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2020年8月26日 (水)

「次の首相」の条件とは

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安倍氏がかくも長期間首相に就いていた理由は、なにより彼が卓抜な国際感覚をもっていたこと、経済政策は腰折れ気味ですが基本的に間違っていなかったこと、安全保障政策において集団的自衛権や特定秘密法など、今、日本が生き残るために必須の法整備をしたことなどでした。
コロナ対策においても、言いたいことはいくつかありますが、おおむね各国首脳陣の中では及第点をあげるべきでしょう。

安倍氏の美質は、権力欲がないことです。
それが弱さとして出ると第1次政権の時のように政権投げ出しという危うさとして現れかねないし、その反対に首相を退いた後にキングメーカーとして隠然と政界に君臨する姿など想像しにくいことです。
角栄や野中、あるいは小澤などの、どこまでいっても権力への妄執から逃れられない世代には考えられなかった脂っけのなさです。

禍福はあざなえる縄のごとしとはよく言ったもんで、この時期、それが悪く出つつあります。
安倍氏は多くの懸案をひとりで処理しようとしすぎました。
先に述べた彼の功績は、ほんの一端にすぎませんが、たとえば集団的自衛権容認ひとつとっても、ひとつの政権が総辞職覚悟で通すのがやっとというものでした。それを彼はいくつ通したんでしょうか。
彼が左翼メディアと野党から憎悪を一身に集めて、ファシスト呼ばわりまでされたのは、向こう傷みたいなもんです。
この上に70年間の憲法改正まで手が届かなかったとしても、当然ではありませんか。

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内閣総理大臣・安倍晋三インタビュー「失敗が私を育てた」|文藝春秋 ...

安倍氏は9条2項という核心部分を最初に手をふれず、自衛隊を憲法に書き込むだけとしました。
これだけでも自衛隊は正規軍として位置づけられ、1項の平和条項と重ねて読めば、自衛権を自衛隊が行使することが憲法上可能なのです。
いままでは自衛隊は憲法には自衛隊の姿はなかったのですから、もの足りないとはいえ飛躍的進化にはちがいありません。
もちろん護憲政党である公明との関係に束縛されてこうなった側面もありますが、ここまで与党陣営内部をまとめきっただけでもよしとせねばなりません。

この時期最も悪いのは、9条2項を神棚に祭り上げてしまって、これを理由にしてなにもやらないことです。
2項改正にいきなり手をつければ、公明は頑として従わなかったでしょうし、世論もついて来なかったはずです。
一度改憲に失敗すれば、その次は半永久的にないのです。
ですから、ここで2項を楯にして自衛隊加憲案に反対するのはやるやる詐欺にすぎません。

さてこんなにも懸案を抱え込むことになった理由は、はっきりしています。
彼を継ぐ指導力とカリスマ性を合わせ持つ政治家が不在だったからです。
4選を拒否した以上、安倍氏は「次の首相」の姿をはっきりさせるべき時期です。
これこそが安倍氏の首相としての最後の仕事だからです。

「次の首相」の条件は、この時代の潮流を正確に読むことです。
今の国際状況は、ひとつの世紀に幾度もない大変動期にあたっています。
米中は、仮にトランプ再選されようとされまいと直接対決の時代に突入しました。
それも今やただの冷戦では済まず、熱戦に突入する可能性すらささやかれています。

この時期に大戦略を間違えると、かての日本のように亡国の運命を辿る事になります。

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上図はエドワード・ルトワックが想定する「戦略の階層」を表しています。
ルトワックは「大戦略」(グランドストラテジー)を最上位にしていますが、奥山真司氏は世界観を最上位に位置づけていますが、基本的に同じです。
彼は「大戦略」が決定的に重要で、その国の運命を決定づけるとまで言い切っています。その典型的な例が、大戦前のドイツと日本です。
ドイツは優秀な軍事指揮官と装備を持ち、多くの戦闘で勝利しましたが、紺本的な大戦略を誤ったために敗北に追い込まれました。
それは世界最強の米国とロシアを二正面で敵に回してしまったからです。
このように大戦略で誤ると、戦術的な勝利は無意味になってしまいます。
一方日本の場合、米国と敵対するドイツと同盟を結ぶという致命的な間違いを犯してしまったために、国を誤ったのです。
「大戦略」とは大きな意味での「外交」、あるいは安全保障を意味します。
ここでいったん間違った方向に国を導くと、とりかえしがつきません。
戦後、自民党がいかに腐敗した金権政党になろうと、なんとか日本の与党でいられたのは、この「大戦略」を誤たず米国を盟主とする自由主義陣営に与していたためです。
民主党政権は、中国と通貨と安全保障を共有する東アジア共同体を掲げて、この「大戦略」の根幹を揺るがしたために短命に終わりました。
現代もまた、「大戦略」の選択肢は狭く、自民党の伝統芸である八方美人外交はまったく通用しないばかりか、今や鈍感にそんなことをやっていれば自由主義陣営から排除されかねない時期に達しているという厳しい認識が必要です。
したがって、このことに関しては白黒の二択しか存在しません。
日本人好みの中庸はないのです。
いや、オレなら仲介できるなどというのは、ムン閣下くらいにして下さい。
韓国は習を国賓で招くそうですが、今、日本がそれをやれば韓国と一緒に中国陣営に蹴り出されるだけのことです。

この時期にいまだ中国に秋波を送っているような政治家を首相にしてしまえば、日本は中国に与したと国際社会から、なかんずく米国からそのように認識されます。
日米同盟は形骸化し、東シナ海はもはや自衛隊単独では支えきれずに遠からず「中国の海」となるはずです。

「次の首相」として最も必要な資質は、中国に媚びる伝統的な自民党の体質から自由であることです。
驚くべきことに、この時期に至っても、自民党内部はこの厳しい情勢に鈍感です。
自民党は、米国国務省が嘆くように親米派は少数派で、大多数は親中派です。
彼らは古くはODA利権から始まる中国との欲得がらみの関係の中でぬくぬくと生きてきました。

彼ら親中派の集大成が習近平の国賓訪日だったわけで、これを認めてしまった安倍氏は厳しく批判されるべきです。
しかしコロナ禍の中で、外交部会に突き上げさせる形をとって訪日を事実上取り止めさせたのは慶賀の至りです。
にもかかわらず、いまだ平然と訪日を主張し続けたような政治家は、もはやその時点で首相の資格を喪失した考えるべきです。

派閥の力学で決定されかねない総理総裁ポストを、世界情勢の中において発想できる日本の例外的な政治家が安倍氏です。
そのような中で、彼は安倍氏は何人かの候補者をふるいにかけている真っ最中だと見るべきでしょう。
候補者は絞られつつあります。

 

 

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コメント

20200826 相模吾です。 緊急事態対処だけでも憲法改正が必要なときに、その活動すら否定する勢力に政治を任せられない。世界中で起きている紛争、自然災害にしっかりした意見を持てない勢力に政治は任せられない。公正と信義を持たない国とは距離を置きたい。自由も民主もない中国に取り込まれる日本は見たくない大局観を持った政治家が少なさすぎる。
安倍さんはこれらを感じさせるが、後継者はいるのだろうか。

11月のトランプ再選を受けて、安倍総理は何か積極的に仕掛けてくるだろうし、それを強く期待します。
それまではマスコミがどのように政局を語ろうが、雑音にすぎないです。
なお、残念ながら万一バイデンならば、岸田禅譲以外に選択肢はないでしょう。

自民党内親中派=公明党=守旧派という公式の中で、憲法改正は出来ず、脱中国も不十分です。
そういう自民党内にあって、安倍カラーは埋没して久しいです。
いつのまにか、「平時の総裁」に様変わりしてしまいました。

内閣改造で二階を変え、菅さんを外し、麻生氏を最高顧問にでも棚上げして消費税減税やクリーンネットワークをかかげ、来春早々には総選挙に打って出るべきです。
これまでのように、菅さんや二階氏を頼りに党内融和と公明結束に心をくだきすぎ、有為の若い人材への組み換えを行えないならば、硬直化した政治が続くしかない。政治が変わらなければ、厚労省や文科省も変わりません。

旧民主党系に対して見せる「闘魂」をもって、はっきり守旧的自民党への決別をすべきです。代替わりを待つ次の世代は、安倍さんが総理総裁だからこそ、不満をおさえている状況にある事をもっと認識すべきです。
そうでないと、「(安倍は)いい外務大臣だった」という評価だけの総理で終わるのだろうと思います。
ここは、なお一層の奮起をお願いしたいところです。

 総裁候補として河野さんはどの点が欠けているのか、と考える。激情に走るのが欠点なのだろうか、女系天皇容認がいけないのか。

 実際の河野さんは知らないが、マスコミで知る限り、韓国・中国への対応は彼が一番優れていると思う。ハッキリものを言うところが他の政治家とは違う。トランプさんの直截な発言にも通じるものがある。

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