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2020年7月24日 (金)

ヒューストン領事館閉鎖命令

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ヒューストンの中国総領事館が閉鎖を命じられました。
一般論としての流れでは、外交の強硬化は以下の流れとなります。

遺憾声明→非難声明→経済制裁→経済封鎖→大使館(領事館)などの外交施設の閉鎖(今ここ)→大使召還→国交断絶

ですから領事館閉鎖は、断交をのぞく最も強い外交措置です。
国交断絶の後になにが来るのかは、為政者と情勢によって異なるので一概には言えませんが、通常なら戦争です。
戦争も段階があります。

戦闘(今この直前)→局地戦争→通常兵器による限定戦争→核兵器を含む全面戦争

ただし現代では国際的歯止めがありますから、このように進行するとはかならずしもいえません。

さて領事館閉鎖命令を受けた中国側は慌てふためいて大量の書類の焼却を始めて火事になったそうです。
これは72時間以内に退去を命じられたためです。
やれやれ、お前ら盗んだろうといわれるとすぐに証拠隠滅を始めちゃ、当局の心証真っ黒でしょうに(苦笑)。

「ヒューストンの地元メディアによると、現地時間21日午後8時(日本時間22日午前10時)中国総領事館で書類を焼却する際、火災が発生し、警察と消防が出動したが、建物への立ち入りを拒否された。
ヒューストン警察はFOX26に、中国領事館は現地時間24日午後4時(日本時間25日午前6時)までに建物から撤去するよう命じられたため、機密文書を燃やしていたと伝えた」(大紀元7月22日)

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「チャイナ・ウォッチャーたちの推測によれば、領事館内で燃やされていたのは、おそらく偽パスポートや偽の身分に関する書類、留学生や科学研究員の中に潜り込ませているスパイに関する資料ではないか、とみられている。
これら資料は駐米大使館や各国総領事館にまだ存在していると思われ、もし米国側の手に渡れば、中共が長年米国に打ち立てた広大なスパイネットワークがいったんつぶされることになりそうだ」
(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO,123 2020年7月24日)

ではなぜヒューストンなのでしょうか。
BBC(7月23日)を読むと、もう少し背景が浮かび上がってくるはずです。
https://www.bbc.com/japanese/53509288

「米政府、ヒューストンの中国総領事館の閉鎖を命令
米政府はテキサス州ヒューストンにある中国総領事館の閉鎖を命令した。米国務省が22日、明らかにした。中国政府は「政治的挑発」として反発している。
マイク・ポンペオ国務長官は22日、中国がアメリカの知的財産を「盗んでいる」ことを受けた決定だと述べた。
一方、中国外務省は、「誤った決定」だと非難。首都ワシントンの中国大使館に殺害予告が届いているとツイートした。
閉鎖命令に先立ち、ヒューストンの中国総領事館の中庭では21日、何者かがゴミ箱内の紙を燃やす様子が録画されていた。
録画では、身元不明の何人かが紙とみられる物を複数のゴミ箱に投入していた。その後、ゴミ箱に水をかける人たちの姿も映っている。
ヒューストンの警察は、「総領事館に立ち入る許可は与えられなかった」が、煙を確認したとツイートした。
アメリカと中国の間ではこのところ、緊迫した関係が続いている。米政府は、貿易や新型コロナウイルス、香港国家安全維持法などをめぐってたびたび中国と衝突している。
21日には米司法省が、COVID-19(新型ウイルスの感染症)のワクチン開発研究所を狙ったハッキングを支援したとして、中国政府を非難した。同省は中国人の男2人を、諜報活動をした罪で訴追した。
ドナルド・トランプ大統領は22日の記者会見で、別の中国領事館の閉鎖を命じることは「いつでもできる」と述べた」

その理由は二人の中国人スパイ容疑者が、「新型コロナワクチンの開発研究所を狙ったハッキング」をしたからだとされています。
7月21日に、米司法省は新型コロナワクチン開発の研究所を狙ったハッキングを行った元中国人留学生李嘯宇被告と董家志被告を中国政府が支援している、と非難しており、このようなスパイ行為を働く中国人留学生や在米華人の諜報活動支援の拠点がヒューストンの領事館だったようです。
共和党保守派のマルコ・ルビオ議員は22日のツイッターで、ヒューストン領事館を「スパイセンター」と呼び、「ヒューストン領事館は外交機関ではなく、中共が米国に配置した強大なスパイネットワークと影響力行使の拠点であり、閉鎖されるべきだ。スパイたちは72時間以内に撤退しなければ逮捕される」と書き込みました。

では、なぜヒューストンなのでしょうか。
トランプは他の領事館の閉鎖も示唆していますが、まずヒューストンだったのには理由があります。

中国は米国にある領事館を5ヶ所(サンフランシスコ、シカゴ、ヒューストン、ニューヨーク、ロスアンゼルス)設置していますが、このヒューストンにしかない施設があります。
BBC(7月22日)はこう説明しています。
https://www.bbc.com/japanese/53495141

「米司法省、中国人ハッカー2人を起訴 新型ウイルスのワクチン研究など狙う
米司法省は21日、新型コロナウイルスの研究をする米企業に対して諜報活動を行った疑いで、中国人の男2人を訴追したと発表した。同省は、COVID-19(新型ウイルスによる感染症)ワクチン開発に取り組む研究所を標的にするハッカーを、中国が支援していると非難している。
企業秘密の窃盗や通信詐欺を共謀したなどとして訴追されたのは、大学で電子工学を学んだ元学生の李嘯宇被告と董家志被告。
アメリカはこのところ、中国のサイバースパイ活動に対する取り締まりを強化している」

またこの二人の訴状についてはこのように伝えられています。

「ワシントン・ポストが入手して公開した起訴状には、彼らが中国の国家安全部(MSS)との連携の下、先端技術企業や製薬会社、反体制人物などを狙った広範囲なハッキングを行なってきたと書かれている。特に彼らは、新型コロナワクチンと治療薬、検査技術に関する研究をしていることで知られる生命工学企業などのネットワークの脆弱性についての調査を行なっていたと、起訴状は説明している」(ハンギョレ7月23日)

BBCは「新型コロナのワクチン開発に取り組む研究所」としていますが、それは世界最大規模の医学研究所のテキサス医療センターを指します。
そもそもヒューストンは医療ラボが軒を連ねている米国有数の医療研究集積地です。

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テキサス医療センター

いわばこのヒューストンは49箇所も医療研究所が集積する「医療研究のシリコンパレー」で、その中でもとりわけウィルス研究に強いのが世界最大規模の医療ラボであるテキサス医療センターなのです。
そう見てくると、中国がわざわざテキサスの州都に総領事館を置いた理由が見えてきます。

今、テキサス医療センターは新型コロナのワクチン研究に能力を傾注していると言われています。
とうぜんのこととして、FBIなどの防諜機関はテキサス医療センターを中心して、中国人の不審な行動を綿密に追跡していたはずです。
その網にひっかかったのが中国人留学生2名で、彼らは当局から追跡されていることを知ると慌ててヒューストンの領事館に逃げ込みました。
おそらく彼らに狙われたのは、武漢ラボからのウィルス流出の証拠文献、ワクチン製造に関わる情報などだと推測されますが、現時点での発表はありません。

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 大紀元  閉鎖命令語の ヒューストン総領事館前の様子

しかも同時期、中国領事館員が「中国からの訪問客」を偽の身分証を使ってエアチャイナのチャーター便に乗せて逃がそうとして逮捕されています。
この「訪問客」が、スパイ容疑者と同一人物かどうかわかりませんが、なにかしらの関連が疑われます。

「デイビッド・スティルウェル国務次官補はニューヨーク・タイムズ紙に対して、在ヒューストン中国総領事館の蔡偉総領事と中国人外交官2人を、このほどヒューストン空港で現行犯逮捕したと明かした。総領事らは、偽の身分証明書を使って、中国人訪問客を中国国際航空(エアチャイナ)の中国行きチャーター機に乗せようとした。
スティルウェル国務次官補は、在ヒューストン中国総領事館は、中国軍のスパイ活動の拠点だと指摘した。中国軍が中国人留学生を米大学に送りこみ、情報を窃盗している。さらに、同氏は、過去6カ月、中国当局による米科学分野の研究での窃盗が加速化していると述べ、中共ウイルス(新型コロナウイルス)のワクチン開発と関連していると推測した」(大紀元7月22日)

推測の域を出ませんが、中国は長年ヒューストンの医療研究所にハッキングを行うだけではなく、内部に情報網と協力者を植え込んでいたと考えられます。
そもそも中国のウィルス研究は、武漢ラボの研究者の多くは米国の大学かフランスで博士号を取得していた連中によって占められてきました。
彼らが高給で迎えられたのが武漢P4ラボで、その時に米国のウィルス研究の資料を大量に持ち帰ったと考えられます。
ある意味で新型コロナウィルスは、米国が間接的に手助けしてしまったともいえるわけで、米国が既に確保したと言われる武漢ラボからの流出の証拠とされる文献を精査して愕然となったはずです。
その大部分は米国の大学や研究所から盗まれたものだったからです。02yg9nz5

中国は超限戦という他国にない特殊な戦略を持っています。
旧来からあった人民戦争論を近代化したものです。

「超限戦」は人民解放軍の新戦略で、これからの戦争は「戦争と非戦争、軍事と非軍事のすべての境界がなくなる」「戦争の主体も戦場も手段もあらゆる限界・限定を超えた戦争」であるとして貿易戦、金融戦、新テロ戦、生態戦、心理戦、密輸戦、メディア戦、麻薬戦、ハッカー戦、資源戦、経済援助戦、法律戦等々これらの戦法を組み合わせ無限大の方法で戦うべきであるとしている」(長谷川忠 『政府・企業等の情報保全の現状と対策 』)
http://www.jpsn.org/lecture/5779/

つまり軍事をミリタリーに限定せずに、政治・経済・文化・法律その他あらゆる要素を総合して構築しようという考えです。
自由主義諸国も有事においては民間の力を動員する総力戦体制をとるのですが、中国の場合は常日頃から社会総動員で戦うわけですから、有事と平時の区別はありません。
したがって平時においても民間人は軍の指令に従う義務があります。
全体主義国家でなければ到底不可能な戦略、それが超限戦なのです。

「国防動員法(2010.7施行)は、あらゆる民間の経済力を後方支援と位置づけ「軍民結合」「全国民参加」「長期準備」(平素から動員準備指示)によって人員と物資をスムーズに徴用するための法律であるが、この法律の問題点は「本法が発令される有事の規定が極めて曖昧なこと」「在中の外国民間企業、社員等も解放軍に協力する義務を生ずる懼れがあること」と、特に大きな問題点は「海外に居住する18歳から60歳の男子、18歳から55歳の女子は所定の国防動員任務を完遂しなければならず、平時には国防動員準備任務を完遂しなければならないと規定していること」である。現在、在日中国人約68万人の約80%は30歳代の反日教育世代である」(長谷川前掲)

そしてこの超限戦の下に米国へ、留学生、研究者、あるいは商用ビジネスマン姿のスパイを大量に送り込んできました。
特殊工作員が学生に化けて潜入しているわけではなく、一般の留学生がスパイをかねて米国の機密情報や技術をせっせと盗むのですからタチが悪い。
今や米国の一流大学の外国人留学生数は中国人がトップです。
かくして彼らが盗んだIT技術によって、中国は驚くべき短期間で今のIT大国になりえたのです。

「米国における中国人留学生は約32万人。中国の技術情報収集活動は活発化の一途にあり、FBIは中国人留学生が最も危険な対象として警戒し、逆に中国人留学生を獲得して活動の実体解明に努めている。CIAは留学生の8割はスパイと見ている。英国情報機関も「技術系の大学院に留学している中国人学生の学費は国家安全部から支払われ、卒業後も英国に留まって兵器の開発や生産に関係が深く、軍事機密を扱っているハイテク関連企業に就職するよう勧めて技術情報等の入手を図っている」と注意喚起している」(長谷川前掲)

とまれ現在、水面下では激しい米中の情報合戦が戦われているはずですが、はしなくもその一端がかいま見られたようです。
中国は報復措置として、成都、瀋陽、広州、武漢、上海、香港の六ケ所にある米国総領事館のうち、わざわざ新型コロナの震源地である武漢を標的にして閉鎖命令をだしました。成都領事館の閉鎖命令をだしました。
これはただの面当てでなく、武漢で米国が各種の新型コロナにまつわる情報工作をしていた「スパイ活動の拠点」だと目されたからです。
互いに自分がやっていることは敵国もやっているものとして考えるものですからね。

今後ですが、どうなるとは明確に言い切るだけの情報がありませんが、いわゆる一触即発状況であるのは疑いえないことです。
ではその発火点となりえるのはどこでしょうか。
いうまでもなく、中国の南シナ海における不法占領人工島です。

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日米豪三カ国共同訓練

国際仲介裁判所の裁定がとうに下っている以上、これを排除することに反対の主要国はいないはずで、おそらくその時期、方法が各国の合議では決定できないためにズルズルと問題解決が延びてしまってきました。
この海域で海軍力を有する米国、オージー、日本、そして近い将来には英国などが加わって何らかの国際的中国制裁のアクションをする時期に差しかかっているのかもしれません。
あたかも今、南シナ海で日米豪三カ国海軍の合同演習が行われて いるのは偶然ではありません。 

 

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コメント

 ヒューストン在領事のインタビューを見ましたが、あのように大量の書類を焼きながら、退去を拒否するだろう印象を受けました。
南シナ海においてもそうですが、決して米側からの攻撃はないと確信していると思います。

ボルトンがいてさえ北朝鮮に攻撃出来ないものが、トランプに人民解放軍を攻撃出来るはずがないと高を括っているのでしょう。
一方で米批判のトーンを下げた日和をうかがう論調もあって、まだまだコントロール可能な範囲と判断している様子。

しかし、米国には国際秩序回復に向けた大義があるし、南沙にソウルが隣接しているワケでもない。
軍対軍の衝突だけで済む可能性で見るならば、米軍は本気でさらに間合いを詰めて行くのだと思います。

それにしても今回のヒューストンの件でも、日本の報道はお粗末です。
今日の記事の引用はBBC、大紀元、そしてハンギョレです。
中央日報にも同種の詳しい解説があり、日本の報道機関の中共配慮
には痛ましさすら感じます。

このご時世でも諜報機関は重要書類を紙で管理しているんだなぁというのがまず第一印象。
次にこれに対して中国側が米国が痛くもかゆくもない面白い報復処置してくるんだろうというのがその次に思い浮かびました。

新型コロナへからの経済問題に人種問題まで追加され左派メディアや政治家&活動家に袋だたきにあっているトランプ政権としては今の国内問題はすべて中国が起因しているというイメージ操作が成功するか否かが大統領選の勝敗を左右すると腹をくくったようです。
最近の米国政府の重要な情報は主にポンペオ氏発信のものがほとんどで彼が実質大統領のような立ち周りを見せています。
大統領選挙を見据えるとこれはやってはいけないトランプ政権の正体晒しですが、それを隠さなくなった現状はいかに今の米国政府が「対中問題に本気」であるかの証明になるのではないかと思います。

米中の緊張は、25年ほど前に台湾海峡封鎖がありました。
その時もアメリカが空母を派遣し、中国はあっけなく引き下がりました。
当時は、軍事力に差があり、そのことが中国の軍事力強化につながったと言われます。今回アメリカが本気なら中国はどうするのか。引き下がるのか、衝突するのか。沢山の選択肢はない。
アメリカは、南シナ海での中国の領有権は認めないとしています。
当然です。全面戦争には発展しないまでも何らかの衝突はあると思います。アメリカもこれ以上の中国の横暴は許さない。むしろ遅すぎた。第一列島線とか第二列島線とか、太平洋2分割とか。
中国も調子に乗り過ぎた。

ヒューストンの中共総領事館は米国に対するスパイ活動ゆえ、またサンフランシスコ中共総領事館は米司法省から訴追された人物を匿っているゆえで、あたかも米政権側の感情的エスカレーションかのように印象付けながら「だから中国の更なる反発は必至」報道(笑)とは違って、法に適っているか否かの話をしているのですね。
ポンペオ長官は「我々が行動しなければ、中共は法の支配による国際秩序を破壊する」と述べています。
「我々」とはもちろんアメリカのみではないわけで、ファイブ・アイズのメンバー国然り、当初から「法の支配に基づく国際秩序」の正攻法を示す我が国政権然りですね。
ちょっと参考
https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20200722-00189377/

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