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2020年9月21日 (月)

中国vs米国「エンティティリスト」戦争へ

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米中関係が急速に緊張しています。
9月19日 中国が「信頼できないエンティティリスト」を制定し即日施行しました。
昨年6月からやるぞやるぞと言っていたものが、一気に制定、即日施行です。
いかに今の中国がテンパっているかわかろうというものです。
中国は案外分かりやすい国で、こういう報復をすぐしてくるのは効いている証拠です。

いきなりの輸出入規制ですから、今週は中国に進出している企業はこの対応に追われることになるでしょう。

「中国、信頼欠く企業や国、個人「エンティティーリスト」の制裁対象に
中国政府は「エンティティーリスト」に掲載した信頼を欠く企業や国、団体、個人に対し、取引と投資、ビザ(査証)の制限を含む制裁を科す方針を明らかにした。中国商務省が19日にガイドライン(指針)をウェブサイトで公表した。  商務省によれば、中国の主権と国家安全保障、発展、ビジネス上の利益に対する脅威あるいは潜在的脅威になるか、中国の企業や団体、個人を差別したり、害を及ぼしたりするエンティティーの名前がリストに掲載される。
これらのエンティティーを対象に投資の禁止や仕事および在留許可の制限、場合よって制裁金を科す新たな政策措置が19日から即日実施される。ただ、掲載予定のエンティティーには行動を修正する一定の猶予期間が与えられる可能性がある」(ブルームバーク9月19日)https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-09-19/QGW706DWLU8R01?srnd=cojp-v2

スゴイですね。
「中国の主権と国家安全保障、発展、ビジネス上の利益に対する脅威あるいは潜在的脅威になるか、中国の企業や団体、個人を差別したり、害を及ぼしたりするエンティティーの名前がリストに掲載」され、中国にとって「脅威」と見なされれば外国企業・個人に対して在留許可をいつでも取消したり、取引と投資を停止させることができる、という内容です。

このエンティティリスト(EL)とは「懸念顧客リスト」と訳され、このようなものです。

「懸念顧客者リスト[Lists of Parties of Concern] 以下のリストのうちの1つに掲載されている企業、団体又は個人が、輸出取引において可能性のある当事者と合致するように見える場合、輸出取引を進める前に更なる相当な注意が必要とされます 」
(■MOFCOM Order No. 4 of 2020 on Provisions on the Unreliable Entity List)
https://bit.ly/35TePOC

中国商務省がエンティティリストの対象として上げた項目が「安全保障」「発展」「ビジネス上の脅威」「中国企業への差別」ですから、なんのこたぁない全部じゃないですか。
ちょっと中国政府の政策を批判すれば「安全保障上の脅威」、メチャクチャな中国の商慣習に抗議しようもんなら「ビジネス利益の脅威」、米国のエンティティリスト(後述)に沿った輸出規制に協力しようもんなら「中国企業への差別」と見なされ、即座に中国市場から追放です。
「一定の猶予期間を置くことができる」と温情風な言い方もしていますが、それは猶予期間の間、「お前判っているだろうな、膝をついて服従を誓え」ということにすぎません。
日本企業も早急に、サプライチェーンから中国を切断しないととんでもないことになります。

中国が準備している輸出管理強化は3つあります。今回は②です。
   ①中国輸出管理法
   ②信頼できないエンティティリスト
   ③国家技術安全管理リスト

なお大枠としては、①の「中国輸出管理法」があります。

【改訂版】中国輸出管理法草案第2次案(CISTEC仮訳)(2020/1/7。1/14改 訂。7/6改訂

「総体国家安全観とは、人民の安全を主目的とし、政治の安全を根本とし、経済の安全を基礎とし、軍事・文化・社会の安全を保証とし、世界の安全の促進に依拠して中国の特色ある国家安全の道を歩みだすことをいい、具体的な安全保障の対象として、
①政治の安全、②国土の安全、③軍事の安全、④経済の安全、⑤文化の安全、⑥社会の安全、⑦科学技術の安全、⑧情報の安全、⑨生態の安全、⑩資源の安全、⑪核の安全の 11 項目が挙げられている」
(安全保障貿易情報センターCISTEC2017年10月)

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新潮

中国輸出管理法の最大目的に、「国家の安全」と「政治の安定」が掲げられていますが、これは自由主義諸国のそれとは意味が異なっていますのでご注意下さい。
全体主義国家においての「国家」とは共産党支配を指し、「政治の安定」とは共産党に対する批判を許さないという意味です。
日米のような自由主義社会においては、トランプや安倍氏に対する批判はなにを言おうとヘイトになりませんが(それはそれで問題ですが)、中国においては
いかなる体制批判も許容されません。
共産党を批判することは、「政治の安定」を破壊し、「国家の安全」を脅かすとされてしまいます。

香港国案法の元となった国家安全法と同じ文言が登場します。この部分です。

●国家安全法(2015 年 7 月 1 日施行)
第2条「国家の安全とは、国家の政権・主権・統一と領土の保全、人民の福祉、経済社会の持続可能な発展と国家のその他の重大な利益が相対的に危険のない、国内外から脅威を受けない状態にあること、および持続的に安全な状態を保障する能力を指す」(第 2 条)』」

●香港国安法第1条
一国二制度」、「港人治港」、「香港人が高度の自治を行使する」という原則を揺るぎなく完全かつ正確に実行し、国家利益を守るために、 香港特別行政区に関する国家分裂、国家政権転覆、組織的テロ、外国・域外勢力との結託による国家安全危害などの犯罪を予防し制止し、懲罰し(以下略)

国家安全法・香港国安法そして輸出管理法は、口を揃えて「国家分裂を許さない」ことが、これらの法を作った理念だと言っています。
これはさらに中国共産党が、ポンペオ演説を受けて言った台詞、「米国は共産党と人民を分裂させようと企んでいる」という言葉に符号します。

米国は既にウィグルへの人権弾圧を糾弾し、それに関わった企業への輸出規制を実施しています。

「米国商務省は26日の別のプレスリリースで、中国公安部が所管する法科学研究所や企業など計9組織体もELに追加すると明らかにした。これら組織体は、新疆ウイグル自治区での人権抑圧活動や強制労働、先端技術による自治区の監視に関して、中国政府に加担したとされる。BISは2019年10月にも、同自治区の公安当局や民間企業などを同様の理由でELに加えている。
米下院外交委員会で少数党筆頭委員を務めるマイケル・マコール議員(共和党、テキサス州選出)は「これら(中国共産党の支配下にある)団体は少数民族の権利を侵害し、そこから利益を得ている」として、ELへの追加を支持するコメントを寄せている。BISは5月15日にEARを変更し、半導体などを対象に華為技術(ファーウェイ)とその関連企業への輸出管理を強化しているが、今回、新疆ウイグル自治区での人権侵害を理由にELに追加された9企業・団体もその対象に含まれることになるとみられる」(JETRO ビジネス短信5月27日)

さらに香港国安法を受けて、ポンペオはこう述べています。

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産経 

「中国との闇雲な関与の古い方法論は失敗した。我々はそうした政策を継続してはならない。戻ってはならない。自由世界はこの新たな圧政に勝利しなくてはならない」
「中国共産党から我々の自由を守ることは現代の使命だ。米国は建国の理念により、それを導く申し分のない立場にある。ニクソンは1967年に「中国が変わらなければ、世界は安全にはならない」と記した。危険は明確だ。自由世界は対処しなければならない。過去に戻ることは決してできない」 (日経7月24日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61896140U0A720C2000000/

これが中国から見れば「国家分裂・国家政府転覆」と写り、米国にとっては「全体主義との戦い」となるわけです。
既に出されている米国側の輸出規制もあたっておきましょう。

「中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)傘下の短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」および対話アプリ「微信(ウィーチャット)」の新規ダウンロードと更新を禁止する米商務省の発表が行われた直後に中国のエンティティーリスト指針が公表された」(ブルームバーク前掲)

5月25日、米国商務省は中国への輸出規制強化として、中国系企業24社を輸出管理規則(EAR)に基づいて、「懸念顧客リスト」(エンティティリスト)に掲載しました。

以後、これらの企業は輸出規制の対象となります。

「米商務省は「懸念顧客リスト」(EL)への追加理由として、対象となった企業・団体が中国で大量破壊兵器や軍事利用の恐れのある製品の調達を支援している懸念が高いためとしている。
ウィルバー・ロス商務長官は「この新たなELへの追加は、米国の国益を損ねる活動に米国の製品・技術の使用を未然に防ぐという取り組みを実践するもの」と述べた。ELには、政権が「米国の国家安全保障または外交政策上の利益に反する行為をした」と判断した団体や個人が掲載され、それらへ米国製品(物品・ソフトウエア・技術)を輸出・再輸出・みなし輸出する際は事前許可が必要となる」(ブルームバーグ5月25日)

中国は、香港国家安全維持法において、香港の統治を阻害する人物や企業は国家分裂を企む者として制裁の対象となる、と世界に宣言しました。
同時に台湾への圧力を高め、台湾系企業や台湾へ輸出をしている外国企業もその制裁とするとしています。
同様に、米政府がウイグルやチベットへの人権弾圧に加担した企業に制裁を課すとしましたが、これに協力した外国企業に対して今度は中国が制裁対象とするというわけです。

このようなことになると、中国に進出している外国企業は中国と関わり続けようとするなら、米国政府か中国政府いずれかの制裁対象となってしまうことになります。
いまでも中国市場にさらなる投資をする予定の日本の大企業もあるやに聞きますが、衷心からお止めになることをおすすめします。
弾が飛び交う戦場の真ん中、ボクは無関係です、といっても通用しないのです。
最悪の場合、両国から撃たれますよ。

 

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コメント

おはようございます。やはり今週はエンティティリストの記事がスタートなんですね。週末1番びっくりしたニュースでした。
トヨタやホンダはEVや自動運転等の次世代技術で中国に軸足があると言っても過言でないくらいです。ホンダは撤退どころか今夏EVバッテリーの提携スタートを発表していた記憶があり心配です。

信頼を欠く企業の他に個人という括りで見ると、千人計画などであちらに日欧米から相当数の研究者が渡っています。チャイナがイケイケだった2018年のNHKアーカイブによると
https://www3.nhk.or.jp/news/special/nobelprize2018/tokushu/tokushu_01.html

中国政府お抱えの施設が用意した恵まれた環境で彼らがいかに自由に研究開発ができているかを礼讃し、日本の大学のしょぼさに警鐘を鳴らす記事です。コロナ禍でも日本には無い環境を愛し自分のチームを率いる責任感で彼方に留まり研究を続ける日本人がいるかと思います。

今、自分の研究を支える潤沢な資金源が国家主導の人権弾圧と人道の罪に由来する事と、研究成果が独裁政権によってどう活用されるのか口出しできない事について、彼等はどう考えているのか知りたいものです。
ナチスの独裁下で化学医療工学全てが飛躍的に発展し、敗戦を通じて世界に技術転用された過去を思い浮かべています。

 凄いですね。
というか、率直に呆れ果てました。

去年五月末の時点では幾分の名分らしきもあったと思いますが、これを必死にEU(特にドイツ)が止めてたんですよね。
ところが、EUと中国との投資協定を年末を目指して調整すると決まったとたんにコレですよ。これじゃ、EUは結局ついて来ないんじゃないですかね。
中共は何か、総じてトランプ政権の蟻地獄的術中にハマっているいるように感じます。

日本企業では6月末に90件、7月には1670社が脱中国していますし、菅総理は官房長官時代の9/5、「引き続き日本企業の脱中国化を推進する」という立場を言っています。

けど、中国進出日本企業は35000社を越えるので、決して容易ではないですね。
パナソニックなんか、日本の親会社よりも子会社の中国パナソニックの方が何倍も大きいのですね。どちらに実質的権限があるのか、これじゃ日本回帰は無理です。パナと形態は違えど、他にも中共からめとられている日本企業は多いです。

今の日本企業を見ていると、旧満蒙開拓団とダブります
日清日露戦争に勝ち、満州を切り開きそれ以上の利権は望んでいなかった、馬賊や国民党の嫌がらせで一気に満州事変、日中戦争、太平洋戦争にエスカレートし、迎えた敗戦。
命からがら、中国から逃げてきたのにまた同じことを繰り返しています。
今は、日本企業の皆様が当時の二の舞にならないように祈念するばかりです。

私が昔勤めていた中小企業は起死回生を賭けて中国に進出し、一旦上げて深海へ撃沈倒産したらしいのですが、今書類上確認されている35000社の財務状況も千差万別の事と思います。
山路さんがお書きのような隅々まで絡めとられているような企業から、初期投資をやっと回収できそうな位の「順調だったはずなのに」組。そしてコロナや米中対立がなくとも既にヤバかった中小も相当数あるはず。
外務省経産省そして政府がどれくらい内訳や実情を把握できているのか、質問してくれるメディアが全くいないです。尋ねられないから語らない政府にも私的には不満です。
日中の国際結婚組や帰化した日本人も多数大陸で働いているはずで、命からがら逃げるのは誰か、というのも今回は多様性を帯びています。敗戦混乱ではないので、彼等は人質としての価値も高いです。
私は年始に在外邦人への無配慮に激昂していましたが、当時はどうしようもなかった部分はあったと今振り返っています。しかし今とこれからはまた別の話。今はどうしようもなくはないです。命優先での資本回収を行って欲しいです。

なんやら中共のここんとこの反応は、大人げないというか子供じみたと
いうか、儒教(朱子学)的な中華思想に凝り固まった(夷狄である米国
なんざに中共が負けてたまるか!口先でも負けんわい)の、頭カチコチ
の柔軟性に欠けるものですわ、北朝鮮に似てきた。同じく夷である朝鮮
のマネをするようでは大中華の中共様も落ちたもんだ、というのがここ
最近の人々(賢きもバカも)の印象ではないのか知らん。まるで超大国
らしくなく、「徳」など微塵も感じられないですわ。

中共内部でもガチガチの中共親衛隊みたいな人物が増えて、大声で
勇ましいだけの者が出世し、現実的な実務家タイプは有能であればあ
る程失脚させられるか粛清されているんだと思います。いつもの帝国
の末期現象なのか? 代々の中華帝国と同じ伝統の結末は近いのか
? (旧大日本帝国も、また同じような結末を迎えているのがイタイです)

私の強い希望である結末を迎えなくても、毛沢東(アカン奴)さんに失脚
させられた鄧小平(まだホンの少しマシ)さんが再び中央に復活したくら
いの政変があって欲しいですわ。 しかし、もっとアカン奴が出てきたり
して・・ 歴史は怖いですわ。

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