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2020年10月 8日 (木)

なぜポンペオ来日時に学術会議事件が起きたのか?

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朝のラジオを聞いていたら佐々木俊尚氏というひとが、この学術会議騒動についてこんなことを言っていました。
誰も学術会議がなにかわからないわけですよ、モリカケよりわかりにくい。
へぇーそうなんでしょうかね、と聞いているとこんなご意見。
あれはスガさんの深慮遠望で、サヨクがこれで騒ぐのが判っていてやっている。
モリカケでんもそうだったが、いったんやらせてそのバカバカしさが国民のほとんどが判るようになって、野党はいっそう支持を失うことを狙っている高等戦術。

う~ん、佐々木さん。まったく見当はずれです。政局だけで政治を見るから、こんな近視眼的な見方になってしまう。
学術会議に問題はそもそもあったのです。そんなことは自民中枢にいる人間なら誰でも知っていたことです。
学術会議の共産党的思考様式は昨日今日のものではなく、あのようなうすらピンクの団体に税金を投入して権威付けすることに多かれ少なかれ保守政治家なら誰しも疑問に感じていたはずです。

だって、古くはサンフランシスコ条約締結時から学術会議は共産党の言うがままに全面講和を主張し、西側陣営に入ることにすら反対していたようなところだったからです。
全面講和論とは、西も東も拒否し非武装中立だってわけですが、一種の寝言でなければ、日本に自由主義陣営に加わってもらっては困るソ連に忖度したんでしょうね。
自衛隊に対する協力拒否も一回二回ではなく、実に三回もやっていて、もはや学術会議にとって防衛協力拒否はただの時局に対する意見ではなく会是です。
そして、「科学者の国会」の権威を使って各大学に、防衛省協力を拒否させましたから、実効性があります。

昨日ご紹介した2018年に起きた北大防衛省協力拒否事件について、北大名誉教授・奈良林直氏はこう書いています。
『学術会議こそ学問の自由を守れ』 https://jinf.jp/weekly/archives/32608

「 軍事研究を拒否し中国とは学術協力
 一方、学術会議が力を入れているのが、「軍事研究の禁止」を旨とした防衛省関連研究の否定である。実例を一つ挙げる。北大は2016年度、防衛省の安全保障技術研究推進制度に応募し、微細な泡で船底を覆い船の航行の抵抗を減らすM教授(流体力学)の研究が採択された。この研究は自衛隊の艦艇のみならず、民間のタンカーや船舶の燃費が10%低減される画期的なものである。このような優れた研究を学術会議が「軍事研究」と決めつけ、2017年3月24日付の「軍事的安全保障研究に関する声明」で批判した。学術会議幹部は北大総長室に押しかけ、ついに2018年に研究を辞退させた」

学術会議が学長室にまで押しかけるといった「実力行使」をしてまで潰した北大の研究とは、船底の微細な泡の除去だったわけで、こんなことまで「軍事研究」と決めつけて実力行動をしていたのですから、呆れてものがいえません。
このような研究は民需、軍需の分け隔てなく人類の科学技術の前進に寄与するものです。
それを防衛省に応募だからといって潰して悦にいっている、これは奈良橋氏がいうようにまさに学問研究の自由に対する敵対行為です。

そのくせ学術会議は、中国には極度に甘いどころか、積極的に中国の技術団体と「交流」を持ち始めました。

「日本の大学などで開催されているレーザー技術の学会のセミナーに多くの中国人学者が参加している事実を知っている。レーザー技術のほぼ9割が軍事利用されることは世界的な常識である。従って、中国人の学者は肩書が大学研究者や研究所職員であっても、研究成果は即、人民解放軍に軍事利用されることは疑いがない。レーザー技術のみならず原子力技術に関しても、日中友好という美名の下、中国に日本の国立大学技術者が協力している事実がある」(太田文雄)

近年、こういう学術会議の「一国二制度」ぶりは加速化する一方でした。
なぜなら、中国が「千人計画」という国家プロジェクトを作って、札束で頬を叩くようにして世界各国から先端技術の科学者をヘッドハンティングし始めたからからです。
学術会議は見事にこの中国の世界の先端技術盗用の罠に自ら乗ってしまったのです、それも積極的に。 

「米国の連邦捜査局(FBI)長官が、中国の「千人計画」は米国など諸外国の軍事関連などの高度技術を違法に取得する手段だとして厳しい警告を発した。千人計画とは、中国政府が海外人材を破格の好待遇で集めて、中国の発展に協力させる計画である。(略)
千人計画(中国での正式呼称は「海外高層次人才引進計画」)とは、中国政府の国務院と共産党中央組織部が主体となって2008年末にスタートしたプログラムだ。諸外国の理工系の最高級人材を破格の好待遇で集め、中国の軍事、経済の発展に寄与させることを目的としている。 中国政府は同計画の存在を公表し、2017年までに合計7000人の理工系の科学者、研究者を集めたとされている。
同報告書によると、中国当局は千人計画で募集した科学者たちに、米国など諸外国の高度技術を盗用してでも入手し、中国の軍事や経済に活用することを求めている。しかも外国の科学者たちには、同計画に関与することを一切口外しないよう命令しているという 」
(2020年7月15日 古森義久 『科学者を犯罪に走らせる中国「千人計画」の正体』

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千人計画には日本の科学者も参加したと報じられています。
その動向は中国政府が秘密にしているために全貌は明らかになっていませんか、たとえばこのようなことが浮上しています。

「第4部 世界の潮流/4 トップの頭脳、中国へ招致 「千人計画」の実態 任期なく桁違い年俸提示
2016年10月、中国の北京航空航天大に新設された「ビッグバン宇宙論元素起源国際研究センター」の調印式。初代所長に就任した梶野敏貴・国立天文台特任教授(63)があいさつし、中国人の副学長と固く握手を交わすと、会場に拍手がわき起こった。梶野さんは翌17年3月、特別教授として同大に赴任した。
 宇宙核物理学の分野で世界的な成果を上げてきた梶野さんは16年春、「海外ハイレベル人材招致計画(通称・千人計画)」の対象に選ばれた。中国政府がノーベル賞受賞者を含む世界トップレベルの頭脳を国内に招くため、08年に始めた政策だ。梶野さんは「基礎科学だけでなく応用科学、企業などあらゆる分野の研究者を世界中から招聘(しょうへい)している」と、多彩な顔ぶれに驚いたという」
(毎日2019年4月25日)

中国政府は若手の研究者にも食指を伸ばしています。

「千人計画は若手や中堅の研究者も対象だ。復旦大(上海市)の教授に32歳で就任した構造生物学者、服部素之さん(36)は妻が中国人だったことがきっかけで、東京大の任期付きの特任助教の時に自ら応募した。日本の准教授にあたる副教授や研究員、学生ら約15人の研究室を率いる。構造生物学は東大も非常に強い分野だったが、「ここ5~6年で中国に抜かれ、関係が逆転した」と実感している」(毎日前掲)  

このような先端頭脳の中国への流出によって日本の科学技術は衰退を招きました。
先ほど引用した天文学、構造生物学のようにかつて日本が誇っていた先端科学はみるみるうちに中国に追い越されていきます。
そりゃそうです、日本が育てた優れた頭脳が高い報酬と優れた研究施設の餌に食いついて、中国へと流れたからです。
かくして日本はあらゆる先端技術の分野で中国に遅れをとってしまいました。

そしてこの「千人計画」は中国の科学技術大国勃興に力を貸しただけにとどまらず、民需と軍需の境がない中国においてはデュアルユース(共用技術)された結果、中国軍をいっそう強力にする原動力となってしまいました。まさに売国的所業です。
これに遅まきながら米国政府は気がつき、強い規制をかけると同時に、中国へ違法に技術協力した外国企業に対しては市場アクセスを拒否するまでになっています。
このような情勢を見て、まさに菅氏がいうように「総合的に判断した」のであって、野党対策なんて考えていても0.1%ていどでしかありません。

さて、冒頭の佐々木氏の言説に戻りましょう。佐々木氏は学術会議事件をスガ氏の「野党殺し」の構図の中でしか見ていません。
この説明では、「なぜこの時期に学術会議事件が起きたのか」説明がつきません。
先述したように、自民党は学術会議が共産党とそのシンパによって握られてしまっていることはとっくに知っています。
政府の公安情報組織を甘くみてもらっては困ります。

しかし、今までは特になんのリアクションもすることなく、新会員を推薦されれば唯々諾々と承認するだけで、いわば勝手にやらせていたわけです。
それはこんな「終わった学者」の養老院ごときに、政府から見れば捨て予算に等しい10億ていどの飴をしゃぶらせておいても無害と判断していたからです。
では、それを政府は今年限りで止めた理由はなんでしょうか。

答えはそんなに難しくありません。同時期にポンペオが来日し、日米豪印のクワッド外相会談が開かれました。
そしてこのクアッドを、年一回の定期会合に格上げすることが決まりました。
今はまだ建前としては非公式会合の形をとっていますが、おそらく来年くらいには「アジア版NATO」構想が浮上するはずです。

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「スティーブン・ビーガン米国務副長官は先月31日、米印戦略的パートナーフォーラムで、インド太平洋地域には「明らかに北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)のような多国間構造がない」としたうえで、(クアッドと呼ばれる)4カ国が先に始めることも非常に重要であろう」と述べた。この発言が注目を集めたのは、米国が2010年代に入って推進した対中国牽制の動きが「リバランス戦略」や「インド太平洋戦略」など抽象的概念を超え、対中包囲のための集団安保体制「クアッド」構想などに具体化しているからだ」(ハンギレ 2020年9月10日上図も)

これはいままでの米民主党の口先だけの「リバランス戦略」とは大きく異なっています。
まず2015年4月、日米防衛協力指針が改正され、日米同盟を二国間防衛同盟からグローバル同盟に発展強化しました。
そして2017年11月、トランプ政権は日本を中心的パートナーとして「自由で開かれたインド太平洋」を両国の共同戦略にすると発表しました。
次いで2019年6月、米国防総省はインド太平洋戦略報告書」を発表し、日豪印にまでスパンを拡げたインド太平洋地域の同盟を作り出すことを宣言しました。
米軍はこれに対応して、同時期にアジア太平洋軍司令部の名称を「インド太平洋軍司令部」に変えています。

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産経

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初の対面外交はグータッチ 菅首相、米国務長官と会談|au Webポータル

このような流れの中で今回の日米豪印の外相会談が開かれたのです。
これはアジア版NATOの準備会合です。
おそらくはトランプ政権が継続されれば来年、されなければ4年後には陽の目をみて正式発足します。
発足メンバーは日米豪印の4カ国、それにひょっとした脱欧入亜に転じた英国が乗るかもしれません。
韓国は、平等にどの国からもその不実によって嫌われ、平等に既に片足を中国陣営に入れていると認識されていますから呼ばれませんし、ムン閣下も来る気はないでしょう。
仮に韓国のような新規参入国を認めれば、今4カ国で行われている多岐にわたる分野でのすり合わせをまた初めからせねばなりませんしね。
英国とだったらわりとスムーズですが、そもそも韓国とは大前提の自由主義国としての価値観を共有できないのですからどうしようもありません。
韓国なんか放っておきましょう。どうでもいい国です。

それはともかく現段階では、海洋の安全保障やサイバー対策の連携、そして次のステップとしては中国の「千人計画」阻止などの経済安全保障体制の強化が積み増しされるはずです。
おそらくもう既に事務方では経済の安全保障がかなり討議されていると思われます。
これは現在米国で導入されている対中規制の法律と同種のものを各国が共有化することです。

日本がポンペオの来日に合わせて外国人留学生のビザ問題、科研費研究の審査厳格化、経団連による機微技術を守るためのガイドライン作り、そして今回の学術会議問題を相次いで行ったのは、このような背景があるからです。

 

※扉写真で画面の闇の中に光る赤いものは登ってくる太陽です。このように地底から太陽はわきだしてきます。

 

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コメント

 佐々木俊尚さんと言えば、「当事者の時代」という現代リベラルの病理を明らかにした好著がありました。ですけど、その佐々木氏クラスにして「菅政権の野党勢力を削ぐための深謀遠慮が理由」とは、いささか間の抜けた見立てです。

そういうのは他にもいて、例えば「我らがヤッサン」こと維新の足立康史委員は、「(学術会議問題は)55年体制に逆戻りした与野党共働のプロレス」として、「その騒ぎを利用して、渦中に菅政権は重要な政策を次々に実現するつもり」だとか。

佐々木氏や足立氏に共通する傾向は、国際情勢に無頓着な事です。
日本はあきらかに中国警戒網に与する方角にカジを切っていて、それは安倍政権最終盤から顕著になっていました。
ここにきて、それに「加速度がついた」という見立てが正確です。

よく、「二階を幹事長に残したから、菅総理は親中」などという一部保守派の言説を聞きますが、これも間違いです。
二階は幹事長という役割に押し込められたのであって、親中派人士としての活動の自由度を失っています。

日本のノーベル賞受賞者はそのほとんどがアメリカの研究室に所属していたか、またはその出身者です。日本人研究者がバックドアとなって、中国に研究成果が筒抜けとなる事態は避けなければなりません。
大きくいえば、菅政権は米国等の対中包囲網参加の意思を、今回の学術会議問題で西側諸国にアピールした事になるのではないかと考えます。

また、間違ってバイデンが大統領になった場合を想定しても、いったんスクラムを組んだ今回の外相会議の組み合わせを作っておくことで、それを乗り切れると判断して踏み出したのだと思います。
くしくも先日、安倍=メルケル電話会談が行われました。
ドイツもここのところ、かなり中共に対してシビアな見方に変わってきています。そういう自由主義世界の流れが確実にあり、日本として手を付け始めたと言えるでしょう。

あまり報道されませんので詳らかにわかりませんが、中国人留学生に対する入国ビザの取り扱いも変更されるとか。そうした流れのなかで、これから学術会議の問題点を自民党はつつき出していく事になると思います。

朝日は社説でクワッドを、米国覇権の具にするな!日豪は経済的に結びつきがあるし印もバランス外交をするんだから!
と強気の論陣を張りました。ちょっと流石にびっくりです。(実際日本の企業はかなりの数が居残っていますが)
とはいえ日本の個別対策である出入国チェックや知財管理の厳格化についてまでは一応「中韓差別だーブロック化だー」と書かないのは、今や国民の大半が当然の政策だと理解しているのがわかっているのでしょう。
米国大統領選の結果次第で全てをひっくり返させる事がないように、トランプ陣営側が今やれる事を駆け足でやっているのを見ると、選挙アピールでもありますがバイデン優勢を肌で感じての事だろうと思います。

 今日のフロント記事、そして山路さんのコメントを読み、愉快な気分です。

 学術会議の補助金10億円として、これを会員210名で割ると一人当たりで480万円前後になりますでしょうか。これをどのように使っているのでしょうか? 仮に半分の240万円が個人の学者に渡るとしたらその方にとっては大変な収入ではありませんか。やっていることは、政府への提言として政策に反映されるものでもなくて、政府批判ばかりです。これでしたは無駄な出費ということになります。

 

日経新聞によると収支の内訳はざっとこのようなものです。
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO64645000V01C20A0PP8000?s=2

 ふゆみさん、ありがとうございました。

 学術会議の解体を希望しております。

いつも楽しみに拝読しております。

マスメディアや野党、当事者が騒げば騒ぐほど日本学術会議がどんどん追い込まれて窮地に陥っています。今日の記事で、韓国への輸出管理強化の時点から第三国経由の戦略物資の横流しを、HUAWEI排除等で重要情報のバックドアを、日本学術会議を白日に晒して先端技術の流出を、それぞれ断ち切ろうとしている流れが一連のものとして浮かんできました。クアッドのような直接的な軍事力の対抗だけでなく、水面下でも通商破壊作戦が進んでいるということなのでしょう。

このままの方向性で、かつてのレアアース騒動や今年のマスク騒動みたいなことが起こらないように産業界や国民生活に配慮しつつ、国際的なサプライチェーンから中国をデカップリングしてしまえば、戦前日本がくらったABCD包囲網の現代中国版が完成です。1940年の東京オリンピックは幻になってしまいましたが、追い詰められた中国が台湾や尖閣へ進攻したりすると、2022年の北京冬季オリンピックも幻になるかもしれません。

それにしても、こんな想像までさせてしまうブログ主様の洞察力には、恐るべきものがあると感じております。

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