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2020年8月 8日 (土)

今や米国にとっての「硫黄島」となった尖閣

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日本人が第2波が来た、とひとりで騒いでいる最中でも、世界は止まっているわけではありません。
有力政府系シンクタンクが、元第7艦隊司令官を交えた報告書で、 尖閣に日米統合機動展開部隊の設立を提言しました。
(高濱賛『米国、ついに尖閣防衛に積極関与へ』)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61561

ただし、あらかじめお断りしておきますが、ネットではこれを米政府の決定のようなニュアンスで報じていますが、早トチリです。
あくまでこれは米国政府系シンクタンクの報告書であって、米政府の決定そのものではありません。
米政府が政策決定プロセスに民間シンクタンクを用いるケースが多いのは確かですが、民間に一歩先んじた提言をさせてその反応を観察するアドバルーンとしてもよく使われますから、すわっ日米尖閣防衛常備部隊ができるんだと短絡しないで下さい。

米国は日本がこのレポートを読んで、どこまで真剣に独力で尖閣を防衛しようとしているのか、そしてなにを米国に求めて来るのか、ただの有事支援なのか、それとも大きな米中の戦略チェスボードの上で、米国と共にプレイヤーのひとりとして加わるきがあるのか、慎重に見極めようとしています。
このようなやり方をオープンソース手法といって、昨今ではCSIS(国際戦略研究所)の二階幹事長と補佐官を親中派として名指しにしたレポートが衝撃をあたえましたが、あれも同じで政府が公式に口にしにくいことをシンクタンクに言わして、日本政府の反応をみようとしたのです。

さてこの報告書を出したのは、米有力シンクタンク「ナショナル・ビュロー・オブ・アジアン・リサーチ」(NBR・全米アジア研究所)です。
このNBRと業務提携関係にあるのが日本の電通ですが、こう説明しています。

「米国の政策決定過程においてシンクタンクの役割は重要であり、公共政策の立案および社会課題の解決に向けた研究・提言をしているため、立法、行政、司法、メディアに続く“第5の権力”と呼ばれることもあります。日本のシンクタンクとの大きな違いは、非営利、独立系が多いということや、元閣僚・元政府高官の参画が非常に多いことなどが挙げられます」(電通『米国の対日政策に影響を与えるシンクタンク』)
https://dentsu-ho.com/articles/6713

そしてこのNBRは1000もある米国のシンクタンクの中でも、特に米国の対日経済政策について分析と提言をおこなっています。
NBRは今の政権には強い影響力をもっているるものの、それは裏返せば政権が替わると一緒に掃き溜めに捨てられる可能性もあるということになります。
この間、海兵隊の大改革である「戦力2030」などが相次いで出てくるのは、裏返せば来年1月にバイデンになった場合にでも、それまでに一定の既成事実をつくりたいのかもしれません。
バイデンになったら、今度はいきなり中国軍と米中機動展開軍だ、なんてなったら(いくらなんでもないでしょうが)シャレになりませんから。

それはさておき、このようなことを頭に置いた上で高濱氏が紹介したNBRの報告書"Navigating Contested Waters: U.S.-Japan Alliance Coordination in the East China Sea"(「紛争水域航行・東シナ海における日米同盟共同活動」)で提案されている内容をみていきます。
まずこの報告書には、複数の日米軍事専門家が加わっています。
座長としてはジョナソン・グリーナート退役海軍大将(元米第7艦隊司令官・米海軍作戦部長)という、米海軍軍重鎮を据えています。
彼が現場にいたときは横須賀にいたはずですから、海自との連携について最も熟知する立場にあり、更にワシントンに行ってからは作戦部長という要職に着いています。

興味深いのは、グリナートが現場にいた時がもっとも中国海軍と友好関係にあった時代で、当時米国は中国から共同訓練をしないかと持ちかけられています。

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http://japanese.china.org.cn/politics/txt/2012-12/07/content_27345989_2.htm

上の写真は2012年7月6日、中国人民解放軍海軍の張永義副司令官が、当時米海軍作戦部長のジョナサン・グリナート大将と面談したときのもので、リムパック参加を相談したようです。
この時代、中国が経済発展すれば自動的に中間層が生まれて、その結果民主化が進んで国際社会になじんでいくだろうと米国は楽観していました。
このお気楽な楽観は当時のオバマ政権全体を覆うもので、安全保障補佐官のスーザンライスなどは「米中共同の世界秩序管理」を口にしていたほどです。
もちろんこんな甘い夢想は粉々に砕け散ったのですが、当時米国はこう言っていました。覚えていますか~、米国さん。

クリントンの駐日大使だったウォルター・モンデールとジャパンハンドラーのマイケルグリーンの尖閣についての発言。

「尖閣諸島が第三国に攻撃を受けても、米軍は防衛には当たらない」
「同盟国間であっても領土紛争には不介入・中立の立場をとる」

このような中国との蜜月時代を現場で体験したグリナートが、それから8年たって中国に対応する日米常設緊急展開部隊を作る提言をするとは。
いかにこの数年で中国が極端な軍拡に走って国際関係を緊張に陥れたのかわかって、感慨を覚えます。

このグリナートを座長にして、日米軍事専門家5人が行った円卓形式での議論をおこなっています。
日本側からも2名出席しており、武居智久(元海上幕僚長・退官後米海軍大学教授)と小谷哲男(日本国際問題研究所主任研究員)です。

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武居智久元海上幕僚長とNATO海軍司令官

おそらく武居氏は日本の立場を代弁するだけではなく、海軍大学教授という経歴からも日本人の中で最も米海軍を知悉する人物であることはまちがいありません。
グリナート元第7艦隊司令官が座長をする場に元海上幕僚長の彼が招かれたこと自体で、この報告書の立ち位置がわかるでしょう。

高濱氏の記事を要約します。
原文 "US-Japan Alliance Coordination and the East China Sea"
https://www.nbr.org/wp-content/uploads/pdfs/publications/ap15-3_eastchinasea_rt_july2020.pdf#search=%27Navigating+Contested+Waters%3A+U.S.Japan+Alliance+Coordination+in+the+East+China+Sea%27

「中国は、尖閣諸島周辺で連日のように準軍事活動を続けることでこの紛争水域が自国の領海だとの主張をデモンストレーションしている。
また中国人民解放軍は、東シナ海およびその延長水域で『接近阻止・領域拒否』(A2/AD)能力強化を図っている。
なぜならば中国は2035年までには軍事力の近代化を達成し、21世紀中葉には世界最大級の軍事大国になることを目指しているからだ。
日本の海上保安庁は、尖閣諸島が日本の施政下にあることを今後も引き続き主張し、中国がこれに反発すれば当然武力衝突となり、中国海軍の出動といった事態を招くだろう。
その結果、尖閣諸島周辺をめぐる軍事衝突となる可能性は十分あり得る。
準軍事活動から軍事活動にエスカレートさせないためにも軍事バランスと抑止力は不可欠になってくる」(高濱前掲)

ポイントを私なりに整理します。

①尖閣水域で中国は準軍事活動を続けていて領土化を企んでいる。
②中国は東シナ海にA2/AD(接近阻・領域拒否)の軍事的バリケードを作ろうとしている。
③中国の最終目的は、巨大海軍国建設による世界の支配である。
④このまま状況が推移すれば軍事バランスが崩れて、日中は尖閣で軍事衝突に至るだろう。
⑤その場合、日本の勝機は先になればなるほど薄い。
⑥崩れかかっている尖閣諸島水域の軍事バランスを早急に正常に戻さねばならない。

そしてここで出てくるのが、「日米統合機動展開部隊」常設構想です。
既に自衛隊は、尖閣諸島防衛のための陸海空3自衛隊を統合した常設の機動展開部隊を創設し、さらにはこの部隊と在沖海兵隊との連携強化する構想がありますが、米側はその一歩先の「日米統合機動展開部隊」常設構想を出したということになります。

今や、尖閣での日中軍事バランスは大きく傾こうとしています。
もはや海保では対応しきれない状況が生まれつつあります。
そして時を同じくして、米国は尖閣水域が実は米国世界戦略の要衝であると気がついたようです。
それは米海兵隊の大規模な再編「戦力2030」にあらわされています。

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関連記事 『海兵隊の新方針 沖縄に対艦ミサイル部隊を展開させる』
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2020/07/post-1a5e66.html

要約すると

①戦車部隊の全廃・砲兵部隊・オスプレイ・水陸両用車両・F35Bの削減
②1万2000人削減
③ロケット部隊(HIMARS) を7隊から21隊に増強し、「海兵沿岸連隊」(MLR)を沖縄島しょう部に配備

このような海兵隊の今までの戦略・戦術の根本的見直しと並行して、海軍においても日米統合展開部隊が誕生する可能性が生まれてきました。
あるシンクタンクの識者は尖閣についてこのようなことを述べたそうです。

「米国が推進している『インド洋太平洋地域戦略』にとって尖閣諸島は太平洋戦争当時の硫黄島と同じだ」
(高濱賛前掲)

今や米国にとって尖閣は「硫黄島」だそうです。
硫黄島は大戦当時、首都爆撃で大手をかけたい米国にとって絶対にとらねばならない島でした。
戦史に刻まれる激戦が繰り広げられ、日本軍は守備兵力およそ2万人のうちの96%が戦死、もしくは行方不明となっています。
いまでも大部分の遺骨は遺族のもとに帰っていません。
一方で米軍も、死傷者数で日本軍を上回る損害を出しています。

このように米国が「硫黄島」と言う場合、いかなる損害を被っても絶対に押えねばならない軍事的要衝のシンボルの意味として使います。
そして今現代の米国にとっての「硫黄島」とは、他ならぬ尖閣なのです。
それは中国にとっても同じことです。



※関連記事『なぜ、中国は尖閣諸島を狙うのか』
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2020/07/post-16d947.html


 

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コメント

シンクタンク・・・戦車を沈めちゃうのね!
という冗談は置いといて、サンディエゴ沖でまさかのAAV-7の沈没事故が起きてしまいました。早期の原因解明が求められます。

ようやく尖閣諸島の重要性にアメリカも気付いたようですね。これまでも日本政府の「まあまあとりあえず」な姿勢は長年の悪癖でしたけど。トウ小平来日と日中平和友好条約締結の時に(ああ、学校の先生方が大歓迎して生徒に作文やイラスト書かせたりと大騒ぎでしたわ)「未来の世代に任せて争いは避けよう」という密約があったとかどうとか。当時は大平総理でしたね。自民政権が大きく揺らいだ頃です。まあ大平さんが現役で急死されて同情票で自民が勝ったわけですが。。「日中平和友好条約」なんて名前すら、今見ると苦笑いしか出てこないですね。当時はまだまだ中国は技術で遅れて貧しかったですから、その後も日本政府は援助しついにはWTOへの加盟に奔走しました。
それが今の状況です。「中国の夢」です。

アメリカのシンクタンクも「尖閣諸島は硫黄島」だとついに認識しましたか。いよいよキナ臭くなってきました。
最大の問題は、日本人に覚悟はあるか!?です。左翼メディアは論外ですが。

コロナ対策もあってトランプ不利と伝えられるアメリカ大統領選挙がいよいよ見ものですね。
バイデンが勝ったらどうなるのかが最大の注目です。

スーザン・ライスを、こっそりとコンドリーサ・ライスにすり替えるのはどうだろう・・・いや、冗談ですって。

>シンクタンク・・・戦車を沈めちゃうのね!
この一行で山形さんの投稿だとわかりました(笑)。

冗談はさておき、日本にその覚悟があるのかどうかは大問題ですね。
何しろ敵基地攻撃能力を有するか否かで周辺国への理解が必要だと
真顔で訊いてくる新聞記者がいるくらいですから。
この周辺国は主に中国や韓国らしいですが、一体何時から日本はこれらの国の
属国に成り下がってしまったのでしょうか。

ネットに面白い投稿を見つけました。
中国にお伺いを立てなければならないというのは、
泥棒に「我が家はセコムに入ろうと思いますけど、宜しいでしょうか」と
尋ねるようなものだと。

よく中国脅威論を唱えると、煽りすぎだとかいたずらに他国を刺激するな。
なんて反論を目にしますが、国を守るということは最悪の事態に備えること
だと思います。極論すれば、もし米国が日本を攻めてきたらどうするか。
なんてことまで視野に入れることが国防なんだと門外漢ながら考えます。
間違っても鳥越俊太郎氏が言うように「中国が攻めてくるはずないじゃないか」
なんて言葉にのってしまうことは努々あってはなりません。

「米国は本気だ、これで中国に勝てる!」とかではなく、あくまで日本の領土防衛は日本がイニシアチブを取りつつ足りない部分は米軍が補完する。
このスタンスが日米安保の基本であり、これを堅持する事が日本周辺の情勢の安定につながると思っています。
これを勘違いすると指揮権を丸投げした揚げ句、米国にいいように予算をふっかけられる韓国のようになります。

あくまで尖閣防衛の主役は日本でなくてはいけません。
そうなってくると山形さんの指摘される「日本の覚悟」が試される訳ですが
さてさてこの情勢でそれを貫くことができるのか?
「増税したいなぁ〜ゴニョゴニョ…」
とかアドバルーン上げてる時じゃないんですけどね。

日米統合機動展開部隊の常設化提案については、大正島の米軍基地化と同じで、日本に覚悟をうながす強力な誘い水の一手なのでしょう。
それだけじゃなく、軍事基地化の目論見を公にした事で、逆に中共軍は「我々の時間は限られて来た」と判断するでしょう。そうすると、やはり今年中か来年早々にも仕掛けて来る可能性が大きいのではないでしょうか。

山田吉彦氏は、「漁区ごとに順次業業解禁になる8、9月が危ない。その時が来ると共産党が指示した大量の漁船団が押し寄せる。一千隻の海上民兵船が前線に出て来るという事」と言っています。

日米にとっての尖閣は絶対保守すべき「硫黄島」ですが、人民解放軍から見れば「二〇三高地」です。日本政府に本当に沖縄県の尖閣を守るつもりがあるならば、もう猶予はありません。河野防衛相に躊躇はないようです。

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