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2020年10月27日 (火)

国連を支配し尽くした中国

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トランプが期せずして日本人に教えたことのひとつに、国連信仰の虚妄がありました。
あのうるさい男が、ギャギャーとWHOを非難したことによって、日本人が国連の正体に気がついたのかもしれません。

そういえば、わが国は上から下まで「国連」ブランドを何より好み、まるで世界平和の象徴、世界政府のひな型と考えていました。
ユネスコと聞くとミューズの女神が宿りたまう神殿のように思い、ユニセフと聞けば恵まれない世界の子供を育む偉大な母親のようなものだと敬し、人権理事会といえば無条件に国際人権保護の頂点だと錯覚していました。

いまになると冗談のような気すらしますが、かつてまだかろうじて保守政治家の余韻が残っていた頃の小澤一郎が、大まじめに日本の安全保障を国連に丸ごと信託してはどうかと言ったことがあります。
それで「9条」の軍隊の保有と交戦権をクリアしようとしたんですね。
その後この男はつまらない左翼政治家に転向しましたが、それはともかく、一国の安全保障を丸投げしてもいいと考えるほど、この国連信仰は常識だったのです。

その国連は、今や中国の代理機関と化しています。
有体にいえば、国連とは中国の出先機関となり下がっているのです。
ウォールストリートジャナルは、『中国がじわり進める国連支配、その舞台裏』(2020年9月30日)という記事を、香港の国安法から書き始めています。

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新潮デジタル

「中国が今夏、香港への政治的弾圧を強めると、国連人権理事会(UNHRC)では真っ向から対立する2つの文書が加盟国の間で出回った。1つはキューバが策定した中国政府の動きを称賛するもので、53カ国が支持。もう1つは懸念を表明した英国策定の文書で、支持したのは27カ国にとどまった」(WSJ前掲)
https://jp.wsj.com/articles/SB12482633762737494654104587007092439820920

この香港国安法という世紀の人権圧殺法に対して、最も強い批判と中国に対する撤回を求めるべき国連人権理事会は、なんとキューバが提出した中国称賛案を可決したのです。

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非難決議賛成国が青、反対国が赤。
反対国53カ国の共同声明いわく

「香港は中国の切り離せない一部分であり、香港の事務は中国の内政で、海外は干渉すべきではない。
国安法は国家の立法権に属する。人権問題ではなく、人権理事会で議論すべきではない。
我々はこの措置が『一国二制度』の長期安定、香港の長期繁栄・安定に資すると考えている。
香港は中国の切り離せない一部分であり、香港の事務は中国の内政で、海外は干渉すべきではない。
国安法は国家の立法権に属する。人権問題ではなく、人権理事会で議論すべきではない。
我々はこの措置が『一国二制度』の長期安定、香港の長期繁栄・安定に資すると考えている」

これほどの悪い冗談はありません。
このような一言一句中国の主張そのままの共同声明が「国連人権理事会」の名を被って提出されるという醜悪さです。

批判提案も出るには出たのですが、それすら英国案のように「懸念」を表明するにとどまるという腰の引けたものでした。
なぜなら、最も強い批判案を出さねばならなかったはずの米国が、2年前に人権理事会を脱退していたからです。

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WSJ  2018年、人権理事会を脱退した米国の空席。

香港だけではなく、中国が公然とエスニック・クレンジング(民族浄化)を進めているウィグルに対してすら、人権理事会は沈黙しています。

「4月には、人権理事会で特定国の人権状況の調査を担う特別報告者を選出する委員の一人に中国人外交官が就任。ウイグル族抑圧や香港情勢で国際社会の追及が阻止される恐れは一段と強まった。中国は10月に5度目の理事国にも選出された。
中国は水面下の外交活動も進め、「ウイグル問題に言及しないよう国連高官らに圧力をかけている」(外交関係者)ともいわれる。人権や自由の尊重は国連の基本文書である国連憲章が前文などで掲げる目的の一つだが、アナン元事務総長の特別顧問を務めたコロンビア大のマイケル・ドイル教授は「国連は人権問題について、ほとんど何の役割も果たさなくなっている」と懸念を示した」(産経10月24日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/d7ec51876dfb13fe003ab44ac5eb4fb360aa5cad

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ウィグル問題においても、香港と同じブラックジョークのような光景が再現されました。

「中国は航空や通信、農業といった分野で世界標準を設定する国連機関のトップに自国の人材を積極的に送り込んできた。国連組織で影響力を握ることで、中国は国内外における自らの言動について、国際社会の追及を阻止することが可能になった。
3月には、人権侵害に関する国連の特別報告者を選出するパネル(5名で構成)で委員の座を確保。特別報告者はかつて、新疆ウイグル自治区で100万人余りの少数民族を「再教育キャンプ」に収容していた問題を巡り、中国当局を標的としていた」(WSJ前掲)

人権侵害についての特別報告者のパネル5名の委員の一角には、非難を受けている当の中国が座っているというのですから、もはや報告書がどのような結論になるのかは想像する必要もありません。

この原因は、米国が人権理事会の中国支配を批判して脱退してしまったことに起因しています。
米国という最大の敵かいなくなったことを幸い、中国は息のかかった「属国」を各種委員会・理事会に送り込み、今や国連は中国支配が完了しかかっています。
ちなみにこの「属国」という表現は私が揶揄してそう言っているわけではなく、かつて中国が韓国に対して実際に使った用語です。
この国にとって、いかなる時代においても自らは「中華」帝国であって、対等な国家間関係など存在しないのです。

「国際機関の制度を自国に優位な方向へと誘導しようと各国への働きかけを強める中国。香港問題を巡るこの一件も、中国がこれまで積み上げてきた「外交上の勝利」を示す直近の一例にすぎない。トランプ政権が第2次世界大戦後の国際秩序の多くから後退するのに伴い、長年にわたり組織的な外交攻勢を仕掛けていた中国が、その最大の受益者として台頭している」(WSJ前掲)

またITU(国際電気通信連合)もまた中国支配が完成しており、この国連機関がやったことは通信部門の国際規約を定めることでした。
ITUはファーウェイやZTEの5G規格を世界標準にして、事実上中国の5G支配の道具となりました。
しかし、これは米国の強い反対で頓挫しています。

トランプは、中国の影響力のある国際組織からの撤退を命じました。
ユネスコ、UNHRC、人権理事会、そしてWHOなどです。
その代わりトランプは米国が主導する国際的対中包囲網を作ることに腐心したのですが、それ日米豪印で作るクアッドを除けばすべてが不調でした。
特にアフリカ、アジア諸国において、中国の一帯一路政策による巨額の投資によって、中国との関係悪化を嫌う諸国が大部分を占めてしまいました。
彼らの多くは、米国の掲げる自由と人権ではなく、中国の札束と貿易を選んだのです。

これは米国の失敗だと考えられます。
トランプの悪い癖で、気に食わないとすぐに脱退をちらつかせ、思う通りにならないとほんとうに脱退してしまいます。
人権理事会において発言権を確保することは香港・ウィグル問題で切り込む時に絶対に確保しておくべきな拠点でした。
それをみすみす中国とその属国のキューバに牛耳られて、「称賛」決議まで出されてしまうとは、米外交の失点ではありませんか。

WHOについても同じで、テドロスが中国のエージェントであることは明白だとしても、だからこそここで中国の責任問題を徹底的に取り上げて粘るべきてした。
それをあっさり尻をまくってしまうとは、なんという腰の軽さ、軽薄さ。

こんなトランプ外交をむしろ追い風にして、気がつけば国連諸機関は、ことごとく中国ないしは中国の手下によって支配され尽くされてしまいました。

「15の国連特別機関・組織のうち、中国の代表が現在4組織を率いている。昨年には、西側諸国が推薦する候補者を破り、食糧農業機関(FAO)のトップの座を射止めた。これに対し米国はようやく3月になって、パートナー国と連携して中国に対抗し、世界知的所有権機関(WIPO)のトップ人事を押さえた。自国の代表を複数の国連機関に送り込んでいる国は中国以外にない」(WSJ前掲)

中国の国連支配は実に巧妙で、国連分担金は米国と日本に払わせ、自分は一帯一路でアジア・アフリカ諸国のインフラ整備の名目で、到底返済不能の巨額な資金を貸し出し、返済不能となるや港湾や飛行場、工業団地などの重要拠点を奪っていくというものでした。まるであこぎなヤクザのようです。
これらのアジア・アフリカ諸国は借金のカタで首がまわらなくなっただけでなく、国際機関や会議の場においては中国に盲従することを強いられました。

かくして 中国は今や「国連」の名で国際世論をいかようにも操作でき、「国連」の名で中国の意志を知らしめることが可能となったのです。
下に中国が国連トップの地位を占めた機関を上げておきます。

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WSJ前掲より引用

 

 

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コメント

このままバイデンが勝って中国大好きなアメリカになったら、案外これはこれで「世界が一つにまとまる」のかも知れませんね。

日本他数国が犠牲になるだけで。

起死回生の一手は無いものなのでしょうか。というかそもそも、「起死回生」なんて言葉が出るほど追い詰められてるのが悔やまれる気がしますが。

昔のイメージそのままに国連だから安心という時代ではなくなりつつあるのではなく、なくなっているということに愕然とします。
組織と言うものが、関心を持って見守って≒監視していかなければ、一部の国や人に都合の良い組織になることが、新型コロナウィルスによって明かにされ、思い知らされる1年になっています。
期待された本来の機能を果たせなくなった組織が、有名無実化し、新たな組織に移っていくのを見届ける5年10年になっていくのでしょう。
日本国と日本人も、お金を出しているのだからということを口実にしてでも、他人事ではなく自分事として、戦前を生きているという心持ちで腹を据えてこれに対処していく外交が打ち出され、国を挙げこれを後押ししていく世に近づくことを願ってやみません。
自分事としてこれに対処していかなければ、どちらに転んでも、口を出すな金だけ出していればいいということになってしまいます。(今までもそれに近い状況だったのかもしれませんが)

トランプが当選したら自由主義陣営による新しい国連くらい提唱しそうなもんですがどうなんでしょうね
そういう枠組み自体が過去のものかもしれません

国連にしろWHOにしろもう役割を終えてもらい、どちらの陣営につくか旗色を明らかにした国から其々の経済圏に組み込まれ、睨み合いながら秩序を形成すればいいんじゃないかな

似非リベラルさんにとって残念なことに、美しい理想が必ずしも現実に
幸福をもたらすとは限りませんわ。国際機関もそのひとつ。前世代では
国際連盟なんてのもありましたが、それを提唱した大統領がいる米国
は参加せず(モンロー主義で)、ウダウダの末に我が旧大日本帝国さえ
連盟から脱退し(ヤケをおこして)、第二次世界大戦へと突入します。

ほとんど役立たずの国際機関でしたので、戦後、それを反省して国際
連合を創立させた。戦勝国家が常任理事国となり拒否権を持つという
どこが国際機関やねん!的な国連でしたが、表向きは大国が実権を
握っているからこそ世界平和が実現できるのじゃ!的な無し崩し的な
組織でした。本来、中国は国民党政府のハズが、中共が早速アフリカ
などに手を回して、日本軍とロクに交戦もせず逃げ回っていた(戦力を
温存し、旧大日本帝国撤退の後の内戦に備えていた。そして国民党
に勝って、彼等を台湾へと追い払った。抜け目ない毛沢東さんエライ)
クセに、ちゃっかり多数派工作して中共が常任理事国におさまった。

国際機関も、民間の株式会社のようにカネを出したもん(大株主)ほど
決定権を持つとしないとダメですわ。さらに国際機関は、NHKのように
独占させると胡座をかくので、複数並び立つ形がいいです。好きな所
に所属してよい。現在のような唯一国連で、一国一票みたいな理想
主義では、票をカネで買うようなエグイ国家に有利過ぎまわ。どうせ、
最後の外交的手段は戦争なので、今の国連組織なんて、民主国家群
と独裁国家群に分かれつつある現世界では、まったく役に立ちませ
んて。

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