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2020年10月26日 (月)

真の核の脅威を免罪する核器禁止条約

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世の中、こんなことやって何になるのかという人たちが大勢います。
たぶん、この人たちもそう。核兵器禁止条約が締結の見込みのようです。

朝日はさっそく『「核兵器は悪」核禁条約が迫る大転換 道筋は不透明』(1月25日)という摩訶不思議な記事を載せています。
見出しだけで判るように、バンザーイ締結だぁと小踊りしながら、後段でふと冷静になると、はて実効性ゼロじゃないかという現実にぶつかって身悶えしているようです。

「全廃こそが核兵器が二度と使われないことを保証する唯一の方法だ」  核兵器禁止条約は前文でこううたい、核兵器を非人道的で違法とみなす。この点が米ロ英仏中の5カ国だけには核保有を認める核不拡散条約(NPT)と大きく異なる。核の使用や保有、実験はもとより、「核抑止論」の否定にもつながる「使用をちらつかせる威嚇」の禁止事項もある」(朝日前掲)

ここだけ読むとまるで、核兵器禁止が成ったようで、以後「核兵器は禁止」だそうです。
わきゃないだろう、まったくもう。どうしてこうも幼稚なんでしょうか。
核が「絶対悪」だなんてとうぜんですし、核による威嚇が悪だなんて、言われなくても誰でもわかっています。
しかし核は廃絶できないどころか、増殖し続けています。
なぜなのか、考えたことがあるんでしょうか。

「道義的祈り」で核廃絶できれば、過去米ソが2回もやった戦略兵器削減条約(START)交渉なんて無用なのだから、核の脅威の外にいる非核国が集まって道義的祈りでも捧げていて下さい。
彼の国は直接の核の標的になったこともないし、核攻撃を受けたこともありません。

推進したのは、わが国に攻め込んで、さんざんわが国の「平和運動団体」と一緒になって騒いで行った反核団体ICANです。
いまもこんなことを言っています。

「核兵器禁止条約に背を向ける日本 課題なお
ICAN国際運営委員の川崎哲さん(51)は「条約発効は核兵器の時代の終わりの始まりだ。そこで被爆国の日本が核兵器の正当性を訴えるのは許されない」と問う。発効から1年以内に開かれる締約国会議には、保有国や未締約国もオブザーバーとして参加できる。被爆地の市民として日本政府の行動をあらためて注視しなければならない」(中国新聞10月26日)

当時の日本は、北朝鮮の核ミサイル実験に怯え、なおかつ恒常的に中国の核の標的になっているという状況でした。

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にもかかわらず、そんな状況をよそに、ノーベル平和賞受賞直後に真っ先にやったのが、この馬鹿馬鹿しい日本攻めでした。
フィン事務局長によれば「日本は核の脅威を助長している」とのこと(脱力)。
ふざけるのは、いいかげんにしていただきたい。
「被爆国なのに」ではなく、「被爆国だから」、核による脅迫を行う中国や北朝鮮に対して米国の「核の傘」の守りが必要なのです。
そんなに非核を叫びたいなら北京と平壌でやりなさい。

さて、この核兵器禁止条約は、一般国際法化を目指しているようですが、新たな核製造について取り締まりを目的とした条約としてはNPTがあります。
それがインド、パキスタン、イスラエル、南スーダンといった非加盟国の核保有と、一方的な脱退をしてしまった北朝鮮を除く世界各国が参加しているのが建前ですが、これすらこれらの国によって揺らいでいるのが現状です。

このNPTを補完するわけでもなく、かといって崩壊の危機にある現状を建て直そうとするわけでもなく、核攻撃を受ける可能性がゼロの国々が、もうひとつNPTの外に国際法もどきのものを作ってなんの意味があるのか、誰か説明してもらえないでしょうか。
この核兵器禁止条約を地雷禁止条約になぞらえている人がいましたが、地雷と核兵器を等価で並べること自体、この人が核兵器の真の意味が判っていないからです。
たんに無意味なばかりか、核の国際管理分野において二つの国際法が並び立ってしまう事態となってしまい、現に存在しNPTの枠組みの中にある核保有は違法だという根拠法を作ってしまったわけで、いっそう核拡散規制に混乱を与えるだけにすぎません。
下図の核兵器保有状況を見てみましょう。

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時事

上の保有数図だけみていると、圧倒的に米露が多いので勘違いするかもしれません。
この図は一種のトリックで、増減の動態が不明なのです。
すると反核団体のように、いちばん言いやすい米国をつかまえて核兵器を全廃しろ、みたいなことをシュプレヒコールすることになります。
それだけならまだしも、日米同盟による米国の核の傘で守られているわが国まで、まるで核兵器を持とうとしているかのような言い草を並べています。
トンチンカンな八つ当たりはごめんです。

さて核兵器を考える場合、一般的な保有数だけみてもわかりません。
まず第1に、今述べたように、保有する核兵器が削減条約で削減したのかしないのか、が大事です。
これを見ないで静止画像のように現時点だけ切り取っても、それを増やし続けて今の保有数なのか、減らしていて今の数なのかではまったく持つ意味が違います。

そこで下図は核兵器保有数の推移を見たグラフです。
米露が2回に渡る削減条約で保有数を減らし、英仏も削減しているのにもかかわらず唯一保有数を伸ばしているのが中国だとわかります。

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核兵器保有数の推移 | 国際平和拠点ひろしま〜核兵器のない世界平和に

保有数を減らしているのが米露英、まったく削減していないのが中国、インド、パキスタン、イスラエルです。
そして中国と北朝鮮は、削減に応じるどころか、むしろ積極的に核兵器を増産し続けています。

中国は江沢民政権以来、米ソが核軍縮条約を結んで不十分ながらも核兵器全廃の方向に進む流れにひとり背を向けて、際立って核戦力の増強近代化に力を入れてきました。
その結果、近年では米中の核戦力の相対戦力格差は急速に縮まってきています。

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「「中国の核弾頭保有数は約200個、今後10年間で倍増」米国防総省
米国防総省は1日、中国の核弾頭保有数は現在の200個程度から今後10年間で少なくとも倍増するという見通しを示した。また、中国が陸海空における核戦力のトライアド(核の三本柱)態勢の構築に近づいているとの認識を示した。
米国が中国の核弾頭保有数について発表するのは初めて。米国科学者連盟(FAS)は中国の核弾頭保有数を約320個と推定している。
国防総省は中国の軍事力に関する議会向けの年次報告書で、今回の見通しは中国政府が新たな核分裂性物質を生産することなく核兵器の備蓄量を倍増させるのに十分な材料を有していることなどを考慮しているとした」(2020年9月20日)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/09/20010.php

第2に、その核兵器が使えるかどうか、核戦力として有効かただの政治的お飾りかという点です。
米露などの冷戦期の作られた核戦力は、当然ですが実戦配備されて久しいものです。
核戦力が実戦に使えるか否かは、「核の三本の柱」で判定します。
それは①地上発射型弾道ミサイル、②空中発射型核ミサイル、③水中発射型核ミサイルの三つですが、その中で特に重要なのが③の水中発射型弾道ミサイル(SLBM)です。

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ニューズウィーク 南シナ海を航行する中国人民解放軍の戦略原潜。2018年4月撮影

というのは自国周辺の大海の底にひっそりと沈んで、ひたすら発射命令を待つモンスターだからで、これを探知し未然に破壊することは至難の業だからです。
ですからこのSLBMを保有したことをもって、核兵器を保有したとみなされます。
ちょっと前の中国、今の北朝鮮がその段階です。

第3に、どこを向いて核ミサイルを配備しているかという目標、です。
わが国を標的にしているのか、どうかです。
ここを無視して、一般論で「核兵器をもっている」といっても無意味です。

すると核保有国は数あれど、わが国を標的としている核保有国、それも実用化段階に入った核ミサイルを持つ国はふたつしか世界に存在しません。
いうまでもありませんが、中国と北朝鮮です。
それは中国の核ミサイル基地の配備図をみれば分かります。

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中国の核ミサイル発射基地は、瀋陽基地、皖南基地、雲南基地、予西基地、湖西基地、青海基地、普北基地、河北基地にあり、日本を標的にするミサイルは、瀋陽基地にあります。
なお皖南基地は台湾を標的にし、予西基地、湖西基地、のミサイルはアメリカを標的にしているといわれています。
そのために中国の核戦力は、米露が中距離弾道ミサイル制限条約によって生産と配備を中止した中距離弾道ミサイルを多く保有しているのが特徴だから始末が悪いのです。

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要約すれば、中国は水中発射核ミサイルや中距離核など「使える核」を多数保有しており、世界の非核化の流れにひとり背を向けて増産に励み、その核の多くは日本を標的にしているということになります。
いかなる核軍縮のテーブルにも着かず、ひとり核兵器を増産し続けてている中国、NPTを脱退して核武装に走る北朝鮮に対してなにも言わないような非核運動はいったいなんなのでしょうか。

つまりこんな情勢の中で、中国と北朝鮮の核を問題にしないような核兵器禁止条約は、かつての反核運動がソ連によって操られていたように、意味がないばかりか、「核の脅威を助長している」ものでしかないのです。

 

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コメント

昨夜ヤフーでタイトルと、書いたのが朝日新聞だったので一応読みましたが、まあやはりなにをか言わんやな内容でしたね。。

ちなみに今日は「原子力の日」ですな!
まあ近年はずっと少子高齢化やニュークリアファミリー化が社会問題だと、ずっと言われていますからね。。

 このような条約に何らかの実効性があるとか、「核廃絶に向かう第一歩」と考えるのは非現実的であるだけでなく大変危険です。
現所有国と未所有国の溝を深める事にもなる。

それに、これから持ちたい意思のある向きは、北朝鮮のように地下にもぐって核開発を進めるだけのもの。百害あって、一利もない協約です。

核兵器って国防におけるドラッグに等しい存在だと思っています、小国が一度配備してしまえば周辺情勢はそれを前提とした安保体制を取りますしその状態から核兵器が無くなればその国の防衛力は一気に最底辺にまで落ちます。
そんな不安定な情勢を誰が監視するのでしょうか?

減らす事はある程度できるでしょうが0にする事は出来ない
それが現実です。

フィン事務局長の出身国スウェーデンも署名していませんね。
昨年スウェーデンが核兵器禁止条約に署名しないと明らかにした当時のマーゴット・バルストロム外相は、「署名できる条約であったならば、とは思います。しかし、リアリストでもあらねばなりません」と語ったといいます。
https://www.afpbb.com/articles/-/3235037

例えばスウェーデンという国の中立政策の内容の変遷をみても、核兵器開発から廃絶へ理想に近づこうとしつつも、常に周囲の国際情勢を見る現実主義を放棄することはあり得ないわけで。

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