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2020年9月 9日 (水)

米国、駐日大使に大物起用

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11月の大統領選の前に、米国の対日政策で大きな一手がありました。
トランプは次期駐日大使にケネス、ワインシュスイン氏を起用することは既にこの3月には決まっていたのですが、議会の承認待ちだったためです。晴れて上院の承認が降りそうなために、遠からず大使交代となるようです。

前任者のウィリアム・ハガティは、トランプ政権発足時に、論功報奨として起用された人事です。
米国の大使起用は政治任用なためにこのようなことはよくあり、大統領選で有力なバックアップをしてくれた人物を駐日大使に突っ込んできます。
オバマが任命したキャサリン・ケネディやジョン・ルースも外交はズブの素人でしたし、日本とは縁なき人物でしたが、オバマ再選の有力支持者として任命された経緯があります。

まぁぶっちゃけ、駐日大使というのは、懸案事案さえなければ毒にも薬にもならない外交の素人でも勤まると思われているからです。
このハガティも今年11月の上院選出馬のため、去年7月に辞任してしまい、以後、駐日大使の空席が1年以上続く異例の事態となっていました。
私たちからみればおいおいですが、現在日米同盟黄金期であり、どうやらなんの懸案もないと考えているようです。

ケネス・ワインスタインは有力シンクタンクのハドソン研究所の所長で、トランプ政権のブレーンですから、まずは大物人事と言っていいでしょう。
しかしメディアは「知日派ではない」ということにケチをつけているようですが、これはマイケルグリーンのようないわゆるジャパンハンドラーではないというこにすぎません。
トランプ政権は、従来、対日外交を支えてきたいわゆる「知日派」であるリチャード・アーミテージ元国務副長官やマイケル・グリーン元NSCアジア上級部長、ジョセフ・ナイなどという民主党系識者たちをまとめてお払い箱にしてしまいました。

彼らジャパンハンドラー(日本を操る人)はその名のとおり、日本語も堪能で日本政財界、マスコミに多くのパイプを持ち、覚えめでたいのですが、特に日本を好きなわけでもなく、日本が強い国家になることにはむしろ否定的でした。
むしろ内心は米国戦略に変に自我を持たず「役にたつ従属国家」のままでいて欲しい、とかんがえているふしがあります。
外務省が「天の声」のように押しいただいていたのが、彼らです。

後述しますが、このような考え方と一線を画するのが、ワインスタインが所長をしているハドソン研究所系の人たちです。
ハドソン研究所系は日本にパイプを少ししか持たず、その貴重な一本が他ならぬ安倍氏です。
トランプ政権は彼ら「知日派」を一掃してしまい、今回駐日大使にもハドソンの所長を抜擢しました。

トランプ政権で特に関係が深いのはポンペオ国務長官とペンス副大統領のふたりで、今回の人事も彼らの強い推挙があったことはまちがいありません。
2018年秋に「新冷戦」の始まりともいわれる対中政策に関する演説をした場所が、ハドソン研究所でした。
このふたりは何回かハドソン研究所で講演をしており、安倍氏も講演をおこなったことがあります。

「ワインスタイン氏は1991年にハドソン研究所入りし、2011年から所長を務めた。同研究所はトランプ政権に近い保守系シンクタンクの一つで、ワインスタイン氏は政権中枢との関係の構築に努めてきた。
その一人がペンス氏だ。同氏が2018年秋に「新冷戦」の始まりともいわれる対中政策に関する演説をした場所がハドソン研究所だった」
(JETROビジネス短信8月5日)
https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/08/95271e0304b64d7a.html

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産経

このワインスタインの大使起用は日本にとって大変に好ましい人事で、待望の人来ると言ってよいでしょう。
彼の上院公聴会での証言を聞いてみましょう。

「ワインスタイン氏は冒頭、日米首脳の友好関係や頻繁なやり取りを経て、日米関係は極めて緊密だと証言した。日米同盟をインド太平洋における平和と安全、繁栄の礎と評価するとともに、大使就任後は北東アジアの課題に対応すべく、日本にさらなる責任の負担を求めると述べた。経済面では、2国間の包括的な貿易協定を目指すとし、またインド太平洋における経済協力を強化する方針を示した。
質疑応答では、ベン・カーディン上院議員(民主党、メリーランド州)からの、TPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定)未加盟の米国にとって中国への対抗手段として日本は重要とのコメントに対し、ワインスタイン氏は、日米は防衛・経済分野に加え、エネルギー分野やデジタル貿易を含む政府一体での連携に取り組んでおり、大使としてこれを継続すると宣言した」(JETRO前掲)

ここで注目すべきは、ワインスタイン次期駐日大使が、ダイヤモンドセキュリティ構想(Free and Open Indo-Pacific Strategy/FOIP ) の米国側の推進者のひとりであることです。

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「セキュリティダイヤモンド構想とは、安倍晋三首相が2012年に国際NPO団体PROJECT SYNDICATEに発表した英語論文『Asia’s Democratic Security Diamond』に書かれた外交安全保障構想。
オーストラリアインドアメリカ合衆国(ハワイ)の3か国と日本を四角形に結ぶことで4つの海洋民主主義国家の間で、インド洋と太平洋における貿易ルートと法の支配を守るために設計された。中国の東シナ海南シナ海進出を抑止することを狙いとする。日本政府としては尖閣諸島領有問題中東からの石油輸出において重要なシーレーンの安全確保のため、重要な外交、安全保障政策となっている。インド太平洋、Free and Open Indo- Pacific Strategyの概念の確立、アメリカの対アジア戦略に「Indo-Pacific economic vision」(インド太平洋構想)として採用された」(Wikipedia)

セキュリティダイヤモンドを構想したのは安倍氏で、米国がこれに追随したという、日米外交史上初となる逆転現象がここに誕生しました。
いつまでも日本が米国に追随している、という古くさい発想でしか日米関係をみられない気の毒な人たちは佃煮にするほどいます。
たとえば内閣参与をしていたという自称保守の藤井某もそんなことを言っていましたし、デニー知事のブレーンと考えられる新外交イニシャチブ(ND)の猿田女史もそっくり同じことを言っています。

「では日米関係、「アメリカに言われて、日本がそれに従う」に変化はあったのでしょうか。結論からいえばまったく変わっていません。反論もせず、自発的にアメリカに従属しようとしている構造もこれまでと同じです。むしろ、この「自発的対米従属」の姿勢は加速度的に増しています。
そもそも、トランプ大統領は「日本のことなどどうでもいいと思っている」というのが、日米外交ウォッチャーの多くの一致した意見です。にもかかわらず、「友情」を唯一の方針として安倍政権は「抱きつき外交」を行っています」(猿田ND)
https://www.nd-initiative.org/contents/7888/

なにが「抱きつき外交」だっての(苦笑)。今の米国の基本戦略であるダイヤモンドセキュリティを考えたのは安倍氏、TPPとして広大な環太平洋経済圏を実現させたのも安倍氏です。「抱きついた」のは米国のほうですよ。
こういう分厚い偏向眼鏡をかけているうちは、今のダイナミックに変化する日米間や太平洋・インド洋が判る道理がありませんね。

それはさておき、このセキュリティダイヤモンド構想は、一帯一路に対抗して構想されました。
それは下図をみれば、一帯一路構想をぶった切る形でセキュリティダイヤモンドが展開していることからも明らかです。

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「協力国は中国の意図が略奪的なものだと警戒しており、インフラ資産を失うリスクがあると考えている」。ワインスタイン氏は論文などで、中国が掲げる広域経済圏構想「一帯一路」に警鐘を鳴らしてきた。こうした認識は、ペンス氏やポンペオ氏らと完全に一致する。
インド太平洋戦略でもオーストラリアなどとの連携の重要性を提唱しており、日本政府の立場もよく理解しているとされる」(日経3月14日)

このように太平洋・インド洋セキュリティダイヤモンド構想を熟知している新大使の着任は、わが国にとって願ってもないことです。
またワインスタインは中国の不法な侵入からネットワークを守るクリーンネットワークの設立者のひとりです。

アメリカのマイク・ポンペオ国務長官は8月5日(現地時間)、アメリカの通信ネットワークから中国の影響力を排除する「クリーンネットワーク」という構想を発表した。TikTokなどの中国製のスマホアプリを利用できなくするほか、中国企業のクラウド事業を制限したい考えだ。
ポンペオ氏は同日のTwitterで、「アメリカの最も機密性の高い情報を中国共産党の監視状態から保護することにより、クリーンネットワークを拡大しています。私たちは自由を愛する国々や企業に参加するよう呼びかけます」と投稿している」(ハフィントンプレス8月7日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/864c31c34479292514c74922c09b699220b3ec2b

日本はこのクリーンネットワークの取り組みにおいて大きな遅れがあり、いまだ丸腰の状態です。
ワインスタイン次期駐日大使から的確なサジェスチョンを受けたいものです。
なお、クリーンネットワークの日本における担当省庁は総務省であり、菅氏はこの通信情報行政の仕事師だといわれています。
携帯料金値下げ公約などと絡んで、クリーンネットワークがどのように進展するのか、興味深いところです。

大統領選次第で短命に終わる可能性もありますし、かんじんの安倍氏が辞めた後の着任はつくづく残念ですが、後継総理は決まっているので、なんとかなるでしょう。

 



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コメント

なんか凄く力強く感じます。アッチ方向の人が見たら発狂するかもですが。じゃあ、香港の状況や、現代において民族浄化が進行してると言える状況のウイグルなんかについてどう思うの?、とか、民族が違えど「同じ国民」を臓器売買の対象にしてる疑いが強いことに対してどう考えてるの?、とか聞いてみたいすね、マジに。

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