東京アラートではなく高齢者アラートを出せ
GOTOキャンペーン、東京都をはずすとかで、記者会見した公明党の赤羽国交大臣は涙目でした。
なにか村役場の助役さんのような風貌の人で、こういうときのスポークスマンには気の毒でした。
河野太郎氏あたりにニベもない顔で、「小池さん、文句あるなら風俗クラスターを規制してからいいなさい」くらい言わせたらよかったのにね。
読売 https://www.yomiuri.co.jp/economy/20200717-OYT1T50...
さて、メディアはこぞって「GOTOに国民激怒」と報じていますが、私は鈍いのかいっかな腑に落ちません。
だって東京都が連日200人超えだぁ、また大流行が始まるぅとメディアは大騒ぎしていますが、頭を冷やして下さい。
あの数字は、あくまでもPCR検査で陽性判定受けた人のことで、感染者そのものじゃありませんからね。
そもそもPCR検査は、宿命的に3割も誤判定を出す結果、偽陽性を大量に生み出す性格の検査なのです。
だから仮に200人出たとすれば60人見当はハズレ。実際は140人ていど陽性が出たというだけのことです。
しかも陽性判定を受けても即発症ということではなく、まったく熱も出ないという無症状か、あるいは出ても極軽微に終わる人が大部分です。
後述しますが、発症して重症化するのは持病がある高齢者が9割以上を占めます。
ではなんで厚労省が騒いでいるかといえば、それは無症状者が高齢者にうつす可能性があるからです。
ならば、東京アラート(小池さん、ホント横文字好きだね。いっそエジプト語でやったら。あ、できないんだっけ)じゃなくて、「高齢者アラート」を出せばよかったのです。
保護すべき年齢層を絞って、その方たちの外出を制限し、なんらかの方法で行政がケアをする方法もあったんじゃないかと思っています。
それをいきなり東京都全体にアラートを出すという大網をかけてしまうから、まるで他県から見れば「東京から来る奴はみんな危ない」なんて間違った感想をもたれるのです。
ああ、この特定地域を不浄のものとして遠ざける空気感って、かつての福島事故時の被曝地ヘイトを思いだしますな(遠い目)。
私もやられました。
東日本は人が住めない、東日本の農民はテロリストだ、なんて言われましたからね。
ああ、思い出すだけで、腹が煮えくり返る。武田や早川をハリ倒したい。
今の東京都を不浄のものして敬遠する空気は、早急になんとかしないと東京の規模が規模だけに大変に危険です。
高橋泰教授 https://toyokeizai.net/articles/-/363402?page=2
さて国際医療福祉大学高橋泰教授の「7段階モデル」というものがあるので、ご紹介しておきます。
高橋氏は公衆衛生の専門家です。
高橋氏はこの7段階モデルを作った理由をこう述べています。
「新型コロナは、全国民の関心事ながら「木を見て森を見ず」の状態で全体像が見えてこない。そこで、ファクト(事実)を基に、全体像が見通せ、かつ数値化できるモデルを作ろうと思った」
(東経7月17日) 『新型コロナ、日本で重症化率・死亡率が低いワケ 高橋泰教授が「感染7段階モデル」で見える化』
https://toyokeizai.net/articles/-/363402
木をみて森を見ない、いやまったくそのとおりです。
私は今のナーバスに過ぎて、アツモノに懲りて膾を吹くような日本のコロナ世論に抵抗感をもっていました。
煽っているのはメディアですが、彼らが報じるのは陽性判定者数だけで、その内訳まで踏み込みません。
陽性判定者のうち発症が何人いたのか、重症者は増えているのか、死亡者は出たのか、ベッドの充足率は、隔離施設の充足率は、というような伝えるべきツボをことごとく外して、ただただ200人を超えたぁぁぁ(悲鳴)みたいな現象面をセンセーショナルに報じるだけです。
また感染拡大期から私は感染の拡大を比較するときには、単位人口当たりの重症者・死亡者を見ねばならないと書いてきました。
一般の県の人口は300万人前後で、東京都は1400万人ですから、約5倍弱もあるウルトラマンモス自治体です。
だから通常サイズの県と比較する場合、5分の1で比較するべきなですから、東京で200人なら他の県に直せば40人ていどにすぎないのです。
また現在やっているPCR検査は、メディアが感染拡大隠しだなんてデマをしつこく飛ばすもんですから、医療崩壊を免れたと判断できた今やっているわけです。
おそらく3月、4月時点の数十倍の数は検査しているわけで、そりゃその分検査数が増えるんですから増えて当然ですがな。
覚えてますか、この春にPCRやってもらうためには、37.5度以上あることが条件で、それもまずは保健所に行けと言われていましたよね。
一回保健所で捌いてから病院に回し、そこでも最初はCTスキャンで肺を検査して、おかしな影があったらやっとPCRが受けられたのです。(ああ、まだるっこい)
この時、メディアに植えつけられた国に対する不信感が、感染拡大防止に成果を上げたにもかかわらず安倍政権の支持率低迷につながっているのでしょうかね。
朝日
それはさておき、ヘソ曲がりな私は「今は8合目」説を立てて、もう頂上は見えている、あの3月の感染拡大フェーズは二度と来ないと言っているのですが、素人の悲しさでゴマメの歯ぎしり、蟷螂の斧でした。
ああ、いかん高橋先生の7段階説に行き着かないぞ(汗)。
高橋氏は新型コロナウィルスはこういう性格だと述べています。
「新型コロナウイルスは、初期から中盤までは、暴露力(体内に入り込む力)は強いが、伝染力と毒性は弱く、かかっても多くの場合は無症状か風邪の症状程度で終わるおとなしいウイルスである。しかし、1万~2.5万人に1人程度という非常に低い確率ではあるが、サイトカイン・ストームや血栓形成という状況を引き起こし、肺を中心に多臓器の重篤な障害により、高齢者を中心に罹患者を死に至らせてしまう」
(東経前掲 図も同じ)
これは新型コロナウィルスが、「自身が繁殖するために人体に発見されないように毒性が弱くなっている」という性格のためです。
ですから、「一定量増殖しないと人体の側に対抗するための抗体ができない」のです。
そのために初期には98%の人が無症状か軽症で済んでいます。
高橋氏は、インフルエンザのほうがある意味恐ろしいと言っています。その理由は毒性が強いからです。
「インフルエンザの場合は、ウイルス自体の毒性が強く、すぐに、鼻汁、咳、筋肉痛、熱と明らかな症状が出る。暴れまくるので、生体(人の体)はすぐに抗体、いわば軍隊の発動を命令し、発症後2日~1週間で獲得免疫が立ち上がり、抗体ができてくる」(東経前掲)
逆に新型コロナのほうは初期の侵入期には弱毒なために、抗体が出にくいのです。
ですからこの時期にPCR検査と抗体検査を同時におこなった場合、PCRでは陽性判定が出ますが、抗体検査では陰性となってしまうという違った判定結果となります。
「国民の少なくとも3割程度がすでに新型コロナの暴露を経験したとみられる。暴露率はいろいろやってみたが、30~45%が妥当だろう。そして、暴露した人の98%がステージ1かステージ2、すなわち無症状か風邪の症状で済む。すなわち自然免疫までで終了する。
獲得免疫が出動(抗体が陽性になる)するステージ3、ステージ4に至る人は暴露者の2%程度で、そのうち、サイトカイン・ストームが発生して重症化するステージ5に進む人は、20代では暴露した人10万人中5人、30~59歳では同1万人中3人、60~69歳では同1000人中1.5人、70歳以上では同1000人中3人程度ということになった」(東経前掲)
このように高橋氏は、感染ステージを0から6までの7つのステージに分けて、ステージ0は無症状、1はほぼ無症状、2は風邪程度ですから、98%の人にとって新型コロナはタダの「肺炎になる可能性が0.2%ていど残る風邪」で済んでしまいます。
こわいのはサイトカイン・ストーム(※)が発生して重症化するステージ5に進む場合ですが、その率はこのようなものです。
※サイトカイン・ストーム・ 免疫システムの暴走。免疫細胞の制御ができなくなり、正常な細胞まで免疫が攻撃して死に至ることもある。(東経前掲)
●新型コロナステージ5以上に進む年齢別比率
20代・・・暴露した人10万人中5人
30~59歳・・・同1万人中3人
60~69歳・・・同1000人中1.5人
70歳以上・・・同1000人中3人
このように感染全体の「森」を見た場合、現在の状況の「木」がどの程度の脅威か、自ずとわかりそうなものです。
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東京アラートってのが、全く要領を得ない分からん代物でしたし。。
だったらなぜ小池知事は今こそ発動しないのか?と連日疑問に思っていました。選挙とかあったからポーズですよね。
んで、結局は国に丸投げしといて、GoToキャンペーン(私もそんなことに今国費使わんでもと思ってましたけど)についても国にやらせて東京を除かせておきなが、「国は詳しい説明を」なんて、どんだけ無責任なんだか!
標的にされた国交省や旅行会社を大混乱させたのは小池さんですよ。
とりあえず敵を作ってプロパガンダするこの人はダメだなあ・・・。選挙圧勝で自信増したのかもしらないけど。
GoToキャンペーンとか見てて、昔の「日本語ベーシック」なんてのを思い出しました。
gotoは「イケ」で、runは「ハシレ」でしたね。
投稿: 山形 | 2020年7月18日 (土) 06時38分
高橋先生の説は「暴露」と「感染」を切り分けていたり、西洋人と日本人との免疫傾向と抗体獲得率の違いなど大変興味深い内容でした。
ご紹介いただきありがとうございます。
PCRは暴露はもちろん巨人の2選手のような既に回復した後のウイルスの残骸にも反応するので検査を増やすほど陽性判定者が増えるのは当たり前です。
むしろ検査数をここまで増やす方針にも関わらず隔離用の宿泊施設を減らしていた東京都のチグハグな対応の方が責められるべきだと思うのですが…
懸念すべきは既に上げられている高齢者対策と受け入れ側の医療体制で、現在の重症者の割合に合わせた病院側にできるだけ負担にならない組み換えは必要だと思います。
投稿: しゅりんちゅ | 2020年7月18日 (土) 09時05分
「自粛要請とかお願いベースはぬるい!もっと行動制限が必要」といっていた口が「東京差別は人権侵害」といっていて微苦笑。
「東京差別」に何もいわない人権派さんの口にも微苦笑。
己の感情だけで見るからそうなる。
「東京都」十把一絡げで伊豆諸島・小笠原諸島など困惑。
何かがゼロでないと何もしたくない人は気が済むまで篭っていたらいいし、自分で方法を考えて選べる人が行動したらいい。
自分の重症化リスクは低いけれどなんだか怖いという方々も、GO TOの補助を貰って、自分の県で何処か行ってみたかった場所泊まってみたかった宿を訪ねるところから始めたらどうでしょう?
行政や観光事業者と医療関係者とで話し合って、多かれ少なかれ感染者の来沖を覚悟して観光再開で腹を括った沖縄。
いつまでも躊躇はできない、何をやってどう防衛ラインを守るのか。
高山義浩医師7月17日付メッセージ
https://news.yahoo.co.jp/feature/1763
投稿: 宜野湾より | 2020年7月18日 (土) 12時11分
5月に持病の経過観察で通院した折、主治医に言われたのは重篤化する率が高いから感染しないよう注意してねでした。
重症じゃなくて重篤ですか?と聞き返ました。50代でも感染したら終わりじゃん(笑)
年齢関係なく持病のある人には恐怖です。
人工心肺や呼吸器を使うと後遺症の率も高い、中軽症でも味覚障害や胸の痛みなどが続く人も少なくない。
と聞けば、インフルエンザの類いとも思えません。(ある人に言わせると、年金受給者や医療費のかかる人を減らすウイルス)
イタリアのように後遺症の調査をするのでしょうが、日本の調査報告を早く出してもらいたいですね。
色々な説明を聞き混乱してます、何を信じてよいやら…。
東京の医療機関の9割が赤字、この先医療崩壊しないでよ。
各地の大雨災害や東京由来のコロナ感染拡大の今、46道府県GOTOキャンペーンの効果は期待薄でしょう。
何もしないよりはマシか、うーん
投稿: 多摩っこ | 2020年7月18日 (土) 15時29分
高橋教授は公衆衛生部門でも、医療職の配置や医療機関の配置等がご専門であったかと。
地方の人口減少に伴う医療需要の変化、医療圏の再編、人口減少地域の医療機関の再編成と医師の配置について国の会議でも発言し詳細なデータを提出。
今後、医療需要が高まるのは人口集中と高齢者が増える大都市と近隣の地域であり、医師もそれらの地域により多く集める必要性をデータと共に訴えておられます。
反対に人口減少が進む地方はすでに医療需要はピークを過ぎており、そういった地方から医師を大都市部と近郊に集めないと大都市圏の医療需要がまかなえないとも提言しています。
人口減少地域の医療機関のダウンサイジングについても述べておられます。
その高橋教授がコロナの疫学的研究をなされたことは驚きです。
投稿: mature MD | 2020年7月18日 (土) 15時47分
移動制限を法で定めたのではなく、住んでる自治体が旅行費用の割引対象外なだけなので金にゆとりのある都民、近県や他府県の市民は自由に旅行できます。
平常時でも田舎は閉鎖的で他所者を受け付けないパーソナリティがもともとあり(医師に対しても
)、コロナ騒ぎで県外ナンバー車ドライバーへのいじめや嫌がらせも起きており、自由に移動できるといっても田舎県民のパーソナリティは事前に承知していたほうが宜しい。
田舎に行かずとも首都圏や京阪神なら地域内でオススメスポットがあるので、コロナがある程度収束する数年後までは圏内で旅行を考えましょう。
あと旅行観光業界の苦境と行ってもそこの業界人でなければ、多くの部外者は冷淡です。
ビジネスモデルの再編の時期がコロナで早まった程度の認識です。
投稿: mature MD | 2020年7月18日 (土) 16時02分
未だにPCRで患者を見つけようとしてんのかって感じ
陽性者から増加傾向を見るのと確定診断だけに使えばいいのに
世間の皆も陽性者の数自体に意味は無いと分かって欲しいよ
東京はGW後に経済活動を再開させると決まってた節があるから感染制御を誤った
尤も繁華街からの感染拡大は強制性のある営業停止以外に防げなかったと思うけども
経済活動しながら重篤者を出さないようにするなら本当に高齢者に引っ込んでいてもらうのが良いんだろうけれど
どんな対策を打ち出すにも強制性なしにできないと思う
いつまで各知事に、対策と称した「お願い」をやらせてるんだろうか
改正新型インフルエンザ対策特別措置法でしったけ
ひょっとして日本の感染症対策はずっとこれに則るつもりなんでしょうか
新感染症に分類されない感染症がまた流行したらどうするんだろう
投稿: しゃちく | 2020年7月18日 (土) 16時38分
最近SEIRモデルは見向きもされませんが、
東京都の抗体保有率0.1%という現実に合わないと分かってからです。
その前の慶応義塾大学病院のPCR陽性率7%と乖離しており理解に苦しんでいました。
そのギャップを埋めるのがこの7段階説ですね。
暴露者の実に98%は抗体を動員するまでもなく治癒しているというから驚きです。
そうするとSIERモデルがまた生きてきます。
現在自粛明けの第2波ですが、
陽性発覚者はお盆前くらいまでは増えそうですが、
その頃には約半数が免疫を獲得します。
多摩っ子さん
個人的な感覚では、
暴露(無症状)<感染(呼吸器症状)<重症(酸素必要)<重篤(ICUや人工呼吸器必要)<死
です。
率が上がるって曖昧な表現ですね。
データはこちらでしょう。 https://news.yahoo.co.jp/articles/9ec05f218d9ac3f42f9352b9742450a77bf26497 (Yahoo!ニュース FLASH 2020年4月9日)
投稿: プー | 2020年7月18日 (土) 22時36分
もう早く、全日本で一日あたりの陽性判定者が10,000人を突破して
しまった方が良いのでは?、と思いますわ。その時には、重症患者
数や死者数に注目しないワケにはいきませんから。
いま、日本国内で新型コロナウイルスが凶暴に変異するか、あるい
は海外から変異したウイルスが運び込まれることなどが無いのなら、
「あのー現在、重症患者さんは数十名で、亡くなった方は昨日に一人
で本日は死者の報告は来てませんですぜ」という事実が、陽性判定
者が10,000人も出たぁ!の報道のバカバカしさを世に知らしめると
思いますわ。現時点の日本においては、理由はワカラナイのだけど、
新コロナはタダの風邪になりつつある。神風が吹いたのか?
その為に、今こそバカスカ検査をして陽性判定者を増やすべきです
わ。検査数を増やせば増やすほど陽性判定者数も増えますので、
陽性10,000人などたやすく突破できるでしょう。
これからは、国内ウイルスの変異の追っかけと、海外からの新株の
持ち込みのチェック体制の強化ですわ。神風が何回も吹かないの
は、重々承知之助ですから。
投稿: アホンダラ1号 | 2020年7月18日 (土) 23時24分
昨日の投稿が二重になってしまいすみません。
プーさん
基礎疾患の有無ですね。
私の持病は国指定の難病で治療法がありません。加えて動脈硬化(一部石化)と僧帽弁の逆流、肺気腫があります。
主治医はいつも断言しません、○○になることもある、○○の確率が高くなる、○○の可能性は低いと曖昧におっしゃいます。
ニュースなどでは年齢層で感染者数や死者数、症状の程度比較がなされますが、病い持ちは年齢に関係なく危険度が高いってことですよね。
投稿: 多摩っこ | 2020年7月19日 (日) 09時06分