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2020年10月

2020年10月31日 (土)

山路敬介氏寄稿 菅新時代に期待する日本と沖縄の「普通の関係」

 185-280

                                  菅新時代に期待する日本と沖縄の「普通の関係」
                                                                               山路敬介

表題の内容に入る前に、最近のトピックから三点ほど手短に取り上げます。
まず、10/22に岸防衛相と面談した際にデニー知事が要望した「日米両政府に沖縄を加えたSACWA(サコワ)なる協議機関を作る」こと、「那覇軍港の浦添移転前の前倒し返還」の二点について。

岸氏はかような要望を十分予期していたか、あるいは事前に伝えられていたかのように完璧な「ゼロ回答」ぶりで返しました。
茫洋としてジックリ方の印象のある岸防衛相ですが、無駄なものは持ち帰らない実務型の頭の回転の早さをうかがわせる対応ぶりです。
地方が外交にたずさわる事は憲法の予期しないところであり、沖縄県は「国民の負託」を受ける立場にないので、「国民主権」の侵害にも等しい愚案です。
妙な団体が「民間外交」なる活動を標榜していますが、「民間の活動を外交に反映させよう」という主旨の比喩であるならまだしも、二元外交を目指したテーマ設定をしている事は明らかです。

ああした団体の意見を入れて、これをマジメに政府に要望してしまうデニー氏の知事としての未熟さにはドン引きします。
また、「那覇軍港」は沖縄県側の論理では「使用されていない施設」=「不要な施設」ですが、軍事的には作戦に資する重要な施設です。一朝有事の際には、位置的にきわめて重要な役割を担う事が想定される施設でもあります。そのため「那覇軍港の設備・施設が代替え施設に移転したのちに引き渡される」と明文的にもなっており、空白期間は許されません。

三点目は辺野古工事に関連して、防衛局が県に提出した設計変更許可に関する件です。
軟弱地盤に対応した設計に変更するためのものですが、沖縄県側はこれを引き延ばしたあげく「不許可」とするでしょう。こうした状況を想定して、下地幹郎議員はかつて「辺野古工事は完成しない」と予言しました。
また、二紙の報道によれば「防衛局は設計変更許可後にむけて、すでに関連業者との資材調達や工事契約に着手」しています。

「埋め立て許可」を得た権利者が変更許可前に工事そのものの着手以外の準備をする事は通例であり、何ら禁止されているところではありません。
また、県が許可を恣意的に降ろさない場合はどうなるのか? その場合は、法を所管する国土交通大臣の判断にゆだねられる事がこの間の一連の訴訟で確立しています。政府は大田知事時代の楚辺通信所(通称、ゾウ檻)問題の時にあったような「強い権限」を行使する事なく、よりマイルドな方法で工事を進める手段をすでに確立しています。これは最初に訴訟を提議してくれた故翁長前知事のおかげでもあります。

デニーさんは岸防衛相との会談の最後で「普天間飛行場の、一日も早い危険性の除去に早急に取り組んで欲しい」と要望しましたが、これは何やら暗示的にも聞こえてきます。
普天間の危険性の除去のためには辺野古への移転が唯一無二の道であり、これは最高裁判決で確定しています。したがってデニーさんの要望に沿うならば、辺野古工事の一刻も早い進捗こそが「一日も早い危険性の除去」に資する事はあきらかだからです。
萩生田現文科大臣の語彙を借りれば、国と県との対立はまさに「田舎のプロレス」という感想を禁じ得ません。辺野古核心的反対派から見ても、「出来合いのレース」化している状況を深刻にとらえているようです。
県の目下の関心事は辺野古問題などよりも、昨年5月に発足した沖縄発展戦略有識者チームでの議論を活発化させるなど、第6次振興計画に向けた素案づくりの方です。

 

長くなりましたが、ここから本題です。菅総理がいうように「沖縄振興と基地問題はリンクしている」のは自明であり、国防の根幹たる日米同盟に基づく米軍基地が存在する事による「沖縄優遇」がある事は誰の目にもあきらかな事です。昨今の日本を取り巻く安全保障環境からは、ますます米軍基地の存在意義を増す要因になっています。
しかし、そうした沖縄振興策という名の「沖縄優遇」が正しく行われているのかどうか、国民の目から見て行き過ぎていないのか。
また、一県民の立場の私から見て「つかみ金」化している沖縄振資金がもたらす弊害が大きくなっていると言わざるを得ない状況をどう見るか。

一例をあげれば、沖縄にいくら金を突っ込んでも貧困率が下がらない事が、その「失敗の証左」となっているでしょう。
内閣府は21年度末にせまる第5次振興計画の終了にあたり、河野太郎沖縄北方相を中心に沖縄振興予算を根本的に見直す方針を示唆していて、すでに県内市町村から意見聴取するなどしています。

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河野氏と沖縄知事、和やか会談 裏に潜む首相の強硬姿勢 - 沖縄:朝日

振興予算の無駄削減や、計画の裏付けとなる沖縄振興特別法の見直しの検討材料にするようです。法的な問題が生じるかもなのでわかりませんが、振興策を県を経由しない市町村単位で細かく行う感じもします。
いづれにしても、菅総理が十年に一度のこの機会に河野太郎という切り込み隊長を持ってきた意味は深長です。そして、安倍首相が仲井眞元知事に約束した振興予算3000億円代は、第5次振興計画内までの期限付きなのです。

くわえて今の県庁には、政府を動かすだけの次の十年間の振興策を策定する能力に欠けています。お手盛りの有識者会議の議論においても、ピントの外れた意見や具体性のない抽象的な案や「べき論」が多すぎ、最終的にまとまるのかどうかすらも疑問です。
それと、同じ国とは思えない沖縄県に対する「減税天国」みたく政策はやめるべきです。この事は別の機会にまとめて書きたいと思いますが、一例だけ上げます。

たとえば沖縄県の酒税20%減免措置などは、ただちにやめるべき筆頭です。「残波」で有名な比嘉酒造が役員の退職金に20億円を支払った事が、国税から申告漏れとして指摘された報道がありました。会社の規模や社員数など、売り上げ実績を考慮しても、あり得ない退職金額です。
このような会社に酒税20%減免など、およそ国民の納得するところではないでしょう。しかしながら、個別に弱小蔵元を地元文化として守る事は別に必要かも知れません。その場合は市町村がその役割を担うべきで、国の任ではないはずです。

統計はありませんので異論もありましょうが、税に関していえば、県内企業に対する「税務調査」に入る機会は本土より少ないです。税務調査の機会は業種によってまちまちですが、創業20年の企業が一度も税務調査を受けた事がないなどという事が沖縄県では結構あります。
役所の感覚では、法によって優遇されている事実から職務執行をその延長線上にとらえる向きがあり、それが調査数の少なさに結びついていると思います。

さらに問題なのは、振興資金の投下なり税制優遇なりが貧困の解消に結びつかない事です。
非正規雇用者の多さも問題です。沖縄県は経済学で言う「トリクルダウン理論」(大企業や富裕層の支援政策を行うことが経済活動を活性化させることになり、富が低所得層に向かって徐々に流れ落ち、全体の利益となる」とする仮説)が実現しにくい社会なのです。
沖縄の既存の経営者は振興策や税制優遇によってうるおいますが、その富は経営者層によって蓄積されてしまいます。原因は地理的要因などいろいろありますし、雇用者側の意識の問題もあります。ですが、むしろ振興策が持つ物と持たざるものとの間を固定化して分け隔て、社会的流動性を失わせている側面は見逃せません。

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子の貧困率、沖縄37%最悪 12年全国の2・7倍 - 琉球新報 - 沖

私なりには沖縄の古い経営者層こそがガンだと思っていて、もっと本土からの投資を呼び込む政策が必要だと考えています。先ごろオリオンビールの買収が行われましたが、そもそもオリオンビールは酒税減免措置がなければ立っていられない会社でした。
その割に優良な資産も所有していて、それを活かす能力もなければ動機もありませんでした。オリオンビールはブランドとして残せばよく、所有資産の有効活用を通じて新規業態への進出をし、本土式の雇用による機会が増える事になれば良いでしょう。

こうした根本問題にこれから菅政権がどこまで切り込めるのかわかりませんが、少なくとも細かく意見を聞いて、これまでの振興策の検証をつぶさにしている点は評価できます。
沖縄の古くて悪い風習を維持するための振興策はやめ、企業は日本の常識が通用する変革を自らすべきです。かつ本土の資本が流入しやすいように誘導しつつ、古い体質の経営者には退場をねがう事が県民全体の幸せにつながります。まずは沖縄を普通の他の県同様に考え、日本と沖縄の関係性をリセットする事が大事だと考えます。

                                                                      文責 山路 敬介

                                                                                                      了

 

2020年10月30日 (金)

山路敬介氏寄稿 下地幹郎議員の彷徨その2

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                                             下地幹郎議員の彷徨 その2
                                                                                 山路敬介

承前

ある経済界の重鎮は「(これからの沖縄を考えた場合)、しもちゃん、すがちゃんと呼び合うような関係性を活かすべき」といいます。沖縄タイムスの報道では、複数の関係者の話として「近日中に「復党願い」を提出する予定」としています。

そうした報道を受けて沖縄自民党は、さっそく激しい拒否反応を示しました。「しもちゃん、すがちゃんの仲」は下地議員自身も言っていた事です。
しかし、維新を除名になった下地議員を菅総裁が自民党に拾うハズがありません。
あり得ると知れば二階幹事長経由でしょうが、地元の一区支部をはじめ沖縄県連は真っ向から大反対です。県連は先手を打って、自民党本部に対しても反対の主旨報告をしています。

それを受けて下地氏はツイッターなどで「(復党願い提出は)事実無根」と訴えていますが、下地氏の周りがかねてそうした働きかけをしているのは事実です。「維新の比例復活」というバッファーを失った現在、このまま衆院選に突入しても当選の可能性は皆無だからです。

県連が大反対する理由は明快です。かつては自民党に籍がありながら他党候補を公然と応援するなど、目にあまる反党行為があったからであり、中国企業からの不正な金銭授受を受けた事に対する禊ぎが済まないうちに復党させる事などあり得ません。
選挙による「禊ぎ」を自民党に復党してかなえようとする魂胆は通用しません。

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当選したての翁長前知事にすり寄りをみせ、国民新党ではクーデターまがいの騒ぎも起こしました。良し悪しはともかくとして、下地氏の政治的思惑は一つとして成功した試しがありません。
せめて一貫した理念を感じさせる行動ならばいいですが、「なぜそうするか?」が見えないケースが多すぎました。彼の中の「保守」は常に混乱しているのです。

辺野古移設に関して、当初は頑強な嘉手納統合案論者でした。汚職でクビになった守屋元次官とも親しく、国民新党時代はシュワブ陸上案に変わりました。翁長氏が知事に当選すると、今度は「辺野古への移設は事実上不可能」と言い始めました。
維新に入党する頃には「辺野古容認派」にすっかり様変わりしています。意見の変更を咎めるつもりはありませんが、彼の置かれたポジションと風向きで主張を変えるクセは如何ともし難いものです。

下地幹郎氏はかつて、若くして小渕内閣当時の沖縄開発政務次官でした。國場氏はもともと公明党の定位置だった議席を受け継いだ事から、最後まで辺野古移設に反対していた議員です。
宏池会にあって、分けてリベラル的でもあります。小渕恵三氏元首相時代や宏池会隆盛の頃はそれでよかった政策でも、激変する現在の日本を取り巻く安全保障環境には対応できません。その最前線が沖縄です。

沖縄自民党からは、そうした時代の変化に対応できない翁長派の離脱があり、それが返って有効なデトックス効果(※)となりました。未だ県議会多数を取れてはいませんが、あと二議席かそこらの差にまで詰め寄っています。
また、かねひでの呉屋守將氏など「オール沖縄」から経済人が離れつつあります。いまさら下地氏を再入党させる意味はありません。
※毒素を排出する効果

「下地幹郎=菅総理ライン」などは、同期当選者のよしみに過ぎません。
菅総理にとっての沖縄は仲井眞弘多県連最高顧問(元知事)こそが心から尊敬する対象であって、そこに繋がるチーム沖縄(保守市長会)は打ち続くきびしい選挙を共にした「同志」です。石垣市の念願である尖閣調査を俎上にあげたのも、こうした背景に依ります。

下地幹郎氏は「自分の政治の師は(故)山中貞則氏だ」と言います。いうまでもなく、あの時代の沖縄と本土との山中的関係性は古びて使い物になりませんが、下地氏が自分の「師」と言うならば、本当には徳田虎雄氏の方ではないかと思います。
政治家になり立ての若い頃の下地氏は、その立ち居振る舞いまでが徳田虎雄氏を意識したものだったと記憶します。徳田氏の政治家人生は終わりまで波乱万丈なものでしたが、良くも悪くも立志伝中の人です。
対して少年時代の下地氏を思い出す場合、政治家になってからのスタイルとは180度違います。今の下地氏を形成した原体験はどこにあるのか、そういう事も不思議に思います。


                                                                                                                    次回終了

2020年10月29日 (木)

山路敬介氏寄稿 下地幹郎議員の彷徨

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                                                下地幹郎議員の彷徨
                                                                            山路敬介

下地幹郎衆議院議員は沖縄県宮古島市の出身で「中堅」とされる政治家です。選挙区が違いますが出身地という事で、宮古でも一定の熱いファンをもっています。
普天間の辺野古移設問題など沖縄問題がクローズアップされるたび、沖縄保守派の代表格として本土マスコミに登場する機会が多く全国的に知名度もあり、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

私自身も本土から宮古島に来られる方と話すとき、下地氏の動静を尋ねられる事が少なくありません。ただ、宮古島市においても政治的には常に主流派的扱いを受けて来なかったし、普段から話題に上る機会も少ないので返答に窮してしまいます。
率直に言って下地氏はパフォーマンス型の政治屋であって、政治家としての内容には乏しいと言わざるを得ません。「沖縄のキーマン」とか、マスコミは彼を過大評価し過ぎです。

たとえば地元でも「宮古病院の廃院を防いだのは下地氏の鶴の一声による」だとか、支持者の市内某葬儀屋の業容拡大は「下地氏の口利きで制度資金を優先利用できたから」などと噂される事がありますが、良くも悪くもそうした事実はありません。
また、以前のアゴラ言論で新田編集長の「下地氏が中心的役割をになって維新の全国展開を図っている」ような記事を見かけましたが、そういう大事を松井代表が下地氏に託すはずもありません。
東京の音喜多氏が維新に入党するさいの口添えになったのは事実でしょうが、維新の東京進出戦略と身ぎれいな音喜多氏の需給がマッチしただけであって、下地氏が趨勢を動かしたという事ではないでしょう。

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その下地氏は中国系企業から不正に金銭の提供を受け、かつ政治資金報告書にも記載していなかった科で、維新を除名された件はご存知のとおりと思います。
下地氏は前回の衆院選では三位となり、事実上の惨敗を喫しました。翌日の明け方近くになって、ようやく比例復活当選が確定しましたが、二位の国場幸之助氏との差が二万票あまりと凋落ぶりを印象づけています。

ここのところの沖縄二紙において、下地氏の沖縄一区での去就が取り沙汰される記事が出ています。
発端は前回選挙でトップだった赤嶺政賢氏(共産党)に数千票の差で敗れた国場幸之助(自民・比例で復活当選)の経済界応援団の側からありました。
保守一本化して次回の選挙にのぞむべき、という主旨です。

その事は一見して「下地おろし」と取れなくもありませんが、実態は下地氏の救済措置だとする見方が正しい認識です。
なぜならば、一区からの立候補を断念させる見返りとして、自民党への復党を認める事がセットだからです。側聞するところでは下地氏を自民党公認で他区から、あるいは参院選にはめ込む案を言う向きがあるのです。

 

                                                                                                                                    続く

 

2020年10月28日 (水)

国連が世界の市民監視機関となる日

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菅総理の見事としかいいようのない所信表明演説がありました。
よくもまぁあれだけ理路整然とやるべきことを述べたものだと思います。
さぞかし官房長官時代に書き留めておいたノートが何冊もあるのでしょうね。
インデックスだけで、そこらのシンクタンクの出したものなんか足元にも及びません。優秀な官僚を引っこ抜いているだと思います。
具体的には引っ掛かるものもいくつかありますが、これを立憲みたいに「中身がない」なんてよーいえるもんです。
中身がスカスカなのは、あんたらの頭のほうです。これだけ具体的に言っているんだから、個別具体論で批判したらどうなんです。
逆に細かく書きすぎていてグランドデザインが見えなくなるほどなので、今日は置きます。

さて昨日、中国は国連を換骨奪胎して中国の機関に変えようとしていて、それが8分どおり成功しつつあることまでお話しました。
中国と国連は大変に体質的に相性がいいのです。
中国は前世紀から始まるグローバリズムの果実を最も沢山受け取って、今や調子に乗って世界支配をしようとしています。
ま、いま高転びにコケかかっているのですが、それはともかく中国は世界的なグローバリズムがなければ存在しえなかったことでしょう。
そして国連もまた、「国境なき世界」を目指すという意味で、グローバリズムの発想をとっています。

中国は長期的戦略に基づいて国連を乗っ取ろうとして、西側諸国の無関心に助けられて成功しました。
それはただ人権理事会やWHOなどで中国寄りのことを言わせるだけにとどまりません。
むしろ、中国がほんとうにやりたかいことは、国連を積極的に世界支配のツールに活用することです。

こう書いたからといって、国連軍を中国軍の指揮下に置くなんていうことではありません。
まぁ、完全に国連を支配すれば国連憲章に従って常備軍として国連軍を置き、その指揮権を中国が握ることもまんざら不可能ではないかもしれませんが、それは米露が覇権国から滑り落ちた場合にのみ可能ですので、まだまだ先のことです。

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WSJ 上海の監視カメラ。中国は世界一の国民監視網を構築している。

今の段階で中国が考えていることは、ビッグデータの収集に国連を使うことです。
中国はビックデータを一手に押え、それに基づいて一帯一路政策に乗せて世界の隅々まで行き渡る監視網を作ることを目指しています。

中国はその布石を着実に打っています。クローディア・ロゼット(米ハドソン研究所非常勤フェロー)がウォールストリートジャーナルに寄稿した『『監視網拡大に国連を利用する中国』 は衝撃的な内容です。

「米政府が中国政府への情報の流れを制限しようとしている一方で、ニューヨークの国連事務局は、中国政府と協力して、世界規模の合同データハブを中国国内に構築しようとしている。この計画では、国連加盟諸国のデータを分析するための研究センターや、中国の偵察衛星の高い能力を活用する地理空間情報の研究センターも設けられることになっている」
(ウォールストリートジャーナル 2020 年 10 月 8 日 )
https://jp.wsj.com/articles/SB10376991142537874311504587023251947032494

ゾッとしました。中国政府と国連事務局が、加盟各国のデータ収集のセンターを中国国内に作るというのです。
これは米政府が中国政府への情報の流れを制限しようとする流れに逆行し、中国政府と積極的に協力して世界規模の合同データハブを中国国内に構築しようとしていることになります。

この国連経済社会局の肩書で契約の署名をしたのが劉振民事務次長などの中国人2名、この人物は中国政府から送り込まれた出向者です。
中国側は寧吉喆国家統計局長が署名しています。
なんだ、双方とも中国の官僚じゃないですか(笑)。

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中国国家統計局・寧吉喆局長 

「中国国家統計局の寧吉喆局長と国連経済社会局の劉振民事務次長は2019年6月に上海で面会した。そこで2人は、「国連―国家統計局ビッグデータ研究センター」というタイトルの覚書に署名した。その目的は、「中国の官民セクターと協力し」、ハイテク分野における中国の手法と専門知識を利用することにある。この組織は、簡単に中国にとってのグローバルな情報ネットワークになり得る」(WSJ前掲)

 国連経済社会局の建前では、このプロジェクトについて歯の浮くような美辞麗句を散りばめています。
いわく、貧困なき持続可能な社会を作りのためのプロジェクトのために、ビックデータを収集する世界の合同ハブを作る、ということのようです。

「公式には、この計画の目的は、データへの依存度が高まりつつある国連のさまざまなプロジェクトを円滑化、強化することだ。この中国と国連の複合組織は、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」のマスタープラン(基本計画)と一体化される予定だ。同アジェンダは、貧困の根絶、「平和と公正」の実現など17の「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成を目指している。必要データの収集で困難に直面した国連は、193の加盟国と傘下の多様な機関、部門、計画を網羅する情報発信能力の向上と基準統一の取り組みに乗り出している」(WSJ前掲)

これには加盟国すべてと国連すべての機関が網羅されて、データの基準を統一し、それを一括して中国国内の浙江省に置くというのです。
「デジタル共産主義国家」である中国は、世界有数のハイテク監視国家でもあります。
中国は、この計画を喜んで支援してしているどころか、この世界のビックデータ共同ハブ作りを構想したのは、この中国です。

これについて習近平が国連総会演説で、チラっとしゃべっています。

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「中国共産党のトップである習近平国家主席は9月22日、バーチャル形式となった第75回国連年次総会の一般討論演説の中でこの合意を発表した際、「国際問題に関して国連が中心的役割を果たすのを支援する」と約束。「中国は国連の地球規模地理空間情報イノベーションセンターとともに、2030アジェンダの実施促進に向けた持続可能な開発目標のためのビッグデータ国際研究センターを中国が開設する」と宣言した」(WSJ前掲)


この習演説のかなり前から、その場所は中国国内に置くことは選定済みであり、この国連経済社会局は事務総長の直轄機関ですが、このトップは2007年から一貫して中国が握っています。

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劉振民事務次長

この劉振民事務次長も中国外務次官の要職を努めており、朝鮮関係などを扱っていたようですが、この大物を国連事務局に送り込んできました。

「 [新華網] 国連6月10日 国連のグテーレス事務総長は8日、中国外交部の劉振民副部長を現職の呉紅波副事務総長の後継として、国連で経済社会事務を担当する副事務総長に任命したと発表した。呉紅波副事務総長は今年7月31日に任期が満了する」

「国連の文書によれば、何十もの国連関連機関が中国の同構想を支援するための合意書に調印しており、その中には世界銀行、国際通貨基金(IMF)など国連の15の全専門機関も含まれている。これら専門機関のうち4つは現在、中国人のトップによって運営されている」
(WSJ前掲)

なんのことはない、劉の前任も呉という中国人、その前も中国人、そして協力する国連関連機関15のうち4つは中国政府の出向者がトップを占めています。
いかにこの国連事務局を掌握することに中国が力を傾注していたのか、そしてそれを「国連事業」という金看板で飾ることに腐心してきたのかわかります。
この呉と劉が中国政府から与えられた使命は、このビックデータのセンターをなにがなんでも中国に持ってくることでした。

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杭州市 アリババ本社

ところで中国は文句なく世界一の監視国家です。
すでに中国では、スマホを利用したアリババ系のアリペイ、テンセント系ウィチャットペイなどの電子決済システムを利用しないと、市民が買い物ひとつできないまで浸透しています。
笑い話のようですが、乞食までが電子マネーでお恵み下さいという札をぶら下げていたとか。
すでに山間僻地を除いて7割の10億人の国民が使用を事実上義務づけられており、国民はこの電子決済システムを利用しなければなりません。
この電子決済システムを利用するためには、現預金、預金以外の資産、交通違反まで含む一切の刑事罰履歴、交友関係まで登録せねばなりません。

つまり中国政府当局は、10億人の財布の中身、どこでなにを買ったのか、どこへ行ったのか、なにを食べたのか、誰とつきあっているのかにいたるまで一切合切を掌握でき、それを随時ビックデータに収めることをしているというわけです。
そしてそれらをもとにして、AIが「社会スコア」と呼ばれる点数をつけていき、罰則を犯したり、政府が好まない発言をしたりすればようしゃなく減点していきます。
逆に政府が好むことをすれば、加算されて海外旅行のWI-FIがタダになったり、無担保でカネを借りられるといった特典がつきます。
こうしてスマホを通して完全な市民監視が可能な支配ツールが、電子決済システムなのです。

ですから、同じくように中国式電子決済システムの下に置かれている香港では、デモに行くときはスマホを持たない、集合地点に行く場合には現金で払う、連絡は盗聴されるので携帯は利用しないといったことを徹底したといわれています。

また、中国政府は国内においては、ネット検閲システム「グレート・ファイアウォール」経由で国内のインターネット・アクセス状況を管理するハイテク技術を導入しています。
当局の海外向けのプロパガンダ以外、 フェイスブック やツイッターなど米国のSNSはアクセス禁止で、いかなる政府批判もすべて探知され公安警察に踏み込まれることになります。
まさに「デジタル共産主義」社会であり、これをひな型にしてこの人権ディストピアの中国に世界中のビックデータを集積しようというのがこの国連構想です。

「習氏が提唱した国連と中国による地理空間情報、ビッグデータ情報センターは、地形、インフラ施設から人の行動に至るまで、全てのものを時間にかかわりなく全世界規模で明確に描き出すことを可能にする。中国は既に全世界レベルで膨大なデータを独自に収集したり、場合によっては勝手に盗んだりしている。しかし、国連という合法的なバッジを得ることになれば、中国は国連加盟国からのデータ取得、それらのデータ収集に関する国連の基準や規則への影響力の行使、結果の引き出し、それらを国連のシステムに織り込むことが一層容易になるだろう。そして、中国共産党による全世界を対象とする技術的独裁の企ても一段と容易になるだろう」(WSJ前掲)

中国式監視社会を世界に拡げ、世界各国の市民のデータを中国杭州市のハブに集中しようというのが、この構想です。

 

2020年10月27日 (火)

国連を支配し尽くした中国

372

トランプが期せずして日本人に教えたことのひとつに、国連信仰の虚妄がありました。
あのうるさい男が、ギャギャーとWHOを非難したことによって、日本人が国連の正体に気がついたのかもしれません。

そういえば、わが国は上から下まで「国連」ブランドを何より好み、まるで世界平和の象徴、世界政府のひな型と考えていました。
ユネスコと聞くとミューズの女神が宿りたまう神殿のように思い、ユニセフと聞けば恵まれない世界の子供を育む偉大な母親のようなものだと敬し、人権理事会といえば無条件に国際人権保護の頂点だと錯覚していました。

いまになると冗談のような気すらしますが、かつてまだかろうじて保守政治家の余韻が残っていた頃の小澤一郎が、大まじめに日本の安全保障を国連に丸ごと信託してはどうかと言ったことがあります。
それで「9条」の軍隊の保有と交戦権をクリアしようとしたんですね。
その後この男はつまらない左翼政治家に転向しましたが、それはともかく、一国の安全保障を丸投げしてもいいと考えるほど、この国連信仰は常識だったのです。

その国連は、今や中国の代理機関と化しています。
有体にいえば、国連とは中国の出先機関となり下がっているのです。
ウォールストリートジャナルは、『中国がじわり進める国連支配、その舞台裏』(2020年9月30日)という記事を、香港の国安法から書き始めています。

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新潮デジタル

「中国が今夏、香港への政治的弾圧を強めると、国連人権理事会(UNHRC)では真っ向から対立する2つの文書が加盟国の間で出回った。1つはキューバが策定した中国政府の動きを称賛するもので、53カ国が支持。もう1つは懸念を表明した英国策定の文書で、支持したのは27カ国にとどまった」(WSJ前掲)
https://jp.wsj.com/articles/SB12482633762737494654104587007092439820920

この香港国安法という世紀の人権圧殺法に対して、最も強い批判と中国に対する撤回を求めるべき国連人権理事会は、なんとキューバが提出した中国称賛案を可決したのです。

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非難決議賛成国が青、反対国が赤。
反対国53カ国の共同声明いわく

「香港は中国の切り離せない一部分であり、香港の事務は中国の内政で、海外は干渉すべきではない。
国安法は国家の立法権に属する。人権問題ではなく、人権理事会で議論すべきではない。
我々はこの措置が『一国二制度』の長期安定、香港の長期繁栄・安定に資すると考えている。
香港は中国の切り離せない一部分であり、香港の事務は中国の内政で、海外は干渉すべきではない。
国安法は国家の立法権に属する。人権問題ではなく、人権理事会で議論すべきではない。
我々はこの措置が『一国二制度』の長期安定、香港の長期繁栄・安定に資すると考えている」

これほどの悪い冗談はありません。
このような一言一句中国の主張そのままの共同声明が「国連人権理事会」の名を被って提出されるという醜悪さです。

批判提案も出るには出たのですが、それすら英国案のように「懸念」を表明するにとどまるという腰の引けたものでした。
なぜなら、最も強い批判案を出さねばならなかったはずの米国が、2年前に人権理事会を脱退していたからです。

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WSJ  2018年、人権理事会を脱退した米国の空席。

香港だけではなく、中国が公然とエスニック・クレンジング(民族浄化)を進めているウィグルに対してすら、人権理事会は沈黙しています。

「4月には、人権理事会で特定国の人権状況の調査を担う特別報告者を選出する委員の一人に中国人外交官が就任。ウイグル族抑圧や香港情勢で国際社会の追及が阻止される恐れは一段と強まった。中国は10月に5度目の理事国にも選出された。
中国は水面下の外交活動も進め、「ウイグル問題に言及しないよう国連高官らに圧力をかけている」(外交関係者)ともいわれる。人権や自由の尊重は国連の基本文書である国連憲章が前文などで掲げる目的の一つだが、アナン元事務総長の特別顧問を務めたコロンビア大のマイケル・ドイル教授は「国連は人権問題について、ほとんど何の役割も果たさなくなっている」と懸念を示した」(産経10月24日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/d7ec51876dfb13fe003ab44ac5eb4fb360aa5cad

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ウィグル問題においても、香港と同じブラックジョークのような光景が再現されました。

「中国は航空や通信、農業といった分野で世界標準を設定する国連機関のトップに自国の人材を積極的に送り込んできた。国連組織で影響力を握ることで、中国は国内外における自らの言動について、国際社会の追及を阻止することが可能になった。
3月には、人権侵害に関する国連の特別報告者を選出するパネル(5名で構成)で委員の座を確保。特別報告者はかつて、新疆ウイグル自治区で100万人余りの少数民族を「再教育キャンプ」に収容していた問題を巡り、中国当局を標的としていた」(WSJ前掲)

人権侵害についての特別報告者のパネル5名の委員の一角には、非難を受けている当の中国が座っているというのですから、もはや報告書がどのような結論になるのかは想像する必要もありません。

この原因は、米国が人権理事会の中国支配を批判して脱退してしまったことに起因しています。
米国という最大の敵かいなくなったことを幸い、中国は息のかかった「属国」を各種委員会・理事会に送り込み、今や国連は中国支配が完了しかかっています。
ちなみにこの「属国」という表現は私が揶揄してそう言っているわけではなく、かつて中国が韓国に対して実際に使った用語です。
この国にとって、いかなる時代においても自らは「中華」帝国であって、対等な国家間関係など存在しないのです。

「国際機関の制度を自国に優位な方向へと誘導しようと各国への働きかけを強める中国。香港問題を巡るこの一件も、中国がこれまで積み上げてきた「外交上の勝利」を示す直近の一例にすぎない。トランプ政権が第2次世界大戦後の国際秩序の多くから後退するのに伴い、長年にわたり組織的な外交攻勢を仕掛けていた中国が、その最大の受益者として台頭している」(WSJ前掲)

またITU(国際電気通信連合)もまた中国支配が完成しており、この国連機関がやったことは通信部門の国際規約を定めることでした。
ITUはファーウェイやZTEの5G規格を世界標準にして、事実上中国の5G支配の道具となりました。
しかし、これは米国の強い反対で頓挫しています。

トランプは、中国の影響力のある国際組織からの撤退を命じました。
ユネスコ、UNHRC、人権理事会、そしてWHOなどです。
その代わりトランプは米国が主導する国際的対中包囲網を作ることに腐心したのですが、それ日米豪印で作るクアッドを除けばすべてが不調でした。
特にアフリカ、アジア諸国において、中国の一帯一路政策による巨額の投資によって、中国との関係悪化を嫌う諸国が大部分を占めてしまいました。
彼らの多くは、米国の掲げる自由と人権ではなく、中国の札束と貿易を選んだのです。

これは米国の失敗だと考えられます。
トランプの悪い癖で、気に食わないとすぐに脱退をちらつかせ、思う通りにならないとほんとうに脱退してしまいます。
人権理事会において発言権を確保することは香港・ウィグル問題で切り込む時に絶対に確保しておくべきな拠点でした。
それをみすみす中国とその属国のキューバに牛耳られて、「称賛」決議まで出されてしまうとは、米外交の失点ではありませんか。

WHOについても同じで、テドロスが中国のエージェントであることは明白だとしても、だからこそここで中国の責任問題を徹底的に取り上げて粘るべきてした。
それをあっさり尻をまくってしまうとは、なんという腰の軽さ、軽薄さ。

こんなトランプ外交をむしろ追い風にして、気がつけば国連諸機関は、ことごとく中国ないしは中国の手下によって支配され尽くされてしまいました。

「15の国連特別機関・組織のうち、中国の代表が現在4組織を率いている。昨年には、西側諸国が推薦する候補者を破り、食糧農業機関(FAO)のトップの座を射止めた。これに対し米国はようやく3月になって、パートナー国と連携して中国に対抗し、世界知的所有権機関(WIPO)のトップ人事を押さえた。自国の代表を複数の国連機関に送り込んでいる国は中国以外にない」(WSJ前掲)

中国の国連支配は実に巧妙で、国連分担金は米国と日本に払わせ、自分は一帯一路でアジア・アフリカ諸国のインフラ整備の名目で、到底返済不能の巨額な資金を貸し出し、返済不能となるや港湾や飛行場、工業団地などの重要拠点を奪っていくというものでした。まるであこぎなヤクザのようです。
これらのアジア・アフリカ諸国は借金のカタで首がまわらなくなっただけでなく、国際機関や会議の場においては中国に盲従することを強いられました。

かくして 中国は今や「国連」の名で国際世論をいかようにも操作でき、「国連」の名で中国の意志を知らしめることが可能となったのです。
下に中国が国連トップの地位を占めた機関を上げておきます。

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WSJ前掲より引用

 

 

2020年10月26日 (月)

真の核の脅威を免罪する核器禁止条約

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世の中、こんなことやって何になるのかという人たちが大勢います。
たぶん、この人たちもそう。核兵器禁止条約が締結の見込みのようです。

朝日はさっそく『「核兵器は悪」核禁条約が迫る大転換 道筋は不透明』(1月25日)という摩訶不思議な記事を載せています。
見出しだけで判るように、バンザーイ締結だぁと小踊りしながら、後段でふと冷静になると、はて実効性ゼロじゃないかという現実にぶつかって身悶えしているようです。

「全廃こそが核兵器が二度と使われないことを保証する唯一の方法だ」  核兵器禁止条約は前文でこううたい、核兵器を非人道的で違法とみなす。この点が米ロ英仏中の5カ国だけには核保有を認める核不拡散条約(NPT)と大きく異なる。核の使用や保有、実験はもとより、「核抑止論」の否定にもつながる「使用をちらつかせる威嚇」の禁止事項もある」(朝日前掲)

ここだけ読むとまるで、核兵器禁止が成ったようで、以後「核兵器は禁止」だそうです。
わきゃないだろう、まったくもう。どうしてこうも幼稚なんでしょうか。
核が「絶対悪」だなんてとうぜんですし、核による威嚇が悪だなんて、言われなくても誰でもわかっています。
しかし核は廃絶できないどころか、増殖し続けています。
なぜなのか、考えたことがあるんでしょうか。

「道義的祈り」で核廃絶できれば、過去米ソが2回もやった戦略兵器削減条約(START)交渉なんて無用なのだから、核の脅威の外にいる非核国が集まって道義的祈りでも捧げていて下さい。
彼の国は直接の核の標的になったこともないし、核攻撃を受けたこともありません。

推進したのは、わが国に攻め込んで、さんざんわが国の「平和運動団体」と一緒になって騒いで行った反核団体ICANです。
いまもこんなことを言っています。

「核兵器禁止条約に背を向ける日本 課題なお
ICAN国際運営委員の川崎哲さん(51)は「条約発効は核兵器の時代の終わりの始まりだ。そこで被爆国の日本が核兵器の正当性を訴えるのは許されない」と問う。発効から1年以内に開かれる締約国会議には、保有国や未締約国もオブザーバーとして参加できる。被爆地の市民として日本政府の行動をあらためて注視しなければならない」(中国新聞10月26日)

当時の日本は、北朝鮮の核ミサイル実験に怯え、なおかつ恒常的に中国の核の標的になっているという状況でした。

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にもかかわらず、そんな状況をよそに、ノーベル平和賞受賞直後に真っ先にやったのが、この馬鹿馬鹿しい日本攻めでした。
フィン事務局長によれば「日本は核の脅威を助長している」とのこと(脱力)。
ふざけるのは、いいかげんにしていただきたい。
「被爆国なのに」ではなく、「被爆国だから」、核による脅迫を行う中国や北朝鮮に対して米国の「核の傘」の守りが必要なのです。
そんなに非核を叫びたいなら北京と平壌でやりなさい。

さて、この核兵器禁止条約は、一般国際法化を目指しているようですが、新たな核製造について取り締まりを目的とした条約としてはNPTがあります。
それがインド、パキスタン、イスラエル、南スーダンといった非加盟国の核保有と、一方的な脱退をしてしまった北朝鮮を除く世界各国が参加しているのが建前ですが、これすらこれらの国によって揺らいでいるのが現状です。

このNPTを補完するわけでもなく、かといって崩壊の危機にある現状を建て直そうとするわけでもなく、核攻撃を受ける可能性がゼロの国々が、もうひとつNPTの外に国際法もどきのものを作ってなんの意味があるのか、誰か説明してもらえないでしょうか。
この核兵器禁止条約を地雷禁止条約になぞらえている人がいましたが、地雷と核兵器を等価で並べること自体、この人が核兵器の真の意味が判っていないからです。
たんに無意味なばかりか、核の国際管理分野において二つの国際法が並び立ってしまう事態となってしまい、現に存在しNPTの枠組みの中にある核保有は違法だという根拠法を作ってしまったわけで、いっそう核拡散規制に混乱を与えるだけにすぎません。
下図の核兵器保有状況を見てみましょう。

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時事

上の保有数図だけみていると、圧倒的に米露が多いので勘違いするかもしれません。
この図は一種のトリックで、増減の動態が不明なのです。
すると反核団体のように、いちばん言いやすい米国をつかまえて核兵器を全廃しろ、みたいなことをシュプレヒコールすることになります。
それだけならまだしも、日米同盟による米国の核の傘で守られているわが国まで、まるで核兵器を持とうとしているかのような言い草を並べています。
トンチンカンな八つ当たりはごめんです。

さて核兵器を考える場合、一般的な保有数だけみてもわかりません。
まず第1に、今述べたように、保有する核兵器が削減条約で削減したのかしないのか、が大事です。
これを見ないで静止画像のように現時点だけ切り取っても、それを増やし続けて今の保有数なのか、減らしていて今の数なのかではまったく持つ意味が違います。

そこで下図は核兵器保有数の推移を見たグラフです。
米露が2回に渡る削減条約で保有数を減らし、英仏も削減しているのにもかかわらず唯一保有数を伸ばしているのが中国だとわかります。

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核兵器保有数の推移 | 国際平和拠点ひろしま〜核兵器のない世界平和に

保有数を減らしているのが米露英、まったく削減していないのが中国、インド、パキスタン、イスラエルです。
そして中国と北朝鮮は、削減に応じるどころか、むしろ積極的に核兵器を増産し続けています。

中国は江沢民政権以来、米ソが核軍縮条約を結んで不十分ながらも核兵器全廃の方向に進む流れにひとり背を向けて、際立って核戦力の増強近代化に力を入れてきました。
その結果、近年では米中の核戦力の相対戦力格差は急速に縮まってきています。

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「「中国の核弾頭保有数は約200個、今後10年間で倍増」米国防総省
米国防総省は1日、中国の核弾頭保有数は現在の200個程度から今後10年間で少なくとも倍増するという見通しを示した。また、中国が陸海空における核戦力のトライアド(核の三本柱)態勢の構築に近づいているとの認識を示した。
米国が中国の核弾頭保有数について発表するのは初めて。米国科学者連盟(FAS)は中国の核弾頭保有数を約320個と推定している。
国防総省は中国の軍事力に関する議会向けの年次報告書で、今回の見通しは中国政府が新たな核分裂性物質を生産することなく核兵器の備蓄量を倍増させるのに十分な材料を有していることなどを考慮しているとした」(2020年9月20日)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/09/20010.php

第2に、その核兵器が使えるかどうか、核戦力として有効かただの政治的お飾りかという点です。
米露などの冷戦期の作られた核戦力は、当然ですが実戦配備されて久しいものです。
核戦力が実戦に使えるか否かは、「核の三本の柱」で判定します。
それは①地上発射型弾道ミサイル、②空中発射型核ミサイル、③水中発射型核ミサイルの三つですが、その中で特に重要なのが③の水中発射型弾道ミサイル(SLBM)です。

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ニューズウィーク 南シナ海を航行する中国人民解放軍の戦略原潜。2018年4月撮影

というのは自国周辺の大海の底にひっそりと沈んで、ひたすら発射命令を待つモンスターだからで、これを探知し未然に破壊することは至難の業だからです。
ですからこのSLBMを保有したことをもって、核兵器を保有したとみなされます。
ちょっと前の中国、今の北朝鮮がその段階です。

第3に、どこを向いて核ミサイルを配備しているかという目標、です。
わが国を標的にしているのか、どうかです。
ここを無視して、一般論で「核兵器をもっている」といっても無意味です。

すると核保有国は数あれど、わが国を標的としている核保有国、それも実用化段階に入った核ミサイルを持つ国はふたつしか世界に存在しません。
いうまでもありませんが、中国と北朝鮮です。
それは中国の核ミサイル基地の配備図をみれば分かります。

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中国の核ミサイル発射基地は、瀋陽基地、皖南基地、雲南基地、予西基地、湖西基地、青海基地、普北基地、河北基地にあり、日本を標的にするミサイルは、瀋陽基地にあります。
なお皖南基地は台湾を標的にし、予西基地、湖西基地、のミサイルはアメリカを標的にしているといわれています。
そのために中国の核戦力は、米露が中距離弾道ミサイル制限条約によって生産と配備を中止した中距離弾道ミサイルを多く保有しているのが特徴だから始末が悪いのです。

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要約すれば、中国は水中発射核ミサイルや中距離核など「使える核」を多数保有しており、世界の非核化の流れにひとり背を向けて増産に励み、その核の多くは日本を標的にしているということになります。
いかなる核軍縮のテーブルにも着かず、ひとり核兵器を増産し続けてている中国、NPTを脱退して核武装に走る北朝鮮に対してなにも言わないような非核運動はいったいなんなのでしょうか。

つまりこんな情勢の中で、中国と北朝鮮の核を問題にしないような核兵器禁止条約は、かつての反核運動がソ連によって操られていたように、意味がないばかりか、「核の脅威を助長している」ものでしかないのです。

 

2020年10月25日 (日)

日曜写真館 茜色の秋

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しづしづと 野分のあとの 旭かな 正岡子規

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初茜と言いしが僕らの星を消し 片岡秀樹

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眩しさの前の一瞬初茜 宮森毅

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おもしろさ急には見えぬ薄かな   鬼貫

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行く秋や一千年の仏だち 正岡子規  
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風起り走りをさまる薄原  佐藤喜孝


2020年10月24日 (土)

米大統領選、もつれ込んでグチャグチャに

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米国大統領選2回目の直接討論が終わりました。
う~ん、微妙。あんがいバイデンやるな、っていうのが私の率直な意見でしょうか。
とくに州に対する支援についての質問で、「私は米国の大統領になるのだから、共和党も民主党もない」という切り返しはいいですね。
こういう「私は合衆国大統領だ」というアイデンティティを持った言い方は、実は前回ペンスも副大統領討論で言っています。

ペンスは最後に子供から「大統領選で国民が憎みあっちゃって大丈夫なんでしょうか」という質問に答えて、「いや、連邦最高裁判事も共和と民主と言っていますが、いつもは家族ぐるみでつきあっていますよ。私も同じで民主党の人たちとも仲がいいんです。合衆国はいったんこちらの方向に行こうと決めたらしっかり団結する国ですから、きみも心配しないで下さい」って言っていましたね。
まじペンスが共和党大統領候補だったらどれだけ安心できたことか(涙)。トランプにもこういう大人の余裕がほしい。
ともかくトランプは、口汚い、うるさい、怒鳴る、かぶせる、あれが合衆国大統領かと思うと、この私でさえげんなりします。
日本の国益がなければ、バイデンのほうがスマートでした。

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討論会はトランプ氏が終始攻勢 バイデン氏はいらだつも冷静さ保つ

トランプ親ビン(アホンダラさん風)、このコロナがなければ圧勝だったでしょうが、いまやビミョーです。
CNN、NYTはとうに中立性をかなぐり捨てて、バイデン応援団席で民主党旗振りまわしていますからとりあえず置いておくとして、この間ズッとトランプは世論調査で水をあけられてきました。
今回もCNNはこの調子です。

「米大統領選に向けて22日に開かれた候補者による最後の討論会で、民主党候補のバイデン前副大統領が勝利したと評価する有権者は53%と、共和党候補のトランプ大統領が勝利したと見る有権者(39%)を上回ったことがわかった。CNNの世論調査で判明した」(CNN10月22日)

もうバイデン勝った、勝った祭りですな。米国オールドメディアを見る限り、トランプは絶望的です。今回の討論会なんか10ポイント以上の差がついていますからね。
ニューズウィーク(日本版)の編集長の長岡義博氏の解説によると、こんな状況のようです。

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図解】米大統領選2020 トランプ氏とバイデン氏の支持率の推移(9月18日

 「ニューズウィーク日本版編集長の長岡義博氏はトランプ氏の現在の支持率について「(バイデン氏と)大きく開いている」と指摘。「これまでの選挙取材の経験で言うと、10ポイント近く離れていることはマラソンでいうと100メートル近く離されている感覚に近い。ここから逆転するのは相当大変なのでは」と語る。その上でトランプ氏の“勝利シナリオ”として、3つ展開が考えられるという」(ABEMAタイムス10月20日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/61fb728346de059f327dc53d28f7cbe8da1838e8

100メートル差がついたら、正直もうダメだろうと思ってしまいますが、長岡氏の解説によればトランプが逆転できる可能性は僅かにあってこういう三つのシナリオも存在するのだそうです。

「1つ目は前回の大統領選挙で実際に起きた現象で、隠れトランプ支持者が投票日に大量に現れる可能性。前回は世論調査でトランプ氏を支持していると答えない人がトランプ氏に投票し、ヒラリー・クリントン氏に大逆転した。しかし前回は接戦で、“隠れトランプ支持者”が状況をひっくり返す鍵になったが、今回ここまで離れていると仮に“隠れトランプ支持者”がいたとしても、どれだけ結果に影響するのか」(長岡前掲)

前回も私は恥を忍んで告白しますが、ヒラリーが勝つと思っていました。うちの常連コメンターでは唯一アホンダラさんがトランプに一票入れていました。
結果はご承知のように、最大30ポンイント開いていた大差をひっくり返し大逆転。
いわゆる「隠れトランプ」がハンパなくいたからです。

今の米国は極度にポリティカルコレクトネスが蔓延して、ひどい場合はトランプ支持だと言っただけで、「お前はレイシストだ」と殴られる、解雇される、なんて事例が生まれているそうです。
だから世論調査の聞き方を変えて、「友人、知人は誰を支持していますか」とワンクッショ置いてやると、「いやー周りはみんなトランプみたいだね、困った困った」なんてシャラっと言うのですが、実はご本人もトランプへ一票です(笑)。

今回過激化したBLMの運動について批判的な国民は多く存在するはずですが、カウンターが生まれにくいのは、こういう陰湿な米国のポリコレ政治風土があるからです。
とうぜんウップンは溜まりに溜まっているはずで、秘密投票ですから、投票所でトランプに入れて溜飲を下げる人もそうとういるんじゃないでしょうか。
この人たちのパワーは、トランプがやる共和党系集会をみるとブワーっと感じます。
トランプ親ビンがマスク投げるとウワー、指を指すポーズをするとウオー、3密もあろうことか、大部分マスクしないでホットになっています。
クラスターなんてどこ吹く風。知らんゾ。

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トランプ氏集会、スタッフ6人がコロナ陽性 写真10枚 国際ニュース ...

一方バイデンは、さすがに東海岸好みの「知性派」らしく大型集会を取り止めてドライブインで車の聴衆に演説しています。さすがと褒めるべきかどうなのか。

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バイデン氏は認知症」1時間に50回…トランプ氏がツイートで猛攻撃 焦り ...

そして長岡氏によれば、ふたつめのシナリオはこうです。

「第2に、たとえトランプ氏が負けたとしても“敗北宣言”をしない可能性も考えられるという。 「トランプ氏は『自分が負けたら結果を受け入れるか』と聞かれても、言葉を濁し続けている。
実はアメリカ大統領選では勝利宣言よりも敗北宣言の方が大事。どちらかが敗北宣言して初めて、結果が確定する。(負けたとしても)トランプ氏が敗北宣言をしない可能性もある。
しかし、大きな差が開いたとき、大統領が選挙結果を認めないことをアメリカ社会および国際社会が受け入れるかどうか。前回の討論会でも、トランプ氏が白人至上主義者に『下がって待機しろ』と呼びかけて物議を醸した。(トランプ氏が負けて)白人至上主義者が武器を持って暴動を起こす可能性もあるが、現実にはより大きな武力を持つ警察や軍もいるから鎮圧されるだろう」(長岡前掲)

長岡氏は前回の「下がって待機しろ」という討論会のトランプ発言を曲解しています。
これは司会者のアンフェアな仕切りにイライラしていたトランプに被せて、無理矢理引っ張り出した問題発言です。
いくらトランプでも、あんな場面で極右に指示を出すわきゃないでしょう。

それはともかくとして、トランプが大敗したと支持層が考えた場合、BLMの逆の現象が起きる可能性はありえます。
草の根保守やオルタ右翼が、冗談じゃねぇぞと言い出す可能性は捨てきれません。

ただし、長岡氏はトランプ嫌いのNWらしく右陣営ばかりの暴動を言いますが、この間の黒人差別反対を掲げた火付け強盗などは民主党系のBLMやアンティファらが引き起したものだということをお忘れなく。
どっちにせよ憂鬱なことには、日本では絶対にありえませんが、ひいきの党が負けると銃を取り出して街頭にくり出す過激なのがいるのですよ、あの国は。
その場合、最悪、ヒダリのアンティファとミギの連中の銃撃戦となり、それに警察と州兵が介入してもうグチグチャ。
こういう事態を恐れているのがペンスでしょうし、バイデンも言っている、「私は共和、民主ではなく合衆国大統領なのだ」という発言はそういう意味です。

さて第三のシナリオですが、これがたぶんいまや最も高い確率になっています。

「第3のシナリオとして、郵便投票の不正を疑っているトランプ氏が「実際に不正捜査を命じる可能性もある」と長岡氏は示唆する。
「郵便投票にトランプ氏は難癖をつけ続けている。その場合のシナリオはこうだ。
開票時にトランプ氏が郵便投票の不正を訴え、司法省に激戦州の不正捜査を命じる。大統領選は11月3日だが、次に大切なのは12月14日。アメリカ大統領選は直接投票ではなく、大統領に投票する選挙人を選ぶ選挙。選挙人が投票するのが12月14日で、この日までに捜査が終わらないと、激戦州は票が確定しない。確定しないと激戦州の投票人が投票に参加できない状況になり、トランプ氏、バイデン氏共に選挙人の選挙で過半数を確定できない状況になる」 (長岡前掲)

この選挙人選挙で決まらない場合、下院の決定に持ち越されます。
下院は民主党がおおいので、これでバイデン決まりかというと、そういうわけではないようなのが面白い。

「下院の現状は民主党有利だが、憲法修正12条の規定ではこの場合一人一票ではなく、州ごとの投票になる(各州1票制)。共和党過半数の州が26、民主党過半数の州が23。同数のペンシルベニア州がバイデン氏に投票しても26対24で、トランプ氏が逆転する可能性もある。そしてこれは合法なので誰も文句がつけられない」 (長岡前掲)

たぶんこの情勢だと、下院にまで持ち込まれるでしょう。
いずれにせよ、郵便投票をめぐって訴訟が起きるはずで、その場合米国最高裁に持ち込まれることもありえるようです。

とまれ、もうグチャグチャ。果たして1月20日までに決まるのかどうか。

 

2020年10月23日 (金)

学術会議を党派集団の利権の巣窟にした憲法学者集団

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まだ世間は学術会議問題を騒いでいるようです。
朝日の記者なんぞ、首相の外遊先で日本人記者に与えられた2枠を使って聞いたことが、「学術会議がぁ」でした。
ここまで来ると、あんたビョーキです。
ところでワイドショーだけ見ているとまるで「科学者vs政府」との対立のように見えますが、はたしてそうなのかどうか。
今回任命を見送られた6名はことごとく人文系です。
そしてそのうち半分が法学系です。

はて、ここで素朴な疑問です。法学者って「科学者」だったの?
私は人文系が「科学」と自称することにかねがね疑問を持ってきました。
だって人文系学者など、しょせん文献をあーでもないこーでもないとコネ繰り回す律法学者にすぎないからです。

たとえば歴史に科学的法則性など存在するでしょうか。しません。
あると言ったのは、歴史的を、えー願いましては奴隷制から始まって封建制度があって、絶対王朝があって、ブルジョワ資本主義があって、そしてその先には人類のパラダイスの社会主義と共産主義が待ってるぜ、と言ったマルクス御大くらいなもんです。

もちろん彼はヨーロッパの歴史を切り取ってそう言っただけで、実際の世界はまったく異なっていました。
というか、マルクス御大はアジア・アフリカなんか知らなかっただけなのですがね。
世界で最初の共産主義国家は、資本主義の延長にはなく、資本主義と民主主義が最も遅れたロシアでのみ成功しただけで、その後には中国という箸にも棒にもかからない発展途上国で起きたにすぎません。
完全にマルクス主義の歴史の発展段階説は誤りだったのであり、歴史には科学法則などなかったのです。

人類の歴史は、滔々と共産主義に流れ込む大河の如しではなく、ある国ではまるでアフリカの乾いたワジのように内陸で止まってしまったり、果ては逆に遡ってみせたり、いくつもの河が合流してみたりと、てんでんばらばらの地域研究をするしかありません。
そんな歴史に科学的法則性があるといっているのは、共産党くらいなものです。

法学もそうで、あのどこが「科学」なのでしょうか。ただ判例解釈をしているか、それに基づいて事件を切り取っている解釈学にすきません。
憲法学に至っては、いまや「学問」と名付けるのがおこがましいほど党派的プロパガンダとなっています。
政治学も、経済学にあるような一定の法則性はかけらもなく、ただの情勢の分析にすぎません。
文学に至っては、主観と感性の産物です。
かろうじて「科学」と呼んでいいのは、人文系で最も自然科学に近い経済学だけです。
だから意味がないということではなく、「科学」なんて言うなよ、というだけのことですから念のため。

さて科学は常に反証可能でなくてはなりません。
オレはこう思う、こう結論を出した、だけでは不十分で、万人が同じ実験をしてまったく同一の結論が得られなければ、その仮説は間違いだということになります。
他人が同じ実験をして、その理論ですべて説明できないことが起きれば、たとえそれがたった一回でもそれでその理論はアウトか、さもなくばもっと別の理論が存在する証となります。

理研の小保方晴子氏の実験が否定されたのは、再現性がなかったからです。
他の科学者が同じ手順で実験をして、同一の結果をえられないような仮説は誤りと見なされます。
先ほどの「科学的社会主義理論」などに至っては、再現性がないどころか、元祖のロシアですら失敗に終わったのですから、「科学」の名を騙った人類史上最大の詐欺です。

科学史上有名な事例では、ニュートンの万有引力の法則によって月や惑星の軌道を説明することが可能でした。
ところが、この万古不変の絶対法則であると感じられていたニュートンの物理学法則は、更に天文学が進化して太陽に最も近い惑星である水星の軌道のわずかな「揺らぎ」を説明することができず、アイシュタインの相対性理論に座を譲ることになりました。

ですから、科学という分野はこれほどまでに再現性の可否を問う研ぎ澄まされたものであって、「オレはそう思う」などいう人文系の主観など入り込む余地などまったくないのです。

ところが科学者とは言い難い人文系学者が、篠田英朗氏によれば、学術会議の3分の1も占めているそうです。

「日本学術会議は、文系学者が会員の3分の1を占めているだけでも不思議なのだが、そのうちの2割以上が法学者にあてられてきたことも不思議である」
(白日の下にさらされた党派的運動集団「憲法学者」 篠田英朗)
http://agora-web.jp/archives/2048611.html

ところが、日本学術会議は自らを科学者と呼んで憚りません。
そのHPではこう高らかに謳っています。
http://www.scj.go.jp/ja/scj/index.html

日本学術会議とは
日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信の下、行政、産業及び国民生活に科学を反映、浸透させることを目的として、昭和24年(1949年)1月、内閣総理大臣の所轄の下、政府から独立して職務を行う「特別の機関」として設立されました。職務は、以下の2つです。
科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ること。
科学に関する研究の連絡を図り、その能率を向上させること

おいおいです。学術会議をせめて「学者団体」ていどと言うなら理解できますが、人文系丸ごと「科学者」と規定するのは自己欺瞞そのものではありませんか。
自然科学系の研究者の皆さんは、人文系学者を心底から「科学者」だと思っているのでしょうか。
しかも篠田氏によれば、どう見ても多すぎる法学者のうち3分の1は共産党系学者だからアイヤーです。

「さらにその法学者のうちの少なくとも3分の1程度が共産党系の民主主義科学者協会法律部会の元理事などで占められてきたのは非常に不思議である 」(篠田前掲)

つまり「科学者」を自称する学術会議の3分の1は人文系の非自然科学系であり、さらにそのうち2割が法学で、その3分の1が共産党系、しかもうち共産党系の民主主義科学者協会の元理事などによって占められていたということになります。

学術会議は今回のリジェクト6にも憲法学者がいるように、憲法学者の割合が異常に大きいのが特徴です。
その理由は、憲法学者集団こそが学術会議に最も食い込んで利権の根を張ってきたグループだからです。

「従来から共産党に近い学者が多いとされる「憲法学者」集団は、日本学術会議の既得権益に深く入り込んだ集団である。
ひょっとしたら、ここはあえて黙っておこうという配慮が働くのかと思えば、全く逆になっていることに茫然とする。
憲法学者」は、極めて統制の取れた運動家ロボット集団のように「学問の自由を守れ」といったことを叫び、何か人類史に残る弾圧でも起こったかのような仰々しい言葉を並べて自らの不幸を嘆き続けている」(篠田前掲)

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毎日

彼ら党派集団になり下がった憲法学者なるグループはただの政治運動家の集団でしかなく、彼らが叫ぶ「学問の自由」なるものもまた、共産党の街頭演説のようなものにすきないのです。
そしてこの学術会議が大きな支配力を持つのが、科研費なのです。

人文系で大学に職を得るには、共産党に近くなければだめだと言われた時代がありましたが、いまもその利権構造は健在であり、それが日本の人文系学界を大きく歪める根源となっています。
その共産党系学者の利権になくてはならないのが、学術会議という「装置」だったようです。

今回自民党は、学術会議改革として各国のアカデミアのような民営化を打ち出していますが、それだけに止まらず「社会科学者」を分離した自然科学者だけで構成する「日本科学アカデミー」を作られたらいかがでしょうか。

 

 

2020年10月22日 (木)

わが国は2代続けて大変な外交手腕を持つ首相を得たようだ

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わが国は2代続けて大変な外交手腕を持った人物が首相をしているのかもしれない、私はそう感じました。
実はぶっちゃけ、私は少々心配な気持ちでこの外遊を眺めていたのですよ。
悪いことばかり考えちゃうんだな。
村山氏のように緊張のあまり腹を壊して公式行事をキャンセルしたりはしまいか、竹下氏のようにガチガチになってはいまいか、カン氏のように下のカンペばかりを見てはいまいか、それほどまでに初めの海外出張というのは緊張を強いるものだからです。
なにを食っても喉を通らない、しゃべろうとすると頭は真っ白、まぁ私ならそうなるな。

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しかしさすが菅さん、憎らしいほど落ち着いていました。小柄な身体からは貫祿さえ漂うほどです。
英語しゃべって舌をかめばいい、ちっこいので見下ろされたらざまぁ見ろ、といった眼で見ていたはずのわが国のオールドメディアの諸兄もさぞかしがっくりきたことでしょう。

私も菅氏について大きな誤解をしていたのですが、彼はその外貌から騙されるような調整型ではありません。
これは就任からわずか1カ月間で国民の誰しもが、へぇーと言った感じで実感しているはずでが、かつてのアベガーのお歴々は、「菅絶対王政」(朝日)なんて言っている始末です(笑)。

考えてみれば、安倍氏の国際戦略を最も身近で知っていたのは菅氏だとは思っていましたが、実は「支えた」なんて生易しいものではなかったようです。
いままで安倍氏が提唱したダイヤモンドセキュリティ(クアッド)は、NSC(国家安全保障局)の前局長の谷内正太郎氏あたりが知恵を出したと見られていたのですが、どうも菅氏もその立案者のひとりだったようです。
でなければ、こうも痒いところに手が届く外交をいきなりできるはずがありません。

初めての外遊国とされた国は名誉に思うものですが、それが今回はなんとベトナムです。
そして次にインドネシアです。
まさにクアッドをより堅牢にしていくためのツボの国々です。

まずベトナムですが、ここはASEANにおいて中国の包囲網を形成するうえで欠くことができない国です。
もちろん、菅さんは間違っても「中国包囲網を作っています」なんて言いませんよ。そんなナイーブな人ではありません。
インドネシアで日本のテレビ局が「自由で開かれたインド太平洋構想に中国が反発している」と問うたのですが、もちろんそういう聞き方をすれば菅氏としては「自由で開かれたインド太平洋は考えを共有するいずれの国とも協力が可能」、「特定国を念頭に置いたものではなく、インド太平洋版のNATOという考え方は一切ない」という面白くもおかしくもないことを答えざるをえません。
ちなみにどーでもいいですが、朝日の質問はインドネシアまで来て、「学術会議がぁ」だったそうです(爆)。
どこへ行ってもモリカケ、学術会議。あ~あもう脳が退化しているのですかね。

聞いた記者が鋭敏なら、この短い答えの中にキイが隠されていることを発見したはずです。
ですからこう聞くべきでした。「最初の訪問国を、中国の南シナ海進出に神経を尖らせているベトナムやインドネシアに定めた理由はなんでしょうか」という聞き方をすれば、「自由で開かれたインド太平洋をつくるためだ」という同義反復の答えになった可能性もありますが、もう少しピリっとしたものになったはずです。

この短い菅氏の答えの中にある「考え方を共有する」、という部分が重大なキイワードなのです。
ここで菅氏が言う「考え方」とは価値観のことです。
価値観とは、狭くは日本が持つ自由・民主主義、法の支配などの民主主義の諸原則を指しますが、広くは今中国がやっている大規模な軍事進出にストップをかける意志のことです。

前者はベトナナム政府とはかならずしも一致しないかもしません。なんせ共産党独裁国家なことは確かですからね。
しかしこの国が目に余る人権弾圧をしているという事実はないし、経済は開かれ、「法の支配」についても共有できます。

また経済に関しても、中国に替わる新たなサプライチェーンの拠点として大きく成長しています。
下図は日本のベトナムからの輸入の推移をみたものです。
この間急激に増加して、わが国がサプライチェーンを中国からベトナムに移動させていることがわかります。

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財務省 貿易統計を基にGD Freak!作成

またその内容も、かつてのような一次産品から製造業製品や電子機器が3割以上を占めるようになっています。

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同上

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「主要品目別にみると、輸出では1位が電話機・同部品で234億9,520万ドル(3.9%増)、2位がコンピュータ電子製品・同部品で155億2,147万ドル(14.1%増)、3位が縫製品で150億9,173万ドル(10.3%増)となった」(ジェトロ ビジネス短信)

「一方ベトナムの貿易赤字は主に工場建設に伴う機械や原材料の輸入が急拡大したことによるものです。工作機械などは付加価値が高く価格も高いため、主力輸出製品である低価格な軽工業品や一次産品の輸出が増えない限りは、輸入額が輸出額を上回りやすくなってしまいます。しかし輸入した各設備が稼動し生産体制が整備された結果、高い付加価値を持つ製品を作れるようになれば、今度は輸出額が増加し、貿易赤字は縮小、さらには貿易黒字へと転換することが見込まれます」(楽天証券)

つまり現時点でのベトナムの貿易赤字は良い赤字で、将来の貿易黒字を生み出すために必要な設備投資や原料輸入をした結果です。
このような「良い貿易赤字」は、一つの国が工業国家ヘと進む段階で成長のために不可欠な現象と考えるべきでしょう。
おそらくこの先数年で、貿易収支は黒字転換し、さらに経済成長の新たなエンジンが追加されることを意味します。
こうしたプロセスを経て、ベトナムは工業国へと変貌していくことになります。
これに日本は大きくな支援をして行かねばなりません。

また地政学的に、ベトナムが東南アジアにおいてツボの位置にあり、かつ、今まで地域はおろか外国に負けたことのない最強国家です。
中国、米国、フランスに勝利した国など世界にはありませんからね。
これは今や親中国家になり下がったカンボジアに対して、充分な抑えとなります。

それを知っている中国は、中国とカンボジアのFTAを結ぼうとしています。

「貨物貿易については、中国側はカンボジアからの貿易貨物の97.53%がゼロ関税で、カンボジア側も中国側の90%の品目に関してゼロ関税にしている。これは双方がいままで行ってきたFTA交渉中、最高水準だという。
サービス貿易については、双方はそれぞれが参加しているFTAの基礎の上、さらに一歩進んだ市場開放水準にレベルアップし、両国のFTAにおいての市場開放は押しなべて両国それぞれの貿易パートナーに与えうる最高水準をお互いに認めている」
(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.190 2020年10月21日

10月12日、カンボジアのフン・セン首相と王毅外相はプノンペンでFTAの調印式をしました。

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フンセンと王毅はこんなことを言っています。

「フン・センはカンボジア側がこのFTA調印を高く評価し、経済上、政治上ともに重要な意義がある、と語った。またカンボジアと中国の友好的協力を通じて、カンボジアはますます発展していくことだろう、と語った。
王毅は、このFTA調印が対外的に協力なシグナルとなって、カンボジアがコロナのもたらしたマイナス影響を克服する助けとなり、カンボジア経済社会発展にポジティブな影響を与えるだろう、とした」(福島前掲)

この調印までのスピードは、2020年1月から交渉が開始され、2020年7月20日には早くも妥結です。超高速交渉でした。
だいたい世界のFTA交渉は、早くても数年、長ければ十数年かけておこなわれるのに、たった10カ月です。
いかに双方が急いでいたのか分かります。

これは、中国が新型コロナによって世界各国からデカップリング(分離)の対象となり、一帯一路構想もガタついてきたことを受けて、二国間FTA交渉や中国主導のRCEP(東アジア地域包括的経済連携)の調印にできるだけ早くこぎつけたいとの気持ちが露骨なまでに現れています。

「許利平は「カンボジアは経済レベルが相対的に遅れたASEAN国家であり、FTA調印はカンボジアが外資を呼び込むのに有利で、インフラ建設を加速させ、農業の現代化を加速させ、国内雇用を推進する」と評価。「カンボジア経済にとって非常に利益があり、さらに地域の産業チェーン、サプライチェーンのシステムに溶け込み、経済競争力をますことになる」とのべていた」(福島前掲)

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地図素材:東南アジア 自然図 [82641] | ベクトル地図素材 加工編

ところで東南アジアの国々は基本的に日和見です。
それは中国と陸続きの周辺国家であり、同時に米国という海洋国家の二大勢力の狭間にあるからです。
国境を接するベトナムは今まで中国に支配されてきた長い歴史があり中国とは宿命的に対立する運命をもって います。
一方、内陸国のカンボジアやラオスは、地域最強国家のベトナムを共通の的としてきた歴史があります。
タイは偉大などっちつかずのバランス国家で、常に強いものの味方をして独立を保って来ました。
インドネシアは人口が3億人に達する世界最大のイスラム国家で、しかも多くの島からなっています。
ですから、政治的にはどっちつかずである点はタイに似ていますが、島国家であるだけに南シナ海の中国の傍若無人ぶりには脅威を感じています。
それが先代の親中派政権が倒れた原因です。

このように各国の置かれた状況、地政学的立場の違いから、ASEANとしてまとまった方向性を打ち出すことはできないままとなっていました。
だからこそ、東南アジア国家の中から、「自由で開かれたインド・太平洋構想」に参加する国を募らねばならないのです。
それも大胆、かつ慎重に。

外交とは国際社会における国益の最大化のことです。
よく勘違いされるように、握手しに行って仲良しになることを外交とは呼びません。
そんなていどのことは現地の大使が豪勢な飯でも食いながらやって下さい。
首脳外交が目指すことは、わが国の国益と同じ価値観を持つ国を探し出し、その国と信頼関係を醸成しながら、ガッチリと連携を強め、更にその環を拡大し、気がつけばそれは「対中包囲網」になっていたという仕掛けを作らねばなりません。
まだクアッドは、中心となる呼びかけ人に当たる4カ国が定まり、その仕掛けを作っている真っ最中です。
アジア版NATOなどまだ先の話で、土台固めの時期だから、菅氏は東南アジア歴訪を選んだのです。

初めから「対中包囲網作りますから、参加しませんか」なんて言ったら、世界有数の中国嫌いであるベトナムですらドン引くことでしょう。
ここでうっかりベトナムやインドネシアが、「はい、参加します」なんて漏らしたら、明日から目の前の海を中国軍艦が軍事演習をしまくることでしょうからね。

だから今後も菅氏は、記者たちから「アジア版NATOをつくるんですか」「対中包囲網を作るんですよね」なんて愚問を受けても、シャラっとして「特定国は念頭にありません」と答えることでしょう。
こんな聞かれて困ることを聞くんじゃないよ、ばかめ。
記者ってどうしてこうも常識がないんだろう。相手国に迷惑だろう。

とまれこの外遊で、菅氏は外交も安倍スタイルを踏襲することを内外に明らかにしました。
鈍重な外交貴族の外務省には任せない、自分で直に言って相手国の首相と膝を付き合わせて会談をする、ためらわずに顔の見える首脳外交をする、それが外交の王道なのです。

※扉絵 山形さんから頂戴しました。ありがとうございます。

 

 

2020年10月21日 (水)

日米いずれ変わらぬオールドメディアの偏向

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昨日頂いたコメントにtwitterに信用棄損ということが書かれていましたが、う~ん、残念ですが、ないでしょうね。
twitter社とフェースブック社、そして検索エンジン各社は雁首揃えてリベラル左翼には極めて寛容ですが、政府を支持する投稿に対しては真っ先にポリコレ違反としてどしどし「検閲」の対象にしています。

え、検閲とおもわれるかもしれませんが、対先日の10月16日、米国ツイッター社民主党大統領候補のバイデンの息子ハンターに関する米紙ニューヨーク・ポストの記事のリンク共有を阻止する措置を撤回しました。
米ツイッターはなんと、「記事
に含まれる個人情報」を理由に、共有を阻んでいたのですが、「幅広く知られた」と言い訳しています。

米ツイッターは16日、民主党大統領候補のバイデン前副大統領の息子ハンター氏に関する米紙ニューヨーク・ポストの記事のリンク共有を阻止する措置を撤回した。
ツイッターは理由について、この記事に含まれる個人情報はすでに報道などで広く知られるようになったため、と説明した。
ツイッターは当初、記事リンクについて、ハッキングを通じて入手した素材の直接配布を禁止する同社のポリシーに違反すると判断し、ユーザーに掲載を禁じた。
その後、ポリシー主任であるビジャヤ・ガッデ氏は15日夜、先のツイート制限に関するフィードバックを踏まえ、ハッキングされた素材に関するポリシーの改定を決めたと表明。「ハッカーや協力者によって直接共有されたものでない限り、ハッキングされたコンテンツを削除しないようにする」とし、「ツイッターでのリンク共有を差し止める代わりに、ツイートに背景を説明するラベルをつける」と説明した」(ロイター10月18日)
https://jp.reuters.com/article/usa-election-twitter-idJPKBN273019

ツイッターやフェースブックは元来ただの無色透明のプラットホームだったはずですが、いまや独自に検閲までする「エディター」に変質してしまったと米国で批判されています。
ツイッター社はあーでもない、こーでもないと言い訳をブレさせていますが、最初に上げた理由がなんですって、ハッキングで入手された素材の直接配布は違反ですって、思わず苦笑してしまいました。
ならばスノーデン事件で米国政府の曝露された情報ソースは一体なんだったんでしょうかね。
ハッキングそのものじゃないですか。しかもCIA職員だったスノーデンが職業上知り得た情報の漏洩は、もちろん国家公務員守秘義務違反です。
しかもスノーデンはロシアに亡命同然で逃げてしまい、今や彼の背後にはロシアの存在がささやかれています。
そんな彼の情報を拡散して、ウィキリークスのアサンジと共に英雄に仕立て上げたことに、ツイッターは関与していなかったとでも。

タックスヘイブン(租税回避地)に関する大量のハッキング情報が暴露されましたが、あれなどまさに「ハッキングで入手された素材」そのものでした。
今までツイッターは、その無色さ故に世界で支持されてきましたが、このところのボリティカルコレクトネスぶりがひどすぎます。

では 、なにをツイッター社は拡散させたくなかったのでしょうか?
2020年10月14日、ニューヨーク・ポストは、FBIがジョー・バイデンの息子、ハンター・バイデンに宛てた電子メールや写真が入ったノートパソコンとハードディスクと押収したと報じました。

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問題のパソコンは、2019年4月にデラウエア州の電気店に修理に出され、同地区地方裁判所から2019年12月9日付けで召喚状が、電気店のオーナーであるアイザックに対して発行されていました。
このパソコンの修理費請求書には、ハンター・バイデンの名前が書かれており、さらにハンターの関わる「ボー・バイデン財団」のシールも貼られていました。

しかしこのハンターはパソコンのデータの復元を店に頼みながら、直っても90日間も取りに来ないし、連絡してもナシのつぶて。
しかたなく困った店側は、パソコンと外付けHDを開けて中身を確認したわけです。
すると出てくる出てくる、ハンターの怪しい情報。
びっくりした店主はその内容の重要性に気がついてFBIに通報し、押収されました。

店主のアイザックは、中身にビビってFBI 渡す前に、ハードディスクの中身を自身の身の安全のためにコピーし、バックアップとして保管したのだそうです。
そしてそのバックアップデーターは、8月にトランプの個人弁護士チームのルーディ・ジュリアーニ(元ニュヨーク市長、弁護士)の代理人であるロバート・コステロに渡りました。
そしてさらにこのパソコンの中身は、ニューヨーク・ポストで記事となったわけです。
公平のために書き添えておきますが、このアイザック店主はトランプ支持者です。
といってもあれだけ膨大な電磁記録がすべて捏造の産物とは思えないですが。

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ニューヨークポスト

日本にはまったく紹介されていないようですので、このニューヨークポストの当該記事を抜粋します。

「ハンター・バイデンは、ウクライナの政府高官に会社を調査していた検察官を解雇するよう圧力をかける前に、1年も経たないうちに彼の父、当時の副大統領ジョー・バイデンをウクライナのエネルギー会社の最高幹部に紹介した。
ハンターが報告された給与でブリスマの取締役会に加わった約1年後の2015年4月17日に、ブリスマの取締役会の顧問であるヴァディム・ポザルスキーがハンター・バイデンを送ったという感謝のメッセージの中で、これまで明らかにされたことのない会議が言及されている。
「親愛なるハンター、私をDCに招待し、あなたのお父さんに会い、一緒に時間を過ごした機会を与えてくれてありがとう。それは本当に名誉と喜びです」とメールには書かれています」
https://nypost.com/2020/10/14/email-reveals-how-hunter-biden-introduced-ukrainian-biz-man-to-dad/


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2014年5月の以前のメールには、ブリスマの3番目の幹部であるボズハルスキーが、会社に代わって「影響力をどのように活用できるかについてのアドバイス」をハンターに求めていることも示されている。
ジョー・バイデンが「息子に海外での商取引について話したことがない」という主張に直面したこの通信は、ラップトップコンピューターから回収された大量のデータに含まれている」(NYP前掲)

その他、このパソコンには、アルコール依存症であることを認めたハンターの証言や性的スキャンダルも含まれていたようですが、父親のバイデンについての関わりもこう記録されていました。

「ポズハルスキーがハンター・バイデンに父親の紹介を感謝した後8か月も経たないうちに、当時のバイデン副大統領は、ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領とアルセニー・ヤツェニュク首相に、10億ドルの米国の融資保証を差し控えると脅してヴィクトル・ショーキン検事総長を追い払うよう圧力をかけたと認めた」(NYP前掲)

ニューヨーク・ポストが公開した文書には、当時ウクライナのエネルギー企業のブリスマ・ホールディングスの取締役会の顧問だったポザルスキーの電子メールとされるものが含まれておいます。
ブリスマ・ホールディングスは、バイデンが副大統領だった時に、次男のハンターを月額5万ドル(536万円)の報酬を払って雇い入れ、2014年から2019年まで取締役を務めさせています。
ハンターは麻薬中毒で海軍を追い出されなんの資格も経験もないにもかかわらず、ウクライナのエネルギー会社の高額ポストに就任したわけです。
そしてハンターがやったことは、ウククライナでの奇怪な政界工作でした。

では、当時父親のジョー・バイデンはホワイトハウスでどのようなポジションだったのでしょうか。
バイデンは、当時オバマ政権の対ウクライナ政策の中心人物で、2015年にウクライナを訪問した際、ペトロ・ポロシェンコ大統領とアルセニー・ヤツェニュク首相に対し、10億ドルの融資保証をしないと脅して、ヴィクトル・ショーキン検事総長を解任させたと話していることを米外交評議会で認めています。

その時のバイデンの発言です。

「私は彼らを見てこう言った。私は6時間後に出発する。もし検事総長を解雇しなければ、お金はやらない。
そして、彼はクビになった」

バイデンは当時、ウクライナのポロシェンコ大統領にヴィクトル・ショーキン検事総長の辞任を求めたことについて、複数の欧州首脳や国際通貨基金(IMF)首脳などと共に、ショーキン検事総長は汚職摘発に及び腰だと批判し、解任を求めたと弁明していますが、多くの証拠が、副大統領の権力を行使して、息子の役員就任や疑惑をもみ消そうとした事実を示しています。

バイデンパパが副大統領任期中に、ウクライナに行った回数はなんと12回!
あろうことかウクライナの国政にも介入し、政権疑惑を捜査をしていたショーキン検事総長が解任されない限り、アメリカによる10億ドルの融資を付与しないとまで圧力をかけこの検事総長は2016年3月に解任され、融資は実行されたそうです。

つまりこのウクライナ疑惑は、親族に不心得者がいるいないという次元の話ではなく、バイデンがウクライナ現地に次男を送り込んで政界工作をさせ、自分は米国の融資を餌にしてウクライナ政府の人事に介入したということです。
そのプロセスで次男は甘い汁をたっぷりと吸ったという事件のようです。

バ イデンが、今まで息子のビジネスには関わっていない、と言ってきたことはまったく虚偽であることはもはや明白です。
上院国土安全保障・政府問題委員会の委員長のロン・ジョンソン氏 (共和党・ウィスコンシン州選出) は、「バイデン一族が副大統領の立場を利用しようとしていたことを示す証拠は山ほどあり、全てを把握するのが難しいほどだ」と述べています。

トランプはこのバイデン疑惑をかなり早い時期から知っており、2019年にウクライナ大統領に対してバイデン氏の汚職問題を調査するようにと要求しましたが、米下院はこの要求が不適切であると主張し握りつぶしただけではなく、2019年にはこのトランプの調査要求を理由に、大統領弾劾を試みました。
しかし、このバイデン父子のウクライナ疑惑はこの新たなパソコン資料の浮上で一気に逆転してしまいました。

まぁこのようにバイデンのウクライナ疑惑はもう逃れようもないところまできているようですが、驚いたことには、米国メディアはこれをほとんど報じていません。
真っ先に報じたニューヨークポストは共和党系ですが、この記事をツイッターようとしたところ、ツイッター社からブロックされてしまったようです。

「米国の大統領選挙の投票日も3週間後に迫った。これまでの大統領選を多数、報道してきた私自身の体験からみても、今回はあまりに異様である。思えば1976年のフォード、カーター両氏の対戦以来、通算8回ほども現地で大統領選を取材した。だが今回はそのどれとも根幹から異なる。 まずトランプ大統領までをも襲った新型コロナウイルスの大感染である。選挙自体の枠組みを大きく変えてしまった。第2には共和、民主両党派のあまりに険悪な対立である。ののしり合いが主体となり、政策論議は消えてしまった。第3には、トランプ氏と主要メディアのデスマッチのような激突である。大手の新聞やテレビの民主党傾斜は長年の現象だが、今回はその勢いが歴史的とも呼べる一線を越えたようだ」
(『一線越えた米メディアの偏向』 古森義久産経10月10日)

なんせトランプに対して、米国のオールドメディアの口汚いことといったらアベガーも顔負けで、これが米国を代表する知性かというほどです。

「トランプ氏のウイルス感染について反トランプを鮮明にするニューヨーク・タイムズ紙では、モーリン・ドウド記者らが「ついに天からの懲罰がウソで固めたトランプの世界に下った」と書き、これで選挙戦の結果が決まったかのような喜びをにじませた。
同様にワシントン・ポスト紙もダナ・ミルバンク記者らが「トランプ氏の無謀、無能、無責任、ウソの結果がこの感染であり、米国民への侮辱だ」と論評した。CNNテレビはジル・フィリポビッチ氏らが「トランプ大統領はこの感染でパニックに陥り、常軌を逸し、もう選挙戦に敗れたといえる」と断じた。
この種の論評には、トランプ氏支持層から一般国民の多くまでが示す感染への同情はツユほどもない。逆に大統領が傷ついたことを歓迎するのだ。しかも大統領自身やその医師団の公式の発表はすべて虚偽のように否定する。そこにはただ憎悪があるだけのようだ」(古森前掲)

ああ、安倍さん時代、毎日見た風景だこと。
そしてトランプについてニューヨークタイムスがなんと言っていたのかまで、最近流出しています。

「本来、選ばれてはならない人物が選ばれたから選挙ではない方法を使っても打倒する。
トランプ打倒を大目標とする紙面づくりを続ける」「これまで『ロシア疑惑』報道をその最大手段としたが、効果がなかった」「今後はトランプ氏がレイシスト(人種差別主義者)だとする主張を最大手段とする」
(2019年8月、NYTの編集会議の記録 古森前掲)

この編集会議のリークを読むと、トランプはレイシストと叫ぶBLMの運動を作ったのは、これらの米国メディアだったことが分かります。
築地の新聞社が、「安倍の葬式はうちで出す」と言ったとか言わないとか言われていました。
朝日はただ安倍批判をしたのではなく、原発や移設問題でも運動を焚きつける役割をになってきました。
メディアがいつしか運動団体の機関紙になってしまう、ニューヨークタイムスも同じ穴のムジナだったようです。

そしてその反面、安倍氏やトランプに憎悪をたぎらせているのはいいとして、バイデンに対して次々に明らかになる疑惑も一切報ぜず、彼の対中認識や経済政策も問わないという片手落ちがあるのはいかがなものでしょうか。

「この点を反トランプではないメディアのウォールストリート・ジャーナル紙やFOXテレビは「民主党支持にのめり込んだ敵意の偏向」と批判する。そして反トランプ・メディアが民主党大統領候補のバイデン前副大統領に対しては失言や放言も、息子の疑惑も追及せず、国内経済や中国への政策をも問い詰めない不公正を指摘する」(古森前掲)

このバイアスがかかったオールドメディアの報道に、ツイッターまで便乗しているようです。

※タイトル変えました。すいません。

 

 

 

2020年10月20日 (火)

「処理済み水」の海洋放出・専門家会議の提言

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林立する福島第1のタンク群はなんだと思いますか。
彼らメディアの表現を使えば、これが「放射能汚染水」のタンク群です。
物理的、空間的にもうこれ以上建て増しできないところつできていますから、これを処分していくしかなければ廃炉作業が限界に達するのは子供にも判る道理ですが、これに強硬に反対する人たちがいました。

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ひとつは地元の漁業関係者です。

この漁業関係者たちも実はなんどとなく東電の説明を受けて、これは汚染水をそのまま流すのではなく、徹底的に除去後の処理済み水を法定希釈して流すので、環境的にはなんの影響も出ない、ということを知っています。

漁業者が何を恐れているのかといえば、「風評被害」です。
これは私は2011年3月から約1年間、すさまじい風評被害にうちのめされたので、同じ生産者として理解できるつもりですが、あの時誰が騒いで私たちはヒドイ目にあったのでしょうか。
そう忘れもしない、脱原発運動家たちです。
彼らはこう言いました。東北や茨城のものを食べると死ぬぞ。どんな低線量被曝でも後障害が起きて大変な健康被害を生み出すにちがいないとエライ先生が言っている、とね。ただの疑似科学でしたが。
自分たちは匿名性に隠れて言いたい放題でした。10年ちかくたっても、私は彼らを許していません。
彼らこそ復興の敵でした。

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日本共産党

で、あれから約10年、なにか後障害が出ましたか。出るはずがありません。
当時から、出ないのは判りきっていたのです。
当時、そう私たちが反論しようものなら、「放射能汚染の食品を食わせるテロリストめ、早く農業なんか止めろ」と呼ばれたものです。
今回も同じ口調で叫んでいますが、それを煽ったのは誰あろう自分らではありませんか。
現地に住むわけでもなんでもない運動家たちが、声高に危険を煽り立てて生産者を窮地に追い込んだのです。
風評被害の源泉は、このような間違ったことを延々と言い続けた側にあるのです。
おっと、彼らへのオンネン書いてたら前置きが長すぎました(汗)。

さて、今回の海洋放出に関して関して、資源エネルギー庁は専門家を集めて3年間に渡り実に17回も検討会を開いて、その結果をこの5月24日に公表しています。
海洋放出に関して基礎的文献なので、この問題に発言する限り絶対にこれに眼を通しておかねばなりません。

■資源エネルギー庁
『安全・安心を第一に取り組む、福島の“汚染水”対策⑦ ALPS処理水に関する専門家からの提言
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/osensuitaisaku07.html

この「汚染水」という表現に小委員会はカッコをつけて「いわゆる」という意味で使っています。
内容を読めば、これが煽りでもなんでもないことはすぐにわかるはずです。

報告書にはこの「汚染水」をこのように定義しています。

「2011年に起こった東京電力福島第一原子力発電所(福島第一原発)の事故にともなって発生した、高濃度の放射性物質を含む「汚染水」。現在、放射性物質を取り除く浄化処理が進められており、浄化処理した水は「ALPS処理水」と呼ばれています。
汚染水から放射性物質を取り除く浄化処理は、汚染水対策の3つの基本方針「①漏らさない ②近づけない ③取り除く」のうち「取り除く」対策にあたるもので、汚染水に含まれる放射性物質のリスクを下げるためにおこなわれています。
浄化処理は複数の設備でおこなわれますが、「多核種除去設備(advanced liquid processing system、ALPS)」と呼ばれる除去設備では62種類の放射性物質を取り除くことができます。浄化処理が終わった水は「ALPS処理水」と呼ばれます 」(提言)

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「多核種除去設備(ALPS)」提言より

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ALPS処理水の二次処理のイメージ   提言より

検討会のポイントはこのようなものです。

リストアイコン 「復興と廃炉の両立」の下で、ALPS処理水の処分は、廃炉作業の一環。
リストアイコン 基準を超えているALPS処理水は確実に二次処理を行い、基準を満たす。
リストアイコン 処分方法は、技術的には海洋放出および水蒸気放出が現実的。
リストアイコン 処分による人体への影響は、自然放射線の1000分の1以下。
リストアイコン 処分をおこなう際には、徹底的に風評被害対策を講じるべき

提言が重視していることは、「福島第1原発の廃炉」と「福島の復興」が同時並行で行われねばならず、処分を急ぐあまりにいいかげんな処理をしたり、逆に復興を理由に処理・処分を怠ってしまってはならない、ということです。
当たり前のようですが、運動家やメディアはいまだ2011年の水準から抜けられずに、「放射能汚染水を流す」と同じ調子で煽動しています。

たしかに事故処理当初の「汚染水」はトリチウム以外の放射性物質も規制限度を超えて含まれていました。
その理由は「浄化処理が始まった当初は、まずは規制基準を守るため、敷地境界(原発敷地内と外の境界)における追加の被ばく線量を下げることを重視していたため」です。
ただしこのまま規制限度を超えていたわけではなく、いったんALPSにかけ浄化処理を行い、さらに「環境中に放出される際には、ALPSなどによる浄化処理(二次処理)をおこなって、放射性物質を規制基準以下にすること」となっています。

ここで提言がいう「環境への放出」とは、、「地層注入」「水素放出」「地下埋設」の方法のことですが、これについてひとつひとつ検討した結果、もっとも国際的に実績がある「海洋放出」に絞られました。

「海洋放出が実績のある手法です。前述したように、日本を含む世界の原子力施設では、トリチウムを含む液体の放射性廃棄物が希釈され、各国の規制基準を守る形で、海洋などへ放出されています。また、水蒸気放出とくらべると、設備が簡易で、モニタリングもしやすいので、処分を確実に実施することができます」(提言)

このようにトリチウムは基準以下にまで下げた「告示濃度」にまで希釈して海に排出する以外、いかなる解決方法もありません。

「多核種除去設備は、汚染水に関する国の「規制基準」のうち、環境へ放出する場合の基準である「告示濃度」より低いレベルまで、放射性核種を取り除くことができる(トリチウムを除く)能力を持っています」(東電HP)


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下図は、世界の原子力施設で液体廃棄物として海に放出した、トリチウム量のグラフです。

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 図 海産生物と放射性物質(海洋生物環境研究所 

英国が最大放出国で、実に2500兆(2.5×1015)Bq/年程度、日本は6分の1の400兆(4×1014)Bq/年程度です。
このグラフには再処理施設からの放出量は含まれていないために、英仏はさらに多くなります。 
このように現在でも各国の原子力施設からは、日常的に海にトリチウムが放出されています。 


●各国のトリチウム海洋放出量
・英国(セラフィールド再処理施設)・・・年間1390兆ベクレル(2010年値)
・フランス(ラ・アーグ再処理施設) ・・・年間9950兆(2010年値)
・カナダ(ブルース原発)       ・・・年間1180兆(2012年値)

 これはロンドン条約で認められた、唯一のトリチウム解決法です。ロンドン条約を押さえておきます

「ロンドン条約 1972年は、海洋の汚染を防止することを目的として、陸上発生廃棄物海洋投棄や、洋上での焼却処分などを規制するための国際条約。」
ロンドン条約 (1972年) - Wikipedia

なお、放射性物質の放出は同条約で禁止されているという説を反原発派が流したことがありますが、正確ではありません。
ロンドン条約は、船舶からの海洋へ処分する行為等を禁じていますが、原発施設からの放射性排水の海洋への計画放出は対象に なっていません。
ロンドン条約で許されたトリチウム濃度は6万ベクレル/ℓで、これ以下ならば放出することが国際的に認められいます。

また運動家の中には、福島第1で事故処理に失敗したから漏れだしているのだろうということを言う者もいるようですが、まったく違います。 
今まで
他の国内の原子力施設からも以下の放出がなされていました。 

 

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各原発からのトリチウム海洋放出の年平均値(2002年度~2011年度)平成23年度  原子力施設における放射性廃棄物の管理状況(2012年8月) 

また、提言は健康被害についても、このように述べています。

「そこで参照されたのが、「原子放射線の影響に関する国連科学委員(UNSCEAR)」による比較モデルを使った評価です。このモデルによれば、海洋放出と水蒸気放出のどちらの場合も、仮に現在タンクに貯蔵されているすべてのALPS処理水(トリチウム量は約860兆ベクレル)を1年間で処分し、それを毎年継続したとしても、自然に存在する放射性物質から受ける影響(2.1ミリシーベルト/年)の1000分の1以下の影響にとどまるという計算結果が得られました。

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提言より

当然ですが、日本は放射性物質の海洋放出監視機関であるIAEA(国際原子力機関)と既に合意しています。

「今年2月に日本を訪れたラファエル・マリアーノ・グロッシーIAEA事務局長はNHKのインタビューで「原発処理水を浄化して海に流すのが現実的で一般的」とし「IAEAが海洋放流をモニタリングして関連事項を公表する方法で日本政府を支援することができる」と語り、日本政府の決定を尊重する立場を表明した」(デイリー新潮10月19日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/23f611448135ea2ce0874398da2c57e4415f339f

「福島の再興」を妨げてなりません。
福島の再興において原子力事故の処理は不可欠であり、一日も早く完全に終了させねばならない以上、一択の海洋放出を実施するのは当然のことなのです。
それについて提言はしっかりとした検査体制を継続すること、万が一規制値を超えたら緊急停止できる仕組み、そしてそれらの諸情報を簡単に一般の人も見ることができるリスクコミュニケーションが必要だとしています。

まったくそのとおりで、福島の再興と廃炉処分はまったく矛盾するものではないのです。
運動家たちにはなにを言っても初めから結論があるので無駄ですが、地元の漁業関係者には懇切ていねいなリスクコミュニケーションと補償が必須です。

 

 

                           

2020年10月19日 (月)

「処理済み水」の海洋放出について

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やっと福島第1原発廃炉に向けた作業が大きなヤマを超えようとしています。
いままで、溜まりに溜まった処理済みの水を海洋放出できないために、詰まったトイレ状態になっていたわけです。
尾籠な話で恐縮ですが、トイレの排水管が詰まれば、やがて溢れてきますが、ちょうど下水を下水処理場に送ってきれいに浄化し、規制値に達してしてから河や海に流すわけですが、それと理屈は一緒です。
放射性物質を二度浄化装置にかけてから、さらに水で希釈して海に流そうというわけです。

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河北新報

水の出所は3カ所です。

①原子炉の冷却系の循環水
②汚染水貯蔵タンクからの漏水
③流入する地下水

あいにく福島第1原発は、山系から湧きだす豊富な地下水がある場所に建てられていました。
しかも地表を15メートルも掘り下げて建設されたために、いっそう地下水が湧きだすことになりました。
平時はそのまま海に流せばいいだけのことですが、事故処理となると大きな問題となりました。
それは地下水の出る3ルートが、事故を起こした原子炉や瓦礫と接触して、濃度の差があっても放射性物質を含んでいる可能性があるからです。

ではどうするかといえば、ひとつは施設手前に井戸を掘ってバイパスルートを作ること、施設を囲む凍土壁を作ってブロックすることでしたが、いずれもあまりうまくはいきませんでした。
あまりにも流入量が多いからです。
地下水の8割から9割は施設地下に流入し、いわゆる「汚染水」となってしまいました。

止められなければ、放射性物質を除去するしかテはありません。
そこでこれを、ALPS(アルプス・多核種除去装置)を稼働させて、放射性物質を取り除いて浄化する仕組みを作りました。
事故処理のみならず、廃炉の日まで原子炉の冷却は止めるわけにはいかないので、完全廃炉の日までALPSを稼働させ続けねばなりません。
今日取り上げる提言でも、廃炉までALPS(多核種除去設備) を動かすことを前提にしています。

よくある誤解ですが、再稼働停止の仮処分を出したある裁判官などは、再稼働を止めれば「安全」だと勘違いしていたようですが、原子炉と使用済み燃料は、運転停止しようと事故処理中だろうと、休みなく冷却し続けねばなりらないのです。
冷却水が止まれば炉心を冷却することがなきなくなり、また事故に繋がります。
ですから、この冷却水は半永久的に止められません。

 ごこで「汚染水」処理の切り札として登場したのが、いま述べた多核種除去設備 (ALPS) です。

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東京電力HP

このALPSは大変に高性能な除去装置で62種の放射性物質を除去しますが、唯一の例外がいま問題となっているトリチウムです。

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・γ核種(45核種)・・・検出限界値(ND)未満にまで除去
・β核種(8核種)・・・5核種までが検出限界値(ND)未満にまで除去
・Sr-89(ストロンチウム)、Sr-90、Y-90(イットリウム)については、告示濃度以下

しかし、唯一例外が先ほど述べたトリチウムです。
トリチウムは別名三重水素といい、いわば「水」ですから、水の中から水を除去できないのです。
もう少し細かく言えば、トリチウムは、毎日宇宙から地球にふりそそぐ放射線が空気中にある窒素や酸素とぶつかり、日々あらたに作られるもので、空気中や海水中に普通に含まれています。
中性子を2つ持つ水素の同位体であり、ガンマ線を出しますが、非常に小さな力しかなく、人体に与える影響はミニマムで、ヨーロッパのミネラルウォーターには含まれているものが多く、フランスなどにはその含有基準すらあります。

とくに流出した「汚染水」を飲まなくても、既に地上生物の体内の水にはトリチウムが含まれていて、およそ1ベクレル/ℓだといわれています。
当然人体も被曝事故を起こさなくても、トリチウムを微量持っています。

WHO飲料水ガイドラインが10000ベクレル 処理水660ベクレル 人の体内に元からあるのが100ベクレルです。

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よく汚染水を出すなら、お前が飲んでみろ、という人が反原発運動家にはいますが、いいですよ。、飲みましょか(笑)。
もちろん法定希釈濃度にしてからですが、ウガイをして歯磨きにつかってもかまいません。
そんなていどのものなのです。

このトリチウム以外を取り除いた「処理済み水」を、東京新聞など一部メディアはいまでもあいもかわらず「汚染水」「放射能汚染水」」と呼んでいますからタチが悪い。

「海洋放出を政府が決定へ 福島第一原発の汚染処理水 東京電力福島第一原発で発生した汚染水を浄化処理した後の放射性物質トリチウムを含む水の処分を巡り、政府は今月中にも関係閣僚による会議を開き、海洋放出処分の方針を決める。関係者への取材で分かった。漁業者を中心に「風評被害が起きる」として放出に反対の声がある中、事故発生10年を前に、汚染水対策は新たな局面を迎える」(10月15日)

かなり前の時期から、脱原発はイデオロギーになってしまいました。
そして政府批判の材料として散々使われてきています。本来はイデオロギーとは無縁に技術的な解決を探るべきなのに、絶対ノー、すべてノー、どのような対策をとろうと一切駄目、ですから話になりません。
本来は、広く世界でどのようなトリチウムの処理がなされているのかを知ってから判断すべきなのに、原発反対だから汚染水処理を止めろ、廃炉作業も止めてしまえ、事故処理は全部破綻してしまえ、と言っているようにすら聞こえます。
こうう破滅願望があるものだから、まともに専門の意見には耳を貸さず、まるで被害者代表にでもなったような顔をして騒ぎ立てます。

次回ふれますがこのような人たちは、資源エネルギー庁の『安全・安心を第一に取り組む、福島の“汚染水”対策⑦ ALPS処理水に関する専門家からの提言』という基礎文献すら読んではいないようです。
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/osensuitaisaku07.html
学術会議の任命問題では学術会議法の条文ひとつろくに読まず、福島事故では国連科学委員会の報告書も読まず、「処理済み水」をいまだに「汚染水」と平気で呼ぶ、こんなことばかりしているからいっそう現実と無縁になっていくのです。

※あまりに長いので後半をカットして明日に回しました。

 

2020年10月18日 (日)

日曜写真館 影絵の秋桜

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どこよりも野辺に似合いし秋桜 桑原敏枝

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秋桜またしなやかに立ち上がる 大東由美子

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吹かれつつ風をいなせる秋桜  清水谷法明

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遊び田に風たはむれる秋桜 小川花久


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人生は背丈いろいろ秋桜  桑原敏枝


 

2020年10月17日 (土)

北朝鮮の特大ICBMは使えるか?

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北朝鮮や韓国のゼスチャーを見る時に、私たち日本人が心せねばばならないのは、あれは大部分が「国内向けのショー」みたいなものです。
たとえば今回10月10日早朝の軍事パレードに登場した超特大ICBMなどその典型です。

見た目はすごいですね。
いままで最大だった火星15を更に上回り、しかも手のこんだことには移動式車載でしずしずと登場しました。
これが正恩が2019年末の党中央委員会で宣言した、核・長距離ミサイル実験の一時停止の解除と、「新しい戦略兵器を登場させる」ということの中身です。
まだ核・長距離ミサイル実験は再開していませんが、これは最後のカードにするつもりなのか、先にこのモンスター移動式ICBMを見せたということになります。

正恩はパレードの前の演説で、こう自画自賛しています。

「まさにこの場で行われた党創立70周年慶祝閲兵式と比べてみると、誰もがよく分かるでしょうが、われわれの軍事力の近代性は大きく変わり、その発展速度は誰もが容易に推しはかることができるだろう」

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張り切りましたね。なんと11軸22輪の発射車両ですから、前回実験した火星15号の9軸18輪を上回る巨大さです。
この15号も車載移動式ICBMとしてはギネス認定ものでしたが、自己記録を更新して文句なく世界一です。

一部の専門家は、このモンスターICBMは 、弾頭に複数の核弾頭を詰め込む多弾頭(MIRV)で、米国の本土ミサイル防衛能力を上回る飽和攻撃を可能にするだろう、と言っています。
また、移動式であるために固定サイトからの発射方式と違って、どこからでも発射できるから発射前に破壊するのは困難なので、より実用化に近づいたという意見もあるようです。

というのは、かつての銀河ロケットなどは長時間かけてとろとろと液体燃料の注入をせねばならず、これではすぐに上空から丸見えで破壊されてしまいますそれに対して移動式ならば、国内のどこからでも事前に分散させておけばいいわけで、仮に米軍が北朝鮮のICBMを全部確実に発見して破壊できなければ、残ったICBMが発射されてしまうことになります。
するとたぶん本当に多弾頭式なら3発の核弾頭を持っていますから、下手な鉄砲数撃ちゃ当たるで、数発これを打たれるとその一部は米本土ミサイル防衛網を突破し、米本土を直撃するリスクが残ります。

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多弾頭ミサイルの概念 ウィキ

これは建前としては、米国向けのファイティングポーズです。
今年の元旦の辞で、正恩は直接演説せずに編集した録画で(ここからしてオカシイですけど)、朝鮮中央通信を通じてこんなことを述べていました。

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BBC

「朝鮮中央通信によると、金委員長は党中央委員会総会で、米韓合同軍事演習や制裁を続けるアメリカについて、「対話を唱えながらも、朝鮮を完全に窒息させ圧殺しようと二面的な態度を取っている」と批判。アメリカが対北朝鮮敵視政策を続けるならば、「朝鮮半島の非核化は永遠にない。我々が約束に一方的に縛られる根拠はなくなった。約束に相手はなく、そのせいで我々の世界的な非核化と不拡散の取り組みが冷え込んでいる」と主張した。
報道によると、金委員長はさらに、「世界は遠からず、朝鮮が保有する新たな戦略兵器を目撃することになる」と主張したという」
(BBC2020年 1月1日)

北朝鮮にはすでに発射実験を終えたICBMが2種類存在します。

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北朝鮮「火星15」ミサイルの映像・写真から分かること - BBCニュース

1つめは2017年に2度の発射実験を行った、単一核弾頭型火星14号で、射程は北米大陸と西ヨーロッパのほぼ全域を収める約1万キロです。
そしてふたつめが、同じく2017年に実験を行った火星15号で、射程は約1万3000キロで、同じく欧州全域と北米大陸全域に到達できます。
そしてそれに追加して、今回満を持して登場させた火星16号(仮称)です。

射程は充分に火星14、15で獲得していますから、後残るのは、再突入が完全に行われるかどうか、そして多弾頭化と水中発射です。
今回はこのうちの多弾頭化へのチャレンジですが、ただひとつ重大な欠陥があります。
これは移動式弾道ミサイルで使うとなると、使い物にならないのです(残念)。
それはなぜ中露が車載式移動ICBMを8軸16輪で止めているのか、考えてみればわかります。
北朝鮮が技術供与をパクった中露がしないにはわけがあるのです。

まず、この火星16号(仮称)は、この大きさからみれば液体燃料式ロケットエンジンを持ち、主推進部分は二段式です。
積んでいるのは、昨年12月に東倉里の西海衛星発射場で実施したロケットエンジン燃焼試験で実験したものだと推測できます。

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聯合

これが完成したという北朝鮮の発表を鵜呑みにした上で、これが使えるかどうか考えてみます。
移動車載式とは、この新型ICBM全長約25.5メートル、直径約2.7メートルを載せて移動して、降ろして液体燃料を注入してからおもむろに発射するという手順を踏みます。

ここで問題が二つ発生します。
ひとつは30メートルを超えるような長大かつ超重量なトレーラーは実用的ではないことです。
だいたいそんなモンスター・トレーラーは北朝鮮内にはわずかしかありません。
火星14号は、中国・武漢の万山特種車輌の8軸16輪トラックWS51200でしたが、これは6台しか北朝鮮への輸入が確認されていません。
火星15号は、北朝鮮製と自称する9軸18輪でしたが、更に少ない数台しか保有していないでしょう。
まして火星16号(仮称)は11軸22輪ですから、このパレードに登場したのが在庫全部であってもおかしくはありません。

この超貴重品のモンスタートレーラーが、北朝鮮の貧弱な交通インフラの上を移動できるかどうか、はなはだ疑問です。
たぶん無理でしょうね。ギャップを踏んで車体が傾いただけで車軸が歪んで故障しますし、エンコしようものなら救出不可能です。
だいたい曲がり角など何回切り返せばいいことやら。
おまけにこれは実用的な固体燃料式ではないため、危険な液体燃料タンクローリーを随伴させねばなりません。
危険物の大名行列です。おお、こわ。
こんなものを運転する兵隊さんは決死隊か、懲罰隊でしょうか。

こんなモンスタートレーラーとバカでかい燃料タンクローリーが走れる大きな道路は限られていますから、米国からすれば上空から丸見えです。
もし仮に、北朝鮮と政治的に緊張した状況で、火星シリーズを複数移動させたならば、米国はこれを発射の意図ありと判断し、予防的空爆をかけることをためらわないでしょう。
というわけで、移動式といっても展開出来る場所はいたって限られていますから、米国からすれば山岳地帯に潜む中距離弾道ミサイル群よりはるかに対処しやすいものなのです。

この火星16号(仮称)は、多弾頭にしたい、移動式にしたいと欲張ったあまり実用性がないものに仕上がってしまったわけで、米国軍事筋はこれを冷徹に眺めています。
彼らが火星15号実験時に政治的には極めて危険だがまだ実用化には至っていない、と判断したとおなじように、これも到底本物ではないという判断を下したはずです。

つまり、これは国内向けのショーにすぎないでのです。

 

 

2020年10月16日 (金)

詰まっていた大河が一気に流れだしたようです

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菅政権の特徴はそのスピードです。すごいね、のひとことです。
そのうち「今日のスガの仕事」コーナーでも作らねばならなくなるかもしれません。
ここまで一気に諸懸案を解決に向けてしまう驀進ぶりにはひたすら驚かされます。
まるで、堰止まっていた大きな河が、一気に流れだすのを見る思いです。

歴代政府が見て見ぬふりをしてきた学術会議は、一気に共産党支配の実態が暴露され、解体民営化まで視野に入れられています。
彼らが大きな影響力をもっていた科研費の闇にもメスがはいるでしょう。

また、いままで袋小路に入っていた原発事故処理の最終工程であるトリチウム汚染水を海洋放出することに決まりました。

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朝日

東京電力福島第1原発のタンクにたまり続けている汚染処理水について、政府は、放射性物質の濃度を下げた後に海に流して処分する方針を固めた。政府関係者への取材で判明した。月内にも、廃炉・汚染水対策の関係閣僚会議を開いて決定する。風評被害への対策については、今後も継続して議論し詰めていく」(毎日10月15日)

実現には規制委員会の承認が必要ですが、彼らも理解しており、ここでもめるとはおもえません。

その少し前の8月には、原発の最大のネックであった高濃度廃棄物最終処分場も、北海道に候補地が現れました。

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「原子力発電に伴って発生する高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定を巡り、北海道寿都(すっつ)(町が候補地立地調査の第1段階である文献調査の受け入れを検討していることが13日わかった。
 片岡春雄町長は同日、読売新聞の取材に「最終処分場の受け入れが前提ではない。小さな町の将来を見据える材料の一つとして文献調査の応募を考えている。町民の意見を聞いた上で方向を決めたい」と話した。町民意見交換会などを経て9月に結論を出す方針だ」
(読売8月18日)

寿都町は当分はバッシングの嵐でしょうが、まったく候補地がない状況から一歩踏み出しました。
決まるにせよ、決まらないにせよ、候補地が具体的にならないのでは議論のしようもありませんからね。

一方、いままで実効支配しているとは言い難かった尖閣諸島に、環境省が生物調査をすることに決まりました。

「加藤勝信官房長官は15日の記者会見で、沖縄・尖閣諸島の動植物などに関する自然環境調査を年内にも実施することを環境省が検討していると明らかにした。「過去に作製した植生図の更新や、希少な野生動物であるアホウドリなどの生息状況に関する調査を最新の人工衛星画像を用いて実施する」と述べた。日本政府は原則として官民いずれも島への上陸を認めない方針のため、調査で上陸はせず衛星画像で確認する。周辺の領海への侵入を繰り返す中国をけん制し、実効支配の根拠とする狙いもありそうだ」(毎日10月15日)

空中調査なのは艶消しですが、遠からず実地調査に入ると思いますので、いいいとしましょう。
ともかく腫れ物に触るようになにもしない、わが国の領土ですと百回唱えても中国相手には無意味です。
野田政権が国有化したことで妙に安心している人がいますが、あのようなものはただの紙切れです。
国際社会から見れば中国が南シナ海の人工島に住所をつけて行政下においたつもりになっているのと同じ次元です。
領土とは、あくまでもそこで生活し、生産を続ける住民がいるか、無人島ならばその周辺で漁業をする漁民のために政府がなんらかの政府支援をしなければならないのです。

たとえば航行の安全を保つ灯台や、一時避難のための船溜まりや休憩施設が必要です。
またそれを準備するための尖閣諸島の環境調査などの行政行為があって初めて実効したといえます。
今のように臭いものに蓋、触りません、触りません、という対応では尖閣を守ることは不可能です。

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10月11に尖閣領海に進入した中国公船2隻は、それ以来領海内に居すわっています。
これは国有化以来最長の進入期間であり、大正島の東約22キロの海上で、操業中の日本漁船1隻に接近し「取り締まり」をしようとしていることが明らかになっています。
これらをすべて海保第11管区にだけ押しつけるのではなく、政府が実効支配の具体的一歩を記すことが求められていました。

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もちろんこれは偶然なのですが、海自の最新鋭潜水艦「たいげい」の命名・進水式が10月14日に、三菱重工業神戸造船所で行われました。
「大鯨」、いいネーミングです。先代は1942年に空母「龍鳳(りゅうほう)」に改装された潜水母艦「大鯨」です。
改造空母ながら日本海軍機動部隊最後の旗艦となり、沈むことなくその生涯を終えました。今、その名を継ぎます。
世界最大の通常動力型潜水艦で、その静粛性などにおいて、まちがいなく世界最高峰の潜水艦になります。
海自に引き渡されるのは2022年3月で、就航すれば日本の潜水艦は22隻体制になります。

これらのことはほとんどが安倍前政権が準備を進めてきたものですが、一気に菅政権で現実のものとなりました。
もちろん運がいいのですが、安倍氏がそうであったように運がいいのも実力があるからです。
運を引き寄せ、実現するに足る迫力のようなものが、この政権には備わっています。
菅政権の凄みとでもいうべきものは、トップダウンでグイグイ進めていくところです。
学術会議問題でも、それに足をとられないで、別方面の行政改革も同時推進していき、その中に埋没させていってしまう方法をとっています。
なまじ弁が立つ政治家だとここで学術会議一派とやり合って、結果、モリカケのような泥沼化する結果になるのですが、菅氏は賢明にもそのよう空中戦には見向きもしません。
ひたすらこれと定めた仕事をやり抜くのみです。

このような安倍氏が作り上げ、菅氏が支えた官邸を司令塔にする大統領的首相のあり方は、先代とは違った意味で早くも全開のようです。

北朝鮮の特大ICBMと朝鮮情勢については明日にしました。

                                                          

2020年10月15日 (木)

正恩はほんとうに生きているのか?

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北朝鮮が10月10日の早朝、ヘッドドライトをつけての軍事パレードという世にも珍しいものを行いました。
世界の軍事パレードは、国民や国際社会への国威発揚、あるいは威嚇が目的ですから、こんな誰も見ない時間にすることはありえません。
自衛隊の総合火力演習を夜やったらびっくりするでしょう。
しかし北朝鮮は、眠いのに叩き起こされたのかどうか沿道を埋めつくす人民の皆さんの歓呼の声に送られて、威風堂々と軍事パレードやったとのことです。
こんな深夜でも人が集められるのが、この国のコワイところですが、それはともかく、全国民への映像はその日の夜まで公開されませんでした。

さてここでふたつの疑問が湧いてきます。
軍事は北朝鮮の大黒柱です。軍事、なかでも弾道ミサイル・核武装が持つ意味は、国の存在理由そのものだといってもいいくらいのものです。
先代は先軍政治などという奇妙な造語を作ってまで、軍が国の基幹であることを誇示し続けたものです。
北朝鮮は、いわばて国が軍であり、軍が国なのです。

にもかかわらず、この国にとって最大の催しである軍事パレードをなぜ夜にしたのでしょうか?
そしてそれを19時間も後に国民に見せたのはなぜでしょうか?
これでは国威発揚にならないじゃないですか。
なにか昼にやってはならない理由でもあったのでしょうか?

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さて、この奇妙な光景を、米国や中国は注視していたことでしょう。
平壌に軍隊が集結している状況は、リアルタイムではるか上空の偵察衛星でジッと観察していたはずです。
大量の部隊が機甲部隊を随伴していたので、西側軍事筋としては正恩が死んで政変クーデターという線も考えないではなかったでしょう。
翌日に記念日のパレードがあることは知られていましたが、軍事パレードがそのままクーデターになることはまれにあります。
それがこともあろうに深夜動き出したのですから、興味津々で眺めていたことでしょう。
ただし部隊にICBMを含む弾道ミサイル部隊がいるのを発見して(ICBMを担いでクーデターする奴はいませんから)、やはり明日のリハーサルだと思ったそうです。

ところがこれもはずれでした。
なんと12時をすぎて、この大部隊がゴーゴーと移動を開始し、「夜のピクニック」ならぬ夜の軍事パレードを始めたのです。

同時に朝鮮中央通信が「夜の7時から特別放送をする」と予告しました。これもまぁヘンと言えばヘンです。
普通はこんな国威をかけたパレードは実況中継するもので、いままでもそうしてきました。
いくら特権階層のみが暮らす平壌だからといって、人が来にくい深夜はあまりに不自然です。

そして彼らの常識ならば、首領様がいかにすばらしい偉大な領袖なのかを、あの朝鮮中央通信のピンクレディがわめき立てながらやるものですが、それが実況中継なしで19時間もたってから編集だらけの映像での正恩が顔を出しただけです。
しかもその演説内容は後述しますが、ありえないものでした。

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私は今まで正恩死亡説に対してかなり懐疑的でした。
証拠が欠落していているので、憶測風評の域をでない情報だと考えてきましたが、この一件で正恩死亡説、ないしは重体説はほぼ確かだと考えるようになりました。
というのは、もし仮に正恩が正常な健康状態ならば、こんな夜に19時間もたってから録画で登場するなんてことはかんがえられないからです。
「労働党創建75周年」とやらはやらないわけにはいかない、しかし通常通りやるとボロが出てしまうからこんな変則な形になったのではないでしょうか。

なにを隠したかったのでしょうか。もちろん「最高尊厳」がまともに人前に出てこれないこと、です。
出てこれれば、こんな手のこんだ深夜のパレードなんかする必要はなかったし、正恩が堂々と人民諸君の前で演説をしてみせれば済むことでした。
生中継をすれば、いやでも正恩の演説もリアルタイムで流れますから、西側外交筋はその声の音紋を徹底分析し、その顔や表情に至るまで解析し尽くしたことでしょう。
だから、そんな材料を与えられない事情が、北朝鮮にできてしまったというわけです。

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 時事

上の写真に写っている正恩らしき人物が本物かどうかは私にはなんとも言えません。
シンガポールでトランプと直接会談したときの画像と比較してみてください。
たぶんシンガポールには本物が出ているはずですので、比較対象にはなるでしょう。

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米朝首脳、史上初の会談 トランプ氏「素晴らしい関係」正恩氏「障害 ...

ネットの替え玉説では、鼻と耳の形が違うとのことです。
下の二枚をみる限り、左の人物の耳は大きく、右は小さい、左は小鼻が張っていますが、右は小さいので、明らかに別人でしょう。
顔の輪郭とか体型は変えられますが、耳と鼻は変装のしようがないのです。

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そう思って、シンガポール時のものと10月10日の二枚を較べてみると、シンガポールのほうが耳たぶが大きいようにも見えます。

私はこの替え玉説はあって当然だと思っていました。
共産圏の指導者が替え玉を用いるのはむしろ常識的なことで、いないほうが例外的です。
一党独裁ならぬひとり独裁の国では、簡単にボスが暗殺されたり、重体で再起不能なんてことになったら、国家全体が崩壊しかねないからです。
正恩の場合、国民の前に不在の時期が長すぎ、出ても編集映像や静止画像ばかりです。
そして今回は、なにかこの替え玉らしき人物が、ぜったいに本人ならばやらないようなことを仕出かしたのかもしれません。

そう思って注意してみると、この間、強気の正恩ならば絶対に言わないようなことを口にしています。驚いたことには、なんと人前で泣そうな顔で「反省の弁」を述べたそうです。

「一方、正恩氏は国内経済では苦境を素直に吐露した。新型コロナや水害への対策での苦労を訴え、「予想できない挑戦と障害は手に負えないものだった」と時折声を詰まらせつつ、「人民に話したいのはありがとうの一言だけだ」と何度も感謝を強調した。 さらに「人民の大きな信頼を受けていながら、一度も恩返しができず面目ない」「私の努力と誠意が不足し、人民が生活の困難から抜け出せずにいる」と反省の弁も。朝鮮中央テレビの映像は参席者が涙を流す様子も映しており、人民の情に訴えることで、難局打破への一致団結を図る意図がうかがえる」(時事10月11日)https://www.jiji.com/jc/article?k=2020101000570&g=int

え、「手に負えない」だって?「人民に恩返ししたい」とな?なに「ありがとうのひとこと」、フンギャ。
ありえない、この国の「最高尊厳」がこんなことを言ったら、太陽が西から登ってしまいます。
先代、先々代が墓の中から起きてきてこう言うでしょう。
バカヤロー人民に謝るだって、党中央はお前なのだ、唯一の白頭山の血脈が頭を下げてどうする、お前の弱気につけ込みたい反党分子が喜ぶだけだぞ、最高指導者は絶対に誤りを認めないから誰からも恐れられ侮られないのだ、もうお前は失格だ、いっそヨジョンにやらせろ、と怒鳴り飛ばされます。

私はこれを読んだ時、もうすでに正恩は死んでいるか、生きていても判断能力を失った脳死状態だと確信しました。
朝鮮文化の辞書には「謝罪」という概念はありません。謝罪はさせるものであって、自分は絶対してはならない、すればその人物は社会的に葬られかねないのです。

ところが先日の越境韓国人射殺・遺体焼却事件では謝罪らしきことを正恩が口にしていました。

「北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が西海(ソヘ、黄海)で起きた韓国公務員射殺事件に対して公式に謝罪を伝えたと青瓦台(チョンワデ、大統領府)が25日、明らかにした。
徐薫(ソ・フン)国家安保室長はこの日の記者会見を通じて、北朝鮮が該当事件に関連する通知文を送ってきたという事実を公開した。
北側は通知文で「南北の間の関係に面白くない作用がある事件がわれわれの水域で発生したことに対して貴側に申し訳なく思う気持ちを伝える」とし、正恩氏の言葉もあわせて伝えた。
正恩氏は「そうでなくても悪性ウイルスの病魔の脅威に処した南側の同胞に助けの手どころかわれわれの水域でかんばしくないことが思いがけなく発生して文在寅(ムン・ジェイン)大統領と南側同胞に大きな失望感を与えたことに対して非常に申し訳なく思う」と話した」(中央日報9月25日)    
https://s.japanese.joins.com/JArticle/270624?sectcode=510&servcode=500

この発言などは全体を読むといつもの北朝鮮節なのですが、それでも「非常に申し訳ない」なんて言質をとられることを言っているわけで、わずか半月後の軍事パレードの反省の弁とつなぎ合わせると、到底本人ではないとおもわざるをえなくなりました。

長くなりましたので、軍事パレードででてきた特大ICBMについては次回にまします。

 

2020年10月14日 (水)

中国製ワクチン供与の黒い意図

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菅首相の新たな内閣参与の顔ぶれが出ました。

・岡部信彦(川崎市健康安全研究所長)…感染症対策を担当
・村井純(慶応義塾大学教授)…デジタル政策担当
・熊谷亮丸(大和総研チーフエコノミスト)…経済・金融担当
・高橋洋一(嘉悦大教授)…経済・財政政策担当
・中村芳夫(経団連顧問)…産業政策担当
・宮家邦彦(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)…外交担当

岡部氏は政府の感染症対策専門家会議の委員で、経済再開についてはこんな発言もあります。

新型コロナウイルス感染症対策分科会メンバーの岡部信彦(おかべ・のぶひこ)・川崎市健康安全研究所長は「Go To キャンペーンとイベントの緩和とは間を置いて実施し、影響を見ていくのが理想的だ」と指摘。人の動きが拡大した影響を慎重に見極めることが重要だという」(ウェブ東奥9月20日)

また現状では、2類感染症に分類されたために軽症・無症状まで隔離していまい医療を圧迫しましたが、この規制緩和を岡部氏は提唱しています。

経済分野では高橋氏の再任です。
リフレ派の私としては高橋さんが第1次安倍政権についで二度目の登場と聞いて、おお、と膝を打ったのですが、中村氏は経団連顧問の肩書でわかるように増税派、熊谷氏も同じくそのようです。
数的には増税派が多いのですが、常識的に見てバランスの問題でしょう。党内は増税派のほうが圧倒的ですからね。

むしろ高橋氏を参与に入れたのは、今さら規定路線である金融緩和・財政拡大を言わせるためではなく、菅さんが最大の攻略目標に上げている規制緩和の知恵袋にしたいのではないか、と思います。
高橋氏と菅氏は、共に竹中大臣の下で規制緩和の制度設計をやった同じ釜の飯の関係ですから、バリバリのIT推進派の村井さんとどういう仕事をしてくれるのか楽しみにしています。

ちょっと前に首相補佐官に共同通信で反安倍をやっていた柿崎明二氏が任命されたことで保守派の失望を買っていましたが、補佐官は首相が意見を聞きたい時に補佐するだけ人で、内閣参与と違って政策には関与できません。
マスコミ関係のブレーン入りといえば、8月末で産経新聞を退社した元ソウル支局長・加藤達也氏が官邸の情報機関の内調(内閣情報調査室)入りが流れています。
安倍氏時代に打診されていたそうですが、パククネ時代に不当逮捕された経歴の持ち主の加藤氏が入れば、これ以上ない韓国への意思表示となりますが、いまのところ未定です。
外交がらみといえば宮家氏について私は微妙な評価なので、今後をみさせていただきます。
宮家さんは大嫌いなトランプが当選したら、菅さんにどういう知恵を授けるのでしょうか、聞きたい気もします。

菅さんがなにをしたいのか、何に向かっているのか、非常によく判る布陣です。こういう仕事の速さはいい。
それにしても飯田さんと寺島さんの朝のラジオ番組は、内閣参与や日銀審議委員のプールとなっていますね(笑)。

                                                           ~~~

さて、今日は中国のワクチンのお話です。
中国外交部は8日、中国がワクチンと予防接種のための世界同盟(GAVI)に調印し、正式にCOVAX(コバックス)に参加することを明らかにしました。
コバックスはワクチンを世界に配布するための共同購入組織ですが、このコバックスという枠組み自体が、WHOが主導しているもので、大変にうさん臭いシロモノなのです。

というのは中国はこの枠組みを使って、例によって例のごとくワクチンを戦略的に利用しようとしているからです。
つまりワクチンは勢力を拡大するための具とされています。
この国は自分の国が発生源で、しかも情報隠蔽をしたために世界にこれほど被害を与えたということをコロリと忘れて、自分はさっさと終了宣言を出して、感染の真っ最中の国々に、マスクやるぞ、検査キットほしくないか、欲しいなら三回回ってワンといえ、と恩を着せまくってきました。

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中国、新型コロナ対策に取り組むタイに医療物資寄贈 写真1枚 国際 ...

アジアではカンボジアやタイに医療支援をし、特に顕著なのがアフリカです。

「コロナ禍でも着実にアフリカを従属させていく中国
中国は、自国の評判を高めるためにパンデミックを利用してきた。欧米諸国が検査キットや防護具を買い占めたと非難された時期に、ジャック・マーはアフリカ54か国に莫大な寄贈を行った。米国がワクチンが開発された場合の知的所有権につきその立場をあいまいにしている間に、WHO総会で習近平は中国で開発されるワクチンは自動的にアフリカで利用可能となる旨述べた。米国は、ビル・ゲイツ財団などを通じ或いは政府間で、中国よりもはるかに多くの拠出をアフリカの保健分野に行い続けている。それでも、何故か、中国は中国の方がより多く貢献しているかのように見せている」(岡崎研7月6日)

中国は新型コロナによって一挙に経済不安に陥り、債務不履行に陥ったアフリカ諸国に対して、G20で債務モラトリアムをちつかせながら、同時に医療支援をしています。
中国より米国や日本のほうがよほど貢献していますし、今、コバックスで審査を受けている9種類のワクチンのうち4種類が米国製で半数を占め、同数が中国製です。

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産経

ですからワクチンを言うなら、米国にも頼ってもよさそうなものですが、札束で政権のボス共の頬を叩いているせいか、彼らの感謝の声を一身に集めているのは中国のようです。
たぶん次回のWHOや国連各機関の事務局長はこのアフリカ勢の票を集めて、雁首を揃えて中国の息のかかった者がなるのでしょうか。やれやれです。

実はこのコバックスには米中露は参加を渋ってきました。
それはコバックスが、WHOが感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)などと共同提案して推し進めてきたプロジェクトだったからです。
形としては世界150カ国、世界人口3分の2以上を占める国々が参加しているということになっていますが、使う使わないは当該国の判断が優先します。

米国はWHOと聞いただけで虫酸が走るでしょうし、ロシアも距離を開けて、自分の国独自の戦略物資としたい考えです。
中国も少し前までは、感染症専門家たちが中国の内需すら不足しているのに、戦略物資化するのは考えものだ、と反対の意志を表明していましたが、ここに来て一転したようです。

それはポストコロナの国際力学関係は、まだコロナ禍が燃えさかっている今にかかっていると、中国が判断したからです。
中国は戦略的に重要な国々に早期のワクチン供給を約束しました。
コロナのパンデミックで地政学的な結び付きが損なわれたことを受けて、世界の同盟関係は再編されようとしていますが、中国はこの隙間を縫って自国の国際的覇権を強めようとしています。

「中国の人民日報系タブロイド紙の「環球時報」はかつて、中国疾病予防コントロールセンター感染症学首席専門家の曾光のコメントを引用する形で、中国は、すでに一帯一路を通じて、ASEAN諸国と上海協力機構のパートナー国家に優先してワクチンを与えることを承諾している、と解説していた。
曾光によれば、中国としてはCOVAXに参加する前に、自国の供給を確保し、さらに一帯一路などのプラットフォームの需要を確保しなければならず、詳細な計画を作成したいだろう、と説明していた。
また、「いったんワクチン開発に成功すると、まずメコン川流域国家に供給するが、それは「ワクチン外交」の一部である、としていた。
そのような中国が、このタイミングでCOVAXに参加する目的とはなにか。
建前上は、「実際の行動をもってワクチンの公平な分配を促進し、発展途上国へのワクチン供給を確保し、能力のあるより多くの国家の参加と支持を動員すること」という」(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.185 2020年10月13日)

つまり崩壊しかかっている一帯一路のタガを締め直し、あわよくば米国の派遣も切り取ってしまい、ポストコロナの覇権を確立するためには、自国14億人のワクチンなんか後回しだ、ということのようです。
むしろウィグルやチベットなんぞ人口が減ってくれたほうが好都合だ、くらいに思っていても不思議ではありません。

既に中国外務省はフィリピンに対し、中国製ワクチンの優先的な供給を約束し、シノバック・バイオテック(北京科興控股生物技術) はブラジルおよびインドネシアと、何億回分もの自社ワクチンの国内向け生産で協力することで合意しています。
また准同盟国であるあるパキスタンには、シノファーム(中国医薬集団)によるワクチン臨床試験を認める契約を結んでおり、その一環として全国民22000万人の約2割がワクチン接種を受けられることになるとされています。
ロシアに対してすら、同国保健省の承認を受けてカンシノ・バイオロジクス(康希諾生物股分公司)が開発中のワクチンを供与するとつたえられています。

このワクチン供与によって、今まで南シナ海の領有権をめぐって対立してきたフィリピンはいきなり軟化し、大幅に譲歩する姿勢を見せています。
ドテルテさん、知りませんよ。前にも中国が経済援助するといってしませんでしたね、今回もこれらのワクチンは最終治験が済んでいない代物なのですよ。そんなものを国民に打って、あとから後遺障害がでても、絶対にあの国は認めませんから。

ここて問題となるのが、中国製ワクチンの品質です。

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新型コロナウイルスワクチンを開発している中国企業の一つ、カンシノ・バイオロジクス(ロイター)

「ワクチンによって完全な抗体をつくることでパンデミックを終わらせることができるとすると、そのためには安全で効果のある安価なワクチンが感染地域の一定以上に投与されなければならない。そのためのシステムとしてCOVAXが頼りになるかというと、じっさい大いに疑問なのだ。しかも、そのCOVAXや、COVAXの代表メンバーであるWHOが、チャイナマネーに毒されて、国際社会で今一つ信用もない、というのが問題の根本にある」(福島前掲)

つまりいくら戦略物資とすると息巻いても、肝心な品質がついてきているのか、治験は万全なのかという疑惑が常に中国製ワクチンにはつきまとうのです。

「中国はワクチン産業で世界から後れをとっている。しかし、新型コロナウイルスの発生源と考えられるこの国では、全世界で50万人以上を死に至らしめたCOVID-19と闘うため、国と軍、民間が一丸となってワクチン開発に取り組んでいる。
米国を含む多くの国が、民間と緊密に連携してワクチン開発競争に勝利しようとしているが、中国は多くの課題に直面している。
COVID-19の感染拡大を抑制することに成功した中国では、大規模なワクチンの臨床試験を行うのが難しくなっている上、中国の臨床試験に協力することに同意した国は今のところ数カ国にとどまっている。北京はまた、過去のワクチンスキャンダルを踏まえ、安全性と品質に関するすべての要件を満たしていることを世界に示し、納得させなければならない(アンサーズニュース7月9日)
https://answers.ten-navi.com/pharmanews/18748/

平時でさえ危ない中国の医薬品が、中国政府が大号令をかけて完成を大幅に短縮させた「戦時下製造品」ですから推して知るべしです。
そのうえ発生源と疑われている武漢P4ラボが人民解放軍系であったように、ウィルス研究は軍の強い支配下にあります。
ですからワクチンは彼らからすれば准軍事戦略物資で、その製造にも人民解放軍が全面的関与をしています。
したがって、中国のウィルス関連の会社は、ことごとく国有企業で、それも人民解放軍系統が多数を占めます。
つまり軍事機密ですから、ワクチンによる事故が起きようと、その原因が明らかにされることは絶対にありません。

「カンシノの実験用ワクチンには人民解放軍の研究所が重要な役割を果たしており、アデノウイルスを用いた方法を開発している。軍は独自の「軍事上、特に必要とされる医薬品」の承認プロセスを持っており、先月、軍の研究部門とカンシノが開発したワクチン候補の軍事使用を承認した」(アサンサーズニュース前掲)

このように考えると、中国製ワクチンはもとより、コバックスに対しても大いに警戒心を持つべきでしょう。

 

 

2020年10月13日 (火)

学術会議問題を切り分けてみる

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なんだか、ゴチャゴチャしてきましたね。学術会議の一件です。
野党とメディアがいつもの政府批判のネタにしたがっているようで、そもそも共産党「赤旗」のスクープから火がつきました。
かつての「年金消失事件」は社保庁の自治労が自らの怠惰な働き方によって生まれた年金消失を、外部のお仲間の民主党に漏らすことで政権批判に転化しようとした自爆テロ事件でしたが、少し似たところがあります。
今回は、学術会議内部のたぶん共産党員、ないしはそのシンパが、外部の特定政党にリークして政治利用させたものです。
この学術会議事件の舞台まわしは共産党で、かれらはスガ政権を攻撃することでそのおこぼれを立憲にも与え、野党共闘を固めて選挙に勝ちたい、それだけのことです。
こういう騒がれ方をして、多くの学術会議の穏健な人たちは迷惑しているんじゃないですかね。

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こういう時は、問題を切り分けてみましょう。

第1に、学術会議がワーワー言っているのは、菅首相が6名の候補者の任命を拒否したことです。
これは政府に学術会議の任免権があるのか、ないのかという問題です。
第2に、学術会議側が声高に主張する「学問の自由」の問題です。
第3に、たぶん問題の核心だとおもいますが、学術会議が自衛隊への協力を拒否することを全国の研究者に命じながら、一方で中国に対して研究協力の覚書を取り交わしていたことです。

では、まず第1の政府の任免権ですが、当然政府にはあります。
根拠法は日本学術会議法です。

根拠は日本学術会議法第7条2項です

●第7条第2項 会員は、第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する。
●第17条    日本学術会議は、規則で定めるところにより、優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦するものとする。

これで議論は終了です。
法的には、仮に学術会議が任命拒否を不服として提訴しても100%敗訴します。
ではなにを主張したいのかといえば、どうも学術会議が言いたいのは、権力分立論なようです。
つまり行政・立法・司法の三権分立にとどまらず、それに「学問」を入れて4権分立だと言うことのようです。
今まで学術会議の人事に政府が容喙しなかったのはこの4権分立を容認していたのであって、菅政権がこれを一方的に廃棄したのはけしからん、ということのようです。

なるほど「学問の自由」は憲法第23条で認められていますが、学術会議という「機関」の独立性を保証する文言は、日本の法体系には一言半句もないはずです。
政府は、「学問の自由」は大いに肯定するが、「学問機関の独立」は認めておらず、したがって「機関」も行政改革の対象の一部であると明確に言い切っています。

ですから第2の「学問の自由」と叫ぶのは、学者のエリート意識から来る被害妄想にすぎません。
もう何度も書くのがばかばかしい限りですが、これら「リジェクト6」の学問研究はいささかも妨害されることなく、その発表の自由は十全に認められています。
そんなことは今さら論じなくても、学術会議のお歴々は百も承知なはずです。

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学術会議の本音は、元早大教授の川勝平太静岡県知事がいみじくも言ってしまったように、田舎から出てきて高校を卒業して、東京で働きながら大学に通ったていどの奴は単位が目的で行っただけのことで、そんな奴は「教養のレベルが低い」ということのようです。
スガは田舎もんで、ろくに大学でも勉強してなかったんだろう、けっ、なんでこんな無学な奴にエリートのおれたちが指図されなきゃならないんだ、大方そんなことです。

まぁ、これが学者エリートの本音でしょうね。川勝氏は研究者として尊敬していた部分があるので、やれやれあんたもか、という気分です。
この人の言う「学問」とは、労働をしながら身につけようという者を拒絶し、学者仲間だけの世界でやるものだということのようです。
川勝さん、そうなんですかね、私は自分の生業である農業も、日々「学問」だと思っているのですがね。
そういう言語化されない営みの中にも「学問」はあるし、活字で残らない常民の歴史や営みを知ることが学問の目的のひとつではなかったのでしょうか。
こういう言い方をすれば、間違いなく学歴差別、地方差別、肉体労働差別と言われてしまうでしょうね。
私もあなたの本を書棚から捨てたくなりました。

それはともかく学術会議の失敗は、こんな「学問の自由」といったこぶしを大げさに振り挙げてしまったことです。
こういう問題の立て方をすれば、ならば「学問の自由」なんぞ爪の垢ほどもない中国になぜ協力するんだ、ということになってしまいます。
そこで第3の中国への協力問題です。

ここまで学術会議が強い批判を浴びているのは、日本国の自衛隊に対する研究協力を拒みながら、中国に対する研究協力については積極的であった点です。
政府はこのことについて加藤官房長官会見のように、「承知していない」とかわすことでしょう。
なぜならこのことは政府が情報として持っていればよいことで、政府が公言することによって、学術会議問題が外交問題にまで発展してしまうからです。
政府が絶対に任命拒否の理由をいわないのは、一般的に人事は語らずという社会常識があるだけではなく、この外交問題化させないという意図があるからです。
たから歯切れが悪く聞えます。
でも、政府としてはこうは言えないでしょう。学術会議は中国の技術スパイ機関だなんて。

政府がそうと言わないからといって、学術会議の中国協力はあまりに目に余ります。
実際に学術会議が、2015年には中国科学技術協会と覚書を交わしていたのは事実ですし、同会議の会員には中国の千人計画への参加者もかなりの数存在すると言われています。
ならば、学術会議は、自国の安全保障については妨害をしつつ、仮想敵国への軍事技術協力は惜しまなかったことになります。
取りようによっては、学術会議は刑法の外患誘致罪の適用対象となりえます。

ところで2015年年9月7日、中国科学技術協会は北京において、大西隆日本学術会議会長と韓啓徳中国科学技術協会会長との間で、両機関における協力の促進を図ることを目的とした覚書が締結しました。
この2015年という年に注目して下さい。この年は実は習近平が中国のハイテク国家戦略である「中国製造2015」を登場させた年なのです。

「中国の習近平(シー・ジンピン)指導部が掲げる産業政策で、2015年5月に発表した。次世代情報技術や新エネルギー車など10の重点分野と23の品目を設定し、製造業の高度化を目指す。建国100年を迎える49年に「世界の製造強国の先頭グループ入り」を目指す長期戦略の根幹となる。第1段階である25年までの目標は「世界の製造強国の仲間入り」としている。品目ごとに国産比率の目標を設定しており、例えば産業用ロボットでは「自主ブランドの市場占有率」を25年に70%とした。次世代通信規格「5G」のカギを握る移動通信システム設備では25年に中国市場で80%、世界市場で40%という高い目標を掲げた。中国政府は中国製造2025の策定後、関連産業に対する金融支援や、基盤技術の向上支援などの施策を相次ぎ打ち出している」(日経2018年12月7日 下表も同じ)https://www.nikkei.com/article/DGXKZO38656320X01C18A2EA2000/

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上図を見れば、5G、デジタル制御、新素材などすべての分野は軍事転用が可能なデュアルユースの技術ばかりです。
これを中国は3つのステップで、製造技術を世界最高水準に持ち上げることで、世界を支配すると宣言しました。

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進化し続ける「世界の工場」:「中国製造2025」に見る製造強国戦略 ...

「2013年、中国工程院の院士たちを中心に最高レベルの頭脳が集まり、「中国製造2025」の基本枠を構築した。2013年末にその答申を受けて中国政府の関係者が実行可能性や予算などを検討し、互いに討議を繰り返した末に、2015年5月、李克強国務院総理が発表したのがハイテク国家戦略「中国製造2025」である。
それまでの組み立てプラットフォーム国家から抜け出して、半導体製造や宇宙開発あるいは5GやAIによる軍事技術も含めた「スマート化」を図ることなどが目的だ。
米中覇権競争時代がやってくるのは目に見えていたので、アメリカに追いつき追い越さなければ中国が滅びる。だから「中華民族の偉大なる復興」を目指し、国家運命を賭けて漕ぎ出したのが「中国製造2025」だった」
(ニューズウィーク10月10日 『日本学術会議と中国科学技術協会」協力の陰に中国ハイテク国家戦略「中国製造2025』)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/10/post-94660.php

ここで見落としてはならないのは、中国における政府と軍事研究との関係です。
中国が自由主義国と本質的に異なるのは、単に共産党が政治権力を独占していることではありません。
中国では権力だけでなく、富の双方も独占しているのです。
中国の企業は表向きは私企業のようにみえますが、その多くは国有企業と人民解放軍系の企業が占めています。
5Gのファーウェイなども、人民解放軍にいた技術者が作ったもので、国の資本が注入された国策企業です。

これらの企業は、国家の要請に逆らうことは許されず、無条件に国家戦略に奉仕する義務を負わされています。
企業のみならず国民も国家動員法によってその義務から逃れることはできません。
仮に中国に日本学術会議のような団体があったとしたら、そもそも国家機関として承認されませんし、民間であろうと一網打尽に収容所送りとなることでしょう。
軍事協力拒否なんて口にしようものなら、生命がいくつあっても足りません。

中国において企業は仮に民生向け技術であろうと、国家が軍事転用を要求すれば拒むことはできません。
というより、民間企業と人民解放軍はそもそも一体の関係を作ってきており、カネもヒトも依存しているケースが多く、自社の技術が軍に認められることでさらなる技術開発資金をえることが可能です。
むしろ進んで軍に技術を提供し、見返りを求めていくことでしょう。
このように中国においては民間企業や、今回問題となっている一見民間団体にみえる科学技術協会にも、人民解放軍の軍人が在籍して、軍と一体化しているわけです。

事実、科学技術協会にも軍人が在籍していんることが判明しています。

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ですから、中国においてはここまでが民間技術、ここからが軍事技術という境目がなく、中国企業と技術協力するということはすなわち人民解放軍に技術を流出させることに等しいわけです。

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学術会議の「その他の二国間交流」の中には「中国科学技術協会との協力覚書署名式」とあり、このようなことを取り交わしています。

「両機関は、本覚書の範囲内で推薦された研究者を、通常の慣行に従って受入れ、研究プログラムの調整や、現地サポートの対応を行う」
(日本学術会議中国科学技術協会との協力覚書)

これが意味することは、中国科学院との技術交流、留学生、招聘研究者などの人材育成の受け皿を作るということです。

「日本学術会議と中国科学技術協会」は「必要に応じて推薦された研究者を受け入れる」ことが可能なように作られている。 そして2013年3月15日の提携書で、中国工程院もまた、中国科学技術協会と「科学技術サービス・人材育成などの面で提携を深化する」と謳っているのだ」(遠藤前掲)

この2015年の調印式が行われる2年前の2013年、中国科学技術協会は中国工程院と提携関係を結んでいます。

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「2017年9月、中国人民解放軍・軍事科学院はその傘下に国防工程研究院を新設した。軍事科学院は中央軍事委員会および中国人民解放軍の管轄下にあるアカデミーである。
問題は、中国工程院と軍事科学院国防工程研究院の主要な研究員(教授)(中には院士)は、互いに人的交流が盛んで、中には兼任している者もいることだ。その結果、研究成果に関する情報交換も盛んとなっている。
ということは、日本学術会議が中国科学技術協会と連携しているなら、それは中国工程院と連携していることになり、最終的には軍事科学院・国防工程研究院と提携していることにつながるということである」(遠藤前掲)

学術会議はあくまでも民間の技術会議と提携しているのだと言い張っていますが、その相手は工程院を通じて軍事科学院と密接な関係を持ち、更に中央軍事委員会、人民解放軍の傘下にあるのです。

このようなことをやりながら、「学問の自由」ですか。冗談もほどほどに。

 

2020年10月12日 (月)

北朝鮮の核武装化を容認し続けたWFPにノーベル平和賞とは

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ここまで露骨な偽善ばかりとなると、ノーベル平和賞はもはや悪い冗談です。
今年は、国際連合世界食糧計画(WFP)だそうです。いやはや。受賞の理由は、「飢餓克服への努力、紛争地域の平和のための貢献、そして飢餓を戦争や紛争の武器として使用することを防ぐための努力において原動力としての役割を果たした」ことに対してだそうです。

このWFPの受賞発表と同時に、まるでそれを祝賀するように北朝鮮が新型ICBMやSLBM大行進を見せてくれました。
国連の食料援助が今の北朝鮮の核兵器開発を推進した影の力だったのであって、なにが「地域紛争のための貢献」なのでしょうか。偽善も極まれりです。

10月10日早朝の平壌に登場したのは、11軸22輪の発射車両の火星15号の改良型ICBMです。
これは世界最大規模のICBMで、国連制裁決議と米朝会談にまっこうから敵対したもので、もはや非核化なんかお笑いだ、元の核大国に戻ることを改めて宣言したものです。
これで3回目の米朝直接会談の可能性はなくなりました。

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CNN.co.jp : 北朝鮮、軍事パレードで新型ミサイル公開 世界最大級の

今年、ノーベル平和賞を受賞させるべきは香港の民主活動家たちでした。
全体主義国の押しつける国安法と戦っている香港に対して、今こそ国際社会は団結して虐殺と圧政を許さないメッセージを発しなければならないのに、初めから腰砕けです。
これでは無価値なばかりか、人権圧殺容認でしかありません。
いかにヨーロッパの左翼リベラルが、中国に融和的なのかよく分かります。

ノーベル平和賞は他の賞と違ってノルウェー議会が与えるものですが、多数党はノルウェー労働党という社会主義政党です。
そのためか歴代のノーベル平和賞の受賞者の顔ぶれは、現実に戦争の回避や和平の実現などに努力した政治家ではなく、社会運動団体や活動家に与えられてきました。
ノルウェー労働党好みなのか、近年は持続可能な開発、貧困、気候変動、非核運動などに大きく偏っています。
「平和に寄与する」と言いながら、何の実績もない口先オバマやアイキャンのような実効性ゼロの核兵器廃絶運動など、どうみても政治的な偏りがひどいものばかりでした。
今までも米国大統領や国務長官も多数受賞していますが、警官を辞めると言って世界を逆に不安定にしたオバマ、北朝鮮へのメッセンジャーにすぎなかったジミー・カーター、地球温暖化の宣教師のアル・ゴア、全員揃って民主党です。
では共和党はといえば、本来なら東西冷戦を終わらせたレーガンなどはまっさきに顕彰されるべきたったはずですがとうぜんスルー、かろうじて出てくるのは米中国交正常化をして中国を国際舞台に押し上げ、台湾を追放してしまったヘンリー・キッシンジャー元国務長官の名が見えるのみです。

北朝鮮の非核化に最も有効な直接会談を行い、中東和平に大きく寄与したはずのUAE-イスラエル国交回復を果たしたドナルド・トランプなど、オバマなんぞより何十倍も国際平和に寄与したはずですが、まったく無視されました。
今後トランプがノーベル平和賞を狙いに走るなら、キシンジャーをまねて習近平と抱擁のひとつもしてみせねばならないかもしれません。
これでは「平和に寄与した」ではなく、ノーベル平和賞委員会のイデオロギーに「寄与した」だけではありませんか。

この間唯一まともなノーベル平和賞受賞者は劉暁波氏だけですが、彼の無惨な監禁とその死は中国という国家が根本から変わらなければ、第2第3の、いや無数の劉暁波が生まれてしまうことを教えました。
彼の衣鉢を継ぐのは香港の民主化リーダーである黄之鋒、周庭、黎智英(ジミーライ)と無名の多くの香港の闘士たちなのは明らかです。
亡くなってしまいましたが、李登輝などはまさにこれ以上ノーベル賞にふさわしい人格をもった政治家は今後も出ないことでしょう。

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連行されるジミー・ライ

香港の抵抗者たちは、いまや全体主義が振りかざすギロチンの刃の下に頭をさしのべています。
彼らを救わないでいてなにが「平和」か。
そしてチベット、ウイグル、内モンゴルにおいて中国に果敢に抵抗している方々にこそ、ノーベル平和賞がもっともよく似合うのです。

さてこのノーベル平和賞をもらってしまったWFPという国連機関は、いままで一貫して北の食糧援助を呼びかけてきた機関で、現実にそれを実施してきました。

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視察するWFP 朝日 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190504-00000038-asahi-int

北は弾道ミサイルと核兵器をつくるために、国民から食料を奪い続けてきました。
ところが北は、この飢餓が自分たちの国家リソースの全てを核兵器開発につぎ込む、という狂気の沙汰の必然的結果だとは思わずに、「国連安保理の非人道的制裁のためだ」と言ってきました。逆ギレもいいところです。

ところがそれに呼応して北に食料援助しろと提唱し続けたのが、このWFPとFAOです。
北の飢餓の原因は、燃料不足、肥料・農機具の不足ですが、これは農業投資を慢性的に怠り軍事部門、それも弾道ミサイルと核兵器に特化した国家予算配分をしたためです。

3代に渡って核ミサイル信仰に走り、国の大元である農業をおろそかにし、飢える国民を放置し、党官僚とその取り巻きだけが肥え太る国を作ったからです。
つまり北の飢餓とは、独裁政治が招き寄せた人災そのものなのです。
国際社会は天災は救えますが、人災は救えません。
北は「飢餓を戦争や紛争の武器として使用」した世界でもっとも典型的な国です。
それを支援したのは、この人道援助の美名で食糧援助を続けてきたWFPでした。
そしていまやご承知のように、北は世界有数の核武装国家、そして飢餓国家となってしまいました。

さぞかしWFPは満足なことでしょう。
北を食糧援助する時に人権を問わず、核武装を問わず、その援助食糧の行き先を問わなかった結果が、これです。
核を持った独裁国家を助けておいて「なにが飢餓を克服し、平和のために貢献」ですか、笑わせないで下さい。

香港の民主活動家たちを救わず、北の核武装を影で支え続けたWFPに受賞させる、こんなブラックジョークのようなノーベル平和賞は、もはや無意味なばかりか、有害ですらあります。
ノーベル賞の文学賞と平和賞は無意味ですから、早く止めてはどうですか。
いや、止めてしまえといって止めないでしょうから、第1回ノーベルラズベリー平和賞をわれらが習近平と金正恩に贈呈しましょう。

 

2020年10月11日 (日)

日曜写真館 夕焼けやどこか遠くへ行きたいな

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許さるるまで夕焼けに身を浸す 津田このみ

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屋根だけを見て夕焼けの中をゆく  津田このみ

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夕焼けを処方されたる家路かな 青山茂根

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夕焼けて西方浄土火の坩堝 中川濱子

 

 

2020年10月10日 (土)

クアッドは日本を9条呪縛から自由にする

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クアッドという絶好の集団自衛権、ないしは集団安保体制についてのテーマが登場したのに、わが国は「象の墓場」論議に夢中です。
このクアッドを煮詰めて行くといやがおうでも集団安保体制となり、それは憲法9条論議の終焉を意味します。
憲法学者の皆さん、わかっているのかな、学術会議の任命なんかよりはるかに大きな問題なんですがね。ま、気がつかなきゃ別にいいですが(苦笑)。
軍事・外交は一体であるにもかかわらず、具体的議論とは無縁に机上で条文解釈をこね繰り回していたこの聖書学者たちには、クアッドが意味することすらわからないのでしょうね。

クアッドは、現状において日米豪印、将来的にはクアッドプラスとして、さらに英国、カナダ、ベトナム、そして台湾などを加えた諸国によってアジア版NATOを目指します。
NATO(北大西洋条約機構)は、国連憲章が戦後の安全保障のあり方として最もふさわしいとして謳い上げた集団安保体制の唯一の実例です。

ここでご注意願いたいのは、かつて日本で議論された集団的自衛権(right to collective defense )と、NATOのような集団的安全保障体制(collective security)は違うことです。 
どちらも同じ「集団的」(collective )という名がかぶっていますが、「自衛権」のほうは権利で、「体制」のほうはそれを維持していくシステムのことだと思って下さい。 

NATOの肝はひとことでいえば第5条にあります。 

●NATO条約第5条
NATO締結国(1カ国でも複数国でも)に対する武力攻撃は全締結国に対する攻撃と見なし、そのような武力攻撃に対して全締結国は、北大西洋地域の安全保障を回復し維持するために必要と認められる、軍事力の使用を含んだ行動を直ちに取って被攻撃国を援助する。

この第5条は、別名「自動介入条項」と呼ばれています。
一国に対する攻撃に対して、全加盟国は集団的自衛権を行使して、攻撃を受けた締結国を援助する責務を持っています。
するっと読むとあたりまえのことを書いてあるようですが、これはスゴイ概念なのです。
NATO第5条、自動介入条項は個別的自衛権をあらかじめ捨てて、交戦権を「集団」に預けているのです。
つまり安全保障を個別国家の枠内から「集団」、この場合はNATOに委譲してしまったのです。

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つまりNATO加盟国は、自国の意志で侵略は出来ないし、逆に侵略されれば加盟国全体がお相手するということです。
これほど怖いシステムはありません。

この第5条自動参戦条項は、加盟国の一国が勝手な侵略をした場合、同様に加盟国の「地域の安全保障を回復し、維持するための必要な軍事力」の制裁を受けることになります。 
たとえばこういうことです。A国が邪まな企みで隣国のB国に侵攻したい考えたとします。 
ところがA国にとってはあいにくなことに、そのA国も隣国のB国も揃ってNATOに加盟していました。 
すると、どうなるでしょうか?A国がB国に侵攻を仕掛ける前に、その予兆があるはずですから、二国はブリュッセルのNATOやEUの国際会議の場に呼び出されて、討議されることになります。

結果、NATOから、「もしA国が侵略した場合、NATO条約第5条を適用することになる。だからつまらないことは止めろ」、と警告を受けるはずです。
この条項は、加盟国の一国が勝手な侵略をした場合、同様に加盟国の「地域の安全保障を回復し、維持するための必要な軍事力」の制裁を受けることになります。 

一国だけで安全保障を作ると、かつてのヒトラーのような狂人が出るかもしれないからです。
そしてそのような狂人によって、ヨーロッパ全域のみならず世界全体を戦争に投げ込むかもしれません。
ですからヨーロッパでは、日本とは正反対に
個別的自衛権は極めて危険な戦争の温床となる思想だと考えられています。

NATOが想定している仮想敵国はロシアですが、ロシアは加盟国であるポーランドやハンガリーを攻撃したら最後、NATO諸国全体で反撃されてしまうのです。
あるいは逆に、仮にドイツがネオナチが政権をとってヨーロッパを侵略しようものなら、NATO全体によってボロカスにやられてしまうでしょう。
このように集団安保体制というのは、「侵略ができない・侵略をさせない」優れた人類の知恵なのです。

クアッド諸国もNATOに範をとって、軍隊の指揮権をそっくりとクアッドに預けてしまって、全体の合意なくしては戦争行為に移れない体制となるはずです。
めいめい勝手に戦争が可能な個別的自衛権を放棄し、集団安保体制全体でそれを判断し、それに基づいて加盟各国の軍隊を動かすのです。
たとえば尖閣領海に中国海軍が軍事侵入した場合、自衛隊は個別的自衛権で対応するのではなく、これをいったんクアッドの緊急理事会に持ち込みます。
 

そしてそこで中国の違法性が認められれば、クアッド加盟全体の軍隊で対応します。
オーストラリア、インドは遠いので、現実には米海軍と海自が合流して「クアッド緊急対応軍」として侵略者に立ち向かうことになるでしょう。
将来的には、一定の艦艇・兵員・航空機などを、「クアッド緊急展開軍」として、加盟各国に準備させておくことになるかもしれません。
一方南シナ海で有事が勃発した場合も、海自は「クアッド艦隊」として戦うことになります。

この判断はわが国を超越して、クアッド理事会に預けられていますから、憲法が言う「国権の発動」にはあたりません。
実はこのクアッドによって、日本は今までまるで日本国家をがんじがらめにしてきた9条論議からやっと離陸が可能となったのです。
9条2項の「交戦権」を、日本は「国家の発動」として狭く捉えてきましたが、「国の権利」ではなく、「集団安全保障体制の権利」に変化します。
これは日本の安全保障にとって本質的変化です。
日本はようやく9条の罠から逃れて、あるべき集団安保体制の一角に自国の安全を預ける一歩を辿り始めたのですから。

さて日本の安全保障についての議論が幼稚なものに常に終始し、「枝葉に始まり、枝葉に終わる」理由は、いわゆる「歯止め論」があるからですが、左翼陣営はなにかというと、 「戦争をさせない」とまるで自衛隊は放っておくとそこら中を噛みまくる狂犬に見立ててきました。

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狂犬だから9条の鎖につないでおかないと、いつ何時血に飢えて侵略に走るかわからないというわけです。
日本政治が20世紀的な冷戦を引きずっていることを野党だけのせいにするのはフェアではないでしょう。戦後の日本政治そのものが、憲法9条をめぐるストーリー作りとその空文化の歴史であったと言っても良い側面を持っているからです。

憲法9条は中学生が普通に読めば、軍隊を持てず、交戦権もない国であることを命じた文面です。

●憲法第9条
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

これはすなおに読むと陸海空軍を認めず、国権の発動たる交戦権も全面否定しているように読めます。
これでは自衛戦争まで禁じられてしまうという危機感から生まれたささやかな日本政府の抵抗かいわゆる「芦田修正」でした。

「芦田修正」は、第9条そのものは手をほとんど入れず、憲法冒頭の前文にこのようなフレーズを慎重な表現で書き込みました。

●憲法前文(抜粋)
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。


この前文を9条と合わせて読むと、日本は「国権の発動たる戦争」、すなわち国の紛争解決の手段としての侵略はしないが、平和は希求する。
したがって、平和を守るための自衛戦争、あるいは国際社会の平和構築のためには努力を惜しまない、という事になります。 、

このような芦田修正から始まる解釈で、戦後日本政府は自衛隊を必要とする現実と、平和憲法の理想主義からくる矛盾を手当てしてきたわけです。
そしてこの改釈と共に追加的制約が編み出されていきました。(※ただし政府は正式には芦田修正を認めていませんが)
戦後政治の中でも、1970年代までは、憲法には直接は書かれていない原則が追加され、専守防衛、集団的自衛権の非行使、非核三原則、防衛費の上限などの概念はこの時期に形成されたものです。

1980年代以降は、これらの制約を解除していく過程に入りました。
防衛費のGNP1%枠の撤廃。自衛隊の海外派兵容認などは80年代から90年代の日本政治を大きく動かすテーマでした。
21世紀となって以降の最大の変化は、2015年の安保法制による集団的自衛権の一部容認などがあります。
そして今この憲法は、クアッドの登場でまったく新しい次元に突入しようとしています。

改釈憲法や2項改憲論はいずれも個別的自衛権の枠内にあってコネ繰り回してきましたが、一気にその枠自体を取り払ってしまい、集団安全保障体制の中に日本を置いてみるクアッドの動きです。
これによって戦争を「国権の発動」とする制約から自由になり、「周辺国への威嚇」ではなく、むしろ周辺国との協議による平和維持へと変化させることが可能です。
これは日本はしょせん戦争ができない国よ、とタカをくくっていた中国にとって、驚天動地のコペルニクス転回であるはずです。

ところでアジアにおける戦争の震源池は常に中国でした。
中国の建国以来の周辺国への侵略の歴史をみてみましょう。毎年のようにアジアのどこかで戦争や軍事侵攻をしている戦争愛好国です。


■1949年建国後の中国が引き起こした戦争・紛争一覧
・1949年 中華民国との
古寧頭戦役登歩島の戦い
・1949年 ウイグル侵攻
・1950年 チベット侵攻
・1950年~53年 朝鮮戦争
・1958年 中華民国領の金門島砲撃事件
・1959年 チベット蜂起を武力鎮圧
・1962年 チベットからインドに侵攻して中印戦争
・1966年~1977年文化大革命・虐殺者数8000万人(ワシントンポスト紙による)
・1969年 中ソ国境紛争(ダマンスキー島事件)
・1974年 南ベトナム西沙諸島(パラセル諸島)を制圧(西沙海戦)
・1979年 ベトナムに侵攻して中越戦争
・1984年 第2次中越戦争(中越国境紛争)
・1988年 ベトナム支配下のジョンソン南礁を制圧(南沙海戦)
・2012年~現在 フィリピンと南シナ海・中沙諸島のスカボロー礁領有権紛争
・2012年~現在 西沙諸島(パラセル諸島)でベトナムと領有権紛争
・2010年~現在 東シナ海尖閣諸島で日本と領有権紛争
以後、南シナ海では人工島完成させ、東シナ海においては尖閣に侵入を繰り返す。

このようにほとんど戦争をしなかった年はなかったほどで、東西南北、四方八方に軍事膨張し続けています。
戦争をしなかった年はただの準備期間であったにすぎません。
南シナ海や東シナ海に進出したのは、
陸上部では進出する場所がなくなって、新しい領土(新疆)は海洋しかなくなってしまったからです。

そしてこれを許してしまったのは、アジアには、ヨーロッパのNATOのような集団安保体制がなく、弱小国がそれぞれ個別に対応せざるをえなかったからです。
かろうじてアジア全域が中華共栄圏にならなかったのは、NATOの代わりに米国が各国と「ハブ&スポーク」と呼ばれる個別各国との安保条約を締結していたからです。
米国はこの個別安保の何本かの綱を握ることで゛米軍のプレゼンス(存在感)を中国に見せつけてくることでなんとか凌いできました。

プレゼンス(presence)とは聞き慣れない言葉でしょうが、「存在感」程度の意味です。そこにいてくれないと、その地域の力関係にポカっと穴があいてしまうという「存在感」のことです。
たとえば
米海軍ドナルド・レーガン空母打撃群は横須賀を母港としてアジア全域をパトロールしていますが、漫然とアジア地域を遊泳しているのではなく、太平洋・インド洋に「いる」ことで「オレはここにいるぞ。侵略をする奴には、オレが相手だ」と無言で言っているわけです。
この空母打撃群のパワーだけで、東南アジア諸国が丸ごとかかってもかないません。
海自はこの補完海軍力として対潜水艦作戦などを担っています。

こういう米国の<プレゼンス>がなくなると、一体どうなるでしょうか。
古くはベトナムが奪われたパラセル諸島 やフェアリークロス礁、近年ではフィリピンなどが奪われて軍事要塞を作られてしまったミスチーフ礁などのようになります。
このようなあからさまな軍事侵略が可能だったのは、ベトナムの場合は米軍がベトナム戦争から撤退している時期にあたっていたこと、フィリピンもまた反米意識の高揚によって米軍を追い払ってしまったためです。

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では日本では、中国の公船の恒常的侵入と領海・領空侵犯ていどで済んでいるのでしょうか。
もちろんそれは
日米同盟に基づいて沖縄に強力な米軍基地があり、さらに本土に第7艦隊が恒常的に存在しているからです。
そして大事なことは、これらの米軍は単に日本の安全保障だけではなく、アジア全域を視野に入れていることです。
その見返りに、わが国は米国のプレゼンスの恩恵を既にたっぷりと受けているわけで、その意味ではわが国は集団的自衛権をとうに行使しているといってもいいのです。
ですから、今さら「巻き込む、巻き込まれる」という議論は、非現実的なのです。

それはさておき、この米国頼みの構造には限界がありました。
米国のパワーの衰退です。長年の過剰な軍事支出による財政負担に、さすがにこの巨大国家も耐えきれなくなってきています。
それに沿って米国内で出てきたのが、オバマ民主党政権に典型な「世界の警官を辞める」論の登場です。
そして世界の警官の仕事を、もう一つの超大国である中国と一緒にやって軽減したいとするG2論(二大国)が台頭しました。

これは、中国が経済成長するに従って民主国家に変化していくだろうという甘い幻想が根っこにあったのですが、中国にいいように利用されて、中国はいまや世界の覇権国になると公言するまでになっています。
この反省から今のトランプ・ポンペオの、中国とはキッチリ対決していこうという路線が生まれました。
この流れの中で、米国は日米同盟を基盤にして日米豪印4カ国でセキュリティダイヤモンドを作って、中国と対峙していく路線が確立しました。
この発案者が安倍前首相であったことは素晴らしいことです。
米国が「従属国」日本の国際戦略をとりいれるという前代未聞のことだからです。

この流れはまだまだ紆余曲折あるでしょうが、期は熟しつつあります。 

※初めのタイトルがピンとこなかったので改題しました。すいません。

 

2020年10月 9日 (金)

クアッドは日米豪印で中国包囲を強める

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日米豪印による外相会談が日本で開かれたのは、インド太平洋戦略(クアッド)の提唱者がわが国の安倍首相だったことに敬意を表してのことです。
これはフランス、ドイツなどが加盟するNATOと一対になった、世界的な集団安全保障体制です。
独仏もそれを判っていますから好意的で、今はまだ日和見をしているASEANの沿岸諸国も遠からず同調すると思われます。

ASEANは、かつてはさらに一体化してひとつの地域的政治ブロックに成長するかと思われていた時期もありましたが、今は中国の政治・経済圏に入って子分となった内陸国のカンボジアやミャンマーと、中国の傲慢さに対して戦おうとしているベトナムなどとは大きな温度差が生じています。
そのために総会をしても、中国という現実の脅威に対してなにひとつ具体的な文言を入れられない状態が続いています。
ASEANを学級委員会的に残しながらも、クアッド参加グループと、中国子分組に自然と別れていくことでしょう。

さて、クアッドは更に密度を濃くしていきます。
すでに2010年にオーストラリアとは自衛隊とオーストラリア軍が軍事物資や役務を融通しあう日豪物品役務相互提供協定(ACSA)を締結しています。
これは日本ではなぜかわずかな報道しかありませんでしたが、名称が「物品役務」なんて地味についているからなのでしょうか。
しかしこのACSAは、日本とオーストラリアが準軍事同盟関係に入ったことを宣言するものです。
ちなみに日本は米国はいうに及ばず、カナダ、インド、フランスともACSAを締結しています。

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ね、少しこのACSAの性格が見えてきませんか。英国・カナダはファイブアイズの国ですし、フランスも 旧民地をアジアには多くもっており、いまも一定の影響力をもっています。
これらの国々と「物品役務」で共同行動をとるということは、具体的に
ACSAは自衛隊とこれら6カ国との間で物品(食料、燃料、弾薬など)や役務(輸送・医療など)を相互に提供できるようになることです。
いままで、たとえばオーストラリア空軍が空自と共同訓練をしたい場合、いちいち国内に搬入する物品をイミグレにとおして検査させる必要がありました。
また入国する豪州軍人も同様に、いちいち一般人扱いで処理せねばならなかったのですが、このACSAで処理できることになりました。

米国とは1996年に日米ACSAを締結しており、当初は日米共同訓練だけがその対象でしたが、1999年には更にバージョンアップして後方支援や周辺事態、あるいは国際警察活動(人道的国際救援活動)までを対象とするまでになっています。
日米間では、武力攻撃事態、武力攻撃予想事態(ああややっこしい)に後方支援として弾薬を提供することができます。
「自衛隊を米軍に従って地球の裏側まで連れていく気だぁ」、なんて無意味なタガをはめたがるのが、日本の国会審議です。

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日豪、「準同盟国」明確に 部隊地位協定の早期妥結確認: 日本経済新聞

オーストラリアなどとのACSAは、日米のそれと比較すると周辺事態への対処、後方支援が脱落しており、さらに物品では弾薬・武器が対象となっていません。
ですから、現時点では日豪ACSAは、日豪共同訓練・PKO・人道的国際救援活動・大規模災害への対処と、緊急事態における自国民の避難に限定されています。

これはオーストラリアのせいではなく、集団安全保障を認めないという時代遅れの考えが日本,特に野党の中に根強く残っているからです。
単独安全保障だと、自分の国だけで戦争ができちゃいますが、集団安保だと他の加盟国の意志を聞かないとできないわけです。
NATOのように、仮にドイツが三度戦争をしようとすると他の加盟国全体から制裁を受けますが、逆にドイツへの侵略は全体で防衛することになります。
どちらが周辺国に脅威か、どちらが安全か、考えないでもわかりそうなもんです。

またこれらの国々と日本はGSOMIA(軍事情報包括保護協定)も締結しています。
これは韓国が駄々をこねた時にさんざん登場しましたが、米国が中心となって作られた軍事情報漏洩防止のための取り決めです。
情報の種類別によってアクセスできる人を限定したり、文書、写真、録画、電磁情報などの形態ごとに保管方法を共通ルール化したりします。
また、装備品の技術情報のほか、訓練情報、作戦情報などのあらゆる軍事情報が対象になりえますが、それは提供国の合意が必要です。

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http://hayabusa9.5ch.net/test/read.cgi/news/1574243299/ 

つまり、日本はクアッド4カ国と物品・役務・情報で共同化を進め、いわば准同盟国にまでなっています。
完全な軍事同盟までの道の8合目まで来たあたりで、個々の国で問題点を煮詰めてすり合わせていくのがこれからです。
それがなれば、クアッドは正真正銘の軍事同盟となり、アジア版NATOが成立します。

とまぁ、隔靴掻痒ですが、自衛隊を軍隊と呼べない国としてはよくやっているというべきではないでしょうか。

ではあと2合目はなにかといえば、米国がこれらの軍事的な側面だけではなく、経済分野においても中国と厳しく対峙していることからわかります。
米国は、国家の安全保障をいわゆるミリタリーに限定していません。
たとえば、中国への技術提供を阻止するための国防権限法(NDAA ) 、人権弾圧に加担することを許さない香港人権法、あるいはスパイ活動を許さない共産党員ビザ発給禁止措置などです。
関連記事 『米国の中国制裁は本気だ』
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2020/07/post-a7c193.html

この米国の中国への技術漏洩対策と較べると、日本の政府や企業は呆れるほど鈍い、というか、ないに等しいのですが、これらの対中制裁に抵触すれば、いかに日本企業だろうと米国政府調達からはずされ、事実上市場アクセスが制限されます。
米国はおそらく同等の中国への対応を、クアッド諸国に求めているはずです。
そうでなければ表から見ればガッチリした軍事同盟に見えても、なかみの経済や情報、科学技術は中国にダダ漏れとなってまいますからね。
技術や情報が中国へだだ漏れの国と危なくって同盟は結べません。

ファイブアイズに英国の支持があったということですが、現況の日本は情報機関は統一されておらず各省庁がバラバラのままで、スパイ防止法すらないという信じがたいような状態のままです。
これではファイブアイズという、世界でもっとも進んだ情報同盟に入れるはずもないじゃないですか。

たぶん激しく尻を叩かれたであろう日本政府も、遅まきながら中国の「千人計画」への制限をかけ始めしました。
2020年6月26日、2020年度版「統合イノベーション戦略」の素案をまとめましたが、この素案では先端技術の海外流出を防止するための対策がいくつか盛り込まれています。

「素案は「各国の情報収集が活発化し、技術情報・技術人材の流出が既に発生している」と指摘。実効的な水際対策を講じるため、「関係府省庁の連携による出入国管理やビザ発給の在り方の検討」を盛り込んだ。大学や研究機関、企業での機微な技術情報へのアクセス管理を含む内部管理体制の強化を政府として後押しすることも明記した。
 また、国内の研究者が公的な研究資金の助成を申請する際の要件として、外国資金の受け入れ状況など情報開示を義務付け、虚偽申告などが判明した場合は「資金配分決定を取り消すなどの枠組みの具体策を検討」するとした。
 科学技術担当相は同日の記者会見で、「米国の大学で中国からの留学生らが技術流出に関わっているという話は聞いている。その実態を調べ、わが国の大学などでどういう対応をするか決めたい」と述べた」時事6月20日)

今まで無条件に受け入れてきた学生や研究者に対してのビザ発給に際して、経済安全保障上の観点から審査を厳重化するものです。
このため、国家安全保障局や外務省・法務省・経済産業省・防衛省などが疑わしい人物に対する情報を共有し、この情報をビザ発行業務を担当する在外公館でも活用できるシステムを構築する事業に2億2000万円の予算をつけました。
まだまだまったく手ぬるい限りですが、やっと少し問題点に気がつき、中国への技術流出を警戒し出したかどうかというレベルです。
それでも手放しで中国との技術交流を礼賛し、中国から多くの学生や研究者技術者を受け入れ、大学に中国の紐付き予算を貰ってもなんの危機感も感じなかった昨日よりは一歩前進です。
おなじように中国への頭脳流出にも規制をかけていただきたいものです。

このような中国の技術スパイ対策の一環として、たまたま改選期にあった学術会議に対して軽くジャブを打ったわけです。
え、学術会議は、本気で打つのは反則だなんて言っているって?
それは大人げなく騒ぐからですよ。
そうですか、ではこちらの自然科学系に差し替えますが、と柔軟に構えればいいものを、「学問の自由」まで持ち出して野党やメディアと騒げば和解は不可能となって、ではいっそ民営化したらいかが、という話になるというだけのことです。
雉も鳴かずば撃たれまいに。

 

2020年10月 8日 (木)

なぜポンペオ来日時に学術会議事件が起きたのか?

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朝のラジオを聞いていたら佐々木俊尚氏というひとが、この学術会議騒動についてこんなことを言っていました。
誰も学術会議がなにかわからないわけですよ、モリカケよりわかりにくい。
へぇーそうなんでしょうかね、と聞いているとこんなご意見。
あれはスガさんの深慮遠望で、サヨクがこれで騒ぐのが判っていてやっている。
モリカケでんもそうだったが、いったんやらせてそのバカバカしさが国民のほとんどが判るようになって、野党はいっそう支持を失うことを狙っている高等戦術。

う~ん、佐々木さん。まったく見当はずれです。政局だけで政治を見るから、こんな近視眼的な見方になってしまう。
学術会議に問題はそもそもあったのです。そんなことは自民中枢にいる人間なら誰でも知っていたことです。
学術会議の共産党的思考様式は昨日今日のものではなく、あのようなうすらピンクの団体に税金を投入して権威付けすることに多かれ少なかれ保守政治家なら誰しも疑問に感じていたはずです。

だって、古くはサンフランシスコ条約締結時から学術会議は共産党の言うがままに全面講和を主張し、西側陣営に入ることにすら反対していたようなところだったからです。
全面講和論とは、西も東も拒否し非武装中立だってわけですが、一種の寝言でなければ、日本に自由主義陣営に加わってもらっては困るソ連に忖度したんでしょうね。
自衛隊に対する協力拒否も一回二回ではなく、実に三回もやっていて、もはや学術会議にとって防衛協力拒否はただの時局に対する意見ではなく会是です。
そして、「科学者の国会」の権威を使って各大学に、防衛省協力を拒否させましたから、実効性があります。

昨日ご紹介した2018年に起きた北大防衛省協力拒否事件について、北大名誉教授・奈良林直氏はこう書いています。
『学術会議こそ学問の自由を守れ』 https://jinf.jp/weekly/archives/32608

「 軍事研究を拒否し中国とは学術協力
 一方、学術会議が力を入れているのが、「軍事研究の禁止」を旨とした防衛省関連研究の否定である。実例を一つ挙げる。北大は2016年度、防衛省の安全保障技術研究推進制度に応募し、微細な泡で船底を覆い船の航行の抵抗を減らすM教授(流体力学)の研究が採択された。この研究は自衛隊の艦艇のみならず、民間のタンカーや船舶の燃費が10%低減される画期的なものである。このような優れた研究を学術会議が「軍事研究」と決めつけ、2017年3月24日付の「軍事的安全保障研究に関する声明」で批判した。学術会議幹部は北大総長室に押しかけ、ついに2018年に研究を辞退させた」

学術会議が学長室にまで押しかけるといった「実力行使」をしてまで潰した北大の研究とは、船底の微細な泡の除去だったわけで、こんなことまで「軍事研究」と決めつけて実力行動をしていたのですから、呆れてものがいえません。
このような研究は民需、軍需の分け隔てなく人類の科学技術の前進に寄与するものです。
それを防衛省に応募だからといって潰して悦にいっている、これは奈良橋氏がいうようにまさに学問研究の自由に対する敵対行為です。

そのくせ学術会議は、中国には極度に甘いどころか、積極的に中国の技術団体と「交流」を持ち始めました。

「日本の大学などで開催されているレーザー技術の学会のセミナーに多くの中国人学者が参加している事実を知っている。レーザー技術のほぼ9割が軍事利用されることは世界的な常識である。従って、中国人の学者は肩書が大学研究者や研究所職員であっても、研究成果は即、人民解放軍に軍事利用されることは疑いがない。レーザー技術のみならず原子力技術に関しても、日中友好という美名の下、中国に日本の国立大学技術者が協力している事実がある」(太田文雄)

近年、こういう学術会議の「一国二制度」ぶりは加速化する一方でした。
なぜなら、中国が「千人計画」という国家プロジェクトを作って、札束で頬を叩くようにして世界各国から先端技術の科学者をヘッドハンティングし始めたからからです。
学術会議は見事にこの中国の世界の先端技術盗用の罠に自ら乗ってしまったのです、それも積極的に。 

「米国の連邦捜査局(FBI)長官が、中国の「千人計画」は米国など諸外国の軍事関連などの高度技術を違法に取得する手段だとして厳しい警告を発した。千人計画とは、中国政府が海外人材を破格の好待遇で集めて、中国の発展に協力させる計画である。(略)
千人計画(中国での正式呼称は「海外高層次人才引進計画」)とは、中国政府の国務院と共産党中央組織部が主体となって2008年末にスタートしたプログラムだ。諸外国の理工系の最高級人材を破格の好待遇で集め、中国の軍事、経済の発展に寄与させることを目的としている。 中国政府は同計画の存在を公表し、2017年までに合計7000人の理工系の科学者、研究者を集めたとされている。
同報告書によると、中国当局は千人計画で募集した科学者たちに、米国など諸外国の高度技術を盗用してでも入手し、中国の軍事や経済に活用することを求めている。しかも外国の科学者たちには、同計画に関与することを一切口外しないよう命令しているという 」
(2020年7月15日 古森義久 『科学者を犯罪に走らせる中国「千人計画」の正体』

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千人計画には日本の科学者も参加したと報じられています。
その動向は中国政府が秘密にしているために全貌は明らかになっていませんか、たとえばこのようなことが浮上しています。

「第4部 世界の潮流/4 トップの頭脳、中国へ招致 「千人計画」の実態 任期なく桁違い年俸提示
2016年10月、中国の北京航空航天大に新設された「ビッグバン宇宙論元素起源国際研究センター」の調印式。初代所長に就任した梶野敏貴・国立天文台特任教授(63)があいさつし、中国人の副学長と固く握手を交わすと、会場に拍手がわき起こった。梶野さんは翌17年3月、特別教授として同大に赴任した。
 宇宙核物理学の分野で世界的な成果を上げてきた梶野さんは16年春、「海外ハイレベル人材招致計画(通称・千人計画)」の対象に選ばれた。中国政府がノーベル賞受賞者を含む世界トップレベルの頭脳を国内に招くため、08年に始めた政策だ。梶野さんは「基礎科学だけでなく応用科学、企業などあらゆる分野の研究者を世界中から招聘(しょうへい)している」と、多彩な顔ぶれに驚いたという」
(毎日2019年4月25日)

中国政府は若手の研究者にも食指を伸ばしています。

「千人計画は若手や中堅の研究者も対象だ。復旦大(上海市)の教授に32歳で就任した構造生物学者、服部素之さん(36)は妻が中国人だったことがきっかけで、東京大の任期付きの特任助教の時に自ら応募した。日本の准教授にあたる副教授や研究員、学生ら約15人の研究室を率いる。構造生物学は東大も非常に強い分野だったが、「ここ5~6年で中国に抜かれ、関係が逆転した」と実感している」(毎日前掲)  

このような先端頭脳の中国への流出によって日本の科学技術は衰退を招きました。
先ほど引用した天文学、構造生物学のようにかつて日本が誇っていた先端科学はみるみるうちに中国に追い越されていきます。
そりゃそうです、日本が育てた優れた頭脳が高い報酬と優れた研究施設の餌に食いついて、中国へと流れたからです。
かくして日本はあらゆる先端技術の分野で中国に遅れをとってしまいました。

そしてこの「千人計画」は中国の科学技術大国勃興に力を貸しただけにとどまらず、民需と軍需の境がない中国においてはデュアルユース(共用技術)された結果、中国軍をいっそう強力にする原動力となってしまいました。まさに売国的所業です。
これに遅まきながら米国政府は気がつき、強い規制をかけると同時に、中国へ違法に技術協力した外国企業に対しては市場アクセスを拒否するまでになっています。
このような情勢を見て、まさに菅氏がいうように「総合的に判断した」のであって、野党対策なんて考えていても0.1%ていどでしかありません。

さて、冒頭の佐々木氏の言説に戻りましょう。佐々木氏は学術会議事件をスガ氏の「野党殺し」の構図の中でしか見ていません。
この説明では、「なぜこの時期に学術会議事件が起きたのか」説明がつきません。
先述したように、自民党は学術会議が共産党とそのシンパによって握られてしまっていることはとっくに知っています。
政府の公安情報組織を甘くみてもらっては困ります。

しかし、今までは特になんのリアクションもすることなく、新会員を推薦されれば唯々諾々と承認するだけで、いわば勝手にやらせていたわけです。
それはこんな「終わった学者」の養老院ごときに、政府から見れば捨て予算に等しい10億ていどの飴をしゃぶらせておいても無害と判断していたからです。
では、それを政府は今年限りで止めた理由はなんでしょうか。

答えはそんなに難しくありません。同時期にポンペオが来日し、日米豪印のクワッド外相会談が開かれました。
そしてこのクアッドを、年一回の定期会合に格上げすることが決まりました。
今はまだ建前としては非公式会合の形をとっていますが、おそらく来年くらいには「アジア版NATO」構想が浮上するはずです。

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「スティーブン・ビーガン米国務副長官は先月31日、米印戦略的パートナーフォーラムで、インド太平洋地域には「明らかに北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)のような多国間構造がない」としたうえで、(クアッドと呼ばれる)4カ国が先に始めることも非常に重要であろう」と述べた。この発言が注目を集めたのは、米国が2010年代に入って推進した対中国牽制の動きが「リバランス戦略」や「インド太平洋戦略」など抽象的概念を超え、対中包囲のための集団安保体制「クアッド」構想などに具体化しているからだ」(ハンギレ 2020年9月10日上図も)

これはいままでの米民主党の口先だけの「リバランス戦略」とは大きく異なっています。
まず2015年4月、日米防衛協力指針が改正され、日米同盟を二国間防衛同盟からグローバル同盟に発展強化しました。
そして2017年11月、トランプ政権は日本を中心的パートナーとして「自由で開かれたインド太平洋」を両国の共同戦略にすると発表しました。
次いで2019年6月、米国防総省はインド太平洋戦略報告書」を発表し、日豪印にまでスパンを拡げたインド太平洋地域の同盟を作り出すことを宣言しました。
米軍はこれに対応して、同時期にアジア太平洋軍司令部の名称を「インド太平洋軍司令部」に変えています。

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産経

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初の対面外交はグータッチ 菅首相、米国務長官と会談|au Webポータル

このような流れの中で今回の日米豪印の外相会談が開かれたのです。
これはアジア版NATOの準備会合です。
おそらくはトランプ政権が継続されれば来年、されなければ4年後には陽の目をみて正式発足します。
発足メンバーは日米豪印の4カ国、それにひょっとした脱欧入亜に転じた英国が乗るかもしれません。
韓国は、平等にどの国からもその不実によって嫌われ、平等に既に片足を中国陣営に入れていると認識されていますから呼ばれませんし、ムン閣下も来る気はないでしょう。
仮に韓国のような新規参入国を認めれば、今4カ国で行われている多岐にわたる分野でのすり合わせをまた初めからせねばなりませんしね。
英国とだったらわりとスムーズですが、そもそも韓国とは大前提の自由主義国としての価値観を共有できないのですからどうしようもありません。
韓国なんか放っておきましょう。どうでもいい国です。

それはともかく現段階では、海洋の安全保障やサイバー対策の連携、そして次のステップとしては中国の「千人計画」阻止などの経済安全保障体制の強化が積み増しされるはずです。
おそらくもう既に事務方では経済の安全保障がかなり討議されていると思われます。
これは現在米国で導入されている対中規制の法律と同種のものを各国が共有化することです。

日本がポンペオの来日に合わせて外国人留学生のビザ問題、科研費研究の審査厳格化、経団連による機微技術を守るためのガイドライン作り、そして今回の学術会議問題を相次いで行ったのは、このような背景があるからです。

 

※扉写真で画面の闇の中に光る赤いものは登ってくる太陽です。このように地底から太陽はわきだしてきます。

 

2020年10月 7日 (水)

中国千人計画に協力する日本学術会議の「一国二制度」

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ザ・クアッドが日米豪印の外相会議で離陸しようとしていますが、申し訳ない、先に学術会議をやってしまいます。

大学のボス猿どもが作ったお山が荒らされそうだというので、いつものメンツがいつものように吠えているようです。
私は日本学術会議は、ただの学者先生の猿山だと思っています。
学者の世界は典型的なボス猿支配の猿山です。
かつては象牙の塔だなんて言われた時代もありましたが、いまやただの老いたボス猿たちの墓場と化していて、新進気鋭の研究者たちから疎まれています。

この東大あたりに多く生息するボス猿たちは、その配下の中ボス教授を支配し、さらに中ボス猿は講座の院生を各大学に送り込んで縄張を拡張することに日々勤しんでいます。
ボスの推薦なくしては院生は大学教員になることは絶対に不可能で、外国の図書館や大学では大学教員資格がないと蔵書の貸し出しすらしてもらえない国が多々あります。
ですから新しいイノベーションに曝されることの少ない人文系においては、いまだにこのような戦前から連綿と続く講座制の因習がまかり通っています。

そのアガリが日本学術会議です。
彼ら会員の多くはなんの業績があるのかわからないような「終わった学者」にすぎませんから、学術会議は在野の骨のある人たちから「学者の墓場」とまで言われています
あんなナフタリン臭い学術会議になんか入ったら、あんたは研究者としては終わった、もう余生をミイラとして送りなさいね、と言われたと一緒です。
ミイラ先生が自分らの廃兵院を作って納まっているのは勝手ですが、それに国費を使うなと思います。
いや仮に国費を使うのなら、法律を遵守して政府の定めることに従うのはあまりにも当然です。

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日本学術会議への"政治介入"は「令和の滝川事件」? 憲法が「学問の

枝野の旦那あたりは、「違法だぁ」と叫んでいるようですが、この人は法曹資格をもちながら当該条文に眼を通さないみたいです。
押えておきます。

●日本学術会議法
第7条 会員は、第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する。
第17条〈 日本学術会議は、規則で定めるところにより、優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦するものとする。

このどこを読んだら、総理が任命するのが「違法」だなんて読めるんでしょうか。

緻密な総理の女房役だった菅さんは、とうぜん野党がこういうことを国会で言うことを予想して、法制局と打ち合わせをしています。

「1983年の国会では「形だけの推薦制であり、学会から推薦された者は拒否しない」などと首相の任命権を形式的とする政府答弁もあったが、文書では触れていない。今後、こうした国会答弁との整合性が問われることになりそうだ」(朝日10月6日)

多分野党とメディアの攻め所はここしかないでしょうね。
しかしこの後に新しい政府答弁が出ている以上、それが優越します。
野党は法制局を答弁でひっぱりだすでしょうが、この2018年文書どおり「推薦の通りに任命するべき義務は政府にはない」と答えるでしょう。

「日本学術会議が推薦した会員候補6人が任命されなかった問題で、内閣府は6日、首相が任命の拒否ができるかどうかについての見解をまとめた2018年の内部文書を、野党側に公開した。
学術会議の会員が特別職の国家公務員であることを踏まえ、首相が「推薦のとおりに任命すべき義務があるとまでは言えないと考えられる」と結論づける内容だ」(朝日前掲)

これでお終いです。これ以上これでどうのこうの討議する余地はありません。
「学問の自由」なんて、こうして大声で抗議して、内閣を倒すなんて叫べる国のどこに「学問の自由」がないんでしょうか(笑)。
なにが「滝川事件」ですか。滝川教授は学者生命まで奪われましたが、これら「リジェトク6」はピンピンして「学問」していますし、事件後もこれをネタにして反日発言にいっそうの拍車をかけることでしょう。「平和団体」からの講演が殺到してさぞ儲かるでしょうね。

つまり日本は学術会議なんぞに入らなくても、いくらでも自由に学問ができ、それを公表し、教えたり、流布することが可能だということです。
むしろ戦前の事件を持ち出すなら、学術会議を天皇の統帥権に見立てて、戦前の右翼もどきの言辞を吐いているのは学術会議のほうです。
1930年、当時の浜口内閣がロンドン海軍軍縮条約を、海軍の承認なしに兵力量を決めたことが天皇の統帥権を犯すことだと右翼や野党は主張しました。
「天皇」という部分を「学術会議」に置き換えれば、なにかしら絶対不可侵のものをこしらえて、それを口実にして批判を封じ込めるやり口はそっくりです。
それとも日本は学術会議に入っていない圧倒的多数の研究者には「学問の自由」がないとでも。

もしそこまで政府の指示に従えない、従うことは「学問の自由」に反すると叫びたいなら、スパっと国費から出ている会員報酬4500万を拒否し、団体交付金10億円も叩き返して、完全な民間団体として再スタートすることです。
国費から支給されていながら「特別な国家機関」という矛盾した位置づけが、そもそもねじれているのです。
これではまるで3条委員会の会計検査院と同じではありませんか。
国家予算の監査する会計検査院と、終わった先生方のぬるいサロンが同格であるはずがないじゃないです。

ならば名実共に独立団体となるべきです。

「先進国の学術団体は、もっと明確に国から独立していることが多い。学術会議の事務局によると、全米科学アカデミーや英王立協会は民間団体とされ、運営財源も国に依存していないという」(朝日10月6日)

はいそのとおりで、英米の科学者アカデミーは自分の独自財政を持っていて、政府とは適切な距離を保っています。
「自由」はゼニカネの自由から生まれるなんて、巷では常識ですが、「象牙の塔」の住人たちは違うようです。
手厚く政府から保護されてとうぜんだと思っています。こういうのをエリートの特権意識といいます。
政府から年間4500万円も給料もらっておきながら、なにが「学問の自由」だって、片腹痛い。

もし学者の業績を国家が顕彰する必要があるなら日本学士院がありますから重複していますし、学術会議法に書かれている「政府への提言」に至ってはむしろ有害無益なものが大部分です。
学術会議の提言は、核廃棄物処分などのように自然科学系にはまれに傾聴すべきものがありますが、人文系は赤旗と一緒です。
たとえば2011年東日本大震災時には復興特別増税をしろなんてばかなことを言い出して、実際に当時の民主党政権はそれを受けて消費増税を決めてしまいました。

一定の成果を収めたドイツの新型コロナ対策は、ドイツアカデミーの適切な助言によるものと言われていますが、今回のコロナ禍で学術会議がなにか有効な助言を政府にしましたかね。
新型コロナの対策については厚労省の専門家会議が活躍したように、今さら終わった先生方に「提言」いただかなくとも、第一線に立つ気鋭の学者たちは各省の専門家会議に集められています。
学術会議は特にやることがないためか、悪名高い2017年3月24日の「軍事的安全保障研究に関する声明」を出しています。 

「われわれは、大学等の研究機関における軍事的安全保障研究、すなわち、軍事的な手段による国家の安全保障にかかわる研究が、学問の自由及び学術の健全な発展と緊張関係にあることをここに確認し、上記2つの声明を継承する」

ここでいう声明とは、防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」に対する批判声明のことで、防衛省への協力を会員は拒否せよと述べています。
学術会議は、2018年、防衛装備庁のこの制度に応募した北海道大学に対して、学長室までおしかけて撤回させています。
こんな実力行動までするとなると、学術会議はただの「平和団体」なんでしょうか。

実際にこの学術会議の「声明」の影響は大きく、多くの大学が防衛省への協力を拒否しています。

「戦争を目的とする科学研究を行わないとの2つの決議を受け継ぎ、軍事研究禁止を再確認する国立大学が、東北大、東京大、新潟大、京都大、広島大、琉球大など相次いでいる。
 私大のなかで、明確に軍事研究の助成金申請に応じないことを公表しているのは、関西大学、明治大学、法政大学等である。
関西大は2016年12月7日、教員の応募申請を認めないとの方針を決めた。国内外の公的機関や民間企業からの軍事目的を前提とした研究費も受け入れない。すでにある大学の研究倫理規準で「人間の尊厳、基本的人権や人類の平和・福祉に反する研究活動に従事しない」と定めており、ルールを明確化したという。方針は、①制度への応募申請に加え、他大学の申請に共同研究者として参加することも認めない②軍事防衛を所管する公的機関からの研究費は受け入れない③企業からの軍事防衛目的の研究費を受け入れない、とした。
明治大学は2017年1月15日、朝日新聞に全面広告を掲載、その中で、「軍事利用を目的とする研究・連携活動の禁止」を明確にした。
法政大学は2017年1月26日、軍事研究を行わないとする指針を制定し、防衛省の研究費への応募は「当分の間認めない」と決めたうえで、「軍事研究や人権抑圧など人類の福祉に反する活動は行わない」と定める指針も、新たに制定した。田中優子総長は「戦争を目的とした武器等の研究・開発は、本学が使命とする持続可能な地球社会の構築の対極にあり、関与するのは、本学の存立基盤をゆるがすことになる」などとするコメントを出した」
http://tamutamu2014.web.fc2.com/gunjikenkyuu.htm

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これが国の「特別な機関」の提言なら、国家の一機関が他の機関と協力するなと言ってしまっているわけで、許されるべき発言ではありません。
また欧米のように政府から独自の位置を持つ科学アカデミーが、こんなナイーブな中学生のようなことを提言するわけはありません。
なにせ防衛省の研究応募に対して「おぞましい策謀」と呼び、「万年資金不足の大学や機関に資金援助というエサで研究者を釣るのは、ある意味間接的な動員」(ノーベル物理学賞受賞者の益川敏英氏)なんて平気で言う人らが幹部なんですから、ちゃーならんさー。

さて、昨日も触れましたが、日本学術会議は中国科学技術協会と友好関係にあります。この中国技術協会は中国軍部の指導下にあります。
中国において民間技術と軍事技術の境目はありません。
今や米国にその正体を暴露されて存亡の危機にあるファーウェイが、中国の世界の盗聴網を作っていたことは知られるようになってきました。
ファーウェイは創設当時から人民解放軍と深いつながりがあり、日本の技術は彼らの兵器に多く使われているといわれています。
また日本の大学にも積極的資金提供をおこなっていて、東大、東工大、慶応などは多額の研究費や寄付を受け取っていると報じられています。

中国政府の「千人計画」による招聘で、巨額な報酬で中国に渡った科学者は、世界各国から万単位だと言われています。
甘利明氏はこう述べています。

「そして研究者には千人計画への参加を厳秘にする事を条件付けています。中国はかつての、研究の「軍民共同」から現在の「軍民融合」へと関係を深化させています。
つまり民間学者の研究は人民解放軍の軍事研究と一体であると云う宣言です。
軍事研究には与しないという学術会議の方針は一国二制度なんでしょうか」(甘利明 国会レポート410号)

まことにそのとおりです。中国にはもみ手をせんばかりにすり寄って科学技術を流出させ、自国の防衛には会員を協力させない、すんばらしい「一国二制度」です。

こんな団体はいっそう解体するか、それがイヤなら民間団体としてやり直すしかないでしょう。
スガさんが行政改革の一環として、ここを取りあげたのはまことに炯眼でした。

あす書く予定ですが、この学術会議問題を国内政局にからめているメディアばかりですが、実はこれは今米国が進めている研究機関からの中国人排除の動きと連動した経済の安全保障政策と関連しています。
今回の学術会議が、ポンペオの来日と同時期だったのは偶然ではありません。
この訪日に合わせて、日本政府は外国人留学生のビザ問題の厳格化、科研費研究の審査厳格化、あるいは経団連による機微技術を守るためのガイドライン作りなどが相次いで発表しました。
これは、今米国で猛烈な勢いで進む中国に対する規制強化と同一のものです。
まだまだ日本は大きく遅れをとっていますが、日本が汗水流して公費をつぎ込んで作り上げた先端技術がどれほど中国に流出して、新兵器に姿を変えたことか。
これを未然に防ぐには、日米の協力強化、そしてクアッド(日米豪印)の連携体制が必須なのです。


2020年10月 6日 (火)

日本学術会議と中国との親和性

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加藤官房長官、いいじゃないですか。厚労相の時より落ち着いて見えます。
今、メディアはここぞとばかりに学術会議事件で攻めまくっているわけですが、最も正しい対応は「誠意をもって淡々と」です。
過剰な説明をしてはいけません。絶対に切り取られます。
切り取られる余地なく、前任者のように事実をありのまま突き放し気味でしゃべるのがベストです。

朝日はこんなことを聞いてきましたが、それに対する加藤さんの答えです。
内閣官房長官記者会見(令和2年10月5日(月)午前)

朝日 学術会議設立の趣旨は戦前の軍による学問への介入という反省にあるはずだが、政権の判断で任命されなかったことは政治の学問への介入ではないか?
官房長官 日本学術会議自体、内閣総理大臣の所轄の行政機関である。
東京  学問の自由は憲法でも保証されている。(今回の任命拒否は)憲法に定める学問の自由を侵害していないか?
官房長官 行政プロセスと学問の自由は別物である。

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加藤官房長官、学術会議予算の内訳示す 選定理由の説明などは拒否

これでけっこうです。派手さはありませんが、官房長官は地味でいいのです。
ここで朝日や東京がとった戦法は、お定まりの今回の任命拒否を歴史認識に引っかけようとすることです。
戦前の歴史は単純に「軍の学問への介入」などという薄っぺらなものではなかったのですが、そんなことは今はどうでもいいのです。
戦後70年を経過しても、戦後イデオロギーが支配しているらしい学術会議という魑魅魍魎の世界を切り分けるには゛いったん歴史から離れて行政措置の次元に戻さねばなりません。

これが麻生太郎さんのような人だと、つい「そんなに簡単に戦前の軍部が全部悪いで済ましていいのかねぇ」なんて言って、かえって発言を切り取られて「麻生大臣軍部を擁護」なんてされるのがオチです。
それでは、スガ流の淡々とスゴイことをやるというスタイルが曇ってしまって、朝日、東京ら左翼マスコミの土俵に乗ってしまうことになりかねません。
歴史認識を朝日、東京のような初めから結論があるような連中と話しても無意味ですし、国民も特に今聞きたいわけじゃありませんしね。
そんな「戦前における学問の自由の歴史的経緯」なんて、どこかのシンポで暇な時にやっておくれ。

だから、日常的にやっている内閣府傘下の公的機関における人事問題で片づけてよいのです。
今回のことが当該の学術会議から抗議が来たのは、なぜ前例踏襲をしないのだ、理由を教えろ、ということですが、教える義理はありません。
ご自分の会社や役場を想像していただければわかるように、人事に説明書きがついていますか。あったらそうとうにヘンなところです。
人事案件を説明してはいけないのです。下手をすると遺恨を残したりして内部紛争の種になりますから。

だから辞令発令で終了。もし公的機関でその理由を聞かれたら、「法に則って決定しました。根拠法は〇〇法第ナン条です」の一言で済ましてかまいません。
それをぐだぐだと、なぜなんですかぁ、理由を言ってくださ~い、あたしらえらい学者なんですから、聞く権利あります、というような恨み節につきあう必要はないのです。
自分らはエライ学者だから、ワシらのいうとおりに政府は動くべきだ、それを生意気に逆らいおって、これは学問の自由を潰そうとしている、という奢りがムンムンと感じられます。
鼻もちならない傲慢とエリート主義。あんたら、特権貴族か。

そもそも今の学術会議法は、任命権者を内閣総理大臣としましたが、それですら手ぬるいのです。
そんなに政府からリジェクトされたのが腹がたつのなら、政府機関から離脱したらよろしいでしょうに。
たかだか10億でしょう。そんなに「学問の自由」がだいじなら、政府に頼らず日本中の学者からまんべんなく会費を集めたらいかがでしょうか。
普通の職業別同業者組合はそういう当たり前の努力をしています。
ところがあなたがたは学者というだけで、黙って口元まで政府が食い物を持って来てくれて、それが気に食わなければワーのワーの子供のように騒ぐ。
なにが日本最高の頭脳だつうの、頭は専門バカ、感性は子供と一緒です。

政府が介入するなら、任命権で止まらずに、ここを手がかりにして、さらに学術会議のあり方にまで突っ込むべきです。
自衛隊への協力拒否声明に代表されるように、学術会議は、本来の目的である「政府への提言」機能を喪失しています。
半世紀以上前の左翼イデオロギーを振り回すことなど時代に合わないし、そもそも肝心要の会員の決めかた自体がおかしいから話になりません。
自らを「科学者の国会」とまで権威付けしているこの団体は、ただの先生方の推薦の中から互選で、新会員を決めているのです。
互選で構成員を決める組織のどこが「国会」なんでしょうか。

ここがこの学術会議の体質を知る上でのキモです。
日本中の研究者に一票を持たして総選挙をして新会員を選出するのではありませんから、学閥・派閥のボスが自分の人脈を引っ張り上げます。
学者の世界は典型的なボス猿支配の猿山。
東大あたりにいるボス猿が、その配下の中ボスが院生を各大学に送り込み縄張を拡張することに勤しんでいます。
ボスの推薦なくしては院生は大学教員になることは絶対に不可能です。

こうした因習のアガリが学術会議です。
彼ら会員の多くはなんの業績があるのかわからないような「終わった学者」にすぎませんから、学術会議とは在野の骨のある人たちから「学者の墓場」とまで言われています。
彼らはこの利権を絶対に手放しません。会員、もしくは元会員だというだけで一生メシが食えて、社会的な名声と共に自分の猿山が安泰だからです。

したがって彼らに新会員の推薦権がある以上、絶対に自分のクローンを据えることでしょう。
一度としてまともな選挙の洗礼を受けていない人らが作るこの団体のどこが「国会」なのでしょうか、笑わせます。

いやむしろ、互選で選ばれた共産党の大ボスが中ボスを「推薦」し、それがまた小ボスを決めるという日本共産党の幹部の決めかたとそっくりです。
つまり、中国共産党や全人代と一緒です。

だから学術会議は日本政府より中国政府とのほうが親和性があるようで、日本の「軍事研究は断固拒否」と言っているそばから、「中国科学技術協会」とは親密な交流関係を持っているのが、暴露されてしまいました。

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「こうした日本の安全保障技術に対して非協力の姿勢を示す日本学術会議だが、2015年9月7日、中国科学技術協会と、両機関における協力の促進を図ることを目的とした覚書を締結した。 中国科学技術協会は、中国全土すべての学会と科学館を管理し、国内の科学技術知識の広報に大きな役割を果たす組織だ。
中国は2050年までに科学技術における世界のリーダーになることを目指している。党が民間の技術を軍事に利用することを定める「軍民融合」政策を実践しており、軍事改革のひとつと考えられている。このため、共産党体制の中国では政治目標と学術研究および軍事開発の境目が曖昧だ」(大紀元10月5日)
https://www.epochtimes.jp/p/2020/10/62982.html


おいおいです。中国の科学団体は国防部を経て共産党中央軍事委員会の組織下にあるのは常識です。

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中国科学技術協会は民間団体の体裁ですが、上図にあるように全国にさまざまな分野の支部を持っています。
それは工場・企業・高等教育機関・鎮などの地域にまで及んでいます。
中国において共産党と無関係にこのような大規模な全国組織をつくるのは不可能です。
つまり共産党の支配網の科学部門を技術協会がやっているとみてよいでしょう。

中国科学技術協会は、中国国防部傘下の中国工程院と密接な関係があり、いわゆる外郭団体のようです。
下図はボケでいて恐縮ですが、中央右の赤い部分が中国工程院です。

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日本学術会議は、自国の防衛装備庁の委託は拒否しろとまで言っておきながら、中国共産党軍の傘下にある団体と提携関係にある団体とは親密な関係をもっているわけです。
とうぜん、ここで「交流」した科学技術の内容は、中国科学技術協会を経て国防部に筒抜けでしょう。
そして中国軍の血となり肉となるというわけです、やれやれ。

日本学術会議が外国と交流を持つこと自体は勝手ですが、そのつど自国の科学者に課した「軍事非協力」の覚書を取り交わし、更にそのような疑いがある海外団体とは交流しないことです。
実際、日本学術会議は米国の同種の科学技術協会と交流するに際しては、その内容が軍事技術ではないことをそのつど明らかにしろ、と言って制限をかけていましたから、当然中国にもそのようにされていると思います。
なに、していていない(わざとらしく驚く)。

また日本学術会議は、中国政府がすさまじい勢いで進めている「千人計画」に協力を表明しています。
今や千人どころか数十万人の外国人科学者が、軍用と民需の境がない中国で働いているわけですが、米国はすでに「千人計画」に参加した著名なウイルス研究者を逮捕している事態にまで至っています。
自衛隊への協力を平和を理由に一切拒絶する一方、直接の軍事的脅威である中国に対する協力だけは喜んでする、これではねぇ。

国会で追及されるのはあなた方です。

 

 

 

 

2020年10月 5日 (月)

日本学術会議推薦拒否について

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菅総理という人は、安倍氏とは違った意味ですごい人のようです。
もう多くの方がご承知のように、日本学術会議が出した6人の推薦人が、政府によって拒否されたのです。
私は、この人らに「リジェクト6」という尊称を奉りました。

学術会議のサイトからです。まずはなぜこの時期にということですが、この10月が半数改選の時期にあたっていたからです。
http://www.scj.go.jp/

「日本学術会議では、令和2年10月に、会員(210名)及び連携会員(約2,000名)の半数改選を行います。
新たな会員候補者・連携会員候補者の選出は、現在の会員・連携会員が候補者を推薦し、日本学術会議自らが選考するコ・オプテーション方式によって行います。
つきましては、日本学術会議の運営に関する内規第6条の規定に基づき、現在の会員・連携会員による新たな会員候補者・連携会員候補者の推薦を受け付けますので、会員・連携会員としてふさわしい「優れた研究又は業績がある科学者」の推薦をお願いいたします」

 これをあっさりと菅総理は蹴飛ばしました。理由は一切開示していません。
この大学人たちは自分の学校に来る推薦入学を蹴る理由を、いちいち開示しているのでしょうか。
わきゃない。そもそも理由の開示義務などありませんし、そんなことをすれば開示されたほうも傷つく場合もあるでしょうからね。

怒った学術会議は、このような要望書を内閣に出しています。

「第25期新規会員任命に関して、次の2点を要望する。
1.2020年9月30日付で山極壽一前会長がお願いしたとおり、推薦した会員候補者が任命されない理由を説明いただきたい。
2.2020年8月31日付で推薦した会員候補者のうち、任命されていない方について、速やかに任命していただきたい」

総理はそれに対してシラっとこう答えています。

「菅総理大臣は、2日午後6時すぎ、総理大臣官邸を出る際、記者団に「法に基づいて適切に対応した結果だ」と述べました」(NHK10月4日)

根拠は日本学術会議法第7条2項です

●第7条第2項 会員は、第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する。
●第17条    日本学術会議は、規則で定めるところにより、優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦するものとする。

これを読む限り、学術会議ができるのは「会員候補者の選定」までであって、それを会員とするかどうかについての最終的決定権者は内閣総理大臣です。
すっきりと内閣総理大臣が任命するからね、と学術会議法には明記してあります。
ですから、総理が言うように法的瑕疵はないし、この条文には理由を開示しろとはひとことも書いてありませんから、説明する義務はありません。
それとも菅さんに、「この人らみんな左翼ですから」と言って欲しかったのでしょうか。

「リジェクト6」の先生方と同じような反対運動をした人も10人も任命されているのですから、理由を開示してしまったら任命した人とそちらの内部でもめるでしょう。
あいつオレより過激なこと言っていたのに、なんでオレだけ拒否なんだ、みたいなね。
このように人事案件はデリケートなので、民間会社ですら理由を開示しないのです。
そんなことはいい大人なんだから、言わない含みをかんがえなさいよ。世間知らずな、学者センセだこと。

では学術会議のお怒りの理由はなんでしょうか。
これについて、拒否された学者たちが「学問の自由」がどーたらとか言っていますが、そういう風に話を盛るから議論が明後日の方角にふっ飛んでいくのです。
確かに「学問の自由」は憲法で謳われている基本的人権の一つです。
ただし、憲法に書いてあるのはこれだけです。

 ●憲法第23条  学問の自由は、これを保障する。

もちろん学問の自由なき民主社会はありえませんから、尊重されるべきです。これには3つのことが含まれるというのが定説です。

●学問の自由の内容
①学問研究の自由
②研究発表の自由
③教授の自由

①は、何をどう研究しようとそれは各人の自由だということです。
②は、それを発表したり、大学や研究機関などで講義することは自由だという意味です。

ですから、今回日本学術会議が推した推薦者6人が拒否されたとしても、彼らは大学やその方かの場所でなにを語ろうとまったく自由ですから、憲法24条には抵触するとはかんがえられません。
ただし、問題は③の大学・教育の自治」という戦後イデオロギーと関わる部分です。
憲法学者の多くは、学問の自由を大学の自治という概念まで膨らませてしまっていますから、学術会議にもこれが敷衍できると思っているようです。
つまりリベラル左翼は、すべての学者たちの組織・機関の無制限な活動を容認すべきであり、政府はそれを保護して当然だ、ただし政府がこれになにか意見をしたりするのはもってのほか、という思想があります。
カネはよこせ、意見は言うな、というわけで、なかなかスゴイお考えです。

野党はこう代弁しています。また「学問の自由問題追及チーム」でも作るようです。

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「原口一博氏 まさに学問の国会たる日本学術会議への不当な介入であり、日本学術会議法違反であり、学問の発展によって恩恵をうける日本ならびに世界への挑戦だ。ぜひこのプロセス、書類が残っていると思う。誰がどの時点で何を理由に介入したのか、任命拒否したのか。その理由は何なのか、内閣に拒否権はないはずだ」(毎日10月3日)

「学問の自由」を考えるうえで参考となるのは、憲法第23条をめぐるポポロ事件判決の最高裁判例です。
これは東大構内で開かれた左翼劇団の公演に公安刑事が調査活動をしていたことが発覚して、学生と揉み合いになったことについての判例です。
最高裁判決はこう述べています。

● 最高裁ポポロ判決(最大判昭38.5.22)
 実社会の政治的社会的活動であり、かつ、公開の集会またはこれに準ずるものであるから、大学の自治を享有しない。

つまり最高裁はここで実社会の政治的活動は、学問の自由とは無関係だ、と言っているのです。

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ここさえ押えれば、この総理によって任命拒否された6人の社会的言動が、「学問の自由」と関係していないのがわかるはずです。
あれはただの学者という職業の人間が、自分の政治信条を叫んでいるにすぎません。
それを「学問の自由だから、批判は許さない」というなら、あんた何様?、と我ら一般ピープルはおもいますわな。

この「リジェクト6」のメンツを簡単に紹介すれば、全員揃って左翼リベラルの運動家のような人たちです。

●リジェクト6
宇野重規(東京大社会科学研究所教授・政治思想史)
2013年12月の特定秘密保護法に対し、「民主主義の基盤そのものを危うくしかねない」と批判。「安全保障関連法に反対する学者の会」の呼び掛け人。
昨今は赤旗で、野党共闘を応援する発言をしている。
岡田正則(早稲田大大学院法務研究科教授 行政法)
辺野古移設についての反基地派の知恵袋的存在。
「法治国家にもとる」/辺野古新基地 防衛局対応/行政法研究者声明
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-10-27/2018102702_01_1.html
小沢隆一(東京慈恵会医科大教授 憲法学)
2015年7月、衆院特別委員会の中央公聴会で、野党推薦の公述人として出席。安保関連法案について「歯止めのない集団的自衛権の行使につながりかねない」と廃案を求めた。テロ準備罪についてもこのような発言。
「共謀罪法案」に反対する研究団体と法律家団体の共同記者会見
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/373643
加藤陽子(東京大大学院人文社会系研究科教授 日本近現代史)
あまりにも有名な近代史の左翼史観の家元。
松宮孝明(立命館大大学院法務研究科教授 刑事法)
2017年年6月、テロ準備罪の野党側参考人として、「戦後最悪の治安立法となる」と発言。
芦名定道(京都大教授 キリスト教学)
「安全保障関連法に反対する学者の会」、安保法制に反対する「自由と平和のための京大有志の会」賛同者。

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この若宮氏などこんなことを言っています。

「ここ(日本学術会議会員の任命)に手を出すと内閣が倒れる危険がある。なので、早く手を打った方がいいですよと、政権のために申し上げておきます」

いや先生、ご安心下さい。こんなことで支持率60%の内閣は倒れません。
なにか学術会議の任命権って閣僚の任免なんぞよりはるかに高みにあるかのような仰せですが、しょせん学術団体の人事にすぎません。
むしろ国民の目は、学術会議を「聖域」として利権化してしまい、後生大事に抱え込んできたあなた方のあり方のほうに向けられているのに気がつかないんでしょうか。

「リジェクト6」は、すべてが人文系学者先生で、今まで安保法政やテロ準備罪などで活発な左翼的政治活動をしてきた人ばかりです。
これは「学問の自由」とどう関係があるのでしょうか。なんの関係もありません。
最高裁が判例で、「実社会の政治的社会的活動は大学の自治を享有しない」という判例を出しているように 、司法は実社会でこの運動家的研究者たちの言動まで拡げての「自治」を認めないとしています。
これは今回の学術会議の6人拒否事件に置き換えてみれば、学術会議の「自治」には自ずと限界があり、内閣総理大臣には裁量権があるということです。

これには時代の変化を受けて変遷があります。
元々は、学術会議の会員は「科学者による互選」でしたが、1983年の改正で学術会議の推薦に基づいて内閣総理大臣が任命」することとなり、さらに2004年の改正で現行の「日本学術会議の推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命」することとなっています。
とまれ、かつての無制限に「学問の自由」を、大学、ないしは学術研究団体の自由にまで拡大して解釈してきたものに、政府の予算執行とバーターで総理の裁量権を置いたのです。

当然といえば当然すぎる変遷です。日本学術会議が内閣府直轄組織として年間10億の予算を交付されている以上、そのていどの制約は受けるべきでしょう。
それまでがイヤなら、国から予算をつけてもらうことを拒否し、純粋な民間団体でおやりになることです。
それならただの任意団体ですから、日弁連みたいな左翼政党と化しても誰も気にかけません。
私たちの税金なんですからね。
私は学術会議を辞めた研究者を何人か知っていますが、セーセーして縛られずに自由な学問が出来るようになったと言っています。

さてこの学術会議は原発事故や高レベル廃棄物の処分について妥当な意見も開陳していますが、あまりにも現実から浮遊した見解として有名な2017年の「軍事的安全保障研究に関する声明」があります。
http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/gunjianzen/index.html

軍事的安全保障研究に関する声明抜粋
「科学者コミュニティの戦争協力への反省と、再び同様の事態が生じることへの懸念があった。
近年、再び学術と軍事が接近しつつある中、われわれは、大学等の研究機関における軍事的安全保障研究、すなわち、軍事的な手段による国家の安全保障にかかわる研究が、学問の自由及び学術の健全な発展と緊張関係にあることをここに確認し、上記2つの声明を継承する。 
学術研究がとりわけ政治権力によって制約されたり動員されたりすることがあるという歴史的な経験をふまえて、研究の自主性・自律性、そして特に研究成果の公開性が担保されなければならない。
しかるに、軍事的安全保障研究では、研究の期間内及び期間後に、研究の方向性や秘密性の保持をめぐって、政府による研究者の活動への介入が強まる懸念がある。
防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」(2015年度発足)では、将来の装備開発につなげるという明確な目的に沿って公募・審査が行われ、外部の専門家でなく同庁内部の職員が研究中の進捗管理を行うなど、政府による研究への介入が著しく、問題が多い。学術の健全な発展という見地から、むしろ必要なのは、科学者の研究の自主性・自律性、研究成果の公開性が尊重される民生分野の研究資金の一層の充実である」

共産党などがかねてから主張していた「産学共同路線反対」「軍事研究反対」路線を踏襲したものです。
このような「声明」が「科学者の国会」と自称する学術会議の総意かといえばそんなことはありません。
あれは声明を幹部だけの密室で作れるような仕組みがあるからにすぎません。

「科学者の国会」を自称するなら、こういう重要な「声明」に対しては総会の席上で多数決で決めるべきであって、そもそも学術会議って国民の選挙で選ばれているんでしたっけね。
こういう組織民主主義のイロハも知らないような人らに、「学問の自由」だのと高邁なご託宣を垂れられたくはありません。

このような「声明」に対して、学術会議がアンケートを大学・研究機関に出したところ、現実からの遊離を指摘する声が相次ぎました。
http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/gunjianzen/pdf/kohyo-24-h200804.pdf

「声明には現実と乖離している点があると感じる」「資金が防衛装備庁の『安全保障技術研究推進制度』であっても、研究の目的や成果が社会や平和への貢献であるならば、問題はないと考える」、また「研究には、平和目的にも軍事目的にも利用され得る両義性が本質的に存在する。研究は本来自由なものであるという原則にも反する」、「教員の自由意志により実施される研究は、つねに自己責任において実施されなければならない」等の意見です

まったく当然の意見で、「声明」を墨守すれば、会員は安全保障関係の学術研究はおろか、それと関連する基礎研究、あるいは社会科学的研究なども一切できなくなってしまいます。
これでは「学問の自由」を掲げて、学問の領域を自主規制しろと言っているに等しいわけです。
たとえば当初は軍事技術として作られたインターネットやGPS、遡れば航空機、レーダーに至るまで、軍事技術は必ずスピンオフして民間技術の発展に繋がるのはあたりまえです。
これを一括して「軍事技術への非協力」とやってしまえば、科学技術の発展はありえないでしょう。
こういう非常識な左翼イデオロギーに染まったことを平気で言う学術機関でもあるのが、この日本学術会議なのです。

今後、菅さんは、同じ様に同業者組合でしかないにもかかわらず、事実上の弁護士資格の許認可権まで持ち、共産党と寸分違わぬ発言し続ける日本弁護士連合会などにも、メスを入れると思われます。

 

 

 

 

 

2020年10月 4日 (日)

日曜写真館 朝もやの港町

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この港のもっとも美しい時間が始まります。

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夜明け前の港を堤防から眺めています。

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この淡いあやめいろの空気が好きです。

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水平線の下が紅緋に染まって朝が来ます
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金糸雀色(きんしあいろ)、蜜柑色、金茶、紅緋、そして薄藍の空。日本人の色彩表現の多彩さに驚かされます。

日本の伝統色 和色大辞典 - Traditional Colors of Japan

 

2020年10月 3日 (土)

トランプ陽性判定とシアトル自治区の「愛の夏」の結末

確かに黒人を虐待する警官もいるでしょう。しかしそれは必ずしも白人とは限りません。
あたりまえですが、
白人にも黒人にもヒスパニックにも、そのような暴力を崇拝する人物はいるのです。
そして、それぞれの人種の中にも人種差別主義者はいます。
黒人差別が骨がらみになったような白人もいるでしょうし、逆に黒人差別と戦うのではなく、黒人至上主義になってしまったような者も沢山います。

問題は、双方が社会の基盤である法秩序を無視し始めたことです。
アンティファは「警官をやっている黒人はもう黒人ではない」と公然と言い始め、プラウドボーイズのような連中は「自分の家族を暴動から守るには銃しかない」と主張します。
このような傾向は元々あったし、それは米国の宿痾であって、かんたんには解決ができません。
私は問題の本質的解決は無理だと考えてしまっているほどです。

しかし、これ以上の紛争化を避けることは可能です。
黒人至上主義も白人至上主義も
、米国の大多数ではないからです。
しかし
ジョージ・フロイド事件がその背景まで含めて報じられないために解決をかえって難しくしています。
たとえば、毎年、黒人の2倍の人数の白人が警官に殺されていることが報じられているでしょうか。
その中には退職間際の老警官もいたり、勤務して1カ月に満たない女性警官も含まれています。
また勤務中に殺害された警官の4割に黒人が関わっているといわれています。

このようなことが背景にあってフロイド事件が起きたのであって、嗜虐的な白人レイシストだから事件が起きたわけではありません。
しかしこれらの事実を伏せて報じるなら、ひたすら白人のみが虐殺者であって、警官など削減してしまえばいいという安直な考えが拡がります。
実際に、フロイド事件が起きた民主党系ミネアポリス市は、警官の削減を決定しました。

「米中西部ミネソタ州ミネアポリス市での白人警官による黒人男性暴行死事件を受けて全米に抗議デモと暴動が広がった問題で、同市議会(定数13)の議員9人が8日までにミネアポリス市警を解散させると表明した。今回のデモを受けて警察予算の打ち切りまたは大幅削減を進める動きは全米の大都市に広がっており、法執行能力の低下により治安が急速に悪化するとの懸念が強まっている」(SANKEIBIZ 6月9日)

トランプがもの申しているのはこういう社会秩序の自壊傾向に対してであって、白人至上主義者を焚きつけいるわけではまったくない、どうしてこんな分かりやすいことが米国メディアにはわからないのでしょうか。

先日のコメントにも少し書きましたが、トランプは米国が一体性を失いかかった分裂期の統治者です。
その原因は複雑であって、外国人には理解することはできません。それくらい特殊な米国固有の問題なのです。
問題は、これを秩序の再建に置くのか、いっそうの人種間対立を助長する方向に舵を切るのか、です。
私はトランプが前者であることを望みますし、そのかぎりで彼を支持します。
バイデンはまちがいなく後者ですから。

2020年10月 2日 (金)

米国メディアもハチャメチャな大統領選

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皆さんもお聞きのように、NHKで流された大統領討論会は、同時通訳がかぶるというまれに見る現象のために、なにがなんだかよーわーらんという中継になってしまいました。
大方の責任は、被せてしゃべる悪い癖があるトランプが悪いに決まっています(うんざりしましたね)が、バイデンもバイデンでまるでロボット。
出るべくして、バックヤードからバイデンを操る電波が入っていて、その振り付けに従ってバイデンはしゃべっているのだという疑惑が出ました。

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SAVOX

バイデンには、大統領選挙期間中あまりにボケがひどいので、陣営がSAVOXというコミュニケーションツールを使用していたのではないかというわけですが、トランプ支持のSNSから着火して、FOXも大きく取り上げているようです。
FOXは米国では少数派に属する保守系大手メディアで、白人保守層だけではなくヒスパニックにも厚い支持層を持っています。米国の産経みたいなもんでしょうか。
ちなみにFOXの世論調査ではトランプ支持が6割とか。
ほんとかよと思いますが、他のリベラルメディアがあまりに傾いた報道をするので、これであんがいバランスがとれているのかもしれませんが。

「米大統領選候補者による第1回討論会を前に、民主党候補のバイデン前副大統領が討論会でひそかにイヤホンを装着する計画だとのうわさがソーシャルメディアなどインターネット上で拡散している。バイデン陣営は否定した。
このうわさはフェイスブックとツイッターで多数に共有されたほか、陰謀論を広める右派サイト「QAnon(キューアノン)」が広めている。右派メディアのFOXニュースやブライトバートも取り上げた。
トランプ陣営の広報ディレクター、ティム・マートー氏は29日の声明で、バイデン氏の側近は討論前の電子イヤホンのチェックに数日前に同意していたが、この日になって突如、見解を翻したと述べた。バイデン陣営は注意をそらすようなものにすぎないとし、疑惑を否定した」(ブルームバーク9月30日)

トランプ支持者は、大統領討論会の真っ最中にバイイデンが襟にワイヤーを忍ばせていることを発見したと主張しています。

「ポリティファクトによると、討論会が中盤にさしかかった9時45分頃、フェイスブックに、「バイデンがワイヤーを身につけているのを発見」とコメントをつけて、バイデン氏の襟元に線のようなものが映る動画が投稿された。
13秒ほどの動画は、その後、トランプ支持者やQアノンに関連するページやグループで広く拡散された。AP通信によると、翌朝の時点で、フェイスブックで29万回、ツイッターで200万回以上再生された。さらに#JoeWIredがツイッターのトレンド入りしたという」
(mashup NY9月30日)

ただし、これには反証も存在します。

「これらの主張について、複数のメディアが検証を行い、誤りだと指摘している。AP通信は、ワイシャツの線は単なるシワだと説明。手首の影は、バイデン氏が息子のボー・バイデン氏を失って以来身につけている数珠だと述べた。バイデン陣営も、バイデン氏が討論会中に数珠を着用していたことを認めているという」

まぁどっちでもいいんですが、バイデンの発言が支持者たちから見れば「まっとう」、そうではない人たちから見ればまるで自分の意見を持たないロボットのような情感の乏しいものだったためです。
バイデンの素がでたのはトランプに対して我を忘れて「このレイシストめ」と叫んだ時くらいで、彼のような人物が大統領になった場合、そのスタッフによっていいように操られそうな気もします。
そしてそのスタッフが、スーザン・ライスとハリスときていますから、いやはや。

さて今回トランプもハチャメチャで充分批判に値しますが、報じる米国メディアもそうとうなもんです。
たとえば、今米国で騒がれているのが、トランプが討論会中に極右白人至上主義団体に「指示」をだしたというものです。

「トランプ米大統領は暴力的なネオナチ団体に「待機」を呼び掛けた。29日に行われたバイデン前副大統領との討論での一幕。
進行役のクリス・ウォレス氏に白人至上主義団体を非難する考えがあるかと問われ、トランプ氏は「もちろんだ」と答えながらも「誰を非難しろと言うのか」とはぐらかそうとした。バイデン氏が極右ネオナチ組織のプラウドボーイズを挙げたところ、トランプ氏はカメラに向けて、プラウドボーイズに「下がって待機せよ」と述べた」(ブルームバーク9月30日)

シアトル「自治区」に関しては明日にしました。あまりに長い(苦笑)。

 

2020年10月 1日 (木)

トランプ流討論会戦術とは

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トランプとバイデンのテレビ討論の第1回目が終わりました。
ウォールストリートジャーナルによれば「気の滅入るようなもの」だったそうで、「プロレスラーの方がトランプ、バイデン両氏よりも大統領にふさわしい」そうです(笑)。
ひどい言われようですが、こんなかんじだったそうです。

「エイブラハム・リンカーンとスティーブン・ダグラスとの討論のようなものは期待していなかったが、ワールド・レスリング・エンターテインメント(WWE)の試合のようなものにする必要はあっただろうか。この言い方はレスラーに対しても不当かもしれない。彼らの方が、29日夜に開かれた米大統領選の第1回候補者討論会のドナルド・トランプ大統領と民主党候補のジョー・バイデン前副大統領よりも大統領にふさわしい。
 討論会は、侮辱や頻繁な遮り、誇張、現在の米国政治のうその基準からも外れるようなあからさまなうそのオンパレードだった。恐らく数百万人の米国人が30分で見るのをやめてしまったのではないか。われわれも、これが仕事でなければ、やめていただろう」
(WSJ【社説】気が滅入るような両候補の討論会 9月30日)
https://jp.wsj.com/articles/SB12482633762737494654104587007383877795596

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WSJ

WSJによれば、トランプはいままでバイデンを直接やっつけるチャンスがなかったために、舌がもつれたというか、焦りすぎてアレもコレも詰め込みすぎたようです。
トランプが言いたかったことはどうやら、バイデンが左翼勢力と中国に操られているということだったようですが、いえなにWSJが嘆くような層に向けて、トランプは演技しておりません。
トランプの面白さというか、ハチャメチャなところは、初めからジャーナリストの不評など気にしていないことです。
そもそもCNNやNYTは歴然とした敵であり、よく言う道理がないからです。
彼が本気で相手にしているのは、こんなニューヨークやワシントンにいるインテリではなく、毎日汗のにじんだ金をにぎりしめて安酒場にビールを飲みに行くような連中なのです。

だから彼にとって大統領選挙討論会は、WSJがいみじくも言ったようにエンターティメント性溢れる「プロレス」なのです。
知っている人は知っているでしょうが、トランプは大統領をする前には、WWEにからんでいました。

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2007年に行われたWWEの最大の興行「バトル・オブ・ビリオネアズ」(10億ドル長者の戦い)と銘打たれた「髪切りマッチ」なんてものをやったことがありますが、双方とも代理のレスラーを立てて勝ったほうが敗者を丸坊主にできるという仰天のイベントであったようです。
勝ったトランプは、ほんとうにWWEオーナー兼CEOのビンス・マクマホンの髪をバリカンで丸坊主にしております(爆笑)。
まぁ後に少しは悪かったと思ったのか、大統領になった後に丸坊主にしたマクマホンの奥さんを閣僚人事で中小企業局長に抜擢したようです。

トランプはこれが持ち味です。いわばホワイトハウスでとぐろを巻いている朝青龍ことドルジみたいなもんです。
だから彼にリンカーンのような品位を期待するほうが間違いで、あえていえばそれでよいのです。
彼は東部のファッキング・エスタブリシュメントを叩き潰し、陽の当たらないラストベルトの労働者や、中西部のカウボーイ、農場主ら、今の世に乗り遅れた連中の世の中を作ると宣言したわけで、それなりに筋が通っています。

そんなトランプですから、本気で大統領選の討論会なんぞプロレスと考えている節があります。
ですから、相手が技を繰り出すとすかさず反則パンチを繰り出し、細かいファールを連発していらだたせて失言を引きだそうとしたようです。
ハーバートでディベートを習ったようなジャーナリスト諸氏には見る価値なしと言われたようですが、トランプは言った内容ではなく、いかにバイデンを叩きのめしたのかという印象こそが大事なのです。

「バイデン氏が民主党の左派にコントロールされているという主張以外、何を言いたかったのかがよく分からなかった。司会者のクリス・ウォレス氏が実績を強調できる経済などの問題について尋ねたときでさえも、トランプ氏は話題から逸(そ)れ、バイデン氏の攻撃に転じていた」(WSJ前掲)

だからトランプは宮家邦彦氏のような上品な外務省保守派に褒められでもしたら、青くなるでしょうね。今回の宮家氏の評はクソミソのようですから、よかったよかった。
とはいえせっかくコロナ前までは大成功していた経済政策の成功に、司会者から水を向けられたのですから素直に受ければよいものを、そんなことよりバイデンを殴ることに気がいってしまったようで、見ていたペンスなんかはアッチャーと思ったことでしょうね。
しかたがありませんよ、このワシントンの朝青龍は相手のウィークポイントを攻めることにしか興味がなかったし、それが彼の戦略というか「流儀」なんですから。

トランプの「戦略」はひとえにバイデンが隠している米国リベラルの正体を国民に見せつけることでした。
だから、バイデン最大の恥部であるハンター・バイデンの中国スキャンダルを言い立てました。

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米大統領に出馬したバイデン元副大統領の息子ロバート・ハンター

そもそもこのハンター・バイデンは、父親が期待していた長男を亡くした後に甘やかして育ててスポイルしてしまった人物のようです。
ハンターは海軍を薬物使用で追い出され(これはこれでリッパな汚点ですが)、その直後の2014年になんの資格も経験もないまま不正疑惑のあるウクライナのガス会社役員となっています。
当時父親はオバマ政権の副大統領でした。
ウクライナで最大月5万ドル(約530万円)の報酬を得ています。

「米議会上院は23日にまとめた報告書で、オバマ前政権の頃にバイデン前副大統領の息子が不正疑惑のあるウクライナ企業幹部を務めたことについて「利益相反の疑いがある」と指摘した。トランプ大統領がバイデン氏に対する追及を強めそうだ。
国土安全保障・政府問題委員会と財政委員会が共同で報告書をまとめた。ともに与党・共和党が委員長職を握る。報告書は政治色が強く、11月の大統領選の世論調査でリードするバイデン氏に打撃を与える狙いがあるとの見方が多い。
報告書によるとバイデン氏の息子ハンター氏は2014年、ウクライナのガス企業ブリスマの幹部に就いた。ブリスマは検察の捜査を避けるために裏金を使った疑いが出るなど不正疑惑があった。米外交官は同僚に送ったメールで「ウクライナの腐敗撲滅を推進する全ての米政府関係者にとってハンター氏の存在はとても困ったものだ」と嘆いた。
報告書は「オバマ政権はハンター氏の地位が問題であり、ウクライナ政策の効率的な実行を妨害していると認識していた」と主張。「オバマ政権の関係者が明白な警告を無視した」と断じた。一方でトランプ氏はバイデン氏がウクライナの検察官の解任を画策した疑いがあると主張していたが報告書では触れられていない」(日経2020年9月20日)

バイデンとハンターは不正疑惑を一貫して否定しており、今回の討論会でも「証拠がない」と主張しています。
また、ハンターの中国での活動も、バイデン氏の副大統領の任期と重なっています。
中国やウクライナにしてみれば、副大統領の息子と近い関係を築こうとし、多額の裏金を渡したり、なんらかの利益供与をしたことは不思議ではありません。
とうぜんウクライナや中国といった怪しげな国々がそれをタダで寄越すはずもないわけで、米国政府の政策になんらかの影響を期待してのことであったと思われます。

これらの触ってほしくないことを突っ込まれたりするとバイデンは地金を見せ始めて、リベラル左翼特有の言い方でトランプを罵り返し始めたようです。

「バイデン氏も大して変わりがなく、同じくらい相手の発言を遮っていた。また、人々を結束させたいと言う発言とは裏腹に、悪態だらけだった。トランプ氏を「人種差別主義者」や「愚か者」と呼び、「お前は黙れ」と口にしていた。また、トランプ氏と同じくらいのペースでうそを並べ立てた」(WSJ前掲)

「人種差別主義者」というような言い方は、今のブラックライブマター(BLM)の人たちが好んで多用する表現で、この言葉がバイデンの口から出た瞬間、トランプ支持層は飲み屋で仲間の方を叩きながら、ほら見たことか、これがバイデンって奴だよ、ファッキン、ボーシットと思ったことでしょう。

というわけで、トランプは例によってハチャメチャでしたが、支持層にはグッドジョブと言われるでしょうし、バイデンもスタッフとシナリオを沢山作って丸暗記したかいあって、民主党候補者討論会のような痴呆症疑惑をもたれることは避けられたようです。

こうして第1回は終わりましたが、WSJは実は討論会で決める奴は少ないんだよね、なんて白けたことを書いております。

「調査では討論会に大きく左右されることはないと答えた有権者が70%を上回った。討論会の内容に全く左右されないと答えた有権者も44%に達し、2000年以降では最多となっている」(WSJ9月20日)

なんだ、ならばなおさら、どんな政策を討論会で主張したのかではなく、トランプは人種差別主義者だと印象づけたいバイデン、BLMや中国の手先をホワイトハウスに送り込んでいいのかと叫ぶトランプの、まさに「プロレス」で終わってしまったのはむべなるかなです。

トランプは、この大統領選で民主党系の州が郵便投票をすることは不正の温床だと批判しています。バイデン陣営が自らに有利を操作をする疑いがあるというのです。
鈴置氏によれば、実際に韓国の前回の選挙で郵便投票が実施されましたが、統計学的にありえない同一数字が何度も登場したり、操作の疑いが濃厚だという指摘もあります。

「統計的な疑惑は韓国メディアがすでに指摘していましたが、ニューシャム大佐は票を計算する機械などが操作されたとの技術的な疑惑にも言及しました。それらにはファーウェイ(華為技術)の部品が使われているとされ、中国が遠隔操作しうる、と言うのです。 ニューシャム大佐は「この機械が白票も未来統合党への投票も『共に民主党』への投票に数えているビデオが存在する」とまで書きました。以下です。ただ、その画像は示していません」
(鈴置高史新潮デジタル 9月29日)

このようなことは米国でも起こり得ることで、中国がITを使って遠隔で選挙介入をする可能性があります。
それに備えて、トランプは、勝とうが負けようが必ず連邦最高裁にまで持ち込まれて裁判となることを見越しています。
そのために最高裁判事のリベラル派の欠員として保守派を送りこんだようです。

 

 

 

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