ポスト安倍の今後
安倍首相の退陣の裏側が判ってきました
「首相は17日、24日と2度にわたり慶応大病院で治療を受け、治療は長期化することを告げられた。首相が通常は最高機密である自身の健康不安説が広まることを承知の上で、報道陣に分かるように病院に入ったのも「13年前の教訓からだ」(首相側近)という。
新薬の投与効果もあり、24日の治療後は体調は回復基調となった。だが、まさに連続在職日数単独1位となったその日、首相は辞任を決断した。8月下旬に入り、東京都の新規感染者数は小康状態が続いていた。新型コロナの新たな対策パッケージも、取りまとめの道筋がついていた。
ただ、次の首相の元で新たな内閣が発足し、政権運営が軌道に乗るまでには数週間はかかる。もとより、政治空白が生じることは避けなければならない。
「次の首相が決まるまで私は任期を全うする。新型コロナ対策を含め引き続き全力で取り組むのでよろしくお願いします」
首相はは28日午後、秘書官全員を集めて辞任の意向を伝え、頭を下げた。持病と戦いながら、第2次政権発足から7年8カ月の安定長期政権を築き上げた大宰相は、自らの引き際も1人で周到に準備して決断した」(産経8月29日)
さて安倍後任総裁の日程は、明日の総務会で決まるようですが、両院議員総会方式をとるようです。
「安倍総理大臣の後任を選ぶ自民党総裁選挙をめぐって、岸田政務調査会長や石破元幹事長らが立候補に意欲を示しているほか、党内では、菅官房長官の立候補に期待する声も広がりを見せています。一方、昨夜、二階幹事長と森山国会対策委員長は、来月13日から15日を軸に両院議員総会を開き、党員投票を省略して国会議員と各都道府県連の代表による投票で新しい総裁を選ぶ方向で調整を進めることで一致しました。
安倍総理大臣の後任を選ぶ自民党総裁選挙をめぐっては、これまでに岸田政務調査会長と石破元幹事長、それに野田聖子・元総務大臣が立候補に意欲を示しています」(NHK8月30日)
今回は総裁任期途中での退任となるので、首相不在期間を最短にするために簡易法といわれる両院議員総会で決定されます。
この流れは、安倍氏の辞任表明会見ですでに明らかになっていたことです。
「自民党は28日の臨時役員会で安倍首相(党総裁)の後継を選ぶ総裁選の方式や日程を二階俊博幹事長に一任すると確認した。9月1日の総務会で決める。
通常、総裁選は3年の任期満了にあわせて実施し、党員・党友による地方票と国会議員票の合計数で選ばれる。総裁が任期中に辞任するなど緊急時は公選規程の例外措置をとることができる。自民党則第2章6条は「両院議員総会で後任を選任できる」と記す。
二階氏は28日の記者会見で「時間に十分ゆとりがあれば当然、党員投票は考えるべきだが、そこに至るかどうか皆さんの意見を聞いて判断したい」と指摘し、党員投票の省略を示唆した」(日経8月28日)
想定される有力な日程はこのようなものです。
9月1日総務会
9月15日両院議員総会で新総裁決定
数日以内に組閣
下旬(25日頃)臨時国会・特別国会招集・首相就任
また一説によれば、後は新内閣成立の熱があるうちということで、早々と9月下旬から10月初めに解散し、下旬投開票という段取りとなると見られています。
常識的に見ても、たぶんこの1カ月間はメディアは自民党報道一色となるはずで、この熱い空気に乗らないほうはない、と自民党中枢が考えてもおかしくはありません。
自民党議員としてはかねがねこの秋解散を想定して、各候補がとうに走り出しており、遅すぎる決定だったほどだからです。
一方、野党もそれを察知しての「帰ってきた民主党」騒動でしたが、国民民主の玉木氏に事実上阻まれてしまったうえに、石垣のりこ議員が大炎上では、いかがなりますことやら。
野党がこのようなていたらくな時期は、一気に解散に持ち込んで新政権の基盤を固めようという判断がでても不思議ではありません。
「野党は安倍晋三首相の退陣表明を受け、今秋の衆院解散・総選挙の可能性が高まったとみて態勢づくりを急ぐ。立憲民主党と国民民主党が9月16日にも発足させる合流新党が野党共闘の軸となる。ただ、国民の玉木雄一郎代表ら別の新党設立を目指す動きがあり、こうした勢力を含む他の野党との選挙協力が課題となる」(時事8月29日)
政策のすり合わせなく野合に走った立憲は窮地に陥ったと判断しているようです。
むしろ「安倍批判だけではダメだ」という意地を貫いた玉木代表の株は鰻登り気味で、コロナで名を馳せた維新となんらかの協力関係が成立すれば「新三極」となる可能性もないわけではありません。
いずれにしてもこの構図で総選挙をおこなった場合、自民が過半数割れを起こす可能性は低くなりました。
私の下馬評ではこんなかんじかな。ただし、私の希望的観測も含まれていますので、割り引いて下さい。
・自民・・・現状維持
・公明・・・現状維持か微減
・立憲・・・惨敗
・国民・・・躍進
・維新・・・躍進
・共産・・・惨敗
・社民・・・惨敗
枝野の「帰ってきた民主党」方針が裏目に出たのです。
野党を一枚にするという全野党共闘が、玉木によって阻まれた時点でその目論見が崩れたうえに、新内閣発足。
野党の唯一の武器である「アベがみんな悪いんだ。安倍を倒せばこの世は天国」というネガキャンをあらかじめ封じられてしまった以上、なにを対抗軸にするか見えないうちに決戦に持ち込まれてしまったというわけです。
いままでろくに政策の勉強もしないで、モリカケ、サクラでうつつを抜かしてきた祟りです。
安倍さん辞めたら、野党コケた、とは笑わせます。
さて自民党に話を戻します。
自民党の主要派閥は、最大の細田派(清話会)、第2派閥の麻生派、第3派閥が竹下派です。
かつてのような「揃って箱弁当」というほどの結束力はありませんが、派閥は押し上げたい総理候補がいなければ持ちません。
細田派は安倍首相を輩出した後なので今回は見送るとして、第2派閥の麻生派にはもうひとりの太郎の河野がいます。
だい3派閥の竹下派には、茂木、加藤という有力候補がいますが、まだ首相となるには早いという声が他派閥から上がっているようですし、今回は両人とも見送るようです。
すると、消去法的に幹事長派閥の二階派の動向が決定的となります。
二階は菅を推すようです。掲げる旗印は安倍路線の継承です。
菅自身は無派閥ですが、なんといっても3000日近い超長期政権の「裏の総理」は彼でした。
これには安倍を出した細田派は反対するはずもなく、副総裁の麻生派も同調し、第3派閥の竹下派も乗りました。
これで総裁選は事実上終わったようなものです。
岸田は安倍の後継と見られていまおり、細田派と麻生派が菅に集約され、二階がそれに乗ったことで当選する可能性は消えました。
前回の総裁選も見送った岸田は出馬するでしょうが、それは今後の政治生命維持のためであって、勝機はありません。
菅が出馬すると決意した瞬間、一切が決定したのです。
大勢は決まったと見た二階は一気に両院議員総会で決着という方向にしたかったようですが、石破が「党員全員でていと民主的ではない」と反発をしたために、9月1日の総務会に持ち越すクッションを入れたようです。
今や出馬さえ危ぶまれる石破にできることは、唯一メディアを使って不平を垂れるだけですから、二階としてもいたしかたなかったのでしょう。
二階としては、なにがなんでもポスト安倍を間違わずに、勝ち馬に乗らねば失脚しますから、必死です。
幹事長だからカネも権力も集まるのであって、辞めればただのヒトです。
二階はほんとうは誰でもいいのでしょうが、ただし「あの男」を除いては、ですが。
もちろん「あの男」とは、自民なんぞにいるよりもリ立憲にいた方かお似合いの、石破茂のことです。
この男だけには権力を渡さないというのが、二階のせめてもの保守政治家のギリギリ最後の矜持なのか、ただのいつまでも幹事長でいたいという権力ボケなのかどうかわかりませんが、二階は早々と石破を見捨てて菅を推してしまいました。
二階が命綱だった石破はこれでジ・エンド。
出馬の最低推薦人さえ突破できないんじゃないでしょうか。
いずれにしてもあんな嫌われ者が総裁選に出ても、入れる奴はいねぇよ、というのが自民党国会議員の「総意」でしょうね。
それほど党内で嫌われているのが、ゲル氏です。
ですからメディアが「次の首相トップは石破」とタイコを叩けば叩くほど、党内は彼に対する嫌悪感の毒ガスで充満していきます。
だって、日本は議員内閣制ですから、多数党の代表から総理が選ばれるのは中学生でも知っていることです。
ですから、大統領公選制ではない以上、誰が世論で一位だろうが無関係なのは分かりきった話で、メディアとしては野党とまったく同じことを言い続けている可愛い石破に政権を渡したくて仕方がないようです。
なんせ輸出管理強化を政府がやっている時に、韓国が納得するまで謝罪しつづけろ、なんてトンデモを言っちゃった人だからね(笑)。
玄界灘の向こうの国は、彼が首相になったらまっ先に祝電くれるだろうな。
ただし残念ながら、こんなスカタン記事を読まされるたびに、自民党国会議員はゲル氏に冷やかになっていくことでしょうがね。
産経
石破になったら、安倍首相の政策をみごとに180度転換してみせることでしょう。
この人物は大の緊縮財政派ですから、新型コロナ対策の財政主導をことごとく削り始めることでしょう。
その上に親韓派で、親中派ときているのですから、なんともかとも。第2「「河野(パパ)談話」くらいやりかねません。
徴用工訴訟が現金化がされても指を加えているだけで動かず、トランプとの相性最悪。
改憲は、2項削除が本筋だが、国民が納得しない以上進めない、なんていうでしょう。
これが自民の総裁候補だから困ります。
スッキリ立憲の代表にでもなってくれたほうがなんぼいいことか。
というわけで、この人物に政権を握らせるなんて話の外。論外です。
この人、もう自民党では総理のメがないんだからいっそ党をまた出て、元幹事長の肩書を精一杯利用して、「第2の小澤一郎」にでもなる道をえ選んだらいかがでしょうか。
小澤のほうも角栄つながりで可愛がってくれるかもしれないし、末路も似たようなもんかもね。
自民 岸田政調会長 総裁選の立候補に意欲示す | 安倍首相 辞任へ | NHK ...
岸田の基本は劣化した安倍路線でしょうが、安倍がリフレ派の考え方を理解していたに対して、岸田は財政再建派です。
新型コロナの財政支援は早々と切り上げて、元の緊縮財政主義に回帰することでしょう。
こと次第では「コロナ復興税」などやりかねません。
外交路線は平時のリベラル路線。
人柄はいいのでしょうが、あまり推しの気分にはなれない人です。
というわけで、注目の河野ですが、先日来期待はしていますが、まだ政策の全貌が見えません。
かつては緊縮財政派でしたが、このところ宗旨変えしたとかいう話もあって、今はどうなのかわかりません。
脱原発議員連盟の中心的人物で、今も原発ゼロ路線だとするとちょっとおいおいですが、小泉親子ほど感覚的反対派ではないのて、現実的判断かできるのではないかと思っています。
女系天皇にしてもそうですが、持論のリベラル路線とどこで一線を画した統治意識を獲得できるか次第でしょう。
外交政策には期待できます。おそらく彼の最大の魅力はこのメリハリの効いたパンチ力でしょう。
首相となって責任ある立場でどう振る舞えるか、楽しみでもある一方、かなり不安が残ります。
彼は自由な議論ができる体質の持ち主なようで、既にガチガチに出来上がったような他候補とは異なって、好感を持てます。
というわけで私は今の所、河野買いかな。
ただし、河野が出るかどうかは今の所未定で、菅さんに可愛がられているみたいですから、官房長官か外務大臣に再任されて、次を待てというのが、自民の大勢だと思いますし、不世出の官房長官だった菅の下で政権実務や官僚統制の技術を覚えて損はないはずです。
今出て仮になったとしても短命に終わってしまいます。
残るは最有力候補となった菅ですが、彼は安定感抜群です。
親中派だという指摘もあって私も迷いましたが、一気に親中派路線に切り換えるほど愚かではないはずです。
新型コロナ対策の財政支援は今後も力強く継続するでしょうし、規制緩和にも取り組むはずです。
彼になれば楽しみだ、という点は少ないですが、他の派閥からも人望があり、他の候補と違って叩き上げですからやはり迫力が違います。
危機管理に関しては、彼の右に出る人材は日本にいないはずですから、今の危機状況向きです。
ただ、彼が安倍のように率先して新しい展望を切り開くタイプかといえば、ナンバー2に徹していたためにわかりません。
あ、野田を忘れていましたが、ま、いいよね(笑)。
いずれにしても、今週の早い時期に次期首相は決まるはずです。
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