菅氏は「大統領的首相」をめざす
日本の首相は、その気になればそうとうな力を持てるポジションです。
このところよく聞くのは、「日本にも大統領制が欲しい」という声です。
まぁむりでしょうな。だってそれやっちゃうと国家の人格的統合の象徴である「元首」になってしまいますから、天皇と被ってしまいます。
ですから、大統領制の国で国王を戴く国はないはずです。
わが国の国柄からみれば、大統領制はありえません。
たぶん大統領制を望む人は強いリーダーシップを持つ指導者が欲しいということでしょう。
または先日の自民党総裁選のように、メディアが流していた「国民の声を総裁選に反映させろ」といった主張なのかもしれません。
これはただの人気投票で首相を選べというようなもので、おいおいこれやっちゃうと隣の国みたいな衆愚政治になっちゃいますぜ。
その時の空気で選ばれた指導者に好き放題に独裁させると、亡国の淵に直滑降だという見本が、すぐそばにあるじゃないですか。
そう考えると、わが国の天皇を中心にする伝統的国柄と議院内閣制は、あんがい日本に適した指導者選びの方法なのです。
実はこういう声はなにか大厄があるたびに繰り返されました。
今回なら、新型コロナ対策においてわかった、てんでんばらばらな地方自治体対策のあり方、あるいは、強力な介入権限を持たない国のスタンス、そんなことが随所に現れました。
政府の決断も一律10万円給付のように、せっかくいい政策なのに艶消しになるもたつきを見せました。
台湾は世界でも稀な新型コロナ制圧に成功した国ですが、これは大統領(総統)に強い権限が持たされているからです。
政府が初動から強い民権の制限を行い、違反者にはぎょっとするような罰金をかけるというやり方は、うらやましくはありますが、いまの日本にはむりです。
大統領制の元祖の米国ですら、民主党系州政府や市は国の方針にことごとく逆らい、CDCまでいうことを聞かず、米国は国としてのまとまった防疫が困難になってしまったほどです。
台湾で可能だったのは韓国と一緒で、常に臨戦態勢を要求される分裂国家であるためです。
速やかに臨戦態勢に移行できるような体制を平時からもっていて、権限は大統領に集中できるようになっているから、大統領制はトップダウンでガンガン物事が進むというふうに見えるようです。(現実はそんな簡単ではありませんから念のため)
一方、わが国は緊急事態法が出来た段階で、私はこれは「国のお願い」にすぎない以上、国は調整役に回るつもりだと思いましたが、やはりそのようなことになってしました。
だから国家的危機の場合、一時的に民権を制限可能な国家緊急事態法が必要なのですが、そっちへ議論がいくと自民改憲案に重なってしまうためか、メディアによって首相公選させろといった人畜無害な方向に誘導されてしまいました。やれやれ。
ただし、思うほどわが国の首相制度はひ弱ではありません。
大統領制論者だった中曽根康弘元首相の引退後の述懐が残っています。
もっとも中曽根氏は天皇を敬うこころを堅持した人だったために、大統領制は日本には無理だと判断していたようです。
聞き取りは小川和久氏です。なかなか面白いので紹介させていただきます。
中曽根康弘元首相の名言5選「老兵は死なず消え去りもしない」 | Forbes ...
「日本国憲法においては、内閣総理大臣に政治的権限が集中しているのです。
議会の承認なしに国務大臣を罷免する権限を持っているし、最高裁の裁判官の指名まで閣議了解を経て行えます。
同時に自衛隊の最高司令官だし、議会をコントロールできる多数党の総裁でもある。
これは、地上最強とされるアメリカの大統領より大きな権力なんです。
それを首相に行わせようというのが憲法の意味するところなんですが、いままでの総理大臣は明治憲法時代の慣習から抜けきれずにきました。
私が『日本の総理大臣は大統領的首相だ』といい、『戦後政治の総決算』といい続けてきたのは、要するに古くさい吉田政治からの脱却が日本にとって必要だと思ったからです」(『NEWSを疑え!』第894号(2020年9月14日特別号)
ここで中曽根氏が言っている首相権限の強さは、要約するとこのようなことです。
①国務大臣の罷免権
②最高裁判事・長官の指名権
③自衛隊の最高司令官(軍の指揮権)
④議会多数派の党首(解散権)
なるほどねぇ。言われてみれば確かに。
米国大統領と日本の首相を比較してみましょうか。
①の大臣指名権は米国大統領も持っていますが、なんと米国はいちいち議会承認が必要です。
たとえばそろそろ着任するはずの駐日大使である、ワインシュスイン氏など延々と議会承認待ちをさせられて、今年初めから決まっていたにもかかわらず、公聴会での承認が出たのはついこのあいだのことです。
一事が万事で、大統領が議会からの承認を得るために閣僚を議会がオーケーというようなタイプにするという弊害すら生まれました。
トランプが初期にやたら人事を入れ換えたのは、初期の人事が議会多数派の共和党本流から押しつけられたものだったためという説もあります。
日本の首相など、極端にいえば首相の一存で今日クビにして、明日から別の人物を閣僚に任命することも可能です。もちろん、国会承認は不要です。
②最高裁の人事権。これも同じで、大統領は指名する権限はありますが、上院の「助言と同意」が必要です。
なんだここでも議会の承認がいるのです。解任する権限する権限もありません。
日本も同じで、最高裁判事・長官の指名権はありますが、罷免権は三権分立の建前から持たされていません。
③軍の最高指揮権が日本は首相にあるのは米国大統領と同じです。
ただし、わが国の自衛隊はなんと「軍隊」ではないそうですが。(じゃあなんなんだ)
あくまでこれは責任の所在を言っているだけのことで、首相には部隊の編成権や指揮権はありません。
といっても、首相になってから「オレ、自衛隊の最高指揮官なんだってさぁ」と驚いたバカヤローもいましたけどね(論外)。
④議会多数派の党首であること。これは大きい。
今の米国を見ると、議会上院は共和党ですが、下院多数派は民主党というねじれを起こしているために、議会にイチャモンつけまくられているようです。
その点、日本にも参院で野党が強かった時期には議会運営に苦しみましたが、基本は多数党の党首であることの意味は大きいと言えます。
よく親中派の二階氏が幹事長だから、菅内閣も親中派だなんて短絡したことを言う人がいますが、幹事長の罷免権は総裁たる首相が握っています。
二階氏が独断で親中外交ができるような甘いものではありません。
また多数党を握っているために、いくら参院で野党に多数を取られて否決されても、衆院に戻して再可決して通すことができます。
こういう最後の手段が残されているためか、与党は不必要なばかりに野党に気配りして質問時間を多めに与えおり、そのほうの弊害がでているほどです。
野党はモリカケ・サクラだけしか興味がないようで、こんなことに質問時間を与えたのは、時間の無駄というものです。
安倍首相「中曽根元首相は我が国の国際的地位を大きく向上させた ... 毎日
このように日本国首相はその気になって憲法に保証された権限をフルに行使すれば、考えようによっては米国大統領を凌ぐ権限ホルダーとなり得るわけてす。
これを中曽根氏から伝授されたのが、安倍氏でした。
さて安倍氏の愛弟子となることを期待されている菅首相ですが、その可能性は高いと思います。
菅氏は安倍氏がこのような長期政権になった立役者のひとりです。
安倍氏が外遊に世界を駆けめぐって国際的プレイヤーとなれたのも、国を任せられる優秀な官房長官がいたからです。
ミサイルを撃たれても、午前5時にすべての手当てを終わって記者会見に臨めるのは、官邸に住み込んで家に帰らないような超人的官房長官がいたかからです。
菅氏が掲げている行政改革とは、日本の官のあり方を根本から変えようとするものです。
菅氏は、官僚は道具のように手足として有効に使うべしと考えている政治家です。
おそらく歴代の首相の中でも、その傾向はもっとも強いはずで、その点は安倍氏以上かもしれません。
したがって菅氏は、内閣人事局の機能をフルに使って、霞が関に自らの意志を汲んだ人材を送り込む一方、命令を拒否するような官僚には更迭を辞さず、といった対応で官僚対応するはずです。
「菅義偉(すが・よしひで)政権は外交政策でも安倍晋三政権の路線継承を掲げるが、政策決定のあり方は変わりそうだ。中国の巨大経済圏構想「一帯一路」への協力に慎重だった外務省に対し、対中協力を主導した経済産業省出身の官邸官僚が退場したからだ。
これにより外務省が重きをなす外交に戻るとみられるが、自民党では総裁選後、中国に配慮を求める二階俊博幹事長の影響力が強まっており、対中外交に微妙な影を落としそうだ。 菅内閣が発足した16日、今井尚哉、長谷川栄一の両首相補佐官が退任した。今井氏は安倍前首相の側近として一帯一路への協力のほか、2島先行返還を念頭に置いたロシアとの北方領土交渉を主導。長谷川氏はこれを後押しする日露経済協力を取り仕切った。
2人は経産省出身で、元外務事務次官の谷内正太郎・前国家安全保障局長ら外務省関係者と意見が衝突することもあった。特に一帯一路への協力をてこにした対中接近は外務省に不満が根強く、同省からは「昔は『外務省は媚中派』といわれたが、今や(経産省との対比で)対中強硬派になってしまった」と嘆息する声も漏れていた 」(産経9月18日)
この産経の記事では、二階氏が「対中外交に影を落す」としながらも、一方で安倍内閣時代に一帯一路を進めようとした経済産業省出身の今井補佐官が退任したと一見矛盾したことを書いています。
しかし二階氏が再び媚中外交を展開することは不可能でしょう。というのは、菅氏はこう明言しているからです。
「当の首相も、安倍政権では中国との経済関係を重視する立場をとってきた。12日の討論会では、石破茂元幹事長が北大西洋条約機構(NATO)に範をとって提唱する多国間同盟「アジア版NATO」に反対する理由として「どうしても反中包囲網にならざるを得ない」と語っている」(産経前掲)
この石破氏の提唱するアジア版NATOはかねてからの主張で、まだ安倍内閣にいた頃の石破壊しにその模索を承認したことがあります。
ただし彼の主張はただ既存のANZASとASEANと日米同盟を横に接着しただけのことで、目的が曖昧です。
「アジア版NATOは石破氏が提唱する構想。菅氏から狙いを聞かれた石破氏は「中国やロシアを排しているわけではない」とし、自由や法の支配など価値観を共有する国々のネットワークだと説明した」(産経9月12日)
あ~あ、こうだからゲル氏はイヤになる。中国、ロシアを排除しないNATOってなんじゃらほい。
まるでかつての社会党の環日本海安保構想のように、中国ロシア、北朝鮮まで入れた安全保障体制なんかありえません。(笑)
菅氏は二階氏を多党内ガバメントに限定させて使いつつ、もし中国と何らかの接触をする場合のパイプに残しておきたいのでしょう。
ちなみに、かつての民主党はあれだけ恐中路線を走りながら、まったく中国とのパイプをもちませんでした。
そのために中国船長衝突事件が起きると、中国がどう出るのかまったくつかめず、篠原常一郎氏に中国との水面下での打診を要請したそうです。
よく親中派、反中派と簡単に二分法してわかった気になる人がいますが、中国包囲網をじっくり作りつつパイプは維持し続けるのが、為政者としての責任なのです。
ところでかりにいくら日本の首相制が大統領制より強い権限があったとしても、それは属人的なものにすぎません。
首相官邸に座る人間がハトカンならばあのようにしかなりませんでしたし、そのポジションの使い方を知悉している人が座れば威力を発揮するだけという事にすぎません。
菅氏は、官房長官のイメージが強烈なために調整役にみえるかも知れませんが、実は中曽根・安倍を凌ぐ「大統領的首相」となるかもしれません。
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それくらいの強い権限を持つのであれば財務省の人事をデフレ脱却路線に変えて頂きたいです。
投稿: hou | 2020年9月19日 (土) 08時56分
ふむ。やっぱりhouさんは全くもって薄っぺらいですねえ。
誰々さんがどこの局長についたからとか、ずいぶんと単純なことで踊るようで。
以前にも指摘しましたけど、こちらのコメンターさんがほとんど相手にしてくれないのは、今の三橋や藤井氏の言説を安っぽく書きちらしてるだけにしか見えないからですよ。
あくまで批判する側に回っていれば楽なもんですからね。
そんなポジション「やれこうすべきだ」なんて言ってもただの戯言にしか聞こえません。
ハッキリ言っちゃえば「70年代に内ゲバを繰り返した左翼過激派」のような「オレの言うことが絶対に正しいんだ!」の超絶劣化版にしか見えないんですよ。
しつこく絡んできては他人の話は聞かないし、逆にたまたまお相手した私を罵倒したり、ふゆみさん相手には何も言えず、山路さんに対しては小賢しく逃げ回るだけ。。
そりゃあ中身空っぽなバカが偉そうに騒いでるだけ(笑)という評価されて当然のことです。
投稿: 山形 | 2020年9月19日 (土) 09時45分
山形氏へ
中身は消費税減税と医療機材などのサプライチェーン確保、スパイ防止法制定です。中身ないと批判するならば消費税減税や積極財政がなぜだめなのか批判して下さい。山形氏の批判こそ左翼過激派だとか三橋氏の仲間だとか言ってるだけで政策についての批判が一切なく中身がないです。
投稿: hou | 2020年9月19日 (土) 10時58分
私が山路氏などから逃げ回っているというのも一体何を根拠に行っているのか分かりません。私は山路氏に対して金融緩和と積極財政は別次元の話だと反論したつもりです。積極財政をやらなければいくら金融緩和してもデフレ脱却はできないと言っています。
投稿: hou | 2020年9月19日 (土) 11時07分
政府が議院内閣制でありながら地方自治体は「大統領制」であるという、GHQの置き土産の一つであり世界でもまれに見るこの制度も対コロナでは欠点が大きく露呈した感があります。
投稿: 守口 | 2020年9月19日 (土) 11時12分
大統領制については下記のサイトがわかりやすくまとまっていると思いました。
http://www.kyoritsu-wu.ac.jp/nichukou/sub/sub_gensya/Politics_Security/Cabinet/president_and_prime_minister.htm
議院内閣制の日本は、行政においては首相と内閣そして省庁の力関係の中で首相の力がもっと発揮されても良いと思います。
また立法府とのバランスにおいても行政側に極端に不利な倫理警察(メディア)がいる事で、私達の日々の生活まで実は無駄と停滞を余儀なくされています。
菅政権がそこに斬り込むならば、私は断然支持します。
コロナ対策において台湾を私はずっと絶賛してきましたが、もちろん日本とは国情が違う事は理解しています。しかも再選迄の蔡英文政権はボロボロに近いものでした。
ただ、年末からずっと台湾が発信していたコロナへの警鐘を世界はもとより日本もスルーして、チャイナの出す偽エビデンスを信用したからこそ、その後の悲惨な展開がありました。
仕方なかった=誰も台湾を信用しなかった
という事でもあります。
罰金や行動制限云々以外に、まず病気自体の特性への警鐘を見間違わなければ、次また騙されるリスクを減らす事はできるわけです。
コロナの件では全世界一斉に騙されましたが、次はそうはいかないと欧米は体制を整えつつあります。
菅政権には中国撤退の被害を最低限に抑えるという大命題があり、彼に期待というより注文として、しっかりやっていただきたいと希望しています。
昨日はどこをどういじってもコメントできず無念でしたが、今日はどうかしら!えいっ!
投稿: ふゆみ | 2020年9月19日 (土) 13時22分
菅総理の手法として先日の消費増税からその取り消し、そして10万円の再給付をほのめかすなどアドバルーンを上げ有権者の反応を見ていますよね。
人気取りの狡いやり方だという見方もありますが、これは同時に自民党内の反対勢力に対しての牽制(今増税とか緊縮とかグダクダ言ったらこうなるぞと)をしているのではないかという面もあるかと思っています。
表面的な人事や発言などに振り回される事なく、その裏の狙いを考えつつダメなものはダメとハッキリ意思表示しないと国民も置いていかれる事になると思います。
投稿: しゅりんちゅ | 2020年9月19日 (土) 13時47分
houさん。
あー、はいはい。
貴方の中でだけではそういう論理立てなんですよね。反論も異論もやってるんだぁ!ですか。
しかし誰も認めていませんよ。あまりにもコミュ障です。
あまりにも下らない。何故なのか今日も言いましたよね。
ついでにろくに他人のコメントも読まずに沸点低すぎて条件反射で食い付いてくる幼稚さ。
こちらのブログ主は優しく接してますが、過去にも強く警告されていますけど。。
投稿: 山形 | 2020年9月19日 (土) 15時05分
この数年間私は三橋氏の唱える積極財政派であり、反緊縮財政派であり、MMT理論の賛同者でもありました。が、しかし今は、その考え方に揺らぎが出てきております。
国の財政赤字は増え続けるでしょうし、それでも財政破綻にはならないとは思うのですが、気になるのはGDPが思うほどには増加しないという事実があります。GDPが増えないことは、国民の所得が増えないことに直結しますね。GDPを増やすには積極的に国であれ企業であれ誰かが投資をしなければなりません。国が投資をするというのは国債を発行し事業を起こすことでしょうが、MMT理論に基づきどこまで国債を発行していいのかが良く分からないのです。 そのような訳で、またその他の理由もあり現在は三橋氏の理論を少し離れた位置から今後の展開を見つめていきたいと思っております。
今日のフロント記事に戻りますが、議院内閣制の首相も強い権限があるのだというのはおっしゃるとおりです。しかし、その強い権限も行使できる者とそうでないものがある(属人的)というのもそのとおりでしょう。菅さんは強い人だというのが大方の評でもありますね。私は多くの皆様とは違い、最近の安倍さんは見限っておりましたので、菅さんが強い宰相として安倍さん以上の成果を上げてもらいたいと期待します。過度の親中にならず、減税方向に行ってもらいたいし、規制緩和を実践し経済刺激をしてもらいたい。
投稿: ueyonabaru | 2020年9月19日 (土) 15時10分
本来持てる総理大臣権限をフルに用いれば、米大統領にもまさる権力を行使できるハズなんですよね。
そして、その権限を抑制的に疎外して押し込めて来たのが自民党の伝統です。結果として、それが日本国全体の停滞を招いた重要な要因でもあります。
久しぶりに三橋氏のYouTubeチャンネルを見ましたが、彼は総理大臣を「空虚な器」と表現しています。
本来、総理大臣は本来「空虚な器」などではない事はたしかで、もしそう見えていたのならば、多くは党内勢力関係や公明党との協力関係によるものです。
ところが、人事を詳らかにみると面白い事がわかります。
私は、どうやら党全体を掌握しているのは二階幹事長ではなく、むしろ菅義偉総理なのだという印象を強く持ちました。
たとえば外務副大臣人事などがそうで、新潟二区の公認をめぐるドタバタに決着を着けたい二階派が鷲尾英一郎を出し、しかし宿敵の竹下派からうるさ型の宇都隆史を同時に任命するなど、二階の思惑はをこの一例だけでなく外しています。
世間では「派閥均衡人事」などといいますが、突出しようとする二階を抑え込む事に概ね成功していて、この事が首相の党内求心力を保つ源泉になる事はあきらかです。
重要なのは、首相が持つ本来の権限を発揮させる要点を菅総理が理解し実行している点です。
この点、安倍総理でさえ「ちょっと甘ちゃんだったかな?」と思わせるほどの凄腕と見ました。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2020年9月19日 (土) 17時23分
私の言っている事が三橋氏や藤井氏と同じであるという見方が出ていますが経済政策について一部賛同できる点はあるものの種苗法改正の件でも彼は陰謀めいた事しか言っていないので基本的には支持していません。彼は外資の陰謀だとかグローバリズムの陰謀だとか適当に敵を作る言説しかできないのでそういう意味では彼の方が空虚であるともいえます。
投稿: hou | 2020年9月19日 (土) 20時50分
ueyonabaruさんが言う通り財政赤字が増えてもGDPが伸びていないのではないかという言説は正確には正しくないと思います。財政赤字増大の要因は社会保障費が急激に増えたからであり、それはGDPにはほとんど寄与しません。GDPに寄与するのは公共投資や民間に対する投資系の国債発行です。特に公共投資については平成10年以降減少傾向にあり半減しています。国債発行して経済成長をする鍵は新規国債を対前年比でどれだけ発行し、国債を使って投資を増やしたかです。バブル崩壊以降確かに財政赤字は増えていますが新規国債は対前年比で数兆円程度しか増えていません。教育投資、防衛投資、研究開発投資、防災投資、インフラ投資など国家がやらなければいけない事業はたくさんあります。
投稿: hou | 2020年9月19日 (土) 21時26分
新型コロナ対策においては、自称リベラル勢が盛んにやれ!と主張した人権制限を実行できるような権限など何も無かった首相ポジションですが、仰る通り、憲法に保証された権限をフル活用するならばψ(`∇´)ψ
法務大臣政務官に小野田紀美議員を充てるとかも、菅首相なかなか腹黒くてニヤリとさせる人事です。
法務省はもちろん、小野田議員も試される、試されて伸びるかどうか。
二階幹事長のことは、前にも言いましたが、選挙から中共観察までフルに使い倒せばいいんですよ。
だって中共に対決姿勢一辺倒であたっても、それで起こり得ること全てを日本1国で引き受けられるわけでは(残念ながら)ないですからね。
二階幹事長をころがしつつ、退場させられた経産省トリオが今後ビーチ前川化してマスコミと結託した場合も、イソコ扱いの上手さ以上の手腕を期待しますし、我々の側もより賢くなっていきたいものです。
投稿: 宜野湾より | 2020年9月19日 (土) 22時42分
二階氏もこの状況下でよく平気で習近平来日を望む発言をするなあ、と逆に感心します。
朝日によれば
習氏訪日の際には、新たな日中関係を定義する「第5の政治文書」が必ず結ばれるはずだったと指摘。「世界の平和と繁栄を日本と中国が中心となって共に成し遂げる、いわゆる『共創』という決意を固めることになっていた」と明らかにした。
彼の真意がどうであれ、こうやって明らかになればなるほど国民がドン引きして文句をネットに書きまくり、習近平訪日の実現性も中国共産党との距離も遠くなる訳で、喜ばしいです。
二階氏のアドバルーンに応じて全国からマスク支援を競った1.2月とは、官民共に意識が変わりつつあることを、彼自身が敵役として振る舞いながら内外に見せてくれています。
投稿: ふゆみ | 2020年9月19日 (土) 23時57分
houさん。あなたは毎回記事テーマとは無関係なことを延々と議論しています。
もう少しかみ合った議論をしてもらえないでしょうか。
私は今はマクロ経済政策について議論する気はないのに、それを理由にしてダメだダメだ、自民は緊縮派と積極派で分裂しろなんてこと書き込まれるとね・・・。
しませんよ。自分が推す政策を軸に二分法で分けてもしょうがないんです。この対立軸はいくつもありますから。
たとえば反中か親中かみたいなことでも、麻生氏は反中気味でありながら積極税制消極論なようにひとりひとりがかぶっているし、そんなに明確でもないのです。
だから自民は、さまざまな意見を吸収するスポンジみたいな融通無下な部分がある党なのです。
いつも右から左まで全部いて、積極財政派も緊縮主義者もいる、親中も反中もいる、河野(父)から河野(ジュニア)までいる、かつて民主党政権を作った政治的愚者たちはことごとく元自民党です。
そんな綱領なき党が自民党という政党なのです。選挙互助会といえばそのとおりですが、民主党系諸雑派とちがって堅牢ですから、そうそう簡単に割れません。
綱領がない代わりにあるのが派閥です。あるていどは主義主張でまとまっていますが、二階派に長島さんがいるようなこともよくあります。
誰かがうまいこと言っていましたよ。「自民は日本そのものだ」って。だから強く、だから弱いのです。
こういうあいまいな路線がどこまで今の米中衝突局面で通用するかどうか、11月の大統領選をみてからにしましょう。
あなたの大統領的首相なら財務省を解体しろっていうご意見には、苦笑しました。(ごめん)
あの食えない菅さんがやるわきゃないじゃん。
財務省解体論は、リフレ派の大目標のひとつですし、私もできたら二つに分解して普通の官庁にするべきだとは思っていますが、きみのように出来たばかりの菅政権がそんな本丸攻撃をいきなり敢行すると思います?
あの人は政界有数の超リアリストですよ。そんなことをするほど青くはない。
やるなら(やらないかも知れないが)巨大官庁の力を削いでいってからやるでしょうね。
今はコロナ財政拡大で積極財政に融和的ですから、コロナ以降の時期が焦点でしょう。今じゃないことだけは確かです。
あなたの意見は自分のものさしだけで世間をバサっと斬っているようです。もう少し現実を見たらと思いますが。
総じてあなたの意見は、勉強好きの人にたまにある観念論なのです。
観念でバサバサ斬っているだけだから、非常によく見える眼を持った気持ちになるかもしれませんが、観念の空回りになってしまますから注意して下さい。
山路さん。私も補佐官人事などみても、菅氏が二階を幹事長として寓しつつ、実は「飼い殺し」を図っているようなきがしています。
ふゆみさんが言うように、いまになっても習訪日をいい、政治文書の取り交わしがあったのにと泣き言を言わせているのは、おっしゃるとおり訪日路線がいかに馬鹿げたものかをあから様にするものです。言動を注意するより、言わしておいて浮かせるのが菅さん流なのかもしれません。
投稿: 管理人 | 2020年9月20日 (日) 02時50分
自民党が管理人さんの言う通り融通無下な集団であることは私自身よく理解しているつもりです。出来れば執行部と若手が話し合いの場を持って円満解決出来たらそれで良いと思ったこともあります。ただ執行部が自らの過去の行いについて疑うという姿勢が見られない、消費税についても今まで先人達が苦労して上げたのだから下げられませんとか政策の合理性よりも過去の苦労を美化しようとする今の自民党執行部に戦前の帝国陸軍と同じ空気を感じてしまったのです。これは消費税に限らず自民党における様々な意思決定のあり方が機能不全になっているのではないかという危惧です。それは単に意見の違いがあるとか言う次元を超えてこの政党でまともな議論が本当に行われているのか、事後的な検証が行われているのかということです。一度決めてしまったんだからもう変えられないのだとか安易に陥らないような意思決定を作るのが政治の役割であり戦前の歴史への反省であったはずです。私が財務省の人事の問題に言及したのも一つの組織が腐敗し、ミスを続けるのであれば外部の空気を入れて換気するのが政治の仕事だと思っているからです。管理人さんはそれをリアリズムではないと鼻で笑っているようですがそれこそが政治の本質でしょう。今までの考えが通用しないのだから異端と呼ばれる考えを採用するのも政治の役割です。そういう人をトップが指名することがリアリズムではないと言うのもよく分かりません。すでに世論や自民党の党員であっても財務省の権威は公文書の問題失墜しているわけですから異端の考えを受け入れやすい空気はすでに出来上がっていると思います。管理人さんの言うように日本は衆愚性を危惧して国民から直接トップを選ぶ大統領制の仕組みにはなっていないですが総裁選において党員票の割合を増やしたり、幹部や執行部を事実上党員が選べるような仕組みを作ることは大事だと思っています。例えば税調会長を党員票で決定するなどの仕組みを作ったらどうでしょう。そうすれば細かい民意を反映することができるのではないでしょうか。党を割れという私の意見が率直に乱暴だったことは認めます。ただ自民党がもう少し風通しの良い政党になって貰わないと党を割らざるおえないという意見が出てきてしまうのは仕方ないと思います。
投稿: hou | 2020年9月20日 (日) 13時22分
管理人さんへ
誤解があるようですが財務省を解体しろなどと私がいつ言ったのでしょうか。私は財政政策に理解がある方を人事に据え、財政法4条を改正して積極財政に転換してくれとは思っていますが財務省という組織自体を解体しろなどと申し上げたことは一度もありません。だいたい財務省という組織の中にも様々な考え方があります。本田悦郎氏や高橋洋一氏のように財政に理解がある方もいます。財務省の問題を省庁再編の問題と絡めてくれなどと言ったこともありません。そこに膨大な時間と労力をかけることも非現実的であることも理解しているつもりです。
投稿: hou | 2020年9月20日 (日) 15時00分
失礼、houさん。あなたのは
「それくらいの強い権限を持つのであれば財務省の人事をデフレ脱却路線に変えて頂きたいです」だった。
けどこれって、財務官僚にとって、財政再建主義を省是とし、執念深く増税を進めてきた総本山の財務省にとって解体しろと言われたも同然なんですが。
それとよくあなたは「新自由主義」という三橋さんらが濫用する表現を使うが、携帯業界の寡占状態に挑むのも「新自由主義」なんかね。
携帯のみならず、テレビなどの地上波の寡占にも繋がるわけで、まことにけっこうな政策だとおもいますがね。
正しく自走競争を促進させるのを批判がましくいわれては困ります。
ところでこの議論このくらいに。テーマからどんどん逸れていってきりがない。
投稿: 管理人 | 2020年9月20日 (日) 15時52分
財務官僚が緊縮にこだわるのは財政法4条があるからであり財政再建が目的ではありません。
投稿: hou | 2020年9月20日 (日) 16時17分
hou氏へ。はいはいそうでしたね。だからなに?
そもそもここはそんなこと議論する場?
私、止めろと管理人として言わなかった。
どうしてこうもマナーをまもらないのか。
自分の関心事にこだわってばかりいて、しつこい。しつこすぎる。
皆様。今後、この私も含めてですが、hou氏の言説は無視して下さい。私も無視します。
hou氏、あなたのようなタイプにははっきり言っておいたほうがいいようなので、大変に迷惑なのでもう来ないで下さい。
投稿: 管理人 | 2020年9月21日 (月) 00時25分
houさんは、菅総理が緊縮財政派である根拠として「財務省の人事の問題に言及した」のであって、それに有効な反駁を加えられると今度は、「一つの組織が腐敗し、ミスを続けるのであれば外部の空気を入れて換気するのが政治の仕事だと思っているから言及した」のだと、立論目的を自分の都合に合わせて後変更します。
また、「財務官僚が緊縮にこだわるのは財政法4条があるからであり、財政再建が目的ではありません」などと言いますが、これはいわば逆撞着語法的で言語矛盾の一種です。
財政法4条はまさに「借金による財政を規律するための条項」であり、財務官僚にとって「財政再建」は「財政法4条」の根拠であり、両者は分かちがたく一貫した同一の概念中のものです。
このような詭弁はhouさんの言論中には何度もみられ、およそこんなものに騙される本ブログのコメント者たちではないとはいえ、議論の相手方として全く不適切です。
ブログ主催者としての「コメント禁止」、もしあった場合の「無視通告」を支持します。
投稿: 山道 敬介 | 2020年9月21日 (月) 05時27分
「財政再建」は「財政法4条」の根拠 ×
「財政法4条」は「財政再建」の根拠 〇
以上、訂正します。
投稿: 山道 敬介 | 2020年9月21日 (月) 05時31分
ついでに、何かネームも変に変換されてました。
正しくは「山路」です。あしからず。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2020年9月21日 (月) 05時33分
安倍晋三空虚な器その通りです。
投稿: | 2020年9月22日 (火) 20時52分
山路路介氏は典型的な安倍信者です。
投稿: | 2020年9月22日 (火) 20時55分
上の名無しさんへ
私を「安倍信者」というからには、「信者」という言葉の定義上、私が安倍前首相のやった事を100%肯定していた必要があるでしょう。
しかし、私は安倍さんの政策の70%くらいは気に入らないので、「信者」という語句は当たりませんね。
例えばアイヌ政策とか、働き方改革とかですね。
しかし逆に安保法制だけじゃなく、特定秘密保護法、改正外為法、不正競争防止法、テロ等準備罪など、戦後自民党が70年かかって成し得なかった偉大な成果を残しています。
憲法改正こそ成し得なかったですが、喫緊の課題として見た場合、これらは実は憲法改正よりもさらに重要だったと思います。
したがって、安倍政権が「空疎な器」だったという言い分は事実に反します。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2020年9月23日 (水) 00時16分
くだらない、しかもHNもつけない荒らしがありましたが、山路さんが応えたのでそのままさらします。
それにしても「安倍信者」ですか・・・、なにを今さら、しかしそれにしてもいまや懐かしい。
いままで「アベ信者」なんていう無内容なレッテルをつければ、ナニか言った気になれるというのどかな時代だったんですね。
菅さんになってもうその手かつかえずに残念でしたね。ま、少しはものを自分て考える習慣が身につけばいいんですが、こういう人は無理だろうな。
投稿: 管理人 | 2020年9月23日 (水) 00時48分
管理人より
HNが ないコメントは原則、削除します。HNは必須です。
投稿: 管理人 | 2020年9月26日 (土) 05時50分