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2020年7月 3日 (金)

「中国本土から来た男」が仕切る香港行政政府

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やるとは思っていましたが、ここまでとは思っていませんでした。中国が香港に押しつけた国安法です。
内容的には先日来、お伝えしたとおりまさに「ザ・ファシズム」の名に恥じないないようですが、中国はやりすぎました。
よせばいいのに、否が応でも国際社会の神経にヤスリをかけるような第38条を突っ込んでしまったからです。

ご存じのとおり、外国人であっても国安法で摘発できるとする条項です。

●国安法 第六節 有効性の範囲
第38条
本法は、香港特別行政区の永住者の資格を有しない者が、香港特別行政区の外で香港特別行政区に対してこの法律に基づく犯罪を犯した場合に適用される。

昨日記事を書いていて、いくらなんでもオレの読み違いだろうとおもったほどイっちゃっています。
国安法に違反すれば、香港の中はもちろん、香港の外でも国安法を適用でき、しかも外国人でも拘束できるというのですからなんともかとも。

ただし一般論としては、国外における犯罪でも、国内法に抵触すれば逮捕は可能です。
それが国外であったとしても、建前ではできます。それは刑法第2条があるからです。
押えておきます。

●刑法第2条
この法律は、日本国外において次に掲げる罪を犯したすべての者に適用する。

そして国外においても適用する条項としていくつか事例を上げています。

●刑法第2条
2 第77条
から第79条まで(内乱、予備及び陰謀、内乱等幇助)の罪
3第81条(外患誘致)、第82条(外患援助)、第87条(未遂罪)及び第88条(予備及び陰謀)の罪
4第148条(通貨偽造及び行使等)の罪及びその未遂罪

このように日本の刑法第2条が国外においてなされたことであっても国内法を適用する対象は、内乱罪、通貨偽造罪、有価証券偽造罪など、国家の存立そのものを危うくするような重大な犯罪行為です。
この場合、日本人であろうと外国人であろうと、また犯罪地がどこであろうとも、海外でこのような重大犯罪を犯したすべての者に対して日本の刑法を適用するのがこの刑法第2条なのです。
つまり、あくまでも日本の存立そのものを守るというがこの第2条の主旨です。

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ビジネスインサイダー

一方、今回、中国が国安法に国際社会の声を無視して38条を入れたのは、二つ理由があります。
ひとつは、外国勢力が香港騒乱の背後にいるという確信です。
中国政府は、人が自律して思考し、自らの考えに基づいて権力に戦いを挑む、ということを信じません。
共産党の経験では、革命とはあくまでも党エリートが無知蒙昧な大衆に過激思想を「外部注入」するものだからです。

共産党は香港の民主化人士は、必ずどこかの外国からカネをもらって、その指令に従っているにちがいないとしか発想できません。
彼ら共産党はその「外部勢力」を、米国か台湾だとみています。
ですから、香港民主派人士の背後にいるはずの「外国勢力」を国安法の処罰の対象としたのです。

ふたつめに、共産党は香港問題の収拾を誤ると(既に充分誤っていますが)、対岸の深センや上海に飛び火するかもしれないと恐れています。
またウィグルに飛び火すれば、資源と広大な土地を失います。
チベットが燃え上がれば、中印国境がおびやかされます。
農民が立ち上がれば、そのときはほんとうに共産党国家の終焉です。
共産党は、香港をこれら火薬庫の短い導火線にはしないと決意しています。
怖くて怖くてしかたがない、いつ自分らが暴力でもぎ取ったこの政権が倒れるか分からない、そのときは自分が敵に対してやってきたことを自分がやられる、そう恐怖しています。

だから初期の段階では移送法を白紙撤回するていどで済んだものを頑強に拒み続け、泥沼にして延べ数百万人をデモに立ち上がらせてしまいました。
それは共産党からみれば、市民の要求にひとつでも屈すればすべてを失うと考えているからです。
香港という中国唯一の金融センターを手放すことになろうと、金のたまごを生むガチョウをしめ殺すことになろうと、自分たちの身の安全のほうが大事なのです。
この融通の聞かない頑迷な姿勢が、香港問題を国家の成立案件にまでもちあげてしまい、国安法を生んだわけです。
なんという狭い視野。硬直した政治姿勢。そしてなんというくだらない脅迫観念。

たぶん中国当局が想定しているのは、台湾人、英国籍を持った香港人、あるいは日本などの自由社会に居住する香港人などでしょう。
彼らが香港民主化や独立を叫ぶなら、どの国に居住していようが犯罪とみなします。

具体的には、香港民主活動家が日本で香港支援のビラ撒きをしたり、日本政府に中国に圧力をかけてくれと請願したりすれば、間違いなく国安法違反に問われます。
もちろん外国に居住している者に、中国司法機関がいかに中国人であろうと拘束することはできません。
やれば重大な主権侵害行為として原状復帰を要求されます。
したがって、他の主権国に司直を派遣して拘束することまではしないでしょうが、いかにトランジットてあろうと中国主権範囲に立ち入れば、直ちに拘束される可能性があります。

これを外国人にも適用するというのが国安法の恐ろしいことです。
香港の民主化を支援する外国人が、一歩中国領内に立ち入れば、国安法違反で内偵していた公安に逮捕されるかもしれません。
これは中国本土や香港に駐在する商用渡航者が、このリスクにさらされるかもしれません。

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たとえばここに商社員Aさんという日本人がいるとします。流暢に中国語を操ります。
彼は、かねがね中国の基本的人権状況に強い批判を持っていました。
彼は上海駐在ですが、たまたま香港に遊びに行った時に、民主活動家の大学生と知り合いとなり、いろいろな話も聞いていました。
以来、メールのやりとりていどはしていました。
その時から彼は自分が公安に尾行監視されているようなきがしてならなくなりました。明らかに盗聴されているかんじがします。
家族にも警戒するようにと言っていましたが、いちおうは平和な日々が続きました。
しかしそのときは急にやってきました。
彼が日本に一時帰国する際に、たまたま香港に立ち寄ってから香港空港に入ったところで、香港警察の公安に逮捕されてしまいます。
国安法違反容疑だそうです。

連行された警察署の取調室には、香港公安より明らかに上位にいると思われる正体不明の男もいましたが、訛りから保香港人ではないと気がつきます。
後に判ったことですが、この男は中国本土からきた国家安全維持公署の人間でした。
この国安維持公署の男が、お前は国家分裂団体の活動家と連絡をとっており、資金援助をしているだろう、と言います。
そして読み上げた国安法の条文にこう書いてありました。

● 国安法第29条
(2)香港政府または中央政府による法律や政策の策定・実施を著しく妨害し、重大な結果をもたらすおそれのあるもの
(5)様々な不法な手段を用いて、香港の住民の間で中央人民政府または香港政府に対する憎悪を募らせ、重大な結果をもたらす行為。

お前は反政府分子と接触し、中華人民共和国政府に対して「政策の実施を困難にさせ」、「憎悪を募らせる」文書を受け取っていたではないか。
国家転覆罪の共犯だ。

びっくりしてAさんがなぜ外国人の私を逮捕するのか、主権侵害じゃないかと抗議すると、この男は国安法では外国人でも裁けるんだ、なんならもっとしゃべりやすい環境に連れて行ってやろうかと言います。
本土に移送して、中国公安に引き渡そうか。本土の同僚はオレのように優しくはないから覚悟しておくんだな。
大使館を呼べと言うと、上海にいるお前の家族までを同罪にしたいなら呼んでやる。
家族を人質にされてがっくり折れたAさんは、取調官が言うとおり自分は米国のスパイに情報をわたしていましたという供述調書を書かされました。

これは現時点ではフィクションにすぎませんが、事実に基づいています。
外国人でも国安法で逮捕拘束できるのは事実です。
いったん逮捕してしまえば容疑者を中国大陸に送致して中国の裁判所で裁くこともできるとも規定されています。

「第56条には、中国の最高人民検察院が関連する検察機関を指定して検察権を行使し、最高人民法院が関連する裁判省を指定して司法権を行使する、とある。その場合、中国国内の刑事起訴法を適用することになる。つまり、被疑者を中国に送致して、中国の法律で中国の検察と司法が裁く、ということだ」
(福島香7月2日『香港を殺す国家安全法、明らかになった非道な全文』)

また、「中国からの男」がすべてを決定するのも事実です。

「第5章では、中央政府が香港に設立する国家安全維持公署(国安公署)の機能などが詳しく説明されているが、はっきりと「国家安全犯罪を法に基づき処理すること」と規定し、香港の要請と中央政府の承認を得て管轄権を行使することもできるとある。つまり中国当局が香港内で執法行為を堂々と行えるのであり、一国二制度の完全な否定である。また、中聯弁や解放軍香港駐留部隊と連携をとり共同で任務にあたる、ともいう」
(福島前掲)

国安法で、香港警察の上位組織として新たに国家安全維持委員会も作られ、この委員会は香港政府長官を飾り物にして、中国政府からの「顧問」が一人派遣され、「助言する」ことになっています。
この委員会は非公開で、なにがどのように決定されたのか分からない仕組みとなっています。
たぶんこの「中国政府からの顧問の助言」が一切を牛耳ることになるはずです。

かくして香港は死にました。

 

 

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コメント

中国人・香港人が中国の態勢を批判すると逮捕されるのは元々分かっていましたが、今回の法律は、自分たちも中国・香港に立ち入ったら危ないということなのですね。

まともな感覚なら、中国・香港からはヒト・カネは寄り付かなくなりますね。

それでもやらなきゃならない中国の事情って大変ですね。
李克強や三峡ダムとか、ちょっと突けば破裂しそうに思います。

 38条の有効性の範囲の意味について、どこで見かけたのかは失念しましたが、「「香港特別行政区の永住者の資格を有しない者」の示すところを「香港内での非永住者」と解説しているのがありました。

しかそうした解釈は失当で、ふつうの法律の文言解釈からすれば「香港域外の外国人の言動まで規制したもの」と読むべきです。
およそ日本に暮らす我々には関係がなさそうですが、ちがうと思います。中共は外国人による「中共批判」を立法事実(法制定の理由)としているので、ここは字義通り読むべきところです。

こういう一見アホウな立法がもたらす効果も中共は良く理解していて、人権問題とからめて意気地のないメディア関係者やユーチューブ、ブログ運営会社などへの我が国の言論空間への圧力が期待できます。
日本などまだいいですが、ネパールなどへの効果はまた別次元の実効性があるようです。

ここまで狂った法制定はめったにお目にかかる事は出来ません。
日本政府も報道各社も、もっと中共の「国家安全法」の意味を深堀して日本国人に知らせるべきです。
中国国内はおろか、香港へも旅行に行くことはきわめて危険です。
渡航禁止レベルを上げて注意喚起をうながすべきです。

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