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2020年10月22日 (木)

わが国は2代続けて大変な外交手腕を持つ首相を得たようだ

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わが国は2代続けて大変な外交手腕を持った人物が首相をしているのかもしれない、私はそう感じました。
実はぶっちゃけ、私は少々心配な気持ちでこの外遊を眺めていたのですよ。
悪いことばかり考えちゃうんだな。
村山氏のように緊張のあまり腹を壊して公式行事をキャンセルしたりはしまいか、竹下氏のようにガチガチになってはいまいか、カン氏のように下のカンペばかりを見てはいまいか、それほどまでに初めの海外出張というのは緊張を強いるものだからです。
なにを食っても喉を通らない、しゃべろうとすると頭は真っ白、まぁ私ならそうなるな。

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しかしさすが菅さん、憎らしいほど落ち着いていました。小柄な身体からは貫祿さえ漂うほどです。
英語しゃべって舌をかめばいい、ちっこいので見下ろされたらざまぁ見ろ、といった眼で見ていたはずのわが国のオールドメディアの諸兄もさぞかしがっくりきたことでしょう。

私も菅氏について大きな誤解をしていたのですが、彼はその外貌から騙されるような調整型ではありません。
これは就任からわずか1カ月間で国民の誰しもが、へぇーと言った感じで実感しているはずでが、かつてのアベガーのお歴々は、「菅絶対王政」(朝日)なんて言っている始末です(笑)。

考えてみれば、安倍氏の国際戦略を最も身近で知っていたのは菅氏だとは思っていましたが、実は「支えた」なんて生易しいものではなかったようです。
いままで安倍氏が提唱したダイヤモンドセキュリティ(クアッド)は、NSC(国家安全保障局)の前局長の谷内正太郎氏あたりが知恵を出したと見られていたのですが、どうも菅氏もその立案者のひとりだったようです。
でなければ、こうも痒いところに手が届く外交をいきなりできるはずがありません。

初めての外遊国とされた国は名誉に思うものですが、それが今回はなんとベトナムです。
そして次にインドネシアです。
まさにクアッドをより堅牢にしていくためのツボの国々です。

まずベトナムですが、ここはASEANにおいて中国の包囲網を形成するうえで欠くことができない国です。
もちろん、菅さんは間違っても「中国包囲網を作っています」なんて言いませんよ。そんなナイーブな人ではありません。
インドネシアで日本のテレビ局が「自由で開かれたインド太平洋構想に中国が反発している」と問うたのですが、もちろんそういう聞き方をすれば菅氏としては「自由で開かれたインド太平洋は考えを共有するいずれの国とも協力が可能」、「特定国を念頭に置いたものではなく、インド太平洋版のNATOという考え方は一切ない」という面白くもおかしくもないことを答えざるをえません。
ちなみにどーでもいいですが、朝日の質問はインドネシアまで来て、「学術会議がぁ」だったそうです(爆)。
どこへ行ってもモリカケ、学術会議。あ~あもう脳が退化しているのですかね。

聞いた記者が鋭敏なら、この短い答えの中にキイが隠されていることを発見したはずです。
ですからこう聞くべきでした。「最初の訪問国を、中国の南シナ海進出に神経を尖らせているベトナムやインドネシアに定めた理由はなんでしょうか」という聞き方をすれば、「自由で開かれたインド太平洋をつくるためだ」という同義反復の答えになった可能性もありますが、もう少しピリっとしたものになったはずです。

この短い菅氏の答えの中にある「考え方を共有する」、という部分が重大なキイワードなのです。
ここで菅氏が言う「考え方」とは価値観のことです。
価値観とは、狭くは日本が持つ自由・民主主義、法の支配などの民主主義の諸原則を指しますが、広くは今中国がやっている大規模な軍事進出にストップをかける意志のことです。

前者はベトナナム政府とはかならずしも一致しないかもしません。なんせ共産党独裁国家なことは確かですからね。
しかしこの国が目に余る人権弾圧をしているという事実はないし、経済は開かれ、「法の支配」についても共有できます。

また経済に関しても、中国に替わる新たなサプライチェーンの拠点として大きく成長しています。
下図は日本のベトナムからの輸入の推移をみたものです。
この間急激に増加して、わが国がサプライチェーンを中国からベトナムに移動させていることがわかります。

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財務省 貿易統計を基にGD Freak!作成

またその内容も、かつてのような一次産品から製造業製品や電子機器が3割以上を占めるようになっています。

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同上

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「主要品目別にみると、輸出では1位が電話機・同部品で234億9,520万ドル(3.9%増)、2位がコンピュータ電子製品・同部品で155億2,147万ドル(14.1%増)、3位が縫製品で150億9,173万ドル(10.3%増)となった」(ジェトロ ビジネス短信)

「一方ベトナムの貿易赤字は主に工場建設に伴う機械や原材料の輸入が急拡大したことによるものです。工作機械などは付加価値が高く価格も高いため、主力輸出製品である低価格な軽工業品や一次産品の輸出が増えない限りは、輸入額が輸出額を上回りやすくなってしまいます。しかし輸入した各設備が稼動し生産体制が整備された結果、高い付加価値を持つ製品を作れるようになれば、今度は輸出額が増加し、貿易赤字は縮小、さらには貿易黒字へと転換することが見込まれます」(楽天証券)

つまり現時点でのベトナムの貿易赤字は良い赤字で、将来の貿易黒字を生み出すために必要な設備投資や原料輸入をした結果です。
このような「良い貿易赤字」は、一つの国が工業国家ヘと進む段階で成長のために不可欠な現象と考えるべきでしょう。
おそらくこの先数年で、貿易収支は黒字転換し、さらに経済成長の新たなエンジンが追加されることを意味します。
こうしたプロセスを経て、ベトナムは工業国へと変貌していくことになります。
これに日本は大きくな支援をして行かねばなりません。

また地政学的に、ベトナムが東南アジアにおいてツボの位置にあり、かつ、今まで地域はおろか外国に負けたことのない最強国家です。
中国、米国、フランスに勝利した国など世界にはありませんからね。
これは今や親中国家になり下がったカンボジアに対して、充分な抑えとなります。

それを知っている中国は、中国とカンボジアのFTAを結ぼうとしています。

「貨物貿易については、中国側はカンボジアからの貿易貨物の97.53%がゼロ関税で、カンボジア側も中国側の90%の品目に関してゼロ関税にしている。これは双方がいままで行ってきたFTA交渉中、最高水準だという。
サービス貿易については、双方はそれぞれが参加しているFTAの基礎の上、さらに一歩進んだ市場開放水準にレベルアップし、両国のFTAにおいての市場開放は押しなべて両国それぞれの貿易パートナーに与えうる最高水準をお互いに認めている」
(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.190 2020年10月21日

10月12日、カンボジアのフン・セン首相と王毅外相はプノンペンでFTAの調印式をしました。

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フンセンと王毅はこんなことを言っています。

「フン・センはカンボジア側がこのFTA調印を高く評価し、経済上、政治上ともに重要な意義がある、と語った。またカンボジアと中国の友好的協力を通じて、カンボジアはますます発展していくことだろう、と語った。
王毅は、このFTA調印が対外的に協力なシグナルとなって、カンボジアがコロナのもたらしたマイナス影響を克服する助けとなり、カンボジア経済社会発展にポジティブな影響を与えるだろう、とした」(福島前掲)

この調印までのスピードは、2020年1月から交渉が開始され、2020年7月20日には早くも妥結です。超高速交渉でした。
だいたい世界のFTA交渉は、早くても数年、長ければ十数年かけておこなわれるのに、たった10カ月です。
いかに双方が急いでいたのか分かります。

これは、中国が新型コロナによって世界各国からデカップリング(分離)の対象となり、一帯一路構想もガタついてきたことを受けて、二国間FTA交渉や中国主導のRCEP(東アジア地域包括的経済連携)の調印にできるだけ早くこぎつけたいとの気持ちが露骨なまでに現れています。

「許利平は「カンボジアは経済レベルが相対的に遅れたASEAN国家であり、FTA調印はカンボジアが外資を呼び込むのに有利で、インフラ建設を加速させ、農業の現代化を加速させ、国内雇用を推進する」と評価。「カンボジア経済にとって非常に利益があり、さらに地域の産業チェーン、サプライチェーンのシステムに溶け込み、経済競争力をますことになる」とのべていた」(福島前掲)

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地図素材:東南アジア 自然図 [82641] | ベクトル地図素材 加工編

ところで東南アジアの国々は基本的に日和見です。
それは中国と陸続きの周辺国家であり、同時に米国という海洋国家の二大勢力の狭間にあるからです。
国境を接するベトナムは今まで中国に支配されてきた長い歴史があり中国とは宿命的に対立する運命をもって います。
一方、内陸国のカンボジアやラオスは、地域最強国家のベトナムを共通の的としてきた歴史があります。
タイは偉大などっちつかずのバランス国家で、常に強いものの味方をして独立を保って来ました。
インドネシアは人口が3億人に達する世界最大のイスラム国家で、しかも多くの島からなっています。
ですから、政治的にはどっちつかずである点はタイに似ていますが、島国家であるだけに南シナ海の中国の傍若無人ぶりには脅威を感じています。
それが先代の親中派政権が倒れた原因です。

このように各国の置かれた状況、地政学的立場の違いから、ASEANとしてまとまった方向性を打ち出すことはできないままとなっていました。
だからこそ、東南アジア国家の中から、「自由で開かれたインド・太平洋構想」に参加する国を募らねばならないのです。
それも大胆、かつ慎重に。

外交とは国際社会における国益の最大化のことです。
よく勘違いされるように、握手しに行って仲良しになることを外交とは呼びません。
そんなていどのことは現地の大使が豪勢な飯でも食いながらやって下さい。
首脳外交が目指すことは、わが国の国益と同じ価値観を持つ国を探し出し、その国と信頼関係を醸成しながら、ガッチリと連携を強め、更にその環を拡大し、気がつけばそれは「対中包囲網」になっていたという仕掛けを作らねばなりません。
まだクアッドは、中心となる呼びかけ人に当たる4カ国が定まり、その仕掛けを作っている真っ最中です。
アジア版NATOなどまだ先の話で、土台固めの時期だから、菅氏は東南アジア歴訪を選んだのです。

初めから「対中包囲網作りますから、参加しませんか」なんて言ったら、世界有数の中国嫌いであるベトナムですらドン引くことでしょう。
ここでうっかりベトナムやインドネシアが、「はい、参加します」なんて漏らしたら、明日から目の前の海を中国軍艦が軍事演習をしまくることでしょうからね。

だから今後も菅氏は、記者たちから「アジア版NATOをつくるんですか」「対中包囲網を作るんですよね」なんて愚問を受けても、シャラっとして「特定国は念頭にありません」と答えることでしょう。
こんな聞かれて困ることを聞くんじゃないよ、ばかめ。
記者ってどうしてこうも常識がないんだろう。相手国に迷惑だろう。

とまれこの外遊で、菅氏は外交も安倍スタイルを踏襲することを内外に明らかにしました。
鈍重な外交貴族の外務省には任せない、自分で直に言って相手国の首相と膝を付き合わせて会談をする、ためらわずに顔の見える首脳外交をする、それが外交の王道なのです。

※扉絵 山形さんから頂戴しました。ありがとうございます。

 

 

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コメント

まさかここで来たかあー(笑)
すんません。スマホで先月適当に撮ったんだけど、ちょっとブレてますね(笑)
それこそ奥羽山脈の偉大さを感じるわけで。
一番低い所が山形〜仙台の大動脈の笹谷峠(標高900メートル)です。東北地方の山脈の東西でどれだけ気候が違うのかが分かるかと。。
ちょうど仙台が炎上してるような方向に太陽が上がってます。12月になると峠より南になります。


菅さん、ひたすら無難な政権運営をするかと思ってましたが、やるなあ!
書籍の新装版で公文書の項目消されたとか上げつらって騒いでるマスコミもいますけど···[国益]って何なのか、日本国民の皆さんはちゃんと考えて下さいなとしか。。
菅さん見事なもんです。長く安倍さんの官房長官やっていましたから、ノウハウはたっぷりあるでしょうし····あくまで継承ときてそこに自分のアレンジを加える!正解ですね。
改革どうこうに関しては力強い河野がいるし。

何でも政府が悪いとか統括組織が悪い!と騒ぐだけで飯が食える朝日のような左翼マスコミもいい加減にしてくれと。
JRの終電が30分早くなったら、彼氏との時間が減ってしまうとか感情論を街角インタビューで流したり、沿線のラーメン屋は大打撃!なんて書くのなら、じゃあ公共交通機関への補償は誰がしてくれるのでしょうか?というね。
誰も悪く無い、新型コロナのせいなんですけど。とにかく批判し続ければ勝ち(笑)みたいな感覚でやってるマスコミってもはや中身が腐りきっていて無用の長物でしょう。

我が国水産業・水産加工業はインドネシアとは深いお付き合いがあり、インドネシアの領海・排他的経済水域の面積ランキングは世界6位の我が国を上回る4位。
(ちなみに領海・排他的経済水域の体積ランキングでは、深海を多く持つ我が国が4位でインドネシアが5位)
そして、インドネシアは北朝鮮と国交を結んでいて、ジャカルタは平壌と姉妹都市提携をしています。
ジャカルタの街を北朝鮮人が闊歩しているのは普通なことですが、だからといってインドネシア政府も民間人も北朝鮮という国の姿を無条件で認めているわけでもなく、近年は国交見直し論も出るほど、対北朝鮮認識は厳しくなっています。
北朝鮮に絡んで友好と批判両方を持つ第三国たり得るインドネシアは、我が国にとって貴重です。
もともと、4年くらい前だったか、ジョコ政権のスシ海洋相が違法操業の外国漁船から乗員を下船させた上で船体を爆破したくらい、南国的ユルさもある反面に持つ誇り高さが際立つ国でもありますね。
その点はベトナムも同様です。
こうした国々と我が国が価値観を共有しそれを形にしていく行動を初っ端に選ぶって、ガースー首相やるなぁと私も思った次第。

山形さんの写真の稜線のシルエットと紫の空の2分割、間に燃える色。
管理人さんの写真からも、こちらの山形さんの写真からも感じる、より高緯度な、あるいはより標高のある場所の澄んでパキっとした空気感、寒さ冷たさが苦手な私でもすごく憧れがあります。

菅さんは意外と武闘派の闘将でしたね。

今朝の写真はいつもと毛色が、と思ったら山形さんですね。美しいです。
菅首相の初外遊は大筋も細かなイメージ戦略も大成功のようで何よりです。
ノーマスクでベトナム首脳と並び立つ絵は、感染数を抑える両国にとって誇らしい姿です。

下記は歴代総理の外遊先リストです。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/page24_000037.html
安倍政権の初外遊先もベトナムインドネシアそしてタイでした。次が米国、そしてモンゴル。

今回の行き先は外交方針変わらずという強いメッセージです。当時よりチャイナリスクは更に高まった今歴訪リストを振り返ると、安倍政権時代の戦略は素人目にもインパクト強いですね。
タイは今大変そうなので後回しのようですが、安倍外交の歴訪順でこの次にくる米国、そして何よりモンゴルへ菅首相がいつ行かれるのか、注目しています。
モンゴルとも経済的に更に結びつけると良いと思います。

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