強するのは私含め大半が理工系、法律条文は暗号みたいなものでしたから、大半の方になかなかとっつき難いのは身に染みて解りますが、芸能と言う農業や知財とは直接無関係な分野に、自らの専門分野で培った知名度を利用して日本農業への正しい理解に基ずいたとは言い難い情報を発信されては困惑するばかりです。
尚、私自身農村出身、実家は主に農家相手の自営業、実家本家や親戚は農家(主に米)だったのでその女優氏は米農家、野菜果樹農家(イチゴは草、柿は樹木で異なる)今回無関係な畜産等々農家と言ってもその経営内容は多種多様、多分こんな区別の概念無かったっと思われ、管理人様に農業の事書くのは恐縮ですが、あまりにも素人発言と思わざるを得ません。
でも特許権でも日本国民の財産である日本国の技術が結構外国にパクラレてる面は有るので、種苗法と一緒に特許法(しょっちゅう改正されてるが揉めた話聞きません)にも興味もって頂けたら良い事かも知れません。
投稿: Si | 2020年6月19日 (金) 16時33分
ブログ主様、いつも解説ありがとうございます。日本の農業の知的財産権とできるだけ自給率を上げるための取り組みは、真剣に続けるべきですね。併せて、シナ・朝鮮が日本とは真逆な文明・文化圏であることと、日共はじめ、日本を貶め・衰退させ・滅ぼそうとする諸勢力に常に留意することが、今後とも各方面で従来以上に大事になってきとことを痛感します。個人的には、農作物もですが、錦鯉が今後シナ・朝鮮に剽窃されないか昔から心配です。
投稿: ぼびー | 2020年6月20日 (土) 07時28分
育種家の人達の保護が必要であるのは分かるのですがそうであれば民間の育種家の人達の補助金を増やすではだめなのでしょうか。なぜ自家増殖を制限し特許料を取る必要があるのでしょうか。
投稿: hum | 2020年6月28日 (日) 13時17分
hum さん。まだわかんないかな。
どうして問題を整理してかんがえないんでしょうか。特許による知的所有権保護と、育種家に対する補助金はまったく別の概念です。一緒にしちゃダメです。
いいですか、この法律は自家採取(増殖)がキモではありません。それはあくまでも特許権保護のために法はやるなと言っているだけで、9割を占める一般種苗は対象外です。
それを柴崎さんなんかは、全部まとめて自家採取を禁じられたというデタラメを言うからおかしくなる。
それに尾ひれがついて原種の採取も禁止されるなんて言いふらして反対するに及んでは、妄想入ってますよ。
なんどもくりかえしますが、今回の改正は特殊な作られたをして特許をとった種苗を、国際種苗法に則って守ろうとするものです。
種苗を特許法の枠内で守り、外国による違法コピーを防ぐのが目的です。
散々やられましたからね。
確かに民間育種家が減少しているのは事実で、その保護はよいことです。今の育種はほぼ県試験場が作出しています。最近、評判の焼き芋好適品種の紅天使なども、県試が作ったもので、みかん、いちごなど多くの果樹のブランド品はほとんどが県試が作ったものです。
だから私企業と違って権利面に鈍いところがあり、いいようにやられています。
それに対して種苗業界への異業種参入によって、たとえばサントリーなどが多くの美しく特長ある花を作出して特許権を獲得しています。
やっと日本でも有望なマーケットとして認識され始めたわけで、このような民間企業のやる気ををもっと伸ばしていく必要があります。
そのために税制優遇措置や補助金などの支援は必要です。
しかしそれと同時に、いやそれ以上に、種苗の特許権をしっかりと守る法整備をすることのほうがより重要です。
だから、育種に対する支援政策と特許権の保護は一体のもので、どっちがどっちを代替できる性格じゃないのです。
今回の体制は特許権の抜け落ちを埋めようとするものにすぎませんから、補助金で特許分野を代行できません。
なお自家増殖について誤解があるようですが、特許品種の種苗はさまざまな品種を掛け合わせて作出されたものです。
育苗家が、たとえば味はこうしたい、大きさはこうしたい、色はこうしたい、この病気には強くしたいなどなどさまざまな遺伝子を掛けてでき上がっています。いわば植物のカクテルなのです。
それを自家採取すると、メンデルの法則どおり形質はバラけます。完全なコピーはできずに、なにかしらが欠けます。
やってみればわかりますが、自家採取で増殖させるとどんどんと元の特許品種から離れて劣化していきます。
ですから、つまらない違法コピーをせずに合法的に種苗を入手し、栽培するのがもっとも近道であるのです。
投稿: 管理人 | 2020年6月28日 (日) 14時03分
海外流出を防ぎたければ海外での品種登録をするという手もあると思うのですがそれではだめなのでしょうか。
投稿: ton | 2020年6月30日 (火) 21時13分
ton さん。ダメもなにも外国の特許をとりたきゃどうぞ。でもまずは日本のパテントを押えてからにしてねというだけのことで、代替するもんじゃありません。
種苗とか農業とかって言うと、いきなり「日本農業を守れ」的なわけの分からない議論となるのか、農業者の私のほうが意外です。
要は種苗法は種苗版パテント法なのです。柴崎女史が関わる著作権と同じ。彼女も外国で自分の歌やドラマの海賊版つくられたら怒るでしょう.。
それと一緒。種苗やブランド牛なんかでさんざん海賊版を韓国に作られたから国際法に沿って対応しているというだけのことです。
投稿: 管理人 | 2020年7月 1日 (水) 04時15分